« 2023年3月 | トップページ | 2023年5月 »

2023年4月30日 (日)

第477回:生成AI(人工知能)と日本の著作権法

 既にいろいろと書かれている中でどうしようかと思ったが、昨今の議論の盛り上がりから考えて、ネット上にもう1つ記事があっても良いかと思うので、生成AIと日本の著作権法の関係について私なりのまとめを書いておく。

 そもそもの話をすれば、AI、人工知能という言い方や定義自体についても問題があると思っているが、ここではその事はひとまずおいておき、生成AIとは、大量の計算リソースを使う機械学習を用いたものであって、利用者側の簡単な指示の入力によって対応する文章や画像などの出力が可能なサービスの事を指すものと考えて以下整理して行く。(これは最近特に話題になっているChatGPT(Wiki参照)やStable Diffusion(Wiki参照)などの生成AIサービスの事と思ってもらって差し支えない。)

 生成AIと著作権法の関係の問題は多岐に渡るが、大きく分ければ、(1)機械学習における著作物の利用とAIサービスの提供というサービス提供側の話と、(2)利用者による入力結果のAI生成物の利用という利用者側の話の2つに分けられるので、それぞれについて、日本の現行の著作権法上どう考えられるかを見て行く。

(1)機械学習における著作物の利用とAIサービスの提供
 おそらく各個別の権利制限の利用に特化したサービスがあれば、それぞれの権利制限の適用も考えなければならないと思うが、今ここで対象とする文章や画像などを出力する生成AIサービスについて、一般的に適用可能と考えられるのが以下の著作権法第30条の4である。

(著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用)
第三十条の四 著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
 著作物の録音、録画その他の利用に係る技術の開発又は実用化のための試験の用に供する場合
 情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の解析を行うことをいう。第四十七条の五第一項第二号において同じ。)の用に供する場合
 前二号に掲げる場合のほか、著作物の表現についての人の知覚による認識を伴うことなく当該著作物を電子計算機による情報処理の過程における利用その他の利用(プログラムの著作物にあつては、当該著作物の電子計算機における実行を除く。)に供する場合

 これは、いわゆる日本版フェアユース議論の結果として2018年の法改正によって導入されたものであり、私自身は完全なフェアユース条項として評価していないが、各号は例示であって閉じた選択形式になっておらず、「著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合」に対して一般的に適用可能であり、元の著作物そのものの享受を目的としない限り著作物の利用が可能であり、利用する著作物の量や適法性の確認、サービスの営利非営利などが条件になっているという事もない。(当時の議論の結果としての法改正条文について、第389回参照。)

 この第30条の4の権利制限の適用を直接的に争った判例はないので、具体的な解釈が司法判断により示されているという事はないが、法改正議論の際の2017年の文化審議会著作権分科会報告書(pdf)で、既に、人工知能の様な新技術のイノベーション促進の必要性について言及され、権利制限が必要な類型として大量の原文と翻訳文の蓄積をしなければならない機械翻訳サービスの提供などが考えられていた事は重要であり(この報告書の中間まとめの時点での内容について、第375回参照)、文化庁の法解説ページ2018年法改正解説(pdf)でも、

・さらに,今日,デジタル化・ネットワーク化の更なる進展により,著作物の利用等を巡る環境は更なる変化に直面している。具体的には,IoT・ビッグデータ・人工知能などの技術革新とともに,情報の集積・加工・発信の容易化・低コスト化が進んだことを受け,大量の情報を集積し,組み合わせ,解析することで付加価値を生み出す新しいイノベーションの創出が期待されており,政府の知的財産戦略本部における議論においても,これを促進するとともに,社会を豊かにする新しい文化の発展に結び付けていくための次世代の知財システムの構築の必要性が述べられている。(第2ページ)

・本条第2号は,情報解析を行うことを目的とする場合を例示として掲げている。同号は現行法第47条の7を元とするものであるが,今般の改正に伴い,一部要件の見直しを行っている。具体的には,現行法第47条の7では権利制限が認められる場面を「電子計算機による情報解析」に限定しているが,本条の正当化根拠からすれば,人の手で行われる情報解析であっても,著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としないものであれば,権利制限の対象とされるべきであるため,「電子計算機による」との限定は削除している。次に,現行法第47条の7は,情報解析の定義に「統計的な」という要件を課していたところ,時代の変化に応じて様々な解析が想定し得る状況となっていることを踏まえ,そのような解析も本条の権利制限の趣旨が妥当するものであることから,情報解析の定義のうち「統計的な」との限定を削除している。これにより,例えば,深層学習(ディープラーニング)の方法による人工知能の開発のための学習用データとして著作物をデータベースに記録するような場合も対象となるものと考えられる。さらに,現行法第47条の7では「記録媒体への記録又は翻案」を権利制限の対象としていたが,後述のとおり,情報解析目的での「利用」を幅広く認めることとしている(権利制限の対象となる利用行為については後述する)。(第24ページ)

・本条の権利制限の対象となる利用行為については,いずれの方法によるかを問わず,利用を行えるものとしており,複製に限らず,公衆送信,譲渡,上映,翻訳・翻案等の二次的著作物の創作,これにより創作された二次的著作物の利用など,支分権の対象となる行為は全て権利制限の対象となるものとしている。これにより,例えば人工知能の開発を例にとると,自ら人工知能の開発を行うために著作物を学習用データとして収集して利用する場合のみならず,自ら収集した学習用データを第三者に提供(譲渡や公衆送信等)する行為についても,当該学習用データの利用が人工知能の開発という目的に限定されていれば,本条に該当するものと考えられる。もっとも,その利用は,必要と認められる限度において行うものでなければならない。(第25ページ)

と書かれ、同じく文化庁のデジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定に関する基本的な考え方(pdf)でも、

問3 「柔軟な権利制限規定」の整備によって,どのような効果が生じるか。

 今般整備する「柔軟な権利制限規定」は,IoT・ビッグデータ・人工知能(AI)等の技術を活用したイノベーションに関わる著作物の利用に係るニーズのうち,著作物の市場に大きな影響を与えないものについて,相当程度柔軟性を確保する形で,著作物の利用の円滑化を図るものとなっている。

 具体的には,人工知能(AI)開発のための深層学習,サイバーセキュリティ確保のためのソフトウェアの調査解析,所在検索サービス,情報解析サービス等,通常権利者に不利益を及ぼさないもの,又は権利者に及ぼし得る不利益が軽微なものに留まる形で著作物の利用行為が行われる様々なサービス等の実施について,権利者の許諾なく行うことが可能となり,イノベーションの創出等が促進されることが期待される。

問11 人工知能の開発に関し,人工知能が学習するためのデータの収集行為,人工知能の開発を行う第三者への学習用データの提供行為は,それぞれ権利制限の対象となるか。

 著作権法の目的は,通常の著作物の利用市場である,人間が著作物の表現を「享受」することに対する対価回収の機会を確保することにあると考えられることから,法第30条の4における「享受」は人が主体となることを念頭に置いて規定しており,人工知能が学習するために著作物を読む等することは,法第30条の4の「著作物に表現された思想又は感情を享受」することには当たらないことを前提としている。

 したがって,人工知能の開発のための学習用データとして著作物をデータベースに記録する行為は,「著作物に表現された思想又は感情を享受」することを目的としない行為に当たり,法第30条の4による権利制限の対象となるものと考えられる。

 また,収集した学習用データを第三者に提供する行為についても,当該学習用データの利用が人工知能の開発という目的に限定されている限りは,「著作物に表現された思想又は感情を享受」することを目的としない著作物の利用に該当し,法第30条の4による権利制限の対象となるものと考えられる。

 通常は,人工知能が学習用データを学習する行為は,「情報解析」すなわち「…大量の情報から,当該情報を構成する…要素に係る情報を抽出し,…解析を行うこと」に当たると考えられることから,いずれの行為も第2号に当たるものと考えられる。

 なお,旧第47条の7においては「情報解析」を「多数の著作物その他の大量の情報から,当該情報を構成する言語,音,影像その他の要素に係る情報を抽出し,比較,分類その他の統計的な解析を行うこと」と定義されていたところ,時代の変化に応じて様々な解析が想定し得る状況となっていることを踏まえ,情報解析の定義のうち「統計的な」との限定を削除している。これにより,例えば,深層学習(ディープラーニング)の方法による人工知能の開発のための学習用データとして著作物をデータベースに記録するような場合も権利制限の対象となるものと考えられる。

とほぼ同様の事が書かれている。

 文化庁の説明は機械学習の後のAIサービスの提供について微妙にぼかして書いている点で嫌らしいが、人工知能を含む情報技術のイノベーション促進という導入趣旨から考えても、最終的にサービスの提供ができなければ意味がないので、この権利制限は、機械学習に利用された著作物の表現の享受を目的としない限りにおいて、生成AIサービスの提供にも適用されるものと考えられる。

 ただし、この場合にポイントとなるのが、条文の通り、「当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的」とするかどうかであって、AIサービスが、特定の著作者や著作物の表現のみを学習させて利用者がその表現と同一又は類似した生成物を享受するためにのみ作られている場合や、特定の著作者や著作物の表現と同一又は類似した生成物の出力が可能であってその様な出力に専ら利用されている様な場合は、この権利制限の対象とならないだろう。(利用者側の問題については(2)で述べるが、機械的な出力であったからと言って他人の著作権の侵害にならないなどという事はなく、これは、AIサービスが専ら著作権侵害となる生成物の出力を目的とする場合には権利制限の対象とならないだろうという事である。なお、条文には、「ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。」というただし書きもあるが、これはベルヌ条約のスリーステップテストを確認的に書いたものであって、実質的には上の目的条件に包摂されていると私は考える。)

 ここで間接侵害との関係について詳細に述べる事は省略するが、さらに、汎用の生成AIサービスの提供者が、そのサービスで特定の著作者や著作物の表現と同一又は類似した生成物の出力が可能である事を知り、かつ、それを止める事ができるにも関わらず止めなかった場合は、サービス提供者は著作権の間接侵害責任も問われ得るだろう。

 サービス規約(契約)によって利用者に何らかの制約を課す事はできるだろうが、それ以上にAIサービス提供者に何か著作権が発生しているという事もない。

 つまり、法改正経緯等から考えて、機械学習に利用された元の著作物の表現と異なる生成物の出力を行う事を目的とする通常の生成AIサービスや学習データの提供については権利制限の対象となると考えられるが、特定の著作者や著作物の表現と同一又は類似した生成物の出力に専ら利用されている様な場合は別であって、実際に個別の著作権侵害との関係で争いになれば、機械学習の内容、利用の実態、規約の実効性、権利侵害に対して技術的に取り得る手段などを論点として、サービス提供がこの権利制限の対象となるかについて判断される事になるだろう。

 合わせ書いておくと、生成AIと言った時に通常考えられるサービスとは少し異なるものになると思うが、著作物の一部を示す検索サービス類似のAIサービスについては、以下の第47条の5の適用も考えられる。(第389回で書いた様に、これは元々2009年の著作権法改正で導入された情報検索目的の権利制限が2018年改正で今の形に整理されたものである。)

(電子計算機による情報処理及びその結果の提供に付随する軽微利用等)
第四十七条の五 電子計算機を用いた情報処理により新たな知見又は情報を創出することによつて著作物の利用の促進に資する次の各号に掲げる行為を行う者(当該行為の一部を行う者を含み、当該行為を政令で定める基準に従つて行う者に限る。)は、公衆への提供等(公衆への提供又は提示をいい、送信可能化を含む。以下同じ。)が行われた著作物(以下この条及び次条第二項第二号において「公衆提供等著作物」という。)(公表された著作物又は送信可能化された著作物に限る。)について、当該各号に掲げる行為の目的上必要と認められる限度において、当該行為に付随して、いずれの方法によるかを問わず、利用(当該公衆提供等著作物のうちその利用に供される部分の占める割合、その利用に供される部分の量、その利用に供される際の表示の精度その他の要素に照らし軽微なものに限る。以下この条において「軽微利用」という。)を行うことができる。ただし、当該公衆提供等著作物に係る公衆への提供等が著作権を侵害するものであること(国外で行われた公衆への提供等にあつては、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものであること)を知りながら当該軽微利用を行う場合その他当該公衆提供等著作物の種類及び用途並びに当該軽微利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
 電子計算機を用いて、検索により求める情報(以下この号において「検索情報」という。)が記録された著作物の題号又は著作者名、送信可能化された検索情報に係る送信元識別符号(自動公衆送信の送信元を識別するための文字、番号、記号その他の符号をいう。第百十三条第二項及び第四項において同じ。)その他の検索情報の特定又は所在に関する情報を検索し、及びその結果を提供すること。
 電子計算機による情報解析を行い、及びその結果を提供すること。
 前二号に掲げるもののほか、電子計算機による情報処理により、新たな知見又は情報を創出し、及びその結果を提供する行為であつて、国民生活の利便性の向上に寄与するものとして政令で定めるもの

 前項各号に掲げる行為の準備を行う者(当該行為の準備のための情報の収集、整理及び提供を政令で定める基準に従つて行う者に限る。)は、公衆提供等著作物について、同項の規定による軽微利用の準備のために必要と認められる限度において、複製若しくは公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。以下この項及び次条第二項第二号において同じ。)を行い、又はその複製物による頒布を行うことができる。ただし、当該公衆提供等著作物の種類及び用途並びに当該複製又は頒布の部数及び当該複製、公衆送信又は頒布の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

(2)利用者による入力結果のAI生成物の利用
 利用者側の話については、前回紹介したアメリカ著作権局のペーパーで書かれている事が日本でもあてはまるだろう。

 日本の著作権法では以下の第2条第1項第1号と第2号で著作物と著作者がそれぞれ定義されている。

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
 著作者 著作物を創作する者をいう。

 日本国内で、人間以外の者が著作者となり得るか、人間以外の者が作成した物が著作物となり得るかが争われた事件はないと思うが、著作権法という創作保護法の基本原理から考えて、ここで言われている所の著作物を創作する者は原則として人間のみであるとする解釈について敢えて異論が唱えられる事はないに違いない。(法人著作などがあり得る事を法律的に定めているのはこの原則に対する例外であって、人間以外の者が創作者・著作者となり得る事を一般的に認めているのではない。)

 そして、創作的表現である著作物の創作に関与した者に著作権があるかどうかは、その者が最終的な表現にどこまで創作的に寄与したかで決まるので、今話題になっている、簡単な指示の入力によって文章や画像を出力する生成AIサービスにおいて、その利用者に、出力された生成物の最終的な表現に対する創作的な寄与があり、その結果として著作権があるとは考え難い。その様な利用者は一次創作者たり得ず、無論二次創作者でもあり得ない。(機械的出力が問題になった事件ではないが、創作者に関する判断を示したものとして最も有名だろう、1993年3月30日の智惠子抄事件最高裁判決(pdf)で、出版者の編集著作に対する関与が「企画案ないし構想の域にとどまるにすぎない」場合に編集著作権がその者に帰属する事はないと示されている様に、生成AIサービスに対する簡単な指示の入力はアイデア、企画、構想の指示に類するものに過ぎず、最終的な表現に対する創作的な寄与たり得ないものだろう。また、前回取り上げたアメリカ著作権局のペーパーにも書かれていた通り、元の入力文自体に著作権があり得る事も、最終的な表現に対する創作的な寄与の判断を左右するものではないだろう。)

 すなわち、生成AIサービスの利用者にも生成物に関する著作権は通常ないと考えられるのだが、この事は、サービス提供者の著作権も利用者の著作権もないと考えられる生成物が他人の著作権の侵害を構成しない事を意味しない。

 既存の著作物に依拠して類似した表現物を作成して他の者に提供した場合に著作権侵害となり得るのは当たり前の事であって、この事はどの様なツールを使うかに依存しないし、生成AIサービスを利用した場合であっても同じと考えられるべきである。(生成AIサービスに限らず、著作物に対しては様々な機械的処理による変更が考えられるが、元の著作物とは似つかない物を作る場合ならともかく、何かしらの機械的処理を加えるだけで元の著作物と類似する表現物について著作権侵害が回避できるなどという事はあり得ないだろう。著作権侵害における依拠と類似の判断に関して、やはり最も有名だろう参考判例として、2001年6月28日の江差追分事件最高裁判決(pdf)をあげておくが、これは、「既存の著作物に依拠して創作された著作物が,思想,感情若しくはアイデア,事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において,既存の著作物と同一性を有するにすぎない」場合に該当するので著作権侵害とならないとされた事件だが、判旨の1つとして、著作権侵害となる「言語の著作物の翻案(著作権法27条)とは,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう」と述べている。)

 機械学習に使った元の著作物に対し、そのままの又は類似した生成物の出力についてまで権利処理をしたサービスであれば別だが、世の中で提供されている通常の生成AIサービスでは、その利用規約で、利用者による生成物の利用に対する免責条項を入れている事がほとんどだろう。自己目的利用であれば私的複製の権利制限の範囲で気にする事はないし、普通に著作権侵害となる生成物を出力しない様に利用している限り問題ない筈だが、利用者は、生成物の他の者への提供を含む利用について、利用者が責任を負うだろう事について、また、既存の著作物との関係で著作権侵害とならないかについて十分注意する必要がある。(これは、ある者が著作権を侵害して提供した物を別の者がさらに転載した場合にこの別の者も著作権の侵害者となる事と同様であり、AI生成物を転載する場合も同様だろう。)

 上で書いた事をまとめておくと、現行の著作権法第30条の4の非享受目的利用の範囲内で、著作権侵害とならない生成物を出力する事を通常の目的とする限りにおいて、生成AIサービスの提供者による既存の著作物の利用も、利用者のサービス利用も問題なく行えると考えて良いだろうが、サービス提供者にも利用者にも著作権はなく、それぞれ、サービスが専ら著作権侵害となる生成物の出力に利用されていないか、生成物の利用が他人の著作権を侵害しないかについて十分注意する必要があるという事になるだろう。

 私は、著作権法が技術の発展の阻害となってはならないと考えているが、その目的を超えて余計な社会的混乱を招くだけの権利や補償金などを新たに付与するべきではないとも思っており、著作権侵害とならない生成物を作ろうとする限りにおいて、AIサービスの提供と利用の著作権リスクを相当程度低減している、この今の日本の著作権法のバランスは決して悪くないと思っている。

 第475回に載せた知財計画パブコメの(2)a)で、

 機械学習の発展により、かなりの精度で文章や絵などを自動的に計算して生成するいわゆる生成AI・人工知能が話題となっている事から、政府・与党でもこの様な生成AIと著作権の関係について今後検討を行う事が予想される。

 その様な検討自体に反対はしないが、検討する場合は、この様な新技術の発展が速い事や国際動向等にも照らし、かえって社会的混乱を招き、技術の発展を阻害する恐れの強い、法改正によって新たな規制を行う事や新しい権利を付与する事には極めて慎重であるべきである。

 知財計画2023において生成AI・人工知能の様な新技術と著作権の関係に関する検討について記載する場合には、技術の発展や国際動向等にも留意し、法改正によって新たな規制を行う事や新しい権利を付与する事には慎重である事を基本的な方針として合わせ明記するべきである。

 なお、今国会に提出されている、デジタル空間に形態模倣規制を導入する不正競争防止法改正案には賛同するが、メタバースとの関連でも、これ以上の法改正には慎重であるべきである。

と書いたのも、そう思っての事である。

 ついでに書いておくと、生成AIサービスを提供しているのは主にアメリカの企業なので、この問題は、日本の著作権法がどうあれ、世界的には、アメリカで幾つか既に起こされている生成AIサービスに対する著作権訴訟の行方に否応なく引き擦られる事になるだろうとも思っているが、同じ様に、著作権侵害となる生成物の出力を目的としない通常のAIサービスはフェアユースの範囲内と整理される事を期待している。

 最後に、これもついでだが、twitterで少し書いた通り、生成AIに関する検討の本質的対象は、知財に関する論点以上に、偽情報作成、情報漏洩リスク、教育研究倫理との関係ではないかとも私は思っている。

(2023年5月2日の追記:誤記を直すとともに、少しだけ言葉を追加した方が良いと思えた点を1箇所直した(「利用する著作物の量やサービスの営利非営利が」→「利用する著作物の量や適法性の確認、サービスの営利非営利などが」)。

(2023年6月11日の追記:twitterの方で少し触れた通り、5月15日に開かれたAI戦略チームの第3回で、AIと著作権の関係について(pdf)としてほぼ上で書いた事と同様の資料が政府から公開されているので、ここにリンクを張っておく。)

(2023年6月25日の追記:基本的に言われている事は同じだが、さらに詳細なものとして、文化庁のHPで6月19日の著作権セミナーの資料(pdf)とYouTubeのアーカイブ動画へのリンクが公開されたので、ここにリンクを張っておく。)

| | コメント (0)

2023年4月 9日 (日)

第476回:アメリカ著作権局のAI生成物の著作権登録を不可とする方針ペーパー

 この3月16日にアメリカ著作権局がAI生成物の著作権登録を不可とする方針を示す文書を公表した。

 この方針ペーパー(pdf)は、世界の主要な著作権当局が示したAI生成物の著作権法上の取り扱いを示した最初の文書であり、アメリカの主要な判例も含め良くまとまった非常に興味深いものと思うので、ここでその内容について取り上げたい。

 まず、かなり長くなるが、このペーパーから、AI生成物が著作権保護の対象となるかという事に関する実質的な判断に関する事を示した部分を以下に訳出する。(いつも通り、翻訳は拙訳。)

I. Background

...

One such recent development is the use of sophisticated artificial intelligence ("AI") technologies capable of producing expressive material. (note 5: The term "expressive material" is used here to refer to AI output that, if it had been created by a human, would fall within the subject matter of copyright as defined in section 102 of the Act. See id. at 102(a).) These technologies "train" on vast quantities of preexisting human authored works and use inferences from that training to generate new content. Some systems operate in response to a user's textual instruction, called a "prompt." (note 6: See Prompts, Midjourney, https://docs.midjourney.com/docs/prompts (noting for users of the artificial intelligence service Midjourney a prompt is "a short text phrase that the Midjourney [service] uses to produce an image"). To be clear, this policy statement is not limited to AI technologies that accept text "prompts" or to technologies permitting prompts of a particular length or complexity.) The resulting output may be textual, visual, or audio, and is determined by the AI based on its design and the material it has been trained on. These technologies, often described as "generative AI," raise questions about whether the material they produce is protected by copyright, whether works consisting of both human-authored and AI-generated material may be registered, and what information should be provided to the Office by applicants seeking to register them.

These are no longer hypothetical questions, as the Office is already receiving and examining applications for registration that claim copyright in AI-generated material. For example, in 2018 the Office received an application for a visual work that the applicant described as "autonomously created by a computer algorithm running on a machine." (note 7: U.S. Copyright Office Review Board, Decision Affirming Refusal of Registration of a Recent Entrance to Paradise at 2 (Feb. 14, 2022), https://www.copyright.gov/rulings-filings/review-board/docs/a-recent-entrance-to-paradise.pdf.) The application was denied because, based on the applicant's representations in the application, the examiner found that the work contained no human authorship. After a series of administrative appeals, the Office's Review Board issued a final determination affirming that the work could not be registered because it was made "without any creative contribution from a human actor." (note 8: Id. at 2-3. The Office's decision is currently being challenged in Thaler v. Perlmutter, Case No. 1:22-cv-01564 (D.D.C.).)

More recently, the Office reviewed a registration for a work containing human-authored elements combined with AI-generated images. In February 2023, the Office concluded that a graphic novel (note 9: On the application, the applicant described the work as a "comic book." See U.S. Copyright Office, Cancellation Decision re: Zarya of the Dawn (VAu001480196) at 2 (Feb. 21, 2023), https://www.copyright.gov/docs/zarya-of-the-dawn.pdf.) comprised of human authored text combined with images generated by the AI service Midjourney constituted a copyrightable work, but that the individual images themselves could not be protected by copyright. (note 10: Id.)

The Office has received other applications that have named AI technology as the author or co-author of the work or have included statements in the "Author Created" or "Note to Copyright Office" sections of the application indicating that the work was produced by or with the assistance of AI. Other applicants have not disclosed the inclusion of AI-generated material but have mentioned the names of AI technologies in the title of the work or the "acknowledgments" section of the deposit.

Based on these developments, the Office concludes that public guidance is needed on the registration of works containing AI-generated content. This statement of policy describes how the Office applies copyright law's human authorship requirement to applications to register such works and provides guidance to applicants.

The Office recognizes that AI-generated works implicate other copyright issues not addressed in this statement. It has launched an agency-wide initiative to delve into a wide range of these issues. Among other things, the Office intends to publish a notice of inquiry later this year seeking public input on additional legal and policy topics, including how the law should apply to the use of copyrighted works in AI training and the resulting treatment of outputs.

II. The Human Authorship Requirement

In the Office's view, it is well established that copyright can protect only material that is the product of human creativity. Most fundamentally, the term "author," which is used in both the Constitution and the Copyright Act, excludes non-humans. The Office's registration policies and regulations reflect statutory and judicial guidance on this issue.

In its leading case on authorship, the Supreme Court used language excluding non-humans in interpreting Congress's constitutional power to provide "authors" the exclusive right to their "writings." (note 11: U.S. Const. art. I, sec. 8, cl. 8 (Congress has the power "[t]o promote the Progress of Science and useful Arts, by securing for limited Times to Authors and Inventors the exclusive Right to their respective Writings and Discoveries.").) In Burrow-Giles Lithographic Co. v. Sarony, a defendant accused of making unauthorized copies of a photograph argued that the expansion of copyright protection to photographs by Congress was unconstitutional because "a photograph is not a writing nor the production of an author" but is instead created by a camera. (note 12: 111 U.S. 53, 56 (1884) (explaining that the defendant had argued that photographs were merely "reproduction on paper of the exact features of some natural object or of some person").) The Court disagreed, holding that there was "no doubt" the Constitution's Copyright Clause permitted photographs to be subject to copyright, "so far as they are representatives of original intellectual conceptions of the author." (note 13: Id. at 58.) The Court defined an "author" as "he to whom anything owes its origin; originator; maker; one who completes a work of science or literature." (note 14: Id. at 57-58.) It repeatedly referred to such "authors" as human, describing authors as a class of "persons" (note 15: Id. at 56 (describing beneficiaries of the Constitution's Copyright Clause as "authors," who are one of "two classes" of "persons").) and a copyright as "the exclusive right of a man to the production of his own genius or intellect." (note 16: Id. at 58; see also id. at 60-61 (agreeing with an English decision describing an "author" as the "person" who was "the cause of the picture which is produced" and "the man" who creates or gives effect to the idea in the work).)

Federal appellate courts have reached a similar conclusion when interpreting the text of the Copyright Act, which provides copyright protection only for "works of authorship." (note 17: 17 U.S.C. 102(a).) The Ninth Circuit has held that a book containing words "authored by non-human spiritual beings" can only qualify for copyright protection if there is "human selection and arrangement of the revelations." (note 18: Urantia Found. v. Kristen Maaherra, 114 F.3d 955, 957-59 (9th Cir. 1997) (internal punctuation omitted) (holding that "some element of human creativity must have occurred in order for the Book to be copyrightable" because "it is not creations of divine beings that the copyright laws were intended to protect"). While the compilation of the book was entitled to copyright, the alleged "divine messages" were not. Id.) In another case, it held that a monkey cannot register a copyright in photos it captures with a camera because the Copyright Act refers to an author's "children," "widow," "grandchildren," and "widower," - terms that "all imply humanity and necessarily exclude animals." (note 19: Naruto v. Slater, 888 F.3d 418, 426 (9th Cir. 2018), decided on other grounds.)

Relying on these cases among others, the Office's existing registration guidance has long required that works be the product of human authorship. In the 1973 edition of the Office's Compendium of Copyright Office Practices, the Office warned that it would not register materials that did not "owe their origin to a human agent." (note 20: U.S. Copyright Office, Compendium of U.S. Copyright Office Practices sec. 2.8.3(I)(a)(1)(b) (1st ed. 1973), https://copyright.gov/history/comp/compendium-one.pdf (providing example of shapes formed by liquid petroleum); see also U.S. Copyright Office, Sixty-Eighth Annual Report of the Register of Copyrights for the Fiscal Year Ending June 30, 1965, at 5 (1966), https://www.copyright.gov/reports/annual/archive/ar-1965.pdf (noting that computer-generated works raise a "crucial question" of whether the work "is basically one of human authorship").) The second edition of the Compendium, published in 1984, explained that the "term 'authorship' implies that, for a work to be copyrightable, it must owe its origin to a human being." (note 21: U.S. Copyright Office, Compendium of U.S. Copyright Office Practices sec. 202.02(b) (2d ed. 1984), https://www.copyright.gov/history/comp/compendium-two.pdf (explaining that as a result, "[m]aterials produced solely by nature, by plants, or by animals are not copyrightable"). It went on to state that because "a work must be the product of human authorship," works "produced by mechanical processes or random selection without any contribution by a human author are not registrable." Id. at 503.03(a).) And in the current edition of the Compendium, the Office states that "to qualify as a work of 'authorship' a work must be created by a human being" and that it "will not register works produced by a machine or mere mechanical process that operates randomly or automatically without any creative input or intervention from a human author." (note 22: U.S. Copyright Office, Compendium of U.S. Copyright Office Practices sec. 313.2 (3d ed. 2021) ("Compendium (Third)").)

III. The Office's Application of the Human Authorship Requirement

As the agency overseeing the copyright registration system, the Office has extensive experience in evaluating works submitted for registration that contain human authorship combined with uncopyrightable material, including material generated by or with the assistance of technology. It begins by asking "whether the 'work' is basically one of human authorship, with the computer [or other device] merely being an assisting instrument, or whether the traditional elements of authorship in the work (literary, artistic, or musical expression or elements of selection, arrangement, etc.) were actually conceived and executed not by man but by a machine." (note 23: Id. (quoting U.S. Copyright Office, Sixty-Eighth Annual Report of the Register of Copyrights for the Fiscal Year Ending June 30, 1965, at 5 (1966)).) In the case of works containing AI-generated material, the Office will consider whether the AI contributions are the result of "mechanical reproduction" or instead of an author's "own original mental conception, to which [the author] gave visible form." (note 24: Sarony 111 U.S. at 60.) The answer will depend on the circumstances, particularly how the AI tool operates and how it was used to create the final work. (note 25: Many technologies are described or marketed as "artificial intelligence," but not all of them function the same way for purposes of copyright law. For that reason, this analysis will be fact specific.) This is necessarily a case-by-case inquiry.

If a work's traditional elements of authorship were produced by a machine, the work lacks human authorship and the Office will not register it. (note 26: This includes situations where an AI technology is developed such that it generates material autonomously without human involvement. See U.S. Copyright Office Review Board, Decision Affirming Refusal of Registration of a Recent Entrance to Paradise at 2-3 (Feb. 14, 2022), https://www.copyright.gov/rulings-filings/review-board/docs/a-recent-entrance-to-paradise.pdf (determining a work "autonomously created by artificial intelligence without any creative contribution from a human actor" was "ineligible for registration").) For example, when an AI technology receives solely a prompt (note 27: While some prompts may be sufficiently creative to be protected by copyright, that does not mean that material generated from a copyrightable prompt is itself copyrightable.) from a human and produces complex written, visual, or musical works in response, the "traditional elements of authorship" are determined and executed by the technology - not the human user. Based on the Office's understanding of the generative AI technologies currently available, users do not exercise ultimate creative control over how such systems interpret prompts and generate material. Instead, these prompts function more like instructions to a commissioned artist - they identify what the prompter wishes to have depicted, but the machine determines how those instructions are implemented in its output. (note 28: One image-generating AI product describes prompts as "influencing" the output but does not suggest the prompts dictate or control it. See Prompts, Midjourney, https://docs.midjourney.com/docs/prompts (explaining that short text prompts cause "each word [to have] a more powerful influence" and that images including in a prompt may "influence the style and content of the finished result") (emphasis added).) For example, if a user instructs a text-generating technology to "write a poem about copyright law in the style of William Shakespeare," she can expect the system to generate text that is recognizable as a poem, mentions copyright, and resembles Shakespeare's style. (note 29: AI technologies do not always operate precisely as instructed. For example, a text-generating tool prompted to provide factual information may provide inaccurate information. One AI service describes this as the AI "mak[ing] up facts or 'hallucinat[ing]' outputs." ChatGPT General FAQ, OpenAI, https://help.openai.com/en/articles/6783457-chatgpt-general-faq. See also James Romoser, No, Ruth Bader Ginsburg did not dissent in Obergefell - and other things ChatGPT gets wrong about the Supreme Court, SCOTUSblog (Jan. 26, 2023), https://www.scotusblog.com/2023/01/no-ruth-bader-ginsburg-did-not-dissent-in-obergefell-and-other-things-chatgpt-gets-wrong-about-the-supreme-court/.) But the technology will decide the rhyming pattern, the words in each line, and the structure of the text. (note 30: Some technologies allow users to provide iterative "feedback" by providing additional prompts to the machine. For example, the user may instruct the AI to revise the generated text to mention a topic or emphasize a particular point. While such instructions may give a user greater influence over the output, the AI technology is what determines how to implement those additional instructions.) When an AI technology determines the expressive elements of its output, the generated material is not the product of human authorship. (note 31: See id. at 61 (quoting British decision by Lord Justice Cotton describing an author as the person "who has actually formed the picture").) As a result, that material is not protected by copyright and must be disclaimed in a registration application. (note 32: See Compendium (Third) sec. 503.5 (a copyright registration "does not cover any unclaimable material that the work may contain," and applicants "should exclude that material from the claim").)

In other cases, however, a work containing AI-generated material will also contain sufficient human authorship to support a copyright claim. For example, a human may select or arrange AI-generated material in a sufficiently creative way that "the resulting work as a whole constitutes an original work of authorship." (note 33: 17 U.S.C. 101 (definition of "compilation"). In the case of a compilation including AI-generated material, the computer-generated material will not be protected outside of the compilation.) Or an artist may modify material originally generated by AI technology to such a degree that the modifications meet the standard for copyright protection. (note 34: See Compendium (Third) sec. 507.1 (identifying that where a new author modifies a preexisting work, the "new authorship ... may be registered, provided that it contains a sufficient amount of original authorship"); see also 17 U.S.C. 101 (defining "derivative work" to include works "based upon one or more preexisting works" where modifications to the work "which, as a whole, represent an original work of authorship").) In these cases, copyright will only protect the human-authored aspects of the work, which are "independent of" and do "not affect" the copyright status of the AI-generated material itself. (note 35: 17 U.S.C. 103(b).)

This policy does not mean that technological tools cannot be part of the creative process. Authors have long used such tools to create their works or to recast, transform, or adapt their expressive authorship. For example, a visual artist who uses Adobe Photoshop to edit an image remains the author of the modified image, (note 36: To the extent, however, that an artist uses the AI-powered features in Photoshop, the edits will be subject to the above analysis.) and a musical artist may use effects such as guitar pedals when creating a sound recording. In each case, what matters is the extent to which the human had creative control over the work's expression and "actually formed" the traditional elements of authorship. (note 37: Sarony, 111 U.S. at 61.)

...

Ⅰ.背景

(略)

この様な最近の発展には、表現物を作成する事が可能な洗練された人工知能(「AI」)技術の利用がある。(原注:「表現物」という語はここで、人間によって作り出されたものである場合に、アメリカ著作権法第102条において定義される著作権の対象になるものを指すために使われる。同第102条(a)参照。)この技術は、既存の人間によって大量の創作された著作物を「学習」し、その学習からの推論を用いて新しいコンテンツを生成する。あるシステムは、「プロンプト」と呼ばれる、利用者のテキストによる指示に対する応答で動作する。(原注:ミッドジャーニー、プロンプトの説明、https://docs.midjourney.com/docs/prompts
(人工知能サービスのミッドジャーニーの利用者に対し、プロンプトは「ミッドジャーニー[サービス]が画像を作成するのに使う短い文章のフレーズ」であると注意している)参照。明確化として、本方針文書は、文章「プロンプト」を受け入れるAI技術又は特定の長さ若しくは複雑さのプロンプトを許容する技術に限定されるものではない。)得られる出力は文章、視覚的なもの、音声であり得、それはその設計及び学習されたマテリアルに基づくAIによって決まる。「生成AI」と良く書かれるこの技術から、それが作成するマテリアルが著作権によって保護されるかどうか、そして、それを登録しようとする申請者によりアメリカ著作権局にどの様な情報が提供されるべきかという質問が発生している。

アメリカ著作権局は既にAI生成物に著作権を請求する登録申請を受け、審査しており、それらはもはや仮定の質問ではない。例えば、2018年に、著作権局は、申請者が「計算機の上で実行されるコンピューターアルゴリズムによって自動的に作り出されたものである」と書いた画像に対する申請を受けた。(原注:アメリカ著作権局再審査部、天国への最近の入国の登録の拒絶を肯定する決定(2022年2月14日)、https://www.copyright.gov/rulings-filings/review-board/docs/a-recent-entrance-to-paradise.pdf。)申請者の申請における記載に基づき、審査官が作品は人間による創作を含んでいないと判断したため、申請は拒絶された。一連の行政不服の後、著作権局の再審査部は、「人間の参加者からの創造的寄与に全くよらずに」作られたものであるから、その作品は登録され得ないという事を肯定する最終決定を出した。(原注:著作権局の決定に対し現在ターラー対パールムッター事件として訴訟が提起されている。)

さらに最近、アメリカ著作権局は、AIにより生成された画像と組み合わされた人間により創作された要素を含む作品に対する登録を審査した。2023年2月に、著作権局は、AIサービスであるミッドジャーニーによって生成された画像と組み合わされた人間により創作された文章を含むグラフィックノベル(原注:申請において、申請者は作品を「コミックブック」と書いている。アメリカ著作権局、黄昏のザリヤ事件取り消し決定(2023年2月21日)、https://www.copyright.gov/docs/zarya-of-the-dawn.pdf参照。)は、著作権の保護を受ける著作物を構成するが、個々の画像自体は著作権によって保護されないと結論づけた。(原注:同上。)

アメリカ著作権局は、AI技術を著作者又は共同著作者の名にあげるか、申請の「作り出した著者」又は「著作権局に対する注意」の項目に作品がAIの補助によるか又はそれとともに作成された事を示す記載を含む他の申請も受けた。他の申請者はAI生成物が含まれる事を開示しないが、提出物の作品の表題又は「謝辞」の項目にAI技術の名前を言及していた。

この展開に基づき、アメリカ著作権局は、AI生成コンテンツを含む作品の登録に関し、公衆ガイダンスが必要であると結論づける。この方針文書は、どの様に著作権局が著作権法の人間による創作の要件を申請に適用してその様な作品を登録するかを記載し、申請者にガイダンスを提供する。

アメリカ著作権局は、AI生成物について本文書で取り扱わない他の著作権問題がある事を認める。この問題を広い範囲で探究するため局全体の取り組みを開始している。とりわけ、著作権局は、どの様に法律がAI学習における著作物の利用及び出力の結果の取り扱いに適用されるべきかなど、その他の法的及び政策的事項に関する公衆のインプットを求める調査の通知を今年の後半に公表する事を考えている。

Ⅱ.人間による創作の要件

アメリカ著作権局の考えでは、著作権は人間の創造性の作成物であるマテリアルだけを保護できるという事は良く確立されている。最も根本的な事として、アメリカ憲法及び著作権法の両方において用いられている「著作者」という語は人間でないものを排除している。著作権局の登録ポリシー及び規則はこの事に関する立法及び司法のガイダンスを反映している。

人間による創作性に関するリーディングケースにおいて、最高裁は、「著作者」にその「著作」に排他的権利を与える、アメリカ議会の憲法権限の解釈において、人間でないものを排除する言葉を用いた。(原注:アメリカ憲法第1条第8節第8項(議会は「著作者及び発明者にそれぞれの著作及び発見に対して限定された期間排他的権利を保障する事により科学と有用な芸術の発展を促進する」権限を有する。)。)ビュロー・ジル・リトグラフ対サロニー事件において、写真の無許諾複製の作成について訴えられた被告は、「写真は著作者の著作でも作成物でもなく」カメラによって作り出されたものであるから、議会による写真への著作権保護の拡大は違憲であると主張した。(原注:1884年3月17日のアメリカ最高裁判決(被告は、写真は単に「ある自然物かある人間の正確な特徴の紙の上の再生」であると主張したと説明している)。)最高裁はこれに同意せず、「それが著作者の独創的、知的着想を表現したものである限り」、憲法の著作権条項は写真が著作権の対象である事を認めている事に「疑いはない」と判示した。(原注:同上。)裁判所は、「著作者」を「何であれその起源を負う者;又は創造者;製作者;科学又は文学の作品を完成した者」と定義した。(原注:同上。)最高裁は、著作者は「人」の一種であると述べ、繰り返し、その様な「著作者」を人間として(原注:同上(憲法の著作権条項の受益者は「人」の2つの種類の内の1つである「著作者」と述べている)。)、著作権を「その才能又は知性の作成物について人に与えられる排他的権利」として言及している。(原注:同上(「著作者」は「作成された絵の起因」である「人」であり、作り出したかその着想をその作品に結実させた「人」であると述べたイギリスの判決に同意している)。)

連邦控訴裁判所は、「創作による作品」に対してのみ著作権保護を与える、著作権法の条文解釈において同様の結論に達している。(原注:アメリカ著作権法第102条(a)。)第9巡回控訴裁は、「人間でない霊的な存在によって創作された」言葉を含む本は、「啓示の人間による選択及び配列」がある場合にのみ、著作権保護を受けられると判示した。(原注:1997年6月10日のウランティア協会対クリステン・マアヘラ事件第9巡回控訴裁判決(「著作権法が保護する事を意図しているのは聖なる存在の創造ではない」のであるから、「本が著作権の保護を受けるためには何がしかの人間の創造性の要素が生じていなければならない」と判示している)。本の編集が著作権の保護を受けるのに対し、主張されている「聖なる通知」はそうではない。同上。)他の事件において、同控訴裁は、著作権法は著作者の「子供」、「寡婦」、「孫」及び「寡夫」-「全て人間を示唆し、必然的に動物を排除する」用語-について言及している事から、猿がカメラによって撮った写真において猿は著作権を登録できないと判示した。(原注:2018年4月23日のナルト対スレーター事件第9巡回控訴裁判決、ただし、これは他の理由により決定がなされた。)

とりわけこれらのケースに依拠し、アメリカ著作権局の既存の登録ガイダンスは、長く、作品は人間の創作による作成物である事を求めて来た。1973年版の著作権局の著作権局実務便覧において、著作権局は、その起源を人間の主体に負わないマテリアルを登録しないと注意した。(原注:アメリカ著作権局、著作権局実務便覧2.8.3(Ⅰ)(a)(1)(b)(1973年第1版)、https://copyright.gov/history/comp/compendium-one.pdf);及びアメリカ著作権局、1965年6月30日までの年度の第68著作権登録年次報告書(1966年)、https://www.copyright.gov/reports/annual/archive/ar-1965.pdf(コンピュータ生成作品が、その作品が「基本的に人の創作によるものである」かどうかについての「重大な問題」を生じさせていると記載している)。)1984年に公表された便覧の第2版は、「『創作性』という語は、著作権の保護を受ける作品はその起源を人間に負わなければならない事を示唆している」と説明している。(原注:アメリカ著作権局、著作権局実務便覧202.02(b)(1984年第2版)、https://www.copyright.gov/history/comp/compendium-two.pdf(結果として、「自然、植物又は動物のみによって作成されたマテリアルは著作権の保護を受けられない」と説明している)。また、これは「作品は人の創作性の作成物でなければならない」事から、人の著作者による何らの寄与なく機械的なプロセス又はランダムの選択によって作成された作品は登録され得ない」と記載している。同上503.03(a)。)そして、便覧の現在版において、著作権局は、『創作性』による作品と評価されるために作品は人間によって作り出されたものでなければならない」のであり、機械によってか、何ら人間の著作者による創造的入力又は介入なくランダムに又は自動的に動作する機械的プロセスによって作成された作品を登録しないと記載している。(原注:アメリカ著作権局、著作権局実務便覧313.2(2021年第3版))

Ⅲ.人間による創作の要件のアメリカ著作権局における適用

著作権登録制度を監督する主体として、アメリカ著作権局は技術によってかその補助を受けて作り出されたマテリアルなど、著作権の保護を受けられないマテリアルと組み合わされた、人間の創作性を含む、登録のために提出された作品の評価に関して幅広い経験を有している。著作権局はまず、「『作品』が基本的に人間の創作によるものであり、コンピューター[又は他の機器」は単に補助的道具であるのか、又は、作品における創作性の伝統的要素(文学的、芸術的又は音楽的表現又は選択、配列等の要素)は機械によってではなく実際に人によって思いつかれたか実行されたか」を検討する。(原注:同上(アメリカ著作権局、1965年6月30日までの年度の第68著作権登録年次報告書(1966年)を引用している)。)AI生成マテリアルを含む作品の場合に、著作権局は、AIの寄与が「機械的再生」によるものであるか、それとも著作者が「視認可能な形式を与えた自身の独創的、精神的着想」によるものであるのかを検討する。(原注:サロニー事件判決。)答えは状況により、特にどの様にAIツールが動作し、どの様にそれが最終的な作品を作り出すのに使われたかによる。(原注:多くの技術が「人工知能」として記述され、市場で提供されているが、その全てが著作権法の目的において同じ様に機能する訳ではない。この理由から、この分析は事実による。)これは必然的にケースバイケースの調査となる。

作品の創作性の伝統的要素が機械によって作成された場合、作品は人間による創作の要件を欠き、アメリカ著作権局はそれを登録しない。(原注:これは、AI技術が人間の関与なく自動的にマテリアルを生成する様に開発された状況を含む。アメリカ著作権局再審査部、天国への最近の入国の登録の拒絶を肯定する決定(2022年2月14日)、https://www.copyright.gov/rulings-filings/review-board/docs/a-recent-entrance-to-paradise.pdf(「何ら人間の主体からの創造的寄与なく人工知能によって自動的に作り出された」作品は「登録を認められない」と決定している)参照。)例えば、AI技術が単に人間からのプロンプト(あるプロンプトに十分創造性があり、著作権によって保護を受けられる事はあり得るであろうが、その事は著作権の保護を受けられるプロンプトによって生成されたマテリアルがそれ自体著作権の保護を受けられる事を意味しない。)を受け取り、応答として複雑な文章の、視覚的又は音楽の作品を作成するとき、「創作性の伝統的要素」は-人間の利用者ではなく-技術によって決定され、実行されている。現在利用可能な生成AI技術に対する著作権局の理解に基づくと、利用者は、どの様にその様なシステムがプロンプトを解釈し、マテリアルを生成するかについての最終的な創造的コントロールを行っていない。これらのプロンプトはどちらかと言えば委託されたアーティストに対する指示の様に機能する-それらはプロンプトを書いた者が描いて欲しいものを特定するが、機械がどの様にその指示を出力で実施するかを決定している。(原注:ある画像生成AI製品は、「プロンプト」は出力に影響を与えるが、プロンプトがそれを支配したり、コントロールする事を示すものではないと述べている。(原注:ミッドジャーニー、プロンプトの説明、https://docs.midjourney.com/docs/prompts (短い文章のプロンプトは「それぞれの語が強力な影響を」もたらすものであり、あるプロンプトに含まれるイメージは「最終結果のスタイルと内容に影響し得る」と説明している)参照。)例えば、もしある利用者が「ウィリアム・シェイクスピアの文体で著作権法に関する詩を書く」事を文章生成技術に指示したら、システムが、詩と認識可能で、著作権に言及し、シェイクスピアの文体に似ていると認識できる文章を生成する事を期待できる。(原注:AI技術は必ずしも指示した通り正確に動作しない。例えば、事実である情報を提供するようプロンプト入力された文章生成ツールが不正確な情報を提供する事がある。あるAIサービスはこれを「事実を作り出すか出力において『錯覚』するAIと記述している。ChatGPT一般質問、OpenAI、https://help.openai.com/en/articles/6783457-chatgpt-general-faq。また、ジェイムズ・ロモーザー、否、ルース・ベイダー・ギンスブルクはオーバーゲフェル事件において反対意見を述べているのではない-最高裁についてその他ChatGPTが間違っている事、SCOTUSblog(2023年1月26日)、https://www.scotusblog.com/2023/01/no-ruth-bader-ginsburg-did-not-dissent-in-obergefell-and-other-things-chatgpt-gets-wrong-about-the-supreme-court/。)しかし、この技術は韻律のパターン、それぞれの行の語及び文章の構造を決定するであろう。(原注:技術には機械に対して追加のプロンプトを与える事によりインタラクティブな「フィードバック」を提供する事を利用者に可能としているものもある。例えば、利用者は生成された文章をあるトピックを言及する様に又は特定のポイントを強調する様に改めるようAIに指示する事ができる。その様な指示は出力に対してより大きな影響を与え得るものであるが、どの様にこれらの追加の指示を実施するかを決定しているのはAI技術である。)あるAI技術が出力の表現要素を決定するとき、生成されたマテリアルは人間による創作の作成物ではない。(原注:同上(著作者は「絵を実際に形作った」人であると述べるコットン判事によるイギリスの判決を引用している)。)つまり、そのマテリアルは著作権によって保護されず、登録申請書において覗かれなければならない。(原注:便覧(第3版)503.5(著作権登録は「その作品が含み得る請求不可能なマテリアルをカバーせず」、申請は「そのマテリアルを請求から除くべきである」)参照。)

しかしながら、他の場合において、AI生成物を含む作品は著作権の請求を支持するのに十分な人間による創作を含むであろう。例えば、「得られた作品が全体として創作による独創的な作品を構成する」のに十分創造的なやり方で人がAI生成物を選又は配列する事があり得る。(原注:アメリカ著作権法第101条(「編集」の定義)。AI生成物を含む編集の場合、コンピュータ生成物は編集の外で保護されないであろう。)あるアーティストが、修正が著作権保護の基準に合致する程度まで、元々AI技術によって生成されたマテリアルを修正する事もあり得る。(原注:便覧(第3版)507.1(新しい著作者が既存の作品を修正する場合、「新しい創作は…独創的創作性の十分な量を含む限りにおいて、登録され得る」と記載している)参照;アメリカ著作権法第101条(1つ以上の既存の作品に対する修正が「全体として創作による独創的な作品を表す」場合の、既存の作品に基づく作品を含む「派生著作物」を定義している)も参照。)これらの場合において、著作権は作品の人間により創作された側面のみを保護し、この事はAI生成物自体の著作権状態とは関係なく、また、これにに影響を与える事もないであろう。(原注:アメリカ著作権法第103条(b)。)

この方針は技術的ツールが創造的プロセスの部分であり得ない事を意味するものではない。著作者は長くその様なツールを用いてその作品を作り出すか、その表現による創作を作り直すか、変形するか、適応させて来たのである。例えば、画像を編集するのにアドビのフォトショップを用いる視覚アーティストは修正された画像の著作者であり続け(原注:しかしながら、アーティストがフォトショップでAIによる助力を受けた特徴を使う程度に応じて、編集は上記の分析の対象となるであろう。)、そして、音楽アーティストは音声レコーディングを作り出すときにギターペダル様なエフェクトを使う事ができる。それぞれの場合において、問題となる事はどの程度人間が作品の表現に対して創造的コントロールを有し、創作の伝統的な要素を「実際に形作った」のかである。(原注:サロニー事件判決。)

(以下略)

 この方針ペーパーの背景に、アメリカでは著作権侵害訴訟を提起するにあたり著作権局での登録が必須とされているため、著作権の登録が強く求められ、他の国と比べて大量の著作権登録申請がされており、その審査が行われているという事があるのは注意しておく必要がある。(この事は、2019年3月4日のフォース・エステート・パブリック・ベネフィット社対Wall-Street.com事件最高裁判決(pdf)で最高裁レベルで確認されている。アメリカ著作権法のこの解釈・運用自体、無登録主義を前提とするべき著作権法のあり方として問題であると思っているが、その事はここではひとまずおく。)

 その事情から登録基準を示す必要に迫られたアメリカ著作権局は、このペーパーで、プロンプト入力のみにより機械が自動的に生成した文章や画像などの生成物(AI生成物)について著作権登録を認めず、結果としてAI生成物は著作権によって保護されないとする方針をはっきりと示しているのである。

 上の抜粋とその翻訳で辿ってもらってもいいと思うが、このペーパー中で引用されている判例等を時系列順に極簡単な概要ともに並べておくと、以下の様になる。

 今までの所、アメリカの判例と著作権局の決定が示しているのは、著作権の保護を受けるためには最終的な表現において人の創作的関与を必要とするという事であるが、これは妥当なものと私も考える。

  今後の技術の発展、人が最終的な表現を創作的にコントロールできるかという事にもよって、どこまで技術の利用者である人の著作権が認められるかについてさらに事例が蓄積されて行く事だろうが、人ではないものが自然に、機械的又は自動的に生成した表現が著作権保護の対象となり得ないという事は、著作権法の様な創作保護法における最も基本的な原理の1つであって、これは技術的に人の創作物と見紛う文章や画像が機械的に生成され得る様になっているという事によって左右されるべきではないだろう。

 また、著作権との関係では、AI生成物が著作権保護の対象となるかどうかという点とは別の重要な論点は、上のペーパーでも今後パブリックコメントを行う予定と書かれている、機械学習への著作物の利用と結果として得られる生成物の提供が著作権侵害となるかどうかという点である。アメリカ著作権局が予定するパブリックコメントも重要だろうが、この点についてはアメリカでも別の訴訟になっており、AI技術に対して大きな影響を及ぼすだろうその動向には私も大いに注目している。

 次は少し間が空くかもしれないが、現時点でのAI生成物と日本の著作権法との関係について私なりのまとめを書きたいと思っている。

(2023年4月10日夜の追記:上の抜粋と翻訳部分でも辿りやすいようリンクを追加するとともに、幾つか誤記を直し、少し文章を整えた。)

| | コメント (0)

« 2023年3月 | トップページ | 2023年5月 »