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2022年6月19日 (日)

第462回:主要政党の2022年参院選公約案比較(知財政策・情報・表現規制関連)

 3年ぶりの参院選が6月22日公示、7月10日投開票と決まり、主要政党の公約案が出揃った。

 今回も、知財政策や情報・表現規制問題は選挙のトピックとなりそうもないが、以下、関連項目・部分を抜き出しておく。

<自民党>
○わが国の生存、独立、繁栄を経済面から確保するために、経済安全保障政策を推進します。「経済安全保障推進法」を着実に実施するとともに、新たな「国家安全保障戦略」に経済安全保障の観点を盛り込みます。

(総合政策集より)
○59コンテンツ戦略と海賊版対策
 コンテンツ分野は、デジタルエコノミーの発展を支える中間財として重要な役割を果たすことから、デジタル時代に適合したコンテンツ産業の進化・発展を促します。デジタルの強みを最大限生かしたコンテンツの流通に資するよう、著作権処理の円滑化に資するよう所要の制度改正や権利情報データベースの構築をはじめとしたIT基盤整備、デジタルアーカイブ社会の実現に向けた取組みを進めます。
 また、海賊版対策、コンテンツ制作に携わる人材育成、コンテンツ制作における取引の適正化や就業環境の改善に取り組みます。その際、ブロックチェーンやフィンガープリント等のデジタル時代の新たな技術を積極的に活用しながら、クリエイターに適切に対価が還元されるコンテンツの管理・流通の仕組み作りを進めます。そのために、メディアコンテンツ中期戦略を、関係者との対話を重ねつつ策定します。

○60「クールジャパン戦略」の推進
 海外の人々が良いと思う日本の魅力をマーケットインの考え方に基づき効果的に発信し、インバウンドや輸出の拡大等にもつながるクールジャパン戦略を強化・拡充します。
 新型コロナによる影響など、クールジャパンを取り巻く環境の変化を踏まえ、コロナの下での安全安心や自然、エコ、SDGsなどの価値観の変化への対応、農産品や日本産酒類など引き続き堅調な輸出の促進、本格的なインバウンド再開に向けた受入れ環境の高付加価値化、オンラインとリアルの体験とのハイブリッドな融合、日本を愛する外国人との積極的な連携、地方の魅力のデジタル実装を通じた世界発信など多様な手法によりコロナ後を見据えたクールジャパンの取組みを更に推進します。
 2025年大阪・関西万博を地域活性化につなげるべく、地域における機運醸成の取組や、万博と日本各地をつなぐ観光資源の磨き上げや文化創造に向けた支援を行います。海外においても、現地人材の活用等を通じて、在外公館やジャパン・ハウス等の発信・展開拠点を強化します。

○61「クールジャパン」関連コンテンツの振興
 コロナ禍の中で、飲食、観光、文化芸術、イベント・エンターテインメント、ナイトタイムエコノミーといったクールジャパン関連分野は引き続き大きな影響を受けています。中小企業・小規模事業者、フリーランスで働く人が多いという就業構造を踏まえつつ、事業継続の支援を行います。
 アニメ、マンガ、映画、ゲーム、放送など海外への発信力が高いコンテンツ産業は、クールジャパンの大きな推進力となっています。製作現場のデジタル化、書面契約の徹底や就業環境を含めた商慣行の改善、人材育成、資金調達の改善を進め、コンテンツ産業の振興と海外展開を図ります。Web3.0時台におけるブロックチェ―ン・NFT、メタバース等の新たな潮流は、世界で愛されるキャラクターや作品などの知的財産を多く有するわが国にとって大きなチャンスであり、Web3.0時代の新たなコンテンツビジネスの環境整備を進めていきます。
 併せて、東京国際映画祭などコンテンツの中心としての日本の魅力を高める取組みを進めます。また、国内への大型映像作品のロケ誘致は、作品を通じて日本の魅力を発信するだけにとどまらず、海外の映像製作のノウハウを日本のコンテンツ産業にもたらします。諸外国の制度も参考にしつつ、ロケ誘致の一層の推進を図ります。
 文化芸術の需要の裾野を拡大し、クリエイターに資金を循環する環境を整備するため、企業・地域によるアートの積極的な活用の促進を図ります。
 更に、錦鯉や盆栽、ロボット、伝統文化や衣食住の生活文化などの新たな人気の高まり、SDGsや環境といった世界的な価値観の変化も取り入れて、日本のブランドイメージを高めていきます。

○113持続的なイノベーション創出に向けた制度改革
 研究開発税制や寄附金税制をはじめとするイノベーション促進に向けた税制改革や、革新的な技術シーズの事業化のためのリスクマネー供給などの政策金融の改革、特許などの知的財産の迅速な保護及び円滑な利活用を促進するための知的財産制度の改革、イノベーションの隘路となっている規制や社会制度などの改革や新技術に関する優先的な政府調達の実現、大学等の研究成果の技術移転、中小企業などに対する産学官連携などを強力に推進します。

○415農業分野の知的財産の保護
「改正種苗法」のもと、種苗の海外流出を防止するとともに、「家畜改良増殖法」と「家畜遺伝資源法」のもと、わが国固有の財産である和牛を守ります。

○627経済安全保障推進法の着実な実施
 経済安全保障推進法の執行体制を早期に整備するため、速やかに内閣府に経済安全保障推進室(仮称)を立ち上げ、足下での施策の実施に必要な所要の体制整備を行うとともに、来年度以降の円滑な執行に向けた予算・定員の確保に万全を期します。
 法律の施行後、速やかに基本方針を策定し、サプライチェーン強靭化及び官民技術協力に関する施策については、先行して可能な限り早期に実施し、主要国の取組みも念頭に置いた支援を行います。基幹インフラ及び特許非公開に関する施策については、関係事業者等との調整など施行に向けた準備を早急に進め、段階的に実施します。

○649国益に即した経済外交の推進
 自由貿易の推進はわが国の通商政策の柱です。多角的貿易体制の強化・改善に向け、日米貿易協定、TPP11協定、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定、日EU経済連携協定や日英包括的経済連携協定を着実に実施します。TPP11協定については、参加を希望する国・地域に対して協定の高いレベルや基本的価値を守りつつ、戦略的な観点や国民の理解も踏まえながら一層の拡大を目指します。
 こうした取組みを通じて、各国の利益に資する貿易・投資を更に拡大させ、公正なルールに基づく自由で開かれたインド太平洋地域の経済発展等を実現します。国益確保の観点から、WTO改革、デジタル分野での国際ルール作りを含め、自由で開かれた国際経済社会システムの強化に向け、経済外交を展開します。
 日本企業支援では、情報共有・法的支援体制の強化、輸入規制・風評被害対策等を着実に進め、中小企業を含む日本企業及び地方自治体の海外展開支援を強化します。

○705青少年の健全育成
 青少年健全育成のための社会環境の整備を強化するとともに「青少年健全育成基本法(仮称)」と、家庭をめぐる環境の変化に伴い、家庭教育支援が緊要の課題となっていることから、家庭教育支援に関する施策を総合的に推進するための「家庭教育支援法(仮称)」を制定します。またITの発達等による非行や犯罪から青少年を守るための各種施策を推進します。

○825デジタルトランスフォーメーション(DX)時代に対応した著作権制度・政策
 DXの推進は、文化芸術における創作・流通・利用にも大きな影響を与えており、DX時代における社会・市場の変化やテクノロジーの進展に柔軟に対応したコンテンツ創作の好循環を実現する必要があります。そのため、DX時代に対応した簡素で一元的な権利処理方策や、公的機関・企業等でのデジタル化に対応した基盤の整備等、コンテンツの利用円滑化とそれに伴う適切な対価の還元について取り組みます。また、著作権侵害に対する実効的な海賊版対策の実施、わが国の正規版コンテンツの海外における流通促進、デジタルプラットフォームサービスに係るいわゆるバリューギャップ等への対応、著作権制度・政策の普及啓発・教育方策を進め、コンテンツの権利保護を図ります。

○836ネット上の誹謗中傷等の対策推進
 SNS等のネット上の誹謗中傷やフェイクニュース等に対応するため、改正プロバイダ責任制限法の円滑な施行、刑法の侮辱罪の法定刑見直し、プラットフォーム事業者の積極対応の促進と取組みの透明性の確保、情報リテラシー・モラル教育の拡充、被害者の相談対応・苦情処理の充実強化、会社法の外国会社登記の徹底、捜査機関の体制強化など、表現の自由を最大限考慮しつつ総合的な対策を推進します。

<公明党>
○近年、日本を取り巻く経済安全保障の脅威が、厳しさを増す中で、わが国の先端技術や産業を守り抜き、新たな経済成長を実現するため、成立した経済安全保障推進法に盛り込まれた①重要物資の供給体制の強靱化②電力や通信など基幹インフラ設備の安全性等の確保③わが国の先端技術の開発支援の強化④特許の非公開による機微技術の流出防止――の4つの柱からなる諸施策を着実に実行し、規制による安全保障の確保と自由な経済活動との両立を図りつつ、推進します。また、ウクライナ情勢等の影響も考慮し、施行後も状況に応じた対応や検討を行い、必要な措置を講じていきます。

<日本維新の会>
(政策提言より)
○266. 表現の自由を最大限尊重し、マンガ・アニメ・ゲームなどの内容に行政が過度に干渉しないコンテンツ産業支援を目指します。MANGA ナショナルセンターの設置による作品アーカイブの促進、インバウンドを意識した文化発信やクリエイターの育成支援などを行います。

○346. 表現の自由に十分留意しつつ、民族・国籍を理由としたいわゆる「ヘイトスピーチ(日本・日本人が対象のものを含む)」を許さず、不当な差別のない社会の実現のため、実効的な拡散防止措置を講じます。

○347. SNS などにおける誹謗中傷問題につき、わが党が提案した「インターネット誹謗中傷対策推進法案」を成立させ、表現の自由に十分に配慮しつつ、中傷被害者の救済を迅速・確実に図るとともに、誹謗中傷表現の抑止のための国、自治体、事業者の責務を明確にした対策をすすめます。

<立憲民主党>
○インターネットやSNS条の差別や誹謗中傷、人権侵害等への対策を強化します。

○「共謀罪」については、監視社会をもたらす恐れがあることや、表現の自由、思想・良心の自由を侵害する恐れがあるため、廃止します。

(政策集より)
○国民の知る権利を守るため特定秘密保護法を見直し、国会や第三者機関の権限強化も含め行政に対する監視と検証を強化します。安保法制や共謀罪の違憲部分を廃止します。

○先端技術や知的財産権の保護・強化を図ります。

○個人の情報の権利利益の保護を図るため、個人情報保護法など国内関連法をEU一般データ保護規則(GDPR)など海外の法制度を基準に改正します。自己に関する情報の取り扱いについて自ら決定できる権利(自己情報コントロール権)、本人の意思に基づいて自己の個人データの移動を円滑に行う権利(データポータビリティ権)、個人データが個人の意図しない目的で利用される場合等に当該個人データの削除を求める権利(忘れられる権利)、本人の同意なしに個人データを自動的に分析又は予測されない権利(プロファイリングされない権利)を法律上、明確化します。

○インターネットやSNS上の差別や誹謗中傷への対策を強化します。

○メディアにおける性・暴力表現について、子ども、女性、高齢者、障がい者をはじめとする人の命と尊厳を守る見地から、人々の心理・行動に与える影響について調査を進めるとともに、情報通信等の技術の進展および普及のスピードに対応した対策を推進します。

○インターネットを利用した人権侵害を許さず、速やかに対応できるような法改正、窓口創設を実現します。

○刑法の名誉毀損罪の法定刑の上限は懲役3年となっていますが、現状の人権侵害の深刻な状況に鑑みて、上限の引き上げを検討します。

○不正アクセスによるインターネット上の人権侵害について、プロバイダが被害救済のための対応をとることを義務付けます。

○インターネットやSNS上の差別や誹謗中傷、人権侵害等への対策を強化するとともに、インターネットのターゲット広告等の規制など個人情報保護を強化します。

○インターネット上の誹謗中傷を含む、性別・部落・民族・障がい・国籍、あらゆる差別の解消を目指すとともに、差別を防止し差別に対応するための国内人権機関を設置します。

○インターネットやSNS上の差別や誹謗中傷、人権侵害等への対策を強化します。政府は侮辱罪を厳罰化しましたが、侮辱罪での現行犯逮捕を完全には否定しないなど、表現の自由が萎縮する懸念が残りました。相手の人格を攻撃する誹謗中傷行為を刑法の対象とするため、加害目的誹謗等罪を創設するとともに、プロバイダ責任制限法を改正し発信者情報の開示を幅広く認めることなどを柱とする「インターネット誹謗中傷対策法案」の成立を目指します。

○知的財産権に関する紛争処理機能を強化することで、特許紛争の早期解決を図り知財システムの実効性を担保するとともに、新産業やベンチャー企業の創出を支援します。

○2017年に強行採決された共謀罪については、監視社会をもたらす恐れがあることや、表現の自由、思想・良心の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を侵害する恐れがある一方、テロ対策としての実効性は認められないことから、廃止します。

○幅広い分野で、知的財産の保護、情報セキュリティ、企業統治などを強化するとともに、通信、デジタル、クリーンエネルギー技術、宇宙などの経済分野に係る国際的なルールの形成を主導し、日本の優位性を確立するための「経済安全保障戦略」を策定し、総合的な国力の増進を図ります。

○表現の自由を尊重し、二次創作分野などの発展を図る観点から、著作権法改正を含む検討を行います。

○著作権管理団体の権利者への権利料・使用料の分配については、若手や新人のアーティスト・演者・作家などに配慮し、文化の発展に資するという法の目的に沿うよう著作権管理事業法の改正を検討します。

○中小企業の知的財産権を活用した技術革新を促進するために、弁理士などを活用した取り組みに対する補助制度を創設します。

○特許や著作権など、知的財産を守り積極的に活用するため、国際的な知的財産戦略を推進します。また、日本の食文化やコンテンツを海外に積極的に展開し、ソフト分野でも稼ぎ、雇用を増やす産業構造をつくります。

<社民党>
○憲法違反の法律である安保法制(戦争法)、秘密保護法、共謀罪法、重要土地調査規制法を廃止します。
(略)

<共産党>
○7、女性とジェンダー
(略)
―――児童ポルノは「性の商品化」の中でも最悪のものです。児童ポルノ禁止法(1999年成立。2004年、2014年改正)における児童ポルノの定義を、「児童性虐待・性的搾取記録物」(*「記録物」とはマンガやアニメなどを含むものではありません)と改め、性虐待・性的搾取という重大な人権侵害から、あらゆる子どもを守ることを立法趣旨として明確にし、実効性を高めることを求めます。

日本は国連機関などから、極端に暴力的な子どもポルノを描いた漫画やアニメ、CG、ビデオ、オンライン・ゲーム等の「主要な制作国となっている」と批判されています。ジェンダー平等をすすめ、子どもと女性の人権を守る立場から、幅広い関係者で大いに議論をすすめることが重要だと考えます。「表現の自由」やプライバシー権を守りながら、子どもを性虐待・性的搾取の対象とすることを許さない社会にしていくことが必要であり、議論と合意をつくっていくための自主的な取り組みを促進していくことが求められています。そうした議論を起こしていくことは、「児童ポルノ規制」を名目にした法的規制の動きに抗して「表現の自由」を守り抜くためにも大切であると考えています。
(略)

○10、女性に対する暴力をなくす
(略)
リベンジポルノ、SNSでの誹謗中傷などオンライン暴力への対策を強化します
(略)
―――オンライン上の暴力について、通報と削除の仕組みを強化し、被害者のケアの体制をつくります。
(略)

○13、子ども・子育て
(略)
・子どもを性虐待・性的搾取からまもる

 18歳未満の子どもを被写体とする児童ポルノは、子どもの人権を侵害する性虐待・性的搾取であり、断じて容認できません。児童ポルノ事犯の被害児童数は、2016年以降、毎年1,000人を超えています(警察庁調べ)。児童ポルノの製造・提供・公開などについて、現行法に基づく厳正な対応が求められます。児童ポルノ禁止法における児童ポルノの定義を「児童性虐待・性的搾取記録物」と改め、重大な人権侵害からあらゆる子どもをまもることを立法趣旨として明確にし、実効性を高めることを求めます。
(略)

○58、学術、科学・技術
(略)
「安全保障技術研究推進制度」を廃止し、大学や公的研究機関の軍事利用をやめさせる―――大学や公的研究機関に対する軍事機関(防衛省や米軍など)からの資金提供や研究協力は、「学問の自由」を脅かすものであり、禁止すべきです。防衛省の「安全保障技術研究推進制度」を廃止し、偵察衛星など宇宙の軍事利用もやめさせます。大学や公的研究機関における研究開発は、非軍事・平和目的に限定し、その成果を暮らしと産業の発展のために広く活用します。軍事機密を理由にした研究成果の公開制限や秘密特許の導入に反対し、宇宙基本法や原子力基本法の「安全保障」条項を削除します。

「経済安全保障推進制度」は廃止し、知的財産権をめぐる問題は外交で解決する―――経済安全保障推進法は、科学技術の軍事研究化を推進し、学問の自由を侵害する恐れがあります。すでに補正予算で2,500億円が計上された経済安全保障重要技術育成プログラムの成果は、防衛省の判断で軍事技術として活用できます。プログラムの参加者に、罰則付きの守秘義務を課します。特許出願非公開制度は、民生技術を軍事技術に吸収し、戦争遂行に動員した戦前の秘密特許制度の復活です。特定技術分野の発明は外国出願禁止ですが、日米防衛特許協定を理由に米国に対してのみ除外しています。軍事特許を日米同盟に役立てる仕組みとなっています。

 中国の覇権主義や組織的なサイバー攻撃、知的財産権をめぐる問題などは、事実に基づき厳しく批判され、外交的に解決されなければなりません。しかし、「平和のとりで」(ユネスコ憲章)であるべき大学や国際交流があってこそ発展する研究までも仮想敵を持って対立に巻き込むことはあってはならないことです。「経済安全保障推進制度」は廃止します。
(略)

○60、文化
(略)
著作者の権利を守り発展させます

 著作権は、表現の自由を守りながら、著作物の創造や実演に携わる人々を守る法律として、文化の発展に役立ってきました。ところが、映画の著作物はすべて製作会社に権利が移転され、映画監督やスタッフに権利がありません。実演家も映像作品の二次利用への権利がありません。国際的には視聴覚的実演に関する北京条約(2012年)が締結され、日本も加入するなど、実演家の権利を認める流れや、映画監督の権利充実をはかろうという流れが強まっています。

―――著作権法を改正し、映画監督やスタッフ、実演家の権利を確立します。デジタル化、ネット配信など多様化する二次利用に対しては、著作者や実演家の不利益にならないよう対策を求めます。

―――私的録音録画補償金制度は、デジタル録音技術の普及にともない、一部の大企業が協力業務を放棄したことで、事実上機能停止してしまいました。作家・実演家の利益を守るために、私的複製に供される複製機器・機材を提供することによって利益を得ている事業者に応分の負担を求める、実効性のある補償制度の導入をめざします。

憲法を生かし、表現の自由を守ります

 芸術は自由であってこそ発展します。「表現の自由」は、多様な立場や価値観を持った人たちが生活する民主主義社会を支える上で欠くことのできない大切な人権です。憲法は「表現の自由」を保障していますが、自公政権のもとで、各地の美術館や図書館、公民館などの施設で、創作物の発表を正当な理由なく拒否することが相次いできました。また、2019年のあいちトリエンナーレでは、政治家の介入を受けて、文化庁が「安全性」を理由に助成金をいったん不交付にしたり、日本芸術文化振興会が映画「宮本から君へ」に対して「公益性」をもちだして助成金を打ち切ったりするなど、「表現の自由」への介入・侵害が相次いでいます。こうした権力からの介入は、自由な創造活動に「忖度」や「萎縮」効果をもたらすことにつながります。

 また、文化庁の助成は応募要綱などが行政の裁量で決められ、芸術団体などの意見が十分反映されていません。諸外国では、表現の自由を守るという配慮から、財政的な責任は国が持ちつつ、専門家が中心となった独立した機関が助成を行っています。

 日本共産党は、文化芸術基本法や憲法の基本的人権の条項を守り生かして、表現の自由を侵す動きに反対します。

―――「アームズ・レングス原則」(お金は出しても口は出さない)にもとづいた助成制度を確立し、萎縮や忖度のない自由な創造活動の環境をつくります。

―――すべての助成を専門家による審査・採択にゆだねるよう改善します。

――公共施設などでの創作物の発表、展示への脅迫・妨害行為に毅然とした対応を求め、「表現の自由」を保障します。

―――「児童ポルノ規制」を名目にしたマンガ・アニメ・ゲームなどへの法的規制の動きに反対します。青少年のゲーム・ネットの利用について、一律の使用時間制限などの法規制に反対します。

○64、共謀罪廃止・盗聴法拡大・刑訴法「改正」問題
もの言う市民を監視し萎縮させる憲法違反の共謀罪は廃止を――特定秘密保護法、戦争法と一体に廃止を求めます
(略)

 ざっと抜き出してみたが、2019年の参院選の時や去年の衆院選の時の公約(第410回第446回参照)と比べてそれほど変化があるわけではない。

 知財に関しては与党の公約はいつもの様にほぼ政府の知財計画の焼き直しであるし、立憲民主党が引き続き、「表現の自由を尊重し、二次創作分野などの発展を図る観点から、著作権法改正を含む検討を行」うと書いている点はポイントが高いが、今の所、立憲民主党でこの議論が深められている様子は余りない。

 そして、今回の選挙でも争点化される事はないだろうが、前回衆院選の公約でかなりの波紋を呼んだ所為か、共産党は「女性とジェンダー」中の児童ポルノに関する記載をかなり表現の自由に配慮したものに改めている。

 去年の衆院選の際の公約案比較の時に書いた通りだが、情報・表現規制問題については、引き続き、インターネットにおける誹謗中傷対策などが中心になるだろうと、また、国際的な視点によるデータに関する権利の検討も注意が必要と思える。

(2022年6月22日の追記:内容に違いはないが、今日、公示日に公開されたものが各党の正式な公約なのでもう一度以下にリンク集を作り直しておく。また上で一箇所誤記があったので合わせて修正した(「週」→「集」)。

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