番外その11:「日本の奇怪な審議会(有識者会議)システム(第89回)」についての津田大介氏のコメント
音楽・ITジャーナリスト、MIAUの代表幹事の一人、文化審議会委員と今八面六臂の大活躍を見せておられる津田大介氏が、そのtwitterでこのブログの第89回で書いたことにコメントをして下さっている。
読んで頂けていただけでも有り難いのだが、これらの一連のコメントは、審議会内部に委員として参加しておられた方からの貴重なコメントとして、非常に興味深いものであり、文化審議会の今の実態を示すものとして、是非多くの人に読んでもらいたいと思うので、ここにも転載させて頂きたいと思う。(津田様、転載の快諾ありがとうございます。)
- 「さらば!財務省」に、審議会とはどのような場であるか箇条書きで書いてある。http://tinyurl.com/5qwjrr 02:22 AM May 14, 2008 from web
- 「役所と反対の意見を持つ者はなるべく始めから外す」「審議会が開かれる前にあらかじめ説明を行い、委員の発言を思惑通りに誘導する」「役所に都合の悪い論点は議論のためのペーパーからわざと落とす」「委員自らまとめてきたペーパーは、役所に都合の良いように書き直す」 02:23 AM May 14, 2008 from web
- 「反対意見を持つ委員が来られない日に審議会をわざと設定する」「意に反する結論が出そうになると、「結論が出なかった」として結論そのものを潰す」「人数を水増しして一人あたりの発言時間を少なくし、委員が実質的なことを何も言えないようにする」 02:24 AM May 14, 2008 from web
- 「結論がまとまらなければ、座長一任という形にして、役所が結論をまとめる」「結論を出したくないときは、議題をわざと沢山上げて、議論をかき回す」 これらに加えて 02:25 AM May 14, 2008 from web
- 「自分たちに都合の良いように情報をリークして、マスコミに報道させ、既成事実として政策を誘導する」「新任大臣にはあらかじめ発言してはいけないことを説明して、役所の意図とは異なる発言をしないようにさせる」ということを操作するのが官僚の一般的審議会の手口だということだ。 02:26 AM May 14, 2008 from web
- さて、2つの審議会に2年間参加した自分の感覚で(比較的冷静な立場で)この11項目を今の私的録音録画小委員会にあてはめて考えてみると…… 02:29 AM May 14, 2008 from web
- 「役所と反対の意見を持つ者はなるべく始めから外す」←若干権利者寄りが多いものの全体のバランスは気を遣って選んでいる印象。ただ、単に権利者側のステークホルダーが多くて結果的にそれが権利者の声を大きくしている面はある。ITに強い消費者・利用者が絶対数として少なかったのは問題かも。 02:33 AM May 14, 2008 from web
- 「審議会が開かれる前にあらかじめ説明を行い、委員の発言を思惑通りに誘導する」←誘導するか(できたか)どうかはともかく、とにかく議論の方向を文化庁がリードするため、審議の前に事前説明で調整するということは頻繁にあった。「あー、こういうのが“調整”なのね」と思った。 02:34 AM May 14, 2008 from web
- 「役所に都合の悪い論点は議論のためのペーパーからわざと落とす」←DL違法化のパブコメは典型的な話かも。パブコメ報告のときの審議会で反対意見が紹介されただけで、それ以降文化庁のペーパーには、その論点は入っていない。消費者側・メーカー側の補償金廃止論についても同様。 02:37 AM May 14, 2008 from web
- 「委員自らまとめてきたペーパーは、役所に都合の良いように書き直す」←これについては、私的録音録画小委員会では見られなかった。委員が提出した意見書はそのまま出されたのではないかと思う(少なくとも俺が出したものはそのまま提出されている)。 02:38 AM May 14, 2008 from web
- 「反対意見を持つ委員が来られない日に審議会をわざと設定する」←これは意図的にそうしたかどうかはわからないが、1年目、2年目の早い時期に消費者団体の人が欠席することは何度かあった。 02:40 AM May 14, 2008 from web
- 「意に反する結論が出そうになると、「結論が出なかった」として結論そのものを潰す」←これは、私的録音録画小委員会が招集されるきっかけとなった2005年の法制小委員会がそうなんだと思う。録音録画小委は概ね権利者側が望むような方向で進んでいるので、結論がどうなるのかはわからない。 02:42 AM May 14, 2008 from web
- 「人数を水増しして一人あたりの発言時間を少なくし、委員が実質的なことを何も言えないようにする」←私的録音録画小委員会は委員の数もそこまで多くないし、学者先生は基本的にあまり発言しないので、これについてはあてはまらない。 02:43 AM May 14, 2008 from web
- 「結論がまとまらなければ、座長一任という形にして、役所が結論をまとめる」←これはまさにそう。DL違法化にしても中間整理についても、現在の方向性についても委員会の席上ではまったく意見がまとまらないので、大きな流れとしては座長一任という形で進んでいる。 02:45 AM May 14, 2008 from web
- 「結論を出したくないときは、議題をわざと沢山上げて、議論をかき回す」←私的録音録画小委員会は、結論をなるべく早く出すべく招集された委員会なので、これについては見られない。 02:45 AM May 14, 2008 from web
- 「自分たちに都合の良いように情報をリークして、マスコミに報道させ、既成事実として政策を誘導する」←これについては何とも。朝日の先走り報道については記者の勇み足も多々見られる。リークしてるかしてないかは微妙。私的録音録画小委員会の話でいえば文化庁は勇み足報道で迷惑してるかも。 02:47 AM May 14, 2008 from web
- 「新任大臣にはあらかじめ発言してはいけないことを説明して、役所の意図とは異なる発言をしないようにさせる」←これもわからない。が、著作権行政の問題で文部科学大臣がなんか発言・コミットしたというのは、ここ数年記憶がない。 02:48 AM May 14, 2008 from web
- まぁなんというか、せっかくインフラも安くなってきたのだから、ああいう審議会は全部ストリーミング中継とかして、議事録も委員の確認いらない速記録でいいからすぐ公開して話題がホットなうちにみんなが参照できるようにすればいいと思いました。 02:56 AM May 14, 2008 from web
- いろいろ話を聞く限りにおいても、文化庁というのは他の省庁よりも審議会のプロセスを重要視してできるだけ公正な方向でやろうとしている印象がある。が、それもあくまで相対的な話という批判もあるし、審議会システムそのものがおかしいのだ、という観点で話をすれば単に「誤差」の範囲なのかもね。 03:02 AM May 14, 2008 from web
(第89回の箇条書きは、高橋洋一氏の「さらば財務省!」の第93~97ページの「官僚たちの高等テクニック」に書かれていた内容と、第234~240ページの「渡辺行革大臣に渡らなかったべからず集」~「大臣と異なる方針を新聞にリークする役人」に書かれていた内容を、私なりにつづめてまとめたものなので、高橋氏の著作でこの通り箇条書きにされている訳ではないことを、念のためここでお断りしておく。うっかりしていたが、タイトルも「さらば!財務省」ではなく、「さらば財務省!」が正しかった、元の記事も今直したが、ここでお詫び申し上げる。)
インターネットで透明性がいくらでも高められるこのご時世に、高橋洋一氏の著作に取り上げられている、経済財政諮問会議や公務員改革のような超巨大利権が絡む検討から文化審議会に至るまで、官庁毎にカラーの違いはあるにせよ、子供だましのテクニックで国民をごまかしてどうするのかというのは、私もつくづく感じるところである。これも透明性をより高めて行けば変わると思うが、即効薬もなく、現状このような子供だましのテクニックがかなり有効なのも事実なので、今の審議会システムについては本当に頭が痛い。
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