第421回:閣議決定された著作権法改正案のダウンロード違法化・犯罪化の対象範囲拡大関連条文
去年見送りになったダウンロード違法化・犯罪化の対象範囲の拡大を含む著作権法改正案が、3月10日に閣議決定され、文科省のHPで公開された。第419回で取り上げた文化庁の議論のまとめに与党自民党の知的財産戦略調査会の申し入れの内容を加えた想定通りのものだが、ここで、その内容を見ておきたいと思う。
概要としては、要綱(pdf)で見てもいいが、概要資料(pdf)の見出しで、
1.インターネット上の海賊版対策の強化
①リーチサイト対策【第113条第2項~第4項、第119条第2項第4号・第5号、第120条の2第3号等】
②侵害コンテンツのダウンロード違法化【第30条第1項第4号・第2項、第119条第3項第2号・第5項等】2.その他の改正事項
①写り込みに係る権利制限規定の対象範囲の拡大【第30条の2】
②行政手続に係る権利制限規定の整備(地理的表示法・種苗法関係)【第42条第2項】
③著作物を利用する権利に関する対抗制度の導入【第63条の2】
④著作権侵害訴訟における証拠収集手続の強化【第114条の3】
⑤アクセスコントロールに関する保護の強化【第2条第1項第20号・第21号、第113条第7項、第120条の2第4号等】
⑥プログラムの著作物に係る登録制度の整備(プログラム登録特例法)【プログラム登録特例法第4条、第26条等 】
とある通りで、これらの項目のうち、昨年提出を目論んだ著作権法改正条文案との間で違いがある項目は、「1.①リーチサイト対策」で、親告罪化、プラットフォーマーの原則除外、「1.②侵害コンテンツのダウンロード違法化」で、軽微なものの除外、二次創作物における原著作権者の権利の除外、著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合の除外、「2.①写り込みに係る権利制限規定の対象範囲の拡大」で法改正項目自体の追加(これによりダウンロード違法化・犯罪化についても写り込みの場合が適法化される)という事になる。(昨年閣議決定されなかった条文案については第406回参照)
(1)ダウンロード違法化・犯罪化の対象範囲の拡大関連
新旧対照条文(pdf)又は案文(pdf)から、まずダウンロード違法化・犯罪化の対象拡大について、関連条文を抜き出すと以下の様になる。(下線が改正部分)
(私的使用のための複製)
第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
一・二(略)
三 著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。次号において同じ。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実(以下この号及び次項において「特定侵害録音録画」という。)を、特定侵害録音録画であることを知りながら行う場合
四 著作権(第二十八条に規定する権利(翻訳以外の方法により創作された二次的著作物に係るものに限る。)を除く。以下この号において同じ。)を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の複製(録音及び録画を除く。以下この号において同じ。)(当該著作権に係る著作物のうち当該複製がされる部分の占める割合、当該部分が自動公衆送信される際の表示の精度その他の要素に照らし軽微なものを除く。以下この号及び次項において「特定侵害複製」という。)を、特定侵害複製であることを知りながら行う場合(当該著作物の種類及び用途並びに当該特定侵害複製の態様に照らし著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合を除く。)2 前項第三号及び第四号の規定は、特定侵害録音録画又は特定侵害複製であることを重大な過失により知らないで行う場合を含むものと解釈してはならない。
3(略)
(付随対象著作物の利用)
第三十条の二 写真の撮影、録音又は録画、録画、放送その他これらと同様に事物の影像又は音を複製し、又は複製を伴うことなく伝達する行為(以下この項において「写真の撮影等」という。)の方法によつて著作物を創作する複製伝達行為」という。)を行うに当たつて、当該著作物(以下この条において「写真等著作物」という。)に係る写真の撮影等のその対象とする事物又は音から分離することが困難であるため付随して対象となる事物又は音に係る他の著作物(当該写真等著作物における(以下この項において「複製伝達対象事物等」という。)に付随して対象となる事物又は音(複製伝達対象事物等の一部を構成するものとして対象となる事物又は音を含む。以下この項において「付随対象事物等」という。)に係る著作物(当該複製伝達行為により作成され、又は伝達されるもの(以下この条において「作成伝達物」という。)のうち当該著作物の占める割合、当該作成伝達物における当該著作物の再製の精度その他の要素に照らし当該作成伝達物において当該著作物が軽微な構成部分となるもの場合における当該著作物に限る。以下この条において「付随対象著作物」という。)は、当該創作に伴つて複製する付随対象著作物の利用により利益を得る目的の有無、当該付随対象事物等の当該複製伝達対象事物等からの分離の困難性の程度、当該作成伝達において当該付随対象著作物が果たす役割その他の要素に照らし正当な範囲内において、当該複製伝達行為に伴つて、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該複製利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。2 前項の規定により複製された利用された付随対象著作物は、同項に規定する写真等著作物当該付随対象著作物に係る作成伝達物の利用に伴つて、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りではない。
第百十九条(略)
2(略)
3 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三十条第一項に定める私的使用の目的をもつて、録音録画有償著作物等(録音され、又は録画された著作物又は実演等(著作権又は著作隣接権の目的となつているものに限る。)であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいう。)の著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)又は著作隣接権を侵害する送信可能化(国外で行われる送信可能化であつて、国内で行われたとしたならば著作隣接権の侵害となるべきものを含む。)に係る自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の録音又は録画(以下この号及び次項において「有償著作物等特定侵害録音録画」という。)を、自ら有償著作物等特定侵害録音録画であることを知りながら行つて著作権又は著作隣接権を侵害した者
二 第三十条第一項に定める私的使用の目的をもつて、著作物(著作権の目的となつているものに限る。以下この号において同じ。)であつて有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権を侵害しないものに限る。)の著作権(第二十八条に規定する権利(翻訳以外の方法により創作された二次的著作物に係るものに限る。)を除く。以下この号及び第五項において同じ。)を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の複製(録音及び録画を除く。以下この号において同じ。)(当該著作権に係る著作物のうち当該複製がされる部分の占める割合、当該部分が自動公衆送信される際の表示の精度その他の要素に照らし軽微なものを除く。以下この号及び第五項において「有償著作物等特定侵害複製」という。)を、自ら有償著作物等特定侵害複製であることを知りながら行つて著作権を侵害する行為(当該著作物の種類及び用途並びに当該有償著作物等特定侵害複製の態様に照らし著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合を除く。)を継続的に又は反復して行つた者4 前項第一号に規定する者には、有償著作物等特定侵害録音録画を、自ら有償著作物等特定侵害録音録画であることを重大な過失により知らないで行つて著作権又は著作隣接権を侵害した者を含むものと解釈してはならない。
5 第三項第二号に規定する者には、有償著作物等特定侵害複製を、自ら有償著作物等特定侵害複製であることを重大な過失により知らないで行つて著作権を侵害する行為を継続的に又は反復して行つた者を含むものと解釈してはならない。
テクニカルな修正もあるが、これらの条文案で民事の第30条第1項第4号と刑事の第119条第3項第2号で、それぞれ、「当該著作物の種類及び用途並びに当該特定侵害複製の態様に照らし著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合を除く」、「当該著作物の種類及び用途並びに当該有償著作物等特定侵害複製の態様に照らし著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合を除く」と、与党自民党の申し入れを受けて、著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合を除くとした事が文化庁の議論のまとめ時点からの最大の違いである。(その時点と申し入れの話については第419回参照)
この著作権法改正案の説明資料(pdf)や参考資料(pdf)、文化庁のHPで公開されたQ&A(基本的な考え方)(pdf)は、相変わらず、被害推定や法改正の有効性、諸外国の状況などについて、法改正の結論ありきで片寄った主張を垂れ流しているもので、ダウンロード違法化・犯罪化の本質的な問題に対する答えにまるでなっていないが、著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合について言えば、このQ&Aで、
問20「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合を除く」と規定することとしたのはなぜか。具体的にどのような場合がこれに該当するのか。
(答)
1.国民の正当な情報収集等への萎縮を防止するため,様々な要素に照らして,違法化対象からの除外を判断できるバスケットクローズ規定(安全弁)を設けることとしたものです。2.ただし,海賊版対策の実効性が低下することを避ける観点から,①ユーザー側が「不当に害しないと認められる特別な事情」があることを立証する必要があることとする(その立証ができない場合には,ダウンロードは違法となる)(※1)(※2)とともに,②居直り的な利用を確実に防止する(※3)ため,このような規定としています。(※1) 侵害コンテンツ(かつ,軽微でも二次創作・パロディでもないもの=相当分量のデッドコピー)をそうと知りながら利用している以上は,ユーザー側が例外的に「不当に害しないと認められる特別な事情」がある場合だという立証をすることが適当だと考えています。
(※2)なお,刑事罰の場合は,検察が「不当に害しないと認められる特別な事情」がないことを立証する必要があります。
(※3) 漫画の海賊版などを楽しむためにダウンロードしているような場合には,およそ「不当に害しないと認められる特別な事情」がある場合に該当しないことは明らかであるため,居直り(行き過ぎた主張)を確実に防止できます。3.この要件に該当するか否かは,(ア)著作物の種類・経済的価値などを踏まえた保護の必要性の程度,(イ)ダウンロードの目的・必要性などを含めた態様,という2つの要素によって判断されるものです。
典型的には,①詐欺集団の作成した詐欺マニュアル(著作物)が,被害者救済団体によって告発サイトに無断掲載(違法アップロード)されている場合に,それを自分や家族を守る目的でダウンロードすること,②無料で提供されている論文(著作物)の相当部分が,他の研究者のウェブサイトに批判ととともに無断転載(引用の要件は満たしていない=違法アップロード)されている場合に,それを全体として保存すること,③有名タレントのSNSに,おすすめイベントを紹介するためにそのポスター(著作物)が無断掲載(違法アップロード)されている場合に,そのSNS投稿を保存することなどが,これに該当します。
と書かれ、案の定、文化庁はそれなりに正当化自由を積極的に必要とする解釈をしていると知れる。
前回載せた知財計画パブコメや第419回までで書いて来ている通りだが、昨年と比べたときの追加の要件・法改正項目で、スクリーンショットで違法画像が付随的に入り込む場合や、ストーリー漫画の数コマ、論文の数行、粗いサムネイル画像のダウンロードの場合といった僅かな場合が除かれ、また、著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合を除外する事で、それなりの正当化事由を示せる様な特別な事情がある場合が除かれるが、これは本質的な問題の解消に繋がるものではなく、なお、利用者が通常するであろう多くの場合のカジュアルなスクリーンショット、ダウンロード、デジタルでの保存行為が違法・犯罪となる可能性が出て来、場合によって意味不明の萎縮が発生する恐れがある事に変わりはない。これは、今の録音録画に関するダウンロード違法化・犯罪化同様、海賊版対策としては何の役にも立たない、百害あって一利ない最低最悪の著作権法改正の一つとなるものである。
(2)リーチサイト規制関連
次に、リーチサイト規制関連についても主な改正条文を抜き出しておくと以下の様になる。
(侵害とみなす行為)
第百十三条(略)
2 送信元識別符号又は送信元識別符号以外の符号その他の情報であつてその提供が送信元識別符号の提供と同一若しくは類似の効果を有するもの(以下この項及び次項において「送信元識別符号等」という。)の提供により侵害著作物等(著作権(第二十八条に規定する権利(翻訳以外の方法により創作された二次的著作物に係るものに限る。)を除く。以下この項及び次項において同じ。)、出版権又は著作隣接権を侵害して送信可能化が行われた著作物等をいい、国外で行われる送信可能化であつて国内で行われたとしたならばこれらの権利の侵害となるべきものが行われた著作物等を含む。以下この項及び次項において同じ。)の他人による利用を容易にする行為(同項において「侵害著作物等利用容易化」という。)であつて、第一号に掲げるウェブサイト等(同項及び第百十九条第二項第四号において「侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等」という。)において又は第二号に掲げるプログラム(次項及び同条第二項第五号において「侵害著作物等利用容易化プログラム」という。)を用いて行うものは、当該行為に係る著作物等が侵害著作物等であることを知つていた場合又は知ることができたと認めるに足る相当の理由がある場合には、当該侵害著作物等に係る著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。
一 次に掲げるウェブサイト等
イ 当該ウェブサイト等において、侵害著作物等に係る送信元識別符号等(以下この条及び第百十九条第二項において「侵害送信元識別符号等」という。)の利用を促す文言が表示されていること、侵害送信元識別符号等が強調されていることその他の当該ウェブサイト等における侵害送信元識別符号等の提供の態様に照らし、公衆を侵害著作物等に殊更に誘導するものであると認められるウェブサイト等
ロ イに掲げるもののほか、当該ウェブサイト等において提供される侵害送信元識別符号等の数、当該数が当該ウェブサイト等において提供される送信元識別符号等の総数に占める割合、当該侵害送信元識別符号等の利用に資する分類又は整理の状況その他の当該ウェブサイト等における侵害送信元識別符等の提供の状況に照らし、主として公衆による侵害著作物等の利用のために用いられるものであると認められるウェブサイト等
二 次に掲げるプログラム
イ 当該プログラムによる送信元識別符号等の提供に際し、侵害送信元識別符号等の利用を促す文言が表示されていること、侵害送信元識別符号等が強調されていることその他の当該プログラムによる侵害送信元識別符号等の提供の態様に照らし、公衆を侵害著作物等に殊更に誘導するものであると認められるプログラム
ロ イに掲げるもののほか、当該プログラムにより提供されている侵害送信元識別符号等の数、当該数が当該プログラムにより提供されている送信元識別符号等の総数に占める割合、当該侵害送信元識別符号等の利用に資する分類又は整理の状況その他の当該プログラムによる侵害送信元識別符号等の提供の状況に照らし、主として公衆による侵害著作物等の利用のために用いられるものであると認められるプログラム3 侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等に該当するウェブサイト等の公衆への提示を行つている者(当該侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等と侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等以外の相当数のウェブサイト等とを包括しているウェブサイト等において、単に当該公衆への提示の機会を提供したに過ぎない者(著作権者等からの当該侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等において提供されている侵害送信元識別符号等の削除に関する請求に正当な理由なく応じない状態が相当期間にわたり継続していたことその他の著作権者等の利益を不当に害すると認められる特別な事情がある場合を除く。)を除く。) 又は侵害著作物等利用容易化プログラムの公衆への提供等を行つている者(当該公衆への提供等のために用いられているウェブサイト等とそれ以外の相当数のウェブサイト等とを包括しているウェブサイト等又は当該侵害著作物等利用容易化プログラム及び侵害著作物等利用容易化プログラム以外の相当数のプログラムの公衆への提供等のために用いられているウェブサイト等において、単に当該侵害著作物等利用容易化プログラムの公衆への提供等の機会を提供したに過ぎない者(著作権者等からの当該侵害著作物等利用容易化プログラムにより提供されている侵害送信元識別符号等の削除に関する請求に正当な理由なく応じない状態が相当期間にわたり継続していたことその他の著作権者等の利益を不当に害すると認められる特別な事情がある場合を除く。)を除く。) が、当該侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等において又は当該侵害著作物等利用容易化プログラムを用いて他人による侵害著作物等利用容易化に係る送信元識別符号等の提供が行われていることを知つている場合であつて、かつ、当該送信元識別符号等に係る著作物等が侵害著作物等であることを知つている場合又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由がある場合において、当該侵害著作物等利用容易化を防止する措置を講ずることが技術的に可能であるにもかかわらず当該措置を講じない行為は、当該侵害著作物等に係る著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。
4 前二項に規定するウェブサイト等とは、送信元識別符号のうちインターネットにおいて個々の電子計算機を識別するために用いられる部分が共通するウェブページ(インターネットを利用した情報の閲覧の用に供される電磁的記録で文部科学省令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)の集合物(当該集合物の一部を構成する複数のウェブページであつて、ウェブページ相互の関係その他の事情に照らし公衆への提示が一体的に行われていると認められるものとして政令で定める要件に該当するものを含む。)をいう。
5~10(略)
第百十九条(略)
2 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一~三(略)
四 侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等の公衆への提示を行つた者(当該侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等と侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等以外の相当数のウェブサイト等(第百十三条第四項に規定するウェブサイト等をいう。以下この号及び次号において同じ。)とを包括しているウェブサイト等において、単に当該公衆への提示の機会を提供したに過ぎない者(著作権者等からの当該侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等において提供されている侵害送信元識別符号等の削除に関する請求に正当な理由なく応じない状態が相当期間にわたり継続していたことその他の著作権者等の利益を不当に害すると認められる特別な事情がある場合を除く。)を除く。)
五 侵害著作物等利用容易化プログラムの公衆への提供等を行つた者(当該公衆への提供等のために用いられているウェブサイト等とそれ以外の相当数のウェブサイト等とを包括しているウェブサイト等又は当該侵害著作物等利用容易化プログラム及び侵害著作物等利用容易化プログラム以外の相当数のプログラムの公衆への提供等のために用いられているウェブサイト等において、単に当該侵害著作物等利用容易化プログラムの公衆への提供等の機会を提供したに過ぎない者(著作権者等からの当該侵害著作物等利用容易化プログラムにより提供されている侵害送信元識別符号等の削除に関する請求に正当な理由なく応じない状態が相当期間にわたり継続していたことその他の著作権者等の利益を不当に害すると認められる特別な事情がある場合を除く。)を除く。)
六(略)第百二十条の二 次の各号のいすれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、文はこれを併科する。
一・二(略)
三 第百十三条第二項の規定により、著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者
四~五(略)
リーチサイト規制については、親告罪とされた事とプラットフォーマーの原則除外でかなり緩和が図られているとは思うが(一応配慮規定の附則も追加されるようである)、前回載せたパブコメなどでも書いて来ている通り、この様な法改正の本質的な必要性に疑問があり、このそもそもの必要性についての議論が深められる事なく進められようとしている事に私は反対である。
ダウンロードの違法化・犯罪化の対象範囲の拡大、リーチサイト規制に加えてアクセスコントロール保護強化についてもやはり反対であって、国政における他の重要法改正・事項の審議・検討のどさくさ紛れに、その本質的な問題について十分な審議が尽くされる事なくこの著作権法改正が通らない事を、繰り返し言っている事だが、特に危険なダウンロード違法化・犯罪化についてはこれを規定する全条文が速やかに削除される事を私は心から願っている。
(2020年3月15日夜の追記:上の条文で幾つかあった転記ミスを修正し、合わせ削除部分も追記した。)
| 固定リンク
「文化庁・文化審議会著作権分科会」カテゴリの記事
- 第492回:文化庁の2月29日時点版「AIと著作権に関する考え方について」の文章の確認(2024.03.03)
- 第490回:「AIと著作権に関する考え方について(素案)」に関する意見募集(2月12日〆切)に対する提出パブコメ(2024.01.28)
- 第488回:2023年の終わりに(文化庁のAIと著作権に関する考え方の素案、新秘密特許(特許非公開)制度に関するQ&A他)(2023.12.28)
- 第487回:文化庁のAIと著作権に関する考え方の骨子案と総務省のインターネット上の誹謗中傷対策とりまとめ案(2023.12.10)
- 第473回:閣議決定された著作権法改正案の条文(2023.03.12)
「著作権」カテゴリの記事
- 第477回:生成AI(人工知能)と日本の著作権法(2023.04.30)
- 第473回:閣議決定された著作権法改正案の条文(2023.03.12)
- 第467回:10月5日の文化庁・基本政策小委員会で出された、ブルーレイへの私的録音録画補償金拡大に関する意見募集の結果概要とそれに対する文化庁の考え方について(2022.10.09)
- 第466回:文化庁によるブルーレイに私的録音録画補償金の対象を拡大する政令改正案に関する意見募集(9月21日〆切)への提出パブコメ(2022.09.11)
- 第465回:文化庁による実質的にブルーレイを私的録音録画補償金の対象に追加しようとする政令改正案に関するパブコメの開始(9月21日〆切)(2022.08.28)
コメント
こんばんわ。
どうやら日本漫画家協会と出版広報センターがこのコロナ禍の猛威を振るっている時期に関わらず、著作権の早期改正を求める要望書を出したみたいですよ。
https://twitter.com/fujisue/status/1252234673452802057
正直ただでさえ緊急事態宣言や外出自粛や営業自粛等が立て続き、経済への悪影響が言われ出して、このコロナ禍における企業や国民への補償や大恐慌への事前の対策、また医療や衛生や保険方面の対策が必須の時期であり、今やコロナ禍の対策が急務でそれ以外の法案は凍結すべき時期にあるにも関わらず、ここまで空気の読めない行動をしているのを見ても出版界隈の人達は身勝手な人達ばかりで自分以外はどうでも良いのだなと思い知らされますね。
色々な意味で危機感がなく平和ボケをしているのだと思います。
しかし兎園さんのツイートを見ていても読み聞かせ動画の無断公開やめてと言うニュースや和牛遺伝子は「知的財産」とか言うニュースを見ていても色々な意味で著作権法や知的財産と言う概念自体が歪んできてしまっているなと感じます。
それでは失礼します。
投稿: 匿名 | 2020年4月21日 (火) 20時42分
コメントありがとうございます。
ダウンロード違法化・犯罪化の対象範囲拡大を含む著作権法改正をそこまで急がなければならない理由はないと思いますが、どさくさ紛れに国会を通されそうで心配です。
私としては常にこの著作権法改正が通らない事を願っています。
投稿: 兎園 | 2020年4月22日 (水) 22時02分