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2021年10月17日 (日)

第446回:主要政党の2021年衆院選公約案比較(知財政策・情報・表現規制関連)

 4年ぶりとなるが、10月19日公示、31日投開票の予定で衆院選が行われる予定で、各政党から公約案が公開されている。

 今回は、新型コロナ対応が最大の争点とならざるを得ず、知財政策や情報・表現規制問題は選挙のトピックとなりそうもないが、以下、関連項目・部分を抜き出しておく。

<自民党>
○表現の自由を最大限考慮しつつ、インターネット上の誹謗・中傷やフェイクニュース等への対策を推進するとともに、人権意識向上の啓発活動を強化し、様々な人権問題の解消を図ります。

○自由、民主主義、人権、法の支配等の普遍的価値を守り抜き、国際秩序の安定・強化に貢献するため、「自由で開かれたインド太平洋」の一層の推進等に向け、日米同盟を基軸に、豪、印、ASEAN、欧州、台湾など普遍的価値を共有するパートナーとの連携を強化します。台湾のTPP加盟申請を歓迎し、WHO総会へのオブザーバー参加を応援します。

○権威主義的体制によるデータ独占を阻止するため、自由で信頼あるデータ流通(DFFT)の枠組みを、米欧とともに強力に推進します。

(政策BANKより)
○コロナ後のインバウンドの回復を見据え、ソフトパワーの強化や幅広い日本の魅力発信など、クールジャパンの取組みを進めます。特に、その強力な推進力であるコンテンツについては、制作流通におけるDX推進や構造改革等の競争力強化のための「メディアコンテンツ中期戦略(仮称)」を策定します。

○「改正種苗法」のもと、種苗の海外流出を防止するとともに、「家畜改良増殖法」と「家畜遺伝資源法」のもと、わが国固有の財産である和牛を守ります。

○DFFTルールの具体化において、EUと米国を連結する中核的役割を果たし、国際デジタル秩序の形成を主導します。また、デジタル時代におけるデータの法的権利に係る法整備を検討します。

○安全保障の観点から、わが国の戦略的不可欠性(技術的優越性を含む)と戦略的自律性を支える戦略技術・物資を特定した上で、機微性に応じて、技術情報の管理強化、輸出管理の見直し、特許の非公開制度の導入等を進めていくとともに、投資審査体制の強化、研究環境の健全性・公正性の強化を含め、統合的、包括的な対策を講じます。

○自由、民主主義、人権、法の支配等の普遍的価値を守り抜き、国際秩序の安定・強化に貢献するため、「自由で開かれたインド太平洋」の一層の推進等に向け、日米同盟を基軸に、豪、印、ASEAN、欧州、台湾など普遍的価値を共有するパートナーとの連携を強化します。台湾のTPP加盟申請及びWHO総会のオブザーバー参加を歓迎します。

○表現の自由を最大限考慮しつつ、侮辱罪の厳罰化や削除要請の強化等を通じインターネット上の誹謗・中傷やフェイクニュース等への対策を推進するとともに、人権意識向上の啓発活動を強化し、様々な人権問題の解消を図ります。

○青少年健全育成のための社会環境の整備を強化するとともに「青少年健全育成基本法(仮称)」を制定します。またITの発達等による非行や犯罪から青少年を守るための各種施策を推進します。

<公明党>
(政策集より)
○デジタルデータの取り引きについて、個人情報の保護を図りつつ、諸外国との連携による適正な流通及び活用の枠組みの整備や、国際的なルールづくりなど、安全で安心なデータ流通が円滑に行われるための環境整備を進めます。また企業のグローバル展開を踏まえ、わが国企業の活動を支援するための各種制度の周知、広報等を行います。

○ネットによる誹謗・中傷の根絶のため、SNSや無料アプリ、ゲームなどの特性や、安全なインターネットの使い方を教えるなど、各学校現場での「情報モラル教育」を充実させます。

○インターネット上の誹謗中傷対策として、プラットフォーム事業者による適切かつ迅速な削除やアカウントの停止など自主的取り組みの実効性を高める方策を促進します。また、相談体制の強化や情報モラル教育の充実を図るとともに、侮辱罪の厳罰化を図ります。

○「新たな日常」の早期実現に不可欠であるデジタル化の推進の一環として、国際的なルールづくりを主導します。具体的には、WTOにおける電子商取引のルール交渉をはじめとする、信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)を促進するルールづくりの議論を、OECD等の国際機関や産業界等の多様なステークホルダーと共に加速させていきます。

○FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)構想の実現も視野に、TPP11及び日EU・EPA等の着実な実施とともに、TPP11への参加国・地域の拡大に向けた議論を主導します。また、昨年11月に署名されたRCEP協定の早期発効と履行確保に向けて取り組みます。さらに、経済連携協定及び投資協定の交渉を促進し、日本企業の海外進出を後押しします。加えて、アジアを中心とした産業保安体制構築支援等を行うとともに、電子商取引のルールづくりや紛争解決制度改革など、WTO改革を主導します。また、国際経済紛争処理の体制強化にも取り組みます。

○デジタル社会において一人ひとりが自律的な個人として尊重される人権保障のあり方を具体的に検討します。
デジタル社会における個人情報の保護について、憲法上の位置づけを検討するとともに、自分の情報に関する自己決定の確保など、個人情報の取扱いについて定める基本法の制定をめざします。

<日本維新の会>
○表現の自由を最大限尊重し、マンガ・アニメ・ゲームなどの内容に行政が過度に干渉しないコンテンツ産業支援を目指します。MANGA ナショナルセンターの設置による作品アーカイブの促進、インバウンドを意識した文化発信やクリエイターの育成支援などを行います。

○文化的コンテンツ等をデジタルデータとしてブロックチェーン上に記録したいわゆるNFT(非代替性トークン)について、イノベーションを阻害しないルール作りによる市場の拡大支援を行い、日本の強みであるマンガ・アニメ・ゲーム等のコンテンツ産業・アート市場のさらなる発展を後押しします。

○国立国会図書館や国立大学に所蔵されている書籍、貴重図書、資料などのデジタル化を推進し、アーカイブの積極的な活用を図るとともに、デジタルアーカイブを担う人材の育成を行います。

○施設等の箱モノ整備や補助金支給にとどまりがちな文化芸術施策を見直し、文化施設のコンセッション方式やアーツカウンシルの導入を促進するとともに、各種法令の規制緩和を行うなど、芸術家等が自立して活動・発表できる機会を多面的に提供します。

○SNSなどにおける誹謗中傷問題につき、行政による過剰な規制や表現の自由侵害には十分に配慮しつつ、発信者情報開示請求を簡素化するなど司法制度を迅速に活用できる仕組みを整備し、被害者保護と誹謗中傷表現の抑止を図ります。

○EPAを基軸として域内経済連携に積極的に関与し、世界規模での自由貿易の推進、自由主義経済圏の拡大をはかります。

○特にTPP11については、覇権国家である中国の加盟希望については慎重かつ戦略的に対応しつつ、台湾や英国などの参加を積極的に促し、経済連携を深めると同時に経済安全保障の強化を図ります。

<国民民主党>
○憲法
(略)
人権分野では、憲法制定時には予測できなかった時代の変化に対応するため、人権保障のアップデートが必要です。特に人工知能とインターネット技術の融合が進む今、国際社会では個人のスコアリングと差別の問題や、国民の投票行動に不当な影響を与えるネット広告の問題などが指摘されています。デジタル時代においても個人の自律的な意思決定を保障し、民主主義の基礎を守っていくため、データ基本権を憲法に位置づけるなど議論を深めます。同性婚の保障や子どもの権利保障などについても検討を進めます。
(略)

<立憲民主党>
○インターネット上の誹謗中傷を含む、性別・部落・民族・障がい・国籍、あらゆる差別の解消を目指すとともに、差別を防止し、差別に対応するため国内人権機関を設置します。

(政策集より)
○国民の知る権利を守るため特定秘密保護法を見直し、国会や第三者機関の権限強化も含め行政に対する監視と検証を強化します。安保法制や共謀罪の違憲部分を廃止します。

○個人の権利利益の保護を図るため、自己に関する情報の取扱いについて自ら決定できる権利(自己情報コントロール権)、本人の意思に基づいて自己の個人データの移動を円滑に行う権利(データポータビリティ権)、個人データが個人の意図しない目的で利用される場合等に当該個人データの削除を求める権利(忘れられる権利)、本人の同意なしに個人データを自動的に分析又は予測されない権利(プロファイリングされない権利)について法律上、明確化します。

○インターネットやSNS上の差別や誹謗中傷への対策に取り組みます。

○メディアにおける性・暴力表現について、子ども、女性、高齢者、障がい者をはじめとする人の命と尊厳を守る見地から、人々の心理・行動に与える影響について調査を進めるとともに、情報通信等の技術の進展および普及のスピードに対応した対策を推進します。

○インターネットを利用した人権侵害を許さず、速やかに対応できるような法改正、窓口創設を実現します。

○刑法の名誉毀損罪の法定刑の上限は懲役3年となっていますが、現状の人権侵害の深刻な状況に鑑みて、上限の引き上げを検討します。

○2017年に強行採決された共謀罪について、監視社会をもたらす恐れがあることや、表現の自由、思想・良心の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を侵害する恐れがある一方、テロ対策としての実効性は認められないことから、廃止を求めます。

○表現の自由を尊重し、二次創作分野などの発展を図る観点から、著作権法改正を含む検討を行います。

○著作権管理団体の権利者への権利料・使用料の分配については、若手や新人のアーティスト・演者・作家などに配慮し、文化の発展に資するという法の目的に沿うよう著作権管理事業法の改正を検討します。

<社民党>
(重点政策より)
○漁業法、種苗法改悪に反対。食糧自給率50%に
(略)

○公権力の管理・監視強化から個人情報と権利をまもる
(略)

○安保法制、秘密保護法、共謀罪法、重要土地調査規制法廃止
(略)

<共産党>
○7、女性とジェンダー
(略)
―――児童ポルノは「性の商品化」の中でも最悪のものです。児童ポルノ禁止法(1999年成立。2004年、2014年改正)における児童ポルノの定義を、「児童性虐待・性的搾取描写物」と改め、性虐待・性的搾取という重大な人権侵害から、あらゆる子どもを守ることを立法趣旨として明確にし、実効性を高めることを求めます。

 現行法は、漫画やアニメ、ゲームなどのいわゆる「非実在児童ポルノ」については規制の対象としていませんが、日本は、極端に暴力的な子どもポルノを描いた漫画やアニメ、CG、ビデオ、オンライン・ゲーム等の主要な制作国として国際的にも名指しされており、これらを適切に規制するためのより踏み込んだ対策を国連人権理事会の特別報告者などから勧告されています(2016年)。非実在児童ポルノは、現実・生身の子どもを誰も害していないとしても、子どもを性欲や暴力の対象、はけ口としても良いのだとする誤った社会的観念を広め、子どもの尊厳を傷つけることにつながります。「表現の自由」やプライバシー権を守りながら、子どもを性虐待・性的搾取の対象とすることを許さない社会的な合意をつくっていくために、幅広い関係者と力をあわせて取り組みます。
(略)

○10、女性に対する暴力をなくす
(略)
リベンジポルノ、SNSでの誹謗中傷などオンライン暴力への対策を強化します
(略)
――オンライン上の暴力について、通報と削除の仕組みを強化し、被害者のケアの体制をつくります。
(略)

○60、文化
(略)
著作者の権利を守り発展させます

 著作権は、表現の自由を守りながら、著作物の創造や実演に携わる人々を守る法律として、文化の発展に役立ってきました。ところが、映画の著作物はすべて製作会社に権利が移転され、映画監督やスタッフに権利がありません。実演家も映像作品の二次利用への権利がありません。国際的には視聴覚的実演に関する北京条約(2012年)が締結され、日本も加入するなど、実演家の権利を認める流れや、映画監督の権利充実をはかろうという流れが強まっています。

――著作権法を改正し、映画監督やスタッフ、実演家の権利を確立します。デジタル化、ネット配信など多様化する二次利用に対しては、著作者の不利益にならないよう対策を求めます。

――私的録音録画補償金制度は、デジタル録音技術の普及にともない、一部の大企業が協力業務を放棄したことで、事実上機能停止してしまいました。作家・実演家の利益を守るために、私的複製に供される複製機器・機材を提供することによって利益を得ている事業者に応分の負担を求める、実効性のある補償制度の導入をめざします。

憲法を生かし、表現の自由を守ります

 芸術は自由であってこそ発展します。憲法は「表現の自由」を保障していますが、自公政権のもとで、各地の美術館や図書館、公民館などの施設で、創作物の発表を正当な理由なく拒否することが相次いできました。また、2019年のあいちトリエンナーレでは、政治家の介入を受けて、文化庁が「安全性」を理由に助成金をいったん不交付にしたり、日本芸術文化振興会が映画「宮本から君へ」に対して「公益性」をもちだして助成金を打ち切ったりするなど、「表現の自由」への介入・侵害が相次いでいます。

 文化庁の助成は応募要綱などが行政の裁量で決められ、芸術団体などの意見が十分反映されていません。諸外国では、表現の自由を守るという配慮から、財政的な責任は国が持ちつつ、専門家が中心となった独立した機関が助成を行っています。

 日本共産党は、文化芸術基本法や憲法の基本的人権の条項を守り生かして、表現の自由を侵す動きに反対します。

――「アームズ・レングス原則」(お金は出しても口は出さない)にもとづいた助成制度を確立し、萎縮や忖度のない自由な創造活動の環境をつくります。

――すべての助成を専門家による審査・採択にゆだねるよう改善します。

――「児童ポルノ規制」を名目にしたマンガ・アニメなどへの法的規制の動きに反対します。

○64、共謀罪廃止・盗聴法拡大・刑訴法「改正」問題
もの言う市民を監視し萎縮させる憲法違反の共謀罪は廃止を――特定秘密保護法、戦争法と一体に廃止を求めます
(略)

 2017年の衆院選時の公約(第383回参照)や2019年の参院選時の公約(第410回参照)と比べても、どこの政党も今までの方針をなぞって公約を作っており、あまり新味はない。公約案を見ると、自民党も、総裁が変わったところで、政権運営方針についての変化はほぼないと知れる。

 しかし、ここで、著作権問題に関して、立憲民主党が、「表現の自由を尊重し、二次創作分野などの発展を図る観点から、著作権法改正を含む検討を行」うと言っている点は非常にポイントが高い。

 また、特許について、今の日本で秘密特許制度を作る事に何の意味があるのかはさっぱり分からないが、自民党が、「特許の非公開制度の導入等を進めていく」としている点は少し気をつけておいた方がいいだろう。

 情報・表現規制問題については、今後も、インターネットにおける誹謗中傷対策などが中心になると思うが、国際データ流通に絡み行われるデータに関する権利の検討も注意が必要と思える。

(2021年10月18日夜の追記:見逃していたが、ねとらぼの記事になっている通り、共産党の「女性とジェンダー」の項目に非実在児童ポルノという意味不明の用語とともに何かの社会的合意を作っていくという良く分からない記載が入っていたので、その部分も上で追記した。児童ポルノ規制を名目にしたマンガ・アニメなどへの法的規制の動きに反対という記載もあるので、共産党として全体的な方針が変わったという事はないのではないかと思うが、児童ポルノを理由とした一般的な表現規制の動きが盛り上がっている訳でもないこのタイミングで(実際他党で児童ポルノ規制問題について触れている所はない)、共産党がこの様な記載を追加した理由は不明である。

 共産党の見解としては、児童ポルノ規制を名目にしたマンガ・アニメなどへの法的規制の動きには反対である事に変わりはないが、子供を性虐待・性的搾取の対象とすることを許さないための社会的な合意についての議論を呼びかけたものという事らしい。しかし、なぜこのタイミングでわざわざ謎の記載を追加したのかはやはり良く分からない。)

(2021年10月19日夜の追記:内容は基本的に同じだが、公示日以降の正式版の公約集について、以下、リンクを張っておく。

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2021年10月 3日 (日)

第445回:フランスの3ストライク機関の組織変更法改正案(両院可決版)

 フランスで、3ストライク機関(Hadopi)の組織変更を行う法改正案が、両院委員会による協議の後、9月21日に上院で、9月29日に下院で再可決された。(Numeramaの記事(フランス語)、フランス下院のtwitter(フランス語)参照。)

 法改正案に対して、すぐ翌日、9月30日に議員から憲法裁判所に異議が提起されているので(フランス下院の法改正案情報ページ参照)、さらに変わる可能性はまだあるが、この可決のタイミングでその条文を見ておきたいと思う。

 この法改正案(正式名称は「デジタル時代の文化作品へのアクセスの規制と保護に関する法律案」)の中から、3ストライク機関の組織変更に関する、フランス知的財産法(フランス語)の主な追加条項を抜き出すと以下の様になる。(フランス政府の法改正案情報ページ参照。以下では9月21日の上院可決版を用いたが、上下院で異なる修正条文で可決された後に、両院委員会を通して作成した統合条文案による再可決なので、上下院で条文は基本的に同じはずである。)

Art. L. 331-12. - L'Autorite de regulation de la communication audiovisuelle et numerique assure :

Une mission de protection des oeuvres et des objets auxquels sont attaches un droit d'auteur, un droit voisin ou un droit d'exploitation audiovisuelle mentionne a l'article L. 333-10 du code du sport, a l'egard des atteintes a ces droits commises sur les reseaux de communications electroniques utilises pour la fourniture de services de communication au public en ligne.

Elle mene des actions de sensibilisation et de prevention aupres de tous les publics, notamment aupres des publics scolaires et universitaires;

Une mission d'encouragement au developpement de l'offre legale et d'observation de l'utilisation licite et illicite des oeuvres et des objets proteges par un droit d'auteur, un droit voisin ou un droit d'exploitation audiovisuelle mentionne au meme article L. 333-10 sur les reseaux de communications electroniques utilises pour la fourniture de services de communication au public en ligne;

Une mission de regulation et de veille dans le domaine des mesures techniques de protection et d'identification des oeuvres et des objets proteges.

Au titre de ces missions, l'autorite prend toute mesure, notamment par l'adoption de recommandations, de guides de bonnes pratiques, de modeles et de clauses types ainsi que de codes de conduite visant a favoriser, d'une part, l'information du public sur l'existence des moyens de securisation mentionnes a l'article L. 331-19 du present code et, d'autre part, la signature d'accords volontaires susceptibles de contribuer a remedier aux atteintes au droit d'auteur et aux droits voisins ou aux droits d'exploitation audiovisuelle mentionnes a l'article L. 333-10 du code du sport sur les reseaux de communications electroniques utilises pour la fourniture de services de communication au public en ligne.

L'autorite evalue l'efficacite des accords qui ont ete conclus. A cette fin, elle peut solliciter des parties toutes informations utiles relatives a leur mise en oeuvre. Elle peut formuler des recommandations pour promouvoir la conclusion de tels accords et des propositions pour pallier les eventuelles difficultes rencontrees dans leur execution ou au stade de leur conclusion.

Paragraphe 2

Caracterisation des atteintes aux droits

Art. L. 331-24. - I. - Au titre de la mission mentionnee au 1° de l'article L. 331-12, l'Autorite de regulation de la communication audiovisuelle et numerique peut rendre publique l'inscription sur une liste du nom et des agissements de ceux des services de communication au public en ligne ayant fait l'objet d'une deliberation dans le cadre de laquelle il a ete constate que ces services portaient atteinte, de maniere grave et repetee, aux droits d'auteur ou aux droits voisins.

...

III. - L'autorite convoque le responsable du service de communication au public en ligne en cause a une seance publique pour le mettre en mesure de faire valoir ses observations et de produire tout element justificatif. Cette convocation est effectuee par voie electronique sur la base des informations mentionnees au 2° de l'article 19 de la loi n° 2004-575 du 21 juin 2004 pour la confiance dans l'economie numerique; lorsque ces informations ne sont pas disponibles, l'autorite informe le service concerne par l'intermediaire de son site internet. Dans tous les cas, la convocation est adressee au moins quinze jours avant la date de la seance publique.

A la date fixee pour cette seance publique, le responsable du service en cause comparait en personne ou par l'intermediaire d'un representant. Le defaut de comparution personnelle ou de representation ne fait pas obstacle a la poursuite de la procedure.

IV. - A l'issue de la seance publique mentionnee au III, l'autorite delibere sur l'inscription du service de communication au public en ligne sur la liste mentionnee au I. L'autorite delibere hors la presence du rapporteur.

La deliberation, prise apres procedure contradictoire, par laquelle l'autorite estime qu'un service de communication au public en ligne a porte atteinte, de maniere grave et repetee, aux droits d'auteur ou aux droits voisins et par laquelle elle decide, en consequence, de l'inscrire sur la liste mentionnee au meme I est motivee. L'autorite fixe la duree de l'inscription sur la liste mentionnee audit I, qui ne peut exceder douze mois.

La deliberation est publiee sur le site internet de l'autorite et notifiee au service en cause par voie electronique, dans les conditions prevues au premier alinea du III.

A tout moment, le service de communication au public en ligne peut demander a l'autorite d'etre retire de la liste mentionnee au I des lors qu'il justifie du respect des droits d'auteur et des droits voisins. L'autorite statue sur cette demande par une decision motivee rendue apres une seance publique organisee selon les modalites definies au III.

V. - La liste mentionnee au I peut etre utilisee par les signataires des accords volontaires prevus a l'article L. 331-12. Pendant toute la duree de l'inscription sur cette liste, les annonceurs, leurs mandataires, les services mentionnes au 2° du II de l'article 299 du code general des impots et toute autre personne en relation commerciale avec les services mentionnes au I du present article, notamment pour pratiquer des insertions publicitaires ou procurer des moyens de paiement, rendent publique, au moins une fois par an, dans des conditions precisees par l'autorite, l'existence de ces relations et les mentionnent, le cas echeant, dans le rapport de gestion prevu au II de l'article L. 232-1 du code de commerce.

VI. - L'inscription, par l'autorite, sur la liste prevue au I du present article ne constitue pas une etape prealable necessaire a toute sanction ou voie de droit que les titulaires de droits peuvent directement solliciter aupres du juge.

Paragraphe 3

Lutte contre les sites miroirs

Art. L. 331-26. - I. - Lorsqu'une decision judiciaire passee en force de chose jugee a ordonne toute mesure propre a empecher l'acces a un service de communication au public en ligne en application de l'article L. 336-2, l'Autorite de regulation de la communication audiovisuelle et numerique, saisie par un titulaire de droits partie a la decision judiciaire, peut demander a toute personne visee par cette decision, pour une duree ne pouvant exceder celle restant a courir pour les mesures ordonnees par le juge, d'empecher l'acces a tout service de communication au public en ligne reprenant en totalite ou de maniere substantielle le contenu du service mentionne par ladite decision. Pour l'application du present I, l'Autorite de regulation de la communication audiovisuelle et numerique communique precisement les donnees d'identification du service en cause, selon les modalites qu'elle definit.

Dans les memes conditions, l'autorite peut egalement demander a tout exploitant de moteur de recherche, annuaire ou autre service de referencement de faire cesser le referencement des adresses electroniques donnant acces a ces services de communication au public en ligne.

Pour faciliter l'execution des decisions judiciaires mentionnees a l'article L. 336-2, l'autorite adopte des modeles d'accord, qu'elle invite les ayants droit et toute personne susceptible de contribuer a remedier aux atteintes aux droits d'auteur et droits voisins en ligne a conclure. L'accord determine notamment les conditions d'information reciproque des parties sur l'existence de tout service de communication au public en ligne reprenant en totalite ou de maniere substantielle le contenu du service vise par la decision. Il engage toute personne susceptible de contribuer a remedier aux atteintes aux droits d'auteur et droits voisins en ligne, partie a l'accord, a prendre les mesures prevues par la decision judiciaire.

II. - En cas de difficulte relative a l'application des premier ou deuxieme alineas du I, l'Autorite de regulation de la communication audiovisuelle et numerique peut demander aux services de se justifier. Sans prejudice d'une telle demande, l'autorite judiciaire peut etre saisie, en refere ou sur requete, pour ordonner toute mesure destinee a faire cesser l'acces a ces services. Cette saisine s'effectue sans prejudice de la saisine prevue a l'article L. 336-2.

第331-12条 視聴覚及びデジタル通信規制機関は次の責務を遂行する:

第1号 オンライン公衆通信サービスの提供のために用いられる電気通信網において、著作権、著作隣接権又はスポーツ法第333-10条に記載された視聴覚利用権に対してなされた侵害に関し、それらの権利が付与されている著作物及び対象の保護の責務。

それは、あらゆる公衆における、特に学術的及び大学の公衆における、注意喚起及び予防を行う;

第2号 オンライン公衆通信サービスの提供のために用いられる電気通信網において、著作権、著作隣接権又はスポーツ法第333-10条に記載された視聴覚利用権により保護される著作物及び対象の合法提供の発展の推進及び合法又は違法利用の観察の責務;

第3号 保護される著作物及び対象の保護及び特定のための技術的手段の領域における規制及び監督の責務

これらの責務の名において、機関はあらゆる手段、特に勧告、良いプラクティスのガイド、モデル、条項類型並びに、一方で、本法の第331-19条(訳注:条文ずれにより、改正後の3ストライク勧告送付に対応する条項)に記載された保護のための手段の存在について公衆に知らせる事を、他方で、オンライン公衆通信サービスの提供のために用いられる電気通信網において、著作権、著作隣接権又はスポーツ法第333-10条に記載された視聴覚利用権の侵害の改善に寄与すると考えられる自主的な取り決めの署名を促進する事を目的とする行為規範を用いる。

機関は、締結された取り決めの有効性を評価する。この目的のために、機関は、当事者からその運用に関して有益なあらゆる情報を求める事ができる。機関は、その様な取り決めの締結を促進するための勧告及びその実行又はその締結の段階において起こり得る困難を取り除くため提案をなし得る。

(権利侵害サービスリストの作成)
第331-24条

第1項 第331-12条の第1号に記載された責務の名において、視聴覚及びデジタル通信規制機関は、検討の対象として、その枠内で、そのサービスが、重大かつ繰り返しのやり方で著作権及び著作隣接権の侵害をもたらしたと認められたオンライン公衆通信サービス者の名前と行為の記入リストを公表する事ができる。

第2項(略:機関職員の権限等に関する条項)

第3項 機関は、その観察を活用し、あらゆる正当化要素を提出するために、公開の審議会に、オンライン公衆サービスの責任者を召喚する。この召喚は、デジタル経済における信用のための2004年6月21日の法律第2004-575号の第19条第2項に記載された情報に基づき、電子的な方法によって実施される。この情報が入手できない場合、機関はそのインターネットサイトを介して関係するサービスに通知する。いかなる場合でも、公開の審議会の日の少なくとも十五日前に召喚は出される。

この公開の審議会のために決められた日において、問題となるサービスの責任者は自身又は代理により出席する。この自身又は代理による出席がなくとも、それは手続きの継続に対する障害とはならない。

第4項 第3項に記載された公開の審議会の結果として、機関は、第1項に記載されたリストへのオンライン公衆通信サービスの記入について検討する。機関は報告官の同席なく検討する。

検討は対立する手続きの後になされるものであり、それにより機関はオンライン公衆通信サービスが重大かつ繰り返しのやり方で著作権又は著作隣接権の侵害をもたらしているかを評価し、それにより機関は最終的に同第1項に記載されたリストへの記入に理由があるかを決定する。機関は、上記の第1項に記載されたリストに記入される期間を定める、それは十二ヶ月を超える事はできない。

検討は機関のインターネットサイトで公開され、第3項第1段落に規定された条件で、電子的な方法によって問題となるサービスに通知される。

いつでも、オンライン公衆通信サービスは、著作権及び著作隣接権の尊重について正当化できた場合には、機関に第1項のリストからの除外を求める事ができる。機関は第3項に定められた方式に従い組織される公開の審議会の後になされる理由つきの決定によりその求めについて裁決する。

第5項 第1項に記載されたリストは第331-12条に規定された自主的な取り決めの署名者によって用いられ得る。このリストへの記入が継続している間中、税法第299条第2項第2号に記載された、告知者、受託者、サービス、及び、本条第1項に記載されたサービスと商業的関係にあるその他のあらゆる者、特に広告を実施し又は支払い手段を持つ者は、少なくとも1年に一度、機関によって規定される条件で、その関係の存在を公表し、それができない場合には、商法愛232-1条の第2項に規定される経営報告においてその関係について言及する。

第6項 機関による、本条第1項に規定されたリストへの記入は、権利者が直接裁判所に求める事のできるあらゆる刑罰又は権利行使に必要な事前段階を構成しない。

(ミラーサイト対策)
第331-26条

第1項 裁判事項についての確定司法判決が、第336-2条の適用により、公衆通信サービスへのアクセスの阻害のため適当と見られるあらゆる手段を命じた場合、視聴覚及びデジタル通信規制機関は、司法判決の当事者である権利者の請求を受け、この判決が向けられたあらゆる者に、裁判官によって命じられた手段のために残されている期間を超えない期間の間、全体について又は実質的なやり方でこの判決が言及するサービスのコンテンツについて、全オンライン公衆通信サービスへのアクセスの阻害を求める事ができる。本第1項の適用のため、視聴覚及びデジタル通信規制機関は、それが定める方式に従い、問題となるサービスを特定するデータを正確に伝える。

同じ条件により、機関は等しく、あらゆる検索エンジン、年鑑又はその他の参照サービスの開発者に、そのオンライン公衆通信サービスへのアクセスを与える電子的アドレスの参照の停止を求める事ができる。

第336-2条に記載された司法判決の実行を容易にするため、機関は、権利者並びにオンラインでの著作権及び著作隣接権の侵害を改善するのに寄与すると考えられるあらゆる者に締結を促す取り決めのモデルを採択する。取り決めは、特に、判決が向けられた、全体について又は実質的なやり方でのサービスのコンテンツについての全オンライン公衆通信サービスの存在に関する当事者間の相互の情報について定める。それは、取り決めの当事者である、オンラインでの著作権及び著作隣接権の侵害を改善するのに寄与すると考えられるあらゆる者に司法判決により規定される手段を取る事を促す。

第2項 第1項の第1又は2段落の適用に関して困難がある場合、視聴覚及びデジタル通信規制機関は、サービスに対して自身の正当化を求める事ができる。この様な求めに関わらず、司法機関は、そのサービスへのアクセスを停止させるために定められたあらゆる手段を命じる、仮処分のための請求を受ける事ができる。この請求は、第336-2条に規定された請求に関わらず、実行される。

 上の部分でも少し書かれている様に、スポーツの違法配信対策についてスポーツ法の改正なども含まれており、この新しい機関の責務とされているが、この法改正は、要するに、元の3ストライク機関(インターネットにおける著作物の頒布と著作権の保護のための高等機関:Hadopi)と、テレビなどの規制当局である視聴覚評議会(CSA)を統合して、視聴覚及びデジタル通信の規制機関(Arcom)とし、P2Pにおける違法ファイル共有に対する警告通知の業務を温存しながら、新たに問題となって来ていた違法ストリーミング、ダウンロードへの対応として、違法サービスのブラックリスト作成等の業務を新機関のものとして追加するものである。

 今のところ、フランスとしては、過去にネット切断の罰こそ廃止したものの、3ストライクポリシーを維持する考えのようで、さらに違法サービスのブラックリスト作成等の業務を追加するなど、行政機関の焼け太りを狙っているとしか思えない。違法サイトの削除要請などは既に民間の自主的な取り組みが進んでいるところで、そこに行政が介入する意味がそれほどあるとは思えず、行政機関が作成し公開する硬直的なブラックリストの様なもので無理に介入しようとするとかえって悪い影響を及ぼすのではないかと私には思える。司法判決の執行補助機関としても新機関を使いたい様だが、判決の執行に問題があるとしたら、司法の問題として対処を検討するべきであって、権限の曖昧な行政機関に補助させる事にどれほどの意味があるのか甚だ疑問である。

 上でも書いた通り、この条文は、政府案から、上下院の修正可決、両院委員会での統一案協議、上下院での再可決という流れの中で紆余曲折を経てできた妥協の産物であって、追加された業務も結局何をしたいのか良く分からず、このまま施行されたとしても、現行の3ストライクポリシー同様(今なおフランス政府はその間違いを認めていないが)、ほとんど無意味なものに終わるのではないかと私は見ている。

 条文に書かれている新機関の権限は全体的に曖昧なので、違憲無効とまでは言いづらい様に思うが、憲法裁判所の判断で条文がさらに変わる可能性はあり、その判決が出たら、また紹介したいと思っている。

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