この5月8日に、衆議院文部科学委員会が、著作権法改正案(その内容と問題点については第160回参照)を何ら修正も無く通した。公式な議事録はまだしばらくかかるものと思うので、暫定版として起こした議事録をここに載せる。(国会中継からなるべく丁寧に起こしたつもりだが、どこか間違っている点があれば、是非教えて頂きたいと思う。)
貴重な国会審議において、どの党もほとんど、そんなことは他でやれば良いはずの法案と直接関係ない問題をだらだらと喋っているだけであり、法案に対する実質的な審議は何もされていないに等しい。完全な馴れ合い、茶番の出来レースであり、これがまがりなりにも選挙で国民の代表として選ばれた者のやり取りかと思うと、私はほとんど絶望しか覚えない。
民主党は、その党内会議で、私的録音録画小委員会の委員で最後までダウンロード違法化反対の主張をされていた津田氏から問題点を聞くことまでした上で、この体たらくである。ブログでは、民主党の川内博史議員は「委員会質疑の中で修正を求めます」とまで言っていたが、結局、利用者に対して直接権利行使を行う場合には事前に警告を行うよう文化庁に権利者団体への指導を求め、ユーチューブやニコニコ動画などの動画投稿サイトを見るだけは違法とならないことを確認するに止まり、川内議員からも修正動議は入らなかった。(川内議員は、着うたフルを独禁法違反ではないかとして国会審議内で申告するというトリッキーなことをしているが、これは法案とは直接関係しない。)
民主党の松野頼久議員は、ジャスラックと独禁法の問題に関して完全な法律の無理解を示して時間をムダに費やし、やはり民主党の和田隆志議員は、教育というところに力点をおいてダウンロード違法化に賛成だという総括をしているが、ダウンロード違法化は教育のためにもならないと私は断言する。和田議員は、やたらに若い人たちのためにと繰り返しているが、その言うところの若い人たちが、この国会でのやり取りを読んだら、日本の未来に対して希望を抱くどころか絶望を感じるだけだろう。
日本共産党の石井郁子議員も、今回の法案と直接関係しない私的録音録画補償金問題について、権利者団体が言っているようなことをそのままこの場で繰り返し、一方的な見方からメーカーを非難して補償金制度を擁護するなど、著作権法の本質に関わる私的複製問題について、その本質を全く理解していないことを示している。(メーカーの対応にも難はあると思うが、どうせどこかの権利者団体が共産党に吹き込んだのだろう。やはり彼らの手は長い。)
社会民主党の日森文尋議員も、グーグルブックサーチ問題やフェアユースの話などを聞いているが、これもまた何も言っていないに等しい。(日本文芸家協会が持ち出されているので、吹き込んだのはやはり権利者側だろう。)
読めば分かると思うが、どの党も国民と口先では言いながら、本当は国民のことなどカケラも考えていないことを如実に露呈している。国会で、このような馴れ合いの出来レース審議が行われており、また行うことが可能であるというのが、絶望的な今の日本の現状である。今後も追いかけて行くつもりだが、与党として閣議決定という形でダウンロード違法化を含む著作権法改正に賛成した自民党(宗教政党である公明党は無論論外である)はおろか、このような審議を見る限り、他の党も含め、残念ながら、著作権問題に関して投票できる党は無い。
著作権法に限らず多くの法案で、このような腐った馴れ合いの国会審議はザラに見られる。著作権問題を超えて、国会におけるこのような馴れ合いの出来レース審議をいかに無くすか、これを不可能にして行くか、どのように国民の本当の意見が政策決定に反映されて行くようにするかということこそ、今後、考えて行かなくてはならない真の国民的課題である。
スウェーデンで海賊党が3番目に大きな政党になり次の欧州議会選挙で議席を得るかも知れないということが言われている(TorrentFreakのブログ記事参照)が、ご覧の有様では、日本でもすぐにでも海賊党を作る必要があるのではないかと私は感じている。
(5月12日の追記:特に新しい情報が含まれている訳ではないが、この日の質問概要をまとめた委員会ニュース(pdf)と付帯決議は既に公表されているので、念のため、リンクを張っておく。なお、数字を漢数字になおしたり、漢字を開いたりといった程度のものだが、公表されているものの通りに、下の議事録の付帯決議読み上げ部分も直した。)
(5月13日の追記:既に「P2Pとかその辺のお話@はてな」で紹介されているので、興味のある方はリンク先をご覧頂ければと思うが、フランス下院が、一旦は否決したいわゆる3ストライク法案の再議決を行い、今度は通した。この法案はさらに今日明日中くらいに上院でも再可決される予定のようであり、上院も通過して固まったところで、また法案の内容の紹介をしたいと思っている。)
(5月14日の追記:「チラシの裏(3週目)」で既に書かれているので、リンク先をご覧頂ければと十分と思うが、この著作権法改正案は12日に衆議院本会議も通り、参議院(担当委員会は文教科学委員会)に送られた。国会中継を見てもらえばすぐに分かると思うが、議事録を起こす必要性の全くない、質問ゼロ動議ゼロの完全な無風通過である。他の法案も含めてザラに見られる光景であるとは言え、今の国会では、ダウンロード違法化ほどの問題についてこのような馴れ合いの出来レース審議が平気でまかり通るのである。全国会議員が政治に対する参入規制と馴れ合いで心底腐り切っているとしか、これは今の国会議員の誰一人として国民のことなど本当は全く考えていないことを示すものとしか言いようが無い。
また、フランス上院でも、13日に3ストライク法案が通った(vnunetの記事、NetEcoの記事参照)。これで両院を通過したことになるが、EU委員会は事なかれ主義で3ストライク法案は欧州法に違反しないと言おうとしているものの、即座に、3ストライク法案否定条項を主導したEU議会の議員からそのような委員会の態度に文句がつけられるなど(Le Mondeの記事1、記事2参照)、さらに憲法裁判所に訴えられる可能性(フランスでは国会を通った法案に対して憲法裁判所に合憲性の審査を求める訴えを提起することが可能。提起された場合は、インターネットへのアクセスがフランス憲法に照らして基本的な権利かどうかという点が争われることになるだろう)も十分にあるなど、もうしばらく混沌とした状況が続きそうである。)
(6月15日の追記:以下の議事録もそのまま残しておくが、正式な議事録も公開されているので、ここにリンクを張っておく。)
(以下、議事録)
○岩屋毅委員長(自民・文部科学委員長・大分県3区)これより会議を開きます。内閣提出著作権法の一部を改正する法律案を議題と致します。本案の審査のため、本日政府参考人として、内閣官房知的財産戦略推進事務局次長内山俊一君、公正取引委員会事務総局審査局長山本和史君、文部科学省スポーツ青少年局長山中真一君、及び、文化庁次長高塩至君の出席を求め、説明を聴取致したいとしたいと存じますが、ご異議はありませんか。ご異議なしと認めます、よって、そのように決しました。これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高井美穂君、高井君。
○高井美穂委員(民主党・無所属クラブ・四国ブロック)おはようございます。民主党の高井美穂です。今日は著作権法の一部を改正する法律案ということで、お時間を頂きましてありがとうございました。ええと、インターネットという手段ができて、著作権が一部の業界人だけが注目していたものが、国民全てがこれに関わるようになったという時代になりまして、まさに誰にどのような著作権を付与するかということは、国民の合意によって決めて行くものだと私は考えております、つまり国民の合意によって決めるということは、この国会で議論して決めると、つまり、著作権法というのは、権利者と利用者のそのどちらもが利害や思想が異なる、どちらの立場を認めて行くかということを国民全てが、国民がかかわる中で、ルールを作るということだと思っておりまして、どちらの立場に立つのが正しいとか、善とか悪とか言う問題ではないと思っております。そうした中で、どういう著作権を付与するのかしないのかを決めて行くのは、産業政策や、人々がどうしたらより利用し易いのか幸福になれるのかという観点から、法律を作る訳だと思いますが、これからさらなる技術の発展や新たなビジネスモデルに対応できるように、不断の改善の努力が必要だという風に考えております。今回の法律改正においては一定の前進だという認識を持っておりまして、とりわけ今日質問させて頂きます、障害者の著作物利用の円滑化という点においては大変な前進だと思いまして、この点から質問を申し上げたいという風に思っております。今回の法改正の中で、国連の障害者の権利条約の第30条3にうたわれている、締約国は、国際法に従い、知的財産権を保護する法律が、障害者が文化的な作品を享受する機会を妨げる不当な又は差別的な障壁とならないことを確保するためのすべての適当な措置をとるという風な精神に則りまして、またこの文化審議会の著作権の分科会の中でも議論がありました、この障害等によって著作物の利用が困難な者を、可能な限り、権利制限の対象に含めるとともに、複製主体、方式も拡大する方向で速やかに措置を講じることが適当という風な、検討結果に沿って今回の法改正がなされようとしている訳で、障害者のために権利者に無許諾で行える範囲を拡大するということは、大変この先ほど申し上げたこの権利条約の主旨にも則ったものとして評価を致しますが、具体的に、この障害者の皆さんや障害児の通う学校や図書館等、また、大きな障害を持つ方々の支えとなっておられるボランティアの方々や様々な活動団体にとってどのようなメリットがあるとお考えになっておられるか、大臣からまずご答弁をお願いしたいと思います。
○塩谷立文部科学大臣 著作権につきましては、今高井委員がおっしゃったように、インターネット等の情報通信が発達する中で、国民全般に関わることとしてこれから状況に応じてしっかりと対応して行かなかければならないということでございまして、今回特に、障害者についての37条3項の改正の意味ということでございますが、これについては、健常者と障害者の情報格差の拡大、さらには障害者の著作権の利用法の多様化、障害者の権利の条約を巡る状況を踏まえてですね、障害者のために権利者の許諾を得ずに著作物を利用できる範囲の抜本的な見直しということで、障害者の情報格差を解消しようとするものでございます。特に具体的にですね。一つは、弱視者、発達障害者なども含めて、視覚による表現の認識に障害のある者が対象となること、二つ目には、録音図書に限らず、拡大写本、デイジー図書の作成など、それぞれの障害者が必要とする方式で複製等が可能となること、また三つ目として、図書館など障害者施設以外の施設でもそれらの作成が可能となること等の改善が図られる訳でございます。こういった措置を通じて、障害者のために著作物の提供が一層、円滑になるようになり、障害者による著作物の利用機会の拡大が図られることとなるものと考えております。
○高井委員 この第37条の3項、今回改正になりますが、障害者福祉に関する事業を行う者を政令で定めることとしております。これまで、弱視の子供たちのための拡大教科書など全国各地のボランティアの皆さんが、一冊一冊手作りで作業を進めて来られて、本来国や教科書会社がきちんとするべき教科書作りを支えて来て頂いた訳です。昨年、教科書バリアフリー法が議員立法で作られ、私もこれに関して何度か質問にも立たせて頂きましたけれども、義務教育段階でかなり普及が進んだことは感謝を申し上げますし、評価致しますが、今度は、ボランティア団体の皆さんも副教材作りについて力を入れて行こうということで、意欲を新たに前向きに頑張っているところでございます。しかし、今回の改正の運用面などの点で、不明確な点がありますので、ちょっと確認させて頂きたいと思うんですが、これからもボランティアで行おうとする教科書以外の拡大写本の作成は、著作権者の許諾を得なければならないのか。そうしなければ違法行為になるのではないか。権利許諾の複雑な手続きが必要になって来るのではないかという風に心配する向きもあがっています。この拡大写本の作成等をしているボランティア等を、例えば事業者として、今回の法律で、この法律の中の政令として組み込むことが難しいのか、定めることが難しくなければ、政令で定めるということになりますと、かなりいろんな団体等を含めなくてはいけない、それ以外の政令で出てこない団体が違法になってしまうのではないかという懸念があるのですけれども、引き続き自発的に行ってる団体等が、権利者の許諾を得なくて済むのかどうかちょっと確認をさせて頂きたいと思います。
○高塩至文化庁次長 先生お訊ねの今回の法律案の改正法の37条3項の複製が認められる主体として政令で定めるものにつきましては、今後、関係者の意見も聞きまして検討を行うこととしております。現時点では、利用者確認の体制整備状況などに応じまして公共の図書館や民間の法人などを対象として行くことを考えているところでございます。このため先生ご質問のございました、拡大図書の作成を行いますボランティア団体が、法人格を得て、組織的に事業の実施ができ、障害者の確認ができる体制が整えられている場合には、政令指定の対象とすることも可能と考えられるところでございます。ただ、個人や少数のグループなどにより活動を規定するは政令としては難しいのではないかと考えます。ただ、政令指定の対象となります公共図書館等の活動に協力するという形態を取ることなどによりまして、これまで同様ですね、ボランティアの方々が拡大写本の作成等を行うことは可能でありますし、そういうことを促進して参りたいと思っております。
○高井委員 今のご答弁からしますと、まあ、政令等にボランティア等を書き込むのは難しいと、ボランティア等の皆さんにNPOなどの法人格を取れば、書き込みやすいということになるのかも知れませんけれども、なかなか個人でやっている方々、いろんなご事情もありますし、そういう風にNPOの資格を取りにくかったりすると思います。でき得る限り、ボランティアの方々がすることについて、違法とならない権利をわざわざ、著作権の利用許諾を得なければならないということが無いように、少なくとも、改正になった後にも皆さんにも広く周知徹底して頂きたいと思います。今のご答弁だと、今まで通りこれからもそういうことでなくて良いと思いますので、ボランティアの皆さんが萎縮しないようにくれぐれも関係者団体の皆さんに対してご支援をお願い申し上げたいという風に思っています。拡大教科書などの電子データが提供されてる場合、今回追加されたこの37条3項のただし書きによってボランティアなどがそれ以上複製できなくなるということは無いと思いますけれども、このただし書きの当該方式の定義の詳細に問題についてお伺いをしたいと思います。音声という媒体についてですけれども、例えば出版社が音読カセットを販売している場合、これを図書館が、視覚障害者のために、デイジー方式といいまして、利用し易い情報システムに、この学習障害とか、障害を持たれている方、高齢や様々な発達障害などにより文章を読むのに困難を有する方々のための、読書の支援のシステムの方式でございますけれども、この音訳図書に複製するということを、図書館がやっても良いということになりますでしょうか。もしくは、そのカセットがある場合、カセットを利用せずに、図書館内で既にカセットがあるものに対して、図書館内でもっと読みやすいデイジー方式、もっと違う形の方式を取る場合、独自で作成したりということはできるのでしょうか。
○高塩次長 先生ご質問の改正案37条第3項のただし書きによりまして、権利者等によりまして障害者に対応した形で著作物の提供が行われている場合には、権利制限を適用しないということをしている訳です。これは、そういう権利者が障害者のための物を作成しているということにつきましてはですね、障害者のための条約でも、それを促進することを求めるということでございまして、このような規定を置いた訳でございます。ただ、このただし書きの適用の有無につきましては、先生からお話のございました、音声カセットが販売されている場合に、デイジー方式の録音図書を複製できるかという問題でございますけれども、これは対象となる障害者が音声のみではその著作物を認識できないと、やはり文字と音声の両方で見聞きする、デイジー方式のみしか、障害上の理由からそういうものが是非必要だと認められる場合には、認められた図書館などで複製が可能だと考えております。ただ、単にテープよりデイジーの方が容量が大きいとか、物理的な理由では無くですね、真に障害者の方がそういうもので無ければ、そのような図書を認識できないという理由が認められれば、音声カセットが販売されておりましても、このデイジー方式のものを複製ということは可能だという風に考えております。
○高井委員 最近のデジタル技術の発展とか情報通信技術の革新は大変目覚ましいものですから、デイジー技術についてもかなりいろんな機能があがってきているのではないかと思いますし、できる得る限り、先ほど冒頭申し上げた権利条約の観点からも、障害者の皆さんが利用しやすいような形を許して行く、許諾して行くということをでき得る限り運用上やって頂きたいという風に思っております。音声というものに加えて、電子データにおいても、同じような問題が生じると思います。例えば、講談社なんかにしても、ドットブックといった形式で、ネット上で、本を、電子図書というものをインターネット上で販売、配信をしています。それを例えば、図書館で、同じようにこのデスのファイル形式に変換をして障害者に貸し出すことは、技術的上は大いに可能だと思いますし、それができるという風に解釈をして行きたいという風に思うんですけれども、スキャナーとかで読み取ってテキストファイル化して行くとかいうことは、今の先ほどのご答弁からすると、同じように障害者のために限定されたものであれば、できるということでよろしゅうございますか。
○高塩次長 今先生からドットブック方式で電子図書がインターネット配信されている場合に、別のファイルに変換する複製ができるのかというようなお話でございますけれども、これは、ドットブック形式が音声読み上げソフトに対応しておらずですね、これが可能となりますファイル形式に変換する必要がある場合など、障害上の理由でですね、ドット方式以外のものが必要であるという場合には、さきほどと同じ考え方で複製できると考えております。
○高井委員 今全ての電子データも音声の読み取り方式にすぐにできるということはないと思いますけれども、それを図書館などが例えば工夫をしながらファイル形式を変換してデイジー方式で対応するようなものに変えて行くということは、一回複製が生じますので、著作権法上問題が生じないかということを確認をさせて頂いた訳ですが、問題が生じないと、限定されたものであり、またそれが必ず障害者のために資する、必要であるということであれば、問題が生じないということで、できるという風に理解を致しました。同条項は、同じく障害者が利用するために必要な方式での公衆への提供がされている場合という風に、その場合は、障害者が利用するために必要な方式での公衆への提供がされている場合には、権利者に無許諾で、許可無く複製ができないという風に規定をされていますが、読み上げソフト等が逆に組み込まれていたりすると、これはダメだということになるんでしょうか。
○高塩次長 この先生から再三ご質問でございますただし書きの主旨というのは、権利者が、自ら障害者に対応した形で著作物の提供が行われている場合にはですね、権利制限を適用しないとするものでございますけれども、こうした主旨に照らせばですね、必要な方式の複製物が形式的に存在すると致しましたとしても、その著作物を実質的に障害者が入手できないような場合にまでただし書きの適用があるという風には考えておりませんので、そういう考え方に立ちまして、ケースバイケースでございますけれども、考えて参りたいと思っております。
○高井委員 ありがとうございます。先ほどご答弁頂きました通り、どうしても入手できないとか、絶版になっているなど、どうしても高くて買えないとか、買いに行けないとか、いろんなケースが、障害者の皆さんにあるかと思いますけれども、そういう場合はできるだけ斟酌をしながら広く適用して頂けるようによろしくお願い申し上げたいと思います。例えば、図書館が、独自に作成をして、それをボランティアの方が音読する、それを例えばテープに取るとか、個々一つ一つやっている場合も図書館によってはあると思います。そういう場合への制約はかからないということで対応よろしくお願いしたいと思います。次に、今回、国立国会図書館のバリアフリー化という条項が入りまして、この点についての質問に移らせて頂きたいと思います。今回は図書館長の長尾館長自らお越し頂きありがとうざいました。かなり積極的にご発言をされているようですので、是非この場でも意見開陳をお願いしたいという風に思っております。今回バリアフリー化ということで条項が入りまして、電子図書館のアーカイブの電子図書が、活字が画像として表示されておりますので、視覚障害者が使う音声読み上げソフトには対応していないと伺っております。ですから、そのスクリーンリーダーなどの音声読み上げソフトを利用する視覚障害者にとって見ると、独力で内容を知ることができないということになっておりますが、社会福祉法人の盲人福祉委員会などから、私の方にも、是非、電子図書館アーカイブも文字として認識できる形式で提供して頂いて、私たち視覚障害者も、拡大文字で読書したり、合成音声で聞くことができるようなホームページにしてもらいたいというご要望もあるのですが、この点いかがでしょうか。
○長尾真国立国会図書館館長 あの、国立国会図書館がインターネットに提供致しますサービスのうち、ホームページによる各種の情報提供と書誌情報の検索サービスにつきましては、文字データである部分については原則として音声読み上げソフトに対応できるようになっております。しかし、電子図書館アーカイブにある本文情報の提供は現状画像情報によるものでありまして、対応するテキスト情報は作成していない訳でございます。その理由は、これまでの対象が明治大正時代の古い資料が中心でありまして、旧かな旧時代資料のテキスト化には多大の費用と労力が必要だからであります。また、刊行年代の新しい時代のテキスト化につきましてては、出版関係者等から商業活動に影響を与える可能性が有るとして強い反対意見が出されています。国立国会図書館と致しましては、昨年度の出版関係者、著作権者等との数回の関係者協議の場を通じまして、利用提供の範囲、条件につきまして合意形成を図る努力を重ねて参りましたんですけれども、テキスト化につきましてはなかなか抵抗が強くて音声読み上げソフトに対応するのは当面難しい状況だということでございます。残念なことではございます。
○高井委員 確かに、私も昨日通告の段階でいろいろお聞きしまして、昔の資料、明治大正時代の資料、旧字体の資料もなかなか難しいという風にお聞きしましたし、まあ、これから、この電子図書にして行くことに関して、かなりお金も手間暇もかかって行くものと思いますが、ただ、デジタル技術がここまで進んでいる時代において、私はもうちょっと、最近の図書でもどんどん新しく早くできていくものかと思ってたんですが、やはり人手も時間もかかって行くことではありますが、これから是非前向きに検討して行って頂きたいと思います。障害者の権利条約も採択されて、2010年の国民図書年に向けて、図書のバリアフリー化を目指す運動も全国で始まっておりますので、子供たちの読書活動や障害者の皆さんも含めて分け隔てなく情報が手に入りますように、技術的にはこれからできて行くのだと思いますので、我々も含めて努力して行きたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。申すまでもなく、教育基本法にも、障害のある者が、その状況に応じて、教育上の必要な支援を講じなくてはならないと規定されておりますので、予算もかかることと思いますが、是非、この点についてこそ、是非、進めて行って頂きたいと、国会の方の意思として予算もつけて進めて行きたいと、私どもの党は少なくとも思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。そして、今回の改正で、今後、図書館の方で、全ての図書について電子化を進めて行くという風なご予定だと思いますが、アーカイブ形式が促進されるということにおいて、どのようなペースでこれから進めて行かれるのか、この電子保存されたアーカイブ資料は国民の皆さんにどのように活用して頂くご予定があるのか、教えて頂きたいと思います。
○長尾館長 現在国立国会図書館が所蔵する明治大正期の刊行図書を電子化してインターネット公開する事業を行っておりまして、これは14万8千冊を画像情報の形で提供中でございます。それから、国立国会図書館におきましては資料電子化の基本計画を作成しておりますけれども、平成21年度補正予算案では、計画を加速致しまして、図書等の大規模なデジタル画像化を進めるために関係経費127億円を要求しております。これにより、デジタル化すべき図書約400万冊につきましては、その内4分の1が画像形態での電子化がされる見込みでございます。全部やるためにはこの4倍の資金が必要でございますし、さらに雑誌の電子化につきましても同程度の資金が必要であると考えております。で、作成しました電子情報の利用につきましては、原資料の資料の保存の観点から、在館利用者に対して館内提供をするということとともに、今後、出版関係者、著作権者との協議を通じて、さらに利便性の高い利用の仕方を実現するべく努力して行きたいという風に思っているところでございます。
○高井委員 長尾館長、今模範答弁をされましたけれども、館長自身は、いろいろと電子図書館構想等もご検討されているということを報道等で聞きかじりました、もし可能ならばそれを開陳してもらいたいと思いますし、私が新聞報道等で読んだのは、出版社から例えば有料で本やデジタルを購入して、それを外部利用者が利用したい場合には、利用料を頂き、例えばそれを中継役として、単に利用料を単に出版社の方に渡すと、営利目的のものはできないので、単に中継役として、アーカイブを持っている、外部利用者から利用料をもらって出版社に渡すと、そうした構想もお持ちだと伺いましたけれども、これが是非可能であるなら、前向きに検討して頂きたいと思いますし、少なくとも、出版社であったり、図書館の側であったり、利用者の側が、協議をして、現状の枠組みの中でもできるという風にお聞きしたのすけれども、今どのようなお考えで、検討状況にあるのか教えて頂ければと思います。
○長尾館長 あのー、図書館の資料をデジタル化しまして、日本中の人たちに遠いところからでもインターネットを通じて利用して頂くということは理想のところでございますけれども、これを無料でやりますと、出版社あるいは著者が成立しないというところに追い込まれる危険性がございます。日本の文化というのはやはり著者、出版社がしっかりと進んで行く、そして図書館と協調して行くということがなくてはいけない訳でございますので、そういうある種のビジネスモデルを作って行く必要があるのではないかと思っております。これは大雑把に申しますと、音楽のダウンロードで、皆さんがイヤホンで聞いておられる、その時お金を適当に払うというようなモデルでございますが、図書館はあくまでも無料で全ての情報を提供するというのが基本でございますので、お金につきましては、これは、ダウンロードするわずかな金額を集めてこれを出版社あるいは著者に還元するような第3のセンターみたいなものを設けまして、これをうまく活用して、えー、全ての人にこのデジタルな著作物の提供をするということをしてはどうかということを提案しております。で、図書館としましては無料でそのデジタル情報をその外部のセンターなんかにお渡ししまして、そして、そこから要求のある読者に渡すと、こういうモデルを考えておりますが、こういうことにつきましては、著者、出版社あるいは利害関係者と今後良く議論をして、両者が納得する形で作って行ければという風に思っておりまして、今後努力をしたいと思っております。
○高井委員 私はこれから出版社等もまた利用者の利便に資するためにも、すごく前向きな新たなビジネスモデルを提案される館長の姿勢は私はすばらしいと思っておりまして、是非、関係者の方と議論しながら、より前向きに検討を進めて行ってもらいたいと思います。館長おっしゃった通り、私も、徳島でありますけれども、父もちょっと病気をしまして遠くまで外出できません。でも、地方にいても、高齢者であっても、どこからも最新の情報を手に入れられるというのは、そこからお金を払って手に入れられるというのは、本当にすばらしい、技術の発展によりそれができるようになったというのは、私はすばらしいことだと思っておりますので、そうしたビジネスモデルを前向きに検討して行ってもらいたいと思います。今回の改正の中で、聴覚障害者のために、映画や放送番組への字幕や手話の付与を可能とするということも盛り込まれておりますけれども、レンタルのDVD映画等にも義務づけをして頂きたいと運動して来た、バベル、字幕の願いをつなぐ市民の会、今日もお見えになっておりますが、こうした方々からも、様々な期待を持たれております。これまでは、著作権者と映画事業者のコスト負担がネックになっているところもございまして、これはむしろ産業政策の方かも知れませんけれども、できる得る限り、いろいろな形で後押しがして行けるように多くの関係者と協力しながら進めて参りたいと思います。最後の質問になりますけれども、本改正の主旨を、広く国民に周知徹底をして行って頂かなくてはならないと思いますし、最近は、大学のレポートなんかでもコピペという、ウィキペディアからとってそのまま貼付けしたりすということが増えているという話も聞きますし、新聞や週刊誌といったプロの世界でも著作権法違反ということがしばしば問題になります。こういう現状を見るにつけ、冒頭申し上げたように、インターネットという手段を通じて、国民みんなが著作権の利害関係者、利用者となるという立場の中で、著作権の教育の必要性というものに対して、もしかしたら高校生レベルからでも必要ではないかと感じておりますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
○塩谷大臣 ご指摘の通り、情報技術の発展によって、国民に広く著作権に関する知識を周知することが必要だと思っておりまして、文部科学省としましても、国民に対する普及啓発事業として、著作権に関する様々な質問に、インターネットを通じて答えるシステムを現在開発しておりまして、運用して行きたいたいと思っております。図書館の職員、教員、一般の方々を対象とした各種講習会の実施に取り組んでいるとことでございます。また生徒や教員を対象にした多様な教材等の作成、配布やホームページを通じた提供など実施して来たところでございますが、特に、平成21年度3月、今年3月ですが、高等学校の学習指導要領の改正において、著作権に関する記述を充実しまして、従来の情報に加えまして、音楽や技術等についても、著作権について指導することとしたところでございます。著作権に関する教育、普及啓発に関しては一層の充実を図って参りたいと考えております。
○高井委員 ありがとうございました。
○岩屋委員長 以上を持ちまして、高井君の質疑は終了致しました。次に松野頼久君、松野君。
○松野頼久委員(民主党・無所属クラブ・熊本県1区)民主党の松野頼久でございます。今日はですね、当文部科学委員会におきましてこうして質問の時間を与えて頂きましたことを委員長、各党の皆様に心から御礼申し上げる次第でございます。早速質問に入りたいと思うんですが、あのー、今年の2月の27日、今日あの公正取引委員長に出席を頂いているんですが、その音楽著作権協会に対して排除命令を出されたということを聞いております。この件についてちょっと若干伺いたいと思うんですが、私も実は学生時代、テレビ局の製作の現場でアルバイトをしていたことがあります。そういう経験から今回の排除命令に非常に違和感を感じたんですね。といいますのは、その、放送事業者、テレビ局の製作の現場では、少なくとも、この曲は、ジャスラックが管理している楽曲だから使いやすいから使おうとかですね、この曲は違う事業者が管理している楽曲だからこれは使うなとかですね、という会話は全くないんですね。で、今回もこの質問に当たって、何人かその知り合いのテレビ局のプロデューサーにヒアリングを致しました、やっぱりこういう現状があるんですかと、どうしてもジャスラックの楽曲以外の楽曲について使いづらいから使わないとかそういう状況なんですかということ伺いましたら、そんなことないぞと、まず自分たちは曲を選ぶ責任者として、これはジャスラックだからとか、これはジャスラックじゃないからとかいう、少なくともそういう選別をした一覧表さえ見たこともないし、そんなことを考えて番組なんか作っていないと。一番考えるのは、まず視聴者にどういうイメージを与えるか、いいイメージを与える曲を選びたいと、そしてそれが自分の作る番組にどういうイメージになるのかと、そういうことだけを考えて、わずか1曲何万円か、数万円か分かりませんけれども、そんなことを気にして番組を作っていないよというのが、やはり現場の実態なんですね。で、確かに、シェアが90数%と高い、そのシェアが高いからこれは私的独占である、その状況だけを見て私は排除命令を出したんではないかという気がしてならない訳です。今日は理事会において承諾を頂いて、その排除命令の文章を配布させて頂きました。この違反行為の概要のところの2番、管理楽曲が放送事業者の放送番組においてほとんど利用されず、また、放送等利用にかかわる管理楽曲としての放送等の利用が見込まれる音楽著作物を、ほとんど確保することができないことから、非常に排除命令にこのほとんどという言葉に違和感を覚えるんですけれども、これは一体どういう根拠でこういう文言になったのか、またどういう状況でこれを調査されたのかということを教えて頂けないでしょうか。
○竹島一彦公正取引委員会委員長 お答え致します。今松野委員が、プロデューサーというのは、そういう誰が管理している楽曲かということにはとらわれずにですね、必要なものを選ぶとこういうことをおっしゃった訳ですが、プロデューサーのレベルは私は良く分かりませんが、少なくとも今回調べた結果そうでは無いと、その、管理しているほうでしょうか、要するに経理のほうなんでしょうか、著作権使用料について管理している放送局の部門から、具体的にはこれはエーベックス、イーライセンスが管理楽曲として扱っていた、エーベックスの関係の楽曲について、これを使用しようとする動きがあったのに対して、そういうことをすると、追加負担が生じると、著作権使用料を余計に支払わなければならないと、だからダメだと、そういう社内における通知なり通達なりががあったと、そういうことがあって、3ヶ月くらいはじゃあ無料で結構ですということまでやったんですけれども、その先が見えないと、結局、まあ使われることに至らずということがあった訳です。で、したがって、これ、ほとんどと書いておりますが、事実上100%に近いということで、100%と書けないからほとんどと書いている訳でございまして、まさしくですね、放送局向けの管理楽曲の許諾ないし利用の使用においてですね、ジャスラックが文字通り私的独占、特に新規参入、平成13年と記憶してますが、この管理事業法ができてですね、新規参入ということが道が開けて、現に手をあげた業者がいて、かつ管理楽曲も確保したにも関わらず、それが放送局において使われることにならなったという事実がある訳でございまして、これはまさに排除型の私的独占に当たるというのが我々の判断でございます。
○松野委員 この独占禁止法第3条、事業者は私的独占、要はこの場合の事業者というのは著作権管理会社だと思うんですね、事業者は私的独占又は不当な取引制限をしてはならない、この第3条に基づいて、今回の排除命令が出されているということであります。それは、あの放送事業者側の問題を今おっしゃっているんではないかと思うんですね、要は、例えば今回で言うと、ジャスラック側が何か私的独占をするとか、これを使わないと一切うちは取引をしませんよとか、何か不当な取引制限をされたという事実はあるんでしょうか。
○竹島公取委員長 おっしゃる通り、これは放送局側がどういう反応を示したかということを今申し上げた。その反応が、その原因を作ったのが我々が見ている、ジャスラック、その原因は何かというと、放送事業収入×契約上は1.5%の利用料を取りますよと、何回使おうがそれで結構でございますと。その結果としてですね、利用割合、逆に言うとその放送局で使われている全管理楽曲に占めるジャスラックの利用割合、我々は利用割合を加味するべきだということをこの命令で言っている訳ですが、そういう風に致しますと、別途イーライセンスのようなものが出て来た場合に、それを使おうとする場合に、それを使ってもですね、追加負担という問題が起きないで済む可能性があると。今はジャスラックのものであれば、もう放送事業収入×1.5%、実際はもうちょっと低い率だと思いますが、それさえ払えばもういい訳なんで、あと別な者と契約しようとすると放送局は追加負担が発生する、追加負担がかかると放送局としては困るもんですから、そうものは使うなということにここでなっちゃいます。したがって、利用割合を加味して下さいと、1%でも2%でも良いのですが、98なり99なりそれはやってみなければ分からないんですが、新規参入者の分が反映されるような、利用割合を加味した徴収、同じ包括徴収であっても、利用割合を加味して頂ければ、今申し上げたような放送局側の反応は無くなるでしょうと。ただ、申し上げておきますが、これは、現行の1.5%で徴収している利用料総額というものが一定、これが正しい、これを維持すべきだということを我々が言っている訳ではありません。それはまさに交渉でですね、当事者同士がお決めになれば良いことです、だけど、利用割合を加味して下さい、そういうことだけ言っています。そういうことが行われた結果、総額としての利用料、利用料総額が増えるか減るかこれは分かりません。これはまさに競争に基づく当事者同士の契約でどうなるか決まって来る訳でございまして、いずれにしても、新規参入者が、利用者側から見てそれを使ったら損だといういうような契約内容をジャスラック側が、これは契約の片方の当事者である訳で、一方に放送局がいる訳ですけれども、そういう契約内容を見直しなさいと言っていう命令をしている訳です。
○松野委員 いやあの、ですからね、ジャスラックが私的独占又は不当な取引制限をしたならば、ジャスラックに対して排除命令を出すことは当然だと思います。ただ、先ほどあげられた、排除命令を出された事実は、それは放送局側の内部通知があったからジャスラックに排除命令を出したんだという、それはちょっと違うんじゃはないかと思うんですよね。この条文によると事業者は私的独占又は不当な取引制限をしてはいけない、ジャスラックが私的独占又は不当な取引制限をしたならば、ジャスラックに対して排除命令を出すのは適当だと思うんですけれども、今回はジャスラックは何も私的独占もしておりませんし、不当な取引制限もしてない訳です。何故ジャスラックに排除命令が出たのかというのは、僕は非常に疑問なんです。ちょっと文科大臣にお聞きするんですけれども、この包括契約というのは世界的に見て日本が独特な契約なんでしょうか、僕は諸外国でほとんど包括契約だと思うんですね。放送事業者と著作権管理者の契約というのは、諸外国もほとんど包括契約をしていると思うんですけれども、その辺ご答弁頂けないでしょうか。
○高塩次長 先生ご指摘の通り、諸外国におきましては、放送事業者が管理事業者に支払う放送使用料につきましては、ほとんどの場合が、欧米先進国も含めまして、ほとんどの場合、包括契約に基づいて行われているとしていると承知しております。
○松野委員 あの、委員長、今聞いて頂いた通りなんですね。要は、諸外国で見ても、ほとんど1曲1曲を放送事業者が、この曲を使いました、これに対する著作権料はいくらです、この曲を使ったんでいくらです、1曲ずつやっている国はほとんど無いんです。どこも包括契約なんです。だから例えば私が今回感じたのは、ジャスラックはジャスラックで包括契約する、新規参入事業者は新規参入時業者でまた別途包括契約をすれば良い訳ですね。決して現場のプロでジューサーにヒアリングしたところ、売れている曲はどこが著作権を持っていても使うんだよと、包括契約があるからと言って絶対に入り込めないような状況じゃあ無いということを何人も証言しているんです。にもかかわらず、先ほど申したように、ジャスラックが私的独占又は不当な取引制限をしていないにも関わらず、そこをしている確認はできているんですか、委員長。
○竹島公取委員長 私どもが言ってますのは、ジャスラックが例えばイーライセンスに対して何か妨害をしたとか排除したとかいったことでは無いんです。このジャスラックが放送事業者側と結んでいる契約、自分のところの利用割合を反映しない、そういう契約を結んでいる行為が排除型私的独占行為に当たると言っているんです。
○松野委員 いや、あの、だからジャスラックが例えばその私的独占をしたり、包括契約をしてうち以外を使ったらばそれはもううちとの取引を止めますよとか、そういう不当な取引制限をしたならば、ジャスラックに対して排除命令が出るのはこれは理解できるんですよ。でも、そういう事実は無い訳ですよね。そういう事実は無いにもかかわらず、この包括契約が他を排除しているから、ジャスラックに排除命令を出したとおっしゃっているんですが、諸外国は皆包括契約なんです。ドイツでは、包括契約をしなければならないと法律で著作権法で決めているんですね。アメリカでも2社が包括契約をしている。ほとんどの国が、1社なり2社という非常に狭い著作権管理事業者が包括契約をしているんです。日本だけそれはダメなんだ、排除命令なんだと、これは私的独占なんだとおっしゃることに、僕は非常に違和感を感じている訳です。で、今回の排除命令で、例えば、じゃあ、公取としては、じゃあ今後どういう風にすれば良いとお考えなんですか。
○竹島公取委員長 今のご質問にお答えする前にですね、私どもも外国において包括契約が行われているということは承知しております。アメリカにおいては、今から数十年前から大変な問題があって、アメリカは確か著作権管理事業者として大きなのが3つあるはずですが、それで包括契約も確かにありますが、パワープログラムちゅうんでしょうかそうじゃないものもありましてですね、それからトラブルがあった場合は、いわば仲裁委員会みたいなもの、料率についての仲裁委員会みたいなものもあって、それで現実に競争が排除されているという状態では無いんだと思うんですが、同じ外見上ですね、ドイツなんかは物の考え方が違うのかも知れませんが、少なくとも日本においては、平成13年に管理事業法を作られて、いわばその1社独占から、そうじゃない新規参入を入れて良い競争をさせることによって、権利者の立場も守り、利用もよりよいもの、より安く利用できるような、そういう条件を整備したはずなんですね。ところが、この契約、こうした利用割合を加味しない契約があるが故に、日本においては少なくとも、全然競争が起きていない、新規参入もない、放送の利用分野においてですね、新規参入はありません。イーラセンスがやろうとして、それが排除されて、それ以来私は無いと理解しておりますが、したがって、あれからもうずいぶん経っているにも関わらず、そういった状態になっている。それは、利用割合を反映して下さいと、利用割合を反映させるために全数を全部把握するということは大変でございます。それは分かります。包括契約の良い点があるということは、十分我々も理解しています。包括契約を止めて下さいとは言っていないんです。言っていないんだけれども、利用割合を加味するようにして下さいと。それは私はできると思っている。今キー曲はもう全数的に把握して、どの曲をどれだけ使ったということをジャスラックさんに報告をしているはずです。それから、それ以外のところも、権利者に対してそのロイヤリティを分配するときに、どなたにいくら払えば良いか分からないんでその目安にするためにサンプル調査もしておられるはずで、精密な利用割合ができなければ、いわばその推計値というようなことは、現実に分配するときにはそういうものが必要な訳ですから、やっている訳なんで、そうした数値を入れるということもことりあえずはできるはずですし、行く行くこれだけ進んでいるそのコンピュータその他が進んでいるときにですね、少なくともキー局は、もう全曲把握して報告もしていることでもある訳なんですから、もっと精密な、誰の曲を何回鳴らしたということはですね、把握できる訳でございますから、ますます精緻な利用割合というものが計算できるようになるはずなんです。そうしたことをお考え下さいと。そのためにそれなり時間が必要でしょう、それは分かっております、常識的に必要な時間は使って下さいと。それから、相手方がある話しですと、放送局側がどういう反映するかによっても変わってくるけれども、そこはまず私どもが指摘している、この、その利用割合を反映しない包括契約というものをですね、直すということで交渉して下さいと、こういうのが公正取引委員会の立場でございます。
○松野委員 そうすると、じゃあ利用割合を割り出して、今のジャスラックとの包括契約のいくらか分かりませんけれども、まあ、いくらの中から割合分で、その新規参入業者に、使ったか使わないか分かんないけれども、今後はその割合で新規参入業者にその割合分を払いなさいと、包括契約の中のお金を外の新規参入時業者に分配をしなさいということですか。
○竹島公取委員長 そうじゃございません。オールジャパンでパイが一定ということではないんです。これはそれぞれの管理事業者が相手方と交渉してお決めになることです。ジャスラックが放送局とお決めになって引き続き包括契約なされれば良い、そのとき利用割合を聞いて下さいと、一方、例えばイーライセンスなり他の管理事業者がいたときにそこともまた包括契約ということもあるでしょう、なされば良い。そういうことでありまして、全体のパイ、今ジャスラックが得ている利用料収入の一部を割愛して誰かに渡して下さいということを言っている訳ではありません。
○松野委員 いや勿論、さきほどからおっしゃっているイーライセンスという会社もですね、僕はすばらしい会社で、今は聞くところによると、インディースという、そういう割と珍しいアーティストの曲を何千曲も今管理をされて、また僕は、それはそれで伸びてくるんだと思うんですよ。それが伸びてくるのは伸びてくるで非常にいいことだと思うんです。また時代を反映して、違う形のマーケットができて、またその事業者も伸びてくると、今あるジャスラックはジャスラックで勿論同じように伸びてくる、それが、僕は、対等な競争で良い事なんではないかと、決して、新規参入業者を排除したとかいう事実は今認定をされてない訳ですから、自由競争の新しい分野をどんどん新規参入業者が広げてくるということで、僕は、何も公取が入って、こうしなさいとか、こうしなさいというようなことでは無かったんじゃないのかなと思っています。自由な競争の中で、世界では、ずーっとそういう形界で、包括契約も当然認められるし、新しいところも、沢山の楽曲を1曲ずつ割り出すのが大変であれば、新規参入業者と放送事業者はまた包括契約をすれば良い。それ以外にも面白い管理をする新規事業者が出てきたならば、またそこも数が沢山になって1曲ずつ出すことが大変であれば、またそこも包括契約をすれば良い。これが、僕はある程度自由な競争なんではないかという風に実は思っているんです。そういう中でいや寡占率があまりにも高いからという事象だけを僕はご覧になって、だから独占しているんだと、だから排除命令をなんだとされたような気がしてならないんで、実は今日こうした質問をさせて頂いている訳です。今何回伺っても、さっきの、えー、法律のですね、ジャスラックが、独占禁止法の第3条に当たる、事業者は私的独占又は不当な取引を制限してはならないに違反しているという事実が無いんですよね、委員長。
○竹島公取委員長 先ほどご答弁申し上げましたように、そういう利用割合を全然加味しない、そういう契約をしたことが排除型私的独占に当たると申し上げているんです。したがって、ただジェアが大きい、よって何か違反だとかそんなことは一切申し上げてません。大きいことが悪いこと必ずしもありませんので。それがこういう契約をすることで、現にイーライセンスという者が参入しようとしたけれどもできなかったという事実がある訳なんで、ただ我々も机上の空論を申し上げている訳ではない。そういう事実があったんで、これは、この契約が、まさに排除型私的独占に当たる、で今委員がおっしゃるような自由な競争、確かにどれもこれも皆さん頑張って包括契約結ぶなら結ばれれば、平成13年に管理事業法ができて、そういう状態が8年経っても一切できていないということに見られるように、決して、今先生がおっしゃったような状態は起きていないと、大きな原因はここにあると、少なくとも、大きな原因の一つがあると見ているんです。
○松野委員 いやいや、そんなことは無いんじゃないんですか。新規参入事業者が管理をしている売れた曲名、僕も聞きましたけれども、テレビでばんばん流れているじゃないですか。あの僕も現場のプロデュサーに聞いたんですが、僕ら使うよと、使っているよと、現に流れているんですよ、委員長、これが全部全くテレビから流れていなくて現に排除されていて、テレビから100%排除されているなら分かります。ただ当然ジャスラックが管理している曲の数と新規参入事業者の管理している現在の数の割合が圧倒的に違うから、新規参入事業者の管理している楽曲の流れる割合が当然低くなるんですけれども、全く流れてないですか、委員長。
○竹島公取委員長 私どもが調べた範囲でですね、特に何回も例に出して恐縮ですが、エーベックス、イーライセンスが扱おうとした管理楽曲、これについて具体的な排除効果が及んだということは我々把握しておりますし、それから冒頭申し上げましたように、放送局の中において、別の管理事業者の曲を使おうをしたらそれはいけないと、追加費用が発生するから使うなと、こういうことになっている。コマーシャルとかなんか使われているものと違う可能性がありますね。コマーシャルでは使われている、それは別な著作権使用料の支払いの形になっている場合があると思いますんで。放送局が流すということに関しては、私が知るところ、ジャスラックの管理楽曲以外は流れていないと理解しております。
○松野委員 まああの概ね時間が来てしまったので、これしかできなかったんですが、何でこんな私は質問をさせて頂くかと言いますと、今日本の音楽にしても、映画にしても、アニメにしても、もう世界的にものすごいレベルにまで達しているんです。特に東南アジアを中心にですね、東南アジアどころか、映画なんかはもうアメリカ本土でも、日本の映画のリメイクをしてですね、ハリウッドが映画を作るような時代にまで来ているんですね。すごく世界標準ということが僕は求められるんではないかという風に思うんです。それで以前から、輸入CD還流防止法案だとか、コンテンツ法案だとか、今回も経済産業の方では、また新しい、コンテンツの管理事業を国が後押しをして作ろうなんていうことを言っている、非常にこのソフトのビジネス、このエンターテイメントのビジネスというものが世界的にものすごく外貨を稼げるんじゃないかと、それくらいのレベルに達しているんで、逆に期待をしているんです。そういう中で、その勿論新規参入事業者もどんどん伸びてもらいたい。いろんな業者が、いろんな管理業者が楽曲を管理して、今度は世界になるともっと著作権の管理はより複雑になってくると思うんです。そういう中で、ある程度世界基準の中で、きちんと日本が、今回の著作権法改正もそうですけれども、きちんと著作権が管理できる状態をまず今固めておかなければならない状況に来ていると思うんですね。世界で日本のアーティストが演奏している音楽が流れる、映画が流れる、そして、その著作権が日本に入るという、こういうことを是非後押しをして行きたいという風な思いがあって、今日あえて、この質問に立たせて頂いたんですけれども、そういう中で、世界的に見て包括契約をほとんどの国をやっていると。で、当事者に対する不当な排除行為が見受けられない状況で、包括契約が新規参入時業者を排除していると、だから、ここに排除命令を出したんだということが、どうも腑に落ちなかったんでですね、今回質問に立たせて頂きました。今日、当委員会にわざわざ委員長にお越し頂きまして、ありがとうございます。議連で一人でやっているときに、いろいろお話を聞かせて頂いて、非常に斬新な考え方をお持ちの委員長で、非常に期待をしているところでございます、どうか今後、是非、そういう観点から私たちもやって行きたいと思って行きますんでよろしくお願い致します。当委員会におきまして、お時間を頂きましたことを心から感謝申し上げまして質問を終わらせて頂きたいと思います。ありがとうございました。
○岩屋委員長 以上で松野君の質疑は終了致しました。次に川内博史君、川内君。
○川内博史委員(民主党・無所属クラブ・九州ブロック)おはようございます。川内でございます。委員長や理事の先生方にお許しを頂きまして、当委員会で発言の機会を頂きましたことにまず心から感謝申し上げたいと思います、ありがとうございます。それでは早速質問をさせて頂きます。著作権法第1条には、この法律は、著作物並びにレコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とするとこう書いてございます。えー、文化的所産の公正な利用に留意しつつ著作者等の権利の保護を図ると、利用が先で、保護が2番目に来るというこの目的規定、それが文化の発展に資するのだということになろうかという風に思いますが、えー、その著作者、著作物を創造する人たちも最初は著作物の利用者であったと、今はもうインターネット時代で、全ての人がクリエーターで全ての人がユーザーであるという風に言えると思うんでございますが、そこで、この著作権法が非常に大事になる訳でございまして、だからこそですね、私自身はこの著作権に関する議論に関して、私自身は利用者の立場に立っていつも議論するようにしております。それによってバランスが保たれるのじゃないかなあと感じております。ます聞かせて頂きますが、今回の著作権法の改正では、利用者の立場から見て、非常にああこれは問題だなあという風に思うのは、30条の私的複製に関してですね、違法にアップロードされているサイトからダウンロードすることは違法ですよという、まあ、私的複製は著作権法上30条で元々どんなものであれ合法だよという風になっていた訳でございますが、今回の改正でダウンロードが違法化されるということでございますが、まず文化庁にお伺いしますけれども、私的使用のためのダウンロードを違法とする規定を設けるに至った立法事実が何なのかということをご説明頂きたいと思います。
○高塩次長 今回30条の改正をおこないましたのは、近年ですね、インターネットの普及、それから大規模な高度化を踏まえまして、特に携帯電話向けの違法音楽配信サイトやファイル交換ソフトによりまして違法に配信される、音楽や映像作品を複製、ダウンロードする行為が正規の配信事業を上回る規模になっていると、こういった指摘がございまして、そういった指摘を踏まえて、今回著作権分科会で審議をした結果、今回の法改正につながっていると考えております。
○川内委員 指摘があって、それを踏まえてそれを踏まえて法改正をしたと、その指摘をしていたのは誰ですか。
○高塩次長 今回審議会におきましては、様々な資料を検討した訳でございますけれども、それにつきましては、権利者団体でございます、日本レコード協会、さらに財団法人のコンピュータソフトウェア協会などの実態調査結果というものを元に、審議会の方で検討したということでございます。
○川内委員 今あのレコード協会などの業界団体の指摘に基づいて、それを立法事実として審議会で議論をして法改正をしたという風なご説明だったかと思いますが、私は、その権利者団体の指摘に基づいて、著作権法を改正します、新たな権利を設けます、損害賠償を請求する権利を設けますということに関してですね、これはあの非常にネットユーザーを不安定な立場に置く訳ですね、これ損害賠償請求がいつ送られてくるか分からないという状況になる訳でございますから、これはあの手続き的にも厳正にすべきではないかという風に考えます。文化庁からのご説明では、仮に損害賠償請求権の権利行使を行う場合には、事前に警告を行うなど慎重な手続きを取るようにに努めるはずであると、権利者はですね、あるいは権利者団体はそのようにするはずであると説明を受けておりますけれども、文化庁としては、これは法律ができればそれはそもそもそういう権利がそういう権利が創設される訳ですから、法律上はいつでも損害賠償請求ができるということになる訳でございまして、これは、どのように関係団体に指導されるのか。明確にですね、議事録に残したいという風に思いますが、お答えを頂きたいと思います。
○高塩次長 今回の法改正におきましても、権利者団体側におきましても、今回の法改正におきまして、先生からご指摘のございました、利用者への法的な措置、損害賠償をいきなり行うというよりはですね、違法ダウンロードというものが適切でないということを、権利者団体としてのホームページやマスメディアを通じますものを周知致しまして、今の違法なインターネット配信の状況をですね、改善するということに努めたいと、また違法行為を助長するような行為の警告につとめたいということで、権利者団体がいきなり利用者に対して先生ご指摘のございましたような損害賠償を請求するということは基本的にはないと考えております。また、先生もご承知のように、インターネットにつきましては、あるサイトからダウンロードを行っているということについてですね、それを発見することが技術的に困難でございます。ご承知のプロバイダー責任制限法におきましても、サイト運営者に対するダウンロードの個人情報の開示の手続きというものはございませんので、ダウンロードを行う利用者を特定するということは困難ではないかと考えております。ただ、私どもとしては、今回この改正を踏まえまして、先生がご懸念しているような恐れを軽減しなければならないという風に考えておりまして、文部科学省と致しましても、利用者への改正内容の周知徹底、違法サイトを識別するための権利者団体による取り組みの支援に加えましてですね、権利者団体に対しまして、仮に権利行使を行う場合には、先生ご指摘のございましたような、事前の警告を行うなど、慎重な手続きを取るよう指導をして参りたいと思っております。
○川内委員 もう一つ条文の解釈を明確にしておきたいと思うんですけれども、47条の8で、電子計算機における著作物の利用に伴う複製、というところがございます、これ分かりやすく言うとですね、ユーチューブとかあるいはニコニコ動画とか、最近あのもう沢山の人がユーチューブあるいはニコニコ動画にアクセスして、それを、まあ、音楽やあるいは動画を見るということをしている訳でございますが、これは、パソコンていうかコンピュータは使い勝手が良いように自動的にキャッシュという形で見たものを複製するという機能を持っている訳でございまして、これなどもですね、ユーチューブやニコニコ動画を見ただけで、これが違法になってしまうというようなことが想定をされてしまうようでは困るということで47条の8が置かれているのだろうという風に思いますが、どのような手続きでアップロードされているものであろうと、ユーチューブとかあるいはニコニコ動画等でただそれを見るだけでは違法にならないよと、見るだけなのは違法ではないですよにはということを、明確に、47条8の解釈を明確にして頂きたいという風に思いますが。
○高塩次長 先生ご指摘の通りでございまして、この法律案では、動画投稿サイトなどにおきまして、違法投稿された動画を視聴する際にコンピュータ内部に作成されるキャッシュ、情報の蓄積物については、この改正案の47条の8項に盛り込まれております、電子計算機の著作物の利用に伴う複製に関する例外規定をおいておりまして、権利侵害にはならないという風に考えております。ただ、こういったキャッシュをですね、さらにキャッシュホルダから取り出して、別のソフトウェアで視聴したりとか、別の記録媒体に保存したりする場合には、例外規定は適用されず、原則通り著作権が及ぶと解しております。
○川内委員 見るだけだというのは全然問題ないと、今回の対象にならないよということですよね。もう一度ちょっと。
○高塩次長 そうでございまして、あの、今回30条は、いわゆる違法な配信からのいわゆる録音録画、ダウンロードでございまして、視聴というものは違法にならないということでございます。
○川内委員 これ電子計算機という言葉が使われている訳ですけれども、携帯電話などでもですね、ユーチューブとかニコニコ動画とか見れるはだと思うんですが、携帯電話などのモバイル機器も同様であるということでよろしいですね。
○高塩次長 そのように考えております。
○川内委員 えーと、そのように考えているというご答弁はちょっと。電子計算機という言葉の中には、文化庁、というか政府が優先解釈権を持つ訳ですから、電子計算機という言葉の中には携帯電話等のモバイル機器も含むのだと明確におっしゃっていただけますか。
○高塩次長 あの、47条の8の電子計算機には携帯電話などモバイル機器を含むと考えております。
○川内委員 さて、あの、大臣にお伺いを致しますが、私はですね、この著作権法の運用に当たってはですね、著作法第1条の目的規定、その、先ほども私が申し上げた通り、公正な利用に留意しつつ、権利の保護を図るというところが大事だろうという風に思うんですけれども、えー、大臣のご所見を承りたいんですけれども、消費者、利用者が利用しやすいようにしながら権利の保護を図って行くという、著作権法のそもそもの考え方について大臣のご所見を承りたいと思います。
○塩谷大臣 著作権法については、今川内委員がおっしゃったように、利用者の公正な利用あるいは権利者の保護という観点で、まあ、時代の変化によって情報化等が進む中で、その状況に応じて、いろいろと改正を重ねて行かなければならない、また、世界的な問題もありますし、これから国際的にはいろんな課題がやはり出てきていますので、ただ、基本はおっしゃったように公正な利用と権利者の保護と、このバランスをどう取って行くかということが非常に重要だと思っております。
○川内委員 そこでですね大臣、私は音楽が大好きで、この携帯電話の中にですね、音楽配信サービスで着うたフルというサービスがありまして、40曲くらい入っているんですけれども、全て合法的にきちんとお金を払ってダウンロードをさせて頂いておりますが、この着うたフルというのは異様に高いんですよ。1曲400円とかですね、1曲でですよ、450円とか、安いものでも350円とかですね、する訳でございまして。これは世界中探してもですね、着うたは150円とかあるんですれども、短いフレーズですね、でも1曲まるまるで400円とか、450円とか、これは世界中探してもそんな国はどこにも無い訳でありまして、外国なら1曲大体100円くらいだと思うんですけれども、この着うたフルの日本のこの高さ、1曲400円というのは、いかにも高いという風に思うのですが、大臣どう思われますか。
○塩谷大臣 まあ、着うたフルの値段1曲400円か450円ということですが、これについてはやはり、サービス事業者のビジネスモデルや利用者のニーズ等によってですね、価格が決定されると思いますので、私から、それが高いかどうかは判断する立場にございません。今ちょっと声が少しございましたが、CDなんかで、2曲入っては1000円とか1500円とか、それに合わせて行くとそれくらいかなあという考え方もあるし、世界的にもっと安いということになれば、今後の需要供給等のバランスも、これもまた、いわゆる価格を決定するのではないかと考えております。
○川内委員 まあ、この、モバイル機器に様々なデータを蓄積してそれを利用するというのは、非常に今日本では、我が国では、世界中でもそうでしょうけれとも、ポピュラーなもうライフスタイルの一つになっている訳でございまして、そういう意味では、中学生や高校生が携帯電話を持つことの是非はまた別に議論すべきことであろうかと思いますが、しかし実態としてもう中学生、高校生が携帯電話を持ち、そこに音楽や映像をダウンロードし、そして利用をしているというライフスタイルがあると。で、その時にですね、私は、なるべく安くする方が、沢山の人がそれを買い易くなるし、ビジネスモデルとしてもその方が大きく発展をして行くのではないかと思っておりますが、文化庁のご説明ではですね、大臣のご説明でも、パッケージの商品ですね、CDとかDVDとかですね、物として、物に固定して売るという、パッケージの商品が最近はこういう電子配信などでどんどんシェアを食われて売り上げが落ちているので、その売り上げをカバーするために1曲400円くらいにせざるを得ないのではないでしょうかというご説明を受けているんですけれども、しかし、主に音楽や映像を楽しむ世代が、若い世代であると、主にですよ、中学生や高校生あるいは大学生、あるいは20代30代の世代が、そういうことに最もお金を使うであろう世代であるとすればですね、なるべく安くしてなるべく多く利用してもらうということが、私は文化の発展に資するということになるのではないかという風に思います。そこで、さきほど同僚の松野委員から、公正取引委員会にジャスラックの件について、公正取引委員会の今回のジャスラックに対する処分て言うんですかね、がちょっと違うのではないかという主旨のご発言があった訳ですけれども、私は全く違う観点からちょっと聞かせて頂きたいという風に思うんですけれども、着うたについてはですね、公正取引委員会は、レコード会社各社が、レーベルモバイルという会社に業務委託をし、そして、そこから着うたを配信しているということに関して、行政処分を、不公正な取引方法になるんですかね、ということで処分をし、今、裁判で、レコード会社各社はそれを認めずにですね、争っているという風に聞いておりますけれども、まず、この着うたについてですね、えー、審判事件の概要について公正取引委員会からご説明を頂きたいと思います。
○山本和史公正取引委員会事務総局審査局長 お答え申し上げます。ただいま先生ご指摘の着うたの事件につきましては、公正取引委員会は、株式会社ソニーミュージックエンターテイメントなど着うたの提供業者5社が共同して設立致しました会社に対して着うたの提供業務を委託する一方で、共同して他の着うた提供業者に対しては原盤権の利用許諾を行わないようにしているという行為が、不公正な取引方法でそして禁止しております、共同の取引拒絶に該当するとして、独禁法19条の規定に違反すると判断し、昨年、平成20年7月に排除命令を出す審判審決を行ったところでございます。本件につきましては、ただ今、先生ご指摘の通り、その後会社4社から、審決取り消し訴訟を提起され、現在東京高等裁判所において継続中でございます。
○川内委員 まあ着うたについて、そのようなことであるということですが、着うたフルもですね、ビジネスモデルが一緒なんですね、着うたと着うたフルは全くビジネスモデルが一緒ですから、ああ、まー、そもそもですね、その変な相談でもしていなければ、1曲400円で配信をですね、堂々とやるなんていうことは私はできないと思いますよ、大臣ね、恥ずかしいですからね、1曲400円で、着うたフル1曲400円でしか変えませんというようなことは、お互い相談していなければ、あるいは他の業者を排除してなきゃできないことですから、私は、着うたフルについても、数社が共同で設立したレーベルモバイル株式会社に業務委託をし、また諸外国と比べて異常に高い、価格競争が全く働いていないということなどからですね、この着うたフルの業務が、独占禁止法の第19条の不公正な取引方法、独占禁止法の第3条の不当な取引制限に当たると思料致します。よって、独占禁止法第45条に基づいて、この事実を公正取引委員会にこの場で申告したいという風に思いますが、公正取引委員会は、この申告を受理して頂けますでしょうか。
○山本局長 お答え申し上げます。ただいま、先生のご指摘のありました件については、申告としてお受けさせて頂きたいと思います。ただ、今申し上げました通り、着うたの件では、着うたの提供事業者が共同して他の着うた会社に、利用許諾を行わないようにしている行為を、共同取引拒絶行為として問題としたものでございますけれども、申告して頂きました内容を検討の上、適切に対処して参りたいと考えております。
○川内委員 適切に対処して頂きたいと思います。あの、私はですね、あのー、要するに、その、著作権法の目的、文化の発展に資するということを実現をして行くためには、ネット社会では、全ての人がクリエーターであり全ての人がユーザーであるという考え方の元に、もう、なるべく多くの人にコンテンツが利用できるような環境というものを作って行かなければならないんだという風に信念として思っております。で、世界中どこを探しても、1曲400円で着うたフルを配信するなどということをやっている国は無い訳でございまして、そういう意味では、これはどんな理屈をつようが、それはおかしなことはおかしなこととして、それがなるべく安くなる方向にして、そして沢山売ることによって売り上げをあげてちょうだいねというビジネスモデルを作って頂きたいなという思いで申告をさせて頂きました。さて次に、次にというより、もう最後ですが、日本版フェアユース規定の導入について質問致します。先ほど、大臣からもまだまだこれから多くの課題があるというご発言がございました。まず、知財戦略本部に伺いますが、日本版のフェアユース規定の導入について政府の基本方針をご説明頂きたいと思います。
○内山俊一知財戦略本部事務局次長 お答え致します。知的財産戦略本部におきましては、本年4月6日に、2009年度から2013年度におきます知財戦略の基本方針を決定したところでございます。この中におきまして、委員ご指摘の権利制限の一般規定、いわゆる日本版のフェアユース規定については、著作権法における権利者の利益を不当に害しない一定の範囲内で、公正な利用包括的に許容し得る、権利制限の一般規定の導入に向け規定ぶりなどについて検討を行い、必要な措置を講じることとしております。知的財産戦略本部におきましては、本基本方針を踏まえまして、今後知財計画2009の策定などにおいて適切に対応して参りたいと思います。
○川内委員 導入に向けて検討を進めるということで良いんですよね。ちょっともう一回済みません。
○内山次長 お答え致します。第3期の基本方針の中では、委員ご指摘のように、権利制限の一般規定の導入に向け規定ぶりなどについて検討を行い、必要な措置を講じることとしております。
○川内委員 日本版フェアユース規定の導入についての文化庁の、政府の知財戦略本部、これは閣僚全て入っているか、閣僚は全て入っているんだよね、閣議決定と似たような決定になるんですよね、政府の方針になると、そこでそういう方針が決められたと、でまあ、文化庁としては、日本版フェアユース規定の導入について、それを受けてどのようにされるのかということをちょっとご説明頂きたいと。
○高塩次長 知財戦略本部の方から、日本版フェアユース規定の導入が必要とする報告書が提出されたことについては、今答弁があったところでございます、このフェアユースの規定を我が国の著作権法に設けることについては、アメリカではフェアユースがある訳ですけれども、両国の違いから従来慎重な見解が多かった訳でございますけれども、文化庁と致しましては、知財本部からの報告書の内容も踏まえまして、幅広く論点を整理した上で、今年度から文化審議会著作権分科会において、具体的に審議を始めたいと思います。
○川内委員 最後に、大臣からもですね、日本版フェアユース規定の導入に向けて、大臣としてもですね、文化審議会での議論を加速して頂けるように督励をして頂きたいという風に私は思いますが、大臣のとしてのご所見を聞かせて頂きたいと思います。
○塩谷大臣 著作権法につきましては、文化審議会の分科会で検討して、必要な改正を行って来ている訳でございまして、今、あの、知財戦略本部の報告、そして我々文化庁としても、それを踏まえて、今まで慎重だった訳でございますが、しっかりと実際の今までの運用等、あるいはヒアリング等もしっかりこちらで行って審議を進めて参りたいと考えております。
○川内委員 終わります。ありがとうございました。
○岩屋委員長 以上で、川内君の質疑は終了致しました。次に、和田隆志君、和田君。
○和田隆志(民主党・無所属クラブ・中国ブロック)民主党の和田隆志でございます。民主党もう4人目のバッターでございますので、ここらで法案に対する姿勢も示しながら質疑を進めたいと思います。あの塩谷大臣、我々今回の法案提出を受けまして何度か会議を持ちましたけれども、今回、法案の提出理由、主旨等については、概ね非常に理解できるという結論でございます。しかし、これから先是非賛成して頂くためにもですね、これから30分から大臣の前向きの答弁を頂いて、私どもも、安心して文科省にこの行政を任せるられるよう感触を持った上で採決に望みたいと思います。よろしくお願い致します。それでは、先に立たれました3人の我が党の同僚の委員の質疑も参考にしながら、ちょっと進めて参りたいと思いますが、まず、塩谷大臣、今回のこの法改正の内容、目的等を拝見しました際、大体として、価値あるものが、世の中に適正な対価をもって取引される環境を整えて行くために一歩を記すのだというようなイメージをもって私自身は受け入れた次第です。先ほど来、何度もご議論が出ていますけれども、常識的に言って、着うた着メロが1曲400円というのは、誰が考えても高いという風に、この委員会室の中にいらっしゃるほとんどの皆様方がお感じになることだと思います。では、本当に適正な対価で、どのような形で取引されるのが、正しい姿なのかを考えて行くべきということから、今回の法改正を提出頂いたものと推測致します。実は、党内での会議でも申し上げたのですが、私今回この法案を自分で担当させて頂くに当たりまして、やっぱり国民の皆様方の反応を聞かなければならないと思いまして、一番若い者が集まります渋谷に行って参ったんです。何百人か聞いた上なんですけれども、今ほとんど、高校生、大学生以上の方々が、必ず1曲か2曲か着うたをダウンロードしていらっしゃる、その方々に一つ一つ携帯を見せて頂きながら、このダウンロードは本当に適法なものか違法なものか知っているという風に訊ねると、ほとんどはそんなもの知りませんよとおっしゃるんですね。若い方々です。私自身も不勉強でしたが、やるうちに、これは海賊サイトだこれは適正なサイトだと分かってくるんですけれども、これらについて、そう言った、現にダウンロードしている方々の意識を聞くと、違法でも適法でもいいじゃない、ダウンロードできるんだからていう風におっしゃる若い方々が多いんです。私ども、今、委員も合わせまして皆さんで、文部科学行政、つまり子供の教育という観点から最も大きな重点を置いて審議しなければいけない場でございますが、私たちの将来の社会を将来担ってくれる若い人たちが、一つの道徳規範を持たないまま、大人になって行くことに、私自身は、若い方々、200人程度当たっていて、すごく怖い感じが致しました。そういった意味で、今回、どの分野であって、正しいことは正しい、間違っていることは間違っているという風に、この私たちの将来を背負ってくれる、若い人たちに認識してもらいたいということから、私今回、この法改正は良いことではないかと感じております。ただし、先ほど申し上げた通り、400円で1曲ダウンロードさせる世の中は、先ほど川内委員からご指摘があったように、我が国くらいのものです。これが適正な価格で取引されるためには、当然、国民の皆様が本当に価値あるものだと認めた上で、その価値に対して適正な対価を支払うという文化、意識を醸成することが、一つの国の役割だろうという風に考えている次第です。そこでなんですけれど、大臣、今回なんですけれど、内容的にはいろいろございます、障害者の方々の利用を促進する条項、当然入れて頂いて結構だと思いますし、また本当に絶版となっているものが、どういう風に著作物として取り扱われるのかについて、そういうものについての規定をおいて頂くのも結構でございます、国会図書館でいろんなデジタル化を図って頂くのも結構でございます。一番議論になっているのは、結局、先ほど来何度も出ているように、最初の元が違法だという風に知りながら、それをダウンロードする、もしくは販売するといったことについての規定を今回置こうとしている訳でございますが、こういった規定を置くことは、最終的に国民の皆様方の幅広い利用を促進するために置く規定だと私自身は解釈しております。そこで、大臣にご意向をお聞きしたいのですございますが、こうした規定を置く以上は、一歩で終わるのでは無く、二歩三歩と歩を進めて頂いて、著作権を扱う業界におかれても、本当に違法と適法を切り分けた上では、適法なものについては適正な価格をつける、400円は普通常識外だと思いますが、そういったことをですね、業界の方にも行政府のトップとして指導するべきではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○塩谷大臣 あの、まあ、現状は先ほど渋谷の話があったように、誰もがダウンロードしてですね、それが違法かどうか分からないというようなのが現状だと思っていますが、おっしゃるように、いかにこの正しく広く流通させるかということだと思うんですね、そこら辺で、今回は業界側にも、こういう法改正をして、しっかり正しく利用を広めるという方向でおこなってほしいと、その結果、価格も適正なものになるだろうということを期待しての今回は一歩だと思っておりまして、一方で、権利者の方等もお考えの中で、広く普及利用されれば、その分もしっかり確保できるだろうという方向で、今回検討した結果だと考えております。
○和田委員 あの、当然のことながら、各著作物について、その権利者が自分で自分の作品がどれくらいの価値があるものか、それをですね、それを考えて、価格をつける自由を阻害するべきではないという風に思っています。ただ、世の中には著作物以外にも沢山のものが取引されておりますが、そうしたものは一旦価格がついた後でも、当然ことながら、需給原理によって、価格は動いて参る訳でございます。この曲はすばらしいなあとみんながダウンロードしたいなとわっと需要が高まる場合には、普通の物の取引原理で考えると、その着うたの値段がすーっと下がって行くと、そして適正な価格をつけたつもりなんだけれどもと、なかなか売れないなというときは、ちょっとずつ価格を下げて売れるところまで持って行くと、逆に権利者の方が売れるのは俺の著作物の価値が高いからだと、それであれば、もっと価格を上げる下げるということを考えても良いのではないかと、私自身は、こういった市場原理が著作物の中にもしっかりと行き渡ることが本来必要なのではないかと感じております。今回は、発端となったのが、著作物を扱っている業界の方から、もう既に、適法にダウンロードされたり引っ張られたりするものより、違法にダウンロードされたりするものの方が圧倒的に数が多くなっているんです、これはいかにもおかしいんではないかという声を受けての法改正でございました。しかし、その方々の要望を聞くという形もさることながら、最終的に考えなければならないのは、国民の皆様が、先ほどの川内議員の発言、良い発言だと思ったんですが、全てがユーザーであり全てがクリエータであると、そういう原理の中で動かれていて、じゃあ自分は情報を発信してみよう、情報を受けとって見ようという文化を作って行くことに、この法案改正の目的があるのだと思っております。そうした意味におきまして、先ほどの答弁をお聞きしておりまして、ある程度のところは理解するのございますが、一つポイントとして、もう一つお聞きしたいのは、今後、大臣として、この法改正を行ったあと、著作権を管理する団体等について適正な価格として取引されているかどうかという観点から、指導する所存がおありでしょうか。
○塩谷大臣 現在のところ、まあ、価格については、特にビジネスにかかわる問題でございまして、先ほども著作物の価格がどうかと聞かれて、私どもは、その、それを高いどうのと言う立場にない訳でございまして、あの、希望としては期待をするというような言葉で発信することはあると思いますが、指導というところまでは、なかなか、価格については私どもから言う立場にないと考えております。
○和田委員 行政府のトップとしてはそこまでのご答弁が多分限界だと思ってお聞きしました。しかし、我々が、最終的にこの法改正案に賛否を決するときに、意思として表明したいのは、そこまでが行政の限界であれば、当然、今度は、業界側の自主的な方向付けを望むということを意思として表明しておきたいという風に思う訳でございます。この点は、すぐ後の、付帯決議等でも検討して参りたいと思います。それでは次の問題に移りたいと思います。今回、まあ、外国でもこの著作物についてはいろいろな議論が起こっている最中でございます、委員各位にあっても、各新聞に何度か報道されておりますので、ご存知ではないかと思いますが、今世界の中で最も検索サイトとして知られているものにグーグル社というものがございます。このグーグルという会社が先般、自分が絶版だと見なしたような著作物について、自分でいわゆるスキャンと言いますけれども、映像を取って、それをデジタルコンテンツとして配信することを要するに考えていると。ついては、著作物を編み出した権利者、こういった方々にその使用を認めてもらうよう、権利料をある程度払うから意思のある人は言って来て下さい、というような主旨の和解案といいますか、権利者の間でいくつか訴訟になっておりますので、そうした案を示したところでございます。訴訟、ちょっとまだまだ外国の中で賛否両論あったり、権利者団体からすればどっちに動いてよいか戸惑っているというところもありまして、当初この審議の直前、ゴールデンウィークの最中に、期限を迎えるところだったんですが、期限が4ヶ月延長され、9月までに、応じたらどうかというところを期限延長したという報道が出たばかりでございます。そこで、ここまで紹介したところで、委員各位にもお考え頂ければと思いまして、今日は、法律の解釈論としてですね、一般的にどのようになるかということから始めて行きたいと思いますが、内閣法制局の方に来て頂いております。私事前に通告致しておりますので、大体の主旨はご理解頂いているかと思いますが、今回、このグーグル社が和解案に応じてくれと言って来ている範囲の物ですけれども、当然アメリカにある会社で、アメリカの中で著作された物についてはその範囲となっている訳でございますが、しかしですね、実は、アメリカに持ち込まれているものについては全部対象となるという風にアメリカ側の報道では流れていまして、例えば日本で出版されたものがアメリカに持ち込まれて、アメリカで流通している場合には、これはもう既にグーグルの和解案の対象だと、対象だということは、その和解案に応じなければ、アメリカで訴訟をして自分の権利を守らなくてはならないということになるし、応じるのであれば、そこから応じた後は、自分の権利料をグーグルに払って頂く以外は、自分で権利を主張できない、少なくともアメリカ国内においては、ということになっているようでございます。ここまでご説明した上で、一般的に物を持っている方、一つの権利をもたれている方が日本国民であった場合、この日本国民の持たれている権利を、外国の法制上で、クラスアクションといういうんですか集団訴訟という制度があって、その中に自分が入らなければ、その後は、それに応じたものと見なすという風に考えられているということがアメリカの制度ではございます。これとの間でですね、日本国、我々日本国の国会ですが、日本国の権利をきちんと守るという上で、どんなことが可能なんだろうかということをですね、今日ちょっと内閣法制局の方にご答弁頂きければと思っている訳です。もう一度簡単に言いますとこのようになります。一般的に国民の権利が国外で脅かされる危険性がある場合にですね、その権利の有無の確認や、その内容、そしてその保護のあり方について、どういったことが日本の法制上考えられるのでしょうか、ご答弁頂けますでしょうか。
○宮崎礼壹内閣法制局長官 お答え申し上げます。一般論として、かつ著作権法に関してでございますが、ごく一般論として申し上げれば、各国の国内法は当該国内において適用されるというのが原則だと思います。我が著作権法につきましても、日本国民の著作物についての著作権、これが、国外においての保護がされるかどうかということにつきましては、当該著作物の利用行為が行われる国毎に、それぞれの国の著作権法制によって保護されると、こういうことであると、これが基本であると考えております。したがいまして、例えば、米国の著作権法が適用されます、米国の国内において、我が日本国民の著作物の利用行為が行われたと、こういう関係についての問題でありますれば、それは、直接的には我が国の著作権法の適用があるという問題ではなくて、ただベルヌ条約等の相加盟国になっていることによって、アメリカの著作権法により日本国民の著作権が保護されるという状態になっているということだと思いまして、そこで、保護されます権利の具体的内容については各国法で少しずつ違いがあってもそれはやむを得ないということであると。基本的にはベルヌ条約によって、日本の著作権法はアメリカの著作権者を保護しますし、アメリカの著作権法によって我が国の著作権も保護されますが、細かいところについては各国の法制の具体的な内容がどうなっているかということによると、こういうことだと思います。したがって、我が日本国民の持っている権利について、外国の法制度の元でいわば脅かされるような可能性があるかどうかというご質問でございますけれども、著作権者に関して言うと日本国内における利用行為が妨げられる風になれば、これはもうなかなか考えられないことで、それはあってはならないことだと思いますけれども、どうも問題は、我が国民の著作権ではありますけれども、国外における利用行為について、それは、自分の権利の侵害であるから差し止めを求めるであるとか、損害賠償を求めるであるとか、そういう権利の行使については、それぞれ当該外国の著作権法によって保護されているということでございますので、そういう前提で、それでも良いから、我が国としてどういうことができるかとなりますと、それは権利のそれぞれの内容であるとか、当該分野を規定します国際条約の内容がどうなっている等々見ないといけませんので、私どもの立場として一概にお答えすることが難しいと思います。いずれに致しましても、個別のケースに応じて、必要な場合には、関係各国の間で調整が図られることになるであろうという風に思います。
○和田委員 今のご答弁一生懸命追いながら私も聞いておりまして、まだ十分に理解しがたいとところもございますが、委員の皆様方いかがでしたでしょうか。長官、私自身今、ご答弁をお聞きしておりまして、理解したところまで、もし違っていれば正して頂けばと思いますが、日本国民の持っていらっしゃる権利が、外国に何らかの意味で持ち出し可能な場合は沢山あると思いますが、例えば、動産である車を持って出るときだってそうだと思いますが、その権利は本人が主張し続けることが可能ですね、今おっしゃっていた答弁では、この所有権は外国の法制によって守られているはずであると。そこで、日本の法制上、所有権を規定しているような各法制でございますが、そこから一端国外に出たら、外国の法制によって保護されるはずであるという風に受け止めたんですが、この部分は正しいんでしょうか。いかがでしょうか。
○宮崎長官 あの、なかなかごく一般的に所有権まで対象としてどういうことが言えるかにつきましては、確たることを申し上げる自信がございませんけれども、著作権法に関する限りは、法律によって近代生み出された権利でございますから、したがって、法律によって付与されることで始めて生まれる権利という性格がかなり強いのではないかと、その上で、ベルヌ条約等によって考えられている考え方は、各国のその国内法によってそれぞれが保護するということを基本的には前提にした上で、条約で最小限ここまでは各加盟国でお互いに保護しましょうという、国際約束を結び合って、そうして広く保護を普及させるということになっているのだろうと、著作権法についてはそう風に言えるだろうと、そう申し上げました。
○和田委員 一般的なことについてについてのご答弁が難しいということで、著作権法についてお話し頂きましたが、塩谷大臣、今お聞きした通りです、著作権というものは、長官の答弁の通り、元々存在していたというより、法制によって付与された権利ではないかと思います。いずれにせよ、物の所有権を著作権に置き換えると、我々が申し上げたようなことになるのだと思います、つまり、日本の著作権法は、日本国内で著作権が発生して、それが、権利が取引されるところに規制としてかかると、それが外国に出て行った際には、外国の著作権法の規定にかかるのであるということだろうと思います。それがお互いに、今回の場合は、ベルヌ条約という条約によって相互主義的なところがきちんと定められているからこそ、お互いの権利がどちら側に行ったとしても、ちゃんと守られるはずであると、こんな法制の作りになっているものだと、いう風に答弁を解釈したいと思いますが、それでは、大臣、こうした原則の中で、日本の著作物を出してらっしゃる方は、非常に現実問題、沢山の報道で流れている通り、心配していらっしゃいます。その心配というのは、自分がこの和解案に応じれば、グーグルが何かデジタル化する度に何らかの権利料が発生してそれが入ってくるから実利上よろしいのではないかという方もいらっしゃるし、しかし自分の物は他の世界にもどんどん売れて行くはずであってそれを制約されるのは非常に困ると思っている人もいます、そういった方々がいろんな情報を元に悩みに悩までれ得られた、その結論を国の制度上阻害することがあってはならないと思いますが、どちらかと言うと、こういった問題があることを知らないうちに期限が来てしまって、自動的に自分がどちらかの結論の範疇に組み入れられてしまうという仕組みは、どうも私自身は、日本国民を守るという立場から納得行かないのですが、この点について大臣いかがでしょうか。
○塩谷大臣 今回のグーグル問題については、あのー、今おっしゃったように、基本的なところは、まあ、著作物について相手国の法律に従うということでございますが、ただ、それぞれ団体やらいろんな利害等があって、対応が違って来ている、それを国として一つにまとめるのはなかなか難しいのかなあということもありましてまして、ただ、今おっしゃったように、このことを知らないで、そのままこの和解案の決定に従ってしまうような状況、これを避けるべきではないかなというご質問だと思うのですが、そのことは私どもも情報をしっかり収集しながら、権利者に対していろんな情報提供をするとかですね、そういうことを促して参りたいと思っておりますが、改めて今の点は検討して行きたいと考えます。
○和田委員 是非ご検討頂ければと思います。あのー、残りが5分程度になりましたので、今日の総括に入りたいと思いますが、まず、今回の法改正案について、私ども、権利者の保護という観点という狭い観点ではなくて、やはり国民の皆様方にできるだけ健全な各情報の取引をしてもらいたいという観点から、法改正に望んで参りたいという風に思います。そういった意味で、今回、違法と知りながらダウンロードすることはやはり違法なんですよということを定めることには、先ほど申し上げた通り、私たちが将来を託す若い世代の教育のためにも必要ではないかと考えております。この点について、大臣の総括的なご判断として、若い人たちの教育上、この著作権法をどうあつかって行くかということをご決意として述べて頂けますでしょうか。
○塩谷大臣 特に若い人たちに対しては、最初にお話ございましたように、今の情報化時代には、よりこのいろんな行動にしろ、毎日の生活にしろ、その情報化にかかわっていることが多いということで、私どもとして周知徹底をさせることを考えて行かなければならないと、我々のホームページとか各種講習会等を通じてしっかり徹底する、先ほども答弁しましたが、高校の学習指導要領を改正してですね、この著作権については改めて音楽等にもしっかりとかかわるということについて、内容を含めて充実をさせたところでございますので、より一層、この教育に関して力を注いで参りたいと考えております。
○和田委員 今ご決意として伺ったことは私も同感でございます。一つだけ付け加えさせて頂きますならば、先ほど申し上げました渋谷で若い人たちにアンケート的に聞いて参りました、こういったことが、適正な価格で、何か人に認められるような作品を作れば、それが適正な価格で取引されて、自分が収入を得られると、そして、それに対してやりがいを感じられるということが、国民の情報取引の文化上醸成されるなら、もっともっとこうした芸術や音楽といった分野に対して、若い人がどんどん将来の職業として考えて行こうと思うような雰囲気も生まれてくるのではないかと思う訳です。今回も教育的な見地から、私どもも支援して参りたいと思っています。最後にもう一つございます。先ほど来申し上げて来たことでございますが、今回の法改正が、まずもって、先ほどの、価値あるものを適正な価格で取引して頂くという文化を作るための一歩であるという観点からは、この著作物を扱う業界の方に対しましても、また、一旦流通することになった段階で、流通を担う業界においても、適正な価格とは何ぞやということを常に意識した上で、この著作権を取り扱うような雰囲気を作って行くことが国の責務だという風に考えております。その面からの、大臣のご決意を聞かせて頂けるでしょうか。
○塩谷大臣 当然ながら、法律の改正の主旨としても、今おっしゃったような主旨で考えておる訳でございまして、あの、価値あるものが適正な価格だということで、これは勿論、それがいかにまた利用されるかということにかかわっている訳のでございまして、我々としましては、そのバランスといいますかね、権利保護と合わせて考えて行かなければならない、また、適正な価格という観点では、ビジネスモデルという、これからいろんな手法が出てくることも考えられる、正直、この分野においてはIT化の進展が著しい中でなかなか追いついてないというところが現実だと思っておりまして、むしろ若い人たちが大いに利用することが文化の発展につながるということもありますので、それを正しく促して行くような法律改正であるような気持ちでおりますので、今後も、また、あのー、しっかりと状況を見守りながら、対応して行かなければならないと考えております。
○和田委員 常に国民各層の使いやすい環境を整える国会でありたいと思います。ありがとうございました。
○岩屋委員長 以上で和田君の質疑は終了致しました。次に、石井郁子君、石井君。
○石井郁子(日本共産党・近畿ブロック)日本共産党の石井郁子です。今回の法案は、障害者が多様な情報に接する機会を確保するために公共図書館での障害者サービスを充実するために必要な改正が行われております。またインターネットの情報検索サービスなど現行法上課題となる行為についても対応しておりまして、インターネットの発展にともなった改正となっていることから賛成できるものでございます。まあ、このことを表明した上で、今日は、私的録音録画補償金制度について、ホットな問題も生じておりまして、質問を致します。私的録音録画補償金制度の見直しという問題は、長らく著作権分科会で議論がされておりまして、この間、私どももですね、その動向を注目して来たところでございます。しかし、今までのところ見直しは結局できておりません。まずですね、この制度の今日的な意義というものをどのように考えておられるか、この点は、大臣にお伺いを致します。
○塩谷大臣 えー、私的録音録画制度につきましては、利用者の録音行為を認めつつ、権利者が被る不利益を補償するということで、平成4年に導入された訳でございまして、その後、著作権保護技術の導入や、音楽の配信事業のように、著作権保護技術と契約の組み合わせにより家庭内の録音録画について一定の制限を課したり、また契約により使用料を徴収できるような仕組みが整えられつつあり、補償金制度の見直しを求める声が、意見があるということは承知しておりますが、しかしながら、全ての利用形態について、補償金制度に替わる制度が導入できる環境に無い訳でございまして、新しい仕組みについてもまだ関係者の評価が異なるところでありますので、現行においては、新しい制度がただちに補償金制度に取って替わるという状況に無いと考えております。したがって、現在、今の補償金制度について一定の意義を有するということで考えておりまして、いずれにしても、過渡的な時期に位置していると考えておりますが、現在の制度についても意義があるということで今審議をしているところでございます。
○石井委員 あの、現在の制度も意義があるということをはっきりお述べ頂いたという風に思います。で、デジタル複製ができる電気機器が広がっているにもかかわらずですね、現在対象になっている機器というのはMDなどに限られて、補償金の額というのは年々減少して来ているんですね、制度の見直しというのが議論中と、それが進まない訳ですが、その原因はどこにあるんだろうか、それは良く検討されなければならないと思いますが、まず関係者がいろいろいらっしゃる訳でして、やっぱり関係者の合意が進まないと聞いておりますけれども、それが何故できないのかという点は、いかがございますか。
○高塩次長 この私的録音録画補償金制度の抜本的な見直しにつきましては、平成18年から文化審議会の著作権分科会において3年に渡り検討して来たところですけれども、結論を得るに至らなかったというのが現在の状況でございます。この検討に際しましてはですね、例えば先ほど大臣から様々な状況の話がありましたけれども、携帯用のオーディオレコーダーのような記録媒体を内蔵した一体型の機器や、パソコンなどのような録音録画専用機器でない機器が広く普及致しまして、このような機器を用いまして、広汎に録音録画が行われているという状況がございまして、こうした機器を対象とするべきかどうかということにつきましての、著作権改正の議論が行われて来た訳でございます。この委員の中には、おおまかに申しまして、権利者の方々、家電メーカーの方々、消費者の方々、様々な立場の方がおられまして、それぞれの方々が、私的録音録画小委員会の方で、ご意見をお述べになったということでございます。そういった経緯の中で、文化庁としては、おおまかに分けまして3者がいる訳ですけれども、その中で一つの妥協点として文化庁の提案というものを審議会に行った訳でございますけれども、この提案につきましても、最終的にはメーカー側、それから消費者側を含めまして賛同に至らなかったということでございまして、今日なお引き続き検討すると、こういった状況になっている次第でございます。
○石井委員 3者の関係者の間で合意に至らないと、私は何故至らないのかということをもう少しお述べ頂きたかったんですけれども、私がこの著作権分科会の報告書を見てみますと、やっぱりいろいろ隔たりは大きいなということは感じるんですね。その今お述べになった文化庁の事務局提案に対しまして、権利者側の意見としては一定の結論として評価しているという風に出ています、消費者側の意見としては、整理がなされ一定の評価ができるとあるんですよ、学識経験者の意見として、一定の評価を与えるということもございました。この限りでは一定の評価はされていると。しかしですね、メーカーだけがこう言っています。制度の縮小廃止の道筋が見えない、著作権保護技術が拡大すれば当然補償は不要だということで、明らかにこの補償金制度は不要だという立場からの意見を述べられていると、こうなると隔たりが大きい訳ですよね。ですから、メーカーだけがやっぱり合意できないというのが実際ではないのかと思うのですが、いかがですか。
○高塩次長 今先生からご紹介がございましたけれども、私的録音録画小委員会におきまして、関係者の主張につきましては、確かに、権利者、それから消費者、学識経験者、それぞれが一定の評価ということはお述べになった訳ですけれども、メーカー側におきましては、著作権保護技術が機能すればですね、この補償制度というものは不要であるというお立場をなかなか変えるに至らなかったということでございまして、今回の提案につきましては、当面の措置として一体型の機器等の追加というのがございますけれども、そういった対象の機器を増やすことについて、将来この制度を縮小して行くという文化庁側の提案があった訳ですけれども、それと必ずしもその行き先が見えないということから反対をされたということでございまして、文化庁提案というものがそういう主張が主なものとして、まとまるに至らなかったということでございます。
○石井委員 え−、ところでですね、今こうした見直しの議論が進行中にもかかわらずですね、実は重大な問題が起きているということがありまして、この点でただしておきたいという風に思います。パナソニックというね、会社ですけれども、このように言っているんですね、今後デジタル放送専用チューナー搭載機、これはデジタル放送のみ受信できる機械ということになっていますけれども、今補償金を支払わないという立場を表明するに至っているという風に聞いていますけれども、文化庁ご存知ですか。
○高塩次長 今先生からお話のございました、デジタルチューナーのみを搭載した録画機器というものが、ほとんど今年になりまして、電機メーカーの方から販売をされております。このデジタルチューナーのみに対応した録画機器につきましては、いわゆるダビング10と言われます著作権の保護技術が組み込まれていることから、録画機器の製造業者の団体の方で、補償金の支払いの必要性はないのではないかという風な主張をしていることは承知しております。
○石井委員 そのパナソニック側がですね、こう言っているんですよね、無料デジタル放送のデジタル録画に私的録画補償金が課せられているかどうかについては明らかでない状況にある、ということなんですけれども、現行の制度というのは、デジタル録画録音できる機器媒体を対象にして課金しているという風に理解していますが、これでよろしいですか。
○高塩次長 現行法の私的録音録画補償金の支払い義務を定めております第30条第2項では、私的使用を目的として、政令で定めるデジタル方式の機器記録媒体を用いて録音録画を行う者に支払い義務が発生するとしておりまして、その際に、著作権保護技術の有無が支払い義務の発生要件になるかどうかは明示的に規定していないという風に考えております。
○石井委員 えー、どうなんですか、現行の制度というのは、デジタル録画録音できる機器媒体に課金しているんじゃないんですか。ここをはっきりさせて頂きたいんですけれども、もう一度はっきりさせて頂きたいと思います。
○高塩次長 現在政令によりまして、録画であればDVDなど、それから録音であればCDやMDなどを指定しておりますが、これらは補償金の支払いの義務がある機種や記録媒体でございます。
○石井委員 そうしますとですね、パナソニック側の言っている内容で言いますと、どうなんですか、これ私見せて頂いたんですけれども、社団法人の私的録画管理協会宛に、パナソッニク側からこういう4月8日付けの文章があるんですよね。それによりますとね、デジタル放送用DVD録画機は、そもそも補償金の対象機器であるか否かについて疑義があるということから、デジタル放送用DVD録画機について私的録画補償金の徴収に協力することは差し控えるべきであるとこう言っているんですよね。こういうことが通用するのかどうか、という問題なんです。ですから、私は、こういう主張は、現行法からして見ても、これを無視したものになる訳ですし、それから著作権法を持ち出すまでも無く、104条の5、著作権法ではメーカーに徴収に協力することを義務づけているということがありますよね、徴収に協力することができないということはこの法律にも抵触すると、協力を拒否するということなどはできないと思いますけれども、この点は、いかがですか。
○高塩次長 先生ご指摘の文章が、4月8日付けで私的録音録画管理協会に届いたということを承知しております。この文章につきましては、私的録音録画補償管理協会におきましては、今後、この、これはパナソニック株式でございますけれども、と協議をして参りたいという立場を取っているという風に承知しておりまして、私どもとしてはその推移を見守りたいと思っております。
○石井委員 この文章ですけどね、そして最後に結論づけているんですけども、現状について、著作権保護手段と補償の必要性がはっきりしない以上、これは議論されているところだと思うんですけれど、デジタル放送用DVD録画機についての私的録画補償金の徴収に協力することはできないと通知すると一方的な通知になっているんですよ。だから今議論している最中の問題は問題であると思いますけれども、このデジタル放送用DVD録画機の私的補償金の徴収義務に協力することはできないと、こういう主張ができるかという問題なんですけれども、こういうことはできないんじゃないですか。はっきりさせて頂きたい。
○高塩次長 えー、この30条2項の規定につきましては、著作権保護技術の有無ということを問わずに、対象機器の規定をしているということでございまして、私的録音録画補償金の支払い義務が発生するということであれば、104条の5に定めます、機器の製造業者に課された義務は発生するものと考えております。
○石井委員 こういうパナソニックの主張は、私は、こういう行動は、現行法上からも同意でないと思うんですね。こういうことがどんどん許されるたら、次々協力しなくとも何も問題起こらないということになって行きまして、補償金制度そのものが、これはまあ、崩壊しかねないという風に思うんですね。ですから、私は、こういう一方的な文書というのはですね、この法律上、著作権法上に定められている、協力義務がある訳ですから、これに違反すると、政府としても、法に則って対処して行くと、やっぱり是正を求めるべきだと思いますが、この点については、大臣のご見解を伺いたいと思います。大臣、いかがでしょうか。
○塩谷大臣 確かに、その文書につきましては、この補償金制度に照らし合わせて問題があると考えております。まあ、今後この制度をどうするかということにつきましては、先ほど答弁した通りでございまして、あのー、この問題今後もですね、しっかりとした、あのー、この協議を続けて行く必要があると思っておりますので、今の文書の問題と合わせて検討して参りたいと考えております。
○石井委員 まあ、あの、大臣から著作権法に照らしても問題だということをはっきり言って頂いたと思いますけれども、やっぱり私的録音録画補償金制度って言うのが、なし崩し的にですね、空洞化されて言ったり、形骸化して言ったりってことは、私は大変問題だと思っているんですね。そもそも長い期間をかけて、一定の補償金を支払って私的なコピーを自由にできる、これは消費者のための制度でもある訳ですから、これを充実させて行くことは大事だという風に思いますし、今日は、この議論の経過と、この問題に照らしても、メーカー側の責任というか、この在り方ということが非常に問題だという風に思うんですよね、制度そのものについて、メーカー、権利者を含めて、やっぱり議論をお互いにして行くということが重要なんですけれども、現行の制度に協力しなくて良いのだということになってしまってはですね、これは到底、この制度を否定することですから、認めることはできないという風に思います。付け加えればですね、著作物の複製できる機器や媒体を販売してそのことで莫大な利益を得ているのはメーカーですから、やっぱり、文化の維持発展のためにそういう必要な経費は負担すべきだということを、もっときちんと文化庁としても主張して良いのではないかと、主張すべきだと思います。今回のパナソニックの行動は、メーカーに協力義務があるということから見ても大変問題ですし、義務があると答弁されたということは大変重要だという風に思っております。さて、また法案に戻るんですけれども、最後に一点伺っておきます、今回、裁定制度のことなんですが、著作権だけでなく、著作隣接権、実演などですね、にも拡大しています。供託制度も導入するということで、裁定結果が出る前でも暫定利用が可能になる仕組みというのを導入しています。で、放送番組のネット配信を行う際には、全ての権利者の許諾が必要となります。今回の改正で、所在不明だと、許諾を取ることができない権利者がいる場合ですね、裁定制度を利用することでネット配信が可能となるという風に聞いておりますが、そこで確認させて頂きたいのですが、この制度は、あくまでも所在不明の場合であって、現に存在する権利者、実演家が許諾を拒否している場合にまで適用するものではないという風に理解して良いのかどうか、安易に所在不明とされないように、制度的にはどのように担保されて行くのかという点について、明快に答弁頂ければと思います。
○高塩次長 この権利者不明の場合の裁定制度の拡充を今回の法改正に盛り込ませて頂いているところでございますけれども、第1点の、ご質問がございました、権利者が不明ではなくて、存在している場合についてこの制度を活用するというか使用することはないということはその通りでございます、この制度につきましては、そもそも放送番組の2次利用に関しまして、権利者不明の場合の契約交渉の問題点が様々な場所で指摘をされるということがございますけれども、私ども著作権分科会の報告書におきましては、この権利者不明の場合の措置として、まず権利情報の管理など関係事業者の取り組みが進められる中で、民間の取り組みが引き続き行われることを前提としつつ、その取り組みを補完するものだと位置づけておりまして、文化庁と致しましては、この点を踏まえまして、今回の改正と合わせまして、円滑な契約のための関係者の取り組みへの助言協力を行って参りたいと思っております。また、第2点のご質問にございました、裁定制度を利用するためには、権利者の確認といいますか捜索といいますか、それにつきましては、相当な努力を必要とするということが、従来の裁定制度でもございますけれども、この改正後におきましても、同様に相当な努力を課すということを考えておりまして、十分な捜索が行われない安易な利用を認めるという主旨のものではございません。従いまして、今回、相当な努力につきましては、政令において定めることとしておりますけれども、関係者の意見を聞きながら、慎重に検討して参りたいと思っております。
○石井委員 権利者が不利益になることが無いように、この条文については進めて頂きたいという風に思います。若干残しましたが、今日は以上で質問を終わります。
○岩屋委員長 以上で、石井君の質疑は終了致しました。次に日森文尋君。日森君。
○日森文尋委員(社会民主党・市民連合・北関東ブロック) 社民党の日森でございます。最初にですね、ちょっと基本的なことをお聞きしておきたいと思うんですが、今回の法改正ではですね、まあ、あの、デジタルコンテンツの流通促進あるいはその有効活用と同時に違法な著作物の流通抑止という二つの側面を持った改正が行われるということになるのだと思います。著作権の保護と流通促進というのは相反する面がるのではないかと、こう思っている訳です。インターネットの利用拡大の経済効果、これはもうは計り知れないものがあるという風に私も考えておりますが、その効果を手に入れるために、仮に著作権の保護がおろそかになるとかということがあったら、文化財産を目指す知的創造力の弱体化を招くことにもなりやしないかというような心配もしている訳です。そこで、あのー、文科省になりますか、政府全体ということになりますか、えー、この著作権の保護とですね、デジタルコンテンツの流通促進あるいはインターネットの利用による経済効果拡大、この両立について、どうお考えになって行くのかということを、最初にお聞きしておきたいと思います。
○塩谷大臣 ご指摘の点については、そのバランスが非常に重要でございまして、まあ、今回の法律改正も、適切な流通促進あるいは権利者の適切な保護、バランスを保つという点で改正案を提出した訳でございます。えー、公正な利用に配慮した権利制限規定だけでは無く、違法な著作物流通を抑止するための措置も合わせて盛り込んでおりまして、文部科学省としましても、時代の変化あるいは社会の要請を踏まえて、バランスに留意しながら、著作物の円滑な流通の促進と著作権の適切な保護に努めて参りたいと考えております。
○日森委員 えーと、次にですね、先ほど和田委員からもお話しのございました、例の、例のというとおかしいですが、グーグルの書籍検索を巡る紛争といいますか問題についてお聞きしたいと思うんですが、これは、世界中でかなり大きな問題になっているようです。で、この、最初にですね、このグーグル問題の経緯、それから、米国で成立したと言われているその和解内容ですね、これについて簡単に教えて頂きたいと思います。
○高塩次長 アメリカにおきますグーグル社のブックサーチを巡る紛争の経緯について簡単にご説明申し上げたいと思いますけれども、これは2005年の9月にグーグル社がですね、米国内の大学図書館などと提携致しまして、蔵書のデジタル化を行う事業につきまして、これを著作権侵害として訴えておりました、全米作家協会と全米出版社協会との間で2008年の10月に和解が合意されたということでございます。この和解案では、グーグル社は一定の使用料を支払うことで、今後米国内において、デジタル化した書籍データサービスのアクセス権の販売や広告掲載などが可能になるというものでございます。権利者につきましては、和解に参加した場合には、自らの書籍をウェブ上で公開するかどうかの可否を選択でき、また公開を認めた場合には、その公開によって得られました使用料を受け取ることができるということでございます。一方、この和解に不参加をした場合には、そのことをもって、グーグル社からデジタル化した書籍の公開を停止し、データベースから削除をするという保証は無い訳ではないですけれども、米国におきまして、このグーグル社に対しまして、訴訟を起こすことができるということになります。我が国の著作者の著作物が、このグーグル社のブックサーチの中にも数多く含まれておりますが、これはベルヌ条約に基づきまして、米国内でも我が国の著作者の著作物は権利が保護されている訳でございますけれども、今度の和解案は、アメリカの訴訟制度、これは集団訴訟、クラスアクションと言っておりますけれども、これは代表の方が訴訟したものが、その権利を持つ者に全て及ぶというアメリカの連邦民事訴訟規則に定められている方式でございますけれども、このクラスアクションによりまして米国内において著作権を有する全て者を対象としていうことのため、我が国の権利者にも及ぶということになってございます。一定の期限までに、和解に参加するか否かの期限、5月5日という期限があったのですけれども、これは4ヶ月延びて9月4日ということになっておりますけれども、我が国の権利者がこの和解に参加するか不参加にするかという期限が定められておりまして、それに対しまして、我が国の作家の業界や出版の業界などが様々に検討を行っていると、こうした状況にあると承知しております。
○日森委員 えーっと、その和解案、幸か不幸か延期されたんですが、日本文芸家協会というのがございますが、こう言っている訳です、著作権者が米グーグル社に何らの通知を行わなければ、自動的に和解案記載の条件を原則として受け入れたと見なされ、同社は将来に渡って、2009年1月5日以前に出版された著作物についてデジタル化、ネットワーク上での検索への利用、データベースへのアクセス権の販売、今後開発されるその他の商業的利用までできる権利を有することになっていると、すなわち、日本の著作権者が何も知らないか、あるいは何も積極的な行為を取らないままでいれば、日本の著作権法上違法として許されない行為を承認したものと見なされるのであるという風に言っておりまして、米グーグル社は、アメリカの著作権の常識が他国の固有の文化に基づいたそれぞれの国の著作権の常識を壊すことはできないということを強く認識するべきであるという風に批判している訳です。先ほどは、法的な根拠について内閣法制局長官からお話を伺ったんですが、どうもいまいちはっきりしないということがございました。大臣は、これらについて今後検討を加えて行きたいということも先ほどございましたが、改めて、これほど文芸家協会などが心配されているという問題がある訳ですので、その、アメリカにおける和解というのが、改めてなんですが、日本における権利者を拘束できる法的根拠というのをもう少し分かりやすく示して頂きたいと思います。同時にですね、この問題に対する文科省の見解、先ほど大臣の見解をお聞きをしましたが、これも改めてお聞きしたいと思いますし、同時にですね、著作権について国際協議はどのような枠組みで行われているのか、この協議に、我が国はこの問題を通じて我が国がどうかかわっているのか。この3点についてお聞きしたいと思います。
○高塩次長 えーあの、著作物につきましては、国境を超えて利用されるために、世界各国が様々な多国間条約を結びまして互いに著作物を保護している訳でございます。我が国におきましては、これまでこれらの条約形成に積極的に関与して来た訳でございます。今回先生からご指摘のありました、ブックサーチの問題につきましては、米国の訴訟制度によりまして、米国で保護を受ける著作物を有する、我が国の権利者にも効力が及んだものでございまして、これによりまして大きな影響が生じまして、今後の展開等に、権利者の方々に不安、懸念が広がっていることにつきまして、私どもとしてもも大変憂慮致しているところでございます。文部科学省としましては、各国の権利者、政府の対応状況について引き続き感心を持って情報収集等について努めるとともに、必要に応じて2国間協議を通じて情報交換に努めて参りたいと思います。我が国が国際的枠組みに入る際には、大きな著作権側のベルヌ条約、著作隣接権についてはローマ条約というのがございまして、それらを踏まえた条約交渉、さらには放送番組等の条約交渉が行われておりますけれども、そういった国際的な関連条約に私どもとしては積極的に参加して、著作物が世界的に保護されるといいますか、流通する状況になっておりますので、そういうものに適切に対応して参りたいという風に考えております。
○日森委員 問題は9月4日というですね、当面一定の期限があって、これに間に合わないとですね、日本の権利者が重大な被害を受けるという可能性も否定できないということだと思うんです。そういう意味で、今おっしゃったような具体的な取り組みについて、どのようにおこなって行こうとしているのかについてですね、今分かる範囲でお答え頂ければ有り難いと思います。
○高塩次長 ただいまご答弁申し上げたように、私どもとしては、様々な状況につきましての情報収集や、必要に応じます2国間協議の場いうことでございまして、特にアメリカの間では、日米の著作権協議というのがございますので、そういう場においてこの問題をアメリカ政府としてどう考えるのかなどの問題提起を行って行きたいと思っておりますが、現在私どもはアメリカを含め、欧米の諸国に政府としての対応を確認しつつございますけれども、今回本件につきましては、民間のグーグル社に対して、民間の作家協会等が起こした訴訟ということでございまして、政府レベルでは直接干渉しないという国が多いという情報を伺っておりますけれども、そうした情報も含めまして、我が国の権利者に対してですね、適切な情報を収集をし、それを提供して行くといった努力を続けたいという風に思っております。
○日森委員 一つはですね、著作権協会、失礼、文芸家協会などもですね、一応この和解を受け入れた上で、削除させるとかですね、いろんなことを考えて努力はされていると思うんですよ、こうした問題についてもしっかりと受け止めて、しっかり著作権を保護するという観点からですね、対応して頂きたいという風に、要請だけしておきたいと思います。それから、もう1点、これも先ほど委員からご質問が出ましたけれども、日本版のフェアユースについてお聞かせ頂きたいと思います。文化庁もそれから文科大臣も、積極的であったんですかね、導入したいという意向を先ほど示されました。で、ここで、あの、えー、日本版フェアユースというのはですね、一体どのようなものなのか、アメリカとは若干違うんだということであるんですが、アメリカ版のフェアユースと具体的に、基本的にどこがどう違うのかということも含めて、お聞かせ頂きたいと思います。
○高塩次長 アメリカの著作権法におきますフェアユースという包括的な規定がございますけれども、アメリカにも個別の権利制限がない訳ではございませんで、図書館での利用とか障害者の利用といった個別の権利制限に加えまして、ただその権利制限規定、大変数が少のうございまして、個別の適法性について、逐一定めるのではなく、フェアユースと申しますこの包括的な規定でその利用を認める、仮に権利者の方で問題があったときには裁判で明らかにすると、こういったことでございます。アメリカはご承知のように我が国のような成文法系の国ではございませんで、コモンローということで、フェアユース規定につきまいしては以前から判例によって形成されたという経緯がございます、これに対しまして、我が国は、大陸法に基づきます成文法体系を取っておりまして、これまで著作権法におきましては、個別に権利制限規定をおきまして、様々に判断をして来たということがございます。確かに我が国におきましても、フェアユース規定をおくかどうかにつきましては、先ほど申し上げてきましたように、今年度から、文化審議会の著作権分科会の方で検討したいということでございますけれども、様々に我が国とアメリカではよって立つ法体系の基盤が違いますし、裁判によって物を解決するという土壌が必ずしも日本では育っておりませんし、そのためにまた多額の費用がかかあるということもございます。権利者からは、安易に利用されて、権利侵害が起き易く、その度に裁判を起こすのかというような懸念も示されているところでございまして、先ほど申し上げたように、具体的に知財戦略本部からご提案を頂きましたので、この問題について整理した上で、検討して行く場というものを考えて参りたいと思っております。
○日森委員 確かにその通りで、法体系が違うと、訴訟がなかなかなりにくいということもあるんだと思いますが、まあ、段々そのようになっていますが、この知財制度専門調査会の報告書に対して、また日本文芸家協会で恐縮なんですが、まあこういうコメントを出しています。新しいデジタル時代に対応できる制度は、権利制限に関する細目を整備し、法律改正を迅速にするために、利用者と権利者がワーキングチームを作り、観念的な議論だけでは無くて、実質的、現実的な話し合いで対応できるでしょうと、法令によるだけではなく、双方の話し合いによるガイドラインを設定することで、法令に準じた慣行を作ることも可能と考えますという風にコメントを出しておられます。これ、なかなか傾聴に値するという風に私は思っているんですが、同時に、パブコメも、報告書に対するパブコメもやられたようです。パブコメではどのような意見が寄せられていたのか、そして、文科省自身が、日本版フェアユース、あるいはその導入について、このパブコメ等を見た上で、改めてこれから検討とおっしゃっていますが、どういう風にお考えをお持ちなのか、お聞きをしたいと思います。
○高塩次長 知財戦略本部から伺っているところによりますと、知財本部で昨年の11月に発表した資料、報告書の以前に、昨年10月30日から11月17日までの期間にこの日本版フェアユース導入についてのパブリックコメントを受けたということでございまして、45の法人と、49の個人から意見を出されたということでございます。主な具体的な意見は、一方で導入がもたらす効果を検証しつつ慎重に検討するべきという意見、訴訟コストの増加を含め権利者の負担が増加するのではないかという懸念などがございました、その一方で、報告書の中で提案された権利制限の一般規定の導入に賛成し早急に改正を求める意見もあったということでございます。私ども文化庁の法制問題小委員会の今回の最後のまとめにおきましても、フェアユース規定につきまして、今後の検討ということを示した訳でござますが、これにつきましても、私ども文化庁で行いましたパブリックコメントにおきましても、日本版フェアユースについての意見をいくつか頂いておりますけれども、一方で積極的に導入すべきという意見と、慎重にすべきという意見、制度導入について留意すべき意見等々の具体的な提案などもございますので、こういったこれまで寄せられている意見なども参考に致しまして、今年度より、このフェアユースについての検討を著作権分科会で行って参りたいと思います。
○日森委員 まあ、是非知恵を出して、基本的には保護ということがある訳ですので、進めて頂きたいと思います。文化庁長官の裁定制度についてですね、現状について、先ほどちょっと関連の質問がございましたれども、お聞きをしておきたいと思います。裁定制度が改正される訳ですが、現行はですね、手数料が高いとかですね、手続きに時間がかかる、著作権者の調査に多大な時間と費用がかかるとか、著作隣接権を有する俳優さんなどについては適用対象にならないとか、非常に使い勝手が悪いということが言われているようです。最初にお訊ねしたいと思うんですが、この裁定の申請件数というのは年間どれくらいあるんでしょうか。で、この裁定した後でですね、これはもう、著作権者が良くわからない、著作権者が不明の場合だけある訳ですから、裁定後に著作権者が発見されちゃったという例はこれまであったんでしょうか。同時にですね、まあ、今回改正されることで、この申請などがどの程度増大するのか、まあ、見込みがあったら、3点合わせてお答え頂きたいと思います。
○高塩次長 現在の裁定制度についてのお訊ねでですけれども、現在の著作権法で裁定制度が定められ施行されたのは昭和46年でございますけれども、それ以降の件数は、42件でございます。平均すると年1件に満たないという状況でございますけれども、年によってばらつきがございます。それで、裁定後に、権利者が発見されたという例は報告を受けていないということでございます。これは、先ほど申し上げましたように、権利者不明の裁定の際には利用者の方で相当な努力をして捜索した後にこの裁定制度に来るというような制度の中でですね、こういった結果になっているのではないかという風に思われているものでございます。今回の改正におきましては、今紹介がございますけれども、新たに問題となっております、手続きに時間がかかる、著作隣接権に対する適用がないということを解消致しまして、一点目は、著作隣接権者が不明の場合も対象にするということ、もう一点は、制度の要件を政令で明確化致しまして、一定の条件のもと、裁定結果を待たずに担保金を供託することで利用を開始できることを新設致しまして、図りたいと思っている訳でございますが、具体的にどれくらい増大するかの見込みにつきましては、隣接権の制度が始めてでございます。隣接権につきましては、権利者団体の方で権利者の集中システムの構築などが行われているということもございます。権利者の方でそうしたことをしておりますので、明確な予想は困難でございますけれども、こういった制度が、このような改善を踏まえて有効に活用して頂くことを私どもとしては期待しているところでございます。
○日森委員 資料によりますと、レコードやCD映画、これについては、著作権等に関する権利関係が極めて明瞭であって、パソコンへの配信についてもさして問題は生じていないと書かれておりました。しかし、放送番組についてはですね、製作段階において、その後の利用を含めた契約がほとんど行われて来ておらず、放送事業者への権利が集約されていないため、契約ルールが成立していない分野や、団体に属していない権利者との間で権利処理が滞っているという指摘があるんです、そこでお聞きをしたいんですが、何故、この放送業界においてだけ、放映後の権利関係が契約に盛り込まれてこなかったのか、その経緯、原因といいますか、これについてお聞かせ頂きたいと思いますし、文科省はですね、このような現状についてどのように対処されて行くのか、合わせてお聞きしたいと思います。
○高塩次長 放送番組におきまして、この契約が進んでいないということの原因につきましては、放送に関するビジネス上の課題があるとも言われております。ご承知のように、放送番組は、1回の放送利益を回収する仕組みになっておりまして、ネット配信を行うには、著作権使用料を含めまして、新たな経費というものが必要となるということで、これに見合う収入が見込めるかどうか放送局側で判断しづらい面があるということ、それから、また放送時の契約の際に、ネット配信の利用許諾まで含めるということは、なかなか放送局側の収入見込みを含めた場合、難しい場合が多くて、事後に行うことが多いということでございます。しかしながら、こういった状況がある訳でございますが、今後はネット配信のビジネスモデルということが積極的に確立するという動きもございまして、一昨年の2月には、日本経団連を中心に、出演契約のガイドラインが策定されまして、ネット配信を前提とした契約を促進する取り組みがなされているという状況がございますので、私どもとしては、こうした契約が今後多くなって行くものという風に考えておりまして、そうした取り組みに助言や協力をして参りたいと思っております。
○日森委員 最後になりますけれども、インターネットオークションにおける画像利用の円滑化というのがあるんですが、これについて、お聞きしたいと思います。最初にその認識をお聞きしたいんですが、インターネットオークションについて、販売者が官であろうが、民であろうが、東京都なども、税金滞納者から差し押さえたものを競売しているとかいったことにも使われているようですが、インターネットによる通信販売に全てに適用されると、その画像利用の円滑化はですね、こういう理解でよろしいのかどうかということを、最初にお聞きしたいと思います。
○高塩次長 このインターネットオークションにつきましては、インターネットオークションの際にですね、美術品や写真の取引の際には、商品の説明のために画像掲載は出品者の義務として不可欠であるということから、今回の改正を行うものでございまして、美術又は写真の著作物の譲渡等を適法に行うことができる者がその申し出の用に供するために行う場合であれば、販売者を官民問わず、規定の対象とするものでございます。
○日森委員 分かりました。ちょっと時間あと4分ほどありますが終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○岩屋委員長 以上で日森君の質疑は終わりました。しばらくお待ち下さい。これにて本案に対する質疑は終局致しました。これより、討論に入るのでありますが、その申し出はありませんので、ただちに採決に入ります。内閣提出著作権法の一部を改正する法律案について採決致します。法案について採決致します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。ただいま議決しました本案に対し、馳浩君(注:自民党、石川県1区)他4名から、自民党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の5派共同提案による付帯決議を付すべしとの動議が提出されております。提出者から主旨の説明を求めます。和田隆志君。
○和田委員 民主党の和田隆志でございます。私は提出者を代表致しまして、本動議についてご説明申し上げます。案文を朗読して、説明に変えさえて頂きます。
著作権法の一部を改正する法律案に対する付帯決議案
政府及び関係者は本法の施行に当たり次の事項について特段の配慮をすべきである。
一 違法なインターネット配信等による音楽・映像を違法と知りながら録音又は録画することを私的使用目的でも権利侵害とする第三十条第一項第三号の運用に当たっては、違法なインターネット配信等による音楽・映像と知らずに録音又は録画した著作物の利用者に不利益が生じないよう留意すること。また、本改正に便乗した不正な料金請求等による被害を防止するため、改正内容の趣旨の周知徹底に勤めるとともに、レコード会社等との契約により配信される場合に表示される「識別マーク」の普及を促進すること。
二 インターネット配信等による音楽・映像については、今後見込まれる違法配信からの私的録音録画の減少の状況を踏まえ、適正な価格形成に反映させるよう努めること。
三 障害者のための著作物の利用の円滑化に当たっては、教科用拡大図書や授業で使われる副教材の拡大写本等の作成を行うボランティア活動がこれまでに果たして来た役割にかんがみ、その活動が支障なく一層促進されるよう努めること。
四 著作権者不明等の場合の裁定制度及び著作権等の登録制度については、著作物等の適切な保護と円滑な流通を促進する観点から、手続きの簡素化と制度の改善について検討すること。
五 近年のデジタル化、ネットワーク化の進展に伴う著作物等の利用形態の多様化及び著作権制度に係る動向等に鑑み、著作権の保護を適切に行うため、著作権法の適切な見直しを進めること。特に、私的録音録画補償金制度及び著作権保護期間の見直しなど、著作権に係る重要課題については、国際的動向や関係団体等の意見も十分に考慮し、早期に適切な結論を得ること。
六 国立国会図書館において電子化された資料については、図書館の果たす役割にかんがみ、その有効な活用を図ること。
七 文化の発展に寄与する著作権保護の重要性にかんがみ、学校等における著作権教育の充実や国民に対する普及啓発活動に努めること。
以上であります。何卒ご賛同下さいますよう、お願い申し上げます。
○岩屋委員長 これにて主旨の説明は終わりました。採決致します。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。起立総員。よって、本案に対し、付帯決議を付することに決しました。この際、ただ今の付帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。塩谷文部科学大臣。
○塩谷大臣 ただいまのご決議については、そのご主旨に十分留意致しまして、対処して参りたいと存じます。
○岩屋委員長 お諮り致します。ただ今議決致しました法律案についての委員会報告書の作成については、委員長にご一任して頂きたいとおもいますが、ご異議はありませんか。ご異議なしと認めます。そのように決しました。
(以下、略)
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