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2026年1月25日 (日)

第523回:主要政党の2026年衆院選公約案比較(知財政策・情報・表現規制関連)

 今回の解散総選挙はいまだかつてないほど何を主要な争点として行われるものなのか不明なものと言わざるを得ないと思うが、1月27日公示、2月8日投開票という超スピードで衆議院選挙が今一度行われる予定である。

 毎回作っている以下の主要政党の公約案の知財政策・情報・表現規制関連部分の比較用抜粋を公開されているものから作っておくが、与党第一党の自民党を始めとして、どこの政党の公約案も全体的に急拵えで、去年の参院選の時点と大して違いがある訳もなく(2025年7月の参院選時については第514回参照)、益々何のための選挙なのか良く分からないという状況である。(今回も念のため書いておくと、公示日以降に出されるものが正式な公約となるので、現時点ではあくまで公約案の比較となるが、正式版との間でそれほど違いがあった事はない。)

<自民党>
◯マンガ、アニメ、映画、音楽、ゲーム等のコンテンツ産業におけるクリエイター等の育成や海外展開を支援し、日本のソフト・パワー外交の強化で世界平和に貢献します。

(政策BANKより)
◯コンテンツ産業について、日本発コンテンツの海外市場規模を2033年までに20兆円とする目標の実現を目指し、複数年の支援を含めた大規模・長期・戦略的な官民投資を推進し、成長投資を拡大することで海外展開を促進します。

◯海外で戦える大規模で高品質なコンテンツの制作支援や、日本のコンテンツを世界に届ける国際流通機能の強化、人材育成、海賊版対策の強化、スポーツエンタメ・コンテンツの海外展開の促進等、コンテンツ産業やスポーツ産業を含む、エンタメ・クリエイティブ産業の取組みを推進します。

◯世界で最もAIに理解があり、研究開発・実装がしやすく、人材と投資が集まる「世界一AIフレンドリーな国」を実現し、リスクを最小化しつつ高付加価値化を進め、グローバルサウスとも連携し、国際的なAIの拠点としての地位を確立します。

◯「知的財産推進計画2025」に基づき、知財エコシステムの再構築に向け、AIサービスの提供における透明性確保に向けた検討を含め、知的財産の創造・保護・活用全般にわたる施策を推進します。

◯産業界が主体的に取り組む国際標準活動を支援し、わが国の成長につなげます。

◯「新たなクールジャパン戦略」に基づき、コンテンツ産業の国際競争力の強化、クールジャパン関連産業の海外展開等の横断的な取組みを推進します。

◯当面1兆円超をAI関連施策の推進に投資し、AI利活用の推進とAI開発力の戦略的強化の好循環によるイノベーションを加速させるとともに、信頼できるAIの実現に向けてAIセーフティ・インスティテュートの抜本的強化等リスク管理を両立させる「人工知能基本計画」に基づき、これらを一体的に推進していきます。

◯競争力強化と安全性確保の観点から、広島AIプロセスの実績をベースに、AIに関する国際的な議論を主導するとともに、法規制と事業者ガイドラインなどのソフトローを組み合わせた国内の制度整備と、その適切な運用を進めます。また、わが国のAI開発力強化に向けた取組みを進めます。

◯農林水産物・食品の国際競争力の強化に向け、さらなる品種改良を進めるとともに、優良品種の海外流出を防止し、戦略的な海外展開を推進するとともに、「家畜遺伝資源法」等のもと、わが国固有の財産である和牛を守ります。また、模倣品対策やGIの活用等を強化します。

◯ルールに基づく自由で公正な経済秩序やCPTPPの高い水準の維持・強化等を通じ、多角的な経済外交を展開します。デジタル、AI、経済安全保障など戦略分野におけるルールづくりを主導します。

◯文化芸術、スポーツ、観光、デザイン、コンテンツなどのわが国のソフトパワー産業の育成を進めます。また、アート市場の活性化・国際拠点化を図り、アートによる生活の質向上、観光振興及び新たな市場・産業を創造します。

◯マンガ、アニメ、映画、音楽、ゲーム等の分野における、基金による支援も含めたクリエイター等の育成や、マンガ等分野の作品等を収集・活用するセンター機能を有する拠点整備を進めます。

◯ネット上の偽・誤情報や誹謗中傷などに対応するため、情報流通プラットフォーム対処法の円滑な運用、利用者のリテラシー向上や相談体制の充実、偽・誤情報対策技術の研究開発など、表現の自由を最大限考慮しつつ、さらなる制度整備も含め総合的な対策を推進します。

<中道改革連合>
◯アニメ・ゲーム等の海外展開を加速させるとともに、クリエイターへの投資を強化し、日本のコンテンツ力を世界一の稼ぐ力へと育て、貿易・サービス収支改善にもつなげます。

<国民民主党>
(政策各論より)
◯ディープフェイク規制法(仮称)の制定
 国際的な連携のもと、技術革新と人権・民主主義のバランスを確保しつつ、AIで生成された偽の画像、映像、音声等のディープフェイク被害から国民を守る実効性ある法制度の早期整備をめざします。また、無断AI学習や見たくない広告が配信される課題について、表現の自由に抵触しない範囲において、受信や利用を拒否するオプトアウト権の検討等、データの自己監督権に関する議論を進めます。

◯知的財産戦略の推進
 特許や著作権等、知的財産を守り積極的に活用するため、国際的な知的財産戦略を推進します。また、國酒をはじめとする日本の食文化やアニメや漫画、デザイン等のコンテンツ(クールジャパン)を海外に積極的に展開し、ソフト分野でも稼ぎ、雇用を増やす産業構造をつくります。

◯災害時のデマ情報対策
 防災アプリ等を活用してできるだけ正しい情報が提示されるようにすることで、災害時においてSNS上で発生するデマ情報への対策に取り組みます。過去の災害でも発生したインプレッション稼ぎのデマ情報に適切に対応できるよう取り組みます。

◯主体的・戦略的な経済外交
 日本の「モノ」「サービス」を海外に広める取組を徹底して行います。特に鉄道や発電所、上下水道等、日本が誇るインフラ設備の輸出も官民共同で行い、日本の産業の振興と世界への貢献を両立させる取組を行います。また、対日投資促進やインバウンド需要拡大をめざし、外国法人との対話力強化や多言語での情報発信強化等に取り組みます。自由貿易協定については、TPP等の経済連携協定の効果を検証し、自由貿易の重要性を踏まえつつ、自動車や農業分野等、日本の国益を守ることを最優先に位置付け、主体的・戦略的な経済外交を推進します。

◯種子の確保
 種子の確保は安全保障の基本です。種子の保存、新品種の育成について国が責任を持って取り組むための法律を作ります。

<れいわ新選組>
◯以下のような売国法を廃止する
(略)
・種苗法改正(登録品種の自家増殖の権利を制限、2020年)
(略)
・TPPなどのISDS条項を持つ自由貿易協定の見直しや再交渉(2016年)
(略)

<共産党>
◯安心して活用できるAIのルールづくりをすすめます
 AI(人工知能)の活用の大前提は、個人情報を保護し、安心と信頼を確保することです。EU(欧州連合)ではAI規制法を制定し、リスクのレベルに応じて使用禁止や厳格な管理を適用しています。

 ――日本版AI規制法を制定して、リスクに応じた厳格な管理を行い、偽情報を排除する仕組みをつくります。

 ――軍用ドローンや無人戦闘機など、AIの軍事・安全保障分野での使用に反対します。

 ――著作権法やデジタルプラットフォーム取引透明化法を改正して、プラットフォーマーやAI事業者に社会的責任を果たさせます。

 ――経済安全保障を名目とした半導体産業への巨額の補助金投入は見直します。

(各分野の政策より)
◯12、女性とジェンダー
(略)
 リベンジポルノ、SNSでの誹謗中傷、生成AIを使った性的ディープフェイクの被害の急速な広がりなどオンライン暴力への対策を強化します

 ――オンライン上の暴力について、通報と削除の仕組みを強化し、被害者のケアの体制をつくります。
(略)
――「児童ポルノ」は児童に対する性虐待、性的搾取を記録したものであり、「性の商品化」の中でも最悪のものです。児童ポルノ禁止法(1999年成立。2004年、2014年改正)における児童ポルノの定義を、「児童性虐待・性的搾取記録物」(※「記録物」とはマンガやアニメなどを含むものではありません)と改め、性虐待・性的搾取という重大な人権侵害から、あらゆる子どもを守ることを立法趣旨として明確にし、実効性を高めることを求めます。

日本は国連機関などから、極端に暴力的な子どもへの性虐待・性的搾取を描いた漫画やアニメ、CG、ビデオ、オンライン・ゲーム等の「主要な制作国となっている」と批判されています。また近年は人工知能(AI)で作成された児童の性的画像が膨大な規模で出回り、子どもの人権・尊厳が著しく傷つけられる事態が広がっています。子ども時代に受けた性的被害は生涯にわたる苦しみと困難をもたらしており、これを無くすために社会は力を尽くさなければなりません。

「児童ポルノ規制」の名をかりて表現の自由を侵害することは許されません。「表現の自由」やプライバシー権を守りながら、子どもを性虐待・性的搾取の対象とすることを許さない社会にしていかなければなりません。現行法での厳格な取り締まりと同時に、新たなAI技術を使った事態に対応できる規制のあり方について国民的な議論と合意づくりが必要です。
(略)

◯33、米巨大テック企業
(略)
 ――巨大テック企業などのプラットフォーマーに社会的責任を果たさせるよう、デジタルプラットフォーム取引透明化法を改正して、禁止行為を明記し、厳格な罰則規定を作ります。

 ――プラットフォーマーの優越的地位の濫用を防ぐため、公正取引委員会の活動や体制を強めます。

 ――EUのデジタルサービス法のようなプラットフォーマーに対する監督、調査、監視、執行する権限を有する独立したデジタル監督官(仮称)を設けます。
(略)
 ――RCEPやTPPなどを見直し、個人情報の国外への持ち出しを禁止します。
(略)

◯34、経済安全保障
(略)
戦前の秘密特許制度の復活

 秘密特許も重大です。

 特許出願非公開制度は、民生技術を軍事技術に吸収し戦争遂行に動員した、戦前の秘密特許制度の復活にほかなりません。

 我が国の特許制度は、公開を原則とすることで新しい技術を人類共通の財産とし、技術の進歩と産業発展に寄与していますが、その唯一の例外が日米防衛特許協定です。経済安保法では、外国出願を禁じた特定技術分野の発明は、アメリカに対してのみ、防衛特許協定を理由に除外されます。軍事特許を日米の軍事力強化に役立てる新たな仕組みとなりかねません。当時の小林経済安保担当相は、国会答弁で「これまで片務的なものだったのが双務的になる」とあけすけに日米同盟強化を語っています。

 専門家からは「恣意的で不透明な特許の非公開制度の存在は、学術や技術の体系全体にゆがみをもたらし、本来のイノベーションを妨げる」との声が上がっています。
(略)
 日米軍事一体化が進む下で、経済面でもアメリカに追随し、経済と科学技術を軍事・安全保障に組み込もうというのが経済安保法はきっぱり廃止すべきです。

◯65、AI
(略)
報道機関、アーティストや作家、作曲家などのクリエーターの権利と利益を守ります

 AIが著作物を無断で利用し、検索結果として示せば、新聞など報道機関の発行物やサイトを見る人が大幅に減り、事業は行き詰まりかねません。日本新聞協会からは、早急に現行の著作権法の改正を求める声が強まっています。報道コンテンツの利用は許諾を得たうえで、正確性を十分確保するなど、AI事業者に責任ある対応を求めます。

 文化・芸術分野でも同様なことがおきかねません。AIによる学習及び生成・利用を無制限に認め、著作者の創作意欲を削ぐようなことがあっては、著作権法の目的に反することになります。

 著作権法を改正しアーティストや作家、作曲家、映画監督、スタッフ、実演家など、クリエーターの権利と利益を守ることも重要です。
(略)

◯68、学術、科学・技術
(略)
 「経済安全保障推進法」を廃止し、知的財産権をめぐる問題は外交で解決する――経済安全保障推進法は、科学技術の軍事研究化を推進し、学問の自由を侵害する恐れがあります。すでに2回の補正予算で5,000億円が計上された経済安全保障重要技術育成プログラムの成果は、防衛省の判断で軍事技術として活用できます。プログラムの参加者に、罰則付きの守秘義務を課します。特許出願非公開制度は、民生技術を軍事技術に吸収し、戦争遂行に動員した戦前の秘密特許制度の復活です。特定技術分野の発明は外国出願禁止ですが、日米防衛特許協定を理由に米国に対してのみ禁止を除外しています。軍事特許を日米同盟に役立てる仕組みとなっています。

 中国の覇権主義や組織的なサイバー攻撃、知的財産権の侵害などは、事実に基づき厳しく批判され、外交的に解決されなければなりません。しかし、「平和のとりで」(ユネスコ憲章)であるべき大学や国際交流があってこそ発展する研究までも仮想敵を持って対立に巻き込むことはあってはならないことです。「経済安全保障推進法」は廃止します。
(略)

◯70、文化
(略)
著作者の権利を守り発展させます

 著作権法は、表現の自由を守りながら、著作物の創造や実演に携わる人々を守る法律として、文化の発展に役立ってきました。AI、デジタル化など科学技術が進歩するなかで、著作権者に経済的に不利益が起きています。著作権者を守る立場での法改正を求めます。

 ――映画の著作権に関しては、映画の著作物はすべて製作会社に権利が移転され、映画監督やスタッフに権利がありません。著作権法を改正し、映画監督やスタッフ、実演家の権利を確立します。

 ――デジタル化、ネット配信など多様化する二次利用に対しては、著作者や実演家の不利益にならないよう対策を求めます。

 ――私的録音録画補償金制度は、デジタル録音技術の普及にともない、一部の大企業が協力業務を放棄したことで、事実上機能停止してしまいました。作家・実演家の利益を守るために、私的複製に供される複製機器・機材を提供することによって利益を得ている事業者に応分の負担を求める、実効性のある補償制度の導入をめざします。

 ――生成AIの「学習」段階については、現行の著作権法では著作者の許諾が不要になっており、無許諾で使用される事例が増加しています。著作権者の権利を守る立場での法改正、AI規制法の制定を求めます。

憲法を生かし、表現の自由を守ります

 芸術は自由であってこそ発展します。憲法で保障された「表現の自由」は、多様な立場や価値観を持った人たちが生活する民主主義社会を支える上で欠くことのできない大切な人権です。しかし、自公政権のもとで、各地の美術館や図書館、公民館などの施設で、創作物の発表を正当な理由なく拒否することが相次いできました。展示や作品の内容を問題視し、助成金の交付をいったん打ち切るなど、権力からの介入は、自由な創造活動に「忖度」や「萎縮」効果をもたらすことにつながるものであり、司法の場でも厳しく批判されました。

 また、文化庁の助成は応募要綱などが行政の考え方に沿って決められ、芸術団体などの意見が十分反映されていません。諸外国では、表現の自由を守るという配慮から、財政的な責任は国が持ちつつ、専門家が中心となった独立した機関が助成を行っています。

 日本共産党は、「表現の自由」を守り、文化芸術基本法や憲法の基本的人権の条項をいかした支援を求めます。

 ――「アームズ・レングス原則」(お金は出しても口は出さない)にもとづいた助成制度を確立し、萎縮や忖度のない自由な創造活動の環境をつくります。

 ――すべての助成を専門家による審査・採択にゆだねるよう改善します。

 ――公共施設などでの創作物の発表、展示への脅迫・妨害行為に毅然とした対応を求め、「表現の自由」を保障します。

 ――「児童ポルノ規制」を名目にしたマンガ・アニメ・ゲームなどへの法的規制の動きに反対します。青少年のゲーム・ネットの利用について、一律の使用時間制限などの法規制に反対します。
(略)

<参政党>
◯ものづくり・AI・コンテンツ(アニメ等)産業の国際競争力強化を支援。

(政策2026より)
◯マンガ・アニメ・ゲームを日本の文化資産として、国内外での更なる発展と産業基盤を構築
 日本のマンガ・アニメ・ゲーム産業は、2023年に海外から5.8兆円の収入となり、日本の半導体輸出額に匹敵する規模となっている。これらを日本の基幹産業と位置付け、更なる発展を支援する。また、マンガ・アニメ・ゲームは、単なるエンターテインメントを超え、日本の文化外交や国際的な影響力を形成する重要なツールとなっており、この文化資産を戦略的に活用し、世界との相互理解を深めていく。
(主な施策)
・人材育成と労働環境の改善(専門教育の充実、労働環境の改善)。
・海外展開と国際交流の促進(海外市場への進出支援、国際共同制作の推進)。
・地域活性化と観光振興(アニメを活用した地域振興、アニメツーリズムの促進)。
・知的財産の保護と活用(著作権の適切な管理、クリエイターへの適切な報酬還元)。
・マンガ・アニメ・ゲームの価値を経済的合理性で判断せず、文化として健全な発展を遂げるために文化庁に主管を委譲。

 上で書いた事の繰り返しで、今回の総選挙が何を主要な争点として何のために行われるのか良く分からないが、細かな政策がどうあれ、今回の選挙でも、昨今の物価高対策や自民と維新という新しい連立与党が示す今後の経済財政政策などに対する有権者の判断が下される事になるのだろう。

 また、これも参院選時に書いた事の繰り返しになるが、選挙の結果がどうあれ、今後も、AIとディープフェイクの扱いやネットにおける誹謗中傷対策などが政府与党で議論されて行くだろう事は間違いない。選挙後にまた政治が混乱する事も予想されるが、その中でこれらの問題がどの様に取り扱われて行くか引き続き要注意である。

(2026年1月26日夜の追記:参政党の公約案が公開されていたので、上でリンクと抜粋を追加した。)

(2026年1月27日夜の追記:ほぼ違いはないが、正式版の公約集へのリンクをここに追加しておく。また、これも前の参院選時のものと大きな違いはないが、新たに公開された自民党の総合政策集と維新の個別政策集からの抜粋も合わせて作っておく。

<自民党>
(総合政策集より)
◯55 中小企業・小規模事業者の知的財産の保護等の強化
 大企業等との取引関係の中で中小企業・小規模事業者が知的財産侵害を受けるケースも存在することに鑑み、知的財産・ノウハウの取引適正化や中小企業・小規模事業者の知財経営リテラシーの向上等に取り組みます。

◯56 AI/DXに即した産業財産権制度の見直し
 AI/DX時代に即した産業財産権制度を構築するべく、AIを安心して研究開発やビジネスに活用するための合理的なルールや、国際的なデータ利活用に関する発明の保護、仮想空間におけるデザイン保護等の論点について、早期の制度整備を検討します。

◯59 コンテンツ戦略と海賊版対策
 エンタメ・コンテンツ産業は、海外市場規模において6.0兆円となり、鉄鋼業や半導体産業の輸出額にも比肩する、わが国の基幹産業の一つになっており、地方創生に資する高い波及効果を有しています。インバウンド需要などを通じた経済波及効果も高く、わが国のソフトパワーを高める手段としても有効な分野です。
 こうした中、今般、「コンテンツ」が日本成長戦略における17分野の一つとして位置づけられています。
 官民の健全なパートナーシップのもと、エンタメ・コンテンツ産業の活性化に向けて、コンテンツ産業官民協議会を司令塔機能として戦略的な議論を行い、コンテンツ関連施策による一貫的支援をはかるとともに、クリエイター育成とコンテンツ海外展開による好循環創出のため、クリエイターをめぐる労働環境の改善・収益還元の促進、海外ビジネス展開力の向上、デジタル化に対応した構造改革等について取組みを進めてまいります。
 さらに、海賊版に対する対策強化として、国外犯処罰の導入検討も含め、国際執行を強化するとともに、官民一体となって海賊版を撲滅し、正規版流通も含めたエコシステムの実現に取り組みます。

◯60 「クールジャパン戦略」の推進
 海外の人々が良いと思う日本の魅力をマーケットインの考え方に基づき効果的に発信し、インバウンドや輸出の拡大等にもつながるクールジャパン戦略を強化・拡充します。
 コンテンツ、インバウンド、食・食文化の各分野において政策を総動員して取組みを進めてまいります。わが国の強いIP(コンテンツ、多様でおいしい食、様々な地域の自然・伝統など、広義の意味での知的資産)を活用し、新たな技術(Web3やNFT等)も取り入れて「イノベーション」を起こし、多層化・深化した「日本ファン」に対して高い「体験価値」を提供しながら、高い利益をあげて外貨を獲得し、関係者による再投資に回していくという好循環を確立していきます。
 今後も取組みをさらに強化することにより、2028年までに30兆円以上、2033年までに50兆円以上とすることを目指します。
 アニメツーリズムやロケ誘致など地域一体となった取組みを加速するため、「クールジャパン戦略会議」において、コンテンツ地方創生拠点として2033年までに全国約200カ所の選定を目指し、成功事例の輩出・共有を進めていきます。

◯61 「クールジャパン」関連コンテンツの振興
 日本発コンテンツの海外売上を2033年までに20兆円とする目標の実現を目指し、複数年の支援を含めた大規模・長期・戦略的な官民投資を推進し、成長投資を拡大することで海外展開を促進します。
 国際流通機能を強化するとともに、海外で戦える大規模で高品質なコンテンツの製作支援を事業構造改革と一体として推進します。また、日本発コンテンツでまとまっての海外展開の支援や、海外支援拠点の拡充を行います。
 世界水準の制作力を得るため、ロケ誘致や、開発プラットフォームの構築を支援します。持続的に魅力ある作品を生めるよう、スタートアップ・エコシステムの構築、就業環境の改善、融資環境の整備に取り組むとともに、海賊版対策の国際執行や正規版流通促進に投資します。

◯65 放送コンテンツ産業の強化
 日本発のコンテンツの海外市場規模を拡大すべく、放送コンテンツ産業の競争力強化、海外展開の推進に取り組みます。多様な知的財産(IP)創出に向けた企画・開発段階の支援や高品質の放送コンテンツ制作に向けた高機能・先端的な技術(4K・VFX)の活用支援の抜本的強化、高度人材育成や設備の導入・利用を支援するとともに、権利処理の円滑化、日本の放送コンテンツを集約した海外配信の強化・流通円滑化などに官民連携して取り組みます。

◯77 経済安全保障推進法の着実な実施
 2022年5月に成立した「経済安全保障推進法」の4分野について、制度の着実な実施と不断の見直し、さらなる取組みの強化を行います。
 具体的には、サプライチェーン強靱化については、半導体や重要鉱物、抗菌薬、船舶の部品など、国民の生存や経済活動にとって重要な物資について、国内の生産基盤強化や、権益確保や生産プロジェクトの形成、代替品開発等による安定供給確保に向けて、引き続き不断の点検・評価を行うとともに、重要な物資が本来期待される機能を発揮するために必要不可欠な役務を支援対象とする、幅広い関係者からの情報収集や必要な協力を得ることを可能とするなど、これまでの取組みの効果を踏まえた上で、実効性のある措置を新たに講じます。
 電気、ガス、水道等を対象とした基幹インフラの事前審査制度について、重要設備の導入・維持管理等の委託に関する国による事前審査を着実に実施しつつ、基幹インフラの対象に医療分野を追加することを通じて、基幹インフラ役務の安定的な提供の確保を図ります。
 先端的な重要技術の開発支援については、経済安全保障重要技術育成プログラムの研究開発ビジョンで示された宇宙・航空、海洋、サイバー空間、バイオ等の領域における重要技術について、協議会による伴走支援を引き続き実施するなど、わが国の技術優位性を確保できるよう努めます。
 特許出願の非公開制度については、具体的な保全審査等に際して、出願人との丁寧な意思疎通を行うなど、円滑な制度運用に引き続き万全を期します。

◯138 世界で最もAIを開発・活用しやすい国を目指して
 競争力強化と安全性確保の観点から、「AI推進法」の理念とAI基本計画に基づき、当面1兆円超をAI関連施策の推進に投資し、AI利活用の推進とAI開発力の戦略的強化の好循環によるイノベーションを加速させるとともに、信頼できるAIの実現に向けてAIセーフティ・インスティテュートの抜本的強化等のリスク管理も一体的に推進します。また、広島AIプロセスの実績をベースに、AIに関する国際的なルールメーキングを主導するほか、ソフトロー(適正性確保に関するAI指針やAI事業者ガイドライン等)も組み合わせた国内の制度整備とその適切な運用を進め、「世界一AIフレンドリーな日本」として、世界で最もAIの開発・活用がしやすい国を目指します。また、政府のAI政策の司令塔を強化するとともに、わが国におけるAIの開発力強化に向け、進化するAIの信頼性を柔軟に評価できる能動的評価基盤の構築、民間等の創意工夫に基づく基盤モデルの開発を支援します。

◯321 農業分野の知的財産の保護・活用
 農林水産物・食品の国際競争力の強化に向け、優良品種の開発、海外流出の防止と戦略的な海外展開を推進します。
 育成者権者に代わって、育成者権等の知的財産権を保護・活用する育成者権管理機関の設立を推進し、優良品種の管理の実効性を高めつつ、新品種開発等に投資するサイクルを確立するなど海外からの稼ぎを国内農業に還元する取組みを進めるとともに、育成者権の存続期間の延長など、優良品種を守り、新品種の育成・普及を進めるための法制度の検討を加速します。
 「家畜遺伝資源法」等のもと、わが国固有の財産である和牛を守ります。また、地理的表示(GI)等の地域ブランド・日本ブランドについて、海外における模倣品対策を強化するとともに、インバウンドを効果的に活用した食関連消費の拡大、海外への魅力訴求を通じた輸出拡大につなげます。

◯626 青少年の健全育成
 青少年健全育成のための社会環境の整備を強化するとともに「青少年健全育成基本法」を制定します。またITの発達等による非行や犯罪から青少年を守るための各種施策を推進します。

◯642 デジタルトランスフォーメーション(DX)時代に対応した著作権制度・政策
 DXの推進は、文化芸術における創作・流通・利用にも大きな影響を与えており、DX時代における社会・市場の変化やテクノロジーの進展に柔軟に対応したコンテンツ創作の好循環を実現する必要があります。そのため、DX時代に対応した簡素で一元的な権利処理方策の着実な実施に加え、コンテンツの利用円滑化とそれに伴う適切な対価の還元について取り組みます。また、著作権侵害に対する実効的な海賊版対策の実施、わが国の正規版コンテンツの海外における流通促進、デジタルプラットフォームサービスに係るいわゆるバリューギャップ等への対応、著作権制度・政策の普及啓発・教育方策を進め、コンテンツの権利保護を図ります。

◯846 ネット上の誹謗中傷等の対策推進
 SNS等のネット上における偽・誤情報や誹謗中傷等に対応するため、情報流通プラットフォーム対処法や違法情報ガイドラインによる対応、利用者のリテラシー向上や相談体制の充実、偽・誤情報対策技術の研究開発など、表現の自由を最大限考慮しつつ、制度整備を含め、総合的な対策を推進します。また、会社法の外国会社登記の徹底、捜査機関の体制強化などにも取り組みます。

<日本維新の会>
(個別政策集より)
◯47.生成AIの技術開発の速さや適用範囲の広さを踏まえ、これからのAI時代にふさわしい「アジャイル・ガバナンス」をベースにした制度設計を取り入れ、生成AIに関する事業者の自主的取り組みやアカウンタビリティを促します。また、デジタルプラットフォーマーに対しては、その社会的な影響の大きさに鑑み、生成AIに関する各種リスクに対する安全性や透明性を確保するための規律を設けます。

◯48.偽・誤情報の拡散、サイバー攻撃、人権侵害や著作権侵害といった、生成AIが及ぼす重大なリスクに対しては、世界共通の課題として国際的な枠組みの下で議論を主導し、国際連携を強化します。加えて、覇権主義的な国家による、生成AIを使った情報戦やサイバー戦に対しては、わが国の民主主義や基本的人権を守るため、能動的サイバー防御も含めた情報戦対策と必要な法整備に向けた検討を行います。

◯77.表現の自由を最大限尊重し、マンガ・アニメ・ゲーム等の内容に行政が過度に干渉しないコンテンツ産業支援を目指します。MANGAナショナルセンターの設置による作品アーカイブの促進、インバウンドを意識した文化発信やクリエイターの育成支援などを行います。

◯98.表現の自由に十分留意しつつ、民族・国籍を理由としたいわゆる「ヘイトスピーチ(日本・日本人が対象のものを含む)」を許さず、不当な差別のない社会の実現のため、実効的な拡散防止措置を講じます。

◯99.SNSなどにおける誹謗中傷問題について、表現の自由に十分に配慮しつつ、中傷被害者の救済が迅速かつ確実に実施されるよう、国、自治体、事業者といった関係者間の連携強化を促します。また、民事裁判手続きの負担軽減策や、放送事業者にliよる出演者からの相談体制整備など、総合的な被害者支援策を実施します。

(2026年2月8日夜の追記:今回の総選挙の結果、自民党が単独過半数を超えて大勝と報道されている。)

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