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2012年11月22日 (木)

番外その35:前回総選挙以来の情報・表現規制法改正関係国会議員リスト

 前回書いた著作権法改正関係に続いて、ここで情報・表現規制法関係国会議員リストも作っておく。

(1)児童ポルノ規制法改正関係
 前回総選挙前にぎりぎりのところで可決を免れた児童ポルノ規制法改正案についてはこの3年来どうにか止まっていたが、自民公明両党のインターネット規制・情報規制の強化に関する異常なまでの執念を見ても、今回の総選挙後に自公が可決するべく真っ先に持ち出す法案の中に危険な単純所持規制を含む児童ポルノ規制法改正案が入って来るのは確実だろうと私は踏んでいる。この問題を追いかけている人間にとってはおなじみの名前ばかりだとは思うが、表に出ている情報から分かる限りで推進派・慎重派に分類して関係議員のリストを作ると以下のようになる。(この問題に関しては、危険極まりない単純所持規制を含む自公案番外その14参照)に比べ、今の民主党案第254回参照)は遥かに良くできている。)

(以下、特に規制強化を強く主張している議員の名前をで、特に慎重な立場を表明している議員の名前をで示す。全てのリストで字の色の意味は同じである。)

○衆議院 児童ポルノ規制強化推進派議員
高市早苗議員<自民・比例近畿>(HPwiki):自公案の提出者の一人、請願の紹介議員
・稲田朋美議員<自民・福井1区>(HPwiki):請願の紹介議員
・下村博文議員<自民・東京11区>(HPwiki):請願の紹介議員
・竹下亘議員<自民・島根2区>(HPwiki):請願の紹介議員
・西村康稔議員<自民・兵庫9区>(HPtwitterwiki):請願の紹介議員
・山本拓議員<自民・福井2区>(HPwiki):請願の紹介議員
あべ俊子議員<自民・比例中国>(HPtwitterwiki):平成23年10月25日及び平成24年6月19日の青少年特別委員会で単純所持規制を含む児童ポルノ規制法改正を求める質疑(議事録参照)
富田茂之議員<公明・比例南関東>(HPwiki):自公案の提出者の一人
・緒方林太郎議員<民主・福岡9区>(HPwiki):平成24年6月7日憲法審査会で「精神的自由について厳しく判断するというのは、それは原則としてそうなんだと思いますけれども、表現の自由の敵に対してまで表現の自由を認める必要は全くないわけでありまして、自由の敵に対してまで自由を認める必要は全くないというふうに思います。反社会勢力に対する表現の自由をどれだけ認めるか、もっと言うと、児童ポルノとかああいったものについてどれだけ自由を認めるのかというと、これは精神的自由であるからできるだけ自由に認められるべきであるという考え方については、これは私は間違っているというふうに思います。」と発言(議事録参照)
(請願については、早期法改正を求める請願参照)

○衆議院 児童ポルノ規制強化慎重派議員
辻惠議員<民主→未来・大阪17区>(HPtwitterwiki):民主党案の提案者の一人
枝野幸男議員<民主・埼玉5区>(HPwiki):前回総選挙前の法案審議での立役者の一人(経産大臣となって以降は児童ポルノ規制法どころではなくなっている気がするが)
・渡辺義彦議員<きづな→生活→未来・比例近畿>(HPwiki):請願の紹介議員
・城内実議員<自民・静岡7区>(HPwiki):請願の紹介議員
(請願については、慎重な取り扱いを求める請願参照)

○参議院 児童ポルノ規制強化推進派議員
・山谷えり子議員<自民・比例代表>(HPwiki):請願の紹介議員
・上野通子議員<自民・栃木>(HPwiki):請願の紹介議員
・中川雅治議員<自民・東京>(HPtwitterwiki):請願の紹介議員
・青木一彦議員<自民・島根>(HPwiki):請願の紹介議員
(請願については、早期法改正を求める請願参照)

○参議院 児童ポルノ規制強化慎重派議員
松浦大悟議員<民主・秋田>(HPtwitterwiki):請願の紹介議員
中村哲治議員<民主→生活→未来・奈良>(HPtwitterwiki):児童ポルノ法改正について慎重な立場を表明
・谷岡郁子議員<みどりの風・愛知>(HPtwitterwiki):平成22年3月16日の文教科学委員会で規制について慎重な意見を表明(議事録参照)
・森田高議員<国民・富山>(HPwiki):請願の紹介議員
・佐藤正久議員<自民・比例代表>(HPtwitterwiki):請願の紹介議員
(請願については、慎重な取り扱いを求める請願参照)

(2)青少年健全育成基本法案関係
 このブログでは取り上げて来なかった話だが、自民党を中心に青少年健全育成基本法を制定しようという動きは相変わらずくすぶっている。中身は以前の青少年有害社会環境対策基本法案(wiki参照)の焼き直しになるのではないかと思うが、自民党が検討しているというだけでおよそ相当規制寄りというかほとんど青少年保護を言い訳に情報・表現を規制することしか考えていないような強烈なものが出て来るだろうことは容易く想像がつく。以下にリストを載せるが、当然のごとく児童ポルノ問題と多く重なっていることが分かるだろう。(青少年健全育成基本法の制定は自民党の政権公約にも書かれている。)

○衆議院 青少年健全育成基本法推進派議員
・高市早苗議員<自民・比例近畿>(HPwiki)請願の紹介議員
・山本拓議員<自民・福井2区>(HPwiki)請願の紹介議員
・下村博文議員<自民・東京11区>(HPwiki):請願の紹介議員
・小池百合子議員<自民・比例東京>(HPtwitterwiki):請願の紹介議員
・細田博之議員<自民・島根1区>(HPtwitterwiki):請願の紹介議員
・小泉龍司議員<自民・埼玉11区>(HPwiki):請願の紹介議員
(請願については、制定に関する請願参照)

○参議院 青少年健全育成基本法推進派議員
上野通子議員<自民・栃木>(HPwiki):請願の紹介議員、平成22年10月28日法務委員会で推進を求める質疑(議事録参照)
・中川雅治議員<自民・東京>(HPtwitterwiki):請願の紹介議員
・島尻安伊子議員<自民・沖縄>(HPwiki):請願の紹介議員
・山崎正昭議員<自民・福井>(HPwiki):請願の紹介議員
・鴻池祥肇議員<自民・兵庫>(HPwiki):請願の紹介議員
・大江康弘議員<自民・比例代表>(HPwiki):請願の紹介議員
・世耕弘成議員<自民・和歌山>(HPtwitterwiki):請願の紹介議員
・山本一太議員<自民・群馬>(HPtwitterwiki):請願の紹介議員
(請願については、制定に関する請願参照)

(3)ウィルス罪関係
 情報規制関係ということでは、去年可決されたウイルス作成罪創設を含むサイバー刑法(正式名称は「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律」)の問題も大きい。このサイバー刑法は、衆議院では平成23年5月25日、5月27日及び5月31日の法務委員会で審議及び可決、5月31日に本会議で可決され、参議院では6月9日、6月14日及び16日の法務委員会で審議及び可決、6月17日に本会議で可決され成立したものである。附帯決議こそついたものの結局条文は何も変わらずやはり曖昧なところが残されたまま可決されたが(議事録参照。法案そのものの問題点については番外その28及び番外その33参照)、このサイバー刑法の問題でも、民主党の一部の議員が懸念を示していたこと、社民党と共産党が明確に反対の姿勢を示したことは覚えておくべきだろう。以下にリストを載せるが、この問題もそもそもは10年近く前に法務省が作成し当時の内閣から提出した法改正案に端を発しており、そのため自公は党としてほぼ推進派と考えられるということを注意して頂きたい。

○衆議院 サイバー刑法推進派議員
平沢勝栄議員<自民・東京17区>(HPwiki):国会質疑でサイバー刑法を超えて共謀罪の創設を求める
稲田朋美議員<自民・福井1区>(HPwiki):国会質疑でサイバー刑法を超えて共謀罪の創設を求める
・柴山昌彦議員<自民・比例北関東>(HPtwitterwiki):国会質疑でサイバー刑法を超えて共謀罪の創設を求める

○衆議院 サイバー刑法慎重派議員
・辻惠議員<民主→未来・大阪17区>(HPtwitterwiki):国会質疑で法改正について慎重な取り扱いを求める
・橘秀徳議員<民主・神奈川13区>(HPtwitterwiki):国会質疑で法改正について慎重な取り扱いを求める
・城内実議員<自民・静岡7区>(HPwiki):国会質疑で法改正について慎重な取り扱いを求める

○参議院 サイバー刑法推進派議員
・江田五月<民主・岡山>:法改正案審議時の法務大臣、後にほぼ取り消すがバグがウィルス関連罪の対象となると発言して物議を醸した

○参議院 サイバー刑法反対派議員
井上哲士議員<共産・比例代表>(HPwiki):法改正について明確に反対の意見を表明、法改正に反対票を投じた
・市田忠義議員<共産・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・紙智子議員<共産・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・田村智子議員<共産・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・大門実紀史議員<共産・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・山下芳生議員<共産・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・福島みずほ議員<社民・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・又市征治議員<社民・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・山内徳信議員<社民・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・吉田忠智議員<社民・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・糸数慶子議員<無所属・沖縄>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
議決結果参照)

(4)東京都青少年条例問題関係
 平成23年7月の完全施行以来、新規定に基づく有害指定をしないという方針を東京都の担当部局が取っているため表向き小康状態を保っているようにも見えるが、東京都青少年条例(正式名称は「東京都青少年の健全な育成に関する条例」)問題も何も片づいていない。長年警察官僚ポストだった今の東京都青少年・治安維持本部・青少年課ラインから警察官僚が外れているためかも知れないが(これも一時的なものかも知れない)、問題だらけの条文はそのまま残されているのであり、今後もそれなりに謙抑的に運用される保証は何もない。同日総選挙になってしまったために注目度が一つ落ちる状態になっているが、この問題で都知事選ほど重要な選挙もない。知っている人には言わずもがなの話だろうが、合わせてここに主要立候補予定者のリストを載せておく。

○都知事選 情報・表現規制強化推進派候補
猪瀬直樹候補HPtwitterwiki):石原都知事と警察官僚部局の間に立つ優秀な副知事として仕事をそつなくこなしただけなのかも知れないが、都条例問題を追いかけていた人なら、テレビの前でとある漫画を手にこんなものがと言ったその姿を忘れることはできないだろう。それで公約にコンテンツ産業を支援しますとぬけぬけと書いているのだから噴飯ものである。石原慎太郎氏ほど警察部局の政策に思い入れがあるとは思えないが、基本的にこの問題では石原都政をそのまま踏襲すると見て間違いないだろう。
松沢成文候補HPwiki):wikiにも書かれている通り、かなり強烈なゲーム規制強化論者(ガジェット通信の記事も参照)

○都知事選 情報・表現規制強化慎重派候補
宇都宮健児候補HPtwitterwiki):都条例に対して反対声明を出した時の日弁連会長(会長声明参照)、都条例の見直しを明言(週刊金曜日11月23日号のインタビュー記事、週刊金曜日のツイート参照)、HPの政策でもマンガなどの表現規制の見直しに言及(別ページに掲載されている政策集完全版(pdf)も参照)

 また、青少年条例が都議会で一時否決されたことからも分かるように、同時に行われる都議会議員補欠選挙も重要なものであることに変わりはない。

 全体的な話をすれば、やはり、規制強化を党として一貫して推進している公明党が一番危険で、自民党も最近の動きを見る限りほぼお話にならないレベルで規制強化に凝り固まっており、民主党は議員によって規制強化にかなり反対・慎重な立場を示し、社民党と共産党がかなり明確に党として慎重な立場を示しているということになるだろう。(それにしても、ストーカー規制法の改正(産経のネット記事参照)や遠隔操作ウィルス対策に関する提言(自民党のHP参照)など自民党が最近次々とネット規制強化政策を打ち出している背景には警察官僚の暗躍がある気がしてならない。)

 情報・表現規制問題は本当は民主主義の根幹に関わる極めて重要な問題なのだが、その性質上どうしてもマイナーな話たらざるを得ず、この問題ではわずかな数の議員の当落が今後の行方に大きく影響して来る。どのような観点から票を入れるにせよ、是非一人でも多くの人に選挙に行ってもらいたいと思う。

(2012年11月23日の追記:いくつか誤記を修正し、リンクを追加した。)

(2012年11月24日夜の追記:週刊金曜日のインタビュー記事から宇都宮健児氏に関するコメントに追記した。)

(2012年11月28日夜の追記:国民の生活が第一が日本未来の党へ合流するとのことなので、リスト中に矢印で追記した。また、宇都宮健児氏のHPに政策が掲載されたのでリンクとコメントを追記した。)

(2012年12月1日夜の追記:辻恵氏が民主党を離党して日本未来の党へ参加することを決めたとのことなので、矢印で追記した。)

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2012年11月18日 (日)

番外その34:前回総選挙以来の著作権法改正関係国会議員リスト

 この11月16日に衆議院が解散され、12月4日公示、16日投開票という総選挙日程が示された。残念ながら、今回も著作権問題が選挙の争点となることはないだろうが、多少なりとも誰かの参考になるかも分からないので、ここで番外として前回総選挙から3年あまりの間に議論され、成立して来た各種著作権法改正に関係して名前が出て来た国会議員のリストを載せる。

(1)ダウンロード犯罪化を含む著作権法改正関係
 この3年あまりの間で一番大きな問題を含む法改正はダウンロード犯罪化だと私は思っている。10月1日の施行以来今のところ逮捕者は出ていないようで、遠隔操作ウィルスによる冤罪問題でそれどころじゃないというのもあるかも知れないが、法改正をして何もしないというのも今の警察の振る舞いから見てあり得ないだろうし、何かしらの形で逮捕者が出るのは時間の問題だろう。

 この著作権法改正案はこの6月15日に衆議院文部科学委員会及び本会議で可決され、6月20日に参議院文教科学委員会及び本会議で可決されたものだが、ここでこのダウンロード犯罪化について特に忘れてはならないのは、まず推進したのが自民公明の両党であって、消費税増税法案の成立と引き換えに文化庁作成・内閣提出の著作権法改正案の中に混ぜ込まれて最終的に成立したものだということである。

 このダウンロード犯罪化法案の成立までの経緯は、第256回第275回第276回第277回などをご覧いただければと思うが、このダウンロード犯罪化問題で名前の出て来た議員を以下にリストとして載せる。一応推進派と反対・慎重派という形で分類をしているが、自民党と民主党に関しては議員ごとに見解の違いがかなりあること、ただし自民党は党として規制強化に大きく寄っていること、また一丸となってダウンロード犯罪化を強力に推進していた節がある公明党は本当に党全体として危険であることは良く認識しておく必要がある。また、社民党と共産党は明確に党としてダウンロード犯罪化に慎重な立場を示していたことや、著作権問題で正しく懸念を表明して下さった民主党の議員の方々は今はほぼ国民の生活が第一に移っていることも大きなポイントである。なお、既に国民の生活が第一に合流しているが、新党きづなも法改正に反対していた(きづなのHP参照)。

(以下、ダウンロード犯罪化を特に推進していたと考えられる議員の名前をで、特に慎重な立場を示していた議員の名前をで示す。リストの名前の色分けの意味は以下全て同じである。)

○衆議院 ダウンロード犯罪化推進派議員
下村博文議員<自民・東京11区>(HPwiki):自民党文部科学部会長、ダウンロード犯罪化修正案の提案者の一人
河村健夫議員<自民・山口3区>(HPwiki):元文部科学大臣、ダウンロード犯罪化修正案の提案者の一人
馳浩議員<自民・比例北陸信越>(HPwiki):ダウンロード犯罪化修正案の提案者の一人
松野博一議員<自民・比例南関東>(HPwiki):ダウンロード犯罪化修正案の提案者の一人
池坊保子議員<公明・比例近畿>(HPwiki):ダウンロード犯罪化修正案の提案者の一人、今期限りで引退を表明
・斉藤鉄夫議員<公明・比例中国>(HPwiki):自公ダウンロード犯罪化法案について民主に協力要請
・平野博文議員<民主・大阪11区>(HPwiki):法改正審議時の文部科学大臣

○衆議院 ダウンロード犯罪化反対・慎重派議員
川内博史議員<民主・鹿児島1区>(HPtwitterwiki):ダウンロード犯罪化に慎重な立場を示す
宮本岳志議員<共産・比例近畿>(HPwiki):衆議院文部科学委員会でダウンロード犯罪化に反対
・木内孝胤議員<無所属・東京9区>(HPtwitterwiki):ダウンロード犯罪化に反対の立場を示す

○参議院 ダウンロード犯罪化推進派議員
鶴保庸介議員<自民・和歌山>(HPwiki):自公ダウンロード犯罪化法案の主要検討メンバーの一人
三原じゅん子議員<自民・比例代表>(HPtwitterwiki):自公ダウンロード犯罪化法案の主要検討メンバーの一人

○参議院 ダウンロード反対・慎重派議員
森ゆうこ議員<民主→生活→未来・新潟県>(HPtwitterwiki):法改正に反対票を投じ、ダウンロード犯罪化に関する質問主意書を提出
はたともこ議員<民主→生活→未来・比例代表>(HPtwitterwiki):ダウンロード犯罪化に関する質問主意書を提出
・林久美子議員<民主・滋賀>(HPtwitterwiki):民主党部会で慎重な意見を表明
・井上哲士議員<共産・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・市田忠義議員<共産・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・紙智子議員<共産・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・田村智子議員<共産・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・大門実紀史議員<共産・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・山下芳生議員<共産・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・福島みずほ議員<社民・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・又市征治議員<社民・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・山内徳信議員<社民・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・吉田忠智議員<社民・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・糸数慶子議員<無所属・沖縄>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・世耕弘成議員<自民・和歌山>(HPtwitterwiki):ダウンロード犯罪化について慎重な意見を表明
・山本一太議員<自民・群馬>(HPtwitterwiki):ダウンロード犯罪化について慎重な意見を表明

 また、文化庁作成・内閣提出の著作権改正法案に元から含まれていたDRM規制の強化も私は問題なしとしないが、こちらの方がほとんど問題にされないのも非常に残念である。

(2)海賊版対策条約(ACTA)批准関係
 海賊版対策条約(ACTA)の批准は、7月31日に参議院外交防衛委員会で、8月3日参議院本会議で可決された後、問責決議で野党が欠席する中、8月31日に衆議院外務委員会で、9月6日の衆議院本会議で可決されたものである。かなり異様な決議過程を経ているが、ACTAに関しては、これが小泉政権の置き土産であるということも忘れてはならないだろう。(経緯に関しては第279回参照。ACTA自体の問題点については第280回参照。)そのため、自公に関してはリストとしてあげるまでもなくほぼ全員がACTAに関しては推進の立場を取っていたと考えられること、実際に主力となって推進していたのは外務・経産官僚であると考えられることに注意が必要ということを前置きとして、以下にリストをあげる。ACTAについては、TPPの前哨戦とも考えられることから、国民の生活が第一・新党きづなやみどりの風などの議員の方々を中心に反対の声がかなりあがっていたこと、民主党の一部でも反対の動きがあったことを覚えておくべきだろう。

○衆議院 ACTA推進派議員
・玄葉光一郎議員<民主・福島3区>(HPwiki):ACTA批准審議時の外務大臣

○衆議院 ACTA反対・慎重派議員
三宅雪子議員<生活→未来・比例北関東>(HPtwitterwiki):ACTAに関して反対の立場を表明、本会議で反対
京野公子議員<生活→未来・秋田3区>(HPtwitterwiki):ACTAに関して反対の立場を表明、本会議で反対
大谷啓議員<生活→未来・大阪15区>(HPtwitterwiki):ACTAに関して反対の立場を表明、本会議で反対
・中野渡詔子議員<生活→未来・比例東北>(HPwiki):本会議で反対
・相原史乃<生活→未来・比例南関東>(HPwiki):本会議で反対
斎藤やすのり議員<きづな→生活→未来・宮城2区>(HPtwitterwiki):ACTAに関して反対の立場を表明、本会議で反対
・渡辺義彦議員<きづな→生活→未来・比例近畿>(HPwiki):本会議で反対
・中後淳議員<きづな→生活→未来・比例南関東>(HPtwitterwiki):本会議で反対
・石田三示議員<きづな→生活→未来・比例南関東>(HPwiki):本会議で反対
川内博史議員<民主・鹿児島1区>(HPtwitterwiki):ACTAに関して慎重な立場を表明、本会議で棄権
橘秀徳議員<民主・神奈川13区>(HPtwitterwiki):ACTAに慎重な立場を表明、本会議で反対
・石山敬貴議員<民主・宮城4区>(HPtwitterwiki):本会議で反対
・近藤昭一議員<民主・愛知3区>(HPwiki):本会議で棄権
・鳩山由紀夫議員<民主・北海道9区>(HPtwitterwiki):本会議で棄権
・中山義活議員<民主・東京2区>(HPwiki):本会議で棄権
・首藤信彦<民主・神奈川7区>(HPwiki):ACTAに慎重な立場を表明
・中島隆利議員<社民・比例九州>(HPwiki):ACTAに関して慎重な立場を表明
・小泉俊明議員<減税日本→未来・茨城3区>(HPwiki):本会議で反対
・小林興起議員<減税日本→未来・比例東京>(HPwiki):本会議で反対
・平智之議員<減税日本→未来・京都1区>(HPwiki):本会議で反対
・佐藤夕子議員<減税日本→未来・愛知1区>(HPwiki):本会議で反対

○参議院 ACTA反対・慎重派議員
森ゆうこ議員<生活→未来・新潟>(HPtwitterwiki):ACTAに慎重な立場を表明、ACTA批准に反対票を投じた
・外山斎議員<生活→未来・宮城>(HPwiki):ACTA批准に反対票を投じた
・主濱了議員<生活→未来・岩手>(HPwiki):ACTA批准に反対票を投じた
谷岡郁子議員<みどりの風・愛知>(HPtwitterwiki):ACTAに慎重な立場を表明、ACTA批准に反対票を投じた
・亀井亜紀子議員<みどりの風・島根>(HPwiki):ACTA批准に反対票を投じた
・行田邦子議員<みどりの風・埼玉>(HPwiki):ACTA批准に反対票を投じた
・平山誠議員<大地・比例代表> (HPtwitterwiki):ACTA批准に反対票を投じた
・横峯良郎議員<大地・比例代表>(HPwiki):ACTA批准に反対票を投じた
・米長晴信議員<無所属・山梨>(HPwiki):ACTA批准に反対票を投じた

(3)出版社への著作隣接権付与問題関係
 このブログで大きくは取り上げて来なかったが、衆議院の中川正春議員を中心とした勉強会で出版社へ著作隣接権を付与するかどうかがずっと検討されて来ており、つい最近この出版社への隣接権を付与するべきとの結論をまとめている。(読売新聞のネット記事、印刷文化・電子文化の基盤整備に関する勉強会のHP、事務局である文字・活字文化推進機構のHP、同HP上の「出版物に係る権利 (仮称)」に関する検討の現状について(pdf)参照。)

 この結論には大きな問題があると私は考えているが、こうまとめられたからには、衆院選後、この出版社への隣接権付与は著作権関係で真っ先に問題になる話の一つだろう。この問題の大きさもさることながら、以下のようなこの勉強会の参加メンバーは議員の中で誰が権利者団体に近いのかを示すものとして参考になるだろう。

○衆議院 出版社の著作隣接権創設推進派議員
中川正春議員<民主・三重2区>(HPwiki):勉強会の座長
甘利明議員<自民・比例南関東>(HPwiki):参加メンバーの一人
河村健夫議員<自民・山口3区>(HPwiki):参加メンバーの一人
池坊保子議員<公明・比例近畿>(HPwiki):参加メンバーの一人、今期限りで引退を表明
富田茂之議員<公明・比例南関東>(HPwiki):参加メンバーの一人

○参議院 出版社の著作隣接権創設推進派議員
石橋通宏議員<民主党・比例代表>(HPwiki):参加メンバーの一人

(4)その他著作権問題関係
○音楽議員連盟参加衆議院議員
(音楽業界と関係が深い議員、芸団協のHPに掲載されている2011年12月のシンポジウム講演録(pdf)参照)
・中野寛成議員<民主・大阪8区>(HPwiki):連盟会長
・塩谷立議員<自民・比例東海>(HPwiki):連盟副会長
・斉藤鉄夫議員<公明・比例中国>(HPwiki):連盟副会長
・服部良一議員<社民・比例近畿>(HPwiki):連盟副会長、2011年12月7日の外務委員会(議事録参照)で戦時加算の問題について質問

○音楽議員連盟参加参議院議員
・鈴木寛議員<民主・東京>(HPwiki):連盟幹事長
・市田忠義<共産・比例>(HPwiki):連盟副会長、ただしダウンロード犯罪化を含む著作権法改正案では反対票を投じている

 全体的なことを言えば、著作権問題でも、規制強化を党として一貫して推進している公明党が一番危険であることに変わりはなく、自民党は議員によってかなり立場に違いがあるが最近の動きを見る限りほぼお話にならないレベルで規制強化に凝り固まっており、民主党は議員によって規制強化にかなり反対・慎重な立場を示すものの全体としては政権与党として官僚に流され、民主党の中でも規制強化に特に慎重な立場を示した多くの議員が国民の生活が第一に移り、社民党と共産党がかなり明確に党として慎重な立場を示しているということになるだろう。さらにぶっちゃけて書くなら、自公と官僚が規制強化に向けて暴走をして、それをごく一部の議員が問題視するが、やはり全体としては多勢に無勢でどうにもならないというのが日本の無惨な現状である。

 民自公と自称第3極の思惑がどうあれ、今回の総選挙の争点は消費税、原発、TPPとなるのだろう。いつも通り著作権が選挙の争点にならないだろうのは残念だが、著作権問題に関してはTPPに参加すればそのままアメリカに引っ掻き回されることは必至なので、著作権問題を最も重視するような奇特な方は、TPPへの賛成が著作権規制の強化に直結すると見てTPPに関する賛否から判断して投票すれば大きく外れることはないだろうと私は考えている。

 今回の選挙もそれで現状が劇的に改善することはないだろうが、日本の将来を決める重要なものであることに変わりはない。一人でも多くの人に選挙に行ってもらいたいと私は思っている。

 同日投開票(11月29日公示、12月16日)の都知事選・東京都議会補欠選挙もあり、情報規制法改正関係についてもリストを作ろうと思ったのだが、著作権関係だけで結構な量になったのでそれは次回に回すことにする。

(2012年11月18日の追記:江口秀治氏(twitter)の指摘を受けて斉藤鉄夫議員、服部良一議員他音楽議員連盟の議員の名前をリストに追加した。また、今は議員ではないが連盟事務局長の簗瀬進氏も出馬する可能性があるので確かに注意が必要だろう。)

(2012年11月19日夜の追記:1カ所誤記を直し、いくつかリンクを追加・修正した。)

(2012年11月24日の追記:コメントを受けて、木内孝胤氏をリストに追加し、新党きづなに対する言及を加えた。また、既に新党きづなは国民の生活が第一に合流しているので、リスト中に矢印で追記した。合わせていくつか誤記も修正した。)

(2012年11月28日夜の追記:国民の生活が第一や減税日本・反TPP・脱原発が日本未来の党へ合流するとのことなので、リスト中に矢印で追記した。)

(2012年12月1日夜の追記:1カ所リンクを修正した。)

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