目次3
単なる目次のエントリその3である。(次回は、著作権法の話の続きを書くか、情報規制・表現規制の話をするかと今考えているところである。特許の話も近いうちにまとめて書きたいと思っており、書くことが尽きる気は全くしないが、かわり映えがしないのはご容赦頂きたい。読んで下さっている方に心からの感謝を。)
きちんとしたエントリを書くのはもうしばらく時間がかかると思うので、ここで少しだけ最近の私的録音録画補償金問題に関する朝日のネット記事で書かれていることに関する突っ込みを入れておきたい。この記事によると、5月8日の私的録音録画小委員会で、相変わらず、権利者団体と癒着した文化庁は、携帯音楽プレーヤーとハードディスク内蔵型録画機器を課金対象にするべきというペーパーを作り、権利者団体がダビング10の拒否という秘策で揺さぶりをかけるらしいが、文化庁も権利者団体もこんな適当な詐欺が今の時代に通用すると思っている時点でバカまる出しである。iPod課金とダビング10の間には関係がないし、コピーワンスにせよ、ダビング10にせよ、実質的に全国民に転嫁されるコストで不当に厳しいコピー制限を課している機器に、さらに補償金まで賦課しようとするのは不当の上塗りである。iPodや純粋なHDDレコーダーにしても技術の進展も踏まえて、なおその課金を正当化するに足る理屈は未だに何一つ示されていない。間違っているのは、いかなる場合でも「複製=対価」の等式が成立するという文化庁と権利者団体の歪み切った観念の方である。一ユーザー・一消費者・一国民として言わせてもらうが、私的録音録画問題に関する限り、妥協の余地など一切ない。私の見る限りユーザー・消費者からほとんど全くと言って良いほど期待されていないダビング10の拒否などいくらしてもらっても構わないが、そもそも不当だったものについて権利者団体が何かしらの権利を持っていると主張することからして間違っている。そんなことを持ち出すなら、そもそもの諸悪の根源たるB-CASの排除から、検討してもらいたいと思う。このような記事を読む限り、相変わらず、補償金問題に関しては、合理的な話し合いの余地などなさそうである。
第61回:カナダ、フランス、欧州連合(EU)における私的複製(私的録音録画)補償金問題関係の動き(2008年2月15日)
第62回:財産権と人格権の混同と保護期間延長問題(2008年2月19日)
第63回:欧州での私的複製補償金改革検討の参考資料の概要(2008年2月21日)
第64回:インターネットはライフラインか。(2008年2月25日)
第65回:インターネット上での商標権の使用とエルマーク(2008年2月28日)
第66回:スイス著作権法の私的複製関連規定(2008年3月 4日)
第67回:スイス著作権法の私的複製関連規定の改正(2008年3月 5日)
第68回:情報に対する法規制の不可能性(2008年3月 9日)
第69回:ベルギー著作権法の私的複製関連規定(2008年3月11日)
第70回:児童ポルノの単純所持規制、アニメ・漫画・ゲームへの規制対象拡大への反対(2008年3月12日)
第71回:知的財産推進計画に対する意見募集の開始(2008年3月14日)
第72回:知財本部における「デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会(仮称)」設置の決定(2008年3月14日)
第73回:日本のプロバイダー業界の違法コピー対策(2008年3月16日)
第74回:世界知的所有権機関(WIPO)における世界レベルでの権利制限に関する検討の提案(2008年3月17日)
第75回:「表現の自由」と「知る権利」(2008年3月21日)
第76回:「表現の自由」とポルノグラフィ(2008年3月25日)
第77回:知財本部パブコメ準備メモ(2008年3月27日)
第78回:コンテンツ流通と著作物の公正利用(2008年3月29日)
第79回:知財本部提出パブコメ(2008年3月31日)
第80回:主要各国の違法コピー対策のまとめ(2008年4月 2日)
第81回:天下りという腐敗の元(2008年4月 6日)
第82回:ネット規制法に対する反対(2008年4月 9日)
第83回:EU議会におけるボノ氏の文化産業レポートの採決(2008年4月10日)
第84回:ベルギー著作権法の私的複製補償金関連規定(2008年4月11日)
第85回:イタリア著作権法の私的複製関連規定(2008年4月15日)
第86回:無料地上デジタル放送へのB-CASシステム導入経緯(2008年4月17日)
第87回:イタリア著作権法の私的録音録画補償金関連規定(2008年4月22日)
第88回:ニュージーランドとドイツの知財法改正案(2008年4月27日)
第89回:日本の奇怪な審議会(有識者会議)システム(2008年4月29日)
第90回:国会法と議員立法、この日本の不透明な立法システム(2008年5月 3日)
≪番外目次3≫
番外その7:コンテンツ制作と競争政策(2008年3月 1日)
番外その8:旧態依然たる総務省に切れる財界(2008年3月20日)
番外その9:身近な知財問題3題(mixi規約改定騒動、初音ミク騒動、ウィルス作成者別件逮捕事件)(2008年3月21日)
番外その10:地上放送のデジタル移行の経緯(2008年4月24日)
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