番外その18:アダルトゲーム自主規制問題とコンピュータ・ソフトウェア倫理機構の問題
アダルトゲーム自主規制問題については、表現規制を主に取り扱っている「チラシの裏(3週目)」や「表現の数だけ人生がある」等々におまかせするつもりだったが、この問題に関する一連の動きはあまりにも腹立たしく、その影響は表現・情報規制問題全体に及ぶと思うので、ここでも1つエントリを立てて書くことにする。
まず、コンピュータ・ソフトウェア倫理機構(通称、ソフ倫)自体、映倫やビデ倫と同じく、自主規制団体に過ぎないということと、今回の問題が、いつもの「児童ポルノ」とはまた別の「性暴力」と称する曖昧な規制派の概念から来ているということは、前提としてはっきり認識しておく必要がある。(各都道府県における有害図書指定との関係や、このような自主規制団体が、一般流通のほぼ全てを握っているということが、そもそも問題だと思うが、自主規制そのものの問題は、そのうち別途書くこととして、ここではひとまずおいておく。)
一連の動きは、「王様を欲しがったカエル」に分かり易くまとめられているが、一連の流れは、イギリスのアマゾンに何故か出品されていた「レイプレイ」がイギリスの国会やアメリカの人権団体で問題にされ、英米のアマゾンマーケットプレイスへの出品が取り下げに→日本に飛び火して、日本の小売りが「レイプレイ」の取り扱いを停止→国内の一部の規制議員他の圧力から、凌辱ゲームの事実上の自主規制をソフ倫が決定、というものである。(なお、リンク先のエントリによると、内閣府が「政府(この場合は官僚)は表現の自由を規制する法律を作れない。憲法に抵触するおそれがあるからだ。しかし、議員立法の場合は、表現の自由を切り離した規制法案を成立させることは可能である」という見解を示したらしい。確かに、国会の多数決で法律を成立させることは可能かも知れないが、表現の自由に抵触するなら、当然そのような法律は裁判で最終的に憲法違反で無効とされるはずである。本当にこのような見解を役所がそれだけで示したとすると、これは社会的コストを無視した大暴言である。)
しかし、「レイプレイ」騒動自体、英米でも一部の規制団体と規制議員が騒いでいるくらい(それすら、日本の一部の規制派団体のマッチポンプの疑いが濃いが)で、欧米においてそこまで大きな反響を呼んでいる訳では無い。(そもそも、表現の自由の問題は多数決の問題では無いが、日本のアダルトゲームは欧米の一般販路に乗っていないので、内容の良くわからないゲームについて一般世論が盛り上がる訳がない。欧米でより大きな騒ぎとなっているのは、性暴力というポルノ全体の否定につながる概念から来る話よりも、サイトブロッキングなどの児童ポルノに関する問題である。)
何か裏があるのかも分からないが、表に見えている構図は、いつもの日本の一部の規制派団体のメンバーと規制議員と規制官庁が針小棒大に問題を騒ぎ立て、根拠不明・意味不明の主張から、その政治力を不当に行使して、ソフ倫に規制強化方針を飲ませたというものである。猥褻性などを考慮して、業界の総意として何らかの具体的基準に基づいて製作・販売を自粛するという判断をしたという話であるなら、外野からどうこう言うスジの話では無いのだが、どうも、外から見る限り、業界の総意としてそのような判断をした様子は見えない。(なお、表現の自由とポルノグラフィーの関係については、第76回に書いた。)
ソフ倫の定款や倫理規定等は、法人概要の沿革ページの「情報公開」から読めるが、こうした自主規制団体において最も重要なものである倫理規定の改正は定款において総会決議事項とされているのであり、そう短時間でおいそれと変更できるものではないはずである。(なお、情報公開のボタンをクリックすると、著作権に関する警告が出てくる。そもそも、本題とは関係ないのでここではおくが、法人の定款や賃貸対照表といったものは、創作性のある表現では無く、著作権の保護の対象とはならないものだろう。)
ソフ倫自体透明性に欠けるところがあり(このような団体がある特定ジャンルの一般販路のほぼ全てを握っていること自体問題だと思うが)、ひそかに総会を開いて決議していたという可能性も否定できないのだが、最近の一連の報道(朝日のネット記事、cnetの記事、ITmediaの記事参照)から見る限り、具体的な判断基準の妥当性を検討して総会の決議をあおぐ前に、ソフ倫は、理事レベルで規制強化方針を勝手に決定し、一方的に通知・発表して既成事実化を図ったものとしか見えない。
任意団体だったとしても問題になるだろうが、ソフ倫自体は、既に一般社団法人となっている(ソフ倫のリリース参照)ので、本当に理事によって定款無視が行われたのだとしたら、一般社団法人法(正式名称は、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」)からも、当然問題があるものと言わざるを得ない。(例えば、一般社団法人法第83条では、「理事は、法令及び定款並びに社員総会の決議を遵守し、一般社団法人のため忠実にその職務を行わなければならない」とされている。)
もし、本当に理事レベルで一方的に規制強化方針を決定し、勝手に通知・公表してその既成事実化を図ったということが事実であり、本騒動で具体的な被害を被ったメーカーがあるなら、確実に、法律に基づいて会員メーカーはソフ倫に対して損害賠償請求の訴えを提起することができるだろう。(一般社団法人法上、理事や監事は、その任務を怠ったときは、一般社団法人に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負うとされている(第111条)のであり、団体の理事や監事は、定款・法令違反について無責任ではいられない。)
損害賠償請求とまで行かなくとも、会員メーカーは、定款に基づいて、そのような決定の無効と、社員総会(ソフ倫の定款上、正会員が社員であるとされ、議決権は各1とされている)でのきちんとした決議を求めることは当然できるだろう。本当に定款が無視されたのならば、そもそもそのような決定は無効だと思うが、一般社団法人法上も、総社員の議決権の30分の1の以上の議決権を有する社員で、理事に対し、一定の事項を社員総会の目的とすることを請求することができるとされている(第43条)のであり、法律に基づいても、今回の一連の騒動について、社員総会におけるきちんとした説明や正式な決議を求められるだろう。(総会の決議自体の多数派工作は大変だと思うが、動議の請求だけなら、ソフ倫の正会員数の233社の30分の1、わずか8社で済む。)
また、このレベルの団体だと、理事と監事が一緒くたに扱われている可能性も否定できないが、監事とは、理事の職務の執行を監査し、監査報告を作成する者であり、例えば、一般社団法人法の第102条でも、監事は、理事が社員総会に提出しようとする議案等を調査しなければならず、法令若しくは定款に違反する場合は、その調査の結果を社員総会に報告しなければならないとされているのであり、監事にその義務を忠実に果たすよう求めることも、1つの手だろうと思う。
表に見えることから判断する限り、相手は、何ら根拠も無くいたずらに不当な圧力を行使し、法律も定款も業界ルールも無視して、本来最大限認められるべき表現の自由を侵害しようとして来ているのである、このブログをアダルトゲーム業界の関係者が読んでいるとはあまり思わないのだが、もし読んでおられるなら、是非、なるべく横のつながりを広げ、何らかの対策を練ってもらいたいと思う。まだまだいくらでも手はあるはずである。(あくまでもソフ倫が不透明かつ不当な形で規制強化を強要して来るようなら、そのような団体はもはや自主規制団体、業界団体の名に値しない。その場合、単なる検閲団体と化したソフ倫は解体を模索されても良いくらいである。)
そして、アダルトゲームのファン層と、このブログの読者層が重なっているともあまり思わないのだが、もし読んでおられるなら、善良なアダルトゲームファン諸氏には(善良なだけになかなか筆を取りづらいのかも知れないが)、支持している各メーカーや流通事業者等に、例えば、良識を持った大人のファンとして今まで通りの作品の製作・18歳以上の者への流通を支持すると、自分も含め良識を持った大人のユーザーを全て性犯罪者予備軍として扱うような規制強化は大変残念であると、作品の製作・流通を阻害することになりかねない規制強化に対しては、業界全体として本当にあるべき姿を考えて判断してもらいたいといった、お願い・応援のメールなりを是非書いてもらいたいと思う。クリエーターにとって一番重要なのはユーザーの支持であり、メーカー・流通事業者にとって一番重要なのは消費者の支持のはずである。(流通事業者等にメールなどを書く際には、是非、「王様を欲しがったカエル」や「表現の数だけ人生がある」、「チラシの裏(3週目)」の各エントリを一読してから、書くことをお勧めする。出す場合には、特に、一方的な非難や批判は逆効果となり得るので、お願い・応援として書くこと、きちんと普段利用しているメーカーなり店なりに出し、見せかけの需要を作ることはしないことなどに、是非ご注意頂ければと思う。)
一連の騒動で、不当な圧力に屈したという形を表し、良識ある大多数のユーザーの信頼を裏切り、表現・情報規制問題全体の危険性を高めたアダルトゲーム業界に対する失望の念もあるのだが、できることなら今後、不当な圧力は不当なものとして断固跳ね返すことを、業界全体として、本当にどうあるべきかを時間をかけて検討してもらいたいものと私は思っている。
(6月9日の追記:何故か今コメントできないので、コメント頂いたristma88様への自分の返信コメントをここに載せておく。
「ristma88様
コメントありがとうございます。
全て関係しているとは思いますが、今回取り上げた問題は、いつもの「児童ポルノ」とはまた違う「性暴力」という切り口からの規制の問題であることにご留意下さい。また、法規制では無く自主規制の話ですし、刑法の「猥褻物」規制の話とも異なること、そもそも、そのような内閣府の発言が本当にあったのかどうかすら良く分からないことにもご注意下さい。
その上で法規制の話をしますが、判例上、違憲判決がなかなか出されないことは、私も承知しています。ですが、表現の自由に関する規制に関しては、規制目的が正当かつ重大であり、規制を正当化するに足る根拠が十分に明確であることに加え、表現に対する萎縮が発生しないよう規制範囲も明確でなければならないとされていると思います。(ristma88様は判例等を勉強されているようですので、現行刑法の猥褻物規制についても違憲論があることは、ご承知かと思います。)
表現を規制する新たな法律が成立した場合、確かに、まずは行政裁量によらざるを得ませんが、規制の対象となった者が、その行政裁量の妥当性と、その元となった法律の合憲性を裁判で争うことは当然可能です。そして、その法律が、内容の如何にかかわらずアダルトゲームすべてを規制しかねないような、根拠無く曖昧な範囲で表現を規制しようとするものだった場合、最終的に違憲と判断されることも十分考えられると思います。そこまで到達するのに相当な社会的コストが必要になると思いますが、このような場合にまで司法的救済がまず得られないとすることは妥当では無いでしょう。
莫大な社会的コストがムダに費やされる恐れが強い表現の規制に関しては、立法は特に慎重になされるべきだと私は考えています。
(合憲限定解釈についても、いろいろと言われていますが、もし必要でしたらwikiなどをご覧下さい。)」)
(6月11日の追記:今度は、参議院文教科学委員会が、何ら変更無く、ダウンロード違法化を含む著作権法改正法案を通した(付帯決議(pdf)、審議経過状況(現時点で未反映)参照)。参議院審議中継から審議の様子を見ることができるが、ほぼ衆議院の文部科学委員会(第171回参照)と同じような質疑を繰り返しているだけであり、やはり実質的にほとんど意味の無い馴れ合いの出来レース審議である。
しかし、フランスでは、憲法裁判所が、ネット切断を含む3ストライク法案を違憲とする判決を出し、法施行にストップがかかった(時事通信のネット記事、TorrentFreakのブログ記事、Numeramaの記事1、記事2、ZDNetの記事、フランス憲法裁判所の判決文(pdf)参照)。
これらはどちらも極めて重要なことと思うので、次回、次々回とこれらの話について書きたいと思っている。)
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コメント
こんばんわ。
以下のページに、この規制を始めた団体
イクォーリティ・ナウへの質問への回答(と翻訳)が書いてありました。
http://mudaken.blog103.fc2.com/blog-entry-280.html#comment_area
この回答によると、
>結局ゲームに関わらず楽しんでいる(同意である)ように判断される
>から許せないってことみたいですね。
のようです。
これは、この規制団体の本音だと思います。
しかし、この規制団体のこの思想は問題だと思います。
要するに
同意の上のsexを表現することは許せない
(全てのsex表現を禁止しているわけではないだろうから、残るのは)
(同意の無いsexを表現するのは許せる?)。
このような思想(同意の無いsexを表現するのは許せる?)が心の底にあるとしたら、
そのような思想からは、
同意の無いsex(レイプ等)を増す結果しか
出て来ないように思います。
本当にその思想で規制を実施しているとしたら
(ヨーロッパでレイプが増えている結果を見るとそうかもしれないとも思う)
大問題(青少年を不健全にする)だと思います。
投稿: ランナー | 2009年6月 6日 (土) 20時07分
自主規制という名の事実上の弾圧は勘弁してほしいです。
投稿: taffy | 2009年6月 6日 (土) 21時25分
ランナー様、taffy様
コメントありがとうございます。
私自身は強力効果論もガス抜き論も眉唾物と思っており、ポルノ規制と実質的な犯罪数の間には、正の相関も負の相関も無いだろうと思っています。(正負とも印象操作は簡単ですが、他の要因を除いて実証的に何かしらの相関を証明することは永遠にできないでしょう。)
だからこそ、最大限認められるべき表現の自由が、規制派の根拠の無い主張で制限されることがあってはならないと、私は思っています。
表現と規制の長い歴史の中で、不当な圧力・権力の行使による表現の規制が歴史によって是とされたことはただの一つもありません。一般的かつ網羅的に、根拠不明かつ曖昧な範囲で表現の規制がなされることほど、一国の文化と経済にとって危険なことはないでしょう。例え、特定のジャンルだけを対象とするものであったとしても、その影響は全てに及びます。
ランナー様、taffy様も、もしアダルトゲームファンで、この問題を憂慮されているようでしたら是非直接筆を取って、企業等にメールなどをお出し下さるよう、どうかよろしくお願い致します。
投稿: 兎園 | 2009年6月 7日 (日) 01時07分
>私自身は強力効果論もガス抜き論も眉唾物と思っており、
>ポルノ規制と実質的な犯罪数の間には、正の相関も負の相関も無いだろうと思っています。
おはようございます。
強力効果論は学術的に否定されているようですね。
ガス抜き論は説得力が無いと思っています。
私は、以下のように考えています。
以下の考えは、強力効果論で否定されるでしょうか。
記
私は、日本は、児童への性的虐待を防止する文化を持っていると思っています。
その文化により、日本は児童への性的虐待が欧米に比べて極端に少ない国
になっているのではないかと思っています。
その文化とは、
親が子供にお風呂への入り方を教えるために
子供と一緒にお風呂に入る
という文化です。
この日本の文化は、
欧米人が、種痘(ワクチン)が病気を起こすと思って、
欧米人が種痘(ワクチン)治療の開始に難色を示したのと同じように、
欧米人にこの日本文化が忌みきらわれているようですが、、、
私は、ポルノと性犯罪との関係を調べていった結果、以下のように考えるようになりました。
以下に、私の考えを書きますので、誰か、この仮説の正否を検証してくれないかと思っています。
思春期の青少年に対して性の扱いを一歩誤れば大変な害を及ぼすと思います。
一番害を与えるのは、思春期の青年に「性はいかがわしいもの」という思いを与えることだろうと思います。
そういうふうに思うようになった青少年は、性をとても乱暴に扱うようになると思うからです。
それで、大人が、「性はいかがわしいから取り締まる」と言ったら、
思春期の青少年に与える害ははなはだしく大きいと思います。
また、思春期の青少年自身も、性をそのように「いかがわしいものではないか」と考える傾向性もあると思いますので、
性はそうでは無くて、性は大切なものだからぞんざいにあつかわないよう、
大人が、性を大切に扱ってみせなければならないと思います。
いかがわしい性表現は、「性を大切に扱う」という観点から青少年には見せたくないものです。
しかし、青少年が性に興味を抱くようになったら、その微妙な心をこわさないように、
青少年のプライバシーをとても大切にしなければならないように思います。
たとえば、青少年がいかがわしい(と思われる)ものを見て、それを隠しているなら、
そのプライバシーは守ってあげなければならない、と私は思います。
いかがわしいと見えるものも、それをいかがわしい思いで見なければ、いかがわしくは無いのではないかとも思います。
性に無知な思春期では、単に性の対象を見るだけでは、さほど害を受けていないのではないか
(そもそもいかがわしいものでは無いのではないか)と思います。
問題は、そういうものをいかがわしいと思いながら、見ることにあると思います。
そうなるのは、大人が、それを「いかがわしい」と教え、
更に、それらを「いかがわしく見る見方」
(例えば、性衝動を反社会的行為により満足させようと考える)
ように仕向けることで、
本当のいかがわしさが始まると思います。
機械的に性表現を規制するのは、
性に関して無知な青少年に、
先ず、「性は全ていかがわしい」と先入観を与えることになると思います。
そうなれば、青少年にとって、性について考える事はいかがわしい行為になってしまい、
性と他のとても悪い事(暴力など)との区別がつかなくなる害悪が与えられるのではないかと思います。
それこそが本当のいかがわしさと思います。
そのため、性規制をすることは害がある(まだ仮説段階ですが)のではないかと思います。
そうでは無くて、性はいかがわしくなく、
性とは、性の相手を思いやるように成長するべきものであって、
大切なものであると教えることが大切と思っています。
欧米では、親が子供とお風呂に入る日本の習慣がとてもいかがわしいものに見えるらしいです。
そう思うことこそ、心がいかがわしい
(子供の扱いが分かっていない、子供を性の対象として見る心がある)
のではないかと思います。
日本では、自分の子供をお風呂に入れた親は、他の子供に対しても、
子供を性の対象にすることにはとても大きな心理的障壁を感じるようになると思います。
また、子供も、そういうことをしないのが常識として心に刷り込まれると思います。
この日本の文化は守っていきたいです。
投稿: ランナー | 2009年6月 7日 (日) 05時47分
追伸:
>私自身は強力効果論もガス抜き論も眉唾物と思っており、
>ポルノ規制と実質的な犯罪数の間には、正の相関も負の相関も無いだろうと思っています
強力効果論が学術的に否定している内容は、
「ポルノと実質的な犯罪数の間には、正の相関も負の相関も無い」
ということではないでしょうか。
「ポルノ自身には犯罪との相関が無い」というのが、学術的な結論であって、
(これは、そうだろうなと同意できます。
犯罪は、ポルノの問題では無く、犯人の心の問題と思うからです。)
「ポルノ規制」と犯罪との相関については、学術的に否定するも肯定するも、何も分かっていないのではないでしょうか。
投稿: ランナー | 2009年6月 7日 (日) 06時06分
更に追伸:
誤解が無いように、私の考えを追加する。
以上の私の考えでは、
私は、レイプレイ等のゲームソフトを禁止する考えではないかとも思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、今回のこの騒動で分かったのは、
これらのゲームは、18歳にみせるのは良くはなさそうですが、
欧米の本当のレイプ(同意の無いsex)を表現したものでは無く、
(実質的に)同意の上のsexを表現したゲームであるようです。
そういう行為は、欧米ではレイプとは呼ばないと思います。
これらのゲームは欧米タイプのレイプ(同意が無いどころか暴力まで用いる)を扇動するものではなかったように思います。
それらのゲームは実害が無いので、18禁にはしても、販売停止にするのはおかしい(表現の自由の侵害)と思います。
更に、そいう「規制」をすること自体が、
欧米タイプのレイプという社会悪を増すことになる(統計からはそう見えます)
と思うので、
今回のゲーム表現規制に反対しています。
投稿: ランナー | 2009年6月 7日 (日) 08時37分
ランナー様
再コメントありがとうございます。
ポルノ自体と犯罪についての相関と同じく、ポルノ規制と犯罪の相関についても、風が吹けば桶屋が儲かる式の理屈を考え出すことは簡単ですが、やはり、他の要因を除いて実証的に何かしらの相関を証明することは最後まで難しいのではないかと私は思っています。
表現規制の問題を考えて行くと、一国の文化の土台となっている道徳の問題に行き着くのですが、道徳を目的あるいは理由から導き出すことは不可能だと私は考えています。それでも、国・民族・集団・家族、どのレベルにおいても、道徳は、かくあるべきものとして常に存在していましたし、今後も存在し続けるでしょう。(これまたやり出すと切りが無いので、このブログで本当の文化論や道徳論まで踏み込むつもりはあまり無いのですが、ゲーム1つとってもその文化的・道徳的な比較考察は重要だと思います。)
規制派は常に、逆に情報そのものを規制することで、何かしらの道徳を作り出せると主張するのですが、これは、過去の数多の表現・情報規制の歴史において一度も成功したためしは無く、常に、かえってその国の文化と経済を歪め、その衰退を招くという結果をもたらすだけに終わっています。人類の長い歴史の中で作られた叡智の結晶である表現の自由は、決してごく一部の人間の根拠不明の主張で蹂躙されて良いものではありません。
上に書いたことは私の考えに過ぎず、各種の統計情報は重要だと私も思っていますし、ランナー様の主張を否定するつもりも毛頭ありませんので、是非今後も、ご活動をお続け下さい。
投稿: 兎園 | 2009年6月 7日 (日) 20時50分
こんばんわ
>人類の長い歴史の中で作られた叡智の結晶である表現の自由は、
>決してごく一部の人間の根拠不明の主張で蹂躙されて良いものではありません。
本件、了解しました。
本件は、表現の自由を侵害していることだけわかれば、
他の理由がどうあれ、
この表現規制事件に反対すべきだとおしゃりたいのですよね。
全く、その通りと思います。
投稿: ランナー | 2009年6月 8日 (月) 20時34分
ランナー様
再々コメントありがとうございます。
表現の自由も、無論、他の基本的な権利とのバランスから制約を受けます。表現の自由が無制限に認められてしかるべきだなどと言うつもりは私にはありませんので、念のため。
自分の考えを他人におしつけるつもりは私には全くありませんが、どのような場合が、表現の自由の侵害に当たると考えられるのかということが非常に重要だと思います。表現の自由そのものについて、また別途エントリを立てて書きたいと思っているところですが、表現の自由とポルノの関係については、過去の下記のエントリにも書いていますので、もしご興味がありましたら、ご覧頂ければと思います。
https://fr-toen.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/post_7cd8.html
第76回:「表現の自由」とポルノグラフィ
多少なりとも何かの参考になったようでしたら幸いです。
投稿: 兎園 | 2009年6月 8日 (月) 22時50分
>表現の自由に抵触するなら、当然そのような法律は裁判で最終的に憲法違反で無効とされるはずである。
に関して、
判例は合憲限定解釈を基本としていて、違憲判決は可能な限り出さないように
しています。
また刑法の「わいせつ物」に関する規定は「表現の自由」に抵触しないとされており、
この「わいせつ物」の解釈の範囲はきわめて広いため、
たとえ美少女ゲームすべてを児童ポルノとみなす法律ができても
司法的救済はまず得られないでしょう。
内閣府の発言は、現在のポルノ取締りが行政裁量に拠っていることを念頭においた
ものだと思います。
投稿: ristma88 | 2009年6月 9日 (火) 00時38分
DL規制が今日から参議院で趣旨説明が行われるそうです。
ttp://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/koho/171/koho/ko110200906081050.htm
投稿: jado | 2009年6月 9日 (火) 07時14分
jado様
情報ありがとうございます。
ダウンロード違法化問題に関しても、国会が延長されたことは本当に痛いです。
現状、かなり絶望的な状況にありますが、個人でできることは続けて行きたいと思いますし、jado様も是非、できることをなさって頂ければと思います。
投稿: 兎園 | 2009年6月 9日 (火) 22時32分
明日からDL規制の審議が行われるようです。
ttp://online.sangiin.go.jp/cgi-bin/yotei.cgi
投稿: | 2009年6月10日 (水) 17時04分
>全てのsex表現を禁止しているわけではないだろう
なにかあまいこといってるんでしょうか。
禁止したいに決まってるでしょう。
表立って言う人間が普通いないので論議にあがりませんが
オナニーのことが論議にあがりません。これが1番問題だと思うのですが。
つまりオナニーしない人間がいるって視点がない!
規制派はあきらかにオナニーをしない人間が多いのではないんではないだろうか。
性的嫌悪でオナニーをしない人間からアダルトメディアはどう移るのか?空想してオナニーをするという行為は理解できず、オカズでおオナニーをする行為も理解できません。
そんな人間にアダルトメディアの必要性をデータ見せようが
犯罪因果はないとか論議してもなにか意味があるんでしょうか?「こんな汚らしい物で」話は終わりです。
米を食べたことがない人に良さをいくら説明しても実際に見て、食べてもらわないことには理解はされんでしょう。
投稿: オナニーする?しない? | 2009年6月11日 (木) 21時11分
児童ポルノ規制からみで、表現の自由を規制はじめたように思います。
例えば、最近は、
「赤線規制」
というキーワードで、googleで検索すると、児童ポルノ規制を批判しているサイトはほとんど検索結果に出て来なくなりました。
また、
「怪しい児童ポルノ」
というキーワードでgoogle検索すると、
怪しい児童ポルノ規制法案
http://like700.hp.infoseek.co.jp/42.html
のサイトが検索結果に出てきません。
更に、
「ヒーロースクール」
というキーワードでgoogle検索すると、
ヒーロースクールは統一協会です
http://like700.hp.infoseek.co.jp/18.html
のサイトが検索結果に出てきません。
投稿: ランナー | 2009年6月14日 (日) 05時55分
ランナー様
グーグルの検索結果のことでしたら、まず、グーグルにお訊ねすることをお勧めします。
(また、今のところ、検索エンジンの結果如何について、表現の自由の規制ということは無理があると思います。「表現の自由」は法律用語ですので、使い方には気をつけた方が良いでしょう。詳しくは、憲法に関する教科書等を買って、勉強することをお勧めします。)
投稿: 兎園 | 2009年6月14日 (日) 19時45分
性暴力的な描写は、これまで表現されてきたごく一般的な描写だと思うのですが、なぜ今になって強く規制をしようとするのでしょうか?
時代的な思考、あるいは流行的な思想が、それらを低俗と思わせているのかもしれませんが、過去の書物などを読んでも、ごくごく当然のように性暴力描写は書かれてきています。
破壊衝動は人間の持つ普遍的な欲求であり、それを抑圧することの方が破壊衝動への確執的な思考を育む要因になると思います。
正当な規制を目指すのであれば、表現を規制するのではなく、そうした表現媒体を入手するまでのプロセスを管理し、責任を持って提供するように取り締まれば良いのではないでしょうか?
投稿: トシ | 2019年4月24日 (水) 09時24分