第371回:TPP協定・関連法案の参議院可決・成立と今後のこと
今日12月9日に参議院本会議でTPP協定の承認案と関連法案が可決され、成立した。
参議院での11月11日から12月9日までの審議も、衆議院同様時間こそそれなりに取られ、知財問題についても何回か触れられたものの、全く議論が深まることはなかったと言っていいものだった。(参議院インターネット中継参照)
国会会期が延長されたことにともない自然成立もあり得たので、参議院での可決はかなり儀式的なものと言わざるを得ないが、いずれにせよ、確たる見通しも戦略もないまま、このように政府与党が自分たちのプライドのみを優先してTPP協定承認案と関連法案を国会で成立させたことは極めて残念なことである。
アメリカ次期大統領であるトランプ氏が離脱を明言していることから、TPP協定が当面発効しないことが確実であることが不幸中の幸いとは言え、トランプ氏が二国間協定としてTPP協定以上の内容の押しつけをして来ることも考えられれば、日本政府が今回国内法に取り込んだ内容について協定の発効とは別に施行を考えるべきと言い出すこともあり得、今後も非常に注意が必要な状況が続くことに変わりはないし、私は今後も今回国会を通されたTPP協定とその関連法について反対して行くつもりである。
(なお、TPP政府対策本部のHPに掲載されている法案概要(pdf)にもある通り、関連法の内、地理的表示関連部分はTPP協定本体の発効とは関係なく公布の日から起算して2月を超えない範囲内において政令で定める日に施行されてしまう。国会では全く議論が深まることがなかったが、このような部分が含まれていることもこの関連法の問題点の1つである。)
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