2017年4月21日 (金)

第377回:経産省の2つの知財関係の報告書(ADR制度導入や不競法上のDRM規制強化などを含む)

 幾つかの新聞で報道されている通りなのだが、経産省から2つ知財関係の報告書が公表されているので、ここでも念のため見ておきたいと思う。

(1)第四次産業革命を視野に入れた知財システムの在り方に関する検討会報告書
 1つは第四次産業革命を視野に入れた知財システムの在り方について(pdf)概要(pdf)参考資料(pdf))(経産省のリリース参照)と称するもので、例によって第四次産業革命という何だか良く分からないキーワードが踊っているだけの空疎極まる内容のものである。

 この報告書は全編ほとんど無意味なことしか書かれていないが、強いて法改正に絡むことが書かれているとすれば、第13ページの、

ビジネス関連発明を含む多様な特許に係る紛争処理システムの機能強化を図るべく、証拠収集手続において、書類提出の必要性を、当事者に書類を一旦提示させることで裁判所がインカメラ手続を通じて判断できるような制度や、中立的な第三者の技術専門家が関与できるような制度の導入に向けた検討を進める。

といった記載や、第16〜17ページの、

 第一に、社会的影響の大きい標準必須特許については、特許権者の権利を不当に害さないことに留意しつつ、特許権者と利用者の間でライセンスに関する協議が整わない場合に、利用者の請求に基づいて、行政が両者の間に入って、適切なライセンス料を決めるADR制度(標準必須特許裁定)の導入を検討する。なお、制度設計に当たっては、特許権行使専業企業への対応の必要性も考慮しつつ、デジュール標準以外の標準やFRAND条件でライセンスすることが宣言された標準必須特許以外の特許をどこまで対象とするか、実施権の設定を行う場合の要件をどのようにするか等についても検討を行う必要がある。
 第二に、多様な特許をめぐる紛争を迅速かつ簡便に解決するため、特許権者と利用者との間でライセンスに関する協議が整わない場合や権利侵害をめぐる紛争が起きた場合等に、当事者である中小企業等を含む多様な企業の請求に基づいて調整を行うADR制度(あっせん)について、既存のADR制度との関係を整理の上、検討する。

といった記載くらいである。前者の紛争処理システムの機能強化の話は前の特許庁の報告書の内容を超える情報は全くなく(第374回参照)、後者の標準裁定などの話についても既存のADR(裁判外紛争解決手続き)の利用もあまり進んでいない中で国が間に入る形の新しい制度を作る意味がさっぱり分からない。

 この報告書は、最後に、「本検討会における検討結果を、『知的財産推進計画2017』及び『日本再興戦略2017』等に反映するとともに、速やかに着手可能な取組については、平成29年度中を目途に結論が得られるよう、特許制度小委員会等で法改正を視野に入れた具体的な検討を進めることが適当である」と書かれている通り、知財計画などに間に合わせるためにありあわせで提言を出しておくというだけのもので、実際の具体的な検討はこれからなのだろうが、上のADRに関する話などどこまで実現性があるか甚だ疑わしい。

(2)営業秘密の保護・活用に関する小委員会中間とりまとめ案
 もう1つは産業構造審議会・知的財産分科会・営業秘密の保護・活用に関する小委員会で取りまとめ中の第四次産業革命を視野に入れた不正競争防止法に関する検討中間とりまとめ概要(案)(pdf)概要(pdf))である。(小委員会の4月20日の配布資料参照。)

 こちらも同じく良く分からないキーワードが踊る報告書案なのだが、この報告書案は特に不正競争防止法の改正を取り扱っているという点で注意を要する。

 まず、報告書案中の第1章の「データの保護制度の在り方について」から法改正に関する方向性の部分だけを抜き出して行くと、以下のようになる。

  • データの不正利用等に関し、新たな不正競争行為として行為規制を設ける方向で検討する。
  • データの保護対象を明確化した上で、保護すべきデータの範囲について検討する。
  • 新たな制度の創設により、データの利活用が進まなくなることがないよう、悪質性の高い取得行為を規制対象とする。今後、どのような行為がこの「悪質性の高い」行為に当たるかについて検討する。
  • 悪質性の高い行為により取得したデータを使用・提供等する行為を規制対象とする。
  • その他、例えば以下に掲げる行為についても規制の可否について検討する。・正当に取得したデータについて、データ提供者の意に反し、不正の利益を得る目的又は保有者に損害を加える目的での使用、提供の行為。・不正にデータを取得した者からデータの提供を受ける二次取得以降の取得についても、事情を知って、若しくは重大な過失により知らないで、当該データを使用、提供等する行為。
  • 保護対象として、データの保有・管理を行う者が当該データに対してのアクセスを認めていない者に対して、アクセスを認めていない者がデータを取得やアクセスすることを防止したいとの、データを保有・管理する者の意思について一定の認識ができる状態となっているデータ等を対象とする。
  • 保護すべきデータの範囲を画するにあたり、一定の「有用性」を有することを要件とする。
  • 保護すべきデータとして、データ自体が単体、集合物であることを問わず、保護対象とする。
  • まずは、電子データを念頭において検討する。
  • その他、保護すべきデータを検討するにあたって、以下の点を考慮することが考えられる。・事業に実際に利用しているデータを保護対象とする。・公知情報を集めたデータであっても収集したことで一定の価値を有するデータは保護対象とする。・営業行為を行わない個人のデータについては保護対象外とする。
  • 不正競争行為に対する救済措置として、差止請求、損害賠償請求、信用回復措置等の民事措置を設ける。
  • 刑事措置については、今後の状況の変化等を踏まえて慎重に検討する。

 具体的な内容は良く分からないところも多いが、要するに、今までの営業秘密の保護を超えて、一定の有用性・価値を有するデータを不正競争防止法で保護すると言っているのであり、これはかなりの注意を要する。また、データ管理情報について、「著作権の対象とならない情報に付与される管理情報について、ニーズをまずは調査した上で、ニーズがあると認められれば保護する方向で検討する」と言っていることにも注意しておいた方がいいに違いない。

 次に、第2章の「情報の不正利用を防止する技術の保護の在り方について」からやはり法改正の関する方向性の部分だけを抜き出すと、以下のようになる。

  • 「影像」、「音」について、分析等「視聴」以外の利用を制限するために施される技術的な制限手段を保護対象として必要に応じて追加する。
  • 人が視覚・聴覚で感知できないデータの利用を制限する手段の保護に関しては、必要に応じ検討する。
  • 技術的制限手段による保護対象の範囲としてどのようなデータとすべきかについて、技術的制限手段のユーザーに対しニーズ調査を行いつつ検討していく。
  • 技術的制限手段を無効化した上で利用等する行為の規制については、必要に応じ検討する。
  • 不正競争行為に対する救済措置として、差止請求、損害賠償請求、信用回復措置等の民事措置及び刑事措置を設ける。
  • アクティベーション方式等に係る技術的手段について、技術的制限手段の定義に含まれることを明確化する。
  • 技術的制限手段を無効化するサービスを提供する行為を、必要に応じて不正競争行為とする。
  • 無効化を可能とする情報を単に提供するだけのサービスに関しては、規制についてのニーズの把握に努めつつ、引き続き、慎重に検討する。
  • ただし、悪質な行為を伴う、技術的制限手段を無効化する方法を教えるサービスについては、必要に応じ検討する。
  • 技術的制限手段を無効化した上で利用等する行為の規制については、必要に応じ検討する。
  • 技術的制限手段を無効化するサービスを提供する行為に対する救済措置として、差止請求、損害賠償請求、信用回復措置等の民事措置及び刑事措置を設ける。

 やはり詳細不明なところが多いが、これは、不正競争防止法によるDRM規制、技術的制限手段に関する規制について大幅な規制強化の検討をすると言っているのであり、非常に要注意である。このような規制強化のニーズがあるとは私には全く思えず、DRM規制については現行法ですら厳し過ぎると私は考えているのである。

 こちらの中間とりまとめ案は今後どうなるのか良く分からないが、パブコメにかけられ次第私は意見を出すつもりでいる。

(5月11日夜の追記:5月9日に経産省から上で取り上げた営業秘密の保護・活用に関する小委員会の中間とりまとめ(案が取れたバージョン)が公開されたが(経産省のHP参照)、パブコメにはかかってない。極めて残念なことだが、どうやらこの報告書の内容について国民から広く意見を聞くつもりは経産省にはないようである。)

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2017年2月27日 (月)

第374回:特許庁の報告書案から予想される今後の特許法改正

 今現在3月17日〆切で特許庁から「我が国の知財紛争処理システムの機能強化に向けて(案)(pdf)」という報告書案がパブコメにかかっている。

 この報告書案は、知財本部の検討の後を受け、産業構造審議会・知的財産分科会・特許制度小委員会で知財訴訟制度に関する検討結果をまとめたものと見て取れる。(知財計画2016中の関連する記載については第363回参照)

 特に大きな問題があるということはないが、今回はこの報告書案から予想される今後の特許法改正の内容をざっとまとめておきたいと思う。

 おおよそどうでもいい部分を飛ばして各検討事項の結論部分だけを抜き出して行くと、まず、「Ⅰ.適切かつ公平な証拠収集手続の実現」の「2.各論」の「(1)訴え提起後の証拠収集手続について」では、

  • ①公正・中立な第三者の技術専門家に秘密保持義務を課した上で、提訴後の証拠収集手続に関与できるようにする制度の導入について:「強制力のある査察制度の導入については引き続き慎重に検討」(第3ページ)、「日本の民事訴訟制度の枠組みに沿った形で公正・中立な第三者の技術専門家が証拠収集手続に関与する制度を導入することで、手続の充実化を図り、その運用を注視することが適切」(同上)、「例えば、秘密保持の義務を課された公正・中立な第三者の技術専門家が、書類提出命令(特許法第105条第1項)及び検証物提示命令(特許法第105条第4項、同条第1項)における書類及び検証物の提出義務の有無を判断するための手続(特許法第105条第2項、第3項。以下「インカメラ手続」という。)において裁判官に技術的なサポートを行うことを可能にすることや、鑑定人に検証の際の鑑定(民事訴訟法第233条)における秘密保持義務を課すことで、同手続を秘密保護に配慮した形で行うことを可能とすることなどが考えられる」(同上)
  • ②書類提出命令・検証物提示命令の要件である書類・検証物の提出の必要性を判断するためにインカメラ手続を利用することができるようにする制度の導入について:「書類提出命令・検証物提示命令の制度に関し、書類・検証物の提出の必要性の有無についての判断のために、裁判所がインカメラ手続により当該書類・検証物を見ることを可能にする制度を導入」(同上)
  • ③具体的態様の明示義務が十分に履行されなかった場合に書類提出命令が発令されやすくする方策について:「本方策については、②の新たな制度では対応が困難な課題が明らかになった場合に検討すべき課題とすることが適当」(第4ページ)
  • ④現行の書類提出命令を発令しやすくするよう、同命令と秘密保持命令を組み合わせて発令できるようにする方策について:「本方策については、②の新たな制度では対応が困難な課題が明らかになった場合に検討すべき課題とすることが適当」(第5ページ)

と書かれ、「(2)訴え提起前の証拠収集手続について」では、

  • 「現行の訴え提起前の証拠収集処分における任意性は維持した上で、訴え提起後の証拠収集手続の改善策と同様に、日本の民事訴訟制度の枠組みに沿った形で公正・中立な第三者の技術専門家が証拠収集手続に関与する制度を導入することで、手続の更なる充実化を図ることが適切」(第5ページ)、「例えば、秘密保持の義務を課された第三者の技術専門家が執行官に同行して技術的なサポートを行う仕組みを導入することが考えられる」(第5〜6ページ)

と書かれている。

 次に、「Ⅱ.ビジネスの実態やニーズを反映した適切な損害賠償額の実現」の「2.各論」の「(1)現行特許法第102条第3項に規定される損害賠償額の算定方法の在り方について」では、

  • 「特許法第102条第3項に規定される損害賠償額の算定方法の在り方については、今後、損害賠償額の認定に関する裁判所の運用や、理論的な検討の動向、国際的な動向を注視しつつ、引き続き慎重に検討」(第8ページ)

と、「(2)通常の実施料のデータベース等の作成について」では、

  • 「通常の実施料のデータベース等の作成が適当であるとは言えない」(第8ページ)

とされている。

 「Ⅲ.権利付与から紛争処理プロセスを通じての権利の安定性の向上」の「2. 各論」の「(1)侵害訴訟における特許庁に対する求意見制度、特許庁における有効性確認手続、侵害訴訟における訂正審判請求等を要件としない訂正の再抗弁について」では、

  • ①侵害訴訟における特許庁に対する求意見制度について:「裁判所調査官制度及び専門委員制度の運用状況やユーザーニーズの状況も注視しつつ、引き続き慎重に検討することが適当」(第9ページ)
  • ②特許庁における有効性確認手続について:「ユーザーニーズの状況を注視しつつ、引き続き慎重に検討することが適当」(第10ページ)
  • ③侵害訴訟における訂正審判請求等を要件としない訂正の再抗弁について:「訂正の再抗弁に関する裁判所の運用やユーザーニーズの状況も注視しつつ、引き続き慎重に検討することが適当」(第11ページ)

とされ、「(2)裁判所における更なる技術的専門性の向上や裁判所と特許庁との連携について」では、

  • 「司法と行政のそれぞれの役割に留意し、裁判所の公平性、中立性を保ちつつ裁判所と特許庁が連携する取組を今後も進めていくことが適当」(同上)

と書かれ、「(3)侵害訴訟等において権利の有効性が推定されることを確認的に規定するための明らか要件の導入の是非及び訂正審判等の要件緩和等の是非等について」では、

  • ①確認的な明らか要件の導入について:「裁判所による特許の有効性に関する判断の動向やユーザーニーズの状況を注視しつつ、引き続き慎重に検討することが適当」(第12ページ)
  • ②訂正審判等の要件緩和等(特許権の拡張・変更)について:「ユーザーニーズの状況も注視しつつ、引き続き慎重に検討を行うことが適当」(第13ページ)
  • ③訂正審判等の要件緩和等(予備的訂正・段階的訂正)について:「ユーザーニーズの状況も注視しつつ、引き続き慎重に検討することが適当」(同上)

と書かれている。

 後は審査の品質に関する取り組みについて書かれている程度なので省略するが、報告書案中の「慎重に検討」とはお役所文学で何のことはない「やらない」という意味なので、上の書きぶりから今現在特許法改正(恐らく他の知財法にも同様に導入されることになるのだろうが)により導入することがほぼ想定されているのは、要するに、

  • 書類・検証物の提出の必要性の有無についての判断のために裁判所がインカメラ手続により当該書類・検証物を見ることを可能にすること

のみなのだろうと知れ、これに加えて可能性が高いこととして想定されているのは、

  • 訴え提起後のインカメラ手続における裁判官や、訴え提起前の証拠収集手続における執行官に対して第三者の技術専門家の技術的なサポートを可能にすること

くらいなのだろうと分かる。

 どちらも実務的にはそれなりに重要とは言え、この報告書案の内容から見る限り次の特許法改正は小幅の改正に留まりそうである。 

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2016年12月28日 (水)

第372回:2016年の終わりに

 トランプ氏のアメリカ大統領選挙当選の結果発効の見込みが全く立っていないことが不幸中の幸いとは言え、日本の国会で極めて問題の多いTPP協定と関連法案が可決されるなど今年もおよそロクでもない年だったが、今日で各省庁も休みに入り、年内のイベントは一通り終わったと思うので、ここで、今まで取り上げる暇があまりなかった細かな話をまとめて書いておきたいと思う。

 まず、知財本部では、10月から検証・評価・企画委員会が開催されており、今のところほぼ今までの取り組みのフォローアップをしているだけで何か新しい方向性が出ているということはないが、産業財産権分野、コンテンツ分野、新たな情報財検討委員会と3つに分かれて検討が進められている。この中では、新たな情報財検討委員会がAI(人工知能)の作成・保護・利活用の在り方を検討しているようだが、例によって具体的に何をどうしたいのかいまいち良く分からない。

 次に文化庁では、例年通り文化審議会著作権分科会の下で、著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会法制・基本問題小委員会新たな時代のニーズに的確に対応した制度等の整備に関するワーキングチーム国際小委員会が開催されている。茂木和洋氏が最近の検討資料を氏のサイトに上げて下さっているが、私的録音録画補償金制度に関しては関係者の意見が対立したままで、一般的な権利制限規定(フェアユース)の導入には否定的と文化庁の検討は相変わらず全く期待できない状況である。さらに、まだかなり整理が必要だろうと思うが、法制・基本問題小委員会でリーチサイト対策についての検討が進められていることも要注意だろう。

 特許庁では、産業構造審議会知的財産分科会の下で、審査基準に関する検討なども行われているが、法制度に絡むものとして特許制度小委員会商標制度小委員会が開催されている。このうち7月に開催されていた商標制度小委員会の方ではすぐに法改正をするような話にはなっていないようだが、特許制度小委員会の方では知財計画2016(第363回参照)を受けて知財紛争処理システムの在り方に関する検討が行われている。

 また、経産省では、営業秘密の保護・活用に関する小委員会も開催されているが、これもまた資料を見ても何をどうしたいのか良く分からない。

 農水省では、種苗分科会が開催されているが、農水省関連としてはそのHPに書かれている通り、TPP関連法として成立した地理的表示保護法の改正法が既に施行されていることに注意が必要だろう。(無論改正法の他の部分はTPP協定の発効と結びついているので施行されていないが。)

 最後に、総務省では、知財とは直接関係がないが、放送を巡る諸課題に関する検討会放送コンテンツの製作・流通の促進等に関する検討委員会が開催されており、放送番組のネット同時配信の検討が行われている。

 TPP協定と関連法が国会を通った上、いつも通り各省庁は何のためか良く分からない検討のための検討をこぞって繰り広げており、来年も良い年にはなりそうもないが、だからと言って諦めるつもりもない。政官業に巣食う全ての利権屋に悪い年を。そして、この拙いブログを読んで下さっている方々に心からの感謝を。

(2017年1月11日の追記:特許庁のHPに資料が掲載されているが、昨日10日に意匠制度小委員会も開催されていたようである。意匠分野における優先権書類の電子的交換の仕組みの導入などそれなりに実務的に重要な検討もしているようだが、資料を見る限り、意匠法について大きな法改正が今すぐ動きそうな様子ではない。)

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2016年2月28日 (日)

第359回:TPP協定のための特許法と商標法の改正の概要(2月12日の特許庁・産業構造審議会・知的財産分科会の資料)

 著作権法とは違い、そう大きな問題を含んでいる訳ではないのだが、TPP協定批准のためには著作権法だけではなく、特許法や商標法などの他の知的財産法も改正が必要となる。

 その法改正内容の概要については、特許庁で2月12日に開催された産業構造審議会・知的財産分科会で必要となる法改正の概要が示されているので、今まで書いて来たことと多く重なるが、念のため、その内容を見ておきたい。(なお、法運用としては、職務発明ガイドラインの話など他の話も重要でないということはないのだが、ここでは省略する。)

 その概要は、その中の特許庁の資料、TPP協定を担保するための特許法改正について(pdf)の6ページに、

○新規性喪失の例外規定について
・発明の新規性喪失の例外期間(グレースピリオド)について、現行の公表等から6月を12月に延長する。

○期間補償のための特許権の存続期間の延長制度について
・特許権の存続期間について、特許出願の日から5年を経過した日又は出願審査の請求があった日から3年を経過した日のいずれか遅い日(以下「基準日」という。)以後に、特許権の設定の登録があった場合に、出願により延長することを可能とする。
・延長が可能な期間は、基準日から特許権の設定の登録の日までに相当する期間から、特許庁の責めに帰さない理由により経過した期間及び審判・裁判の期間等の特許出願に係る手続や審査に要した期間以外の期間を控除した期間とする。
・存続期間の延長登録に対する無効審判制度その他所要の制度を整備する。

と、同じくTPP協定を担保するための商標法改正について(pdf)の4ページに、

○民法の原則を踏まえ、追加的な損害賠償ではなく、法定の損害賠償に関する規定を整備する。

○具体的には、商標の不正使用による損害の賠償を請求する場合において、当該登録商標の取得及び維持に通常要する費用に相当する額を損害額として請求できる規定を追加する。

と、それぞれ書かれている。

 これらは、今まで政府のTPP関連政策大綱などで示されていたこととほぼ一緒で、グレースピリオド(特許法において出願より前に公表したとしても例外的に新しい発明であると認められる期間)の変更、不合理な遅延を理由とした特許期間の延長、商標法における法定賠償制度の導入の3つなのだが、見るべきは、この資料で商標法における法定賠償制度の内容について多少詳細が示されたことだろう。前回取り上げた著作権法の場合と同様、商標法においても、民法の原則(填補賠償の考え方)を踏まえ、法定賠償として請求できるのは「登録商標の取得及び維持に通常要する費用に相当する額」を請求可能とすることとしているのである。

 具体的な条文の書き方にもより、「登録商標の取得及び維持に通常要する費用に相当する額」がどの程度の額を意味するか解釈の幅があり得るとも考えられるものの、民法の原則である填補賠償の考え方に従っている限り、これがそう大きな額になるということはなく、商標権の取得・維持のためにかかる出願料と登録料程度を意味すると考えておけば良いのだろう。(そうだとしても濫用の危険については十分注意する必要があるが。)

 そのため、TPP協定に絡む特許法と商標法の改正に関しては著作権法の場合のような問題はそこまでないと思えるが、特許庁がTPPに絡む法改正のような重要な論点を含む検討を一般に分かりにくい形で行っていることはやはり問題だろう。

 また、最後に合わせて先週2月24日の文化審議会・著作権分科会・法制・基本問題小委員会で取りまとめられた報告書の内容も見ておくと(文化庁のHPにはまだ掲載されていないが、MIAUがそのツイートの通り資料をアップロードしてくれている)、前々回取り上げた2月10日時点の資料と比べ多少注釈や関係者の意見が追加されているくらいで大きな方針の変更は全くない。

 ただし、前回取り上げた法定賠償制度に関する部分で、協定との関係について以下のような補足の記載が多少追加されているのは、国会での議論を受けて文化庁内部で検討した結果だろうか。

「権利者を補償するために十分な額に定め,及び将来の侵害を抑止することを目的とする」(TPP協定第18・74条第8項)との関係については,現行規定による所定の損害額の請求が可能であることによりこれらの要件を満たし得るとの意見が示された。特に,「将来の侵害を抑止することを目的とする」との規定との関係については,填補賠償を認める現行制度が侵害を抑止する効果を発生させるものであると評価できること,及びTPP協定は自国の法制等の範囲内で協定上の義務を実施することを許容していることから,現行制度によって協定上の当該義務は満たし得るとの意見があった。(第36ページ)

これに関連して,最高裁は,我が国の損害賠償制度について,「加害者に対する制裁や,将来における同様の行為の抑止,すなわち一般予防を目的とするものではない」とするー方で,「もっとも,加害者に対して損害賠償義務を課すことによって,結果的に加害者に対する制裁ないし一般予防の効果を生ずることがあるとしても,それは被害者が被った不利益を回復するために加害者に対し損害賠償義務を負わせたことの反射的,副次的な効果にすぎず,加害者に対する制裁及び一般予防を本来的な目的とする懲罰的損害賠償の制度とは本質的に異なるというべきである」と判示しており,加害者に損害賠償責任を負わせることにより,同種の侵害が抑止され,一般予防が図られるという副次的効果が生ずることがあることを認めている。(萬世工業事件最高裁判決[最判平成9年7月11日民集51巻6号2573頁])。(同第36ページ注93)

なお,新たに整備すべき制度の対象は著作権等管理事業者により管理されている著作物等に限られることとなる点について,協定上の義務との関係をどのように理解すべきかが問題となりえる。この点,今回の制度改正の趣旨は,前記のとおり, 「法定の損害賠償」との関係では,全ての著作物等に適用される法第114条第3項等の規定が既に整備されているところ,これを前提としつつ,協定の趣旨をより適切に反映する観点から,填補賠償原則の枠内で更なる制度の改善の余地がある部分について制度の整備を行うこととするものである。(第39ページ)

 2月29日に文化庁で著作権分科会が開かれるが、恐らく報告書の内容にさらに変更が加えられることはないだろうし、特許庁でもまた審議会が開かれる様子はないので、報道されているように、政府としてはこれらの資料の内容通りの法改正案を3月8日に閣議決定するつもりなのだろう。

 しかし、アメリカでも大統領選を前にTPP反対論がかなり出て来ている中でどうして日本政府がそこまでTPP関連法案の可決を急ぐのか、その著作権法改正案などの施行がTPP発効に合わされるだろうことを考え合わせても実に不可解と言う他ない。私は無論TPP協定の批准にも、これらの法改正案の内容にも反対だが、たとえTPP協定批准のために関連法改正案を検討するにしても、アメリカを中心として他の国の動向も見ながらもっと慎重に進めるべきだろう。

(2016年2月29日の追記:産業構造審議会・知的財産分科会は開催案内が出されており、非公開というのは私の勘違いだったので、記載を修正した(「一般に非公開の形で」→「一般に分かりにくい形で」)。)

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2015年12月29日 (火)

第355回:2015年の終わりに

 国会は閉会中、役所も正月休みに入り、年内に何か政策的に新しいことが言い出されるということはもうないだろうと思うので、今年も最後にマイナーなことも含め国内の動向についてまとめて書いておきたいと思う。

 まず、知財本部では、知的財産推進計画2016策定に向けた検討が始まっており、検証・評価・企画委員会の下の知財紛争処理システム検討委員会と次世代知財システム検討委員会でそれぞれ知財訴訟制度と自動集積されるデータベースの取り扱いなどに関する検討が進められているが、政策的にはっきりとした方向性はまだ出されていない。第338回で書いた通り、最も気になっているのは、次世代知財システム検討委員会で来年2月に検討される予定の国境を越えるインターネット上の知財侵害への対応についてだが、委員会メンバーはそこまで偏った構成になっておらず、ここでそう変な結論を出して来ることは恐らくないのではないかと踏んでいるがどうだろうか。

 次に、特許庁では、産業構造審議会知的財産分科会の特許制度小委員会や審査基準ワーキンググループ(特許意匠商標)などが開催されており、経産省では、営業秘密の保護・活用に関する小委員会が開催されているが、いずれも地道な法改正のフォローアップや基準の改訂に関する話ばかりで、文化庁と違って、TPPに絡む特許法改正に関する審議会での検討はされていない。(両方ともマニアックなものなので内容の説明は省略するが、それぞれ1月9日と1月19日〆切で、特許庁から、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令案に対する意見募集産業構造審議会知的財産分科会意匠制度小委員会報告書「画像デザインの保護の在り方について」(案)に対する意見募集の2つのパブコメが出されているので、念のためここでもリンクを張っておく。)

 また、農林水産省は、その初回登録に関するリリースにある通り、地理的表示の登録を開始している。

 そして、文化庁では、分化審議会著作権分科会の下で、TPP対応に関することを検討していた法制・基本問題小委員会の他にも、著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会新たな時代のニーズに的確に対応した制度等の整備に関するワーキングチームなども開かれているが、例によって利害関係者の間の意見の隔たりは大きく、現時点でどうともなっていない。

 TPPに絡む法改正については、文化庁、知財本部の検討を経て、TPP総合対策本部の11月25日のTPP関連政策大綱(pdf)において、「Ⅱ TPP関連政策の目標/3 分野別施策展開/(3)知的財産」で、

 TPP協定の締結に必要な国内実施のため、国内法との整合性に留意しつつ、必要な措置を講ずる。また、TPPを契機として、輸出促進に向けた地理的表示(GI)等に関する措置を講ずる。

①特許・商標関係
○不合理な遅延に係る特許権期間延長、特許の新規性喪失例外期間の延長、商標不正使用に対する民法の原則を踏まえた法定の損害賠償制度等に関し、所要の措置を講ずる。
〇地域中小企業等の知財戦略の強化や、特許審査体制の整備・強化を図る。
〇TPP協定実施のための制度の整備状況等を踏まえつつ、知財紛争処理システムの一層の機能強化のための総合的な検討を進める。

②著作権関係
○著作物等の保護期間の延長、著作権等侵害罪の一部非親告罪化、著作権等侵害に対する民法の原則を踏まえた法定の損害賠償制度等に関し、所要の措置を講ずる。その際、権利の保護と利用とのバランスに留意し、特に、著作権等侵害罪の一部非親告罪化については、二次創作への委縮効果等を生じないよう、対象範囲を適切に限定する。
○著作物等の利用円滑化のため、権利者不明等の場合の裁定制度の改善を速やかに行うとともに、社会的諸課題への対応、柔軟性の高い権利制限規定、円滑なライセンシング体制の整備等に関する検討を進める。

と、「Ⅳ 政策大綱実現に向けた主要施策/3 分野別施策展開/(3)知的財産」で、

○地理的表示の相互保護制度整備による農林水産物の輸出促進等
(我が国の地理的表示(GI)の海外での保護を通じた農林水産物の輸出促進を図るための諸外国と相互にGIを保護できる制度整備)

①特許・商標関係
○特許・商標関係の制度整備
(不合理な遅延に係る特許権期間延長、特許の新規性喪失例外期間の延長、商標不正使用に対する民法の原則を踏まえた法定の損害賠償等に関する制度整備)

②著作権関係
○著作権関係の制度整備
(著作物等の保護期間の延長、著作権等侵害罪の一部非親告罪化、著作物等の利用を管理する効果的な技術的手段に関する制度整備、配信音源の二次使用に対する使用料請求権の付与、著作権等侵害に対する民法の原則を踏まえた法定の損害賠償等に関する制度整備)

とまとめられた所で、今後さらに各法改正の詳細が各省庁の審議会と国会で検討されるのではないかと思われる。今年は知財政策についてはTPPに終始したと言っても過言ではない年だったし、来年の通常国会でTPP関連の法改正の審議を行うとの報道もあり、来年もTPP問題が一番の焦点になりそうな様子であるが、そもそも私はTPPに絡む上記の法改正のほぼ全ての点について反対であり、速やかに脱退するべきと思っていることに変わりはなく、TPPについても拙速な検討による法改正がなされないことを、率先して法改正までしたが結局どこの国もついて来なかった海賊版対策条約(ACTA)の二の舞にならないことを強く願っている。

 なお、最後についでに書いておくと、官房長官が図書が有害かどうかで軽減税率の適用・消費税率が変わるような制度を検討すると言い出しているということもあり、どうやら有害図書問題でも来年はきな臭い年になりそうである。

 ここ何年もどうにも良い話がなく、今年も良い年をという気にはならないが、政官業に巣食う全ての利権屋に悪い年を。そして、この拙いブログを読んでくださっている方々に心からの感謝を。

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2015年3月23日 (月)

第334回:閣議決定された特許法等改正案と不正競争防止法改正案

 この3月13日に特許法等改正案と不正競争防止法改正案が閣議決定され、国会に提出された。ほぼ審議会報告書通りで、以前書いたことと重なるが、念のためその内容を見ておきたい。

(1)特許法等改正案
 経産省のHPで公開された特許法等改正案の概要(参考資料)(pdf)には、法改正案のポイントについて以下のように書かれている。(概要(pdf)要綱(pdf)法律案・理由(pdf)新旧対照表(pdf)も公開されている。)

  • 職務発明の活性化:職務発明に関する特許を受ける権利を初めから法人帰属とすることを可能とする/発明者に対して現行法と実質的に同等のインセンティブ付与を法定/法人と発明者の間でのインセンティブ決定手続のガイドライン策定を法定化【特許法第35条】
  • 特許料等の改定:特許料を10%程度引き下げ/商標登録料を25%程度、更新登録料を20%程度引き下げ/国際出願の調査手数料等を日本語及び外国語別の料金体系に改正【特許法第107条第1項、商標法第40条第1項、国際出願法第18条第2項等】
  • 特許法条約、シンガポール条約(商標)への加入:外国語出願における翻訳文の提出期間を経過した場合の救済規定等の導入/書類の添付忘れ等瑕疵ある出願について、一定期間内に限り補完を可能とする制度を導入等【特許法第5条、第36条の2、商標法第9条等】

 料金や書類の提出期間経過後の救済規定なども重要には違いないがここではおくとして、今まで発明の自然人帰属の原則から出発して権利承継の形を取っていた職務発明について初めから法人帰属を可能とする、特許法に置ける今までの考え方の大転換の一つとも言っても良いだろう職務発明関連規定の条文案は以下のような形になっている。(下線部が追加部分。)

(職務発明)
第三十五条

(略)
 従業者等がした発明については、その発明が職務発明である場合を除き、あらかじめあらかじめ、使用者等に特許を受ける権利若しくは特許権を承継させを取得させ、使用者等に特許権を承継させ、又は使用者等のため仮専用実施権若しくは専用実施権を設定することを定めた契約、勤務規則その他の定めの条項は、無効とする。

 従業者等がした職務発明については、契約、勤務規則その他の定めにおいてあらかじめ使用者等に特許を受ける権利を取得させることを定めたときは、その特許を受ける権利は、その発生した時から当該使用者等に帰属する。

 従業者等は、契約、勤務規則その他の定めにより職務発明について使用者等に特許を受ける権利若しくは特許権を取得させ、使用者等に特許権を承継させ、若しくは使用者等のため専用実施権を設定したとき、又は契約、勤務規則その他の定めにより職務発明について使用者等のため仮専用実施権を設定した場合において、第三十四条の二第二項の規定により専用実施権が設定されたものとみなされたときは、相当の対価の支払金銭その他の経済上の利益(次項及び第七項において「相当の利益」という。)を受ける権利を有する。

 契約、勤務規則その他の定めにおいて前項の対価相当の利益について定める場合には、対価を、相当の利益の内容を決定するための基準の策定に際して使用者等と従業者等との間で行われる協議の状況、策定された当該基準の開示の状況、対価の額の算定相当の利益の内容の決定について行われる従業者等からの意見の聴取の状況等を考慮して、その定めたところにより対価を支払うことが不合理相当の利益を与えることが不合理であると認められるものであつてはならない。

 経済産業大臣は、発明を奨励するため、産業構造審議会の意見を聴いて、前項の規定により考慮すべき状況等に関する事項について指針を定め、これを公表するものとする。

 前項の対価相当の利益についての定めがない場合又はその定めたところにより対価を支払うことが同項相当の利益を与えることが第五項の規定により不合理であると認められる場合には、第三項の対価の額第四項の規定により受けるべき相当の利益の内容は、その発明により使用者等が受けるべき利益の額、その発明に関連して使用者等が行う負担、貢献及び従業者等の処遇その他の事情を考慮して定めなければならない。

 上の経産省の概要資料では項目名が「職務発明の活性化」になっているが、この法改正で職務発明が活性化されることがないだろうことだけはほぼ断言できるし、実際のところ職務発明について法改正を是とするに足る立法事実の変化が大してなかったにもかかわらず、このような法改正案が出て来たことは私としてはやはり釈然としない。

 ただし、「相当の対価」については「相当の利益」と書き換える形でほぼ従前の規定ぶりを踏襲しており、法改正による金銭的な面での実際の変化はそれほど大きくないようにも見える。しかし、この法改正は従業発明者にしてみれば権利の切り下げであり、また、「対価」という語を「利益」という語にしたことから従業発明者にとって不利な解釈変更が生じないとも限らず、この法改正が成立した場合、第6項の規定から経済産業省(特許庁)が作るに違いない指針と合わせ、その運用は十分に注視して行く必要があるだろう。

 また、上の概要にも特許法条約、シンガポール条約への加入と書かれている通り、それぞれの条約の締結の承認も合わせ国会に提出されており、並行して審議が進められることになるのだろう。(それぞれ経過情報1参照。)

(2)不正競争防止法改正案
 同じく経産省のHPで公開されている不正競争防止法の概要(参考資料)(pdf)から法改正のポイントを抜き出すと以下のようになる。(概要(pdf)要綱(pdf)法律案・理由(pdf)新旧対照表(pdf)も公開されている。)

  • 法定刑の引上げ等:抑止力向上のため、罰金刑を引き上げる。(現行:個人1千万円以下、法人3億円以下)また、犯罪収益を没収できることとする。【第21条第1項、第3項、第10項】
  • 非親告罪化:営業秘密侵害罪を非親告罪とする(公訴提起にあたって被害者からの告訴が不要となる)。【新第21条第5項】
  • 立証負担の軽減:立証が困難である「加害者(被告)の企業情報の不正使用」について、一定の要件の下、被害者の立証負担を軽減する。(被告が当該情報の不使用を立証)【新第5条の2】
  • 企業情報使用物品の譲渡・輸出入等行為:企業情報を侵害して生産された物品を譲渡・輸出入等する行為を、損害賠償や差止請求の対象とするとともに、刑事罰の対象とする。【民事:新第2条第1項第10号】【刑事:新第21条第1項第9号】
  • 企業情報窃取等の未遂行為:「サイバー攻撃」などによる企業情報窃取や転売等の未遂行為を刑事罰の対象とする。【新第21条第4項】
  • 転々流通した企業情報の転得者:転々流通する企業情報について、不正に取得されたことを知って取得した者による使用、転売等を刑事罰の対象とする。(現行:実行行為者からの直接の取得者のみ)【新第21条第1項第8号】
  • クラウドなど海外保管情報の窃取:日本企業が国内で管理し、海外で保管する情報の「取得・領得」行為も刑事罰の対象とする。(例:海外サーバーからの情報窃取など)【新第21条第6項】

 条文案を引くと長くなるので省くが、前にも書いた通り、この法改正案は、営業秘密関係について現時点で考えられる規制強化をほとんど全て詰め込んだものになっており、やはり非常に企業寄りのものになっている。

 さらに広い意味で情報関係ということでは、刑事訴訟法等の改正案や個人情報保護法の改正案も閣議決定されている。それぞれ知財とは少し離れるので詳細は省くが、刑事訴訟法等の改正案(法務省のHP参照)は取り調べの可視化の範囲をかなり限定しながら、司法取引を導入し、通信傍受の範囲を拡大するなど検察・警察にとって非常に有利な内容になっており、特に、児童ポルノ規制法との関係では、通信傍受法において、傍受対象の共謀犯罪類型を規定する別表第二の第3号として「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第七条第六項(児童ポルノ等の不特定又は多数の者に対する提供等)又は第七項(不特定又は多数の者に対する提供等の目的による児童ポルノの製造等)の罪」という項目が追加されることになりそうである。

 そして、個人情報保護法の改正案(内閣官房のHP参照)では、一番問題視されていた同意なしでの利用目的の変更に関する規定がなくなったので、最も問題となるのは匿名加工情報に関する部分のように思うが、第36条第1項の「個人情報取扱事業者は、匿名加工情報(匿名加工情報データベース等を構成するものに限る。以下同じ。)を作成するときは、特定の個人を識別すること及びその作成に用いる個人情報を復元することができないようにするために必要なものとして個人情報保護委員会規則で定める基準に従い、当該個人情報を加工しなければならない。」に始まり、個人情報保護委員会の規則が非常に重要となる形となっている。そのため、これも現時点では、この規則次第としか言いようがないが、この規則が企業寄りの甘いものとなり、法改正が通った後どこかの時点で匿名加工情報の取り扱いが問題になる可能性もかなりあるだろうと私は見ている。

 今年これから予定される法改正は、利用者、消費者又は従業者側の視点が全くないとまで言うつもりはないし、今の流れから見てやむを得ないだろうとも思うが、どうにも企業寄りで、全体としてあまり期待は持てない。

(2015年3月24日夜の追記:いくつか誤記を直した。)

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2015年1月19日 (月)

第330回:経産省・営業秘密の保護・活用に関する小委員会中間とりまとめ(不正競争防止法改正・営業秘密の保護強化)に対するパブコメ募集(1月30日〆切)

 先週1月16日に1月30日〆切で経産省から産業構造審議会・知的財産分科会・営業秘密の保護・活用に関する小委員会の中間とりまとめに関するパブコメが開始された(電子政府の意見募集ページ参照)。前回書いたことと多く重なるのだが、今年最初の知財法改正パブコメとして重要なものには違いないので、念のため、ここで取り上げておきたいと思う。

 この中間とりまとめ(pdf)は産業構造審議会・知的財産分科会・営業秘密の保護・活用に関する小委員会で去年から検討されていたことをまとめた報告書であり、不正競争防止法で規定されている営業秘密の保護に関して非常に多くの法改正事項を含む内容となっている。

 報告書中の「3.今後の対応」の「(3)制度面での抑止力向上」からそのポイントを抜き出して行くと、まず、刑事規定に関して、

  • 国外処罰:「国外における故意での営業秘密の不正取得・領得を処罰の対象とする。」
  • 未遂処罰:「故意での営業秘密の取得・領得及び使用・開示行為について、その未遂行為も処罰の対象とする。」
  • 転得者処罰:「窃盗行為者本人からの直接の取得に限らず(三次以降の取得者であっても)、不正に取得されたことを知って故意で営業秘密を使用ないし開示する行為を処罰行為とする。」
  • 営業秘密使用物品の譲渡・輸出入等の処罰:「営業秘密使用物品(営業秘密を不正に使用して生産された物品)であることを知って、故意でそれを譲渡・輸出入等する行為を処罰対象とする。」
  • 罰金の引き上げ:「個人及び法人に対する罰金刑を引き上げる。」
  • 非親告罪化:「営業秘密侵害罪を非親告罪とする。」

という方向性が書かれており、さらに、民事規定に関して、

  • 被害企業の立証負担の軽減・立証責任の転換:「営業秘密侵害訴訟における立証責任を公平に配分する観点から、不正若しくは悪意重過失で一定の営業秘密を取得した者には、当該営業秘密を使用する蓋然性・経験則が認められると考えられることから、原告側が被告による不正取得や原告の営業秘密を用いて生産できる物を生産していること等を立証した場合には、被告による営業秘密の使用行為を推定し、不使用の事実の立証責任を被告側に転換する。」、「原告が次の①〜③の全ての事項を立証した場合、被告の物に原告の営業秘密を使用したことを推定し、被告に立証責任を転換する。①被告による②の営業秘密の不正取得(法2条1項4号)又は悪意重過失での取得(同条項5号、8号)があったこと。②物の生産方法の営業秘密であること。(生産方法以外の技術上の営業秘密(物の分析技術など)についても引き続き検討。)③被告がその営業秘密を使用する行為により生じる物の生産等を行ったこと。」
  • 除斥期間の延長:「除斥期間を20年に延長する。」
  • 営業秘密使用物品の譲渡・輸出入等の禁止:「一定の条件(技術上の営業秘密を使用する不正競争行為により生じた物品であることについて、その譲り受け時に悪意・重過失である場合等)下で、営業秘密使用物品について譲渡・輸出入等する行為を、民事措置(差止・損害賠償)の対象とする。」

という方向性が書かれている。

 このように法改正事項がてんこ盛りとなったのは、企業側の要望を受け、現時点で考えられる営業秘密保護強化案をほとんど全て突っ込んだ所為と思われるが、実のところ本当の意味で法改正の根拠となる立法事実の変化はどうかと見て行くとかなり怪しいものが多いのは前回取り上げた特許庁の報告書案の職務発明制度改正案と五十歩百歩と言って良い。

 どこまで裁判で認められるか分からないものの、同じ小委員会で承認された営業秘密の要件の緩和を唱えるガイドラインの改訂(第4回資料中の改訂案(pdf)参照)もあり、法改正後の実運用次第だが、上であげた未遂処罰、非親告罪化、使用物品の譲渡の禁止のような営業秘密の保護強化によってかなりの萎縮が生じる可能性も否定できない。恐らくほぼこのままの内容で不正競争防止法改正案が国会に提出されることになるのだろうが、実際にどのような形の規定とされるのかその条文案にも十分注意する必要があるだろう。

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2014年12月26日 (金)

第329回:2014年の落ち穂拾い

 衆議院選挙が終わり、組閣が行われたが、自民党の議席も、内閣のメンバーもほとんど変わらなかった。そのため、やはり当分厳しい状況が続くだろうことはともかく、今年もなかなか書く暇がなかった話を最後にまとめて書いておきたいと思う。

 まず、特許、商標、意匠関連では、この12月25日に、特許庁の産業構造審議会・知的財産分科会・特許制度小委員会で、「我が国のイノベーション促進及び国際的な制度調和のための知的財産制度の見直しに向けて」(案)(pdf)がとりまとめられ、1月15日〆切でパブコメにかけられている(特許庁HPの意見募集ページ、電子政府HPの意見募集ページ参照)。

 この特許庁の報告書案中に含まれている事項は、職務発明制度の見直し、特許料金等の改定、特許法条約及び商標法に関するシンガポール条約の加入の3点である。これらの中でも法改正事項としてもっとも注意すべきなのは、職務発明制度の見直しだろうと思うが、そのポイントだけを抜き出すと、

  • 第一に、職務発明に関する特許を受ける権利については、使用者等に対し、契約や勤務規則等の定めに基づき、発明のインセンティブとして、発明成果に対する報いとなる経済上の利益(金銭以外のものを含む)を従業者等に付与する義務を課すことを法定する。
  • 第二に、職務発明に関する「特許を受ける権利」については、現行制度を改め、初めから使用者等に帰属するものとする。
  • 第三に、政府は、インセンティブ施策の策定の際に使用者等に発生するコストや困難を低減し、法的な予見可能性を高めるため、本小委員会等の場において関係者の意見を聴いて、インセンティブ施策についての使用者等と従業者等の調整の手続(従業者等との協議や意見聴取等)に関するガイドラインを策定する。

と、職務発明に関する特許を受ける権利の帰属を基本的に始めから企業にするとしており、今までの特許法の考え方をかなりラディカルに変える結論になっている。職務発明制度について法改正を是とするに足る立法事実の変化が実のところ大してないことは、文章として書かれていることがどうあれこの報告書案の薄さが端的に示しているとは思うが、特許庁としてはこのまま突っ走るのだろう。(条約等に関する話も実務的には非常に重要なのだが、あまりにマニアックな話となるためここでは省略する。また、基準レベルの検討を行っているものとして、今年、他にも特許庁では特許審査基準WG意匠審査基準WG商標審査基準WGなどが動いており、意見募集として、1月16日〆切で特許異議の申立て制度の運用(案)に対する意見募集無効審判における請求人適格に関する運用(案)に対する意見募集も、1月17日〆切で特許法改正政令案に対する意見募集も、1月22日〆切で省令案に対する意見募集も、1月23日〆切で「商標審査基準」改訂案に対する意見募集も行われている。)

 また、経産省の産業構造審議会・知的財産分科会・営業秘密の保護・活用に関する小委員会では、ガイドラインだけでなく、不正競争防止法の見直しも進められており、こちらの報告書案はまだ作られていないようだが、11月27日の第3回の資料中の営業秘密の流出防止のための制度整備について(論点)(pdf)には、

  • 国外における営業秘密の「不正取得・領得」についても国外犯処罰規定の対象としてはどうか。
  • 営業秘密の取得・領得及び使用・開示行為について、その未遂行為も処罰の対象としてはどうか。
  • 窃取行為者本人からの直接の取得に限らず(三次以降の取得者であっても)、不正に取得されたことを知って営業秘密を使用ないし開示する行為を処罰対象としてはどうか。
  • 営業秘密使用物品について譲渡・輸出入等する行為を、刑事措置・民事措置(差止・損害賠償の対象としてはどうか。
  • 法人重課を含め罰金刑の上限を引き上げることとしてはどうか。
  • 営業秘密侵害罪を非親告罪とする。

などと書かれており、これも未遂罪の追加や非親告罪化なども含め、かなりの厳罰化の方向で検討が進められそうな様子である。

 文化庁では、今年も著作権分科会の下で、著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会法制・基本問題小委員会国際小委員会の3つの委員会が開かれているが、いつも通り利害関係者がそれぞれ言いたいことを言っているだけで、ほとんどどうにもなっていない。

 また、知財本部では検証・評価・企画委員会が開催されており、クールジャパン会議も地方版が開催されたりしているが、今のところこれと言って大した検討はされていない。

 最後に、知財政策とは離れるが、IT本部でこの12月19日にパーソナルデータに関する検討会の第13回が開かれ、そこで個人情報の保護に関する法律の一部を改正する法律案(仮称)の骨子(案)(pdf)の検討がされている。この骨子案でも個人情報の保護について本当の意味で十分とは言い難いが、前の大綱と比べ(前の大綱については第316回参照)、個人情報の定義の拡充や個人情報データベース提供罪の新設などを言っているだけ、かなりマシになっている。恐らくこの骨子案通りに法改正案が作られ、国会に提出されるのではないかと思うが、情報政策の面で非常に重要な法改正であり、実際にどのような条文が国会に提出されるのかも要注意である。

 これらの動きを見るにつけ、知財政策の面では、やはり来年もTPP交渉が最大のトピックであり、職務発明と営業秘密保護法制に関する法改正がそれに次いで重要なトピックとなりそうである。

 それでは、政官業に巣食う全ての利権屋に悪い年を、そして、このつたないブログを読んでくださっている方に心からの感謝を。

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2014年5月 6日 (火)

第311回:閣議決定された地理的表示保護法案の内容

 4月25日に第309回で取り上げた著作権法改正案と特許法等改正案がそれぞれ衆参を通過し、成立した(関連条約の視聴覚的実演に関するに関する北京条約と意匠に関するハーグ・ロカルノ協定も衆議院を通過し参議院の審議待ちという状態にある)。そして、知財本部から5月16日〆切で開始されている知財計画2014向けのパブコメも出すつもりでいるが、やはり4月25日に閣議決定され、国会提出がされた地理的表示保護法案が農水省のHPで公開されているので先にその内容を紹介しておきたいと思う。

 地理的表示保護法(正式名称は「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」)については2012年の農水省研究会での検討以降さっぱり音沙汰がなく、どうなっているのかと思っていたものだが、提出された法律案(pdf)概要(pdf)要綱(pdf)理由(pdf)も参照)を見る限りそれほど違和感はなく、このまま通っても特に問題はないだろうと思える内容になっている。

 そうは言ってもこれは新法によって知的財産の保護拡大を図るものであり、決して小さな話ではないので、ざっとポイントとなる部分の条文を見て行くと、第二条の定義で、

(定義)
第二条
 この法律において「農林水産物等」とは、次に掲げる物をいう。ただし、酒税法(昭和二十八年法律第六号)第二条第一項に規定する酒類並びに医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第一項に規定する医薬品、同条第二項に規定する医薬部外品、同条第三項に規定する化粧品及び同条第九項に規定する再生医療等製品に該当するものを除く。
 農林水産物(食用に供されるものに限る。)
 飲食料品(前号に掲げるものを除く。)
 農林水産物(第一号に掲げるものを除く。)であって、政令で定めるもの
 農林水産物を原料又は材料として製造し、又は加工したもの(第二号に掲げるものを除く。)であって、政令で定めるもの

 この法律において「特定農林水産物等」とは、次の各号のいずれにも該当する農林水産物等をいう。
 特定の場所、地域又は国を生産地とするものであること。
 品質、社会的評価その他の確立した特性(以下単に「特性」という。)が前号の生産地に主として帰せられるものであること。

 この法律において「地理的表示」とは、特定農林水産物等の名称(当該名称により前項各号に掲げる事項を特定することができるものに限る。)の表示をいう。

と書かれ、ここで対象を農林水産物、飲食料品に限定し、酒や医薬・化粧品を明示的に除外しつつ、地理的表示とは生産地と特性を特定できる名称の表示であると定めている。

 そして、第六条で、

(特定農林水産物等の登録)
第六条
 生産行程管理業務を行う生産者団体は、明細書を作成した農林水産物等が特定農林水産物等であるときは、当該農林水産物等について農林水産大臣の登録を受けることができる。

と書かれている通り、地理的表示の保護のためには登録が必要とされている。

 その登録のための申請の様式は第7条に規定されており、第8条で登録の申請から公示が行われることが、第9条で申請の公示から三ヶ月間誰でも意見の提出が可能とされることが、第10条で意見提出期間満了後に学識経験者の意見の聴取を経て登録が行われることが書かれている。

 登録拒否要件は第13条に書かれているが、その第3号及び第4号(生産団体関連以外)は、

 登録の申請に係る農林水産物等(次号において「申請農林水産物等」という。)について次のいずれかに該当するとき。
 特定農林水産物等でないとき。
 その全部又は一部が登録に係る特定農林水産物等のいずれかに該当するとき。
 申請農林水産物等の名称について次のいずれかに該当するとき。
 普通名称であるとき、その他当該申請農林水産物等について第二条第二項各号に掲げる事項を特定することができない名称であるとき。
 次に掲げる登録商標と同一又は類似の名称であるとき。
(1)申請農林水産物等又はこれに類似する商品に係る登録商標
(2)申請農林水産物等又はこれに類似する商品に関する役務に係る登録商標

というもので、申請名称が普通名称になっている場合や既存の登録商標と同一又は類似の場合は登録が拒否されることとなっている。(ただし、同条第2項で商標権者の承諾を受けている場合は除くとされている。)

 その権利行使に関しては、直接行使の規定はないので、(一般的な民法上の損害賠償請求はできると思うが)以下の第5条に定められている農水大臣命令を通じた執行が原則となるのではないかと思う。

(措置命令)
第五条
 農林水産大臣は、次の各号に掲げる規定に違反した者に対し、当該各号に定める措置その他の必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
 第三条第二項地理的表示又はこれに類似する表示の除去又は抹消
 前条第一項登録標章を付すること。
 前条第二項登録標章又はこれに類似する標章の除去又は抹消

 商標権との関係ということでは、第3条第2項で既存の商標権を有する者は商標をそのまま使用できるとされ、合わせて入る商標法の改正で、地理的表示を付することには商標権の効力が及ばないとされるので、権利の間の抵触が大きな問題となることもないだろう。

 別になくとも分かる方には分かると思うが、上で書いたことをまとめて、この法律で新たに作られる地理的表示保護制度はどのようなものかということを示すために、最も近く重なりが大きいと考えられる地域団体商標制度との比較表を試しに作ってみると以下のようになる。
Gi2
 このように比較してみると権利として弱いところがあるのは否めないものの、新法としては十分だろうし、法案が成立すれば、商標法と比較した上でより良い保護が受けられる方を(あるいは両方を)選択して行くことができるようになるだろう。

 全体的に見て特に大きな問題は見当たらず、商標法との関係をどうするかということを含めて長年の懸案だった日本における地理的表示保護法制の形について一定の方向性を定めるものとして、この法案もこのまま成立してくれて良いと私は思っているが、今年になって突然この法改正が浮上した背景にはTPP交渉の進展があるのだろうとも踏んでおり(地理的表示の保護とTPPの関係については第303回第304回参照)、日本の知財法制にとっても大きな影響を間違いなく持つTPP交渉の行方について私はなお非常に大きな懸念を抱いている。

 次回は知財計画パブコメ提出エントリの予定である。

(以下、条文案の転載)

特定農林水産物等の名称の保護に関する法律

目次
第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 特定農林水産物等の名称の保護(第三条—第五条)
第三章 登録(第六条—第二十二条)
第四章 雑則(第二十三条—第二十七条)
第五章 罰則(第二十八条—第三十二条)
附則

第一章 総則
(目的)
第一条
 この法律は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定附属書一Cの知的所有権の貿易関連の側面に関する協定に基づき特定農林水産物等の名称の保護に関する制度を確立することにより、特定農林水産物等の生産業者の利益の保護を図り、もって農林水産業及びその関連産業の発展に寄与し、併せて需要者の利益を保護することを目的とする。

(定義)
第二条
 この法律において「農林水産物等」とは、次に掲げる物をいう。ただし、酒税法(昭和二十八年法律第六号)第二条第一項に規定する酒類並びに医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第一項に規定する医薬品、同条第二項に規定する医薬部外品、同条第三項に規定する化粧品及び同条第九項に規定する再生医療等製品に該当するものを除く。
 農林水産物(食用に供されるものに限る。)
 飲食料品(前号に掲げるものを除く。)
 農林水産物(第一号に掲げるものを除く。)であって、政令で定めるもの
 農林水産物を原料又は材料として製造し、又は加工したもの(第二号に掲げるものを除く。)であって、政令で定めるもの

 この法律において「特定農林水産物等」とは、次の各号のいずれにも該当する農林水産物等をいう。
 特定の場所、地域又は国を生産地とするものであること。
 品質、社会的評価その他の確立した特性(以下単に「特性」という。)が前号の生産地に主として帰せられるものであること。

 この法律において「地理的表示」とは、特定農林水産物等の名称(当該名称により前項各号に掲げる事項を特定することができるものに限る。)の表示をいう。

 この法律において「生産」とは、農林水産物等が出荷されるまでに行われる一連の行為のうち、農林水産物等に特性を付与し、又は農林水産物等の特性を保持するために行われる行為をいい、「生産地」とは、生産が行われる場所、地域又は国をいい、「生産業者」とは、生産を業として行う者をいう。

 この法律において「生産者団体」とは、生産業者を直接又は間接の構成員(以下単に「構成員」という。)とする団体(法人でない団体にあっては代表者又は管理人の定めのあるものに限り、法令又は定款その他の基本約款において、正当な理由がないのに、構成員たる資格を有する者の加入を拒み、又はその加入につき現在の構成員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならない旨の定めのあるものに限る。)であって、農林水産省令で定めるものをいう。

 この法律において「生産行程管理業務」とは、生産者団体が行う次に掲げる業務をいう。
 農林水産物等について第七条第一項第二号から第八号までに掲げる事項を定めた明細書(以下単に「
明細書」という。)の作成又は変更を行うこと。
 明細書を作成した農林水産物等について当該生産者団体の構成員たる生産業者が行うその生産が当該
明細書に適合して行われるようにするため必要な指導、検査その他の業務を行うこと。
 前二号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。

第二章 特定農林水産物等の名称の保護
(地理的表示)
第三条
 第六条の登録(次項(第二号を除く。)及び次条第一項において単に「登録」という。)を受けた生産者団体(第十五条第一項の変更の登録を受けた生産者団体を含む。以下「登録生産者団体」という。)の構成員たる生産業者は、生産を行った農林水産物等が第六条の登録に係る特定農林水産物等であるときは、当該特定農林水産物等又はその包装、容器若しくは送り状(以下「包装等」という。)に地理的表示を付することができる。当該生産業者から当該農林水産物等を直接又は間接に譲り受けた者についても、同様とする。

 前項の規定による場合を除き、何人も、登録に係る特定農林水産物等が属する区分(農林物資の規格化等に関する法律(昭和二十五年法律第百七十五号)第七条第一項の規定により農林水産大臣が指定する種類その他の事情を勘案して農林水産大臣が定める農林水産物等の区分をいう。以下同じ。)に属する農林水産物等若しくはこれを主な原料若しくは材料として製造され、若しくは加工された農林水産物等又はこれらの包装等に当該特定農林水産物等に係る地理的表示又はこれに類似する表示を付してはならない。ただし、次に掲げる場合には、この限りでない。
 登録に係る特定農林水産物等を主な原料若しくは材料として製造され、若しくは加工された農林水産物等又はその包装等に当該特定農林水産物等に係る地理的表示又はこれに類似する表示を付する場合
 第六条の登録の日(当該登録に係る第七条第一項第三号に掲げる事項について第十六条第一項の変更の登録があった場合にあっては、当該変更の登録の日。次号及び第四号において同じ。)前の商標登録出願に係る登録商標(商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第二条第五項に規定する登録商標をいう。以下同じ。)に係る商標権者その他同法の規定により当該登録商標の使用(同法第二条第三項に規定する使用をいう。以下この号及び次号において同じ。)をする権利を有する者が、その商標登録に係る指定商品又は指定役務(同法第六条第一項の規定により指定した商品又は役務をいう。)について当該登録商標の使用をする場合
 登録の日前から商標法その他の法律の規定により商標の使用をする権利を有している者が、当該権利に係る商品又は役務について当該権利に係る商標の使用をする場合(前号に掲げる場合を除く。)
 登録の日前から不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく登録に係る特定農林水産物等が属する区分に属する農林水産物等若しくはその包装等に当該特定農林水産物等に係る地理的表示と同一の名称の表示若しくはこれに類似する表示を付していた者及びその業務を承継した者が継続して当該農林水産物等若しくはその包装等にこれらの表示を付する場合又はこれらの者から当該農林水産物等(これらの表示が付されたもの又はその包装等にこれらの表示が付されたものに限る。)を直接若しくは間接に譲り受けた者が当該農林水産物等若しくはその包装等にこれらの表示を付する場合
 前各号に掲げるもののほか、農林水産省令で定める場合

(登録標章)
第四条
 登録生産者団体の構成員たる生産業者は、前条第一項前段の規定により登録に係る特定農林水産物等又はその包装等に地理的表示を付する場合には、当該特定農林水産物等又はその包装等に登録標章(地理的表示が登録に係る特定農林水産物等の名称の表示である旨の標章であって、農林水産省令で定めるものをいう。以下同じ。)を付さなければならない。同項後段に規定する者についても、同様とする。

2 前項の規定による場合を除き、何人も、農林水産物等又はその包装等に登録標章又はこれに類似する標章を付してはならない。

(措置命令)
第五条
 農林水産大臣は、次の各号に掲げる規定に違反した者に対し、当該各号に定める措置その他の必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
 第三条第二項地理的表示又はこれに類似する表示の除去又は抹消
 前条第一項登録標章を付すること。
 前条第二項登録標章又はこれに類似する標章の除去又は抹消

第三章 登録
(特定農林水産物等の登録)
第六条
 生産行程管理業務を行う生産者団体は、明細書を作成した農林水産物等が特定農林水産物等であるときは、当該農林水産物等について農林水産大臣の登録を受けることができる。

(登録の申請)
第七条
 前条の登録(第十五条、第十六条、第十七条第二項及び第三項並びに第二十二条第一項第一号ニを除き、以下単に「登録」という。)を受けようとする生産者団体は、農林水産省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を農林水産大臣に提出しなければならない。
 生産者団体の名称及び住所並びに代表者(法人でない生産者団体にあっては、その代表者又は管理人)の氏名
 当該農林水産物等の区分
 当該農林水産物等の名称
 当該農林水産物等の生産地
 当該農林水産物等の特性
 当該農林水産物等の生産の方法
 第二号から前号までに掲げるもののほか、当該農林水産物等を特定するために必要な事項
 第二号から前号までに掲げるもののほか、当該農林水産物等について農林水産省令で定める事項
 前各号に掲げるもののほか、農林水産省令で定める事項

 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
 明細書
 生産行程管理業務の方法に関する規程(以下「生産行程管理業務規程」という。)
 前二号に掲げるもののほか、農林水産省令で定める書類

 生産行程管理業務を行う生産者団体は、共同して登録の申請をすることができる。

(登録の申請の公示等)
第八条
 農林水産大臣は、登録の申請があったときは、第十三条第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定により登録を拒否する場合を除き、前条第一項第一号から第八号までに掲げる事項その他必要な事項を公示しなければならない。

 農林水産大臣は、前項の規定による公示の日から二月間、前条第一項の申請書並びに同条第二項第一号及び第二号に掲げる書類を公衆の縦覧に供しなければならない。

(意見書の提出等)
第九条
 前条第一項の規定による公示があったときは、何人も、当該公示の日から三月以内に、当該公示に係る登録の申請について、農林水産大臣に意見書を提出することができる。

 農林水産大臣は、前項の規定による意見書の提出があったときは、当該意見書の写しを登録の申請をした生産者団体に送付しなければならない。

(登録の申請の制限)
第十条
 次の各号のいずれにも該当する登録の申請は、前条第二項並びに次条第二項及び第三項の規定の適用については、第八条第一項の規定による公示に係る登録の申請について前条第一項の規定によりされた意見書の提出とみなす。この場合においては、農林水産大臣は、当該各号のいずれにも該当する登録の申請をした生産者団体に対し、その旨を通知しなければならない。
 第八条第一項の規定による公示に係る登録の申請がされた後前条第一項に規定する期間が満了するまでの間にされた登録の申請であること。
 当該登録の申請に係る農林水産物等の全部又は一部が第八条第一項の規定による公示に係る特定農林水産物等の全部又は一部に該当すること。

 前項第二号に該当する登録の申請は、前条第一項に規定する期間の経過後は、することができない。ただし、第八条第一項の規定による公示に係る登録の申請について、取下げ、第十三条第一項の規定により登録を拒否する処分又は登録があった後は、この限りでない。

(学識経験者の意見の聴取)
第十一条
 農林水産大臣は、第九条第一項に規定する期間が満了したときは、農林水産省令で定めるところにより、登録の申請が第十三条第一項第二号から第四号までに掲げる場合に該当するかどうかについて、学識経験を有する者(以下この条において「学識経験者」という。)の意見を聴かなければならない。

 前項の場合において、農林水産大臣は、第九条第一項の規定により提出された意見書の内容を学識経験者に示さなければならない。

 第一項の規定により意見を求められた学識経験者は、必要があると認めるときは、登録の申請をした生産者団体又は第九条第一項の規定により意見書を提出した者その他の関係者から意見を聴くことができる。

 第一項の規定により意見を求められた学識経験者は、その意見を求められた事案に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。

(登録の実施)
第十二条
 農林水産大臣は、登録の申請があった場合(第八条第一項に規定する場合を除く。)において同条から前条までの規定による手続を終えたときは、次条第一項の規定により登録を拒否する場合を除き、登録をしなければならない。

 登録は、次に掲げる事項を特定農林水産物等登録簿に記載してするものとする。
 登録番号及び登録の年月日
 第七条第一項第二号から第八号までに掲げる事項
 第七条第一項第一号に掲げる事項

 農林水産大臣は、登録をしたときは、登録の申請をした生産者団体に対しその旨を通知するとともに、農林水産省令で定める事項を公示しなければならない。

(登録の拒否)
第十三条
 農林水産大臣は、次に掲げる場合には、登録を拒否しなければならない。
 生産者団体について次のいずれかに該当するとき。
 第二十二条第一項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しないとき。
 その役員(法人でない生産者団体の代表者又は管理人を含む。において同じ。)のうちに、次のいずれかに該当する者があるとき。
(1)この法律の規定により刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
(2)第二十二条第一項の規定により登録を取り消された生産者団体において、その取消しの日前三十日以内にその役員であった者であって、その取消しの日から二年を経過しない者
 生産行程管理業務について次のいずれかに該当するとき。
 第七条第二項の規定により同条第一項の申請書に添付された明細書に定められた同項第二号から第八号までに掲げる事項と当該申請書に記載されたこれらの事項とが異なるとき。
 生産行程管理業務規程で定める生産行程管理業務の方法が、当該生産者団体の構成員たる生産業者が行うその生産が明細書に適合して行われるようにすることを確保するために必要なものとして農林水産省令で定める基準に適合していないとき。
 生産者団体が生産行程管理業務を適確かつ円滑に実施するに足りる経理的基礎を有しないとき。
 生産行程管理業務の公正な実施を確保するため必要な体制が整備されていると認められないとき。
 登録の申請に係る農林水産物等(次号において「申請農林水産物等」という。)について次のいずれかに該当するとき。
 特定農林水産物等でないとき。
 その全部又は一部が登録に係る特定農林水産物等のいずれかに該当するとき。
 申請農林水産物等の名称について次のいずれかに該当するとき。
 普通名称であるとき、その他当該申請農林水産物等について第二条第二項各号に掲げる事項を特定することができない名称であるとき。
 次に掲げる登録商標と同一又は類似の名称であるとき。
(1)申請農林水産物等又はこれに類似する商品に係る登録商標
(2)申請農林水産物等又はこれに類似する商品に関する役務に係る登録商標

 前項(第四号ロに係る部分に限る。)の規定は、次の各号のいずれかに該当する生産者団体が同項第四号ロに規定する名称の農林水産物等について登録の申請をする場合には、適用しない。
 前項第四号ロに規定する登録商標に係る商標権者たる生産者団体(当該登録商標に係る商標権について専用使用権が設定されているときは、同号ロに規定する名称の農林水産物等についての登録をすることについて当該専用使用権の専用使用権者の承諾を得ている場合に限る。)
 前項第四号ロに規定する登録商標に係る商標権について専用使用権が設定されている場合における当該専用使用権の専用使用権者たる生産者団体(同号ロに規定する名称の農林水産物等についての登録をすることについて次に掲げる者の承諾を得ている場合に限る。)
 当該登録商標に係る商標権者
 当該生産者団体以外の当該専用使用権の専用使用権者
 前項第四号ロに規定する名称の農林水産物等についての登録をすることについて同号ロに規定する登録商標に係る商標権者の承諾を得ている生産者団体(当該登録商標に係る商標権について専用使用権が設定されているときは、当該農林水産物等についての登録をすることについて当該専用使用権の専用使用権者の承諾を得ている場合に限る。)

 農林水産大臣は、第一項の規定により登録を拒否したときは、登録の申請をした生産者団体に対し、その旨及びその理由を書面により通知しなければならない。

(特定農林水産物等登録簿の縦覧)
第十四条
 農林水産大臣は、特定農林水産物等登録簿を公衆の縦覧に供しなければならない。

(生産者団体を追加する変更の登録)
第十五条
 第六条の登録に係る特定農林水産物等について生産行程管理業務を行おうとする生産者団体(当該登録を受けた生産者団体を除く。)は、第十二条第二項第三号に掲げる事項に当該生産者団体に係る第七条第一項第一号に掲げる事項を追加する変更の登録を受けることができる。

 第七条から第九条まで及び第十一条から第十三条までの規定は、前項の変更の登録について準用する。この場合において、第七条第一項中「次に掲げる事項」とあるのは「第一号に掲げる事項、登録番号及び第九号に掲げる事項」と、第八条第一項中「前条第一項第一号から第八号までに掲げる事項」とあるのは「前条第一項第一号に掲げる事項、登録番号」と、第十一条第一項中「第十三条第一項第二号から第四号まで」とあるのは「第十三条第一項第二号及び第四号(イを除く。)」と、第十二条第一項中「同条から前条まで」とあるのは「同条、第九条及び前条」と、同条第二項中「次に」とあるのは「変更の年月日及び第三号に」と、第十三条第一項中「次に掲げる場合」とあるのは「第一号、第二号及び第四号(イを除く。)に掲げる場合」と、同項第二号イ中「これらの」とあるのは「登録番号に係る前条第二項第二号に掲げる」と読み替えるものとする。

(明細書の変更の登録)
第十六条
 登録生産者団体は、明細書の変更(第七条第一項第三号から第八号までに掲げる事項に係るものに限る。)をしようとするときは、変更の登録を受けなければならない。

 前項の場合において、第六条の登録に係る登録生産者団体が二以上あるときは、当該登録に係る全ての登録生産者団体は、共同して同項の変更の登録の申請をしなければならない。

 第七条第一項及び第二項、第八条、第九条並びに第十一条から第十三条までの規定(第一項の変更の登録に係る事項が農林水産省令で定める軽微なものである場合にあっては、第九条及び第十一条の規定を除く。)は、第一項の変更の登録について準用する。この場合において、第七条第一項中「次に掲げる事項」とあるのは「第一号に掲げる事項、登録番号及び第三号から第八号までに掲げる事項のうち変更に係るもの」と、第八条第一項中「前条第一項第一号から第八号までに掲げる事項」とあるのは「前条第一項第一号に掲げる事項、登録番号、同項第三号から第八号までに掲げる事項のうち変更に係るもの」と、第十二条第一項中「同条から前条まで」とあるのは第一項の変更の登録に係る事項が当該農林水産省令で定める軽微なものである場合以外の場合にあっては「同条、第九条及び前条」と、同項の変更の登録に係る事項が当該農林水産省令で定める軽微なものである場合にあっては「同条」と、同条第二項中「次に掲げる」とあるのは「変更の年月日及び変更に係る」と、第十三条第一項第二号イ中「同項第二号」とあるのは「同項第三号」と、「事項」とあるのは「事項のうち変更に係るもの」と読み替えるものとする。

(登録生産者団体の変更の届出等)
第十七条
 登録生産者団体は、当該登録生産者団体に係る第十二条第二項第三号に掲げる事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨及びその年月日を農林水産大臣に届け出なければならない。

 農林水産大臣は、前項の規定による届出があったときは、当該届出に係る事項を特定農林水産物等登録簿に記載して、変更の登録をしなければならない。

 農林水産大臣は、前項の変更の登録をしたときは、その旨を公示しなければならない。

(生産行程管理業務規程の変更の届出)
第十八条
 登録生産者団体は、生産行程管理業務規程の変更をしようとするときは、あらかじめ、農林水産大臣に届け出なければならない。

(生産行程管理業務の休止の届出)
第十九条
 登録生産者団体は、生産行程管理業務を休止しようとするときは、あらかじめ、農林水産大臣に届け出なければならない。

(登録の失効)
第二十条
 次の各号のいずれかに該当する場合には、登録(当該登録に係る登録生産者団体が二以上ある場合にあっては、第十二条第二項第三号に掲げる事項のうち当該各号のいずれかに該当する登録生産者団体に係る部分に限る。以下この条において同じ。)は、その効力を失う。
 登録生産者団体が解散した場合においてその清算が結了したとき。
 登録生産者団体が生産行程管理業務を廃止したとき。

 前項の規定により登録がその効力を失ったときは、当該登録に係る登録生産者団体(同項第一号に掲げる場合にあっては、清算人)は、遅滞なく、効力を失った事由及びその年月日を農林水産大臣に届け出なければならない。

 農林水産大臣は、第一項の規定により登録がその効力を失ったときは、特定農林水産物等登録簿につき、その登録を消除しなければならない。

 農林水産大臣は、前項の規定により登録を消除したときは、その旨を公示しなければならない。

(措置命令)
第二十一条
 農林水産大臣は、次に掲げる場合には、登録生産者団体に対し、明細書又は生産行程管理業務規程の変更その他の必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
 その構成員たる生産業者が、第三条第二項若しくは第四条の規定に違反し、又は第五条の規定による命令に違反したとき。
 その明細書が第十二条第二項第二号に掲げる事項に適合していないとき。
 第十三条第一項第二号(イを除く。)に該当するに至ったとき。

(登録の取消し)
第二十二条
 農林水産大臣は、次に掲げる場合には、登録の全部又は一部を取り消すことができる。
 登録生産者団体が次のいずれかに該当するとき。
 生産者団体に該当しなくなったとき。
 第十三条第一項第一号ロ((1)に係る部分に限る。)に該当するに至ったとき。
 前条の規定による命令に違反したとき。
 不正の手段により第六条の登録又は第十五条第一項若しくは第十六条第一項の変更の登録を受けたとき。
 登録に係る特定農林水産物等が第十三条第一項第三号イに該当するに至ったとき。
 登録に係る特定農林水産物等の名称が第十三条第一項第四号イに該当するに至ったとき。
 第十三条第二項各号に規定する商標権者又は専用使用権者が同項各号に規定する承諾を撤回したとき。

 第八条、第九条及び第十一条の規定は、前項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定による登録の取消しについて準用する。この場合において、第八条第一項中「第十三条第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定により登録を拒否する場合を除き、前条第一項第一号から第八号までに掲げる事項」とあるのは「登録番号、取消しをしようとする理由」と、同条第二項中「前条第一項の申請書並びに同条第二項第一号」とあるのは「前条第二項第一号」と、第十一条第一項中「第十三条第一項第二号から第四号まで」とあるのは「第二十二条第一項第二号及び第三号」と読み替えるものとする。

 農林水産大臣は、第一項の規定による登録の全部又は一部の取消しをしたときは、特定農林水産物等登録簿につき、その登録の全部又は一部を消除しなければならない。

 農林水産大臣は、前項の規定により登録の全部又は一部を消除したときは、その旨を、当該登録の取消しに係る登録生産者団体に通知するとともに、公示しなければならない。

第四章 雑則
(公示の方法)
第二十三条
 この法律の規定による公示は、インターネットの利用その他の適切な方法により行うものとする。

 前項の公示に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。

(報告及び立入検査)
第二十四条
 農林水産大臣は、この法律の施行に必要な限度において、登録生産者団体、生産業者その他の関係者に対し、その業務に関し必要な報告を求め、又はその職員に、これらの者の事務所、事業所、倉庫、ほ場、工場その他の場所に立ち入り、業務の状況若しくは農林水産物等、その原料、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。

 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(農林水産大臣に対する申出)
第二十五条
 何人も、第三条第二項又は第四条の規定に違反する事実があると思料する場合には、農林水産省令で定める手続に従い、その旨を農林水産大臣に申し出て適切な措置をとるべきことを求めることができる。

 農林水産大臣は、前項の規定による申出があったときは、必要な調査を行い、その申出の内容が事実であると認めるときは、第五条又は第二十一条に規定する措置その他の適切な措置をとらなければならない。

(権限の委任)
第二十六条
 この法律に規定する農林水産大臣の権限は、農林水産省令で定めるところにより、その一部を地方支分部局の長に委任することができる。

(農林水産省令への委任)
第二十七条
 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。

第五章 罰則
第二十八条
 第五条(第一号に係る部分に限る。)の規定による命令に違反した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第二十九条 第五条(第一号に係る部分を除く。)の規定による命令に違反した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

第三十条 第十一条第四項(第十五条第二項、第十六条第三項及び第二十二条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第三十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
 第十七条第一項又は第二十条第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
 第十八条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をして生産行程管理業務規程の変更をした者
 第十九条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をして生産行程管理業務の休止をした者
 第二十四条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

第三十二条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
 第二十八条三億円以下の罰金刑
 第二十九条一億円以下の罰金刑
 前条同条の罰金刑

 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人が、その訴訟行為につきその法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

附則
(施行期日)
第一条
 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
 ただし、附則第六条の規定は、公布の日から施行する。

(検討)
第二条
 政府は、この法律の施行後十年以内に、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

(調整規定)
第三条
 この法律の施行の日が食品表示法(平成二十五年法律第七十号)の施行の日前である場合には、同日の前日までの間における第三条第二項の規定の適用については、同項中「農林物資の規格化等に関する法律」とあるのは、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」とする。

(商標法の一部改正)
第四条
 商標法の一部を次のように改正する。
 第二十六条に次の一項を加える。
3 商標権の効力は、次に掲げる行為には、及ばない。ただし、その行為が不正競争の目的でされない場合に限る。
一 特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(平成二十六年法律第号。以下この項において「特定農林水産物等名称保護法」という。)第三条第一項の規定により商品又は商品の包装に特定農林水産物等名称保護法第二条第三項に規定する地理的表示(以下この項において「地理的表示」という。)を付する行為
二 特定農林水産物等名称保護法第三条第一項の規定により商品又は商品の包装に地理的表示を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為
三 特定農林水産物等名称保護法第三条第一項の規定により商品に関する送り状に地理的表示を付して展示する行為

(登録免許税法の一部改正)
第五条
 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
 別表第一第八十七号の次に次のように加える。
八十七の二 登録生産者団体の登録又は変更の登録
−特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(平成二十六年法律第号)第六条(特定農林水産物等の登録)の登録生産者団体の登録又は同法第十五条第一項(生産者団体を追加する変更の登録)の変更の登録
−登録件数
−一件につき九万円

(政令への委任)
第六条
 附則第三条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

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2014年3月18日 (火)

第309回:閣議決定された知財関連法改正案(著作権法、商標法、意匠法、特許法他)

 先週ほとんど全ての知財関連法の改正案が閣議決定された(文科省の法律案と経産省のリリース参照)。内容はおおよそ予想通りであり、また他でも様々な解説が書かれるのではないかと思うが、今回は全ての知財関連法についてかなりの大改正となっており、ここでも念のため実際の条文案がどうなったかということをざっと見ておきたいと思う。

(1)著作権改正法案(現行出版権の拡大による電子出版のカバー)
 まず、第306回でも書いた通り、一番揉めていた著作権法は、案の定以下のように現行出版権を拡大して電子出版をカバーするのに近い形にされた。(文科省の新旧対照条文案(pdf)概要(pdf)参照。)

(出版権の設定)
第七十九条
 第二十一条又は第二十三条第一項に規定する権利を有する者(以下この章において「複製権等保有者」という。)は、その著作物について、文書若しくは図画として出版すること(電子計算機を用いてその映像面に文書又は図画として表示されるようにする方式により記録媒体に記録し、当該記録媒体に記録された当該著作物の複製物により頒布することを含む。次条第二項及び第八十一条第一号において「出版行為」という。)又は当該方式により記録媒体に記録された当該著作物の複製物を用いて公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。以下この章において同じ。)を行うこと(次条第二項及び第八十一条第二号において「公衆送信行為」という。)を引き受ける者に対し、出版権を設定することができる。
(第2項略)

(出版権の内容)
第八十条
 出版権者は、設定行為で定めるところにより、その出版権の目的である著作物について、次に掲げる権利の全部又は一部を専有する。
 頒布の目的をもつて、原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製する権利(原作のまま前条第一項に規定する方式により記録媒体に記録された電磁的記録として複製する権利を含む。)
 原作のまま前条第一項に規定する方式により記録媒体に記録された当該著作物の複製物を用いて公衆送信を行う権利
(第2項以下略)

 したがって、条文上、出版社の要望通り、出版権の設定登録は紙と電子の一体設定がデフォルトルールに近くなっているように読めるが、義務と消滅請求について、

(出版の義務)
第八十一条
 出版権者は、次の各号に掲げる区分に応じ、その出版権の目的である著作物につき当該各号に定める義務を負う。ただし、設定行為に別段の定めがある場合は、この限りでない。
 前条第一項第一号に掲げる権利に係る出版権者(次条において「第一号出版権者」という。) 次に掲げる義務
イ 複製権等保有者からその著作物を複製するために必要な原稿その他の原品若しくはこれに相当する物の引渡し又はその著作物に係る電磁的記録の提供を受けた日から六月以内に当該著作物について出版行為を行う義務
ロ 当該著作物について慣行に従い継続して出版行為を行う義務
 前条第一項第二号に掲げる権利に係る出版権者(次条第一項第二号において「第二号出版権者」という。) 次に掲げる義務
イ 複製権等保有者からその著作物について公衆送信を行うために必要な原稿その他の原品若しくはこれに相当する物の引渡し又はその著作物に係る電磁的記録の提供を受けた日から六月以内に当該著作物について公衆送信行為を行う義務
ロ 当該著作物について慣行に従い継続して公衆送信行為を行う義務

(出版権の消滅の請求)
第八十四条
 出版権者が第八十一条第一号(イに係る部分に限る。)又は第二号(イに係る部分に限る。)の義務に違反したときは、複製権等保有者は、出版権者に通知してそれぞれ第八十条第一項第一号又は第二号に掲げる権利に係る出版権を消滅させることができる。
 出版権者が第八十一条第一号(ロに係る部分に限る。)又は第二号(ロに係る部分に限る。)の義務に違反した場合において、複製権等保有者が三月以上の期間を定めてその履行を催告したにもかかわらず、その期間内にその履行がされないときは、複製権等保有者は、出版権者に通知してそれぞれ第八十条第一項第一号又は第二号に掲げる権利に係る出版権を消滅させることができる。

という形で、出版の義務と消滅請求が紙の出版(複製)と電子出版(公衆送信)で別々にされているので、実際のところ、(既存のものも含め)出版権設定契約において著作者が十分注意して契約内容を確認する必要こそあるだろうが、全体としてそこまで大きな問題がある訳ではなく、かなり無難なところに落ち着いたのではないかと思える。

 ここで、上の法改正案について今まで通り表を作っておくと以下のようになるだろう。(なお、分かりにくくなると思ったので赤字で強調していないが、電子媒体による頒布が紙の出版の方に分類された点も地味ながら法改正点として注意しておいた方が良い点である。また、表でつづめて書いた部分だが、念のため書いておくと、条文上、電子書籍に相当するのは、電子計算機を用いてその映像面に文書又は図画として表示されるようにする方式により記録媒体に記録された著作物の複製物となる。つまり、新出版権の対象となるデータはどんなものでも良い訳ではなく、基本的にディスプレイ上で文章や絵として人が読んだり見たりする形の電子データのみということになるのだろう。)
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(2)商標法改正案(音などの新しい商標の保護の導入他)
 著作権法以外の知財法も今回は大改正であり、特に商標法と意匠法の改正はそれぞれ画期的な内容を含んでいる(経産省の新旧対照条文案(pdf)概要(pdf)参照)。まず、商標法では新しい商標の保護が導入されるとのことだったが、法改正案の定義条項は、

(定義等)
第二条
 この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。

となっており、確かに音などの商標の保護がうたわれている。政令改正についても今後良く見て行く必要があるだろうが、音の商標の導入に合わせて、

第二条
 この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいう。
(略)
 音の標章にあつては、前各号に掲げるもののほか、商品の譲渡若しくは引渡し又は役務の提供のために音の標章を発する行為
 前各号に掲げるもののほか、政令で定める行為

 前項において、商品その他の物に標章を付することには、次の各号に掲げる各標章については、それぞれ当該各号に掲げることが含まれるものとする。
 文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合の標章 商品若しくは商品の包装、役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告を標章の形状とすること。
 音の標章 商品、役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告に記録媒体が取り付けられている場合(商品、役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告自体が記録媒体である場合を含む。)において、当該記録媒体に標章を記録すること。

というように、商品の販売やサービスの提供のために音を使うことや広告のために録音することが商標の使用行為に入って来ることも注意しておくべきだろう。

 詳細は省略するが、概要に書かれている通り、今回の商標法改正案には、商工会、商工会議所及びNPO法人を地域団体商標制度の登録主体に追加することも含まれている。

(3)意匠法改正案(国際意匠出願協定への加盟)
 また、ここでは以下のような関連部分の冒頭の引用だけに留めておくが、意匠法改正案には意匠の国際登録に関するハーグ協定への加盟のための条文が一揃い入っている。制度ユーザーにしか関係なく、意匠制度があまり一般的に馴染みがない所為かあまり騒がれていないようにも思えるが、これは条約加盟にともなう非常に大きな話である。

第六章の二 ジュネーブ改正協定に基づく特例
第一節 国際登録出願
(国際登録出願)
第六十条の三
 日本国民又は日本国内に住所若しくは居所(法人にあつては、営業所)を有する外国人は、特許庁長官に意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定(以下「ジュネーブ改正協定」という。)第一条(vii)に規定する国際出願(以下「国際出願」という。)をすることができる。この場合において、経済産業省令で定める要件に該当するときは、二人以上が共同して国際出願をすることができる。
 前項の規定による国際出願(以下「国際登録出願」という。)をしようとする者は、経済産業省令で定めるところにより外国語で作成した願書及び必要な物件を提出しなければならない。
(以下略)

(4)特許法改正案(異議申立て制度の復活)
 特許法改正案も、以下に同じく冒頭だけ引用しておくが、今の無効審判制度に加えて、異議申立て制度という形で特許権付与後の権利確認プロセスを複線的に入れるという大きな改正を含んでいる。

第五章 特許異議の申立て
(特許異議の申立て)
第百十三条
 何人も、特許掲載公報の発行の日から六月以内に限り、特許庁長官に、特許が次の各号のいずれかに該当することを理由として特許異議の申立てをすることができる。この場合において、二以上の請求項に係る特許については、請求項ごとに特許異議の申立てをすることができる。
(以下略)

 細かなところまで突っ込む気はさらさらないが、過去の条文と比べてみると、2003年法改正で廃止された過去の異議申立て制度との違いは、テクニカルな点を除き、以前は口頭審理もあり得るとしていたのを今回は書面審査のみとした点くらいであり、今回の法改正案の内容は実質過去の制度の復活と言って良い。この過去の制度との関係で特許庁の整理にはいまいち良く分からないところもあるが、これは制度ユーザにとって選択肢が増える話であり別に悪いことではない。

 また、やはり説明は省略するが、その概要に書かれている通り、今回の特許法等の改正案には手続期間に関する救済措置の拡充や弁理士法の改正なども含まれている。

 これで今年国会で審議されそうな知財関連法はほぼ出そろったのではないかと思っているが、さらに新規立法として地理的表示保護法案も予定されているはずなので、その内容についても公開され次第取り上げたいと思っている。

(2014年3月19日夜の追記:誤記の修正、2003年法改正資料へのリンクの追加と合わせて、(1)の最後の括弧内に電子書籍相当条文に関する説明を追加した。)

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