番外その2:小寺氏の記事「もはや人ごとではない――MIAUに込めた想い」について
小寺氏がITmediaの記事でMIAUへの想いを語っている。
この想いには私も大いに共鳴するのだが、そのことはちょっとおいておいて、一点だけ、記事中で「文化庁の文化審議会のもろいところは、そこでの決め事を必ずしも政府が実行する責任がないということである。総務省管轄の審議会と大きく性格が違うのはその点で、立ち位置が全然違う。総務省のは、「これこれの改正を行なう場合には審議会にかけて諮問すべし」と、電気通信事業法や電波法で定義してある。つまり、審議会で審議したら、必ずそれが実行されてしまうのである。」と言っているのは多分小寺氏の誤解ではないかと思う。
直接存じ上げていればと思うのだが、私のような無名のブロガーにはそんなコネはないので、勝手ながらここで少し注釈を加えておきたい。
まず、それぞれの審議会の設置の根拠法は、以下のようになっており、法律と政令という違いはあるものの、法律上は、両審議会とも大臣なりの諮問を受け、審議を行い、意見を述べていることに変わりはない。
文部科学省設置法:
(文化審議会)
第三十条 文化審議会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 文部科学大臣又は文化庁長官の諮問に応じて文化の振興及び国際文化交流
の振興(学術及びスポーツの振興に係るものを除く。)に関する重要事項(第三
号に規定するものを除く。)を調査審議すること。
二 前号に規定する重要事項に関し、文部科学大臣又は文化庁長官に意見を述
べること。総務省令:
(情報通信審議会)
第百二十四条 情報通信審議会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 総務大臣の諮問に応じて次に掲げる重要事項を調査審議すること。
イ 情報の電磁的流通及び電波の利用に関する政策に関する重要事項
ロ 郵政事業に関する重要事項
二 前号イに掲げる重要事項に関し、総務大臣に意見を述べること。
三 第一号ロに掲げる重要事項に関し、関係各大臣に意見を述べること。
そして、著作権法でもが審議会の審議事項として定められている事項もあり、それぞれの担当法で決まっている審議事項があることにも変わりはない。ただ、この審議事項は、各法の運用に関することであって、法改正に関するものではない。審議会で決定された法改正案を役所が国会に提出することと法律に書かれていることも無論ない。(行政の権限を考えると当たり前の話であるが。)
したがって、よくよく調べてみると、どこの審議会の報告であろうと、法改正に関する限り、ある程度の重みはあるにせよ、本当にどうするかについては役所の勝手であり、役所が何かの責任を負うことはない。(なお、コピーワンス問題はちょっと違っていて、法改正の問題ではなく、完全な民々規制のため、総務省なり情報通信審議会なりにその変更を決定する権限が全くないことがその隠された問題点の一つである。もう一つの隠された問題点はB-CASシステムであり、この二つの問題点は、コピーワンス問題に仕込まれた時限爆弾である。)
文化庁や総務省の検討を見るにつけ、このような審議会システムは極めて問題が大きいと思うのだが、これに代わるシステムがまだ作られていないこともあり、今も全ての官庁で惰性で続けられているのである。
何かの役に立てばと思いこのような妙な注釈を書いてしまったが、何にせよ、MIAUの情報発信力に心強いものを感じており、もうすぐされるという協力者の募集を私は楽しみに待っている。
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