第480回:新秘密特許(非公開)制度に関する部分を含む経済安保法政令改正案に対する意見募集の開始
既に報道などもされているが、先週6月12日に経済安全保障法制に関する有識者会議の第7回が開かれ、そこで示された資料、特許出願の非公開制度の運用開始に向けた検討状況について(pdf)、参考資料(pdf)の通り、6月15日から7月14日〆切で新秘密特許(非公開)制度に関する部分を含む経済安保法政令案がパブコメに掛かった。(電子政府のHP参照。)
この政令改正案(pdf)はその中にも書かれている様に、去年制定の経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律施行令を改正し、以下の様な第3章、第12条から第16条までを追加するものである。
第三章特許出願の非公開
(内閣総理大臣への送付の対象となる発明)
第十二条 法第六十六条第一項の国際特許分類(国際特許分類に関する千九百七十一年三月二十四日のストラスブール協定(以下この項において「協定」という。)第一条に規定する国際特許分類をいう。)又はこれに準じて細分化したものに従い政令で定める技術の分野は、次に掲げる技術の分野とする。
一 国際特許分類の項目を表示する協定第四条に規定する記号(以下この項及び次項において「国際特許分類記号」という。)B〇一D五九に該当する技術の分野のうち、ウラン又はプルトニウムに関するもの
二 国際特許分類記号B六三B三/一三に該当する技術の分野
三 国際特許分類記号B六三C七/二六に該当し、かつ、国際特許分類記号B六三Gに該当する技術の分野
四 国際特許分類記号B六三C七/二六に該当し、かつ、国際特許分類記号F四一に該当する技術の分野
五 国際特許分類記号B六三C一一/〇〇に該当し、かつ、国際特許分類記号G〇五Dに該当する技術の分野
六 国際特許分類記号B六三C一一/四八に該当し、かつ、国際特許分類記号B六三Gに該当する技術の分野
七 国際特許分類記号B六三C一一/四八に該当し、かつ、国際特許分類記号F四一に該当する技術の分野
八 国際特許分類記号B六三Gに該当し、かつ、国際特許分類記号G〇一S一/七二、G〇一S一/七四、G〇一S一/七六、G〇一S一/七八、G〇一S一/八〇又はG〇一S一/八二に該当する技術の分野
九 国際特許分類記号B六三Gに該当し、かつ、国際特許分類記号G〇一S三/八〇、G〇一S三/八〇一、G〇一S三/八〇二、G〇一S三/八〇三、G〇一S三/八〇五、G〇一S三/八〇七、G〇一S三/八〇八、G〇一S三/八〇九、G〇一S三/八二、G〇一S三/八四又はG〇一S三/八六に該当する技術の分野
十 国際特許分類記号B六三Gに該当し、かつ、国際特許分類記号G〇一S五/一八、G〇一S五/二〇、G〇一S五/二二、G〇一S五/二四、G〇一S五/二六、G〇一S五/二八又はG〇一S五/三〇に該当する技術の分野
十一 国際特許分類記号B六三Gに該当し、かつ、国際特許分類記号G〇一S七/五二、G〇一S七/五二一、G〇一S七/五二三、G〇一S七/五二四、G〇一S七/五二六、G〇一S七/五二七、G〇一S七/五二九、G〇一S七/五三、G〇一S七/五三一、G〇一S七/五三三、G〇一S七/五三四、G〇一S七/五三六、G〇一S七/五三七、G〇一S七/五三九、G〇一S七/五四、G〇一S七/五六、G〇一S七/五八、G〇一S七/六〇、G〇一S七/六二又はG〇一S七/六四に該当する技術の分野
十二 国際特許分類記号B六三Gに該当し、かつ、国際特許分類記号G〇一S一五に該当する技術の分野
十三 国際特許分類記号B六三G八/〇〇、B六三G八/〇四、B六三G八/〇六、B六三G八/〇八、B六三G八/一〇、B六三G八/一二、B六三G八/一四、B六三G八/一六、B六三G八/一八、B六三G八/二〇、B六三G八/二二、B六三G八/二四、B六三G八/二六、B六三G八/二八、B六三G八/三〇、B六三G八/三二、B六三G八/三三、B六三G八/三四、B六三G八/三八又はB六三G八/三九に該当する技術の分野
十四 国際特許分類記号B六四に該当し、かつ、国際特許分類記号F四一H三/〇〇に該当する技術の分野
十五 国際特許分類記号B六四C三九/〇二に該当し、かつ、国際特許分類記号F四一に該当する技術の分野
十六 国際特許分類記号B六四C三九/〇二に該当し、かつ、国際特許分類記号F四二に該当する技術の分野
十七 国際特許分類記号B六四G一/五八、B六四G一/六二、B六四G一/六四又はB六四G一/六八に該当する技術の分野
十八 国際特許分類記号B六四G三に該当する技術の分野
十九 国際特許分類記号B六四Uに該当し、かつ、国際特許分類記号F四一に該当する技術の分野
二十 国際特許分類記号B六四Uに該当し、かつ、国際特許分類記号F四二に該当する技術の分野
二十一 国際特許分類記号C〇一B五/〇二に該当する技術の分野
二十二 国際特許分類記号C〇六D七に該当する技術の分野
二十三 国際特許分類記号F〇二K七/一四に該当する技術の分野
二十四 国際特許分類記号F〇二K九/〇八、F〇二K九/一〇、F〇二K九/一二、F〇二K九/一四、F〇二K九/一六、F〇二K九/一八、F〇二K九/二〇、F〇二K九/二二、F〇二K九/二四、F〇二K九/二六、F〇二K九/二八、F〇二K九/三〇、F〇二K九/三二、F〇二K九/三四、F〇二K九/三六、F〇二K九/三八又はF〇二K九/四〇に該当する技術の分野
二十五 国際特許分類記号F四一に該当し、かつ、国際特許分類記号G〇一S一/七二、G〇一S一/七四、G〇一S一/七六、G〇一S一/七八、G〇一S一/八〇又はG〇一S一/八二に該当する技術の分野
二十六 国際特許分類記号F四一に該当し、かつ、国際特許分類記号G〇一S三/八〇、G〇一S三/八〇一、G〇一S三/八〇二、G〇一S三/八〇三、G〇一S三/八〇五、G〇一S三/八〇七、G〇一S三/八〇八、G〇一S三/八〇九、G〇一S三/八二、G〇一S三/八四又はG〇一S三/八六に該当する技術の分野
二十七 国際特許分類記号F四一に該当し、かつ、国際特許分類記号G〇一S五/一八、G〇一S五/二〇、G〇一S五/二二、G〇一S五/二四、G〇一S五/二六、G〇一S五/二八又はG〇一S五/三〇に該当する技術の分野
二十八 国際特許分類記号F四一に該当し、かつ、国際特許分類記号G〇一S七/五二、G〇一S七/五二一、G〇一S七/五二三、G〇一S七/五二四、G〇一S七/五二六、G〇一S七/五二七、G〇一S七/五二九、G〇一S七/五三、G〇一S七/五三一、G〇一S七/五三三、G〇一S七/五三四、G〇一S七/五三六、G〇一S七/五三七、G〇一S七/五三九、G〇一S七/五四、G〇一S七/五六、G〇一S七/五八、G〇一S七/六〇、G〇一S七/六二又はG〇一S七/六四に該当する技術の分野
二十九 国際特許分類記号F四一に該当し、かつ、国際特許分類記号G〇一S一五に該当する技術の分野
三十 国際特許分類記号F四一に該当し、かつ、国際特許分類記号G〇五Dに該当する技術の分野
三十一 国際特許分類記号F四一B六に該当する技術の分野
三十二 国際特許分類記号F四一G七に該当する技術の分野
三十三 国際特許分類記号F四一H一一/〇二に該当する技術の分野
三十四 国際特許分類記号F四一H一三に該当する技術の分野
三十五 国際特許分類記号F四二に該当し、かつ、国際特許分類記号G〇五Dに該当する技術の分野
三十六 国際特許分類記号F四二B五/一四五に該当する技術の分野
三十七 国際特許分類記号F四二B一〇に該当する技術の分野
三十八 国際特許分類記号F四二B一二/四六、F四二B一二/四八、F四二B一二/五〇、F四二B一二/五二又はF四二B一二/五四に該当する技術の分野
三十九 国際特許分類記号F四二B一五に該当する技術の分野
四十 国際特許分類記号G〇一J一/〇二、G〇一J一/〇四、G〇一J一/〇六又はG〇一J一/〇八に該当する技術の分野のうち、量子ドット又は超格子に関するもの
四十一 国際特許分類記号G〇六F二一/八六又はG〇六F二一/八七に該当する技術の分野
四十二 国際特許分類記号G二一C一九/三三、G二一C一九/三四、G二一C一九/三六、G二一C一九/三六五、G二一C一九/三七、G二一C一九/三七五、G二一C一九/三八、G二一C一九/四〇、G二一C一九/四二、G二一C一九/四四、G二一C一九/四六、G二一C一九/四八又はG二一C一九/五〇に該当する技術の分野
四十三 国際特許分類記号G二一J一に該当する技術の分野
四十四 国際特許分類記号G二一J三に該当する技術の分野
四十五 国際特許分類記号H〇一L二七/一四、H〇一L二七/一四二、H〇一L二七/一四四、H〇一L二七/一四六又はH〇一L二七/一四八に該当する技術の分野のうち、量子ドット又は超格子に関するもの
四十六 国際特許分類記号H〇一L三一/〇八、H〇一L三一/〇九、H〇一L三一/一〇、H〇一L三一/一〇一、H〇一L三一/一〇二、H〇一L三一/一〇三、H〇一L三一/一〇五、H〇一L三一/一〇七、H〇一L三一/一〇八、H〇一L三一/一〇九、H〇一L三一/一一、H〇一L三一/一一一、H〇一L三一/一一二、H〇一L三一/一一三、H〇一L三一/一一五、H〇一L三一/一一七、H〇一L三一/一一八又はH〇一L三一/一一九に該当する技術の分野のうち、量子ドット又は超格子に関するもの
四十七 国際特許分類記号H〇四K三に該当する技術の分野2 法第六十六条第一項の特定技術分野のうち保全指定をした場合に産業の発達に及ぼす影響が大きいと認められる技術の分野として政令で定めるものは、前項第二号、第三号、第五号、第六号、第八号から第十二号まで、第十三号(国際特許分類記号B六三G八/二八、B六三G八/三〇、B六三G八/三二及びB六三G八/三三に係る部分を除く。)、第十七号、第十八号、第二十三号、第二十四号、第四十号、第四十一号及び第四十五号から第四十七号までに掲げる技術の分野(同項第一号、第四号、第七号、第十三号(国際特許分類記号B六三G八/二八、B六三G八/三〇、B六三G八/三二及びB六三G八/三三に係る部分に限る。)、第十四号から第十六号まで、第十九号から第二十二号まで、第二十五号から第三十九号まで及び第四十二号から第四十四号までに掲げる技術の分野に該当する部分を除く。)とする。
3 法第六十六条第一項の政令で定める要件は、次の各号のいずれかに該当する発明であることとする。
一 我が国の防衛又は外国の軍事の用に供するための発明
二 国又は国立研究開発法人(独立行政法人通則法第二条第三項に規定する国立研究開発法人をいう。以下この号及び次号において同じ。)による特許出願(国及び国立研究開発法人以外の者と共同でしたものを除く。)に係る発明
三 国若しくは国立研究開発法人が委託した技術に関する研究及び開発又は国若しくは国立研究開発法人が請け負わせたソフトウェアの開発の成果に係る発明であって、その発明について特許を受ける権利につき産業技術力強化法(平成十二年法律第四十四号)第十七条第一項(国立研究開発法人が委託し又は請け負わせた場合にあっては、同条第二項において準用する同条第一項)の規定により国又は当該国立研究開発法人が譲り受けないこととしたもの
四 国が委託した技術に関する研究及び開発の成果に係る発明であって、その発明について特許を受ける権利につき科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(平成二十年法律第六十三号)第二十二条(第一号に係る部分に限る。)の規定により国がその一部のみを譲り受けたもの(内閣総理大臣への送付の期間)
第十三条 法第六十六条第一項の政令で定める期間は、三月とする。(外国出願の禁止の例外)
第十四条 法第七十八条第一項の政令で定めるものは、次に掲げる特許出願とする。
一 防衛目的のためにする特許権及び技術上の知識の交流を容易にするための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定第三条の規定により我が国で保全指定(法第七十条第二項に規定する保全指定をいう。)をされた発明を記載した特許出願をアメリカ合衆国においてした場合に類似の取扱いを受けるものとされている場合におけるアメリカ合衆国でされる当該特許出願
二 民生用国際宇宙基地のための協力に関するカナダ政府、欧州宇宙機関の加盟国政府、日本国政府、ロシア連邦政府及びアメリカ合衆国政府の間の協定第二十一条3の規定により我が国以外の締約国における特許出願を妨げるために発明の秘密に関する我が国の法律を適用してはならないこととされている場合における当該締約国でされる当該特許出願
三 平和的目的のための月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の枠組協定第九条Gの規定によりアメリカ合衆国における特許出願を妨げるために発明の秘密に関する我が国の法律を適用してはならないこととされている場合におけるアメリカ合衆国でされる当該特許出願(外国出願の禁止の期間)
第十五条 法第七十八条第一項の政令で定める期間は、十月とする。(外国出願の禁止に関する事前確認の手数料)
第十六条 法第七十九条第五項の政令で定める額は、二万五千円とする。
この政令案の第13条の保全審査のための送付期間の3月、第15条の外国出願禁止期間の10月、第16条の外国出願の禁止に関する事前確認のための2万5千円はそれぞれ経済安保法で定められている上限一杯の期間又は額で特に何か目新しいものではなく、第14条も外国出願の例外として日米防衛特許協定など非常に特殊な条約に基づく場合がある事を規定しているだけなので、この政令案の最大のポイントは秘密指定を行う保全審査の対象となる技術分野を指定している第12条という事になるだろう。(経済安保法の条文については第453回参照、日米防衛特許協定については第450回参照。)
この政令改正案の第12条第1項の各号は非常に読みづらいので、有識者会議の上の参考資料(pdf)の説明と対応させ、第2項で保全指定された場合に産業の発達に及ぼす影響が大きいとされる号に△、それ以外の号に●をつけ、一覧表にすると、以下の様になる。(下の表では、別の番号である事を示すため、参考資料の方の番号をローマ数字にした。)
●第1号:B01D59でウラン又はプルトニウムに関するもの((xx)ウラン・プルトニウムの同位体分離技術)
△第2号:B63B3/13((xii)潜水船に関する技術)
△第3号:B63C7/26かつB63G((xiv)音波を用いた位置測定等の技術であって潜水船等に関するもの)
●第4号:B63C7/26かつF41((ix)音波を用いた位置測定等の技術であって武器に関するもの)
△第5号:B63C11/00かつG05D((xiii)無人水中航走体等に関する技術)
△第6号:B63C11/48かつB63G((xiv)音波を用いた位置測定等の技術であって潜水船等に関するもの)
●第7号:B63C11/48かつF41((ix)音波を用いた位置測定等の技術であって武器に関するもの)
△第8号:B63GかつG01S1/72からG01S1/82まで((xiv)音波を用いた位置測定等の技術であって潜水船等に関するもの)
△第9号:B63GかつG01S3/80からG01S3/86まで((xiv)音波を用いた位置測定等の技術であって潜水船等に関するもの)
△第10号:B63GかつG01S5/18からG01S5/30まで((xiv)音波を用いた位置測定等の技術であって潜水船等に関するもの)
△第11号:B63GかつG01S7/52からG01S7/64まで((xiv)音波を用いた位置測定等の技術であって潜水船等に関するもの)
△第12号:B63GかつG01S15((ix)音波を用いた位置測定等の技術であって武器に関するもの)
△第13号:B63G8/00からB63G8/39((xii)潜水船に関する技術、(viii)潜水船に配置される攻撃・防護装置に関する技術、(viii)に対応するB63G8/28からB63G8/33は第2項の対象外)
●第14号:B64かつF41H3/00((i)航空機等の偽装・隠ぺい技術)
●第15号:B64C39/02かつF41((ii)武器等に関係する無人航空機・自律制御等の技術)
●第16号:B64C39/02かつF42((ii)武器等に関係する無人航空機・自律制御等の技術)
△第17号:B64G1/58、B64G1/62、B64G1/64又はB64G1/68((xv)宇宙航行体の熱保護、再突入、結合・分離、隕石検知に関する技術)
△第18号:B64G3((xvi)宇宙航行体の観測・追跡技術)
●第19号:B64UかつF41((ii)武器等に関係する無人航空機・自律制御等の技術)
●第20号:B64UかつF42((ii)武器等に関係する無人航空機・自律制御等の技術)
●第21号:C01B5/02((xxii)重水に関する技術)
●第22号:C06D7((xxiv)ガス弾用組成物に関する技術)
△第23号:F02K7/14((x)スクラムジェットエンジン等に関する技術)
△第24号:F02K9/08からF02K9/40まで((xi)固体燃料ロケットエンジンに関する技術)
●第25号:F41かつG01S1/72からG01S1/82まで((ix)音波を用いた位置測定等の技術であって武器に関するもの)
●第26号:F41かつG01S3/80からG01S3/86まで((ix)音波を用いた位置測定等の技術であって武器に関するもの)
●第27号:F41かつG01S5/18からG01S5/30まで((ix)音波を用いた位置測定等の技術であって武器に関するもの)
●第28号:F41かつG01S7/52からG01S7/64まで((ix)音波を用いた位置測定等の技術であって武器に関するもの)
●第29号:F41かつG01S15((ix)音波を用いた位置測定等の技術であって武器に関するもの)
●第30号:F41かつG05D((ii)武器等に関係する無人航空機・自律制御等の技術)
●第31号:F41B6((v)電磁気式ランチャを用いた武器に関する技術)
●第32号:F41G7((iii)誘導武器等に関する技術)
●第33号:F41H11/02((vii)航空機・誘導ミサイルに対する防御技術)
●第34号:F41H13((vi)例えばレーザ兵器、電磁パルス(EMP)弾のような新たな攻撃又は防御技術)
●第35号:F42かつG05D((ii)武器等に関係する無人航空機・自律制御等の技術)
●第36号:F42B5/145((xxv)ガス、粉末等を散布する弾薬等に関する技術)
●第37号:F42B10((iv)発射体・飛翔体の弾道に関する技術)
●第38号:F42B12/46からF42B12/54まで((xxv)ガス、粉末等を散布する弾薬等に関する技術)
●第39号:F42B15((iii)誘導武器等に関する技術)
△第40号:G01J1/02からG01J1/08までで量子ドット又は超格子に関するもの((xvii)量子ドット・超格子構造を有する半導体受光装置等に関する技術)
△第41号:G06F21/86又はG06F21/87((xviii)耐タンパ性ハウジングにより計算機の部品等を保護する技術)
●第42号:G21C19/33からG21C19/50まで((xxi)使用済み核燃料の分解・再処理等に関する技術)
●第43号:G21J1((xxiii)核爆発装置に関する技術)
●第44号:G21J3((xxiii)核爆発装置に関する技術)
△第45号:H01L27/14からH01L27/148までで量子ドット又は超格子に関するもの((xvii)量子ドット・超格子構造を有する半導体受光装置等に関する技術)
△第46号:H01L31/08からH01L31/119までで量子ドット又は超格子に関するもの((xvii)量子ドット・超格子構造を有する半導体受光装置等に関する技術)
△第47号:H04K3((xix)通信妨害等に関する技術)
さらに、有識者会議の資料でも書かれている通り、F41とF42が武器や弾薬に関する分類という様に、上の表を大まかな技術分野に沿って整理し直すと、以下の様になるだろう。(●と△は上と同じ意味である。)
(1)●核・原子力関連:第1号、第21号、第42号~第44号
(2)●武器弾薬関連:第4号、第7号、第14号~第16号、第19号~第20号、第22号、第25号~第39号
(3)△潜水艦関連:第2号~第3号、第5号~第6号、第8号~第13号
(4)△航空宇宙関連:第17号~第18号、第23号~第24号
(5)△量子ドット・超格子構造を有する半導体受光装置関連ー:第40号、第45号~第46号
(6)△計算機保護・通信妨害関連:第41号、第47号
この内、(1)核・原子力関連と(2)武器弾薬関連は全て秘密指定するかどうかの保全審査に送られる事になるが、(3)潜水艦関連、(4)航空宇宙関連、(5)量子ドット・超格子構造を有する半導体受光装置関連、(6)計算機保護・通信妨害関連は、デュアルユース技術分野として、政令案第12条第3項各号に書かれている、防衛・軍事技術開発、国の研究開発又は国の委託研究開発という条件にもあてはまる場合に保全審査に送られる事になる。
私自身はこの新秘密特許(非公開)制度のそもそもの存在意義からしてなお疑問に思っているが、この政令案の技術分野は当初思っていたものよりかなり絞り込まれていると見えるので、ここで細かな技術分野についてどうこう言うつもりはあまりない。ただ、デュアルユース技術分野は、なぜか(3)潜水艦関連に多く集中し、(5)量子ドット・超格子構造を有する半導体受光装置関連と(6)計算機保護・通信妨害関連に非常に唐突感がある。政府内でどの様な検討が行われてこれらの技術分野が選ばれたのかは不明だが、今の防衛省の研究開発方針に合わせたのだろうか。
次は、上の有識者会議の資料で、審査手続、意思確認時の提出書類、適正管理措置等に関する府省令案が夏頃から秋頃に掛けてパブコメが行われる予定とされている。この府省令案も新秘密特許制度の運用を定める重要なものであり、パブコメに掛かり次第その内容を見たいと思っている。
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