2014年6月22日 (日)

第314回:新所持罪を含む児童ポルノ規制法改正案の可決・成立、その施行に向けて気をつけておくべきこと

 今年の国会で、著作権法改正案と特許法等改正法案(第309回参照)、地理的表示保護法案(第311回参照)、児童ポルノ規制法改正案が可決・成立した。(意匠法の改正と関係してハーグ協定のジュネーブ改正協定とロカルノ協定も承認されている。)

 児童ポルノ改正法改正案について、先週6月17日の参議院法務委員会での審議において定義の問題についてなどかなり突っ込んだ議論がされたところもあり(インターネット審議中継参照)、以下のような附帯決議(pdf)がついたのが不幸中の幸いとは言え、

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

一 児童を性的搾取及び性的虐待から守るという法律の趣旨を踏まえた運用を行うこと。

二 第七条第一項の罪の適用に当たっては、同項には捜査権の濫用を防止する趣旨も含まれていることを十分に踏まえて対応すること。

三 第十六条の三に定める電気通信役務を提供する事業者に対する捜査機関からの協力依頼については、当該事業者が萎縮することのないよう、配慮すること。

条文解釈上まだ曖昧なところは多い。そこで、ダウンロード犯罪化の時に書いたことと同じなのだが(第282回参照)、今回の通常国会で成立した中でも一番問題の大きいこの法改正についての注意はいくらあっても悪くはないだろうと思うので、前回に続き、ここで少しネット利用との関係でまず考えられる注意を書いておきたい。

(1)P2Pファイル共有ソフトは法律的なことと技術的なことをある程度理解してから使用すること
 著作権法のダウンロード犯罪化の摘発例は今のところまだないが、児童ポルノの新所持罪(性的好奇心目的所持罪)が導入されることで、P2Pファイル共有ソフト利用のリスクはさらに高まることになる。余計なトラブルを避けるために、P2Pファイル共有ソフトを使うのであれば、使おうとするソフトが技術的にどのようなことを行っているのか、それが法律的にどのように考えられるのかについてできるだけ知っておいた方が良い。P2Pファイル共有自体が違法や犯罪であるということにはなり得ず、新所持罪の導入で違法ファイル共有の摘発数が劇的に増えるということも考えがたいが、警察はネット関連の最初の摘発対象・スケープゴートとして違法ファイル共有ユーザーを狙って来るだろうと考えられるのである。

(2)家庭で無線LANを使う場合は必ず暗号化を施すこと、軽い気持ちで他人にインターネット回線を貸さないこと
 児童ポルノ新所持罪について警察がどのような運用をして来るか読めない中で、無線LANを暗号化せずに使うことほど危険なことはない。また、インターネット回線を軽い気持ちで他人に貸すべきでもない。他人の行為で、警察が我が家に家宅捜索に来て痛くもない腹を探られるような事態を避けるためには、家庭で無線LANを使う場合必ず暗号化を施すことを忘れないようにし、また、基本的に他人にインターネット回線を貸すようなことをしないよう気をつけておいた方が良い。さらに言えば、暗号化方式の強度もなるべく高い方が良いだろう。

(3)スマートフォンなど携帯電話も含め子供のインターネット利用に気を配ること
 親が自ら変な写真を撮ったりしないよう気をつけるのは無論のことだろうが、児童ポルノ規制法はそのそもそもの性質から子供が関係して来る法律である。普通の意味で性犯罪の被害者になる可能性があることだけではなく、本来の法律の趣旨からすると奇妙な話ではあるのだが、読売新聞の記事などでも書かれている通り既に自画撮りの摘発例も多く、今回の法改正によって子供が自身の行為によって児童ポルノ関連罪で摘発される可能性が高まることになることも全ての親が知っておいて良いことだろうと思う。子供のインターネット利用を親が全て監視するべきだなどと言うつもりもなく、無意味に子供を脅すこともないだろうが、インターネットへのアクセスが無制限に可能なスマートフォンなどの携帯電話を制約なしに使わせるようなことはまず止めるべきだろうし、子供のネット利用についてさらに気を配る必要が出て来るのは間違いない。

(4)サイト管理者は書き込みやリンクの掲載などに気をつけること
 幇助による摘発の可能性も考えると、何かしら書き込みを可能としているサイトの管理者は書き込みやリンクの掲載に常に気をつけておく必要がある。普通ほとんどの場合で問題になるとは思えないが、警察が何をして来るか分からない中で、警察に目をつけられているだろう各種サイトの管理者は特に気をつけておいた方が良いだろう。

(5)児童ポルノを使って脅すようなメールなどについてはまず詐欺やウィルスの可能性を疑うこと
 これも他の国の例でかなり見かけるが、児童ポルノを使って脅すようなメールやサイト表示はまず詐欺やウィルスの可能性を疑った方が良い。今後このような詐欺・ウィルスはさらに増えると思えるのである。とにかく、そのようなものを見ても慌てないこと。ただし、日本でも警告の取組は行われており、本物の警告である場合もあることには注意しておいた方が良い。警告に関する法律的なことが良く分からなければ、専門家への相談を考えること。(弁護士などでも良いが、そこまでの話でなければ、警察庁・各県警のサイバー犯罪担当課へ直接確認してみれば良いのではないかと思う。)

(6)インターネットを今まで通りに使い必要以上に萎縮しないこと
 以上多少注意点について書いてきた訳だが、最低限の注意以上のことはやりようがなく、必要以上にネット利用について萎縮することはないだろう。今後どうなるかは何とも言いようがないが、この点で、前回書いた通り「取得の時期などを含めて、自己の意思に基づいて所持するに至った時期とか経緯などについて、できる限り客観的、外形的な証拠によって確定するべき」という法改正提案者の趣旨と、上で引いた附帯決議の内容が警察・検察にきちんと尊重されることを私も望んでいる。

(なお、このブログを読んでいる方にそんな方は大していないのではないかと思っているが、警察の捜査の端緒として国会答弁ではっきりと言われていた唯一の例である児童ポルノ業者の顧客リストに名前が載っているような方々は早めにこのような問題に詳しい弁護士に相談に行くのが良いのではないかと思う。)

 上で書いたリスクはダウンロード犯罪化でもあったリスクだが、今のところ著作権法での違法ダウンロードの摘発例がいまだなく、児童ポルノの新所持罪についてネットとの関係で警察・検察が何をやってくるか読めない中で、ネット利用についてさらに今回の児童ポルノの新所持罪のリスクが加わることになる。恐らくこれもすぐにどうこうということはないだろうが、濫用の懸念は常にあり、今後も運用について十分な注視が必要である。著作権法と比べて非親告罪であることがここで何かしら影響して来ることも十分に考えられるだろう。

 また、幸いなことに児童ポルノ規制法改正案に関する実務者協議の中で漫画やアニメに関する調査研究条項は削除されたが、自公議員が審議で見せた執念から考えても、残念ながら今後も青少年健全育成基本法や刑法の猥褻規制などと絡めて漫画やアニメの規制が何かと取り沙汰される辛い状況が続くのもまずもって間違いのないところだろう。

 法改正後も児童ポルノ規制法については定義の問題から運用の問題からブロッキングの問題から何から何まで問題は山の様に積み残されたままである。国会の答弁でははぐらかされているが、非常に微妙な論点として通信傍受法の改正検討との関係もある。どんなことでも法案が通ったらそれで終わりということはない。さらに言うなら、情報の所持・取得罪自体に問題があるという認識がなかなか広く浸透しないのは非常に残念であるものの、その点に関して私の考えに変わりはないし、私は今後もそう言い続けるだろう。

 次回は6月20日に決定された知財計画2014の内容について取り上げる予定である。

(2014年7月6日夜の追記:なお、6月25日の官報(pdf)で改正法が公布された。20日後に施行とあるのでその施行日は7月15日となり、第7条第1項に対して1年間の猶予期間があるため新所持罪の適用は2015年7月15日からとなる。)

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2014年6月 8日 (日)

第313回:衆院で可決された児童ポルノ規制法改正案

 前回の審議が2009年6月26日なので5年ぶりになるが(当時の議事録参照)、新たに5党(自公民維結)の実務者協議で合意された児童ポルノ規制法改正案がこの6月5日に衆議院の法務委員会を、6日に本会議を通過した。既に報道もかなりされており、今回はtwitterでつぶやくだけに留めておこうかとも思ったのだが、条文に基づいてどう考えられるかという記事はそれほど多くないように思うので、念のため、ここでも少しコメントを書いておきたいと思う。

 今回衆議院で審議・可決された条文案を見ると、個人的には問題はまだ残されていると思うが、かなりまともに過去の各党の改正案の折衷案を作っており、何かしら別の重要案件に押されて参議院での審議が多少遅れることはあり得るとは思うが、政治的にここまでフラットに作られた折衷案が通らないということは考えがたい。(過去の自公案については番外その14、民主党案については第254回参照。)

 一番下に改正条文も載せておくが、今回の衆院可決版の児童ポルノ改正法案のポイントをあげると以下のようになる。

  • 第2条第3号の児童ポルノの定義を「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀(でん)部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」という形に限定・明確化
  • 第3条で国民の権利として学問、芸術、報道等の自由に留意することを明記
  • 第3条の2で「みだりに児童ポルノを所持してはならない」という形で一般的に児童ポルノの所持を規制(罰則はなし)
  • 第7条第1項で「自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する」として自己の意思に基づく性的目的の児童ポルノ所持の処罰を規定
  • 第7条第5項で「ひそかに児童ポルノを製造した者」として盗撮による児童ポルノ製造の処罰を規定
  • 第15条及び第16条の2で関係行政機関及び児童保護施策推進機関として厚労省等を明記
  • 第16条の3でインターネット事業者の児童ポルノに係る情報の送信防止措置についての努力義務を規定
  • 自公案の附則にあった漫画、アニメ等に関する検討条項を削除

 衆議院法務委員会の審議(インターネット審議中継、みんなの党の山田太郎議員のブログ記事も参照)も合わせて考えると、今回の法改正案では、

  • 3号児童ポルノが限定・明確化されたことで、普通に水浴びしている子供が写っているだけの家族写真を持っているような場合まで処罰の対象となることは明らかになくなった
  • コンプライアンスの観点から一般的な所持規制の部分についてかなり懸念が残るものの、同時に学問、芸術、報道等の自由に基づく通常の活動についての留意も明記され、また、過去に入手をしたかも知れないが現在では自己の性的好奇心を満たす目的はもう失われているような場合まで処罰の対象となることはなく、完全な家捜しと焚書が求められることはない
  • 自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持した者が処罰されるが、括弧書きで自己の意思に基づいて所持するに至った者という限定が入ったことでかなり取得規制よりの所持規制となっており、他人からメールを使って児童ポルノを送りつけられた場合などは基本的に処罰の対象とならないことがより明確となった
  • 児童保護施策の責任機関として厚労省が明記されたことで児童保護にも目を配ったバランスの取れた法運用の可能性が高まる、
  • インターネット事業者の送信防止措置の努力義務について今まで以上の努力を求められることはない、
  • 漫画、アニメ等に関する検討条項が削除されたことで、児童ポルノ規制法によって漫画、アニメ等が規制される危険性は相当低くなった

と言えるだろう。

 すなわち、デタラメだった元の自公案と比べると、かなり冤罪や不当な捜査、無茶な規制拡大の懸念が減っているのは間違いない。ただし、児童ポルノの定義の問題はこれで片づくような話ではなく、そもそも猥褻物規制に引きずられる形で一般人の性欲を要件にしているのがおかしいので、児童性虐待記録物として定義を新たに作り直すべきだというのはその通りだと私も思うし、また、「取得の時期などを含めて、自己の意思に基づいて所持するに至った時期とか経緯などについて、できる限り客観的、外形的な証拠によって確定するべき」という法改正提案者の趣旨が警察・検察に尊重されることを望みたいが、本改正案によって情報の所持・取得罪の本質的な問題が解決しているということもなく、立法から行政までほとんどの関係者が極めて問題の多いブロッキングを当然の前提として議論しているのもどうかと思う点である。(著作権法のダウンロード違法化・犯罪化問題とも絡み情報の所持・取得罪とブロッキングの問題点はさんざん書いてきているのでここで繰り返し書くことはしないが、今回の審議で「自己の性的好奇心を満たす目的」が児童買春規定に含まれているから明確だと言われたことについて、相手のある児童買春の場合と、行為に一人しか絡まない情報の所持・取得の場合では同じ文言でも意味合いが大きく変わってくるということはもっと理解されてしかるべきことではないかと思う。)

 それに今回の衆議院法務委の審議を見ても自公の議員を中心に漫画やアニメの規制に対する執念は凄まじく、この法改正案が通ったとしてもそれで終わりなどということは全くないだろうが、そうは言っても前回に比べるとここまで押さえた案を作られたことについて与野党の関係者の努力は本当にありがたく、参議院でこの法改正案について児童ポルノの定義とネットとの関係を中心にさらに細かな解釈・法運用にまで踏み込んだ慎重な審議がされることを期待したいと私は思っている。

(以下、衆院で可決された児童ポルノ規制法改正条文案。下線部が追加部分。)

(1)児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案
児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律
目次
 第一章 総則(第一条―第三条の二)
 第二章 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰等(第四条―第十四条)
 第三章 心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置(第十五条―第十六条の二)
 第四章 雑則(第十六条の三・第十七条)
 附則

第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性にかんがみ鑑み、あわせて児童の権利の擁護に関する国際的動向を踏まえ、児童買春、児童ポルノに係る行為等を規制し、及びこれらの行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利を擁護することを目的とする。

(定義)
第二条
(略)
3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀(でん)部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

(適用上の注意)
第三条 この法律の適用に当たっては、学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由を不当に侵害しないように留意しなければ留意し、児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。

(児童買春、児童ポルノの所持その他児童に対する性的搾取及び性的虐待に係る行為の禁止)
第三条の二 何人も、児童買春をし、又はみだりに児童ポルノを所持し、若しくは第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管することその他児童に対する性的搾取又は性的虐待に係る行為をしてはならない。

第二章 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰等

(略)
(児童ポルノ所持、提供等)
第七条 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。
 児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第一項第二項と同様とする。
5 前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
 第四項第六項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民も、同項と同様とする。

(略)

(児童の年齢の知情)
第九条 児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、第五条から前条まで、第六条、第七条第二項から第八項まで及び前条の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失がないときは、この限りでない。

(国民の国外犯)
第十条 第四条から第六条まで、第七条第一項から第五項第七項まで並びに第八条第一項及び第三項(同条第一項に係る部分に限る。)の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三条の例に従う。

(両罰規定)
第十一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第五条から第七条、第六条又は第七条第二項から第八項までの罪を犯したときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。

(略)

(教育、啓発及び調査研究)
第十四条 国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの所持、提供等の行為が児童の心身の成長に重大な影響を与えるものであることにかんがみ鑑み、これらの行為を未然に防止することができるよう、児童の権利に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に努めるものとする。
2 国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの所持、提供等の行為の防止に資する調査研究の推進に努めるものとする。

第三章 心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置
(心身に有害な影響を受けた児童の保護)
第十五条 関係行政機関厚生労働省、法務省、都道府県警察、児童相談所、福祉事務所その他の国、都道府県又は市町村の関係行政機関は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童に対し、相互に連携を図りつつ、その心身の状況、その置かれている環境等に応じ、当該児童がその受けた影響から身体的及び心理的に回復し、個人の尊厳を保って成長することができるよう、相談、指導、一時保護、施設への入所その他の必要な保護のための措置を適切に講ずるものとする。
2 関係行政機関は、前項前項の関係行政機関は、同項の措置を講ずる場合において、同項の児童の保護のため必要があると認めるときは、その保護者に対し、相談、指導その他の措置を講ずるものとする。

(略)

(心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の検証等)
第十六条の二 社会保障審議会及び犯罪被害者等施策推進会議は、相互に連携して、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の実施状況等について、当該児童の保護に関する専門的な知識経験を有する者の知見を活用しつつ、定期的に検証及び評価を行うものとする。
2 社会保障審議会又は犯罪被害者等施策推進会議は、前項の検証及び評価の結果を勘案し、必要があると認めるときは、当該児童の保護に関する施策の在り方について、それぞれ厚生労働大臣又は関係行政機関に意見を述べるものとする。
3 厚生労働大臣又は関係行政機関は、前項の意見があった場合において必要があると認めるときは、当該児童の保護を図るために必要な施策を講ずるものとする。

第四章 雑則
(インターネットの利用に係る事業者の努力)
第十六条の三 インターネットを利用した不特定の者に対する情報の発信又はその情報の閲覧等のために必要な電気通信役務(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第三号に規定する電気通信役務をいう。)を提供する事業者は、児童ポルノの所持、提供等の行為による被害がインターネットを通じて容易に拡大し、これにより一旦国内外に児童ポルノが拡散した場合においてはその廃棄、削除等による児童の権利回復は著しく困難になることに鑑み、捜査機関への協力、当該事業者が有する管理権限に基づき児童ポルノに係る情報の送信を防止する措置その他インターネットを利用したこれらの行為の防止に資するための措置を講ずるよう努めるものとする。

(国際協力の推進)
第十七条 国は、第四条第三条の二から第八条までの規定に係る行為の防止及び事件の適正かつ迅速な捜査のため、国際的な緊密な連携の確保、国際的な調査研究の推進その他の国際協力の推進に努めるものとする。

(2)附則
(施行期日等)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
2 この法律による改正後の第七条第一項の規定は、この法律の施行の日から一年間は、適用しない。

(経過措置)
第二条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(検討)
第三条 政府は、インターネットを利用した児童ポルノに係る情報の閲覧等を制限するための措置(次項において「インターネットによる閲覧の制限」という。)に関する技術の開発の促進について、十分な配慮をするものとする。
2 インターネットによる閲覧の制限については、この法律の施行後三年を目途として、前項に規定する技術の開発の状況等を勘案しつつ検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。

(児童福祉法等の一部改正)
第四条 次に掲げる法律の規定中「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」に改める。
一 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第三十四条の二十第一項第三号
二 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第百五十七条の四第一項第二号及び第二百九十条の二第一項第二号
三 関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第六十九条の二第一項第二号及び第六十九条の十一第一項第八号
四 インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(平成十五年法律第八十三号)第八条第二号及び第十八条第三項第一号

(旅館業法及び暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部改正)
第五条 次に掲げる法律の規定中「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)」を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二章」に改める。
一 旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)第八条第四号
二 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)別表第四十六号

(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部改正)
第六条 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)の一部を次のように改正する。
 第四条第一項第二号ホ及び第三十一条の八第五項中「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」に改める。
 第三十五条及び第三十五条の二中「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律第七条」を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第七条第二項から第八項まで」に改める。

(厚生労働省設置法の一部改正)
第七条 厚生労働省設置法(平成十一年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。
 第七条第一項第四号中「(昭和二十二年法律第百六十四号)」の下に「、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)」を加える。

(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部改正)
第八条 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)の一部を次のように改正する。
 別表第七十号中「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」に、「第七条第四項から第六項まで」を「第七条第六項から第八項まで」に改める。

(犯罪被害者等基本法の一部改正)
第九条 犯罪被害者等基本法(平成十六年法律第百六十一号)の一部を次のように改正する。
 第二十四条第二項第二号中「監視する」を「監視し、並びに当該施策の在り方に関し関係行政機関に意見を述べる」に改める。

(3)理由
 児童ポルノに係る行為の実情、児童の権利の擁護に関する国際的動向等に鑑み、児童ポルノの定義を明確化し、児童ポルノをみだりに所持すること等を一般的に禁止するとともに、自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持等を処罰する罰則を設け、あわせて、心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の推進及びインターネットの利用に係る事業者による児童ポルノの所持、提供等の行為の防止措置に関する規定を整備する等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

(4)要綱
第一 題名及び目的規定の改正
一 法律の題名を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」に改めること。(題名関係)
二 目的規定中「児童買春、児童ポルノに係る行為等を処罰する」を「児童買春、児童ポルノに係る行為等を規制し、及びこれらの行為等を処罰する」に改めること。(第一条関係)

第二 目次及び章区分の新設
 章区分を新設して四章建てとし、第一章の章名を「総則」とするとともにその範囲を第一条から第三条の二までとし、第二章の章名を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰等」とするとともにその範囲を第四条から第十四条までとし、第三章の章名を「心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置」とするとともにその範囲を第十五条から第十六条の二までとし、第四章の章名を「雑則」とするともにその範囲を第十六条の三及び第十七条すること。(目次及び章区分関係)

第三 いわゆる三号ポルノの定義の明確化
 いわゆる三号ポルノの定義を「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀(でん)部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」に改めること。(第二条第三項第三号関係)

第四 適用上の注意規定の明確化
 この法律の適用に当たっては、学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由を不当に侵害しないように留意し、児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならないものとすること。(第三条関係)

第五 児童買春、児童ポルノの所持その他児童に対する性的搾取及び性的虐待に係る行為の禁止
 何人も、児童買春をし、又はみだりに児童ポルノを所持し、若しくはこれに係る電磁的記録を保管することその他児童に対する性的搾取又は性的虐待に係る行為をしてはならないものとすること。(第三条の二関係)

第六 自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノ所持等についての罰則
一 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処するものとすること。同様の目的で、これに係る電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とすること。(第七条第一項関係)
二 一に係る国民の国外犯は、これを処罰するものとすること。(第十条関係)

第七 盗撮による児童ポルノ製造罪の新設
 現行の提供目的製造罪及び「児童に姿態をとらせ」製造罪に加えて、ひそかに児童ポルノに係る児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処するものとすること。(第七条第五項関係)

第八 心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する制度の充実及び強化
一 心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置を講ずる主体及び責任の明確化
 心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置を講ずる主体として、厚生労働省、法務省、都道府県警察、児童相談所及び福祉事務所を例示し、措置を講ずる主体及び責任を明確化すること。(第十五条関係)
二 心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の検証等
1 社会保障審議会及び犯罪被害者等施策推進会議は、相互に連携して、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の実施状況等について、当該児童の保護に関する専門的な知識経験を有する者の知見を活用しつつ、定期的に検証及び評価を行うものとすること。(第十六条の二第一項関係)
2 社会保障審議会又は犯罪被害者等施策推進会議の厚生労働大臣又は関係行政機関に対する意見具申及び当該意見具申があった場合の厚生労働大臣又は関係行政機関が講ずる措置に関する規定を置くこと。(第十六条の二第二項及び第三項関係)

第九 インターネットの利用に係る事業者の努力
 インターネットを利用した不特定の者に対する情報の発信又はその閲覧等のために必要な電気通信役務を提供する事業者は、児童ポルノの所持、提供等の行為による被害がインターネットを通じて容易に拡大し、これにより一旦国内外に児童ポルノが拡散した場合においてはその廃棄、削除等による児童の権利回復は著しく困難になることに鑑み、捜査機関への協力、その管理権限に基づき児童ポルノに係る情報の送信を防止する措置その他インターネットを利用したこれらの行為の防止に資するための措置を講ずるよう努めるものとすること。(第十六条の三関係)

第十 附則
一 施行期日等
1 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行すること。(附則第一条第一項関係)
2 第六の一(自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノ所持等についての罰則)は、この法律の施行の日から一年間は、適用しないものとすること。(附則第一条第二項関係)
二 検討
1 政府は、インターネットによる児童ポルノに係る情報の閲覧の制限に関する技術の開発の促進について、十分な配慮をするものとすること。(附則第三条第一項関係)
2 インターネットによる児童ポルノに係る情報の閲覧の制限については、この法律の施行後三年を目途として、1の技術の開発の状況等を勘案しつつ検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとすること。(附則第三条第二項関係)
三 その他
 この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるとともに、所要の規定の整備を行うこと

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2013年7月 3日 (水)

第293回:主要政党の2013年参院選マニフェスト(政権公約)案比較・規制強化慎重反対派元国会議員候補リスト(知財・表現規制問題関連)

 どの政党も前回の衆院選のときと比べてほとんどスタンスの変更はないのだが(前回衆院選時の比較は第283回参照)、

と参院選マニフェスト案がほぼ出そろったので、念のため一通り知財・情報・表現規制問題関連の項目について見ておきたいと思う。

(1)マニフェスト案比較
 各政党のマニフェストから知財・表現規制問題に関する項目を抜き出して行く。

<自民党>
○最先端の「知財立国」に
・特許審査の迅速化を図るとともに、「意匠法」「商標法」を見直し、産業競争力を強化します。
・日本発のコンテンツ・プラットフォームの研究開発を進めます。
・世界で活躍できるグローバル知財人材の育成と、研究開発拠点の誘致を図ります。

○拡大する国際市場を獲得
・国、大学等の研究機関、各企業などの人材・知財・資金を繋ぎ合わせるオープン・イノベーションを推進し、オールジャパン体制で世界との「新分野開拓競争」に対応します。
・「クールジャパン戦略」を推進するとともに、国際標準化・認証に対する戦略的な取組みを強化し、積極的なトップセールスを展開し、海外市場を獲得します。2020年に30兆円(現状10兆円)のインフラシステムの受注を実現すること、2018年までに放送コンテンツ関連海外売上高を現在(63億円)の3倍に増加させること、2020年に海外の医療技術・サービス市場で1.5兆円(現状0.5兆円)を獲得することを目指します。

○国益にかなう経済連携
・TPP等の経済連携交渉は、交渉力を駆使し、守るべきものは守り、攻めるべきものは攻めることにより、国益にかなう最善の道を追求します。
(略)

○治安・テロ対策の強化
・新たな犯罪への対策、防犯ボランティアや保護司等の民間の安全形成システム、法務・警察部門の体制等の治安インフラを強化します。
(略)
・コンピュータやインターネットへの不正侵入、データ破壊、情報漏洩などへの対策(サイバーセキュリティ)を強化します。

○全ての子供の健全な成長と安全の確保
・「青少年健全育成基本法」を制定し、必要な施策を総合的に推進します。
(略)

(総合政策集より)
26「国富」を生み出す知財戦略
(略)

27「クール・ジャパン戦略」の推進
(略)

323世界に誇るべき「文化芸術立国」の創出
(略)
 デジタル化・ネットワーク化の進展により電子書籍等の電子出版物が増加しており、インタネット上における電子出版物の海賊版対策が急務です。文字・活字文化振興のため、デジタル時代に即した『著作権法』改正を行い、現行の出版権を見直します。また、わが国の文化関係予算は高い水準にあると言えず、「文化芸術立国」の創出に向けて、必要な文化予算を確保します。

<公明党>
Ⅱ−1−④−2)クール・ジャパンによる観光振興
 コンテンツ、ファッション、日本食、地域資源など日本の魅力を海外に発信。日本のモノやサービスを海外に売り出すクール・ジャパン戦略と、外国人観光客を国内へ呼び込み、国内での消費を盛んにする観光振興を結びつけた「クール・ジャパン観光」を推進します。

Ⅴ−2−①日・中・韓、日・EUなど経済連携協定を推進
 TPP交渉と並行して日中韓の自由貿易協定(FTA)や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などに主導的に取り組みます。アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の成立をめざすとともに、日・EU経済連携協定(EPA)などの貿易ルールづくりを積極的に推進します。

(重要政治課題より)
3 TPP交渉で国益の最大化を
(略)

<民主党>
○経済連携・経済外交
・高いレベルの経済連携を推進し、世界におけるルールづくりを主導します。
 TPPについては、農林水産物の重要5品目などの除外、食の安全の確保、国民皆保険の堅持などの国益を確保するために、脱退も辞さない厳しい姿勢で臨みます。

<みんなの党>
Ⅰ−1−④TPPのみならず、日中韓FTA、RCEP、日EU等の広域FTAを推進し、日本の国益を最大化。アジア・太平洋諸国とエネルギーや安全保障分野を含めた戦略的な提携関係を強化する。

Ⅰ−1−⑤アジア域内の規制緩和(外貨規制等)を進め、必要な規制については共同制度(競争政策、知的所有権等の国際調和、紛争解決等)の構築を図る。

Ⅰ−5−①日本の魅力、各分野でのコンテンツの素晴らしさを積極的に取り上げ、情報発信の在り方、特に海外に向けた広報を強化。その際、徹底したマーケティングとブランディングを行う。また、日本の漫画、アニメ、小説、ゲーム等の振興を図る。

<日本維新の会>
○TPP参加。自由貿易圏の拡大

<社民党>
○TPP参加反対、地域再生の柱に農林水産業を
(略)

2.−<障がい者>−4.障がい者の社会参加を推進します
(略)
・著作者の音訳を制限する著作権法を改正するとともに、「EYEマーク」運動をすすめます。

5.若者
(略)
・日本が持つアニメ・漫画などのコンテンツ、伝統産業、商業デザイン、クリエーターの感性をいかした情報発信や海外展開など、中小零細企業を主導とした「クールジャパン」事業を拡大します。またクリエーターの賃金・労働条件の実態把握と雇用環境の改善に取り組み、離職者の再就職を支援します。
(略)

8.法務・人権
(略)
・あらゆる性暴力を禁止し、被害者の人権とケアを保証する「性暴力禁止法」をつくります。性的搾取・虐待から
子どもを守る取り組みを強化します。単純所持を刑事罰化する与党の「児童ポルノ禁止法改正案」は、捜査権濫用の危険性があり表現の自由を侵害しかねないため反対するとともに、児童ポルノの定義を限定・明確化した上で根絶へ積極的な防止対策を講じます。
(略)

<共産党>
3−(1)TPP交渉参加を撤回し、日本農業の再生と食料主権、経済主権の確立を
(略)

(各分野政策より)
12、TPP
 TPPへの暴走=「亡国の政治」に反対し、経済主権、食料主権を尊重した互恵・平等の対外経済関係の発展をめざす
(略)
 安価な薬の供給が減り、薬価が高止まりに――アメリカはTPPを通じて知的財産権の保護強化を推進しており、ジェネリック薬(後発医薬品)の供給が遅れ、医薬品価格の高止まりにつながる恐れがあります。アメリカは、既存薬の形や使い方を変えた医薬品を、効果がアップしていなくても"新薬"として特許申請する「エバーグリーニング」とよばれる手法を使い、既存薬の権利独占を図ろうとしています。TPPでこのルールが認められると、ジェネリック薬市場に参入するまでに、今まで以上に長い年月がかかるようになります。日本国内だけでなく、多くの途上国では、患者の命をつなぐ安価な医薬品が手に入りにくくなります。安価な医薬品の供給を維持するためにも、薬メーカーに一方的に有利なアメリカ流の「知的財産権の保護」には反対です。
(略)

35、文化芸術・文化の活動を支え、文化が豊かに発展する社会をめざします
(略)
○「劇場法」を生かし、文化施設への支援を強めます
(略)
 まだまだ足りない大小さまざまな表現空間や展示場所、けいこ場といった芸術家・文化団体の活動の条件を整備します。アニメ、マンガ、写真、音楽、美術など、文化各ジャンルの貴重な遺産の収集・保存を支援します。映画フィルムの保存を急ぐとともに、急速にすすむデジタル化に対応し映画作品の保存をすすめます。映画の国立フィルムセンターの人員を拡充し、国立美術館の付属施設から、国が責任をもつ独立した組織へと発展させます。
(略)

○著作者の権利を守ります。文化を支える専門家の地位向上にとりくみます
 日本の芸術・文化の発展のうえで各ジャンルの専門家の役割はきわめて重要です。ところが、その専門家の権利や社会保障がないがしろにされています。こうした状態を改め、著作権者の権利を守ることや、専門家の低収入、社会保障の改善にとりくみます。
 著作権は、表現の自由を守りながら権利者を守る制度として文化の発展に役立ってきました。ところが、映画の著作物はすべて製作会社に権利が移転され、映画監督やスタッフに権利がありません。実演家もいったん固定された映像作品への権利がありません。国際的には視聴覚実演に関する条約が作成されるなど、実演家の権利を認める流れや、映画監督の権利充実をはかろうという流れが強まっています。著作権法を改正し、映画監督やスタッフ、実演家の権利を確立します。
 一部の大企業は、私的録音録画補償金制度への協力義務を非難するだけでなく、実際に放棄してしまいました。こうした横暴を許さず、著作物を利用することで利益を得るメーカーに応分の負担を求め、作家・実演家の利益をまもります。
(略)

○憲法を生かし表現の自由を守ります。ダンス規制をやめさせます
芸術活動は自由であってこそ発展します。憲法は表現の自由を保障しています。ところが、自民党の「改憲案」は、表現・結社の自由について「公益及び公の秩序」に反しないものとしか認めないとしています。憲法の基本的人権の条項をまもり生かして、表現の自由を侵す動きに反対します。
「風営法」の規制対象からダンスを削除し、「ダンス規制」をやめさせます。

41、いのち・人権の保障
(略)
・児童ポルノ禁止法改定問題について……子どもを性的対象とする児童ポルノは、子どもにたいする最悪の虐待行為であり、その非人間的な行為を日本共産党は絶対に容認することはできません。1人の被害者も出さない社会をつくりだすことは、大人社会の重大な責任です。
 同時に、児童ポルノそのものの作成・流通・販売をきびしく禁止し、取り締まることと、「単純所持」を法的に禁止することは厳密に区別する必要があると考えます。
 自民党、公明党、日本維新の会の3党は、2013年5月29日、児童ポルノ禁止法の「改正」案を衆議院に提出しました。「改正」案によれば、写真やデジタル画像など児童ポルノの所持を禁止する「単純所持の禁止」を導入し、「自己の性的好奇心を満たす目的」の所持には刑事罰(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)を科しています。また漫画やアニメ、CG(コンピュータ・グラフィック)などと性犯罪などとの関連性を「調査研究」するよう政府に求め、施行から3年後に「必要な措置」をとるとしています。
 これは、従来の自公案に、維新の会も乗ったもので、これまでの「単純所持」規制案となんら変わるところはありません。
 現在、インターネット上などで流布されている児童ポルノは、そのほとんどが現行法によって取り締まることが可能です。児童ポルノ法第7条では、「児童ポルノを提供し」、それを目的として「製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者」にたいして、「三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金」がかけられることになっています。これを厳格に運用するなら、ネット上に流れているほぼすべての児童ポルノを一掃することが可能となります。
 一方、児童ポルノ法で単純所持を一律に規制したり、漫画・アニメーションなどの創作物も規制対象に加えたりすることは、児童ポルノ問題の解決に役に立たないだけでなく、逆に、人権の侵害や表現の自由の萎縮につながりかねません。
 第一に、たとえ単純所持を法律で一律に規制したとしても、児童ポルノの流出の効果的な歯止めにならないことは、単純所持を禁止しているはずの欧米各国の実態からも明りょうです。よく、「主要8カ国のなかで児童ポルノの単純所持を規制していないのは、日本とロシアだけだ」と指摘されます。しかし、現にインターネット上に流出している児童ポルノ(児童虐待)の動画像は、単純所持を禁止している欧米諸国からのものが圧倒的に多数です。たとえば、イタリアに本拠をおく児童保護団体の「虹の電話」による調査(2010年1月発表)では、2009年に確認された児童ポルノのサイトは4万9393件とされ、そのうち日本は、0.1%の54件となっています。一方、上位5位はドイツ(1万9488件、39.5%)、オランダ(1万277件、20.8%)アメリカ(8411件、17.0%)、ロシア(7118件、14.4%)、キプロス(1688件、3.4%))となっており、この5カ国だけで全体の95%を占めます。このうち、上位3カ国はいずれも児童ポルノの単純所持が禁止されています。このことをとっても単純所持の禁止や規制が、児童ポルノ流出の歯止めにならないことは明らかです。
 第二に、ネット上に流出していないにもかかわらず、単純所持を規制し、それを処罰するという場合、どのようにして単純所持を証明・把握するのかという問題があります。このことは、「憶測」や「疑惑」の段階から取り締まりを可能にすることにつながりかねず、結果として、捜査当局の恣意的な捜査を招く危険があります。また、表現の自由や、家庭生活上の写真などと児童ポルノとの関係なども考慮しなければなりません。
 なお、本来あってはならないことですが、万一被害にあった子どもがいる場合、そのプライバシーを最大限に尊重しながら、その後、社会生活を安心して送り健やかに成長できるよう、万全の保証をする必要があります。
 日本漫画家協会や日本雑誌協会からは、自公維の「改正」案にたいして、きびしい反対の意見が上がっています。たとえば、漫画家協会の「児童ポルノ規制法案に向けての意見書」(2013年5月29日)は、「他国に類を見ない独自のマンガ文化を育んできた日本の貴重な文化的土壌が、危機的に変質させられる可能性が非常に高い今回の規制法案について、創作者の立場から見過ごせない問題がある」「今回の法案では、単純所持まで規制の対象としており、仮にマンガ・アニメなども規制の対象になると、諸外国のような文化的除外規定のない我が国では、多くの漫画家が新たに描き起こす、未来の作品全般に対する重大な悪影響はもちろん、過去作品の原稿までが新しい規制に抵触してしまいます」と重大な懸念を表明しています。
 また、日本雑誌協会の「『児童ポルノ禁止法』改正法案への反対声明」(2013年5月29日)も、「『児童ポルノ』の定義が曖昧なままでの「単純所持禁止」は不当な処罰を招く」としたうえで、マンガ・アニメにまで規制を及ぼそうとしていることについて、「児童保護の名を借りて不要な表現規制をかけ、読者から漫画を読む権利を奪うものといえる。そうした過剰規制は表現の萎縮を招き、漫画という日本の誇る表現形態の破壊につながりかねない」と批判しています。この声明には、日本出版書籍協会も名前を連ねています。
 このほかにも日本マンガ学会、日本アニメーター・演出協会、全国同人誌即売会連絡会などの関連団体から、いっせいに批判の声があがっています。
 安倍首相は、2013年2月28日の施政方針演説で、マンガやアニメなどを、世界に誇る文化として発信していこうと、次のように演説しました。
 「日本のコンテンツやファッション、文化・伝統の強みも、世界から注目されています。アニメなどのブームを一過性のものに終わらせることなく、世界の人たちを惹(ひ)きつける観光立国を推進することに加え、『クール・ジャパン』を世界に誇るビジネスにしていきましょう」
それぞれの国民や業界団体などがそれぞれの立場で開拓し蓄積し、根づかせてきた文化や芸術について、海外に売り込むために政府が音頭をとったり主導したりする点については、さまざまな意見や疑問があります。しかし、前述した諸団体の反対声明にあるように、自公維3党の児童ポルノ禁止法の「改正」案は、みずからの戦略に照らしても、日本発祥の世界に誇るアニメ・マンガ文化を振興するどころか、逆に水をさしたり冷水を浴びせたりする結果にしかならないことは明白です。

<生活の党>
Ⅲ−7.TPPには反対、国益にかなう経済連携は推進
(略)

<みどりの風>
3 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加に反対します
(略)

<新党大地>
○TPP断固反対

 まず、案の定知財政策に関しては各党とも具体的に中身のあることをほとんど書いていない。一見自民党などはいろいろ書いているように見えるかも知れないが、知財計画の焼き直し程度でほとんど意味はない。ただ、公約という位置づけではないのかも知れないが、自民党が政策集に今までの隣接権の付与とは異なるニュアンスで出版権の見直しについて書いていることくらいは注意しておいても良いだろうか。(特に選挙と関係する形で出されているものではないが、自民党は知的財産戦略調査会の10の提言(pdf)要旨(pdf))というペーパーも4月に作っている。)

 しかし、公約上知財政策に関する具体的な中身がないにしても、何度も書いている通り、今後の日本の著作権政策がTPP交渉に引きずられるのは間違いなく、その推進は著作権保護強化に直結すると見て良いだろうと私は考えており、この点で自民、公明、民主、みんな、維新が基本的にTPP推進で、それ以外が反対と、賛成反対が明確に分かれているのは非常に分かりやすい。

 次に、表現規制問題関連では、自民党が検察・検察の体制やサイバーセキュリティの強化、「青少年健全育成基本法」の制定などに言及している点は要注意だろう。この点で今の自民党ではどこをどうやっても危険な規制強化案しか出して来ないだろうことは目に見えているのである。(やはり選挙と関係する形で出されているものではないが、自民党が何を考えているかについては、5月に出している、児童ポルノの単純所持規制の導入などかなり強力な規制強化案を含む世界一の安全を取り戻すために ~緊急に取り組むべき3つの課題(提言)(pdf)構成(pdf))というペーパーも参考になる。)

 また、何にも増して気をつけておきたいのは前回衆院選時と同じく自民党の政権公約が憲法改正を含んでいることである。自民党のゴミクズ以下の憲法改正案(自民党のHP参照)についてここで事細かに突っ込む気はないが、明らかに自民党はこの憲法改正で実質的に表現の自由などの基本的人権の制約・国民からの剥奪を狙っているのである。(毎日新聞の記事によると、多少見直す動きもあるようだが、検討する人間がそう変わるとも考えられず、自民党内でいくら検討したところで似たような非道い案しか出て来ようがないだろう。この問題に関心のある方は、「自民党憲法草案の条文解説」や「Afternoon Cafe」のブログ記事自民党改憲案「“超”口語訳」(1)(2)なども合わせてご覧になることをお勧めする。)また、時事通信の記事などによると、維新の会の改憲原案も自民党と同じく非道い内容のようであり、維新の会も自民と同じかそれ以上に危険であることは間違いない。

 ここで、社民党と共産党が公約レベルで児童ポルノ規制の強化について慎重な姿勢を示してくれているのは非常にありがたい。

 さらに、公約という訳ではないが、児童ポルノ規制に関しては、ITmediaの記事になっている通り、ニコニコ動画の党首討論会での各党党首の見解も非常に参考になる。この党首討論から単純所持規制を含む自公維の改正案(国会の議案本文情報経過情報)参照)に対する見解をまとめると以下のようになるだろう。(ニコニコニュースの全文書き起し記事も参照。)

  • 自民党・安倍総裁:単純所持禁止は国際動向からきっちり進めて行く流れになっている。アニメやCG等については表現の自由との関係で慎重にするということになっている。
  • 公明党・山口代表:改正は必要。日本は国際社会から厳しい批判にさらされている。表現の自由等については一定の配慮は必要だが、実害の大きさに目をつぶる訳にはいかない。
  • 民主党・海江田代表:最低限でも修正が必要。単純所持規制には安全装置をつけなければいけない。漫画やアニメにについては性的虐待の被害児童が存在しないことを考えなければいけない。若い漫画家やアニメの作画家達が萎縮をしてしまうことになるから、絶対、修正は必要。
  • みんなの党・渡辺代表:さらに検討が必要。3つ問題点がある。第一に漫画やアニメが規制されようとしていること。自主規制によって漫画・アニメの文化が廃れる恐れもあり、憲法21条に抵触する可能性もある。第二に単純所持禁止については検察・警察による恣意的な捜査・逮捕を可能にしてはいけない、第三に検索エンジン会社による運用が難しく、広範なブロッキングを招く。
  • 社民党・福島党首:改正案には反対。児童ポルノの定義が曖昧なために、自分の持っているものが児童ポルノとは思わなかったということもある。恣意的な捜索の可能性もある。アニメやCGなどの規制は表現の自由との関係で問題がある。
  • 共産党・志位委員長:児童ポルノ法で単純所持を一律に規制したり、アニメや漫画などの創作物も規制対象にするということは、児童ポルノ問題の解決に役に立たないばかりか、表現の自由あるいは、人権の侵害、これにも繋がって来るので反対。今、インターネット上に流布されている児童ポルノは、そのほとんどが現行法で取り締まることが可能。
  • 生活の党・小沢代表:改正案に反対。改正案は児童ポルノを理由に政府、官僚の規制を広範囲に強化することに繋がる恐れがある。表現の自由を阻害する可能性が大きく、世界的に評価されている漫画やアニメなど日本発のコンテンツを損なう恐れもあることから反対する。
  • みどりの風・谷岡代表:改正案は反対。日本のクールジャパンの原動力になっているサブカルチャーというものを破壊してしまう可能性がある。非存在青少年を対象に含めるようなことは全くあり得ない話。

 自民党はアニメについては慎重にする云々と言っているが法改正案から創作物規制もやりたくて仕方がないのは見え見えであり、今の主要メンバーを見る限り、今後もあらゆる点で有害かつ危険な規制強化に固執し続けることだろう。この党首討論会に維新の会は欠席したようだが、自公の法改正案に相乗りしていることからも分かるように維新の会は明らかに規制推進側に立っている。(この規制推進スタンスは、別の各党座談会(「現代 note」の書き起しブログ記事児童ポルノ法を改正して漫画・アニメを規制する1参照)で維新代表の山田宏衆院議員が述べていることからも確認できる。)また、民主党の児童ポルノ規制に関するスタンスについては、樽井良和候補がブログ記事で公開して下さっている民主党の考え方(案)(pdf)も参考になる。(まだ案の段階だが、非常に出来の良かった前回の民主党改正案(第254回参照)の考え方に大体沿った内容と言えるのではないかと思う。)

 ほとんど作るまでもないかも知れないが、上で抜き出したTPP交渉と児童ポルノ規制に関する各党のスタンスについて表を作ると以下のようになるだろう。

Kisei_table
 TPP交渉の推進が著作権規制の強化に直結すると見て、表現規制問題・文化政策に関しては児童ポルノ規制に関する見解がほぼ全てを物語っているに等しいと見て、私は今回も各党のTPP交渉と児童ポルノ規制に関するスタンスを参考に投票するつもりである。

(2)規制強化慎重・反対派元国会議員候補リスト
 前回衆院選時に作ったもの(番外その34番外その35参照)から大きく変わったということはないので、詳しくは元のエントリを見て頂ければと思うが、特に著作権・表現規制問題に関わり、今回参議院選挙に立候補することが予定されている慎重・反対派元議員候補のリストを以下に載せる。(前回リストと同じく特に規制強化に慎重な立場を表明している元議員候補の名前を字で示している。なお、前回衆院選以降に出された請願としては児童ポルノ規制法に関して慎重な取り扱いを求める請願が衆議院(請願情報参照)と参議院(請願要旨一覧参照)に1つずつあり、それぞれ西村眞悟衆院議員(無所属)と、森田高参院議員(無所属)、山田太郎参院議員(みんな)、松浦大悟参院議員(民主)が紹介議員となっている。)

○ダウンロード犯罪化・ACTA反対・慎重派元議員候補
森ゆうこ候補<生活・新潟県>(HPtwitterwiki):法改正に反対票を投じ、ダウンロード犯罪化に関する質問主意書を提出、ACTAに慎重な立場を表明、ACTA批准に反対票を投じた
はたともこ候補<生活・比例>(HPtwitterwiki):ダウンロード犯罪化に関する質問主意書を提出
三宅雪子候補<生活・比例>(HPtwitterwiki):ACTAに関して反対の立場を表明、衆議院本会議で反対
谷岡郁子候補<みどりの風・比例>(HPtwitterwiki):ACTAに慎重な立場を表明、ACTA批准に反対票を投じた
・亀井亜紀子候補<みどりの風・島根>(HPwiki):ACTA批准に反対票を投じた
・行田邦子候補<みどりの風→みんな・埼玉>(HPtwitterwiki):ACTA批准に反対票を投じた
・井上哲士候補<共産・比例>(HPtwitterwiki):法改正に反対票を投じた
・紙智子候補<共産・比例>(HPtwitterwiki):法改正に反対票を投じた
・山下芳生候補<共産・比例>(HPtwitterwiki):法改正に反対票を投じた
・又市征治候補<社民・比例>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・米長晴信候補<無所属→みんな・山梨>(HPtwitterwiki):ACTA批准に反対票を投じた
・糸数慶子候補<無所属・沖縄>(HPtwitterwiki):法改正に反対票を投じた
・世耕弘成候補<自民・和歌山>(HPtwitterwiki):ダウンロード犯罪化について慎重な意見を表明
・山本一太候補<自民・群馬>(HPtwitterwiki):ダウンロード犯罪化について慎重な意見を表明

○児童ポルノ規制強化慎重・反対派元議員候補
松浦大悟候補<民主・秋田>(HPtwitterwiki):請願の紹介議員
樽井良和候補<民主・比例>(HPtwitterwiki):児童ポルノ規制強化に関して慎重・反対の立場を表明
・谷岡郁子候補<みどりの風・比例>(HPtwitterwiki):平成22年3月16日の文教科学委員会で規制について慎重な意見を表明(議事録参照)
・佐藤正久議員<自民・比例>(HPtwitterwiki):請願の紹介議員
(請願については、慎重な取り扱いを求める請願参照)

 ネット選挙の解禁によって、また今回の選挙で何かが劇的に変わるということはないと思うが、それでも今回の参議院選挙も自らの意思で国政に票を投じることのできる貴重な機会であり、是非一人でも多くの人に選挙に行ってもらいたいと私も思っている。

(なお、今回からネット選挙が解禁されることになる訳だが、何でもできるようになったなどということは無論ないので、総務省の解説ページなどを良く読んで選挙期間中書き込みなどに十分に気をつけておくに越したことはないだろう。)

(2013年7月4日夜の追記:いくつか誤記を修正し、合わせて、児童ポルノ規制に関する自民のスタンスについて説明が少し足りないかと思ったので、「自民党はアニメについては慎重にする云々と言っているが法改正案から創作物規制もやりたくて仕方がないのは見え見えであり、今の主要メンバーを見る限り、今後もあらゆる点で有害かつ危険な規制強化に固執し続けることだろう。」という文章をつけ加えた。)

(2016年6月19日夜の追記:誤記を直した(「青」→削除)。)

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2013年5月 7日 (火)

第289回:内閣府・「第2次児童ポルノ排除総合対策」(素案)に対する提出パブコメ

 前回取り上げた内閣府の「第2次児童ポルノ排除総合対策」(素案)(pdf)に対してパブコメを書いて提出した。2010年当時の前回の提出パブコメと比べても大きな違いがある訳ではないが、念のため、ここに載せておく。このパブコメは明日5月8日までともう〆切まで間がないが(内閣府の意見募集ページ参照)、とても重要な内容を含んでおり、このような情報規制問題について関心のある方でまだ出していない方がいれば今からでも是非提出を検討頂ければと思う。(なお、前回同様かなり長くなったので私は意見を分割して提出した。)

(以下、提出パブコメ。)

(1)「1① 協議会の開催」(第1ページ)について
 ここに記載されている協議会とは「児童ポルノ排除対策推進協議会」を指すものと思われる。この児童ポルノ排除対策推進協議会の規約等を見ると、その役員及び参加団体は各省庁及びその傘下団体に明らかに偏っている。しかし、児童ポルノ対策が国民の基本的な権利である表現の自由や通信の秘密等にも関わる非常に重大な問題であることから、表現の自由に関する問題に詳しい情報法・憲法の専門家、児童ポルノ法の実務に携わりその本当の問題点を熟知している法律家、規制強化に慎重あるいは反対の意見を有する弁護士・団体等も多く含む形に再編し、児童ポルノ規制問題について、様々な意見があることを広めるとともに多様な意見の取り入れを図るとここに明記するべきである。

(2)「1②  国民運動の効果的な推進」(第1ページ)について
 ここに記載されているシンポジウムとは「児童ポルノ排除対策公開シンポジウム」を指すものと思われる。公開されているその概要を見ると、警察官僚や日本ユニセフ協会など規制強化を主導又は主張する当局及び団体のみでほぼ登壇者を固めているなど、明らかに構成に偏りが見られる。しかし、上で書いたことと同じく、児童ポルノ対策が国民の基本的な権利である表現の自由や通信の秘密等にも関わる非常に重大な問題であることから、表現の自由に関する問題に詳しい情報法・憲法の専門家、児童ポルノ法の実務に携わりその本当の問題点を熟知している法律家、規制強化に慎重あるいは反対の意見を有する弁護士・団体等もシンポジウムに呼び、児童ポルノ規制問題について、様々な意見があることを広めるとともに多様な意見の取り入れを図るとここに明記するべきである。

(3)「1⑥ 『女性に対する暴力をなくす運動』における取組」(第1〜2ページ)について
 児童問題と女性問題を混同するべきではなく、この項目は削除するべきである。

(4)「1⑧ 国際的取組への参画」(第2ページ)」について
 この項目において、「児童ポルノを対象とするものにせよ、いかなる種類のものであれ、情報の単純所持・取得規制・ブロッキングは極めて危険な規制であるとの認識を深め、このような規制を絶対に行わないことと閣議決定し、児童ポルノの単純所持規制・創作物規制といった非人道的な規制を導入している諸国は即刻このような規制を廃止するべきと、そもそも最も根本的なプライバシーに属し、何ら実害を生み得ない個人的な情報所持・情報アクセスに関する情報を他人が知ること自体、通信の秘密や情報アクセスの権利、プライバシーの権利等の国際的かつ一般的に認められている基本的な権利からあってはならないことであると、日本政府から国際的な場において各国に積極的に働きかける。」との記載を追加してもらいたい。

(5)「2(1)① 青少年インターネット環境整備法に基づく総合的な被害防止対策の推進」(第2ページ)について
 この項目において言及されている青少年ネット規制法は、あらゆる者から反対されながら、有害無益なプライドと利権を優先する一部の議員と官庁の思惑のみで成立したものであり、速やかに廃止が検討されるべきものであるが、この項目に記載されている調査研究その他の対策の推進においては、総務省の「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」の「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備に関する提言」の内容も踏まえ、不当な規制強化とならないよう謙抑的な形で進めてもらいたい。
 なお、出会い系サイト規制法の改正も、警察庁が、どんなコミュニケーションサイトでも人は出会えるという誰にでも分かることを無視し、届け出制の対象としては事実上定義不能の「出会い系サイト事業」を定義可能と偽り、改正法案の閣議決定を行い、法案を国会に提出したものであり、他の重要法案と審議が重なる中、国会においてもその本質的な問題が見過ごされて可決され、成立したものである。憲法上の罪刑法定主義や検閲の禁止にそもそも違反している、出会い系サイト規制法の改正についても、今後、速やかに元に戻すことが検討されるべきである。

(6)「官民の情報共有、ポータルサイトによる情報提供の推進」について
 前回の総合対策にあった「2(1)③ 官民の情報共有、ポータルサイトによる情報提供の推進」という項目が削除されているが、このようなネットを利用した政府の情報提供は重要である。第2次対策素案では、この項目を復活させるとともに、例えば非常に重要なことを検討しているにもかかわらず今現在極めてお粗末な形でしか情報公開がなされていない児童ポルノ対策関連の各種会議の議事についてその詳細を即時公開するなど情報公開の充実を図ると記載してもらいたい。

(7)「3① 違法情報の排除に向けた取組の推進」(第4ページ)について
 この項目でインターネット・ホットラインセンターについて言及されているが、サイト事業者が自主的に行うならまだしも、何の権限も有しないインターネット・ホットラインセンターなどの民間団体からの強圧的な指摘により、書き込みなどの削除やブロッキングが行われることなど本来あってはならないことである。このようなセンターは単なる一民間団体で、しかもこの団体に直接害が及んでいる訳でもないため、削除などを要請できる訳がない。勝手に有害と思われる情報を収集して、直接削除要請などを行う民間団体があるということ自体おかしいと考えるべきであり、このような有害無益な半官検閲センターは即刻廃止が検討されて良い。このような無駄な半官検閲センターに国民の血税を流すことは到底許されないのであって、その分できちんとした取り締まりと削除要請ができる人員を、法律によって明確に制約を受ける警察に確保するべきであり、この項目においては、インターネット・ホットラインセンターの廃止を検討すると明記するべきである。

(8)「3 インターネット上の児童ポルノ画像等の流通・閲覧防止対策の推進」中のブロッキング関連項目(②、④、⑤)(第4〜6ページ)について
 既に、警察などが提供するサイト情報に基づき統計情報のみしか公表しない不透明な中間団体を介し、児童ポルノアドレスリストの作成が行われ、そのリストに基づいてブロッキングが行われているが、いくら中間に団体を介そうと、一般に公表されるのは統計情報に過ぎす、児童ポルノであるか否かの判断情報も含め、アドレスリストに関する具体的な情報は全て閉じる形で秘密裏に保持されることになるのであり、インターネット利用者から見てそのリストの妥当性をチェックすることは不可能であり、このようなアドレスリストの作成・管理において透明性・公平性・中立性を確保することは本質的に完全に不可能である。このようなリストに基づくブロッキング等は、自主的な取組という名目でいくら取り繕おうとも憲法に規定されている表現の自由(知る権利・情報アクセスの権利を含む)や検閲の禁止といった国民の基本的な権利を侵害するものとならざるを得ないのであり、小手先の運用変更などではどうにもならない。ファイル共有に対するブロッキングについても同様である。
 これらの項目については全て削除し、代わりにリスト作成・管理団体であるインターネットコンテンツセーフティ協会を即刻解散し、ブロッキングを止めるとここでは明記するべきである。
 なお、その透明性について管理団体のHPには統計情報すら掲載されていないという惨憺たる状況でブロッキングが有効だの成果だのと主張されても全くお話にならない。現状で本素案のようにブロッキングそのものを目的として全面的に推進することは、緊急避難として違法性阻却が認められる限界を超えているとしか言いようがない。このようなブロッキングを主導している警察官僚及びこれに加担している者には電気通信事業法第179条の通信の秘密侵害罪の適用が検討されて良いくらいである。
 またなお、ブロッキングに関する広報・啓発を行う必要があるとすれば、現時点では権力側によるその濫用の防止が不可能であり表現の自由や通信の秘密といった憲法に規定された国民の基本的な権利に照らして問題のない運用を行うことが不可能であるという問題の周知にのみ努めるべきである。

(9)「5② 悪質な関連事業者に対する責任追及の強化」(第8ページ)について
 この項目において、サイト管理者、サーバー管理者といった直接的な提供者ではない関連事業者に対する刑事責任等について書かれているが、インターネットにおいて例えば単なるリンク行為まで幇助罪を適用することなどは極めて大きな問題を含む。この項目において、幇助罪のインターネットにおける適用に問題があることを明確に認め、警察はインターネットの利用を萎縮させないような法運用に努めると明記してもらいたい。

(10)「6③ 児童ポルノに関わる規制についての検討に資するための調査 」(第9ページ)について
 ここでG8について言及されているが、児童ポルノはG8のみの問題ではなく、「G8を中心とした」という記載を削除するべきである。
 特に、民主主義の最重要の基礎である表現の自由に関わる問題において、一方的な見方で国際動向を決めつけることなどあってはならない。欧米においても情報の単純所持規制やサイトブロッキングの危険性に対する認識が高まって来ていることは決して無視されてはならない。例えば、欧米では既にブロッキングについてその恣意的な運用によって弊害が生じており、アメリカにおいても2009年に連邦最高裁で児童オンライン保護法が違憲として完全に否定され、2011年6月に連邦最高裁でカリフォルニア州のゲーム規制法が違憲として否定されており、ドイツでも児童ポルノサイトブロッキング法は検閲法と批判され、最終的に完全に廃止されている(http://www.zdnet.de/news/41558455/bundestag-hebt-zensursula-gesetz-endgueltig-auf.htm参照)。スイスの2009年の調査でも、児童ポルノ所持で捕まった者の追跡調査を行っているが、実際に過去に性的虐待を行っていたのは1%、6年間の追跡調査で実際に性的虐待を行ったものも1%に過ぎず、児童ポルノ所持はそれだけでは性的虐待のリスクファクターとはならないと結論づけており、児童ポルノの単純所持規制・ブロッキングの根拠は完全に否定されている(http://www.biomedcentral.com/1471-244X/9/43/abstract参照)。欧州連合において、インターネットへのアクセスを情報の自由に関する基本的な権利として位置づける動きがあることも見逃されてはならない。2012年6月にスウェーデンで漫画は児童ポルノではないとする最高裁判決が出されたことも注目されるべきである(http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8111654_po_02550012.pdf?contentNo=1参照)。政府・与党内の検討においては、このような国際動向もきちんと取り上げるべきである。

(11)児童ポルノ排除対策ワーキングチームと本意見募集について
 本対策案を作った児童ポルノ排除対策ワーキングチームは議事録の公開が不十分であり、どのような議論からこのような総合対策の改定に至ったのか全く分からない。その下のワーキンググループに至っては議事概要すら公開していない。今回の対策案に対するパブコメの期間も実質10日程度とあまりにも短い上大型連休と完全に重なる形で募集されるなど、到底国民の意見を聞く気があるとは思えない形で行われている。このワーキングチームあるいはグループは議事録、議事の進め方、対策のとりまとめ方等あらゆる点で不透明であり、このような問題だらけのワーキングチームで表現の自由を含む国民の基本的権利に関わる重大な検討が進められることなど論外である。実際今回の意見募集の対象となっている第2次対策素案にも、ブロッキングを中心として有害無益かつ危険な規制強化の項目が含まれており、このような検討しかなし得ない出来レースの密室政策談合ワーキングチーム・ワーキンググループは即刻解散するべきである。
 このワーキングチームは即刻解散するべきであるが、さらに今後児童ポルノ規制について何かしらの検討を行うのであれば、その検討会は下位グループまで含めて全て開催の度数日以内に速やかに議事録を公表する、一方的かつ身勝手に危険な規制強化を求める自称良識派団体代表だけで無く、表現の自由に関する問題に詳しい情報法・憲法の専門家、児童ポルノ法の実務に携わりその本当の問題点を熟知している法律家、規制強化に慎重あるいは反対の意見を有する弁護士・団体等も呼ぶ、危険な規制強化の結論ありきで報告書をまとめる前にきちんとパブコメを少なくとも1月程度の募集期間を設けて取るなど、児童ポルノ規制の本当の問題点を把握した上で検討が進められるようにするべきである。

(12)児童ポルノの単純所持・取得規制等について
 閲覧とダウンロードと取得と所持の区別がつかないインターネットにおいては例え児童ポルノにせよ情報の単純所持や取得の規制は有害無益かつ危険なもので、憲法及び条約に規定されている「知る権利」を不当に害する。意図に関する限定を加えたところで、エスパーでもない限りこのような積極性を証明することも反証することもできないため、このような規制の危険性は回避不能であり、思想の自由や罪刑法定主義にも反する。インターネットで2回以上他人にダウンロードを行わせること等は技術的に極めて容易であり、取得の回数の限定も何ら危険性を減らすものではない。例えそれが児童ポルノであろうと情報の単純所持ではいかなる被害も発生し得えない。現行法で提供及び提供目的の所持まで規制されているのであり提供によって生じる被害と所持やダウンロード、取得、収集との混同は許され得ない。そもそも、最も根本的なプライバシーに属する個人的な情報所持・情報アクセスに関する情報を他人が知ることは、通信の秘密や情報アクセスの権利、プライバシーの権利等の基本的な権利からあってはならないことである。
 自民党及び公明党から、また危険極まりない単純所持規制を含む児童ポルノの改正法案が国会に提出されようとしているが、政府・与党においては、児童ポルノを対象とするものにせよ、いかなる種類のものであれ、情報の単純所持・取得規制・ブロッキングは極めて危険な規制であるとの認識を深め、このような規制を絶対に行わないこととして、危険な法改正案が2度と与野党から提出されることが無いようにするべきである。今後児童ポルノ法の改正を検討するのであれば、与野党の間で修正協議と称して密室協議に入ることなく、きちんと公開される国会の場で、現行法の問題点についても含め、徹底的な議論をするべきである。

(13)児童ポルノを理由とした創作物規制について
 さらに言えば、アニメ・漫画・ゲームなどの架空の表現に対する規制対象の拡大も議論されているが、このような対象の拡大は、児童保護という当初の法目的を大きく逸脱する、異常規制に他ならない。アニメ・漫画・ゲームなどの架空の表現において、いくら過激な表現がなされていようと、それが現実の児童被害と関係があるとする客観的な証拠は何一つない。いまだかつて、この点について、単なる不快感に基づいた印象批評と一方的な印象操作調査以上のものを私は見たことはないし、虚構と現実の区別がつかないごく一部の自称良識派の単なる不快感など、言うまでもなく一般的かつ網羅的な表現規制の理由には全くならない。アニメ・漫画・ゲームなどの架空の表現が、今の一般的なモラルに基づいて猥褻だというのなら、猥褻物として取り締まるべき話であって、それ以上の話ではない。どんな法律に基づく権利であれ、権利の侵害は相対的にのみ定まるものであり、実際の被害者の存在しない創作物・表現に対する規制は何をもっても正当化され得ない。民主主義の最重要の基礎である表現の自由や言論の自由、思想の自由等々の最も基本的な精神的自由そのものを危うくすることは絶対に許されない。
 単純所持規制にせよ、創作物規制にせよ、両方とも1999年当時の児童ポルノ法制定時に喧々囂々の大議論の末に除外された規制であり、規制推進派が何と言おうと、これらの規制を正当化するに足る立法事実の変化はいまだに何一つない。
 なお、実写と見紛うCGの規制については、確かに実在の児童が絡む事件の捜査の妨げになる可能性があるが、今の所捜査の妨げになっているとの事実はなく、その規制の検討も時期尚早である。

(14)その他報告書全体について
 最後に書いておくが、私が言いたいのは、民間の自主的な取り組みといった言葉で上辺を取り繕い、国民の情報の自由に関する基本的権利に対して重大な侵害を行ってでも利権を作ろうとすることは今後一切止めろということである。この点について私は誤解などしていないし、今後の検討の参考にするなどといった役人の遁辞などそれこそ全く求めていない。児童ポルノ規制法に関しては、既に、提供及び提供目的での所持が禁止されているのであるから、本当に必要とされることは今の法律の地道なエンフォースであって有害無益な規制強化の検討ではない。
 特に、児童ポルノ規制問題・有害サイト規制問題における自称良識派団体の主張は、常に一方的かつ身勝手であり、ネットにおける文化と産業の発展を阻害するばかりか、インターネットの単純なアクセスすら危険なものとする非常識なものばかりである。今後は、このような一方的かつ身勝手な規制強化の動きを規制するため、憲法の「表現の自由」に含まれ、国際人権B規約にも含まれている国民の「知る権利」を、あらゆる公開情報に安全に個人的にアクセスする権利として、通信法に法律レベルで明文で書き込むべきである。同じく、憲法に規定されている検閲の禁止から、サイトブロッキングのような技術的検閲の禁止を通信法に法律レベルで明文で書き込むべきである。
 現行以上に規制を強化するべきとするに足る明確かつ具体的な根拠は何1つ示されておらず、児童ポルノ規制法に関して検討すべきことがあるとしたら、現行ですら過度に広汎であり、違憲のそしりを免れない児童ポルノの定義の厳密化、上で書いた通り、危険な規制強化を止める逆規制、リスクを考慮した幇助罪の適用の謙抑的運用、児童ポルノの単純所持規制・創作物規制といった非人道的な規制の排除の国際的な働きかけのみである。
 今後は、恣意的な運用しか招きようのない危険な規制強化の検討ではなく、情報に関する各種問題は情報モラル・リテラシー教育によって解決されるべきものという基本に立ち帰り、教育・啓発等に関する地道な施策のみに注力する検討が進められることを期待する。

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2013年4月28日 (日)

第288回:内閣府・「第2次児童ポルノ排除総合対策」(素案)に対するパブコメ募集(5月8日〆切)

 みんなの党の山田太郎議員(twitter)が非常にありがたいことにそのブログで反対の立場を表明して下さっているが、自民党の高市早苗政調会長が単純所持規制を含む児童ポルノ規制改正法を自ら説明して回っている。このような動きも大いに注意すべきなのは無論のことだが、直接の関係はないものの、内閣府からも「第2次児童ポルノ排除総合対策」(素案)に対するパブコメが5月8日〆切でかかったので、ここで取り上げておきたい。(内閣府の募集ページ、電子政府の募集ページ参照。)

 この「第2次児童ポルノ排除総合対策」(素案)(pdf)概要(pdf))について、意見募集要項(pdf)には、児童ポルノ排除総合対策ワーキンググループで平成22年の総合対策(pdf)を改定して新たに第2次素案を取りまとめたと書いている。大体内閣府の児童ポルノ排除総合対策のHPを見ても議事詳細は全く公開されておらず、どのような議論からこのような改定案に至ったのかというのがさっぱり分からないところからして人をバカにしているとしか思えないが、このパブコメも重要なものには違いないので、変更点に気をつけつつ、ざっとこの素案を見て行きたいと思う。(前回の児童ポルノ排除総合対策については第228回参照。その際の提出パブコメは第229回に載せた。)

 まず、「1 児童ポルノの排除に向けた国民運動の推進」で、第1ページに、

① 協議会の開催
 児童ポルノの排除に向けた国民運動を官民一体となって推進するため、関係府省庁、教育関係団体、医療関係団体、事業者団体、NPO等で構成する協議会を開催し、国民運動の推進方策について協議するとともに、相互の情報を交換して連携・協力を推進する。(内閣府)

と書かれている。児童ポルノ排除対策推進協議会の開催自体を中止しろというつもりもないが、その第3回(平成24年11月)の議事概要を読めば分かるように、そこでECPAT/ストップ子ども買春の会のような団体が単純所持規制の導入を求めているなど、このような場が要注意であるのは間違いないだろう。

 その次の、

② 国民運動の効果的な推進
 児童ポルノを排除するため、国民の理解を深めるための公開シンポジウムを開催するなどして国民運動の効果的な推進を図る。また、地方公共団体やNGO等関係団体が主催する児童ポルノ排除に向けた取組を積極的に支援する。
 さらに、法務省の人権擁護機関において、「子どもの人権を守ろう」を啓発活動の年間強調事項の一つとして掲げ、1 年を通して全国各地で、児童ポルノ問題を含む子どもの人権問題について、啓発冊子の配布等の啓発活動を実施する。(内閣府、警察庁、法務省等)

という項目は以前かなり簡単に書かれていたもので多少文章を増やしているが、ここで書かれているシンポジウムも、その概要(第1回第2回第3回)だけからでもすぐ分かるように、明らかに偏った人選がなされているという非道さである。

 また、「⑥ 「女性に対する暴力をなくす運動」における取組」という、児童の問題と女性の問題を混同している項目も残されたままとなっている。

 それに対し、第2ページの、

⑧ 国際的取組への参画
 我が国が2005年に締結した「児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書」の規定に基づき、児童の権利委員会に提出した政府報告に対する同委員会の最終見解の趣旨を踏まえ、同選択議定書の実施の確保に努める。(外務省、警察庁)

という項目は大分短くなり、リオ宣言に対する言及がなくなった。修正の経緯は不明だが、多少状況が変わったので文章を変えたのだろうか。(なお、国連児童の権利委員会からの最終見解などは外務省の児童の権利条約のHPに掲載されている。)

 第2ページからの「2 被害防止対策の推進」の「(1) 青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備」で、分かりにくいのだが、その「① 青少年インターネット環境整備法に基づく総合的な被害防止対策の推進」という項目では、その記載の中の「フィルタリング」の部分が「スマートフォンの無線LAN回線に係るフィルタリング等を含めたフィルタリング」とされ、スマホの無線LAN回線フィルタリングの話が明記された。同じく、「③ フィルタリングの普及促進等のための施策」でも、「フィルタリングの普及促進のため、関係団体等と連携し、携帯電話事業者・販売代理店等に対し、スマートフォンの無線LAN回線に係るフィルタリングやアプリの起動等を制限する機能制限アプリ等の情報を保護者に説明する取組を支援する。」という文章が追加されるなどしている。「(2) 情報モラル等の普及の促進」の「① インターネットの危険性及び適切な利用に関する広報・啓発活動」でも同様の記載が追加されている。児童ポルノ対策としては本筋ではないが、これは総務省が最近の取り組みの記載を追加したのだろう。(なお、このような修正は、総務省の利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会の提言(第258回参照)などを踏まえたものだろう。)

 また、ここから、前にはあった「官民の情報共有、ポータルサイトによる情報提供の推進」という項目が消えている。削除の理由は不明だが、このような大した利権にならない地道な取り組みには政府はあまり乗り気でないということだろうか。

 さらに、第4ページからの「3 インターネット上の児童ポルノ画像等の流通・閲覧防止対策の推進」で、

① 違法情報の排除に向けた取組の推進
 サイバーパトロールやインターネット・ホットラインセンターに寄せられた通報を通じ、児童ポルノに係る違法情報の把握に努め、取締りを推進するとともに、サイト管理者等に対し、警察及びインターネット・ホットラインセンターから削除依頼等を実施する。また、インターネットを利用した児童ポルノ事犯の被疑者を検挙した場合等に、当該違法情報が掲載された掲示板のサイト管理者等に対し、当該違法情報の削除の要請及び同種事案の再発防止に努めるよう申入れ又は指導を行うほか、非行防止教室や情報セキュリティに関する講習等の場において、インターネット・ホットラインセンターの取組を紹介するなどして、インタ ーネット上からの児童ポルノの削除の更なる促進を図る。(警察庁)

という、半官検閲センターであるインターネット・ホットラインセンターに関する項目もそのまま残されている。

 そして、前回の総合対策が児童ポルノ自主規制ブロッキング導入の契機になったことを考えても当然のことだが(その経緯は児童ポルノアドレスリスト作成・管理団体であるインターネットコンテンツセーフティ協会のHPに書かれている通りである)、この素案で最も大きく書き直されたのは、最大の問題点であるブロッキングに関する部分であり、以下のようになっている。

② 事業者団体によるガイドライン等の運用の支援
 事業者団体((社)電気通信事業者協会、(社)テレコムサービス協会、(社)日本インターネットプロバイダー協会及び(社)日本ケーブルテレビ連盟)により策定された、削除すべき児童ポルノの判断基準等を含む「インターネット上の違法な情報への対応に関するガイドライン」及び児童ポルノのブロッキングに関する規定等を含む「違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項」の適切な運用を支援する。(総務省)

(中略:③ 違法・有害情報相談センターの運営の支援)

④ ブロッキングの実効性向上に向けた諸対策の推進
 インターネット上の児童ポルノについては、児童の権利を著しく侵害するものであり、インターネット・ホットラインセンターが把握した画像について、サイト管理者等への削除要請や警察の捜査・被疑者検挙が行われた場合等でも、実際に画像が削除されるまでの間は画像が放置されるところであり、児童の権利を保護するためには、サーバーの国内外を問わず、画像発見後、速やかに児童ポルノ掲載アドレスリストを作成し、ISP等による閲覧防止措置(ブロッキング)を講ずる必要がある。平成23年4月から、ISP等の関連事業者が自主的にブロッキングを実施しているところであるが、このようなブロッキングについて、インターネット利用者の通信の秘密や表現の自由に不当な影響を及ぼさない運用にも配意しつつ、ISP等の関連事業者がブロッキングを自主的に導入するに当たってその実効性の向上が可能となるよう、下記の対策を講ずる。(警察庁、総務省、内閣府、経済産業省)

ⅰ ブロッキングの実効性向上に向けた環境整備
 警察庁及びインターネット・ホットラインセンターからの情報提供並びに児童ポルノ掲載アドレスリスト作成管理団体からのプロバイダ等へのアドレスリストの提供のプロセスがより迅速に行われ、実効性のあるブロッキングを実施できるよう支援する。
 また、現在、主として行われているブロッキング方式では、児童ポルノ画像以外のものに対してもブロッキングをしてしまうという問題(オーバーブロッキング)があるためにブロッキングが実施されない場合もある一方で、他の方式では事後的にブロッキングの回避が容易となる等の問題がある等、各ブロッキング方式には一長一短がある中で、ISP等がより実効的にブロッキングを実施できるよう、児童ポルノ掲載アドレスリスト作成管理団体と連携し、必要な環境整備に向けた取組を行う。

ⅱ ISPによる実効性のあるブロッキングの自主的導入の促進
 ISPに対し、インターネット上の児童ポルノの流通を防止するためのブロッキングの重要性、有効性等について理解を求め、実効性のあるブロッキングの自主的導入を一層促進する。

ⅲ 一般ユーザーに対するブロッキングの趣旨、重要性等についての広報・啓発
 インターネットの一般ユーザーに対し、ブロッキングの趣旨、重要性等について幅広く広報・啓発し、理解を求めるとともに、インターネット上の流通・閲覧防止対策に対する国民意識の醸成を図る。

⑤ ファイル共有ソフトネットワーク上の流通・閲覧防止対策の推進
 ファイル共有ソフト利用の児童ポルノ事犯が急激に増加しているが、ファイル共有ソフトにはブロッキングの効果が及ばないことから、通信の秘密に不当な影響を及ぼさない運用等にも配意しつつ児童の権利を保護するとの観点から、関連事業者と連携して、ファイル共有ソフトネットワーク上の流通・閲覧防止対策を検討し、取組を推進する。(警察庁、総務省)

 前の総合対策ではまだ押さえ気味だった記載がこの素案では大きく前のめりになり、自主規制という建前もどこへやら、導入を受けて警察庁が全力をあげてブロッキングの拡大を図っていると知れるのである。通信の秘密や表現の自由、オーバーブロッキングに関する問題なども認識していながら、そのことに関する具体的な検討は何らなく、問答無用でブロッキング実施前提で書いているあたり、日本の警察にとって市民の基本的な権利などどうでも良いのだろう。ブロッキングの問題をここで全て繰り返すことはしないが、インターネット利用者の通信の秘密や表現の自由に不当な影響を及ぼさないようにブロッキングを透明性・公平性・中立性を確保した形で運用することは不可能であり、自主規制と称しようがしまいが、現状でブロッキングはどこをどうやっても検閲にしかなりようがないのである。(なお、児童ポルノ自主規制ブロッキングの運用実態の透明性についてだが、2011年4月の導入後、2011年11月に一度統計情報がわずかに公表されているものの(internet watchの記事1記事2参照)、その後どうなっているのかは全く不明であり、管理団体であるはずのインターネットコンテンツセーフティ協会のHPには何一つ情報が(一度目の統計情報すら)掲載されていないという惨憺たる状況である。この有様でブロッキングが有効だの成果だのと主張されても全くお話にならないとしか言いようがない。)

 ここで、ファイル共有対策として流通を超えて「閲覧」の防止対策が謳われているのは極めて意味深である。詳細は不明だが、同じく警察庁の総合セキュリティ対策会議の方でTorブロッキングの話が出ているということも合わせて考えると(ガジェット通信の記事参照)、警察庁はファイル共有についてもブロッキングの導入を検討をしようとしているのではないだろうか。当然のように警察の目指すところはあらゆる情報を監視・統制下に置く一大ネット検閲国家にあるのだろうが、それが国全体にとって良いこととは私には到底思えない。(なお、これもその後の状況は不明であり、ここの記載とどう絡んでいるのかも分からないが、2012年2月にファイル共有に対して警告メールを送るという取り組みを始めたという報道があった(internet watchの記事3参照)。)

 第8ページの「5 児童ポルノ事犯の取締りの強化」で、その「② 悪質な関連事業者に対する責任追及の強化」という項目もそのままであり、幇助罪との関係は注意しておくべきだろう。

 最後の第9ページの「6 諸外国との協力体制の構築と国際連携の強化等」には、

③ 児童ポルノに関わる規制についての検討に資するための調査
 児童ポルノに関わる規制についての検討に資するよう、引き続き、我が国における児童ポルノ事犯の実態を調査するほか、G8を中心とした諸外国における児童ポルノ関連法規制について在外公館を通じて調査を行ってきているところ、法規制に関する動向等についての調査を継続し、定期的に結果を取りまとめる。(警察庁、外務省、法務省、内閣府)

と書かれているが、このようにG8にこだわり続けている点もやはり要注意である。いつものことだが、このような政府調査で恣意的に国を選択して国際動向を作り上げ、規制強化プロパガンダに使って来る可能性が高いのである。

 相変わらず意見募集期間が実質10日程度しかないと国民の意見を聞く気があるとは到底思えないものだが、このパブコメが非常に重大な内容を含んでいることは間違いないので、このような問題に関心のある方には是非提出を検討することを私はお勧めする。

(なお、私も他の問題と合わせてついでに法改正の動きにも触れるつもりではいるが、このパブコメは自民党の児童ポルノ規制法改正の動きとは直接関係ないことを念頭において書いた方が良いと思う。)

(2013年4月28日夜の追記:児童の権利委員会、総務省の研究会、ブロッキングの透明性、警告メールの取り組みについて、それぞれ括弧に入れ4つのなお書きを上の文章中に追加した。)

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2011年8月 9日 (火)

第254回:民主党の新たな児童ポルノ法改正案全文の転載

 最近の動きについては「表現規制について少しだけ考えてみる(仮)」などを読んでもらえれば十分だとは思うが、念のため、ここでも民主党の新たな児童ポルノ法改正案(衆議院HPの経緯議案参照)を転載しておく。

 既に今日から衆議院法務委員会での審議に入っており、今後の動向に気をつけて行かなければならないが、この民主党の新たな法改正案は、定義の問題こそ多少残るものの、実質2ストライク法案だった前の改正案(第162回参照)と比べて、

  1. 取得罪の要件が、「有償で又は反復して取得」から「対償を供与し又はその供与の約束をして反復して取得」とされた点(「有償又は反復」か「有償かつ反復」かで条件は大きく異なる。)
  2. 「架空のものを描写した漫画、アニメーション、コンピュータゲーム等」が児童ポルノ法の規制対象外であることが条文上明確にされた点、
  3. 「専ら医学その他の学術研究の用に供するもの」に対する適用除外が設けられた点、
  4. 附則で、児童ポルノの取得・所持等を処罰する地方条例規定の失効を規定した点、
  5. 製造罪において、複製して製造する場合が除かれた点(マニアックな点なので、あまり騒がれていなかったが、製造罪において「姿態をとらせ」の要件を除く場合、このように複製を除かないと、単なる複製が製造とされ得るため、製造罪で実質的に単純所持・取得罪と同じ行為が処罰されるということになりかねない。)

で格段に良くなっている。民主党の先生方が、このかなり特殊な法律の問題点を理解して、このような案をまとめて下さったことを私も有り難く思う。(自公案については、前と同じで全くお話にならないが。)

 震災後の延長国会で何故児童ポルノ法の改正を審議をするのかという根本的な疑問は拭えないが、審議するのであれば、与野党の間で修正協議と称して密室協議に入ることなく、きちんと公開される国会の場で、現行法の問題点についても含め、徹底的な議論がなされることを願っている。今日の衆議院法務委員会(衆議院のインターネット審議中継参照)は主旨説明だけだったが、今後の各党の動向や次回以降の法務委員会の審議には、本当に要注意である。

(以下、法改正案の転載。)

(1)理由
 児童ポルノに係る問題により適切に対処するため、児童ポルノの定義を明確化するとともに、みだりに児童ポルノを有償でかつ反復して取得すること等を処罰する規定を設けることとし、あわせて心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策を推進する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

(2)要綱
第一 児童ポルノの定義の明確化等

 児童ポルノ等の定義からの学術研究の用に供するものの除外(第二条第三項並びに新第七条第一項及び第三項関係)
 児童ポルノ及びこれに係る電磁的記録等の定義から「専ら医学その他の学術研究の用に供するもの」を除くこと。

 児童ポルノの定義の明確化(第二条第三項第二号及び第三号関係)
 いわゆる二号ポルノの定義を「他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって殊更に性欲を興奮させ又は刺激するもの」に、いわゆる三号ポルノの定義を「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、殊更に性欲を興奮させ又は刺激するもの」に改めること。

第二 適用上の注意規定の明確化等
 適用上の注意規定の明確化(第三条第一項関係)
 この法律の適用に当たっては、学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由を不当に侵害しないように留意し、児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならないものとすること。

 解釈規定の新設(第三条第二項関係)
 この法律のいかなる規定も、架空のものを描写した漫画、アニメーション、コンピュータゲーム等を規制するものと解釈してはならないものとすること。

第三 児童ポルノ等取得罪の新設等
 児童ポルノ等取得罪の新設(新第七条第一項及び第十条関係)
 みだりに、児童ポルノを対償を供与し又はその供与の約束をして反復して取得した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処するものとすること。みだりに、これに係る電磁的記録等を対償を供与し又はその供与の約束をして反復して取得した者も、同様とすること。
 1に係る国民の国外犯は、これを処罰するものとすること。

 児童ポルノ製造罪の処罰範囲の拡大(新第七条第四項関係)
 提供目的以外の児童ポルノの製造の罪について、意図的に児童に一定の姿態をとらせて製造した場合に限らず、盗撮等の場合にも処罰範囲を拡大すること。

第四 心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する制度の充実及び強化
 心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置を講ずる主体及び責任の明確化(第十五条関係)
 心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置を講ずる主体として、厚生労働省、法務省、都道府県警察、児童相談所及び福祉事務所を例示し、措置を講ずる主体及び責任を明確化すること。

 心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の検証等(新第十七条関係)
 社会保障審議会及び犯罪被害者等施策推進会議は、相互に連携して、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の実施状況等について、当該児童の保護に関する専門的な知識経験を有する者の知見を活用しつつ、定期的に検証及び評価を行うものとすること。
 社会保障審議会又は犯罪被害者等施策推進会議の厚生労働大臣又は関係行政機関に対する意見具申及び意見具申があった場合の厚生労働大臣又は関係行政機関が講ずる措置に関する規定を置くこと。

第五 施行期日等
 施行期日(附則第一条関係)
 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行すること。

 罰則に関する経過措置(附則第二条関係)
 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例によること。

 条例との関係(附則第三条関係)
 地方公共団体の条例の規定で、児童ポルノを取得し、又は所持する行為、これに係る電磁的記録等を取得し、又は保管する行為等を処罰する旨を定めるものの当該行為に係る部分は、この法律の施行と同時に、その効力を失うものとすること。
 1により条例が効力を失う場合において、当該地方公共団体が条例で別段の定めをしないときは、その失効前にした行為の処罰については、なお従前の例によること。

 その他
 その他所要の規定の整備を行うこと。

(3)法改正案(赤字強調部分が追加部分)
(前略)

(定義)
第二条
 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したもの(専ら医学その他の学術研究の用に供するものを除く。)をいう。
 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって殊更に性欲を興奮させ又は刺激するもの
 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、殊更に性欲を興奮させ又は刺激するもの

(適用上の注意)
第三条  この法律の適用に当たっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。

(適用上の注意等)
第三条 この法律の適用に当たっては、学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由を不当に侵害しないように留意し、児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。

2 この法律のいかなる規定も、架空のものを描写した漫画、アニメーション、コンピュータゲーム等を規制するものと解釈してはならない。

(中略)

(児童ポルノ取得、提供等)
第七条 みだりに、児童ポルノを対償を供与し又はその供与の約束をして反復して取得した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。みだりに、電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録(専ら医学その他の学術研究の用に供するものを除く。次項及び第五項において同じ。)を対償を供与し又はその供与の約束をして反復して取得した者も、同様とする。

 児童ポルノみだりに、児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線みだりに、電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。

 前項に掲げる行為の目的で、みだりに、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録(専ら医学その他の学術研究の用に供するものを除く。第六項において同じ。)を保管した者も、同様とする。

 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係るみだりに、児童ポルノを製造(これを複製して製造する場合を除く。)した者も、第一項第二項と同様とする。

 児童ポルノみだりに、児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線みだりに、電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。

 前項に掲げる行為の目的で、みだりに、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。

 第四項第五項に掲げる行為の目的で、みだりに、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民も、同項と同様とする。

(中略)

(児童の年齢の知情)
第九条 児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、第五条から前条まで、第六条、第七条第二項から第七項まで及び前条の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失がないときは、この限りでない。

(国民の国外犯)
第十条  第四条から第六条まで、第七条第一項から第五項第六項まで並びに第八条第一項及び第三項(同条第一項に係る部分に限る。)の罪は、刑法 (明治四十年法律第四十五号)第三条 の例に従う。

(中略)

(教育、啓発及び調査研究)
第十四条 国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの取得、提供等の行為が児童の心身の成長に重大な影響を与えるものであることにかんがみ鑑み、これらの行為を未然に防止することができるよう、児童の権利に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に努めるものとする。
 国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの取得、提供等の行為の防止に資する調査研究の推進に努めるものとする。

(心身に有害な影響を受けた児童の保護)
第十五条 関係行政機関厚生労働省、法務省、都道府県警察、児童相談所、福祉事務所その他の国、都道府県又は市町村の関係行政機関は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童に対し、相互に連携を図りつつ、その心身の状況、その置かれている環境等に応じ、当該児童がその受けた影響から身体的及び心理的に回復し、個人の尊厳を保って成長することができるよう、相談、指導、一時保護、施設への入所その他の必要な保護のための措置を適切に講ずるものとする。

 関係行政機関は、前項前項の関係行政機関は、同項の措置を講ずる場合において、同項の児童の保護のため必要があると認めるときは、その保護者に対し、相談、指導その他の措置を講ずるものとする。

(心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の検証等)
第十七条 社会保障審議会及び犯罪被害者等施策推進会議は、相互に連携して、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の実施状況等について、当該児童の保護に関する専門的な知識経験を有する者の知見を活用しつつ、定期的に検証及び評価を行うものとする。

2 社会保障審議会又は犯罪被害者等施策推進会議は、前項の検証及び評価の結果を勘案し、必要があると認めるときは、当該児童の保護に関する施策の在り方について、それぞれ厚生労働大臣又は関係行政機関に意見を述べるものとする。

3 厚生労働大臣又は関係行政機関は、前項の意見があった場合において必要があると認めるときは、当該児童の保護を図るために必要な措置を講ずるものとする。

(国際協力の推進)
第十七条第十八条 国は、第四条から第八条までの罪に係る行為の防止及び事件の適正かつ迅速な捜査のため、国際的な緊密な連携の確保、国際的な調査研究の推進その他の国際協力の推進に努めるものとする。

(4)附則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。

(経過措置)
第二条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(条例との関係)
第三条 地方公共団体の条例の規定で、この法律による改正後の児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下この項において「新法」という。)第二条第三項に規定する児童ポルノを取得し、若しくは所持する行為、新法第七条第一項に規定する電磁的記録その他の記録を取得し、若しくは保管する行為又は新法第七条第四項の規定に違反する行為を処罰する旨を定めているものの当該行為に係る部分については、この法律の施行と同時に、その効力を失うものとする。

 前項の規定により条例の規定がその効力を失う場合において、当該地方公共団体が条例で別段の定めをしないときは、その失効前にした違反行為の処罰については、その失効後も、なお従前の例による。

(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部改正)
第四条 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)の一部を次のように改正する。
 第三十五条及び第三十五条の二中「第七条」を「第七条第二項から第七項まで」に改める。

(厚生労働省設置法の一部改正)
第五条 厚生労働省設置法(平成十一年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。
 第七条第一項第四号中「(昭和二十二年法律第百六十四号)」の下に「、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)」を加える。

(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部改正)
第六条 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)の一部を次のように改正する。
 別表第七十号中「第七条第四項から第六項まで」を「第七条第五項から第七項まで」に改める。

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2010年3月27日 (土)

番外その24:日弁連の児童ポルノ規制法改正に関する意見書について

 今週も様々な動きがあったが、3月23日に日弁連が「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」の見直し(児童ポルノの単純所持の犯罪化)に関する意見書を公表している(日弁連のリリース意見書本文(pdf))。個人的にはネットとの関係における踏み込みの点で少し物足りないところもあるが、法律の専門家集団らしく、今後の法改正の議論をする上で非常に良い立脚点となる意見であり、様々なところで既に触れられているが、念のためここでも少し紹介しておきたいと思う。(個別の団体の意見の紹介なので、やはり番外とする。)

 その趣旨は、意見書(pdf)の最初に書いてある通り、

1 現行法における児童ポルノの定義を限定かつ明確化すべきである。
2 現行法の児童ポルノの定義を限定かつ明確化したうえで,児童ポルノの単純所持を禁止すべきである。ただし,犯罪化することには,反対する。

というものである。

 そして、「第1 はじめに」で去年から今までの法改正の議論の概況を紹介した上で、この意見書の「第2 児童ポルノの定義の限定かつ明確化の必要性」において、「定義の曖昧性・不明確性は,現行法上犯罪とされている犯罪類型においても問題となる。現行法は,処罰規定が漠然不明確ゆえに違憲無効の疑いを免れないことから,後述のような単純所持の犯罪化の問題とは切り離して,ただちに改正が必要である」とされ、さらに、民主党案(第162回参照)の定義についても、「『殊更に』『児童の性器等(注:性器,肛門又は乳首をいう。)が』『強調されている児童の姿態』も『児童性行為等姿態描写物』に含むとされているところ,『強調されている』というのがどういう状態を含むのか,必ずしも客観的に明確とは言えない。すなわち,例えば,乳首を花びらで隠した場合,それは,隠されており『露出』していないとして,児童性行為等姿態描写物に該らないということになるのか,逆に『強調されて』いるということになるのか,見る者によって相当に受け止め方は異なり得る。したがって,民主党案であっても,曖昧性は残っており,結局,捜査機関の恣意を十分に排除できないと言わざるを得ない」と批判しているのは非常に大きい。(赤字強調は私が付けたもの。以下同じ。)

 この意見書の児童ポルノの定義に対して、

3 したがって,児童ポルノの定義は,客観的で明確であり,範囲も限定的なものとしなければならない。
定義の明確化と限定の要点は,以下のとおりである。
① 児童ポルノを規制することにより守るべき法益は,被写体となる児童の人権ないし権利(身体的自由,精神的自由,性的自由,性的自己決定権,プライバシー権,名誉権,成長発達権等)であって,善良な風俗ではない。
 したがって,児童ポルノの定義は,この法益を守るために必要十分なものでなければならない。この観点からは,児童ポルノの定義に見る側の主観的要件を入れることは適当ではない。
② 芸術的価値があるものや学術研究目的・報道目的で収集した資料は,児童ポルノの定義から明示的に外すべきである。
③ 自分の子どもの乳幼児時代の裸体や水着を着ている姿態が児童ポルノに含まれると解釈される余地のない定義にすべきである。

という明確化・厳格化を求める部分についてほとんど付け加えることはない。

 次の「第3 単純所持の犯罪化には反対」において、

1 児童ポルノの単純所持を犯罪化することについては,反対である。
 その理由は,単純所持を犯罪化することによって得られる利益より,犯罪化に伴う弊害の方が大きく,単純所持の犯罪化の立法事実が欠けると考えられるからである。すなわち,憲法上の要請である比例原則からして,単純所持の犯罪化は,行き過ぎであると考える。

としていることももっともである。立法事実に欠ける理由として、現行の児童ポルノ規制法で、既に児童ポルノを特定又は少数者に提供する目的での保管(所持)、不特定多数者に提供する目的での保管(所持)まで処罰されていることから、単純所持罪がさらに処罰することになるのは、ファイル共有ソフトの利用やウィルスの感染によって,他のユーザーに児童ポルノデータが、本人の知らないところでインターネットに流出した場合といったかなり特殊な場合となるが、処罰すべきは、その画像の元となる写真を撮影した者であり、それを頒布した者であって,そうでなければ,児童ポルノの根絶には結びつかないことをあげているが、これも妥当なことだと思う。

 また、単純所持を犯罪化したからといって,児童ポルノの根絶に大きな効果をもたらすかというと,そのような効果が上がる可能性については何ら合理的な説明がなされていない。それにもかかわらず,これを犯罪化することによる弊害は後述のとおり,無視できないほど大きいものと言わざるを得ないとし、弊害として、単純所持を犯罪化することにより,単純所持罪が他の重大な犯罪の捜査に利用されるといういわゆる別件逮捕が行われる可能性が高まるなど,捜査権の濫用が懸念される、「わが国では捜査の可視化さえ実現しておらず,自白偏重主義も根強い中で,そのような別件逮捕勾留が行われて,虚偽の『自白』を強いられるという事態も否定し難いところである」、「捜査機関が,怪しそうだと目をつけた通行人に職務質問と所持品検査を行い,所持しているパソコンに保存されているデータ中に児童ポルノ画像が発見されれば,それが自分が知らない間に取得されたデータであったとしても(例えば,他の人がそのパソコンを利用して児童ポルノ画像をダウンロードしたとしても),ただちに現行犯逮捕されるという事態になりかねない」、「自分が知らない間に,第三者が自分のパソコンを使用して児童ポルノサイトを閲覧し,児童ポルノ画像のキャッシュ(一時的な記憶)がパソコンに残っていることを本人は全く知らないというような場合に,本人の意図しない所持だと証明できるかは極めて疑問である」と、捜査権の濫用の懸念をあげているが、最近の様々なひどい冤罪事件を見るにつけ、これももっともな懸念と言わざるを得ない。ここで、民主党案の有償・反復取得罪について、「『有償』『反復』の解釈いかんによっては,広範な処罰が可能となってしまい,曖昧さはぬぐいきれない」と、その問題点が指摘されていることも大きい

 ここまでは、ほとんど文句のつけようがないので(できれば民主党案の「姿態を取らせ」の要件を抜いた製造罪の問題についても触れて欲しかったと個人的には思うが(第162回参照))、「第4 単純所持の禁止を明記すること」で、その前とは著しい論理の矛盾を示しながら、罰則なしの児童ポルノの単純所持規制を求めていることは、本当に残念と言わざるを得ない。

 例えば、その理由として、「特にわが国の社会の中には,児童ポルノを所持すること自体は許されるという風潮が一部あることは否定できず,わが国がインターネット等を通じて児童ポルノの主要な発信国となっている背景には,このような児童ポルノの所持についての社会の風潮・認識が存在すると思われる」としているが、この主張には全く根拠がない。規制のためのみに規制強化を目論む印象操作プロパガンダ以外で、このような風潮があるだとか児童ポルノの主要な発信国になっているということは私は聞いたことがない

 また、「児童ポルノの所持に関しても,社会の認識を変えるために,法律の明文で,その違法性を宣言してこれを禁止することは,子どもの人権侵害行為を根絶する観点から必要なことであり,有益なことである」として、児童虐待防止法やDV防止法など実際の複数の人の間の行為にかかる規制法のみを例としてあげ、罰則なしの規制に効果があるとしているが、これは必ずしも情報と1人のみによる行為を対象とする場合には当てはまらない。このことは、著作権におけるダウンロード違法化問題を考えても分かることである(ダウンロード違法化についても真の評価のためにはまだ時間がかかるが、評価が固まるのは時間の問題だろう)。

 特に、ダウンロード違法化後、著作権団体(日本レコード協会)が、日本版著作権グリーン・ダム計画を推し進めようとしていること(第203回の知財本部提出パブコメ参照)や便乗詐欺が発生していること(「P2Pとかその辺のお話@はてな」の関連エントリ1エントリ2エントリ3参照)などを考えても、また、児童ポルノサイトブロッキングに関する最近の動きを考えても、このような情報の単純所持規制は、罰則のありなしにかかわらず、詐欺・脅迫のために利用されたり、一般的かつ網羅的なネット検閲のための理由として政府あるいは政府と癒着した団体によって濫用される懸念がある。意見書の最後で「児童ポルノの『取得』という外部的な行為と離れて,個人がいかなる情報を所持するかどうかは,個人の内心にも通じる私的領域に属するものである。そのような私的領域に対して違法の宣言をすることや公的権力の介入を認めることは,極めて慎重でなければならない」とまで書いているのに、詐欺・脅迫に用いられることやネット検閲の理由として濫用される懸念も含め、日弁連が罰則なしの単純所持規制についてきちんとした法的検討を加えず、これを根拠なく是としたことは非常に残念である。(情報の取得行為自体、他人が絡む行為ではなく、個人の私的領域に属し、また表現の自由に含まれる情報アクセス権とも関係するより深い考察を要する論点であると私は考えているが、この点はここではひとまずおく。)

 法改正の問題は常に単純ではない。合憲性と、立法事実の有無、規制の弊害はそれぞれ全てきちんと検討が加えられなければならない点である。第215回で書いたように罰則なしの情報の単純所持規制がただちに違憲であると言えるとは私も考えていないが、それと法改正を是とするに足る立法事実があるかどうかはまた別問題であり、さらに導入されるべきか否かは、規制のメリット・デメリットも考慮の上で決められなければならない。今のところ、罰則なしの児童ポルノの単純所持規制についてこれを是とするに足る立法事実は全くなく、詐欺・脅迫に用いられることや一般的かつ網羅的なネット検閲の理由として濫用される懸念も含めて考えるとかえってデメリットの方が大きく、罰則なしであったとしても児童ポルノの単純所持規制は導入されるべきでないと私は考えている

 罰則なしでギリギリとは言え単純所持規制について妥協を見せることは危険ではないかと思うが、それでも全体としてしっかりとした法的な見地から慎重姿勢を明確に示しているこの意見書は、今後の児童ポルノ規制法改正の議論においてきちんと尊重され、今後はここから、さらに罰則なしの単純所持規制の問題についての検討が深められることを期待したいものである。

 しかし、内閣府の男女共同参画会議の、前田雅英首都大学東京教授や後藤啓二ECPAT顧問弁護士といったお馴染みの面々が居並ぶ女性に対する暴力に関する専門調査会(委員名簿参照)が、「女性に対するあらゆる暴力の根絶」について(pdf)と称する3月18日付けのペーパーで、「インターネット上の児童ポルノ画像の流通・閲覧防止対策等、児童ポルノの根絶に向けた総合的な対策を検討・推進するとともに、併せて児童ポルノ法の見直し(単純所持罪の新設、写真・映像と同程度に写実的な漫画・コンピュータグラフィックスによるものの規制等)について検討する」、「あらゆる形態のメディアにおける女性に対する性・暴力表現が、重大な人権侵害であり、男女共同参画社会の形成を阻害する許されない行為であることを社会に認識させる」、「性・暴力表現が人々の心理・行動に与える影響についての調査方法を検討する」、「ブロッキングの開発と普及促進等インターネット上の児童ポルノ画像の流通・閲覧防止対策を推進する」、「メディア産業の性・暴力表現の規制に係る自主的取組の促進、DVDやビデオ、パソコンゲーム等バーチャルな分野における性・暴力表現の規制を含めた対策の在り方を検討する」とやはり何の根拠もなく一般的かつ網羅的なネット検閲・表現規制を唱えていることなどを考えても、規制のためのみに規制を推進している連中は、法律の専門家の意見すら無視しようとして来るだろうと容易く想定される。(いつも同じ片寄ったメンバーで審議会を構成し何の根拠もなく危険な規制強化を唱えれば唱えるほど、このようなやり方を繰り返せば繰り返すほど、行政・立法・司法に対する市民の信頼を、引いては法改正プロセス、法律自体に対する信頼を著しく損なうことになり、法の規範力はどんどん失われて行く。規制のためのみに規制を推進している連中は分かっていないのだろうが、これは本当に危険なことである。)

 また、internet watchの記事になっているが、警察の息のかかった半官検閲センターであるインターネット・ホットラインセンターを運営し、総務省と経産省が所管する財団法人のインターネット協会が事務局をやっている児童ポルノ流通防止協議会は、児童ポルノ掲載アドレスリスト作成管理団体運用ガイドライン案(実質ネット検閲ガイドライン案。第211回参照)を多少修正し、ブロッキングと通信の秘密の関係についてさらに議論が必要とする報告書をまとめたようである。マイクロソフト社の楠正憲氏がそのtwitterで教えて下さっている通り、総務省系の安心ネットづくり促進協議会でも、ブロッキングと通信の秘密の関係の検討が続けられているようであり、内閣府の児童ポルノ排除対策ワーキングチームでも検討が行われると考えられ、ネット検閲としかなりようのないブロッキングについても、先送りとされたものの、非常に危うい状態は続くだろう。(なお、検索エンジンも寡占状態のためグーグルとヤフーが談合するだけで甚大な影響が出るのであり、アドレスリストの検索結果への反映についても安易に実行されるべきではない。)

 児童ポルノ規制について多少なりとも合理的かつ論理的な議論がなされることを期待したいと常々思っているが、残念ながら、今後も厳しい状態が続くのは間違いない。この問題についても気を緩めることは全くできない。

 最後に一緒に触れておくと、今週、知財本部では、この3月23日に第5回コンテンツ強化専門調査会(議事次第参照)が、3月24日に第5回インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策に関するワーキンググループ(議事次第参照)が、3月26日に第5回知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会(議事次第参照)が開催された。特に、インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策に関するワーキンググループでは、立法事実も、関係者のコンセンサスも、国際動向も全て無視され、ほぼ役人(事務局)の片寄った作文で危険な規制強化のみがあがっている中間とりまとめ案(pdf)が了承されたようである。

 日本政府は相変わらず全く信用できないが、laquadrature.netの記事の通り、2010年1月18日バージョンの海賊版対策条約案(ACTA)の全文がリークされたので、次回は、まだ取り上げていない部分について翻訳紹介を行いたいと思っている。(主要国が透明性向上について揉めている間に海賊版対策条約案全文がリークされるなど、海賊版対策条約の議論自体完全に各国民をバカにした形で進んでいる状況を端的に示している。)

(2010年3月29日の追記:既に「チラシの裏(3周目)」や「表現規制について少しだけ考えてみる(仮)」で取り上げられているので、リンク先をご覧頂ければ十分と思うが、大阪府が、東京都青少年健全育成条例改正案(番外その22参照)のメチャクチャな定義で、青少年性的視覚描写物、青少年を性的対象として扱う図書類等の実態調査を行うと公表した(大阪府のリリース、添付資料1青少年を性的対象として扱う図書類の実態把握・分析について(pdf)、添付資料2「青少年健全育成条例」における性的表現の規制状況(pdf)3月25日の大阪府部長会議の概要参照)。今の都条例改正案の曖昧な定義でまともな調査ができる訳がないので、これも規制強化の結論ありきの出来レース調査になる可能性が高い。どこの地方の調査・検討であれ他にも必ず影響して来るので、大阪府の動きも要注意である。)

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2010年2月27日 (土)

番外その22:東京都青少年保護条例改正案全文の転載

 第201回で元となった答申案のことを取り上げたが、東京都青少年保護条例(正式名称は、「東京都青少年の健全な育成に関する条例」)の改正案がこの2月24日に東京都から都議会に提出された。この改正案の全文をhimagine_no9氏が都議会図書館から複写され(Scribdへのリンク氏のサーバーのpdf文書(内容は同じ)へのリンク)、JFEUG氏がOCRを用いて比較資料を作成されている。

 これらのリンク先から直接読んで頂ければ良い話なのだが、条例改正案は改め文で読みにくいので、ここでも、元の青少年条例の改正部分を示すという形でその全文を転載しておきたいと思う。(特に新しい情報が含まれている訳ではないので今回は番外とした。また、折角作ったので、JFEUG氏のファイルのさらに訂正版のテキストファイルへのリンクもここに張っておく。)

 詳しくは下に載せる条例案本文を直接読んでもらえればと思うが、この東京都の青少年保護条例改正案は、第201回などで取り上げたその青少年問題協議会の答申を完全になぞり、やはり完全にパブコメは無視された形であり、その内容は、a.利用者と事業者から無意味にテラ銭を巻き上げることのみを目的とした携帯電話の推奨制度の導入(第5条の2)、b.児童ポルノを理由とした根拠なく曖昧な定義に基づく創作物(図書類又は映画等)の有害図書・不健全図書指定対象への追加(第7条第2号、第8条第1項第2号、第9条の2第1項第2号)、c.青少年の情報アクセスを超えて一般の情報アクセスに多大な制限を加えることになるだろう、1年間で不健全指定を六回受けたものに対する東京都による必要な措置の勧告・公表の導入(第9条の3)、d.都民は児童ポルノをみだりに所持しない責務を有するとする児童ポルノ所持の違法化(第18条の6の4。ただし、罰則はなし)、e.児童ポルノを理由とした曖昧な定義に基づく東京都に対する保護者と事業者に対する指導・調査権限の付与(第18条の6の5)、f.親から子供の監督権を奪い、子供の情報アクセス権・プライバシーを無視する形での携帯電話フィルタリングのほぼ完全な義務化と、携帯電話フィルタリングについての東京都に対する携帯電話事業者への勧告・公表・調査権限の付与(第18条の7の2)、g.青少年のインターネットの利用についての行政機関(想定しているのは主として警察だろう)による東京都への通報制度の導入と東京都に対する保護者への指導・調査権限の付与(第18条の8)という、違憲でない項目を探すことの方が難しいくらいの凄まじい規制のオンパレードである。

 都民のパブコメはおろか、書籍出版協会・雑誌協会が出したパブコメ(pdf)日本出版労働組合連合会が出したパブコメ(pdf)すら完全に無視された格好であり(恐らく他の多くの事業者・業界もこのパブコメには反対意見を出していたことだろう)、さらにこの条例の対象と今現在の日本における東京の一極集中を考えると、この表現規制の影響は、漫画やアニメ、ゲームなどの業界は無論のこと、出版業界全体、雑誌業界全体、アイドル業界、映画業界などおよそ表現にかかわる全業界に及ぶのは間違いなく、ネット規制という点からはあらゆるインターネット関連企業が関係し、携帯規制という点では、総務省の携帯フィルタリング導入騒動を考えても、全携帯電話キャリアとコンテンツ・プロバイダーがまたも甚大な被害を被る可能性も高い。

 甚だ心もとないところもあるのだが、東京全都民、東京都に事業所を構えるあらゆる企業と東京都議会議員が、真の良識でもって、このような有害無益かつ危険な規制強化しか含まれていない条例改正案を速やかに廃案にすることを私は心から願っている。

 次回は、「P2Pとかその辺のお話@はてな」でも取り上げられているアクセスコントロール規制強化の話も含め、知財本部の検討の話を書くつもりである。

(1)提案理由
 青少年の健全な育成を図るため、児童ポルノの根絶等への気運の醸成等に関する規定を設けるとともに、インターネット利用環境の整備等に関する規定を改めるほか、規定を整備する必要がある。

(2)条例改正案(赤字強調は追加部分)
目次
(略)
第二章 優良図書類等の推奨等(第五条—第六条)優良図書類等の推奨及び表彰(第五条・第六条)
第三章の三 児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた気運の醸成及び環境の整備(第十八条の六の二—第十八条の六の五)
第三章の四 インターネット利用環境の整備(第十八条の六の六—第十八条の八)

第三章の三 インターネット利用環境の整備(第十八条の七—第十八条の九)
(略)

(携帯電話端末等の推奨)
第五条の二 知事は、携帯電話端末又はPHS端末(以下「携帯電話端末等」という。)で、青少年がインターネットを利用して青少年の健全な育成を阻害するおそれがある情報を得ることがないよう必要な配慮を行つていることその他の東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な育成に配慮した機能を備えていると認めるものを、青少年の年齢に応じて推奨することができる。
2 知事は、前項の規定による推奨をしようとするときは、東京都規則で定めるところにより、業界に関係を有する者、青少年の保護者、学識経験を有する者その他の関係者の意見を聴かなければならない。

(表彰)
第六条 知事は、青少年の健全な育成を図る上でうえに必要があると認めるときは、次の各号に掲げるものを表彰することができる。
 青少年を健全に育成するために積極的に活動し、その功績が特に顕著であると認められるもの
 青少年又はまたは青少年の団体で、その行動が他の模範になると認められるもの
 第五条前条の規定により知事が推奨した図書類、映画等及びがん具類で、特に優良であると認められるものを作成し、または公衆の観覧に供し、又はこれらに供したもの及びこれに関与したもの
 次条の規定による自主規制を行つた者で、青少年の健全な育成に寄与するところが特に大であると認められるもの

第三章 不健全な図書類等の販売等の規制

(図書類等の販売等及び興行の自主規制)
第七条 図書類の発行、販売又は貸付けを業とする者並びに映画等を主催する者及び興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条の興行場をいう。以下同じ。)を経営する者は、図書類又は映画等の内容が、次の各号のいずれかに該当する青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認めるときは、相互に協力し、緊密な連絡の下に、当該図書類又は映画等を青少年に販売し、頒布し、若しくは貸し付け、又は観覧させないように努めなければならない。
一 青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの
二 年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの(以下「非実在青少年」という。)を相手方とする又は非実在青少年による性交又は性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの

(略)

(不健全な図書類等の指定)
第八条 知事は、次に掲げるものを青少年の健全な育成を阻害するものとして指定することができる。
一 販売され、若しくは頒布され、又は閲覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、青少年に対し、著しく性的感情を刺激し、甚だしく残虐性を助長し、又は著しく自殺若しくは犯罪を誘発するものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの
二 販売され、若しくは頒布され、又は閲覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、第七条第二号に該当するもののうち、強姦等著しく社会規範に反する行為を肯定的に描写したもので、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を著しく阻害するものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの
 販売され、又は頒布されているがん具類で、その構造又は機能が東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの
 販売され、又は頒布されている刃物で、その構造又は機能が東京都規則で定める基準に該当し、青少年又はその他の者の生命又は身体に対し、危険又は被害を誘発するおそれがあると認められるもの
2 前項の指定は、指定するものの名称、指定の理由その他必要な事項を告示することによつてこれを行わなければならない。
3 知事は、前二項の規定により指定したときは、直ちに関係者にこの旨を周知しなければならない。

(指定図書類の販売等の制限)
第九条 図書類の販売又は貸付けを業とする者及びその代理人、使用人その他の従業者並びに営業に関して図書類を頒布する者及びその代理人、使用人その他の従業者(以下「図書類販売業者等」という。)は、前条第一項第一号又は第二号の規定により知事が指定した図書類(以下「指定図書類」という。)を青少年に販売し、頒布し、又は貸し付けてはならない。
 図書類の販売又は貸付けを業とする者及び営業に関して図書類を頒布する者は、指定図書類を陳列するとき(自動販売機等により図書類を販売し、又は貸し付ける場合を除く。以下この条において同じ。)は、青少年が閲覧できないように東京都規則で定める方法により包装しなければならない。
 図書類販売業者等は、指定図書類を陳列するときは、東京都規則で定めるところにより当該指定図書類を他の図書類と明確に区分し、営業の場所の容易に監視することのできる場所に置かなければならない。
 何人も、青少年に指定図書類を閲覧させ、又は観覧させないように努めなければならない。

(表示図書類の販売等の制限)
第九条の二 図書類の発行を業とする者(以下「図書類発行業者」という。)は、図書類の発行、販売若しくは貸付けを業とする者により構成する団体で倫理綱領等により自主規制を行うもの(以下「自主規制団体」という。)又は自らが、次の各号に掲げる基準に照らし、それぞれ当該各号に定める第八条第一項第一号の東京都規則で定める基準に照らし、青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認める内容の図書類に、青少年が閲覧し、又は観覧することが適当でない旨の表示をするように努めなければならない。
一 第八条第一項第一号の東京都規則で定める基準 青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの
二 第八条第一項第二号の東京都規則で定める基準 非実在青少年を相手方とする又は非実在青少年による性交又は性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの

2 図書類販売業者等は、前項に定める表示をした図書類(指定図書類を除く。以下「表示図書類」という。)を青少年に販売し、頒布し、又は貸し付けないように努めなければならない。
3 図書類発行業者は、表示図書類について、青少年が閲覧できないように東京都規則で定める方法により包装するように努めなければならない。
4 図書類販売業者等は、表示図書類を陳列するとき(自動販売機等により図書類を販売し、又は貸し付ける場合を除く。)は、東京都規則で定めるところにより当該表示図書類を他の図書類と明確に区分し、営業の場所の容易に監視することのできる場所に置くように努めなければならない。
5 何人も、青少年に表示図書類を閲覧させ、又は観覧させないように努めなければならない。

(表示図書類に関する勧告
第九条の三 知事は、指定図書類のうち定期的に刊行されるものについて、当該指定の日以後直近の時期に発行されるものから表示図書類とするように自主規制団体又は図書類発行業者に勧告することができる。
2 知事は、図書類発行業者であつて、その発行する図書類が第八条第一項第一号又は第二号の規定による指定(以下この条において「不健全指定」という。)を受けた日から起算して過去一年間にこの項の規定による勧告を受けていない場合にあつては当該過去一年聞に、過去一年間にこの項の規定による勧告を受けている場合にあつては当該勧告を受けた日(当該勧告を受けた日が二以上あるときは、最後に当該勧告を受けた日)の翌日までの間に不健全指定を六回受けたもの又はその属する自主規制団体に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
3 知事は、前項の勧告を受けた図書類発行業者の発行する図書類が、同項の勧告を行つた日の翌日から起算して六月以内に不健全指定を受けた場合は、その旨を公表することができる。
4 知事は、前項の規定による公表をしようとする場合は、第二項の勧告を受けた者に対し、意見を述べ、証拠を提示する機会を与えなければならない。

 知事は、表示図書類について、前条第二項から第四項までの規定が遵守されていないと認めるときは、図書類販売業者等又は図書類発行業者に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
(略)

(指定映画の観覧の制限)
第十条 興行場において、第八条第一項第一号又は第二号の規定により知事が指定した映画(以下「指定映画」という。)を上映するときは、当該興行場を経営する者及びその代理人、使用人その他の従業者は、これを青少年に観覧させてはならない。
 何人も、青少年に指定映画を観覧させないように努めなければならない。
(略)

第十三条 がん具類の販売を業とする者及びその代理人、使用人その他の従業者並びに営業に関してがん具類を頒布する者及びその代理人、使用人その他の従業者は、第八条第一項第三号第八条第一項第二号の規定により知事が指定したがん具類(以下「指定がん具類」という。)を青少年に販売し、又は頒布してはならない。
 何人も、青少年に指定がん具類を所持させないように努めなければならない。

(指定刃物の販売等の制限)
第十三条の二 何人も、第八条第一項第四号第八条第一項第三号の規定により知事が指定した刃物(以下「指定刃物」という。)を青少年に販売し、頒布し、又は貸し付けてはならない。
2 何人も、青少年に指定刃物を所持させないように努めなければならない。
(略)

(自動販売機等に対する措置)
第十三条の五 自動販売機等業者は、表示図書類若しくは青少年に対し性的感情を刺激し、残虐性を助長し、若しくは自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあり、第八条第一項第一号若しくは第二号の東京都規則で定める基準に準ずる内容の図書類(指定図書類を除く。)又は特定がん具類(指定がん具類を除く。)を収納している自動販売機等について、青少年が当該図書類又は特定がん具類を観覧できず、かつ、購入し、又は借り受けることができないように東京都規則で定める措置をとらなければならない。
(略)

(青少年の性に関する保護者等の責務)
第十八条の三 保護者及び青少年の育成にかかわる者(以下「保護者等」という。)は、異性との交友が相互の豊かな人格のかん養に資することを伝えるため並びに青少年が男女の性の特性に配慮し、安易な性行動により、自己及び他人の尊厳を傷つけ、若しくは心身の健康を損ね、調和の取れた人間形成が阻害され、又は自ら対処できない責任を負うことのないよう、慎重な行動をとることを促すため、青少年に対する啓発及び教育に努めるとともに、これらに反する社会的風潮を改めるように努めなければならない。
 保護者等保護者及び青少年の育成にかかわる者は、青少年のうち特に心身の変化が著しく、かつ、人格が形成途上である者に対しては、性行動について特に慎重であるよう配慮を促すように努めなければならない。
 保護者は、青少年の性的関心の高まり、心身の変化等に十分な注意を払うとともに、青少年と性に関する対話を深めるように努めなければならない。
(略)

第三章の三 児童ポルノの根絶に向けた気運の醸成及び環境の整備

(児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた都の責務)
第十八条の六の二 都は、児童ポルノ(児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二条第三項に規定する児童ポルノをいう。以下同じ。)を根絶すべきことについて事業者及び都民の理解を深めるための気運の醸成に努めるとともに、事業者及び都民と連携し、児童ポルノを根絶するための環境の整備に努める責務を有する。
2 都は、青少年性的視覚描写物(第七条各号に該当する図書類又は映画等のうち当該図書類又は映画等において青少年が性的対象として扱われているもの及び第十八条の六の五第一項の図書類又は映画等をいう。以下同じ。)をまん延させることにより青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長すべきでないことについて事業者及び都民の理解を深めるための気運の醸成に努めるとともに、事業者及び都民と連携し、青少年性的視覚描写物を青少年が容易に閲覧又は観覧することのないように、そのまん延を抑止するための環境の整備に努める責務を有する。
3 都は、みだりに性的対象として扱われることにより心身に有害な影響を受けた青少年に対し、その回復に資する支援のための措置を適切に講ずるものとする。
4 都は、事業者及び都民による児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延の抑止に向けた活動に対し、支援及び協力を行うように努めるものとする。

(児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた事業者の責務)
第十八条の六の三 事業者は、都が実施する児童ポルノの根絶に関する施策に協力するように努めるものとする。
2 事業者は、青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長すべきでないことについて理解を深め、その事業活動に関し、青少年性的視覚描写物が青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害するおそれがあることに留意し、他の事業者と協力して、青少年が容易にこれを閲覧又は観覧することのないようにするための適切な措置をとるように努めるものとする。

(児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた都民等の責務)
第十八条の六の四 何人も、児童ポルノをみだりに所持しない責務を有する。
2 都民は、都が実施する児童ポルノの根絶に関する施策に協力するように努めるものとする。
3 都民は、青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長すべきでないことについて理解を深め、青少年性的視覚描写物が青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害するおそれがあることに留意し、青少年が容易にこれを閲覧又は観覧することのないように努めるものとする。

(青少年を性的対象として扱う図書類等に係る保護者等の責務)
第十八条の六の五 保護者等は、児童ポルノ及び青少年のうち十三歳未満の者であつて衣服の全部若しくは一部を着けない状態又は水着若しくは下着のみを着けた状態(これらと同等とみなされる状態を含む。)にあるものの扇情的な姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として描写した図書類(児童ポルノに該当するものを除く。)又は映画等において青少年が性的対象として扱われることが青少年の心身に有害な影響を及ぼすことに留意し、青少年が児童ポルノ及び当該図書類又は映画等の対象とならないように適切な保護監督及び教育に努めなければならない。
2 事業者は、その事業活動に関し、青少年のうち十三歳未満の者が前項の図書類又は映画等の対象とならないように努めなければならない。
3 知事は、保護者又は事業者が青少年のうち十三歳未満の者に係る第一項の図書類又は映画等で著しく扇情的なものとして東京都規則で定める基準に該当するものを販売し、若しくは頒布し、又はこれを閲覧若しくは観覧に供したと認めるときは、当該保護者又は事業者に対し必要な指導又は助言をすることができる。
4 知事は、前項の指導又は助言を行うため必要と認めるときは、保護者及び事業者に対し説明若しくは資料の提出を求め、又は必要な調査をすることができる。

第三章の四第三章の三 インターネット利用環境の整備

(インターネット利用に係る都の責務)
第十八条の六の六 都は、インターネットの利用に関する青少年の健全な判断能力の育成を図るため、普及啓発、教育等の施策の推進に努めるものとする。
2 都は、青少年がインターネットの利用に伴う危険性及び過度の利用による弊害について適切に理解し、これらの除去に必要な知識を確実に習得できるようにするため、青少年に対して行われるインターネットの利用に関する啓発についての指針を定めるものとする。

(インターネット利用に係る事業者の責務)
第十八条の七 青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者(青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(平成二十年法律第七十九号。以下「青少年インターネット環境整備法」という。)第五条に規定する青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者をいう。以下同じ。)及び青少年有害情報フイルタリングソフトウェア(青少年インターネット環境整備法第二条第九項に規定する青少年有害情報フィルタリングソフトウェアをいう。以下同じ。)に関係する事業を行う者(青少年インターネット環境整備法第三十条第一号のフィルタリング推進機関並びに同条第二号及び第六号の民間団体をいう。)は、その業務に関し提供等を行う青少年有害情報フィルタリングソフトウェア及び青少年有害情報フィルタリングサービス(青少年インターネット環境整備法第二条第十項に規定する青少年有害情報フイルタリングサービスをいう。以下同じ。)が、青少年がインターネットを利用して自己若しくは他人の尊厳を傷つけ、違法若しくは有害な行為を行い、又は犯罪若しくは被害を誘発することを容易にする情報を閲覧する機会を最小限にとどめるものとなるように努めなければならない。
2 インターネット接続役務提供事業者(青少年インターネット環境整備法第二条第六項に規定するインターネット接続役務提供事業者をいう。)は、インターネット接続役務(同条第五項に規定するインターネット接続役務をいう。)に係る契約を締結するに当たつては、当該契約の相手方に対し、青少年の利用の有無を確認し、利用者に青少年が含まれる場合には、青少年有害情報フィルタリングサービスを提供している旨を告知し、その利用を勧奨するように努めなければならない。
3 携帯電話インターネット接続役務提供事業者(青少年インターネット環境整備法第二条第八項に規定する携帯電話インターネット接続役務提供事業者をいう。以下同じ。)は、携帯電話インターネット接続役務(同条第七項に規定する携帯電話インターネット接続役務をいう。以下同じ。)に係る契約を締結するに当たつては、当該契約の相手方に対し、青少年の利用の有無を確認するように努めなければならない。
4 第十六条第一項第四号に掲げる施設を経営する者は、青少年が当該施設に備え付けられた機器によりインターネットを利用する場合には、青少年がインターネットを適正に利用できるように、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを利用した機器又は青少年有害情報フィルタリングサービスの提供を受けた機器の提供に努めなければならない。
5 青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者は、青少年のインターネットの利用に関する健全な判断能力の育成を図るため、その利用に伴う危険性及び過度の利用による弊害並びにこれらの除去に必要な知識について青少年が適切に理解できるようにするための啓発に努めるものとする。

(インターネット利用に係る事業者の責務)
第十八条の七 電気通信設備によるインターネット接続サービスの提供を行うことを業とする者(以下「インターネット事業者」という。)は、青少年の健全な育成を阻害するおそれがある情報を取り除くためのフィルタリング(インターネットを利用して得られる情報について一定の条件により受信するかどうかを選択することができる仕組みをいう。)の機能を有するソフトウェア(以下「青少年に有益なソフトウェア」という。)を利用したサービスを開発するとともに、利用者に提供するように努めなければならない。
2 インターネット事業者は、利用者と契約を行う際には、青少年の利用の有無を確認し、利用者に青少年が含まれる場合には、青少年に有益なソフトウェアを利用したサービスを提供している旨を告知し、その利用を勧奨するものとし、及びこれを利用することが可能であることを標準的な契約内容とするように努めなければならない。
3 インターネット事業者のために利用者と契約の締結の媒介、取次ぎ又は代理(以下「媒介等」という。)を業として行う者は、利用者と契約の締結の媒介等を行う際には、青少年の利用の有無を確認し、利用者に青少年が含まれる場合には、青少年に有益なソフトウェアを利用したサービスが存在する旨を告知し、その利用を勧奨するように努めなければならない。
4 第十六条第一項第四号に掲げる施設を経営する者は、青少年が当該施設に備え付けられた機器によりインターネットを利用する場合には、青少年がインターネットを適正に利用できるように、青少年に有益なソフトウェアを利用した機器の提供に努めなければならない。

(携帯電話端末等による青少年有害情報の閲覧防止措置)
第十八条の七の二 保護者は、青少年が携帯電話インターネット接続役務に係る契約(当該契約の内容を変更する契約を含む。以下同じ。)の当事者となる場合又は保護者が青少年を携帯電話端末等の使用者とする携帯電話インターネット接続役務に係る契約を自ら締結する場合において、青少年インターネット環境整備法第十七条第一項ただし書の規定により青少年有害情報フィルタリングサービスを利用しない旨の申出をするときは、東京都規則で定めるところにより、保護者が携帯電話インターネット接続役務提供事業者が提供するインターネットの利用状況に関する事項の閲覧を可能とする役務を利用すること等により青少年がインターネット上の青少年有害情報(青少年インターネット環境整備法第二条第三項に規定する青少年有害情報をいう。)を閲覧することがないように適切に監督することその他の東京都規則で定める正当な理由その他の事項を記載した書面を携帯電話インターネット接続役務提供事業者に提出しなければならない。
2 携帯電話インターネット接続役務提供事業者は、前項に規定する契約を締結するに当たつては、青少年又はその保護者に対し、青少年有害情報フイルタリングサービスの内容その他の東京都規則で定める事項を説明するとともに、当該事項を記載した説明書を交付しなければならない。
3 携帯電話インターネット接続役務提供事業者は、青少年有害情報フィルタリングサービスの利用を条件としない第一項に規定する契約を締結したときは、当該契約に係る同項の書面に記載された正当な理由その他の事項を、東京都規則で定めるところにより、書面又は電磁的方法により記録し、保存しなければならない。
4 知事は、携帯電話インターネット接続役務提供事業者が第二項又は前項の規定に違反していると認めるときは、当該携帯電語インターネット接続役務提供事業者に対し、必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
5 知事は、携帯電話インターネット接続役務提供事業者が前項の規定による勧告に従わなかつたときは、その旨を公表することができる。
6 知事は、前項の規定により公表しようとするときは、第四項の勧告を受けた携帯電話インターネット接続役務提供事業者に対し、意見を述べ、証拠を提出する機会を与えなければならない。
7 知事が指定した知事部局の職員は、第二項から第五項までの規定の施行に必要な限度において、当該携帯電話インターネット接続役務提供事業者の営業又は事業の場所に営業時間内において立ち入り、調査を行い、又は関係者に質問し、若しくは資料の提出を求めることができる。

(インターネット利用に係る保護者等の責務)
第十八条の八 保護者は、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用により、青少年がインターネットを適正に利用できるように努めるとともに、青少年がインターネットを利用して自己若しくは他人の尊厳を傷つけ、違法若しくは有害な行為をし、又は犯罪若しくは被害を誘発することを防ぐため、青少年のインターネットの利用状況を適切に把握し、青少年のインターネットの利用を的確に管理するように努めなければならない。
2 保護者等は、家庭、地域その他の場において、インターネットの利用に関する青少年の健全な判断能力の育成を図るため、自らもインターネットの利用に伴う危険性及び過度の利用による弊害についての理解並びにこれらの除去に必要な知識の習得に努めるとともに、これらを踏まえて青少年とともにインターネットの利用に当たり遵守すべき事項を定めるなど適切な利用の確保に努めるものとする。
3 行政機関は、その業務を通じて、青少年がインターネツトを利用して自己若しくは他人の尊厳を傷つけ、違法若しくは有害な行為をし、又は犯罪若しくは被害を誘発したと認めたときは、これを知事に通報することができる。
4 知事は、青少年がインターネツトを利用して自已若しくは他人の尊厳を傷つけ、違法若しくは有害な行為をし、又は犯罪若しくは被害を誘発したと認めるときは、その保護者に対し、当該青少年について再発防止に必要な措置をとるとともに、そのインターネットの利用に関し適切に監督するよう指導又は助言をすることができる。
5 知事は、前項の指導又は助言を行うため必要と認めるときは、保護者に対し説明若しくは資料の提出を求め、又は必要な調査をすることができる。

(インターネット利用に係る保護者等の責務)
第十八条の八 保護者は、青少年に有益なソフトウェアの利用により、青少年がインターネットを適正に利用できるように努めなければならない。
2 保護者及び青少年の育成にかかわる者は、家庭、地域その他の場において、インターネットの利用に関する健全な判断能力の育成を図るため、その利用に伴う危険性、過度の利用による弊害等についての青少年に対する教育に努めなければならない。

(インターネット利用に係る都の責務)
第十八条の九 都は、インターネットの利用に関する青少年の健全な判断能力の育成を図るため、普及啓発、教育等の施策の推進に努めるものとする。

(略)

(小委員会)
第二十四条の二(略)
7 前条第二十四条の規定は、小委員会の定足数及び表決数について準用する。
(略)

(3)附則
 この条例は、平成二十二年十月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 第一条の規定平成二十二年四月一日
 第二条の規定中目次の改正規定(「児童ポルノの根絶に向けた気運の醸成及び環境の整備(第十八条の六の二)」を「児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向欠た気運の醸成及び環境の整備(第十八条の六の二—第十八条の六の五)」に、「(第十八条の七—第十八条の九)」を「(第十八条の六め六—第十八条の八)」に改める部分に限る。)、第七条、第九条の三及び第十八条の六の二の改正規定、第三章の三中第十八条の六の二の次に三条を加える改正規定、第三章の四中第十八条の七の前に一条を加える改正規定、第十八条の七の改正規定(同条に一項を加える部分を除く。)、第十八条の八の改正規定並びに第十八条の九を削る改正規定並びに次項及び附則第三項の規定 平成二十二年七月一日
 平成二十二年七月一日から同年九月三十日までの間、第二条の規定による改正後の東京都青少年の健全な育成に関する条例(以下「新条例」という。)第九条の三第二項中「第八条第一項第一号又は第二号」とあるのは「第八条第一項第一号」とする。
 新条例第九条の三第二項に規定する指定の回数の算定に当たっては、平成二十二年七月一日以後に新条例第八条第一項第一号の規定に該当するものとしてなされた指定及び同年十月一日以後に新条例第八条第一項第二号の規定に該当するものとしてなされた指定を対象とする。

(2010年2月28日の追記:1ヶ所誤記を見つけたので訂正した「資格」→「視覚」。1ヶ所だけだが念のため、さらに訂正したテキストファイルへのリンクをここに張っておく。)

(同日の追記:コメントを頂いている皆様ありがとうございます。私も個人でできる限りのことはしたいと思っておりますが、東京都民で、反対の意見をお持ちとのことであれば、直接自分の選挙区選出の都議員に働きかけるなど直に反対の意見を伝えることをお勧めします。ただ、何をするにしても、相手のことを考えて迷惑にならないように丁寧に意見を伝えること、威力業務妨害や脅迫となるようなことを絶対にしないようにすることはくれぐれも守って下さい。)

(2010年3月2日夜の追記:東京都議会第1回定例会は2月24日から始まっているが、今日から代表質問が始まっている(質問予定録画映像会議録参照)。明日以降も一般質問などが続くが、今回の都議会の審議は本当に要注意である。)

(2010年3月4日の追記:野上ゆきえ都議がそのtwitterで、この青少年保護条例が、総務委員会に付託され、18日の委員会で取り上げられる予定という情報を教えて下さっている。この条例の危険性を考えると、この審議はいくら注意してもしすぎではない。)

(2010年3月8日の追記:都議会のHPに3月2日の会議録3月3日の会議録がアップされており、上の3月2日の追記中に会議録へのリンクを追加した。)

(2010年3月12日の追記:コメントでご指摘頂いた誤記を訂正した「運携」→「連携」。念のため、さらに訂正したテキストファイルへのリンクをここに張っておく。(ご指摘ありがとうございます。))

(2010年3月21日の追記:誤記を見つけたので訂正した「性交類似行為」→「性交又は性交類似行為」(第7条第2号)。念のため、さらに訂正したテキストファイルへのリンクをここに張っておく。)

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2009年11月25日 (水)

第200回:「新たな人身取引対策行動計画(仮称)」(案)に対する提出パブコメ

 前回取り上げた内閣官房の「新たな人身取引対策行動計画(仮称)」(案)に対する意見募集(12月3日〆切)について、パブコメを書いて提出した。今まで書いてきたパブコメをまとめただけの内容だが、誰かの参考になるかも知れないので、提出したパブコメをここに載せておく。

(2009年11月26日の追記:今日、東京都の「青少年問題協議会」で検討されていた答申素案(pdf)概要(pdf))がパブコメにかけられた(東京都のHP参照)。このブログでは、地方自治体レベルの話はあまり取り上げていないのだが、この答申案はあまりにも非道いので、次回はこの東京都の報告書のことを取り上げたいと思う。)

(以下、提出パブコメ)

1.氏名:兎園
2.連絡先:

3.意見概要
・第3ページ「③ 児童の性的搾取に対する厳正な対応」の項目から、例え児童ポルノに対してであろうと、情報に対するものとして極めて不適切な「ゼロ・トレランス(不寛容)」の語を削除してもらいたい。
・政府・与党にあっては、児童ポルノを対象とするものにせよ、いかなる種類のものであれ、情報の単純所持・取得規制・ブロッキングは極めて危険な規制であるとの認識を深め、児童ポルノを理由とした非道な人権侵害を防ぐため、児童ポルノの単純所持規制・創作物規制といった非人道的な規制を導入している諸国は即刻このような規制を廃止するべきと日本政府から国際的な場において各国に積極的に働きかけてもらいたい。
・児童ポルノ対策について、有害無益な規制強化の検討を即刻止め、現行法の地道なエンフォース、社会啓発・広報活動、児童の保護に関する教育・訓練の実施といった地道な対策のみが進められることを期待する。

4.意見及び理由
(意見)
・第3ページ「③ 児童の性的搾取に対する厳正な対応」について
 本項目において、「児童に対する性的搾取について、「ゼロ・トレランス(不寛容)』の観点から対処することとし、児童買春・児童ポルノ事犯に対しては、国外犯規定の適用を含め、児童買春・児童ポルノ禁止法違反等により徹底的に取り締まるとともに、より一層厳正な科刑の実現に努める。また、児童ポルノ等の排除に向けた取組を強化する」と書かれているが、例え児童ポルノに対するもの、情報そのものに対する観点として極めて不適切な「ゼロ・トレランス(不寛容)の観点から対処する」という記載を削除してもらいたい。

 極めて危険かつ有害な単純所持規制等を含む児童ポルノ規制法改正案が自民・公明の両党によって今臨時国会に再び提出されるなど、民主主義の最大の基礎である情報の自由に関する個人の基本的な権利を侵害する動きが再び強まっていることを考え、このような動きを止め、児童ポルノを理由とした非道な人権侵害を防ぐため、この項目に、「児童ポルノを対象とするものにせよ、いかなる種類のものであれ、情報の単純所持・取得規制・ブロッキングは極めて危険な規制であるとの認識を深め、このような規制を絶対に行わないことと閣議決定し、児童ポルノの単純所持規制・創作物規制といった非人道的な規制を導入している諸国は即刻このような規制を廃止するべきと、そもそも最も根本的なプライバシーに属し、何ら実害を生み得ない個人的な情報所持・情報アクセスに関する情報を他人が知ること自体、通信の秘密や情報アクセスの権利、プライバシーの権利等の国際的かつ一般的に認められている基本的な権利からあってはならないことであると、日本政府から国際的な場において各国に積極的に働きかける。」との記載を追加してもらいたい。

 児童ポルノ対策としては、単純所持規制・創作物規制といった有害無益な規制強化の検討を即刻止め、現行法の地道なエンフォース、社会啓発・広報活動、児童の保護に関する教育・訓練の実施といった地道な対策のみが進められることを期待する。

(理由)
 例えそれが児童ポルノに関するものであろうと、情報そのものに対して「ゼロ・トレランス」があり得ると、絶対に禁止されるべき情報・思想があるとすることは、新たに思想犯罪を作り、この現代に恐るべき思想警察・異端審問を復活させることを認めるに等しく、このように情報そのものに対する観点として極めて不適切な「ゼロ・トレランス(不寛容)」の語は、政府の公式の行動計画に使用されてはならないものである。

 この「ゼロ・トレランス」という語は、極めて危険かつ有害な、児童ポルノの単純所持規制・創作物規制を推進するために、規制推進派によって便利に使われているものであるが、閲覧とダウンロードと取得と所持の区別がつかないインターネットにおいては、例え児童ポルノにせよ、情報の単純所持や取得の規制は有害無益かつ危険なもので、憲法及び条約に規定されている「知る権利」を不当に害するものとなる。「自身の性的好奇心を満たす目的で」、積極的あるいは意図的に画像を得た場合であるなどの限定を加えたところで、エスパーでもない限りこのような積極性を証明することも反証することもできないため、このような情報の単純所持や取得の規制の危険性は回避不能であり、思想の自由や罪刑法定主義にも反する。繰り返し取得としても、インターネットで2回以上他人にダウンロードを行わせること等は技術的に極めて容易であり、取得の回数の限定も、何ら危険性を減らすものではない。

 児童ポルノ規制の推進派は常に、提供による被害と単純所持・取得を混同する狂った論理を主張するが、例えそれが児童ポルノであろうと、情報の単純所持ではいかなる被害も発生し得えない。現行法で、ネット上であるか否かにかかわらず、提供及び提供目的の所持まで規制されているのであり、提供によって生じる被害と所持やダウンロード、取得、収集との混同は許され得ない。そもそも、最も根本的なプライバシーに属する個人的な情報所持・情報アクセスに関する情報を他人が知ることは、通信の秘密や情報アクセスの権利、プライバシーの権利等の基本的な権利からあってはならないことである。

 アニメ・漫画・ゲームなどの架空の表現に対する規制対象の拡大も議論されているが、このような対象の拡大は、児童保護という当初の法目的を大きく逸脱する、異常規制に他ならない。アニメ・漫画・ゲームなどの架空の表現において、いくら過激な表現がなされていようと、それが現実の児童被害と関係があるとする客観的な証拠は何一つない。いまだかつて、この点について、単なる不快感に基づいた印象批評と一方的な印象操作調査以上のものを私は見たことはないし、虚構と現実の区別がつかないごく一部の自称良識派の単なる不快感など、言うまでもなく一般的かつ網羅的な表現規制の理由には全くならない。アニメ・漫画・ゲームなどの架空の表現が、今の一般的なモラルに基づいて猥褻だというのなら、猥褻物として取り締まるべき話であって、それ以上の話ではない。どんな法律に基づく権利であれ、権利の侵害は相対的にのみ定まるものであり、実際の被害者の存在しない創作物・表現に対する規制は何をもっても正当化され得ない。民主主義の最重要の基礎である表現の自由や言論の自由、思想の自由等々の最も基本的な精神的自由そのものを危うくすることは絶対に許されない。

 単純所持規制にせよ、創作物規制にせよ、両方とも1999年当時の児童ポルノ法制定時に喧々囂々の大議論の末に除外された規制であり、規制推進派が何と言おうと、これらの規制を正当化するに足る立法事実の変化はいまだに何一つない。

 また、サイトブロッキングについても、総務省なり警察なり天下り先の検閲機関・自主規制団体なりの恣意的な認定により、全国民がアクセスできなくなるサイトを発生させるなど、絶対にやってはならないことである。例えそれが何であろうと、情報の単純所持や単なる情報アクセスではいかなる被害も発生し得えないのであり、自主的な取組という名目でいくら取り繕おうとも、憲法に規定されている表現の自由(知る権利・情報アクセスの権利を含む)や検閲の禁止といった国民の基本的な権利を侵害するものとならざるを得ないサイトブロッキングは導入されてはならないものである。

 児童ポルノ規制法に関しては、既に、提供及び提供目的での所持が禁止されているのであるから、本当に必要とされることは今の法律の地道なエンフォースであって有害無益な規制強化の検討ではない。児童ポルノ規制法に関して検討すべきことは、現行ですら過度に広汎であり、違憲のそしりを免れない児童ポルノの定義の厳密化のみである。

 さらに付言すれば、児童ポルノの閲覧の犯罪化と創作物の規制まで求める「子どもと青少年の性的搾取に反対する世界会議」の根拠のない狂った宣言を国際動向として一方的に取り上げ、児童ポルノ規制の強化を正当化することなどあってはならない。児童ポルノ規制に関しては、ドイツのバンド「Scorpions」が32年前にリリースした「Virgin Killer」というアルバムのジャケットカバーが、アメリカでは児童ポルノと見なされないにもかかわらず、イギリスでは該当するとしてブロッキングの対象となり、プロバイダーによっては全Wikipediaにアクセス出来ない状態が生じたなど、欧米では、行き過ぎた規制の恣意的な運用によって弊害が生じていることも見逃されるべきではない。例えば、アメリカでは、FBIが偽リンクによる囮捜査を実行し、偽リンクをクリックした者が児童ポルノがダウンロードしようとしたということで逮捕、有罪にされるという恣意的運用の極みをやっている(http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080323_fbi_fake_hyperlink/参照)、単なる授乳写真が児童ポルノに当たるとして裁判になり、平和だった一家が完全に崩壊している(http://suzacu.blog42.fc2.com/blog-entry-52.html参照)、日本のアダルトコミックを所持していたとして、児童の性的虐待を何ら行ったことも無く、考えたことも無い単なる漫画のコレクターが司法取引で有罪とされている(http://news.goo.ne.jp/article/wiredvision/nation/2009news1-19920.html参照)などの、極悪かつ非人道的な例が知られている。つい最近も、カナダで、現実に何の被害も発生しておらず、本来表現の自由として許容されるべきものであるにも関わらず、架空のイラストをダウンロードした青年が、禁固3月、執行猶予18月の有罪判決を受けるという事件が起こり(http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20091116/dms0911161145000-n2.htm参照)、アメリカで、児童ポルノ所持罪で起訴され、有罪とされようとしていた男性が、逮捕・起訴から11ヶ月後にどうにか児童ポルノを勝手に保存するウィルスの存在を証明し、かろうじて人生の完全破壊を免れたという事件が起こるなど(http://abcnews.go.com/Technology/WireStory?id=9028516&page=1参照)、欧米のキリスト教国家を中心とした狂った単純所持規制を含む児童ポルノ規制による、非人道的な事件の数々は枚挙に暇が無い状況である。単純所持規制を導入している西洋キリスト教諸国で行われていることは、中世さながらの検閲と魔女狩りであって、このような極悪非道に倣わなければならない理由は全く無い。

 しかし、欧米においても、情報の単純所持規制やサイトブロッキングの危険性に対する認識はネットを中心に高まって来ており、アメリカにおいても、この1月に連邦最高裁で児童オンライン保護法が違憲として完全に否定され、この2月に連邦控訴裁でカリフォルニア州のゲーム規制法が違憲として否定されていることや、つい最近からのドイツ国会への児童ポルノサイトブロッキング反対電子請願(https://epetitionen.bundestag.de/index.php?action=petition;sa=details;petition=3860)に13万筆を超える数の署名が集まったこと、ドイツにおいても児童ポルノサイトブロッキング法は検閲法と批判され、既に憲法裁判が提起されており(http://www.netzeitung.de/politik/deutschland/1393679.html参照)、総選挙の結果与党に入ったドイツ自由民主党の働きかけで、ネット検閲法であるとして児童ポルノブロッキング法の施行はひとまず見送られ、ブロッキングはせずにまずサイトの取り締まりをきちんと警察にやらせ、1年後にその評価をしてブロッキングの是非を判断することとされたこと(http://www.tomshardware.com/de/Zensur-Internet-ZugErschwG-Provider-Koalition,news-243605.html参照)なども注目されるべきである。スイスにおいて最近発表された調査でも、2002年に児童ポルノ所持で捕まった者の追跡調査を行っているが、実際に過去に性的虐待を行っていたのは1%、6年間の追跡調査で実際に性的虐待を行ったものも1%に過ぎず、児童ポルノ所持はそれだけでは、性的虐待のリスクファクターとはならないと結論づけており、児童ポルノの単純所持規制の根拠は完全に否定されているのである(http://www.biomedcentral.com/1471-244X/9/43/abstract参照)。欧州連合において、インターネットへのアクセスを情報の自由に関する基本的な権利として位置づける動きがあることも見逃されてはならない(http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=MEMO/09/491&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en参照)。政府・与党内の検討においては、このような国際動向もきちんと取り上げるべきであり、一方的な見方で国際動向を決めつけることなどあってはならない。

 極めて危険かつ有害な単純所持規制等を含む児童ポルノ規制法改正案が自民・公明の両党によって今臨時国会に再び提出されるなど、民主主義の最大の基礎である情報の自由に関する個人の基本的な権利を侵害する動きが再び強まっているが、このような動きを止め、児童ポルノを理由とした非道な人権侵害を防ぐため、政府において、児童ポルノを対象とするものにせよ、いかなる種類のものであれ、情報の単純所持・取得規制・ブロッキングは極めて危険な規制であるとの認識を深め、このような規制を絶対に行わないことと閣議決定し、かえって、児童ポルノの単純所持規制・創作物規制といった非人道的な規制を導入している諸国は即刻このような規制を廃止するべきと、そもそも最も根本的なプライバシーに属し、何ら実害を生み得ない個人的な情報所持・情報アクセスに関する情報を他人が知ること自体、通信の秘密や情報アクセスの権利、プライバシーの権利等の国際的かつ一般的に認められている基本的な権利からあってはならないことであると、日本政府から国際的な場において各国に積極的に働きかけるべきである。

 児童ポルノ対策としては、単純所持規制・創作物規制といった有害無益な規制強化の検討を即刻止め、現行法の地道なエンフォース、社会啓発・広報活動、児童の保護に関する教育・訓練の実施といった地道な対策のみが進められることを期待する。

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2009年11月20日 (金)

第199回:「新たな人身取引対策行動計画」(案)に対するパブコメ募集

 既に「チラシの裏(3周目)」で取り上げられているので、リンク先をご覧頂くだけでも十分だと思うが、内閣官房が「新たな人身取引対策行動計画」(案)(pdf)に対するパブコメの募集を12月3日〆切で開始した(内閣官房の募集ページ参照)。

 この計画案(pdf)のメインの対象が人身売買にあることには注意する必要があるが、児童ポルノに関しても、第3ページに、

③ 児童の性的搾取に対する厳正な対応
 児童に対する性的搾取について、「ゼロ・トレランス(不寛容)」の観点から対処することとし、児童買春・児童ポルノ事犯に対しては、国外犯規定の適用を含め、児童買春・児童ポルノ禁止法違反等により徹底的に取り締まるとともに、より一層厳正な科刑の実現に努める。また、児童ポルノ等の排除に向けた取組を強化する。

との記載がある。この記載は明確に今現在ざわついている法改正について言及しているものでは無いが、ここで、「ゼロ・トレランス(不寛容)」という語がここに入っていることは、決して看過できない

 「表現の自由で守られる法益と児童ポルノによって失われる人権というものとの比較をすれば、それは表現の自由という部分が大幅に削られて構わない」という鳩山邦夫元総務大臣の違憲発言が飛び出した今年2月18日の衆議院予算委員会(議事録参照)、自公議員による数々の違憲発言が飛び出した今年6月26日の衆議院法務委員会(議事録参照)で、感情論のみで根拠無く単純所持規制と創作物規制を求める公明党の丸谷佳織元議員がこの「ゼロトレランス」という語を連発していることからも分かるように、この「ゼロ・トレランス」という語は、規制派によって、極めて非人道的な単純所持規制・創作物規制を推進するための便利なキーワードとして使われているものである。

 このブログでは何度も繰り返していることだが、例えそれが児童ポルノに関するものであろうと、他のあらゆること以上に、情報そのものに対する「ゼロ・トレランス」はあり得ない。情報そのものに対して「ゼロ・トレランス」があり得るとすることは、新たに思想犯罪を作り、この現代に恐るべき思想警察・異端審問を復活させることを認めるに等しいのである。閲覧とダウンロードと取得と所持の区別がつかないインターネットにおいては、例え児童ポルノにせよ、情報の単純所持や取得の規制は有害無益かつ危険なもので、憲法及び条約に規定されている「知る権利」を不当に害するものとなる。「自身の性的好奇心を満たす目的で」、積極的あるいは意図的に画像を得た場合であるなどの限定を加えたところで、エスパーでもない限りこのような積極性を証明することも反証することもできないため、このような情報の単純所持や取得の規制の危険性は回避不能であり、思想の自由や罪刑法定主義にも反する。繰り返し取得としても、インターネットで2回以上他人にダウンロードを行わせること等は技術的に極めて容易であり、取得の回数の限定も、何ら危険性を減らすものではない。また、どんな法律に基づく権利であれ、権利の侵害は相対的にのみ定まるものであり、実際の被害者の存在しない創作物・表現に対する規制は何をもっても正当化され得ない。民主主義の最重要の基礎である表現の自由や言論の自由、思想の自由等々の最も基本的な精神的自由そのものを危うくすることは絶対に許されないことである。

(欧米を中心としたキリスト教国の単純所持規制を含む狂った児童ポルノ規制に関しては、つい最近も、ITmediaの記事ABC Newsの記事に書かれている通り、アメリカで、児童ポルノ所持罪で起訴され、有罪とされようとしていた男性が、逮捕・起訴から11ヶ月後にどうにか児童ポルノを勝手に保存するウィルスの存在を証明し、かろうじて人生の完全破壊を免れたという事件が起こっている。この場合はたまたまウィルスの存在が証明できたからまだ良かったようなものの、欧米主要キリスト教国の児童ポルノ裁判は既に推定有罪の魔女裁判と化しているので、一旦有罪とされたらどうしようもない。実際にこの手のウィルスによってなす術も無く有罪とされ、人生を完全に破壊された者も欧米ではかなりいるのではないかと私は思う。)

 以前の「人身取引対策行動計画」を見ると、この語は入っておらず、児童ポルノに関しては「児童買春・児童ポルノ事犯を始めとする少年の福祉を害する犯罪の実態について広報啓発を実施しているが、今後もあらゆる広報媒体を活用して、社会啓発・広報活動を積極的に推進する」、「児童買春・児童ポルノ事犯を始めとする少年の福祉を害する犯罪の被害に遭った児童の保護に関し、被害少年対策の必要性、被害少年に接する際の留意事項、少年の人権及び特性に配慮した活動について教育・訓練を実施する」等と書いてあるだけである。役所内の動きは分からないが、このように児童ポルノ規制に関する記載を変えたのは、まず間違いなく国民の生活と安全をないがしろにしても自己の権限強化のみが図れれば良いとばかりに、児童ポルノ規制の強化を強力に推進している警察庁だろう(警察庁と結びついている規制派の団体あるいは議員の働きかけもあったのではないか)。去年の、内閣官房の犯罪計画案(第133回参照)、あるいは、総務省の違法・有害報告書案(第135回参照)と比べれば、実にあっさりとした記載ではあるが、こうして役所の報告書にわざと分かりにくく規制強化のための文章を紛れ込ませ、短い期間でこっそりとパブコメを取って、それだけで民意を聞いたことにして、規制強化の既成事実化を図って行くのは、日本の役所のいつもの手口である。

 例によってこのパブコメも出す必要があると思っており、提出次第、私の書いたパブコメはここに載せたいとと思っている。

 相変わらず良いニュースは無いが、他の話も紹介しておくと、internet watchの記事時事通信の記事にもなっている、JASRACの創立70周年パーティでの鳩山首相の著作権保護期間の70年への延長に最大限努力するという発言が波紋を広げている。既に、「Copy & Copyright Diary」や「P2Pとかその辺のお話@はてな」などで取り上げられているので、リンク先をご覧頂ければ十分だと思うが、著作権保護期間延長問題に、今の時点で油を注ぐのは愚鈍の極みである。著作財産権の保護期間の延長は、単に国民から権利者団体への財の移動を意味するのであり、著作権の保護期間延長に、文化的にも経済的にも合理性が無いことはほぼ明らかになっているのである。(なお、この問題においては、既に永遠の保護となっている人格権の問題と混同している者、意図的に混同させようとしている者がいることに常に注意する必要がある。)

 また、第188回で紹介したように、ストライクポリシーに傾斜していたイギリス政府が、権利者団体の強力なロビー活動によるものだろう、やはり強硬な態度を崩さず、ネット切断型の違法コピー対策を可能とする法案の議論を開始しようとしているようである(BBCの記事Telegraphの記事Zeropaidの記事EFFの記事TorrentFreakの記事p2pnetの記事参照)。どうなるかは何とも言えないが、今のまま行けば、イギリスもフランス同様まず法案の審議から相当迷走することになるだろう。

 他に香港でも著作権法の改正提案がされているようである(crienglishの記事China Viewの記事7thspaceの記事THRの記事参照)。現時点の提案では、ストライクポリシーやダウンロード違法化は入っていないようであり、香港はイギリス系の私的複製のための権利制限の狭いフェアディーリング国だったと記憶しているが、特に補償金制度を導入すること無く、メディアシフトのために権利制限を広げようとしているらしいことは注目に値する。

 フィリピンで単純所持罪を含む改正児童ポルノ法がじきに発効する見込みとの毎日の記事もあったが、このようなニュースは、フィリピンがキリスト教国であるという背景を抜きにしては理解され得ない。フィリピンも、これで魔女狩り国の一員となり、児童ポルノに関しては欧米同様の混乱を極めると容易く予想される。

 イギリスや香港などの話も随時紹介したいと思っているが、次回は、提出パブコメエントリになるのではないかと思っている。

(2009年11月20日夜の追記:単純所持規制を含む児童ポルノ規制法改正案を自公が今臨時国会に提出した(毎日の記事参照)。保坂展人氏がそのブログ記事で書いているように、この臨時国会で急転直下成立へという可能性はかなり低いと見て良いのではないかとは思うが、「『社民党が表現の自由と立法事実の再確認』などと面倒なことを言わなければ、天ぷらをあげるように衆参両院を数日で弾丸通過したという危険性は相当にあった」とも書いている通り、この問題も引き続き危険な状態が続くことになるのだろう。この問題についてその危険性を党としてきちんと認識して頑張ってくれている社民党は本当に有り難い。

 保護期間延長問題に関しては、時事通信の記事にもあるように、鳩山首相に続き川端文科相も延長に意欲を見せるなど、この問題については閣僚レベルでの無理解が著しい。早速MIAUが反対声明internet watchの記事も参照)を出しているので、そのリンクも張っておく。この反対声明にもある通り、著作権の保護期間延長については、「『メリットは無いのに、デメリットは確実にある』というのが、国内外を問わず多くの専門家の意見が一致するところ」だろう。また、著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム(thinkC)も、同じく、反対意見を公表した。

 欧州におけるストライクポリシーとインターネットの自由を巡る動きについて、朝日が記事を載せているので合わせてリンクを張っておく。この記事では、イギリスのストライクポリシーに関しても少し触れられているが、TorrentFreakの記事にもあるように、イギリスでも、その自由民主党が、このストライクポリシーを酷評するなど、早速法案審議の荒れを予想させる展開となっている。)

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