第226回:ハトミミ.com・情報公開制度の改正の方向性についての提出パブコメ
今現在ハトミミ.comで5月14日〆切で行われている情報公開制度の改正についてのパブコメも書いて提出したので、以下に載せておく(募集要項参照)。
他のパブコメと比べると地味かも知れないが、情報公開制度は国民の知る権利の根幹の1つをなす非常に重要な制度でありながら、曖昧な理由に基づいて行政機関が不開示を決めることができ、その後の客観的な事後救済制度もなお十分に整備されていないというかなり問題のある状態にある。(地方にも影響はじきに波及して行くだろうし、制度全般となるので地方の話を書いても別に構わないと思うが、今回のパブコメで主として念頭におかれているのは、国の情報公開法(正式名称は、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」ではないかと思う。)
ただ、行政透明化検討チームという検討会で4月20日に提出されている大臣案(pdf)(概要(pdf)も より情報公開を進めるという方向性で書かれており、この大きな方向性において問題があるという話ではない。多少時間はかかるかも知れないが、情報公開制度については、その情報公開対象範囲の拡大・明確化と利便性の向上が地道に図られて行くことを個人的には大いに期待している。
パブコメを離れて、情報公開制度そのものの話もどこかでまとめて書ければと思っているが、しばらくはまた著作権や表現の自由一般の話の続きなどを書くつもりでいる。
(神奈川県青少年保護育成条例の改正骨子案に対するパブコメも提出したが(5月20日〆切。神奈川県のリリース参照)、東京都に対する提出パブコメ(第202回参照)のフィルタリングに関する部分を少し手直ししただけのものなので、ここに載せるのは省略する。まだ〆切まで時間があるので、情報規制問題に関心がある神奈川県民の方は、是非パブコメの提出を検討することをお勧めしておく。)
(以下、提出パブコメ)
1.情報公開制度全般に関するご意見
1.「国民の知る権利」を保障するためには、情報公開制度の改正が必要だと思いますか?
◯はい
(その理由を下記に記載してください(任意・200文字以内))
政策決定に関わる重要文書・資料の保存義務とその義務違反に対する罰則が不明確である。さらに、曖昧な理由に基づいて行政機関等が文書の不開示を決めることが可能である上、その後の客観的な事後救済制度の整備も不十分である。
2.現行の情報公開制度全般についてのご意見等をお聞かせください(任意・400文字以内)
・他省庁、議員、審議会等委員、関係団体とのやり取りに使用された政策決定に関わる文書は全て作成者と使用者の個人名と役職を付して最低10年保存を義務化し(メール、FAX、電話、面談等全てのやり取りの記録と保存を義務化するべき)、5年でHP上に全て自動公開されるシステムを法制化するべき。
・全文書に適用される期限を法定し、それ以降は理由によらず必ず公開されるとするべき。
・文書を廃棄する場合は、HP等による事前告知を義務化するべき。
・文書管理責任者を明確にし、故意又は過失による廃棄又は虚偽主張に処分を加えられるとするべき。
・開示の実施の方法は、原則として請求者の求める方法によらなければならないと法定し、オンライン開示、電子媒体による開示の促進を図るべき。
2.情報公開制度の改正の方向性について
1.開示対象の拡大・明確化について改正が必要だと思うものにチェックしてください(複数回答可)
◯公務員等の職務の遂行に係る情報について、当該公務員等の氏名も原則として開示するべき
◯不開示情報である「公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ等がある情報」かどうかの判断に、行政機関等の裁量を大きく認めるべきでない
◯国等における審議・検討等に関する情報で、それを公にすることにより、「不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ」がある情報についても、行政機関の裁量が大きく入る余地があるため、原則開示とすべき
(その他、開示対象に拡大・明確化についてのご意見をお聞かせください(任意・200文字以内))
・情報公開法6条1項から「容易に」とただし書きを削除し、可能な限り情報は切り分けて開示しなければならないと明確化するべき。
・情報公開法5条1号ハに公務員の氏名を加え、公務員の個人名も原則開示にし、5条5号・6号二を削除・修正し、省庁の検討情報と天下りも含め人事に関する情報も後に原則開示されるとするべき。
2.開示手続きの迅速化・強化について改正が必要だと思うものにチェックしてください(複数回答可)
◯開示請求から開示決定等までの期限を短縮する
◯特例としての開示の無期限延長を見直す
(そのほか、開示手続きの迅速化・強化についてのご意見をお聞かせください(任意・200文字以内))
実費と利用者の負担の両方のバランスを考慮し、手数料の減額を検討してもらいたい。
3.事後救済制度の強化について改正が必要だと思うものにチェックしてください(複数回答可)
◯不服申立てがなされてから審査会への諮問を行うまでの法定期限を導入する
◯情報公開訴訟を、原告の普通裁判籍所在地の地方裁判所にも提起できるようにする
◯裁判所が、行政機関の長等に対し、対象文書の標目・要旨・不開示の理由等を記載した書面(いわゆるヴォーン・インデックス)の作成・提出を求める手続を導入する
◯裁判所が対象文書を実際に見分し、不開示情報の有無等を直に検討できるインカメラ審理手続を導入する
3.その他
(その他、情報公開制度の改正全般についてのご意見・ご提案等をお聞かせください(任意・400文字以内))
衆議院事務局は申し訳程度に規定を設けているようだが、それだけではなく、参議院事務局、会派又は議員の活動に関する情報を含め、各議員も含め国会全体におけるきちんとした文書保存制度と情報公開制度を整え、立法府についても保存年限に応じた文書の自動公開システムの法制化を行うべきである。
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コメント
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/news/20100521/1025052/
>日本版フェアユース、24日にもパブリックコメント募集
「一般規定」小幅導入案も、著作権分科会では反対相次ぐ
だそうです。パブコメラッシュが続きますね。
投稿: yoi | 2010年5月23日 (日) 18時45分