カテゴリー「著作権国際動向(ドイツ)」の8件の記事

2008年10月 9日 (木)

第118回:PCを私的複製補償金の対象外とするドイツ最高裁の確定判決・フランスの3ストライクアウト法案の今後

(1)PCを私的複製補償金の対象外とするドイツ最高裁の確定判決
 前回、PCは補償金の対象外とする判決が確定したというニュース(ドイツのWELT ONLINEの記事PC WELTの記事参照)を紹介したが、今回は少しその補足をしておきたいと思う。

 ドイツの最高裁のHPには、判決文が載るはずのリンクがあるのだが、なかなか載りそうにないので、今のところは、最高裁のプレスリリースからその概要について紹介しておきたいと思う。(判決文が読めるようになって何かあればさらに補足するつもりである。)

 この「コンピューターは補償金の対象外(Keine Geratevergutung fur Computer)」というタイトルのプレスリリースによると、PCに対する補償金の支払いを求めて訴えていたのはVG Wort(ドイツの文芸著作権管理協会)であり、訴えられていたのは富士通ジーメンスであるが、この判決では、1台あたり12ユーロ(元々VG WORTが求めていたのは30ユーロ)の補償金支払いを命じた控訴審の判決を破棄し、上告を却下している。特に、その理由の概要の部分には、以下のように書かれている。(翻訳は拙訳。)

Der BGH hat entschieden, dass fur PCs keine Vergutungspflicht nach § 54a Abs. 1 Satz 1 UrhG a.F. besteht, weil diese Gerate nicht im Sinne dieser Bestimmung zur Vornahme von Vervielfaltigungen durch Ablichtung eines Werkstucks oder in einem Verfahren vergleichbarer Wirkung bestimmt sind. Mit einem PC konnen weder allein noch in Verbindung mit anderen Geraten fotomechanische Vervielfaltigungen wie mit einem herkommlichen Fotokopiergerat hergestellt werden. Soweit mit einem PC Vervielfaltigungen erstellt werden, geschieht dies auch nicht in einem Verfahren vergleichbarer Wirkung. Unter Verfahren vergleichbarer Wirkung im Sinne des § 54a Abs. 1 Satz 1 UrhG a.F. sind - wie der BGH bereits entschieden hat (BGHZ 174, 359 Tz. 16 ff. - Drucker und Plotter) - nur Verfahren zur Vervielfaltigung von Druckwerken zu verstehen. Soweit ein PC im Zusammenspiel mit einem Scanner als Eingabegerate und einem Drucker als Ausgabegerat verwendet wird, ist er zwar geeignet, Druckwerke zu vervielfaltigen. Innerhalb einer solchen, aus Scanner, PC und Drucker gebildeten Funktionseinheit, ist jedoch - wie der BGH gleichfalls bereits entschieden hat (BGHZ 174, 359 Tz. 9 ff. - Drucker und Plotter) - nur der Scanner im Sinne des § 54a Abs. 1 UrhG a.F. zur Vornahme von Vervielfaltigungen bestimmt und damit vergutungspflichtig. Eine entsprechende Anwendung des § 54a Abs. 1 UrhG a.F. auf PCs kommt - so der BGH - gleichfalls nicht in Betracht. Einer entsprechenden Anwendung dieser Regelung steht entgegen, dass der Urheber digitaler Texte oder Bilder anders als der Autor von Druckwerken haufig mit deren Vervielfaltigung zum eigenen Gebrauch einverstanden ist. Insofern besteht keine Veranlassung, dem Urheber einen Vergutungsanspruch zu gewahren, der lediglich einen Ausgleich fur Vervielfaltigungen schaffen soll, die ohne seine Zustimmung erfolgt sind. Es ware auch deshalb nicht gerechtfertigt, den Anwendungsbereich der Regelung uber ihren Wortlaut hinaus auf Drucker auszudehnen, weil ansonsten die Hersteller, Importeure und Handler sowie letztlich die Erwerber die wirtschaftliche Last der urheberrechtlichen Vergutung fur Gerate zu tragen hatten, die im Vergleich zu den von der gesetzlichen Regelung erfassten Geraten nur zu einem wesentlich geringeren Anteil fur urheberrechtsrelevante Vervielfaltigungen eingesetzt werden.

当裁判所は、PCについては、著作権法第54a条第1段落第1項以下に定められている補償金の支払い義務はないものと決定した。なぜなら、これらの機器は、この規定の意味において、ある作品の複写あるいは同じような働きの処理を通じてなされる複製の実行に特に用いられるものではないからである。PCによっては、単体でも、他の機器と合わさっても、通常のコピー機のように光学的な複製を作成することはできない。PCによって、複製が作成される場合、それは、複写と同じような働きの処理において生じたものではない。著作権法第54a条第1段落第1項以下の意味における、複写と同じような働きの処理を行っているとは-当裁判所が既に決定したように(BGHZ 174, 359 Tz. 16 ff.-プリンターとプロッターについての判決参照)-印刷物の複製処理のみを指すものと解される。PCは、入力装置としてのスキャナーと出力装置としてのプリンターと協働して使用されて始めて、それは印刷物を複写するのに適していると言える。スキャナー、PCとプリンターの中では-同様に、当裁判所が既に決定したように(BGHZ 174, 359 Tz. 16 ff.-プリンターとプロッターについての判決参照)-スキャナーのみが、著作権法第54a条第1段落第1項以下の意味における、複製の実行をしていると認められ、これのみが補償金の支払い義務の対象である。PCに関しては、著作権法第54a条第1段落第1項以下のふさわしい適用もまた無視されてはならないと当裁判所は判断する。印刷物の作者以外のデジタルの文章や写真の著作者は、個々の利用においてこのような複製がなされることに良く同意していると考えられることに、この規定をふさわしく適用することはできない。その同意がない限りにおいて、著作者には、その同意が無ければなされ得ない複製に対する補償として与えられる補償金請求権が認められているのである。したがって、そのことからも、法律の文言における規則の適用範囲をプリンターを超えて拡張することは妥当ではない。さもなければ、製造業者、輸入者、販売者はおろか終いには購入者まで、機器に対する著作権補償金の経済的負担をしなければしなければならなくなってしまうであろうからである。法の規定から把握される機器と比較して、その適用範囲は、著作物に関係する複製に対し、より少なく本質的な部分に限られるのである。

 プレスリリースの概要であるためか、論理的に少し分かりにくいところもあるが、ドイツも補償金に関するゴタゴタにうんざりしたのか、これだけでも、PCとプリンターとスキャナーの3重課金など、欲の皮の突っ張り過ぎもいい加減にしろという語気が伝わってくるようである。個人的にはスキャナー課金すらいかがなものかと思うが、よほどのことがない限りドイツでも少なくとも単体プリンターとPCは、今後も補償金の対象外とされて行くことだろう。(ドイツのプリンターに関する最高裁判決は、第38回で少し触れた。この判決は旧法の適用に関するものであるが、恐らく新著作権法(第15回参照)における補償金額決定においても尊重されることと思われる。)

(2)フランスの3ストライクアウト法案の今後
 第116回で紹介したように、EU議会によって、フランスの3ストライク法案は否定された訳だが、フランスとEUの間で今現在妙な緊張感が高まっているので、その後の話を少し書いておきたいと思う。

 第29回第30回で紹介したように、もともとこの3ストライク法案は大統領レベルで言い出した話なので、そのプライドから引くに引けなかったのか、サルコジ大統領は、先週の金曜日に、この件に関してEU委員会のバローゾ委員長に向けて、3ストライク法案を否定する修正条項の削除に対する助力を求める手紙を送っている。(フランスのecransの記事で手紙の全文が読める。この記事によると、大臣レベルでの交渉もあったらしいが不調に終わったので、このような非常手段に出たものらしい。)

 ところが、この手紙に対しては、この修正条項が88%の多数の議員の支持を受けて成立したものであり、委員会としてはこれを尊重するという断りの説明が、その後EU委員会から発表され、今現在サルコジ大統領としては面目丸つぶれの状態になっているのである。しかも、修正条項の文章は、プライバシーや所有権、情報と表現の自由といった様々な基本的権利の間で正しいバランスが取られる余地が各加盟国に残されるよう入念に書かれたものであり、フランスとしても受け入れられるだろうと思うが、どうしてもと言うなら、フランス政府として、EU理事会において他の26の加盟国の閣僚の前で、修正条項についてのその見解を議論にかけてはどうかと考えるとのだめ押しまでついている有様である。(やはりフランスのecransの記事Le Figaroの記事Nouvel Obsの記事参照。そもそも、記事中のEU委員会の情報とメディア担当スポークスマンのセルマイヤー氏の説明によると、EU議会の議決後は、EU自体のバランスが危うくなる場合しかEU委員会はディレクティブ等の拒否はできないそうであり、この大統領の手紙は実に奇怪なものと言わざるを得ない。)

 Numeramaの記事GNTの記事などを読むと、この修正条項を主導したEU議員のギュイ・ボノ氏も、このようなフランスの動きに対して、「フランス大統領は、欧州市民全体の共通の利益を代表し、推進するものと考えられるところ」、「その代わりに、魔法の杖の一振りで修正条項138を消し去ることを欧州委員会に求めるなど、サルコジはまたも民主主義の妨げとなった」、「自由を殺す法律を無理矢理押し通すために、ここまで民衆の代表を足蹴にするなど、人権の国の大統領に相応しいとは思えない」、「欧州委員会はサルコジの犬ではない」、「サルコジがフランスにおいて君主として振る舞うことに慣れているにせよ、ヨーロッパは彼の王国ではない。」と反発を強め、例えEU理事会で差し戻されたとしても、議会で同じ修正条項をまた入れるとしており、EUとフランスの間のこの件に関する緊張感は当面続くのではないかと思われる事態になっている。

 今後は、11月27日に開かれるEU理事会(各加盟国の閣僚級のメンバーで構成され、各々が拒否権を持っている)で、EU議会へのディレクティブの差し戻しがされるかどうかということが焦点になるが、フランス単独で拒否権を行使するのはかなり難しく、やはり、フランスの3ストライク法案はほぼ完全に葬られたと思って良いのではないかと私は思っている。ただし、EU委員会に直接手紙を書いてしかも拒絶されるというかなりの醜態をさらしたサルコジ大統領が何をやってくるかは想像がつかないところもあり、フランスとEUの動きからは今後も目は離せない。(11月18日にこの3ストライクアウト法案は、フランス上院に回される予定だったそうだが、その予定もどうなるか。そもそも足下の金融危機でEU全体がぐらついている中、マイナーな知財の話で緊張感を高めてどうするのかという気もするが。)

 次回こそ選挙向けの話をと思っているが、解散総選挙が延びそうな気もするので、別な話をまた挟むことになるかも知れない。

(10月20日の追記(第117回に書いたものと同じ):コメントでいろは様から教えて頂いたドイツのIT企業団体BITKOMの補償金裁判まとめ(pdf)によると、確かに、プリンター補償金裁判においてVG WORT側は憲法裁判所にさらに上告しているようであり、PCでも憲法裁判所へさらに上告される可能性があることを考えると、確定というのは言い過ぎだったかも知れない。ただ、憲法裁判所がこのレベルの問題をわざわざ取り上げてプリンターやPCに補償金を賦課しないのは憲法違反だと判断する可能性は相当低く、ほぼ確定していると言っても良いのではないかとも思うので、一応文章はそのままにしておく。(いろは様コメント・情報ありがとうございました。))

(10月30日の追記:いろは様から、この判決は旧法に関するものであり、新法には適用されないのではないかとするコメントを頂いたので、念のために、ドイツ最高裁のプレスリリースの最後の部分も以下に訳出しておく。(ドイツの最近の法改正については、第13回第15回をご覧頂ければと思う。)

Nach der seit dem 1. Januar 2008 geltenden Regelung, die im entschiedenen Fall noch nicht anzuwenden war, besteht ein Vergutungsanspruch hinsichtlich samtlicher Geratetypen, die zur Vornahme von bestimmten Vervielfaltigungen zum eigenen Gebrauch benutzt werden (§ 54 Abs. 1 UrhG). Der Vergutungsanspruch hangt demnach nicht mehr davon ab, dass die Gerate dazu bestimmt sind, ein Werk "durch Ablichtung eines Werkstucks oder in einem Verfahren vergleichbarer Wirkung" zu vervielfaltigen.

本件では適用されないが、2008年1月1日から施行される規定は、特定の用途のために、規定されている複製の実行に使用される、複合タイプの機器に関する補償金請求権を定めている(著作権法第54条第1項)。この補償金請求権はもはやこれに対しては認められない、そこで定められている機器は、「複写あるいは同じような働きの処理を通じて」作品を複製するものなのである。

 確かに判決は旧法の適用に関するもので、今後どうなるかは読みづらいところもあるのだが、今まさに新法の適用をどうするかということでもめている中、このような判決が出されたことはやはり大きいのではないかと私は考えている。)

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2008年5月27日 (火)

第97回:ドイツの知財法改正(プロバイダー責任制限・コスト付加型の情報開示手続の整備)

 第88回でも触れたが、この5月23日に、ドイツで、知財法改正案が連邦参議院も通過して成立したとのニュースがあった(heise onlineの記事Computer Betrugの記事luebeck onlineの記事dradioの記事参照)ので、今回はこの法改正についてもう少し詳しく紹介しておく。

 上のドイツ語の記事にも紹介されているが、改正法案のポイントは、要するに、

  • 権利者は侵害者にまず警告を行い、示談による解決のチャンスを与える。
  • 非商用規模の権利侵害への警告で要求できる弁護士費用の上限は100ユーロ。
  • 通信データの開示は裁判所が決定。開示請求費用は権利者が負担。

ということである。さらに、著作権法の改正部分から、対応する条文も訳しておくと、

§ 97a Abmahnung
(1) Der Verletzte soll den Verletzer vor Einleitung eines gerichtlichen Verfahrens auf Unterlassung abmahnen und ihm Gelegenheit geben, den Streit durch Abgabe einer mit einer angemessenen Vertragsstrafe bewehrten Unterlassungsverpflichtung beizulegen. Soweit die Abmahnung berechtigt ist, kann der Ersatz der erforderlichen Aufwendungen verlangt werden.

(2) Der Ersatz der erforderlichen Aufwendungen fur die Inanspruchnahme anwaltlicher Dienstleistungen fur die erstmalige Abmahnung beschrankt sich in einfach gelagerten Fallen mit einer nur unerheblichen Rechtsverletzung auserhalb des geschaftlichen Verkehrs auf 100 Euro.
...

§ 101 Anspruch auf Auskunft
...
(9) Kann die Auskunft nur unter Verwendung von Verkehrsdaten (§ 3 Nr. 30 des Telekommunikationsgesetzes) erteilt werden, ist fur ihre Erteilung eine vorherige richterliche Anordnung uber die Zulassigkeit der Verwendung der Verkehrsdaten erforderlich, die von dem Verletzten zu beantragen ist. Fur den Erlass dieser Anordnung ist das Landgericht, in dessen Bezirk der zur Auskunft Verpflichtete seinen Wohnsitz, seinen Sitz oder eine Niederlassung hat, ohne Rucksicht auf den Streitwert ausschlieslich zustandig. Die Entscheidung trifft die Zivilkammer. Fur das Verfahren gelten die Vorschriften des Gesetzes uber die Angelegenheiten der freiwilligen Gerichtsbarkeit mit Ausnahme des § 28 Abs. 2 und 3 entsprechend. Die Kosten der richterlichen Anordnung tragt der Verletzte. Gegen die Entscheidung des Landgerichts ist die sofortige Beschwerde zum Oberlandesgericht statthaft. Sie kann nur darauf gestutzt werden, dass die Entscheidung auf einer Verletzung des Rechts beruht. Die Entscheidung des Oberlandesgerichts ist unanfechtbar. Die Vorschriften zum Schutz personenbezogener Daten bleiben im Ubrigen unberuhrt.
...

第97a条 警告
第1項 侵害を受けた者は、不作為に関する裁判手続の開始前に、侵害者に警告を行い、適切な示談金により賠償責任を果たす契約で争いを解決する機会を与えなくてはならない。

第2項 最初の警告のために利用される弁護士サービスにかかった費用の請求は、簡単なケースで、商用規模ではない些細な権利侵害については、100ユーロをその上限とする。
(中略)

第101条 情報開示請求
(中略)
第9項 通信データ(通信法の第3条第30項で定められている)の利用について情報開示が認められ得る、ただし、これが認められるためには、前もって、通信データの利用が、被害を受けた者によって求められ、これを許可する裁判所の命令が必要である。この命令の発令については、被害額によらず、情報開示の義務を負う者の本住所、本社あるいは支店がある地区の地方裁判所が排他的に管轄権を有する。民事部が決定を出す。その手続には、第28条第2項と第3項の例外も含め、裁判法の規則が適用される。裁判所の命令の費用は被害を受けた者が負担する。地裁の決定に対しては、ただちに高等裁判所へ控訴することが許される。しかし、それは、地方裁判所の決定に法律違反が含まれている場合にのみ、そのことに基づいてなされ得るものである。高等裁判所の決定に対して異議を唱えることはできない。個人情報保護に関する規則が、その他の点で、影響を受けることはない。
(後略)

(訳注:ドイツの通信法の第3条第30項で、通信データは、通信事業者の提出によって、収集・処理・利用されることになるデータと定義されている。裁判法の第28条第2項と第3項では、上告の例外を定めている。)

となる。

 このドイツの法改正の背景事情は、第88回でも書いたが、この2008年1月からこのダウンロード違法化の実運用が始まったにもかかわらず、3月11日にドイツの憲法裁判所で、インターネットの通信ログの開示は、殺人やテロ、汚職などの重大な刑事事件において公的機関に認められるだけであるという判決が出され、刑事告訴によってIPアドレスからユーザーを突き止め、それから民事訴訟で損害賠償請求を行うということがほぼ不可能となったため、このような民事でのプロバイダー責任制限・コスト付加型の情報開示手続をあわてて整備せざるを得なくなったというお粗末なものである。(このような情報開示手続がドイツで今になって始めて作られたということは、ドイツ語の記事にも書かれている。)

 今までのデタラメな法制で刑事告訴の乱発を招いたことから、今回の法改正では、さしものドイツも、情報開示請求の費用を権利者負担とし、最初の警告書で要求できる弁護士費用を100ユーロに制限するなど、それなりにユーザー保護も考えたようである。刑事告訴の道は閉ざされたし、裁判所に情報開示命令を出してもらうのにもそれなりのコストがかかるだろう。100ユーロまでしか手続費用をユーザーに請求できないというのでは、悪質なケースを除き、普通にネットを使っているだけの単なるダウンロードユーザーまで警告や告訴に巻き込まれるということはおよそ無くなるに違いない。(実際どうなるかは、実運用の開始まで待たないと分からないが。)

 文化庁はいつもドイツでダウンロードが違法化されたことだけを強調するのだが、他の情報も含めて考えれば、どこをどう見ても、インターネット時代の知財法の検討において、ドイツは全く手本にならないどころか、率先して悪例を示してくれている反面教師としか思われない。著作権法だけを見て、権利者の保護強化を図れば良かった古き良き時代はもはや終わったのである。インターネット時代の著作権法では、通信の秘密など他の基本的な権利とのバランスが常に考慮されなくてはならないのだ。著作権戦争に終わりは見えないが、日本がドイツの二の轍を踏まないことを私は切に願っている。

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2008年4月27日 (日)

第88回:ニュージーランドとドイツの知財法改正案

 第84回のついでに、ニュージーランドで著作権法改正案が通ったという話を少しだけ紹介したが、念のため、もう少し詳しく紹介しておこう。また、ドイツでも知財法改正の動きがあるので、これも一緒に紹介する。Zeropaidの記事でも、これらの法改正の動きを一緒に取り上げているので、こちらを読んで頂いても構わない。(ただ、ニュージーランドとドイツの法改正の動きの背景につながりはないように私は思う。)

(1)ニュージーランド
 ニュージーランドの著作権法改正条文現行条文)には以下のようなことが含まれている。(他にも多くのことが含まれているので、本当に詳しいことは原文に当たって頂ければと思う。)

 その新80A条では、プログラムの逆コンパイルを権利制限の対象として付け加えている。独立したプログラムを作るために必要な情報を得る場合は、逆コンパイルは著作権侵害とは見なされないという規定である。逆コンパイルは、日本の著作権法でも厄介な問題だが、プログラム開発におけるその必要性を考えると、日本でもこのような権利制限を明確に設けることを考えても良いだろう。

 また、新81A条では、私的利用目的のための録音を明確に権利制限の対象としている。ただし、借りたものなどではなく、合法に入手した録音物からの複製であって、本人あるいは同じところに住む家族のための複製に限られると、日本より要件は厳密である。複製物は、元の所有者が持っていなければならないといったダメ押しの規定まである。

 新82~83条で、放送などについて、その基準のチェックや責任機関へ文句を言うための複製を権利制限の対象としているのも面白いが、第84条では、放送などのタイムシフトのための私的複製を明確に権利制限の対象としている。ただし、このタイムシフトの規定は、条文上、より便利な時間に見るために必要となる合理的な期間より長く保持している場合は適用されないともされている。

 これらの私的複製規定の充実にもかかわらず、ニュージーランドでは同時に補償金制度が導入されなかったということはもう一度強調しておく。常に「複製=対価」ではあり得ないし、完全に家庭内に閉じる私的複製についてまで、国際的に見て補償が必要とされているなどということも、文化庁が一方的に国民に押しつけようとしているデタラメの一つに過ぎない。

 さらに、このニュージーランドの新著作権法では、インターネットサービスプロバイダー(ISP)の責任とその制限についても規定しており、新92A条では、繰り返し侵害を行う者に対してアカウント停止を行うなどの適切なポリシーをISPは採用しなければならないとしている。

 また、第92B条で、単に侵害者がそのサービスを使ったというだけではISPは責任を問われないとしているが、第92C条で、著作権侵害の存在を知ったときは、すぐにそのデータを削除しない限り責任が出てくるということになる。また、削除するときには、ISPはすぐにユーザーにノーティスを送らなければならないといったことも書かれている。

 権利者からの著作権侵害ノーティスについても、第92CA条で記載要件が定められ、第92C条第2A項でこのノーティスを受け取ったかどうかも含め、裁判所が、ISPが著作権侵害があることを知っていたと考えられるかどうかを判断するということが規定されている。なお、著作権者と偽る行為も第112A条で規制の対象とされている。

 また、第92D条では、ISPによる単なるキャッシングは著作権侵害ではないとしているが、ただし、オリジナルが消されたことなどに気づいてもなおキャッシュを消さなかった場合は著作権侵害となることを定めている。

 読んでもらえれば分かると思うが、これらの規定は、かなりISPに対して厳しい。ISPにおける著作権侵害の判断の実運用は相当難しいのではないかと思われるし、アカウント停止などもこれがインターネットへの完全なアクセス停止を意味するとしたら、決して取られるべき措置ではないだろう。

 また、新226条以下で、技術的保護手段、いわゆるDRM回避規制を定めているが、ここで規制されているのは、DRM回避デバイスの製造・販売・貸与等のみ、DRM回避サービスの提供のみで、当然のことながら、DRM回避デバイスの所持や使用、DRM回避行為そのものは禁止されていない。DRMを回避して行う複製が私的複製でないとしていることもない。DRM回避機器・プログラムの所持や使用、DRM回避行為そのものを規制しようとするのはどう考えてもおかしい話である。

 このニュージーランドの新著作権法は、私的複製を充実させ、DRM回避規制も、その回避デバイスの製造等のみを規制し、私的領域に踏み込まないようにしているなど、全体的に見れば悪いということはないが、ISPに対してだけはかなり厳しいように思う。

(2)ドイツ
 ドイツでは、知財法の改正案が連邦議会を通過し、連邦参議院に送られているようである(tonspionの記事tariftipの記事)。

 ダウンロード違法化を世界に先駆けて行うなど、著作権法の世界で非道の限りを尽くし、社会的混乱を招いていたドイツだが、第80回でも書いたように、この3月11日に、憲法裁判所で、インターネットの通信ログの開示は、殺人やテロ、汚職などの重大な刑事事件において公的機関に認められるだけであるという判決が出されたことを受け、要するに、刑事告訴を通じてユーザーの情報開示をさせるという手が使えなくなったので、今になってISPにIPアドレスから、ユーザー情報を開示させる民事的な手続きを用意せざるを得なくなったようである。

 記事によると、このユーザー情報の開示を決めるのは裁判所で、しかも、開示されるのは、その著作権侵害行為が私的な範囲を超え、商業的なレベルのものであると裁判所が判断した場合に限られるとするようである。

 そして、この裁判所への申請費用は200ユーロとされ、開示を受けた後の最初の著作権侵害警告で要求できる弁護士費用の上限は100ユーロとされるようであり、無料の刑事告訴(要するに税金でまかなわれる)とは異なり、申請・警告の乱発を防ぐためのコストの概念も導入されるようである。

 実際まだ通った訳ではないが、 このような法案から見る限り、ドイツの方針転換は明らかだろう。ドイツのダウンロード違法化も結局、刑事告訴の乱発から社会的混乱を招き、憲法裁判所によってその手続きを否定され、プロバイダー責任制限・コスト付加型の民事的な情報開示手続きを整備せざるを得なくなるという結果に落ち着きつつある。アップロードも含めて行っているP2Pユーザーなど本当のアップロードユーザーに対してはどうだか分からないが、このような法案は、私的範囲に閉じる複製しかしていない単なるダウンロードユーザーに対しては権利行使をするのは間違っているということを認めるに等しいものである。

 このドイツの法案は、来月ドイツ連邦参議院で審議されるようなので、もし成立したら、また詳細を紹介したいと思う。

 最後に、ここ最近の知財政策関係のニュース記事の紹介もしておこう。

 まず、知財本部では、この4月24日に、「デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会」の第1回が開催された(ITproの記事マイコミニュースの記事)。具体的な検討はこれからになるだろうが、その資料を読んでも、デジタル化時代の公正利用のための権利制限の話が多く載っており、ここでの検討は、政府の知財規制緩和にかける意気込みを見る試金石となるだろう。何度も繰り返すが、本当の問題は、既存コンテンツのネットにおける正規流通が進んでいないことにあるのではなく、今の著作権法がネットによって新たに生まれた公正利用の類型に対応できておらず、このような利用まで萎縮させてしまっていることにあるのだ。(その参考資料には、主要各国の権利制限の一覧も示されている。少し元の翻訳資料が古いものも含まれているが、このような一覧を見ただけで、いかに今まで文化庁が権利制限をさぼっていたかが分かるだろう。文化庁は抵抗するかも知れないが、文化庁の検討会でも、この資料を使ってはどうかと思う。)

 また、総務省の違法・有害情報対策検討会では、4月25日に中間取りまとめ案が提示されたようである(internet watchの記事マイコミニュースの記事毎日のネット記事)。携帯コンテンツを審査する第3者機関に国は原則不介入ということを取りまとめには明記するそうだが、この「原則」という文字が、この第3者機関を天下り先にするのは構わないと聞こえるのは私だけだろうか。最終的に、利用者側の選択肢さえ確保されていれば良いのだが、いまいちその方向性は良く分からない。あの奇妙なフィルタリング強要大臣要請そのものの是非も含め、パブコメにかけられたときには、この検討会の取りまとめに関してもいろいろ書くことが出てくるに違いない。

 次回は、審議会システムについて書きたいと思っている。

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2007年12月15日 (土)

第38回:ドイツとフランスの私的複製(私的録音録画)補償金に関する動き

 ダウンロード違法化問題については、以前から何回も書いていた(第7回第20回(提出パブコメその2)など)ため、前回の話は、ネットコンテンツ規制の方に引きずられる書き方になってしまったことをお断りしておく。著作権問題については、著作物の情報化という別の側面も考えに入れなくてはならないのだが、印象操作レトリックに関する限り同じことが言えることはお分かり頂けたのではないかと思う。

 さて今回は、来週12月18日に、また文化庁の私的録音録画小委員会が開催されることもあり、それほど大きな話ではないが、ドイツとフランスでの補償金に関する報道を念のために紹介しておこう。

 まず、ドイツでは、この12月にプリンターは私的複製補償金の対象とならないという最高裁判決が出された。
 なぜプリンターまでと思われるかも知れないが、ドイツでは、私的録音録画のみならず、私的複製に使われ得る機器であれば何に対しても補償金請求権が与えられ、最終的には裁判でその是非を判断するという法律になっているため、権利者団体は、プリンターも私的複製に使われるのだから補償金をよこせとメーカーに言ってきていたのである。そして、その請求金額は半端でない額になるため、権利者団体対メーカーの訴訟は問答無用で最高裁まで行くことになり、今回ようやくプリンターについて確定したという訳だ。

 最高裁のHP(プレス記事判決文掲載予定URLはあるのだが。)でもまだ判決文が読めないため、詳細は分からないが、少なくともプリンターに対する補償金賦課は不当であるということがドイツでも確定した。それにしても、ドイツは、青天井の補償金請求権を権利者団体に与えることは社会的混乱をもたらすだけということを示してくれている反面教師であるとしか言いようがない。

 なお、上記の記事によると、ドイツ最高裁は、来年に、マルチファンクションプリンターやPCに関する判決を出すことを予定しているようである。もし新たな報道があれば、何かの役に立つかも知れないので、このブログでも紹介して行きたいと思う。
 
 そして、フランスでは、さらに携帯電話に補償金をかける検討が始められるようである(les echosの記事zdnetの記事)。
 これまた何故と思われるかも知れないが、要するにiPhoneがフランスでも最近発売されたので、そこから金を取りたいというだけの話である。
 無論消費者・ユーザーは大反対しているが、フランスにおける補償金委員会の委員比率(第16回でも書いたが、委員長を国の代表として、権利者団体代表が2分の1、メーカー団体代表が4分の1、消費者代表が4分の1となっているので、権利者団体は国の代表を抱き込むだけで課金対象をいくらでも広げることができる)を考えると、課金対象となる可能性は高いだろう。
 しかし、これもまた、欧州では大きな家電・PCメーカーがないため、私的録音録画補償金が外資から金を還流する手段、つまり、単なる外資規制として使われてしまっているという背景事情を抜きにして、単純に対象拡大の方向性のみを取り上げて、これを国際的潮流であると見なしてはならない。事実、アップルが成功を収めているアメリカでは、何ら補償金の対象拡大の動きは見られないのだから。

 次は、前にもお伝えした通り、番外として、フーリオ(Friio)は取り締まれるかという話を書いてみたいと思っている。

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2007年12月 4日 (火)

第33回:ドイツの知財法改正案(続報)

 続報というほどの続報でもないが、第31回で紹介した話の続きとして、ドイツで、上院で、結局、インターネットの通信記録の保存を義務づける通信法改正案の方を可決したという記事があったので、念のために紹介しておこう。
 記事にも書かれているが、その結果、やはり知的財産関係の法改正案は通らないということになったようである。
 さすがのドイツも、民事手続きでインターネットの通信記録を見られるようにするというのは行きすぎだと分かったのであろう。

 しかし、ドイツの著作権法では、法律で許されている場合を除き複製をした場合には特に区別なく刑事罰の対象となるので、ドイツでは、刑事告訴が乱用され続け、著作権に関する社会的混乱が続くに違いない。

(民事手続きでインターネットの通信記録を見られるようにすることなど論外なのだが、通らなかった法案でも、著作権法第97条aで被侵害者は警告をしなければならないこと、正当なものなら、かかった費用について補償を侵害者に要求できること、ただし補償は50ユーロまでとされることを規定しようとするなど、やはりお話にはならないながらも、多少の努力の跡は見られていた。)

 ついでに書いておくと、何故ダウンロード違法化が社会的混乱を生むかがドイツ政府には分かっていないようだが、これは、ダウンロードについては、違法性が、ユーザーの心にしかよりようがないからなのである。特許は、特許公報の閲覧義務を会社に擬制して悪意推定をしている訳だが、著作権でそんなことをユーザーに課すのはナンセンスも良いところだろう。
 世の中には、明らかに権利者のお目こぼし(黙示の許諾)で流通していると思われる著作物もあり、明確な違法合法の基準は最後まで与えられようがない。そのような中で、ダウンロードを違法化することは、結局、著作物の違法・合法を明確にしないまま、後からいくらでも違法だと主張できる権利を権利者に与えることに他ならないので、社会的混乱を招くのである。
 「複製権」を持っている権利者にも、ドイツ政府にも悪いが、権利者による後出しジャンケンを許すことになる明確なダウンロード違法化は決して認められるべきではなかろう。

 次は、DRMの話の続きを。

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2007年12月 1日 (土)

第31回:ドイツの知財法改正案(民事手続きにおけるインターネット通信記録の利用)

 第29回で紹介したドイツのSpiegelの記事の中に少し書かれていたドイツの法改正の話が気になったので、今回は、その話を簡単に紹介してみたい。

 記事によると、ドイツでは、知的財産関係法と情報通信法の両方が国会審議にかかり、その内容でもめているようである。

 そのうちの知的財産関係法改正案では、著作権法の第101条に規定されている、民事手続きにおける第3者に対する情報請求権をかなり拡充しており、条件つきで通信関係のデータ提供を求めることも可能にしようとしている。

 しかし、インターネットの通信記録の保存を義務づけようとする通信法改正案では、その第113条でこのデータが利用を刑事事件や国家安全保障上の理由がある場合に限定している。

 これらが両方とも審議にかかった結果、これらは齟齬するものであり、上院にその解消を求めるとする決議を、11月19日に、ドイツ下院が出している。

 ネット記事(ドイツの記事1記事2参照)によると、その後、やはりプライバシーや情報開示請求の乱用に対する懸念が問題になり、インターネットの通信記録に対して個々の企業のアクセスを認めるつもりはないとさすがのドイツ法務相も述べたようで、今のまますぐに改正案が成立することはひとまずなさそうである。(しかし、権利者に甘いドイツ政府が最後どうするかは良く分からないので、また何か続報があれば紹介したいと思う。)

 これはドイツの話だが、ダウンロード違法化を認めた場合の日本の未来図でもある。一旦認められたら、今度はこれに実効性を持たせるために、インターネットの通信記録を直接見られるようにしろと権利者団体が主張してくることは目に見えている。そして、そのような主張に、文化庁なりがまたすぐに耳を貸すだろうことも容易く想像できてしまう。

 日本でも役所の検討では、プライバシーや情報アクセス権(知る権利)、通信の秘密や検閲の禁止といった最も基本的な原理が何故か軽く見られているが、これらは、著作権の保護と比較して、決して軽く見られて良い原理ではない

 今後の日本の著作権法の改正の検討では、ドイツを他山の石として、是非もっと基本的なところからきちんと検討してもらいたいと私は思っている。

 次回からは、DRMに関する法規制の話を書いて行きたいと思っている。

(12月2日の追記:著作権だけが問題であるかのような書き方をしてしまったが、特許侵害品についても同じようにインターネットを通じた取引の問題があり、上の知的財産関係改正法案では、特許法などにも同等の規定を入れようとしている。しかし、ドイツの憲法(基本法)も、情報アクセス権や検閲の禁止(第5条)、通信の秘密(第10条)などを明確に基本権と位置づけており、基本的な権利同士のせめぎ合いという難しい問題を提起することだろう。)

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2007年11月 1日 (木)

第15回:著作権国際動向その4:ドイツ(補償金制度改革)

 前回は少し雑に書きすぎたが、著作権情報センターHPのドイツ著作権法を見てもらえれば分かるように、ドイツでは、私的複製の範囲として研究目的の複製や情報収集、絶版著作物に対する複製が含まれている。ダウンロード違法化などという馬鹿げた法改正を行う前に、このような私的複製の範囲の明確化を行う方が先ではないかとつくづく私は思う。

(1)現在のドイツの補償金制度
 さて、ドイツの補償金制度についてだが、そもそもドイツでは、現在、ほとんどあらゆる複製機器・媒体(パソコン、スキャナー、コピー機含む。)に著作権法上の補償金を課せる法律となっている。また、上のリンク先を見てもらっても分かるように法律にも料率一覧表が載っているが、最終的に補償金が課されるかどうかとその金額は裁判所で決まるようになっているため、ドイツでは補償金に関しても権利者団体対メーカーの泥沼の訴訟合戦が行われている(ネットの紹介記事1記事2。)。
 記事を読むと、プリンターに課すことは裁判で否決されたようだが、実際、PCやスキャナー、コピー機にまで補償金を課すのはどうかと思う。(前にも書いたように、この制度欧州では外資メーカーいじめに使われているところもあるので、それがドイツの政策を歪めているところもあろう。)
 法律の料率表を見ても、何がどうしてそう決まっているのかよく分からない。特にコピー機の補償金額が毎分何枚の印刷が出来るかで決まるなど理解不能である。

(2)今回の法改正の概要
 欧州でも消費者やメーカーに制度がそもそも論から反対されているため、ドイツも多少はこの制度を何とかしなければならないと考えているようで、ドイツでも今回補償金制度をいじっている。
 やはり前回引用した記事から、法改正概要の該当部分を、ちょっと長いが以下に引用しよう。(翻訳は拙訳。赤字強調は私が付けたもの)

「2. Pauschalvergutung als gerechter Ausgleich fur die Privatkopie

Als Ausgleich fur die erlaubte Privatkopie bekommt der Urheber eine pauschale Vergutung. Sie wird auf Gerate und Speichermedien erhoben und uber die Verwertungsgesellschaften an die Urheber ausgeschuttet. Privatkopie und Pauschalvergutung gehoren also untrennbar zusammen. Dabei bleibt es auch. Allerdings andert der Zweite Korb die Methode zur Bestimmung der Vergutung. Bisher waren die Vergutungssatze in einer Anlage zum Urheberrechtsgesetz gesetzlich festgelegt. Diese Liste wurde zuletzt 1985 geandert und ist veraltet. Das hat zu zahlreichen Rechtsstreitigkeiten uber die Vergutungspflichtigkeit neuer Gerate gefuhrt, die bis heute die Gerichte beschaftigen. Eine gesetzliche Anpassung der Vergutungssatze ware hier keine ausreichende Losung. Angesichts der rasanten technischen Entwicklung im digitalen Zeitalter musste die Liste schon nach kurzer Zeit erneut geandert werden. Nach dem neuen Recht sollen daher die Beteiligten selbst, also die Verwertungsgesellschaften und die Verbande der Gerate- und Speichermedienhersteller, die Vergutung miteinander aushandeln. Fur den Streitfall sind beschleunigte Schlichtungs- und Entscheidungsmechanismen vorgesehen. Mit diesem marktwirtschaftlichen Modell soll flexibler auf neue technische Entwicklungen reagiert werden konnen. Auserdem sollen Einigungen uber die Vergutungszahlungen zugiger zustande kommen.

Vergutungspflichtig sind in Zukunft alle Gerate und Speichermedien, deren Typ zur Vornahme von zulassigen Vervielfaltigungen benutzt wird. Keine Vergutungspflicht besteht fur Gerate, in denen zwar ein digitaler, theoretisch fur Vervielfaltigungen nutzbarer Speicherchip eingebaut ist, dieser tatsachlich aber ganz anderen Funktionen dient.

Der Gesetzgeber gibt den Beteiligten nur noch einen verbindlichen Rahmen fur die Vergutungshohe vor. Sie soll sich nach dem tatsachlichen Ausmas der Nutzung bemessen, in dem Gerate und Speichermedien typischer Weise fur erlaubte Vervielfaltigungen genutzt werden. Dies ist durch empirische Marktuntersuchungen zu ermitteln. Soweit nicht mehr privat kopiert werden kann, weil etwa Kopierschutz oder Digital-Rights-Management-Systeme (DRM) eingesetzt werden, gibt es auch keine pauschale Vergutung. Der Verbraucher wird also nicht doppelt belastet. Zugleich werden auch die Interessen der Hersteller der Gerate und Speichermedien berucksichtigt. Die ursprunglich vorgesehene 5 %-Obergrenze vom Verkaufspreis des Gerates ist in den Beratungen im Bundestag zwar gestrichen worden. Die wirtschaftlichen Belange der Geratehersteller werden gleichwohl hinreichend berucksichtigt. Es bleibt dabei, dass deren berechtigte Interessen nicht unzumutbar beeintrachtigt werden durfen und die Vergutung in einem wirtschaftlich angemessenen Verhaltnis zum Preisniveau des Gerats oder Speichermediums stehen muss.

2.私的複製に対する公正な補償としての補償金

 許された私的複製に対する補償として、権利者は補償金を受け取る。これは、機器と媒体に課され、徴収団体から権利者に分配される。私的複製と補償金は分かちがたく結びついているために、これは残った。しかしながら、この第2法改正は、補償金の決定方法を変えている。今までは補償金額は著作権法の別表として法的に規定されていた。このリストは1985年に変えられたきりで時代遅れのものとなっている。新たな機器の補償の有無について、多くの法律的な争いをもたらし、今日まで裁判が行われている。法的に補償金額を合わせることは十分な回答とはならない。デジタル時代の極めて速い技術開発から、極めて短い時間で更新し続けなければならなくなるだろう。したがって、新しい法律では、関係者が自ら、すなわち徴収団体と機器媒体のメーカー団体が、互いに補償金について交渉しなければならないとしている。係争となる場合のために、速度を速める調停・決定機構が定められている。このように市場経済モデルを取り入れることで、新たな技術開発に柔軟に対応することが出来るようになる。補償金算定に関する合意はそこから迅速に成立するであろう。

 将来的には、許されている複製に使われる全ての機器と媒体について補償金が支払われなければならない。しかし、理論的にそのようなデジタル複製利用が可能な半導体メモリが組み込まれているが、本当に他の様々な用途に多く使われているような機器については、補償金支払いの義務はない。

 立法者は、さらに、補償金額決定のために義務的な枠組みを提供する。許されている複製に使われる典型的な機器・媒体の本当の使用の程度からそれは見積もられなくてはならない。これは経験的な市場調査から導き出される。したがって、例えばコピー制御あるいはDRMシステムによって導入され、私的複製が不可能となれば、一括補償も無くなる。消費者に対する二重課金も無くなる。同じく、機器と媒体のメーカーの利益も考慮されることになる。当初予定されていた機器の販売価格の5%の上限は、下院で取り除かれたが、機器メーカーの経済的な利害も十分に考慮されることとなっている。よって、その合法的な利益が不当に害されることはなく、補償金は、機器あるいは媒体の価格体から経済的に見積もられた比率となる。」

 これらの理屈は、著作権神授説を信奉する著作権原理主義者の立場からすれば極めて正しいが、現実的には、いかに最初に互いに交渉することと法律的に定めたところで、どうにもならないことは明白である。調査にしても、公平な調査がなされる保証はどこにもなく、また、そもそもの根拠が問題になっているときに調査から何を決められるというのか。ドイツでもメーカーと権利者団体は補償金についてオールオアナッシングの闘争を繰り広げているので、何一つ最初の交渉の場では決まらないに違いない。立法で明確に決まっていないことは裁判で決めるしかないため、ほとんどあらゆる機器と媒体について争いが最高裁まで持ち込まれる泥沼の法廷闘争となるだろう
 さらに注目するべきは、5%の上限規制が議会における審議で無くなったことである。補償金の算定にそもそも合理的な基準があり得ない以上、ユーザーにとって本当に重要なことは、無制限な補償金の拡大を抑止する、機器・媒体の範囲に対する規制あるいはこのような補償金額の総量規制である。このような規制がなければ、いかに法律でお題目を並べたところで、補償金が多ければ多いほど良いとする権利者団体の要求に際限がある訳はなく、単に権利者団体の利益を最大化するところに補償金額が落ちるだけのことである。

 ダウンロード違法化もそうだが、最初に補償金制度を発明したのもドイツであり、このような著作権法の改悪を次々と行うドイツ当局の罪は重い。さらに、これを一方的に国際動向ととらえる者によって、世界でこれにならう法改正がなされて来たことを考え合わせると、そのうち、世界の著作権法に100年の禍根を残した大罪国家として、ドイツは知財法の歴史により断罪されることになろう。

 さらに、法案から補償金に関する新しい規定の最初の部分も抜粋しておこう。(翻訳は拙訳。)

「§54 Vergutungspflicht
(1)Ist nach der Art eines Werks zu erwarten, dass es nach §53 Abs.1 bis 3 vervielfaltigt wird, so hat der Ueheber des Werks gegen den Hershteller von Geraten und von Speichermedien, deren Typ allein oder in Verbindung mit anderen Geraten, Speichermedien oder Zubehor zur Vornahme solcher Vervielfaltigungen benutzt wird, Anspruch auf Zahlung einer angemessenen Vergutung.

(2)Der Anspruch nach Absatz 1 entfallt, soweit nach den Umstanden erwartet werden kann, dass die Gerate oder Speichermedien im Geltungsbereich dieses Gesetzes nicht zu Vervielfaltigungen benutzt weden.

§54a Vergutungshohe
(1)Massgebend fur die Vergutungshohe ist, in welchem Mass die Gerate und Speichermedien als Typen tatsachlichen fur Vervielfaltigungen nach §53 Abs. 1 bis 3 genutzt weden. Dabei ist zu berucksichtigen, inwieweit technische Schutzmassnahmen nach ?95a auf die betreffenden Werke angewendet werden.

(2)Die Vergutung fur Gerate ist so zu gestalten, dass sie auch mit Blick auf die Vergutungspflicht fur diesen Geraten enthaltene Speichermedien oder andere, mit diesen funktionell zusammenwirkende Gerate oder Speichermedien ingesamt angemessen ist.

(3)Bei der Bestimmung der Vergutungshohe sind die nutzungsrevanten Eigenschaften der Gerate und Speichermedien, insbesondere die Leistungsfahigkeit von Geraten sowie die Speicherkapazitat und Mehrfachbeschreibbarkeit von Speichermedien, zu berucksichtigen.

(4)Die Vergutung darf Hersteller von Geraten und Speichermedien nicht umzumutbar beeintrachtigen; sie muss in einem wirtschaftlich angemessenen Verhaltnis zum Preisniveau des Gerats oder des Speichermediums stehen.
...

第54条 補償義務
(1)作品の性質から、第53条の(1)から(3)に従って複製が行われると見込まれるとき、その作者は、それだけでか、又は、他の機器、媒体若しくは付属品と組み合わさった型として、そのような複製に用いられる機器と媒体のメーカーに対し、相応の補償の支払いを要求することが出来る。

(2)状況から、それらの機器あるいは媒体が、条文の適用範囲にある複製に用いられないと考えられるときには、(1)の要求はなし得ない。

第54条a 補償金額
(1)補償金額の基準は、それらの型の機器と媒体が、どの程度第53条の(1)から(3)の複製に使われているかである。したがって、問題の作品にどれほど第95条aの技術的保護手段が用いられているかを考慮しなければならない。

(2)機器への補償は、その機器に組み込まれた媒体等への補償についても考慮し、合わせて機能とする機器あるいは媒体に対しては、全体として適当なものとなるように決められる。

(3)補償金額の決定にあたっては、機器と媒体の利用に関する性質、特に、機器の性能、媒体の容量や書き換え回数が考慮される。

(4)補償は機器と媒体のメーカーを不当に害するものであってはならず、機器あるいは媒体の価格に対して適当な率でなければならない。」

 理念は大変良く分かるのだが、このように法律にいくら理念を書いても、実際に決まらないのでは意味がない。どんなに馬鹿げた数字があがっていたにせよ、法的安定性という点で補償金額を別表で決めていた方がまだましであったろう。

 ドイツの権利者団体が、とにかく何よりも補償金が減ることを嫌い、5%規制に大反対して補償金を青天井にしておくことにこだわったことなど、どこの国でも、利権団体は一度手に入れた利権を絶対手放さず、どこまでも拡大することを要求するということの良い証拠である。確かに5%の数字にも意味がないことは確かだが、権利者団体がどこまでも図々しく増額を要求してくる以上、消費者にとってセーフハーバーとなる規定は絶対に必要である。

 日本でも、権利者団体と、これと癒着した文化庁はドイツ型へ移行する法改正をねらっているようだが、権利者団体という一部の利権団体のみを利して、社会全体で見ると明らかにマイナスなるとしか思われない法改正には、私は一国民として断固反対する。(今、日本では分離型専用機器・媒体のみに課金するとしていることが、非常に大きなセーフハーバーとして効いている。この制限が無くなった途端に、権利者団体は補償金の野放図な拡大を要求してくることは間違いなく、この部分は消費者・ユーザー・国民にとって絶対守らなければならない砦である。)

 次はフランスにおける権利制限について書こう。

 ついでに、ここに、文化庁のものよりはるかに良くまとまっていて分かりやすく、多くの国について書かれている、オランダの補償金管理協会(Stichting de Thuiskopie)が出している私的録音録画補償金国際調査(英語)にもリンクを張っておくので、興味のある方はご覧頂ければと思う。

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2007年10月29日 (月)

第13回:著作権国際動向その3:ドイツ(ダウンロード違法化の明確化)

 文化庁の中間整理には、極簡単に、インターネット上で明らかに違法に提供されているものからの複製を私的複製の範囲から除外する法改正案が、今後上院で検討されるとしか記載されていないが、このドイツの法改正に関する情報も国際動向を見ていく上では外せない情報だろう。今回は、この法改正の情報について、私なりに調べたことを書いておきたい。

(細かなことを突っ込んでも仕方ないのだが、この法改正案は既に今年の9月21日に上院を通過して、2008年1月1日から施行される予定とドイツ法務省のプレス記事に出ている。このような調べればすぐに分かる情報すら、文化庁がきちんと調べていないのが丸わかりである。)

 プレス記事(下院通過のみ何故か英語版の記事がある。内容はほぼ同じ。)に書かれている私的複製の範囲に関する法改正の概要の部分を以下に抜粋しておこう。(翻訳は拙訳。赤字強調は私が付けたもの。)

「1. Erhalt der Privatkopie

Die private Kopie nicht kopiergeschutzter Werke bleibt weiterhin, auch in digitaler Form, erlaubt. Das neue Recht enthalt aber eine Klarstellung: Bisher war die Kopie einer offensichtlich rechtswidrig hergestellten Vorlage verboten. Dieses Verbot wird nunmehr ausdrucklich auch auf unrechtmasig online zum Download angebotene Vorlagen ausgedehnt. Auf diese Weise wird die Nutzung illegaler Tauschborsen klarer erfasst. In Zukunft gilt also: Wenn fur den Nutzer einer Peer-to-Peer-Tauschborse offensichtlich ist, dass es sich bei dem angebotenen Film oder Musikstuck um ein rechtswidriges Angebot im Internet handelt - z. B. weil klar ist, dass kein privater Internetnutzer die Rechte zum Angebot eines aktuellen Kinofilms im Internet besitzt -, darf er keine Privatkopie davon herstellen.

Es bleibt auch bei dem Verbot, einen Kopierschutz zu knacken. Das ist durch EU-Recht zwingend vorgegeben. Die zulassige Privatkopie findet dort ihre Grenze, wo Kopierschutzmasnahmen eingesetzt werden. Die Rechtsinhaber konnen ihr geistiges Eigentum durch derartige technische Masnahmen selbst schutzen. Diesen Selbstschutz darf der Gesetzgeber ihnen nicht aus der Hand nehmen. Es gibt kein "Recht auf Privatkopie“ zu Lasten des Rechtsinhabers. Dies liese sich auch nicht aus den Grundrechten herleiten: Eine Privatkopie schafft keinen Zugang zu neuen Informationen, sondern verdoppelt lediglich die bereits bekannten.

1.私的複製の維持

コピープロテクトがされていない作品の私的複製は、デジタル形式においても、許され続けることとなった。しかし、新しい法律では、明らかに違法になされた提供からの複製を禁じるという明確化を行っている。これで、禁止は明確に、ダウンロードのために明らかに違法にオンラインで提供されたものまで拡大される。これによって、違法なファイル交換の利用まで明確にカバーされる。将来的には次のことも考えられる。すなわち、映画あるいは音楽がインターネットで違法なものとして提供されていることがP2Pファイル交換のユーザーにとって明らかな場合、-例えば、問題の映画についてインターネットに提供する権利がネットの個人ユーザーの誰にもないことが明らかであるなら、それについての私的複製はなくなるということである。

 同じく、コピープロテクトを回避する複製も禁止される。これはEU法によって求められていたものである。許される私的複製はその技術的保護手段が定める範囲内となる。権利者は、自身の知的財産を、このような技術的手段で自ら守ることが出来る。権利者を犠牲にする「私的複製の権利」は存在しない。これは、基本的な権利から導かれるものではない。私的複製は新たな情報へのアクセスを作り出すものではなく、既に知られたものの複製に過ぎない。」

 ドイツの政府には悪いが、このようなユーザーに一切の権利を与えない考え方はもはや妥当ではない
 まず、私的複製は新たな情報へのアクセスを作り上げるものではないかも知れないが、もはや現在では複製=アクセスとなっている現状を考えると、私的複製は情報へのアクセスに必須の権利制限であり、新たな情報を生み出すためにも必須のものである悪意のあるユーザーがいるからと言って、ユーザーの権利を全否定してはならない。そして、法律屋が自己満足のためにら「明らか」だの「情を知って」だのと定義しようが、それは法律屋の自己満足に過ぎず、ユーザーの悪意と善意を外形的には区別できない以上、このような法制は社会全体にとって悪になると言わざるを得ない。
 そして、「問題の映画についてインターネットに提供する権利がネットの個人ユーザーの誰にもないことが明らかな場合」も最後まであり得ないだろう。アップロードしたユーザーが正当な映画会社なのか、それとも単なる個人ユーザーであるかを、ダウンロードを行う一般ユーザーがいちいち気にしながらネットを使うことは、法律をどう変えようがあり得ないからだ。

 それに、そもそもの話をすれば、ドイツでは元々明らかに違法に作られた複製物からの複製を違法としており、ほとんどダウンロードも違法だったと思われるので、このような改正にどれほどの意味があるかもよく分からない。

 ドイツでは様々な議論の末にこのような法改正がなされており、このようなドイツの記事の記載も相当誤解を生むものである。別に何も義務はないのだが、このようなことをどこかに引用する人がいるなら、是非私が書いたような反対意見も考えられることを合わせて引用して欲しいと思う。

 さらに具体的なことを書くと、法改正は、具体的には、以下のように私的複製規定を直すこととしている。(ドイツ上院のHPに載っている改正案より。赤字が法改正の追加部分。翻訳は拙訳。これで合っていると思うが、間違っていたら教えて頂きたい。なお、文化庁の中間整理に載っていたものも参考にしたが、公式訳がなぜあれほどひどいのかは理解に苦しむ。)

「§ 53 Vervielfaltigungen zum privaten und sonstigen eigenen Gebrauch

(1) Zulassig sind einzelne Vervielfaltigungen eines Werkes durch eine naturliche Person zum privaten Gebrauch auf beliebigen Tragern, sofern sie weder unmittelbar noch mittelbar Erwerbszwecken dienen, soweit nicht zur Vervielfaltigung eine offensichtlich rechtswidrig hergestellte oder offentlich zuganglich gemachate Vorlage verwendet wird. Der zur Vervielfaltigung Befugte darf die Vervielfaltigungsstucke auch durch einen anderen herstellen lassen, sofern dies unentgeltlich geschieht oder es sich um Vervielfaltigungen auf Papier oder einem ahnlichen Trager mittels beliebiger photomechanischer Verfahren oder anderer Verfahren mit ahnlicher Wirkung handelt.
...

第53条 私的及びその他自己利用のための複製

 (1) 直接的であれ、間接的であれ、営利を目的とせず、明らかに違法になされた物から、あるいは、明らかに違法にアクセス可能とされた物からの複製でない場合に、自然人が、私的利用目的のために著作物を任意の媒体へ少数複製することは許される。複製が無償で行われるか、あるいは、複製が写真製版及びその他類似の効果を有する方法を用いて紙あるいは類似の媒体に行われる限りにおいて、この複製は他の者にしてもらうことも出来る。
以下略)」

 大体概要に書いてある通りに追加している。あまり意味がないであろうことは上に書いた通りであるが、いくら著作権法による保護強化において先端を行くドイツでも、違法複製物を越えて、サイトそのものの違法性を勝手に著作権団体に認定させた上で、そこからのユーザーの私的な複製を違法とするようなことまではしていない。文化庁の中間整理にはそのようなことが平然と書かかれているが、前にも書いたように、そもそもあり得ない話である。

 それに、法改正をしようがしまいが、ドイツでもユーザーに対する訴訟は泥沼化の様相を呈している。例えばあるブログの記事では、2006年末までで既に2万人のP2Pユーザーを音楽業界は訴えており、さらに月ごとに1000人を加えていく予定という。さらに記事では、不明のユーザーに対して民事訴訟を起こすわけに行かないので、音楽業界が刑事訴訟を使っていること、刑事訴訟にかかるコスト(全て税金である)がばかにならず、刑事当局がその対応にうんざりし始めていることも書かれている。
 P2Pによる違法ファイル交換は決して良いこととは言えないが、実効性もないままに、訴訟の乱発をさらにもたらすような法改正が正しいとは私には到底思えない。
 また、上の部分でも、無償である限りにおいて他の者に私的複製をしてもらっても良いとなっているが、ドイツでは他にも第53条第2項以下(著作権情報センターのHP参照。)に、研究目的の私的複製についてなど、さらに細かなことを規定しており、日本とはかなり私的複製の規定の仕方も異なっている。日本での今後の法改正は、このようなことも含め、各国の私的複製に関する規定についてより詳細な比較検討をしてからなされるべきだろう。

 最後に付け加えておくと、2003年に、ドイツでは、インターネット上の検索エンジンによるニュース記事の一部利用は、記事の利用に対する黙示の許諾があったとみなすのが妥当であり、著作権法違反に当たらないという最高裁判決判決文日本語のニュース記事はこちら。)も出されており、こうしたことも、著作権法の大きな国際動向の中では無視するべきではなかろう。

 さて、ドイツでも私的複製の範囲の話と補償金制度改革はセットになっているので、次はドイツの補償金制度改革について書いてみたい。

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