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2010年1月17日 (日)

目次7

 単なる目次のエントリその7である。(この変わり映えのしないブログを読んで下さっている方々に感謝。)

 次回は、前回の表現の自由の一般論の続きを書こうと思っていたのだが、児童ポルノ流通防止協議会から、実質規制官庁主導による(事務局がインターネット協会という、警察の息のかかった半官検閲センターであるインターネット・ホットラインセンターを運営し、総務省と経産省が所管する財団法人であることからも、このガイドラインの作成について実質規制官庁が関与し、主導していることは明らかに分かることである)、「児童ポルノ掲載アドレスリスト作成管理団体運用ガイドライン(案)(pdf)」という、児童ポルノを理由にしたネット検閲ガイドラインのパブコメ募集が1月28日〆切でかかったので(インターネット協会のリリースinternet watchの記事参照)、一般論の前に、次回はこのパブコメについて書くことにする。このブログでは何度も繰り返していることだが、ブロッキングはどこをどうやっても検閲にしかならない。この極めてレベルの低いガイドラインは、規制官庁がそろい踏みで関与する不透明な管理団体でアドレスリストを作成してブロッキングを実施すると、要するに児童ポルノを理由としてネット検閲を実施するとしているものであり、到底看過できるものでは無い。

 この次のエントリもじきに載せるつもりだが、ここで最近の話の紹介も少ししておきたいと思う。

 既に、「表現規制について少しだけ考えてみる(仮)関連エントリ1エントリ2エントリ3エントリ4エントリ5)」、「『反ヲタク国会議員リスト』メモ」、「二次元至上主義」、「ある、古参のエロゲプログラマー(エログラマー)の戯れ言」等々で既に取り上げられているので、リンク先をご覧頂ければ十分と思うが、1月14日に、東京都は、出来レースでその青少年問題協議会の答申(答申概要答申本文(pdf)パブコメ結果概要東京都のリリース参照)をとりまとめた(産経の記事読売の記事internet watchの記事も参照)。

 自分たちと同じ意見の数が多ければ数こそ正義で思想・言論統制を正当化、都合の悪い意見が多ければ全て「誤解」で無視、どこのイデオロギー独裁国家かと思うが、これが日本の現実である。東京都のパブコメへの回答も全く回答になっていないお粗末極まるものであり、いちいち突っ込むのはバカバカしいのでしないが、それでも、1つだけ突っ込んでおくと、一般的に創作物を規制する根拠を示せという意見に対して青少年条例の判例を持ち出すのはデタラメも良いところである。日本の役人と御用学者はレベルが低いかおよそ狂っているので、本当に混同しているのか意図的なミスリードか判断がつかないが、成人も含めたあらゆる市民の表現の自由・情報アクセスに対する規制と青少年の情報アクセスに対する規制を混同すること、あるいは、これらを混同してミスリードを行うことは許されることでは無い。この話も答申をまとめて終わりというものでは無く、まだこれからである。今後さらにプロパガンダと印象操作が激しくなることだろうが、地道にやれることをやって行くしかない。(なお、児童ポルノの問題の方が大きいのだが、子供携帯の話も非常にタチが悪い。これも例の如く、根拠薄弱なまま印象操作で規制を強化して無意味なお墨付きを高く売り付けようとするいつもの官製規制ビジネスに過ぎない。)

 J-CASTの記事になっているが、原口総務大臣が、マスコミのクロスオーナーシップ規制(新聞社による放送局の支配禁止)の検討を明言したようである。このことについて、当のマスコミは全く報道しないだろうが、総務大臣がマスコミのクロスオーナーシップ規制を明言するというのは日本においては画期的なことである。これは、実現が非常に難しい政策事項の1つであるが、言論の多様性の確保ということを考えると極めて妥当なことであり、今後地道な検討が進むことを期待したい。

 また、グーグルが、中国における大規模なネット検閲に抗議する形で、中国からの撤退を決定し、米中関に微妙な緊張が走っている(時事通信の記事共同通信の記事朝日の記事スラッシュドット・ジャパンの記事ウォール・ストリート・ジャーナル日本版の記事New York Timesの記事参照)。私もグーグルのこの決断には喝采する、政治レベルに突入したら先は読めなくなるが、表現の自由をめぐる世界的議論の展開を期待する。

(以下、目次)

第181回:違憲判決後のフランス3ストライクアウト法案の第2案
(2009年7月 6日)

第182回:総務省・「通信・放送の総合的な法体系の在り方」答申案に対する提出パブコメ(2009年7月10日)

第183回:総務省・「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」第一次提言案に対する提出パブコメ
(2009年7月15日)

第184回:総務省・「『デジタル・コンテンツの流通の促進』及び『コンテンツ競争力強化のための法制度の在り方』」提出パブコメ
(2009年7月17日)

第185回:内閣官房・「デジタル技術・情報の利活用を阻むような規制・制度・慣行等の重点点検」に対する提出パブコメ(その1:著作権規制関連)
(2009年7月25日)

第186回:内閣官房・「デジタル技術・情報の利活用を阻むような規制・制度・慣行等の重点点検」に対する提出パブコメ(その2:一般的な情報・表現・ネット規制関連)
(2009年7月25日)

第187回:主要政党のマニフェスト案比較(知財・情報政策関連)
(2009年8月 5日)

第188回:ネット切断型のストライクポリシーを採用しようとあがくイギリス政府
(2009年9月 7日)

第189回:フィリピン著作権法の権利制限・フェアユース条項
(2009年9月14日)

第190回:スリランカ著作権法の権利制限・フェアユース条項
(2009年9月18日)

第191回:上下院通過後、憲法裁判を提起されたフランスの3ストライク法案の第2案(2009年9月29日)

第192回:EU著作権指令に列挙されている権利制限
(2009年10月 5日)

第193回:PCへの私的複製補償金賦課を否定するオーストリア最高裁の判決
(2009年10月12日)

第194回:ルクセンブルク著作権法の権利制限関連規定
(2009年10月19日)

第195回:フランスの3ストライク法案の第2案に対する憲法裁判所の判決
(2009年10月24日)

第196回:リヒテンシュタイン著作権法の権利制限関連規定
(2009年11月 3日)

第197回:EU通信ディレクティブ妥協案
(2009年11月 9日)

第198回:模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)のインターネット関連部分に関するリーク資料
(2009年11月17日)

第199回:「新たな人身取引対策行動計画」(案)に対するパブコメ募集
(2009年11月20日)

第200回:「新たな人身取引対策行動計画(仮称)」(案)に対する提出パブコメ
(2009年11月25日)

第201回:東京都青少年問題協議会答申素案に対するパブコメ募集
(2009年11月27日)

第202回:東京都青少年問題協議会答申素案に対する提出パブコメ
(2009年12月 2日)

第203回:知財本部「インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策に関する調査」に対する提出パブコメ
(2009年12月 4日)

第204回:著作権法施行令の一部を改正する政令案・著作権法施行規則の一部を改正する省令案に対する提出パブコメ
(2009年12月10日)

第205回:知的財産戦略本部会合の資料と特許制度研究会の報告書
(2009年12月15日)

第206回:イギリスのデジタル経済法案(イギリス版ストライクアウト法案)
(2009年12月21日)

第207回:著作権の権利制限に関するイギリス政府の意見募集ペーパー
(2009年12月23日)

第208回:2009年の落ち穂拾い
(2009年12月28日)

第209回:著作権法施行令・施行規則を改正する政省令(+文化庁告示)の転載
(2010年1月 6日)

第210回:表現の自由の一般論(その1:表現の自由の意味と関係する基本的な権利)(2010年1月13日)

<番外目次>
番外その19:最近2年間の情報規制関連の主な動き
(2009年8月 1日)

番外その20:情報・表現規制問題に関する注目選挙区・候補リスト
(2009年8月14日)

番外その21:情報・表現規制問題に関する注目選挙区・候補当落結果リスト
(2009年8月31日)

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