第43回:今年最後の落ち穂拾い
一昨日、MIAUでダウンロード違法化問題に関するシンポジウムが開かれ、盛況だったと聞く。私もできる限りの協力はしたいと思っているし、今後もMIAUには是非頑張ってもらいたいと思う。
また、昨日、総務省で、情報通信審議会・デジタルコンテンツの流通の促進等に関する検討委員会が開催された(ITproの記事、internet watchの記事、AV watchの記事)。フリーオ問題の検討によって、コピーワンス問題もようやくその根源たるB-CAS問題に行き着いた。B-CAS問題は、コピーワンス緩和の暫定合意など全て吹き飛ばすだろう爆弾であり、今後もこの問題からは目が離せない。
これで大体今年のイベントは終わったと思われるので、このブログでも今年最後の落ち穂拾いを2つほどしておきたい。
一つは、ダウンロード違法化問題についてである。
小寺氏のブログで文化庁がパブコメの結果を発表したという記事がかかれていたので、ここにも文化庁のパブコメ結果へのリンクを張っておきたいと思う。
また、ダウンロード違法化問題における外圧の存在について、アメリカ政府の要望(「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書」)を酌んで日本政府が動いているのではないかという向きもあるが、要望の同じ並びで入っている非親告罪化や保護期間延長については、文化庁も何事もなく見送っているのであり、アメリカがダウンロード違法化についてだけ特に強い外圧をかけてきているというのも解せない。やはりダウンロード違法化を「不可避」としたのは文化庁の暴走であろうというのが私の読みである。(アメリカの言うことをそのまま受け入れなければならない理由は何一つないが、要望があることも事実なので、ダウンロード違法化問題は、これからも曲折をたどるだろう。)
もう一つは、総務省で公表された簡易チューナーの仕様についてである。
この仕様でチューナーが本当に作られるのかどうか良く分からないが、仕様の資料で、特に、「コンポジット出力に対してコピー制御必要」としていることは見過ごせない。これはアナログ出力にCOG(コピーワンジェネレーション)信号を上乗せするということを意味しているのだろう(何せアナログ出力のコピー制御に使えるCGMS-Aでは、コピー制御信号は、コピーネバーかコピーワンジェネレーションかコピーフリーのどれかから選ぶしかない)が、これはこのチューナーの出力からHDやDVDへデジタル録画しようとした瞬間今までのコピーワンス制約が全て再現されるということを意味している。このような簡易チューナーを発売することは、コピーワンス問題の火にさらに油を注ぐだけだろうと私は予測する。
それでは皆様、良い年を。政官業に巣くう全ての利権屋に悪い年を。そして、このつたないブログを読んで下さっている全ての人に心からの感謝を。
(来年は年明けの第2週くらいから、再開したいと思っている。このインターネットという著作権戦争、知財戦争の最前線において書くことに困る気は全くしない。)
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