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2019年12月29日 (日)

第418回:2019年の終わりに(文化庁第2回検討会のダウンロード違法化・犯罪化対象範囲拡大条文案他)

 もう年末年始に入り、今年も政策に絡むイベントは一通り終わったと思うので、文化庁のダウンロード違法化・犯罪化対象範囲拡大検討会の第2回資料に加えて、あまり触れて来なかった著作権以外の知財政策動向についてまとめて書いておきたいと思う。

 今年の知財政策における最大の論点はダウンロード違法化・犯罪化の対象範囲拡大の検討だろうが、文化庁は、11月27日に第1回の侵害コンテンツのダウンロード違法化の制度設計等に関する検討会を開催した後、12月18日に第2回を開催し(議事次第・資料参照)、次の第3回を年明け早々1月7日に開催するとしており(開催案内参照)、異常なハイペースで検討を進めようとしている。

 第1回の資料について前回書いた通りで、追加で多く書く事もないのだが、第2回の資料1(pdf)では、以下の様な、写り込みの権利制限の拡充と合わせて対象から軽微なものを除く条文案が示されている。(以下では、資料から条文案だけを抜き出し、順序を条文順に改めた。)

(私的使用のための複製)
第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
(略)
 著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。次号において同じ。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画(以下この号及び次項において「特定侵害録音録画」という。)を、特定侵害録音録画であることを知りながら行う場合
 著作権を侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の複製(録音及び録画を除く。以下この号において同じ。)(その著作物のうちその複製に供される部分の占める割合、その複製に供される際の表示の精度その他の要素に照らし軽微なものを除く。以下この号及び次項において「特定侵害複製」という。)を、特定侵害複製であることを知りながら行う場合

 前項第三号及び第四号の規定は、特定侵害録音録画又は特定侵害複製であることを重大な過失により知らないで行う場合を含むものと解釈してはならない。

3(略)

(付随対象著作物の利用)
第三十条の二 写真の撮影、録音、録画、放送その他これらと同様に事物の影像又は音を複製し、又は複製を伴うことなく伝達する行為(以下この項において「複製伝達行為」という。)を行うに当たつて、その対象とする事物又は音(以下この項において「複製伝達対象事物等」という。)に付随する事物又は音(複製伝達対象事物等の一部を構成するものとして対象となる事物又は音を含む。以下この項において「付随対象事物等」という。)に係る著作物(複製伝達行為により作成され、又は伝達されるもの(以下この条において「作成伝達物」という。)のうち当該著作物の占める割合、作成伝達物における当該著作物の再製の精度その他の要素に照らし当該作成伝達物における軽微な構成部分となるものに限る。以下この条において「付随対象著作物」という。)は、当該複製伝達行為が営利を目的とするものであるか否かの別、当該付随対象事物等の当該複製伝達対象事物等からの分離の困難性の程度、当該作成伝達物の性質と当該付随対象著作物との関連性の程度その他の要素に照らし正当な範囲内において、当該複製伝達行為に伴つて、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

 前項の規定により利用された付随対象著作物は、当該付随対象著作物に係る作成伝達物の利用に伴つて、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りではない。

第百十九条(略)
(略)
 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 第三十条第一項に定める私的使用の目的をもつて、録音録画有償著作物等(録音され、又は録画された著作物又は実演等(著作権又は著作隣接権の目的となつているものに限る。)であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいう。)の著作権を侵害する自動公衆送信又は著作隣接権を侵害する送信可能化に係る自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきもの又は著作隣接権の侵害となるべき送信可能化に係るものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画(以下この号及び次項において「有償著作物等特定侵害録音録画」という。)を、自ら有償著作物等特定侵害録音録画であることを知りながら行つて著作権又は著作隣接権を侵害した者
 第三十条第一項に定める私的使用の目的をもつて、著作物(著作権の目的となつているものに限る。以下この号において同じ。)であつて有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権を侵害しないものに限る。)の著作権(第二十八条に規定する権利を除く。以下この号及び第五項において同じ。)を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の複製(録音及び録画を除く。以下この号において同じ。)(その著作物のうちその複製に供される部分の占める割合、その複製に供される際の表示の精度その他の要素に照らし軽微なものを除く。以下この号及び第五項において「有償著作物等特定侵害複製」という。)を、自ら有償著作物等特定侵害複製であることを知りながら行つて著作権を侵害する行為を継続的に又は反復して行つた者

 前項第一号に規定する者には、有償著作物等特定侵害録音録画を、自ら有償著作物等特定侵害録音録画であることを重大な過失により知らないで行つて著作権又は著作隣接権を侵害した者を含むものと解釈してはならない。

 第三項第二号に規定する者には、有償著作物等特定侵害複製を、自ら有償著作物等特定侵害複製であることを重大な過失により知らないで行つて著作権を侵害する行為を継続的に又は反復して行つた者を含むものと解釈してはならない。

 この様な条文案に加えて、資料2(pdf)で、除外される軽微なものの基準は、その著作物全体の分量から見てダウンロードされる分量がごく小部分である場合や、それ自体では鑑賞に堪えないような粗い画像をダウンロードした場合などであるとしている。

 この様な条文案と基準によれば、文化庁が資料3(pdf)で示している通り、スクリーンショットで違法画像が付随的に入り込む場合や、ストーリー漫画の数コマ、論文の数行、粗いサムネイル画像のダウンロードの場合といった僅かな場合は除かれるだろうが、利用者が通常するであろうほとんどあらゆる場合のカジュアルなスクリーンショット、ダウンロード、デジタルでの保存行為が違法・犯罪となる可能性が出て来、意味不明の萎縮が発生するだろう事に変わりはないのであって、文化庁は国民の声・懸念に対し何ら聞く耳を持っていないとしか私には思えない。(ここで常々書いている通り、同じく問題のある現行の映像音楽に関するダウンロード違法化・犯罪化も本来なされるべきでなかったものであると私は考えている。)

 この資料では、さらに「二次創作作品・パロディなどのダウンロードを対象から除外」する場合として、国会提出を断念した条分案の刑事の第119条からだけでなく、民事の第30条についても「第二十八条に規定する権利を除く」という文言を追加する案も出されているが、これも同断であって、第28条に規定される2次著作物の利用に関する原著作者の権利が除外されるに過ぎず、2次創作・パロディのダウンロードが全て対象外となるものではない事は、文化庁が同じく資料3(pdf)で書いている通りである。

 第2回検討会での議論についての弁護士ドットコムの記事などを見ても、文化庁は、この案をほぼ既定路線として、著作権者の利益を不当に害することとなる場合をさらに除くかどうかという枝葉末節に議論を押し込め(追加すればそれなりにましにはなるだろうが、これも問題の本質的な解消には繋がらないものである)、雪辱とばかりに来年の通常国会に向けてダウンロード違法化・犯罪化の対象範囲拡大をごり押しするつもりであると知れるが、前回も書いた通り、本当に国民の声を丁寧に聞くというなら、この様な非常に危険かつ拙速な検討を中止して条文案から対応部分を削除するのみならず、録音録画についての現在のダウンロード違法化・犯罪化そのものの効果を検証し、その廃止・撤廃を速やかに検討するべきと私は思っているが、文化庁にそうする気が全く見られないのは日本の国益と文化にとって極めて不幸な事である。

 また、リーチサイト規制についても、運営行為に対する刑事罰を非親告罪から親告罪に変更すること以外は国会提出断念版の条文案のままにするとしている。これについても、親告罪とする事が一定の歯止めにはなるとは思うが、文化庁が、「公衆を侵害著作物等に殊更に誘導するものであると認められるウェブサイト等」、「主として公衆による侵害著作物等の利用のために用いられるものであると認められるウェブサイト等」といった条文案の定義から、海賊版対策とは無関係のものとして、パブコメで懸念するものの例としてあげられた、引用要件違反のまとめサイト、剽窃論文、ライセンス違反のスライド、GPL違反のソフトウェア、ツイッターの違法アイコン等へのリンク集及びこのリンク集におけるリンクは規制の対象外となるとしているが、これも文化庁の現時点での希望的観測という他なく、これらの例だけを取っても、通常リンク先が剽窃やライセンス違反である事を指摘するためにそう明記して作られるものが多いだろうし、定義から除外されると完全に言えるかどうか疑問である。第414回に載せた提出パブコメの通り、今後の定義の拡大の恐れもあり、脅しや嫌がらせが増え、インターネット利用のリスクが無意味に高まるのではないかと私はやはり懸念している。

 以下、その他の知財法を巡る動きについて書いて行く。

 特許法については、今年の特許法等の改正の後、特許庁で、産業構造審議会・知的財産分科会特許小委員会が開催され、二段階訴訟の話などが検討されているが、次の法改正がどうなるかという意味では特に方針が出ている訳ではない。また、法改正とは関係ないが、審査基準専門委員会ワーキンググループで、進歩性の審査の進め方に関する参考資料の作成の話がされている。

 商標法については、商標制度小委員会で、店舗の外観・内装の商標制度による保護の話が検討され、商標審査基準ワーキンググループでそのための商標審査基準の改訂が検討され、対応する商標法施行規則改正案と商標審査基準の改訂案について1月20日〆切でそれぞれパブリックコメントにかかっている(特許庁HPの意見募集1意見募集2参照)

 意匠法については、意匠審査基準ワーキンググループで、法改正を受けた意匠審査基準の改訂が検討され、その改訂案が1月9日〆切でパブリックコメントにかかっている(特許庁HPの意見募集3参照)。

 農水省では、種苗法について、優良品種の持続的な利用を可能とする植物新品種の保護に関する検討会が開催され、海外流出防止のため、登録品種の販売における国内利用限定や栽培地域限定の条件に反する行為への育成者権の行使を可能とする、自家増殖を含め登録品種の増殖は育成者権者の許諾を必要とするといった内容のとりまとめ(pdf)が出され、農業資材審議会・種苗分科会で報告がされている。また、来年はこの様な種苗法の改正案とともに、家畜遺伝資源保護法案も国会に提出される事になるのだろう、和牛遺伝資源の流通管理に関する検討会で、家畜遺伝資源の保護も検討されている。

 知財本部では、また名前を変えたくなったのか、今年は構想委員会なるものが2回開かれている。今の所およそ内容のない話しかしていないが、じきに募集されるだろう次の知財計画パブコメにもまた意見を出すつもりである。

 最後に少しだけ書いておくと、この12月19日に、ウェブサイトを通じた電子書籍の中古販売は著作権者の許諾を必要とする公衆送信であるとする、欧州司法裁判所の判決が出されている(欧州司法裁のリリース(pdf)も参照)。これは、第332回で取り上げたオランダの控訴審判決の続きの話で、欧州で電子書籍中古販売が合法(電子データに対するデジタル消尽あり)とされるのは難しいのではないかと思っていた通りなのだが、こうした国際動向についても時間がある時にまたまとめて書きたいと思っている。

 今年もこれで最後になるが、政官業に巣食う全ての利権屋に悪い年を、このブログを読んで下さっている方々に心からの感謝を。

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2019年12月15日 (日)

第417回:文化庁検討会のダウンロード違法化・犯罪化の対象範囲拡大に関するパブリックコメント・アンケート調査結果概要

 11月27日に侵害コンテンツのダウンロード違法化の制度設計等に関する検討会の第1回が開催されたばかりだが、12月18日に第2回が開催される予定であり(開催案内参照)、去年国会提出を断念させられた遺恨からか、文化庁はかなり速いペースでダウンロード違法化・犯罪化の対象範囲拡大の検討を進めようとしている。この第2回の前に、今回は、文化庁のHPで公開されている第1回の資料の内容を見ておきたい。

 その資料2-1の出版広報センター説明資料(pdf)と資料2-2の関係団体調査結果整理資料(pdf)は、相変わらず、

  • 被害額の算定根拠が不明
  • 市場調査の数字から見ると、市場はより長期間で順当に伸びている中、電子コミックとその他電子書籍ともにその伸び率にはかなりの変動があり、他にも影響を与えた要素はあるだろうに、整合性やより深い分析の事をまるで考えずに別のコミック電子書店調査を使って一部の対前年月比のみのグラフを作って海賊版サイトの影響を煽る
  • 漫画村の様な本当に悪質な海賊版サイトに対して権利者側が現行法で本当にどの様に対処して来たのか、どうして現行著作権法の規制では不十分とするのかの根拠が不明
  • あらゆる著作物の種類について発生している事象をきちんと分析した上でそれぞれの特性も考慮して著作権法として横断的に必要とされる事は何かという検討が必要であるにも関わらず、各団体のいい加減な被害の主張のつまみ食いに終始
  • ダウンロード違法化・犯罪化の対象範囲拡大がこの様なインターネットにおける著作権侵害への有効な対策になる根拠がまるで不明

と、突っ込みどころ満載である。

 これらはいつもの著作権団体ロビー資料に過ぎず、これで法改正をと言われても鼻白むだけのものだが、資料3-1として「侵害コンテンツのダウンロード違法化等に関するパブリックコメント」の結果について(全体像)(pdf)、資料3-2として「侵害コンテンツのダウンロード違法化等に関するパブリックコメント」の結果概要(個人:「(別紙)質問事項及び回答様式」)(pdf)、資料3-3として「侵害コンテンツのダウンロード違法化等に関するパブリックコメント」の結果概要(個人:「意見提出フォーム」)(pdf)、資料3-4として「侵害コンテンツのダウンロード違法化等に関するパブリックコメント」の結果概要(団体等)(pdf)も公開されている。

 団体の意見はそれぞれの立ち位置から予想通り賛否両論に分かれているが、個人の意見が4386件と2007年のダウンロード違法化パブコメ(文化庁の過去のパブコメ結果参照)以来の数字となっているのは、この問題に対する関心の高さを示すものだろう。

 個人の意見について概要だけではなく全体の詳細データを出してもらいたいと思うが、文化庁としてはダウンロード違法化・犯罪化の対象範囲拡大の結論ありきで何が何でも細かな追加要件の議論に持ち込みたいのだろう、個人のパブコメ結果概要において最も基本的な質問回答の部分について件数のみをあげてグラフを作らないところに作為が見え隠れしているので、ここでそれを作っておくと以下のようになる。(なお、今回のパブコメでは別紙による入力を求めていたはずだが、意見提出フォームも公開してしまっていたのは文化庁の単なるミスだろう。)

Pub2019_result_graph
Pub2019_result_graph2

 この様に「どちらかといえば反対」も含め反対意見が圧倒的であり、最も主要な意見が要件によらずダウンロード違法化を行うべきではないというものである事を考えれば、本当に国民の声を丁寧に聞くというなら、ダウンロード違法化・犯罪化の対象拡大の検討の完全な中止のみならず、録音録画についての現在のダウンロード違法化・犯罪化そのものの廃止・撤廃の提案も視野に入って来なければならない筈だが、資料5の侵害コンテンツのダウンロード違法化に係る制度設計等の検討に当たっての基本方針(案)(pdf)、資料6の侵害コンテンツのダウンロード違法化等に係る制度設計・論点(案)(pdf)や資料7の侵害コンテンツのダウンロード違法化に関する主な事例の取扱い(案)(pdf)を見ると、文化庁は、姑息にも国民の声を捻じ曲げ、現行の著作権法におけるダウンロード違法化・犯罪化を一方的に是認して、今の写り込みの権利制限の拡充による違法な部分を含むスクリーンショットの適法化とその延長線上にある一部分の軽微な利用の除外という弥縫策でダウンロード違法化・犯罪化の対象拡大を押し通そうとしていると分かる。

 この弥縫策によって確かに問題の軽減を多少図れるかも知れないが、前回載せたもう一つの写り込みに関する権利制限拡充についてのパブコメで書いた通り、その様な僅かな軽減すら要件次第であって(スクリーンショットに問題を矮小化する事は厳に慎むべき事だが、さらに念のため言っておくと、今の文化庁案では通常考えられるスクリーンショットが全て適法化される訳でもない)、これらはダウンロード違法化・犯罪化の本質的な問題の解消には到底繋がらないものである。これらが回答を恣意的に誘導しながら列挙した懸念の一部にしか対応していない事は文化庁自身認めている上、他の懸念や指摘に対する回答をきちんと示していないあたり、そのやり口はいつも通り不誠実極まるものと言わざるを得ない。文化庁の案には他の要件の検討についても書かれているが、パブコメ等で何度も書いている通り、それぞれ多少の問題の緩和になるかも知れないが、他のものも含めて追加の要件をどうしようがダウンロード違法化・犯罪化の本質的な問題が解消する事はないと私は確信している。

 他にも資料5として侵害コンテンツのダウンロード違法化に関するアンケート調査の結果(pdf)という資料も出されている。これもいつものためにする文化庁調査で有意な情報が取れるものではほぼないが、

  • 「違法にアップロードされた漫画・書籍・雑誌・論文・プログラム・イラスト・画像等を,それが違法にアップロードされたことが確実だと知りながら,個人が楽しむ目的でダウンロードすることは現行の著作権法に違反する行為でしょうか(※)現行の著作権法上は,『2.違反しない』が正しい回答」という質問に対して「1.違反する」という回答が79.7%となっていて、
  • 侵害コンテンツのダウンロード経験の有無についてありと答えた場合その多くは漫画の二次創作かスクリーンショットであり、
  • 最初の違法性の認識の回答との関係がどうなっているのか不明だがダウンロード違法化・犯罪化の対象範囲が拡大されたら違法行為を止めると答えた者が7割程度

と、文化庁と権利者団体が法改正についてどう考えてどう周知しようが、一般の人々は自分なりに著作権法を理解してそれに沿って意味不明の萎縮が発生するだろうという事だけは言える。わざとだろうが、ここで現行の録音録画に関するダウンロード違法化・犯罪化に関する調査・評価を省いているのもタチが悪い。

 今まで他でも使われていた参考資料1の文化庁当初案の概要・条文等について(pdf)と参考資料3のインターネット上の海賊版に対する総合的な対策メニュー及び工程表について(pdf)の他に参考資料2として侵害コンテンツのダウンロードに関する主要国の著作権法制について(pdf)というものもある。ここで「外務省を通じて各国大使館等に調査訓令を発して得られた回答に,事務局で一部必要な情報を追記して作成したもの」という注で外務省に責任転嫁するのもどうかと思うが、ドイツとフランスについて民事・刑事両方の適用事例ありとし、アメリカ、韓国、台湾について侵害コンテンツのダウンロードについてフェアユース該当性が否定された事例が存在するとしているのはかなり悪質な印象操作を含んでいる。ドイツにおいてもアップロードとダウンロードを同時に行うファイル共有におけるダウンロード行為以外の単なるダウンロードに適用した事例はなく、フランスにおいてもファイル共有に対する3ストライクポリシーの適用事例であって、米韓台でも同様にファイル共有に対する適用事例であるからである。明確にダウンロード違法化・犯罪化をしたとする国自体決して多くないと思うが、何度も書いてきている通り、私の知る限り単なるダウンロードに対する適用事例は世界中見渡しても皆無であって、フランスやドイツでもダウンロード違法化・犯罪化や3ストライクポリシーの法改正によって混乱こそすれ海賊版対策として有益な効果は何一つもたらされていないのである。

 資料1の開催要綱(pdf)の別紙構成員名簿を見ても、一応そこまで偏ったメンバーにはなっていない様に見えるが、文化庁の資料と同じHPに載っている第1回の議事録を見ても追加の要件に関する細かな議論にほぼ終始しており、ダウンロード違法化・犯罪化とリーチサイトの問題について拙速な検討がされないかと非常に心配である。

(2019年12月16日夜の追記:文章は変えていないが、アンケート調査に関する記載を箇条書きにした。)

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