カテゴリー「規制一般」の39件の記事

2009年8月31日 (月)

番外その21:情報・表現規制問題に関する注目選挙区・候補当落結果リスト

 これも、選挙速報を見ていれば分かる話ではあるのだが、前回注目選挙区・候補リストを作ったので、その続きとして当落結果のリストも作っておく。

 民主党で慎重派として知られる枝野幸男氏や吉田泉氏は無事当選しているが、表現規制問題に関して、今回の選挙で、元議員中の最大の理解者であった社民党の保坂展人氏が落選したのは痛恨の極みである。

 自民党の野田聖子氏、高市早苗氏の両名は、小選挙区で落選したが、残念ながら比例で復活した。この2人が小選挙区で落選した程度で自分の行いを改める訳は無く、引き続き何かにつけて根拠無く規制強化を叫び暴走を続けるだろう。この2人の危険人物には引き続き要注意である。やはり残念ながら当選している自民党の鳩山邦夫氏も含めて野党議員になるので、その影響力は格段に低くなるだろうが。

 ただし、葉梨康弘氏は無事落選し、あの児童ポルノの規制強化に関する話にならない言い訳を次の国会で聞くことは、これで無くなった。

 民主党から当選した慎重派の枝野氏や吉田氏他、また連立与党になると想定される社民党に期待したいところだが、民主党内の規制推進派の危険人物、小宮山洋子氏も残念ながら当選している。

 議席数で言うと、民主党308、自民党119、公明党21、共産党9、社民党7、みんなの党5、国民新党3、新党日本1、諸派1、無所属6で、公明党もかなり議席を減らし、自公政権が崩れたこと自体は良いニュースだが、先読みは難しいとは言え、情報・表現規制問題に関しては今後も変わらず厳しい情勢が続くと覚悟しておいた方が良い。個人的には、他の重要政策の迷走による混乱により、当分児童ポルノ規制強化などの有害かつ危険な情報・表現規制どころでは無くなることを期待しているが、恐らくこれは甘い見通しだろう。

 選挙も重要だが、情報・表現規制に関する問題は全て一朝一夕で片付く問題では無い。今後も国会と役所の動向を注視しながら、引き続き地道にできることをして行く。前回も書いた通り、今の日本の歪みは、もはや既存政党ではどうにもならないところまで来ており、既存政党とは全く異なる政党が必要だろうことも分かっているのだが、残念ながら、参入障壁の問題もあり、すぐに作れるものでも無い。何でも地道にできることをやって行くしかない。

 次回は、もしかしたら表現の自由の話を先にするかも知れないが、久しぶりに著作権国際動向の話を書きたいと思っている。

(以下、言うまでも無いことと思うが、名前の後の○が当選、×が落選である。なお、さらに細かな説明は前回をご覧頂ければと思うが、前回と同じく、青字で規制反対派・慎重派として知られる方の名前を、赤字で規制推進派として知られる方の名前を強調している。)

(1)児童ポルノ規制問題において反対派・慎重派として知られる元議員候補のいる注目選挙区
○東京8区:
保坂展人候補<社民>:×
・沢田俊史候補<共産>:×
・石原伸晃候補<自民>:○

○埼玉5区:
枝野幸男候補<民主>:○
・牧原秀樹候補<自民>:×

○福島5区:
吉田泉候補<民主>:○
・坂本剛二候補<自民>:×

(2)児童ポルノ規制問題において推進派として知られる元議員候補のいる注目選挙区
○岐阜1区:
・鈴木正典候補<共産>:×
・柴橋正直候補<民主>:○
野田聖子候補<自民>:×→比例復活○

○奈良2区:
・西ふみ子候補<共産>:×
・滝実候補<民主>:○
高市早苗候補<自民>:×→比例復活○

○茨城3区:
・小泉俊明候補<民主>:○
葉梨康弘候補<自民>:×

○福岡6区:
・古賀一成候補<民主>:×→比例復活○
鳩山邦夫候補<自民>:○

○東京6区:
・佐藤直樹候補<共産>:×
小宮山洋子候補<民主>:○
・越智隆雄候補<自民>:×

(3)他児童ポルノ規制に対して慎重な検討を求める請願を紹介した元議員候補
○大阪10区・辻元清美候補<社民>:○

(4)他児童ポルノ規制強化を求める請願を紹介した元議員候補
○秋田3区・御法川信英候補<自民>:×
○神奈川18区・山際大志郎候補<自民>:×
○東京19区・松本洋平候補<自民>:×
○福井1区・稲田朋美候補<自民>:○
○愛知7区・鈴木淳司候補<自民>:×
○滋賀2区・藤井勇治候補<自民>:×
○滋賀3区・宇野治候補<自民>:×
○兵庫7区・大前繁雄候補<自民>:×

(5)他MIAUのアンケートで児童ポルノ規制問題において慎重な姿勢を示した候補
○東京1区:
・冨田なおき候補<共産>:×
・海江田万里候補<民主>:○
○東京2区・中島つかね候補<共産>:×
○東京3区・沢田英次候補<共産>:×
○東京4区:
・渋谷要候補<共産>:×
・宇佐美登候補<無所属>:×
○東京5区・宮本栄候補<共産>:×
○東京7区・太田のりおき候補<共産>:×
○東京9区:
・岸良信候補<共産>:×
・木内孝胤候補<民主>:○
○東京10区・山本としえ候補<共産>:×
○東京11区・とくとめ道信候補<共産>:×
○東京12区:
・池内さおり候補<共産>:×
・小田々豊候補<無所属>:×
○東京13区・渡辺修次候補<共産>:×
○東京14区・伊藤文雄候補<共産>:×
○東京15区:
・吉田としお候補<共産>:×
・東祥三候補<民主>:○
○東京16区・かわい恭一候補<共産>:×
○東京17区・新井杉生候補<共産>:×
○東京18区・小泉たみじ候補<共産>:×
○東京19区・清水あきお候補<共産>:×
○東京20区・池田真理子候補<共産>:×
○東京21区・星あつまろ候補<共産>:×
○東京22区・吉岡正史候補<共産>:×
○東京23区
・古橋良恭候補<共産>:×
・くしぶち万里候補<民主>:○
○東京24区・長谷川あきら候補<共産>:×
○東京25区・鈴木おさむ候補<共産>:×

○比例東京ブロック・池田一慶<社民>:×
○比例東京ブロック・笠井亮<共産>:○
○比例東京ブロック・谷川智行<共産>:×

○宮城4区・かとう幹夫候補<共産>:×
○新潟1区:
・武田勝利候補<共産>:×
・西村智奈美候補<民主>:○
○新潟3区:
・黒岩宇洋候補<民主>:○
・稲葉大和<自民>:×
○埼玉15区・村主明子候補<共産>:×
○神奈川3区・古谷靖彦候補<共産>:×
○神奈川7区・鈴木馨祐候補<自民>:×
○神奈川13区・近藤知明候補<共産>:×
○愛知1区:
・木村恵美候補<共産>:×
・しのだ陽介候補<自民>:×
○大阪7区:
・駒井正男候補<共産>:×
・藤村修候補<民主>:○
○滋賀3区・木村真佐美候補<共産>:×
○高知1区:
・春名直章候補<共産>:×
・田村久美子候補<民主>:×
○高知2区:
・山中正博候補<共産>:×
・楠本清世候補<民主>:×
○高知3区・村上信夫候補<共産>:×

(6)他MIAUのアンケートで児童ポルノ規制問題において推進の姿勢を示した候補
○東京2区・深谷隆司候補<自民>:×
○東京7区・松本文明候補<自民>:×
○東京11区:
・有田芳生候補<新党日本>:×
・下村博文候補<自民>:○
○東京15区・柿沢未途候補<みんなの党>:×
○東京16区・初鹿明博候補<民主>:○
○東京17区・早川久美子候補<民主>:×
○東京21区・長島昭久候補<民主>:○
○東京24区・阿久津幸彦候補<民主>:○
○東京25区:
・井上信治候補<自民>:○
・まさご太郎候補<国民新>:×

○比例東京ブロック・清水清一朗候補<自民>:

○宮城4区・石山けいき候補<民主>:○
○山形2区
・近藤洋介候補<民主>:○
・鈴木啓功候補<自民>:×
○新潟1区・吉田六左エ門候補<自民>:×
○埼玉15区・高山さとし候補<民主>:○
○神奈川7区・首藤信彦候補<民主>:○
○大阪7区・渡嘉敷奈緒美候補<自民>:×

(7)他名も無き市民の会のアンケートで、児童ポルノ規制問題において推進の姿勢を示した候補
○埼玉4区・神風英男候補<民主>:○
○東京18区・土屋正忠候補<自民>:×
○東京24区・萩生田光一候補<自民>:×

(8)他ゲーム・ネット・表現規制を求める請願を紹介した元議員候補
○北海道10区・飯島夕雁候補<自民>:×
○栃木1区・船田元候補<自民>:×
○栃木2区・西川公也候補<自民>:×
○千葉7区・内山晃候補<民主>:○
○神奈川4区・林潤候補<自民>:×
○東京10区・小池百合子候補<自民>:×→比例復活○
○富山1区・村井宗明候補<民主>:○
○三重3区・平田耕一候補<自民>:×
○京都3区・泉健太候補<民主>:○
○京都6区・井澤京子候補<自民>:×
○兵庫7区・大前繁雄候補<自民>:×
○奈良3区・奥野信亮候補<自民>:×
○奈良4区・田野瀬良太郎候補<自民>:○
○岡山3区・平沼赳夫候補<無所属>:○
○岡山5区・加藤勝信候補<自民>:○
○沖縄1区・下地幹郎候補<国民新>:○
○沖縄2区・安次富修候補<自民>:×

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2009年8月14日 (金)

番外その20:情報・表現規制問題に関する注目選挙区・候補リスト

 前回書いた通り、個人的には、今回の選挙は児童ポルノ規制法選挙と思って投票するつもりだが、特に、このような情報・表現規制問題に関しては、公明党を除き、政党レベルでどうこうというより、規制官庁あるいは少数の規制派議員が暴走するのが常であり、次の選挙で、ピンポイントに規制派議員がどれくらい落ちるか、慎重派・反対派議員がどれくらい通るかで、今後の動向が大きく左右される。(繰り返しておくが、表現・情報問題に関して、公明党は、議員1人1人がどうこうと言うレベルでは無く党全体として極めて危険である。)

 「チラシの裏(3周目)」、「表現規制について少しだけ考えてみる(仮)」、「表現の数だけ人生が在る」、「『反ヲタク国会議員リスト』メモ」、「選挙に行こう」、「王様を欲しがったカエル」「カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの虚業日記」、「止めろ!規制社会・監視国家ブログ版」、「創作物は理論で性的虐待は実践か?」等々の他のブログの選挙関連エントリをご覧頂ければ良い話ではあるのだが、今回の選挙は極めて重要なので、ここでも、注目選挙区・候補リストのエントリを番外として立てておきたいと思う(過去2年間の国会での主な動きは番外その19参照)。

 以下、主に児童ポルノ規制問題に対する姿勢から注目選挙区・候補リストを作って行く。児童ポルノ規制問題に対するスタンスの取り方は難しいのだが、難しいだけに端的に政党・候補の情報・表現・ネット規制問題に関する理解力を示す。以下のリストでは、青字で強調するのは規制反対派・慎重派として知られる候補の名前であり、赤字で強調しているのは規制推進派として知られる候補の名前である。なお、実際に候補が立てられるのは公示日となるので、以下のリストの選挙区等は、もしかしたら最終的に多少変動があるかも知れないことをお断りしておく。

 ご覧頂ければ分かるように、児童ポルノの単純所持規制問題について、社民と共産はほぼ党として問題点を理解し反対している。新党日本は党としては反対しているようだが、議員レベルではあまりアテにならない国民新も全くアテにならない民主も一部の慎重派議員を除き信用できず、規制より以外の動きが見られない自民・公明は論外という状況である。

 前回の選挙は郵政選挙だったはずだが、ほんの4年で、郵政改革すらグダグダになっている上、自由な民主主義社会を守るためには、主として社民か共産に票を投じるしかないというところまで追い込まれているのである。これは全く笑い事ではない。この状況こそ、今の日本の歪みを典型的に表している。

 今の日本の歪みは、もはや既存政党ではどうにもならないところまで来ており、既存政党とは全く異なる政党が必要だろうことも分かっているが、残念ながら、参入障壁の問題もあり、すぐに作れるものでも無い。今のところ、どこをどう転んでも選挙後に待っているのは、確実に政策迷走の地獄だが、少しでもマシな政党・人間を選挙で選ぶことは極めて重要である。今度の選挙では、1人でも多くの人に、ネットも含め様々な媒体から情報を取り、自分で良く考えて政党・候補を選んでもらいたいものと私は思う。

(8月17日の追記:先日公表されたMIAUのアンケート結果東京以外の内容を追加した。なお、このアンケートには、渡辺喜美氏らの新党「みんなの党」の柿沢候補(東京15区)が、児童ポルノの単純所持規制について推進よりの回答をしており、みんなの党もこの問題では全くアテにならないことを示している。)

(1)児童ポルノ規制問題において反対派・慎重派として知られる元議員候補のいる注目選挙区
○東京8区:
保坂展人候補<社民>(HPwiki):この問題について内心の自由や表現の自由まで踏み込み、最も問題点を良く理解し国会審議において明確に反対をして下さっている貴重な候補。比例東京ブロック名簿1位とされる予定のようであり、児童ポルノ問題等情報・表現規制問題に懸念を抱いている東京在住の方には、社民党への投票をお勧めしたいと思う。
沢田俊史候補<共産>(HP):MIAUのアンケートで児童ポルノ規制について慎重な立場を示している。
石原伸晃候補<自民>(HPwiki):要するに石原慎太郎都知事の長男。情報・表現規制問題においては陰は薄いが、自民党候補なので当然規制よりと考えた方が良い。根拠無くアダルトゲーム規制を強力に押し進めようとしている自民党女性局の提言を幹事長代理として受けている(自民党女性局のHP参照)。(MIAUのアンケートに対しても、「冤罪等には十二分に配慮しつつ、児童ポルノの蔓延を一日も速く抑止すべきと考えます」と答えて単純所持規制に関する選択を回避しており、規制よりと考えられてしかるべき回答をしている。)

○埼玉5区:
枝野幸男候補<民主>(HPwiki):民主党案にも問題はあるものと思うが、所持規制における情報と有体物の特性の違いをきちんと理解し、自民党案の主観的要件のみによる情報の単純所持規制による冤罪発生の危険性を国会審議において的確に指摘した貴重な候補。
牧原秀樹候補<自民>(HPwiki):根拠無くアダルトゲーム規制を強力に押し進めようとしている自民党女性局の役員。児童ポルノ法改正案の国会審議では、自民党規制派の茶番劇要員として葉梨元議員の話にならない説明に対してオウム返しに分かったと繰り返す。また、ネット規制を求める請願を紹介している。

○福島5区:
吉田泉候補<民主>(HPwiki):国会審議において、日本を児童ポルノ大国と決めつける米シーファー大使の発言を批判し、それが根拠の無いものであることを明らかにした。
坂本剛二候補<自民>(HPwiki):情報・表現規制問題における陰は薄いが、自民党候補なので当然規制よりと考えた方が良いだろう。

 保坂展人氏を筆頭に、枝野幸男氏、吉田泉氏の3名は、今回の選挙で最も受かってもらいたい候補である。

(2)児童ポルノ規制問題において推進派として知られる元議員候補のいる注目選挙区
○岐阜1区:

鈴木正典候補<共産>(HP):情報・表現規制問題における姿勢は不明だが、野田聖子氏より危険ということはあり得ないだろう。
柴橋正直候補<民主>(HP):情報・表現規制問題における姿勢は不明だが、野田聖子氏より危険ということはあり得ないだろう。
野田聖子候補<自民>(HPwiki):根拠無く表現・情報弾圧を叫ぶ日本ユニセフともつながりが強く、単純所持規制に加え創作物規制まで児童ポルノ規制を押し進めようとしている自民党の危険な規制派議員の代表格の1人。なお、ただのマッチポンプだが、自民党の山谷えり子女性局長から、科学技術担当相として、有害サイトや性暴力ゲームの規制強化を求める要望書も受けている(日刊スポーツの記事参照)。

○奈良2区:
西ふみ子候補<共産>(HP):情報・表現規制問題における姿勢は不明だが、高市早苗氏より危険ということはあり得ないだろう。
滝実候補<民主>(HPwiki):情報・表現規制問題における姿勢は不明だが、高市早苗氏より危険ということはあり得ないだろう。また、児童ポルノ規制慎重派として知られる中村哲治参議院議員の支援を受けている。
高市早苗候補<自民>(HPwiki):自民党内の青少年特別問題委員長として、青少年ネット規制法の導入を強力に推進した中心人物。自民党の「児童ポルノ禁止法見直しに関する小委員会」の事務局長でもあった。

○茨城3区:
小泉俊明候補<民主>(HPwiki):情報・表現規制問題における姿勢は不明だが、葉梨康弘氏より危険ということはあり得ないだろう。
葉梨康弘候補<自民>(HPwiki):児童ポルノ規制法改正案の国会審議において、表現弾圧・焚書を明言、ロリコンを思想犯罪として国民の表現・内心・思想の自由を蹂躙すると宣言し、最も危険な違憲発言を繰り返していた危険人物。

○福岡6区:
古賀一成候補<民主>(HPwiki):情報・表現規制問題における姿勢は不明。
鳩山邦夫候補<自民>(HPwiki):国会審議において、総務大臣として、児童ポルノについて「断固として単純所持を禁止するべき」であり、「表現の自由で守られる法益と児童ポルノによって失われる人権というものとの比較をすれば、それは表現の自由という部分が大幅に削られて構わない」と発言。

○東京6区:
佐藤直樹候補<共産> (HP):MIAUのアンケートで児童ポルノ規制について慎重な姿勢を示している。
小宮山洋子候補<民主>(HPwiki):国会審議において、民主党案を離れて与党案の単純所持規制を支持すると、自身が規制派であることを暴露し、妥協発言を繰り返した民主党内の危険人物。(当然ながら、MIAUのアンケートでも単純所持規制を推進するべきと答えている。)
越智隆雄候補<自民>(HPwiki):情報・表現規制問題における姿勢は不明。

 野田聖子氏を筆頭に、高市早苗氏、葉梨康弘氏、鳩山邦夫氏、小宮山洋子氏の5名は、今回の選挙で最も落ちてもらいたい候補である。また、もし出馬していれば、その選挙区は問答無用で大注目区となったことだろうが、自民党の規制派の大ボスの1人森山眞弓氏が引退となりそうなのは非常に良いニュースである。 

 また、以下は、各種の請願・アンケートから作った候補リストである。

(3)他児童ポルノ規制に対して慎重な検討を求める請願を紹介した元議員候補
○大阪10区・辻元清美候補<社民>(HPwiki

(4)他児童ポルノ規制強化を求める請願を紹介した元議員候補
○秋田3区・御法川信英候補<自民>(HPwiki
○神奈川18区・山際大志郎候補<自民>(HPwiki
○東京19区・松本洋平候補<自民>(HPwiki
○福井1区・稲田朋美候補<自民>(HPwiki
○愛知7区・鈴木淳司候補<自民>(HPwiki
○滋賀2区・藤井勇治候補<自民>(HPwiki
○滋賀3区・宇野治候補<自民>(HPwiki
○兵庫7区・大前繁雄候補<自民>(HPwiki

(5)他MIAUのアンケート(東京以外)で児童ポルノ規制問題において慎重な姿勢を示した候補
○東京1区:
・冨田なおき候補
<共産>(HP
・海江田万里候補<民主>(HPwiki
○東京2区・中島つかね候補<共産>(HP
○東京3区・沢田英次候補<共産>
○東京4区:
・渋谷要候補
<共産>(HP
・宇佐美登候補<無所属>(HPwiki
○東京5区・宮本栄候補<共産>(HP
○東京7区・太田のりおき候補<共産>(HP
○東京8区・沢田俊史候補<共産>(HP
○東京9区:
・岸良信候補
<共産>(HP
・木内孝胤候補<民主>(HPwiki
○東京10区・山本としえ候補<共産>
○東京11区・とくとめ道信候補<共産>(HP
○東京12区:
・池内さおり候補
<共産>(HP
・小田々豊候補<無所属>(HP
○東京13区・渡辺修次候補<共産>
○東京14区・伊藤文雄候補<共産>(HP
○東京15区:
・吉田としお候補
<共産>
・東祥三候補<民主>(HPwiki
○東京16区・かわい恭一候補<共産>
○東京17区・新井杉生候補<共産>(HP
○東京18区・小泉たみじ候補<共産>(HP
○東京19区・清水あきお候補<共産>
○東京20区・池田真理子候補<共産>(HP
○東京21区・星あつまろ候補<共産>(HP
○東京22区・吉岡正史候補<共産>
○東京23区
・古橋良恭候補
<共産>
・くしぶち万里候補<民主>(HP
○東京24区・長谷川あきら候補<共産>(HP
○東京25区・鈴木おさむ候補<共産>(HP

○比例東京ブロック・池田一慶
<社民>(HP
○比例東京ブロック・笠井亮<共産>(HPwiki
○比例東京ブロック・谷川智行<共産>(HP

○宮城4区・かとう幹夫候補<共産>
○新潟1区:
・武田勝利候補
<共産>(HP
・西村智奈美候補<民主>(HPwiki
○新潟3区:
・黒岩宇洋候補
<民主>(HPwiki
・稲葉大和<自民>HPwiki
○埼玉15区・村主明子候補<共産>(HP
○神奈川3区・古谷靖彦候補<共産>(HP
○神奈川7区・鈴木馨祐候補<自民>(HPwiki
○神奈川13区・近藤知明候補<共産>
○愛知1区:
木村恵美候補<共産>
しのだ陽介候補<自民>(HPwiki
○大阪7区:
駒井正男候補<共産>(HP
藤村修候補<民主>(HPwiki
○滋賀3区・木村真佐美候補<共産>
○高知1区:
春名直章候補<共産>(HP
田村久美子候補<民主>(HP
○高知2区:
・山中正博候補
<共産>(HP
・楠本清世候補<民主>(HP
○高知3区・村上信夫候補<共産>(HP

(6)他MIAUのアンケートで児童ポルノ規制問題において推進の姿勢を示した候補
○東京2区・深谷隆司候補<自民>(HPwiki
○東京7区・松本文明候補
<自民>(HPwiki
○東京11区:
有田芳生候補<新党日本>(HPwiki
下村博文候補<自民>(HPwiki
○東京15区・柿沢未途候補<みんなの党>(HP
○東京16区・初鹿明博候補<民主>(HP
○東京17区・早川久美子候補<民主>(HP
○東京21区・長島昭久候補<民主>(HPwiki
○東京24区・阿久津幸彦候補<民主>(HPwiki
○東京25区:
・井上信治候補
<自民>(HPwiki
・まさご太郎候補<国民新>(HP

○比例東京ブロック・清水清一朗候補<自民>(HPwiki

○宮城4区・石山けいき候補<民主>(HP
○山形2区
・近藤洋介候補
<民主>(HPwiki
・鈴木啓功候補<自民>(HP
○新潟1区・吉田六左エ門候補<自民>(HPwiki
○埼玉15区・高山さとし候補<民主>(HPwiki
○神奈川7区・首藤信彦候補<民主>(HPwiki
○大阪7区・渡嘉敷奈緒美候補<自民>(HPwiki

(7)他名も無き市民の会のアンケートで、児童ポルノ規制問題において推進の姿勢を示した候補
○埼玉4区・神風英男候補<民主>(HPwiki
○東京18区・土屋正忠候補<自民>(HPwiki
○東京21区・長島昭久候補<民主>(HPwiki
○東京24区・萩生田光一候補<自民>(HPwiki

(8)他ゲーム・ネット・表現規制を求める請願を紹介した元議員候補
○北海道10区・飯島夕雁候補<自民>(HPwiki
○栃木1区・船田元候補<自民>(HPwiki
○栃木2区・西川公也候補<自民>(HPwiki
○千葉7区・内山晃候補<民主>(HPwiki
○神奈川4区・林潤候補<自民>(HPwiki
○東京10区・小池百合子候補<自民>(HPwiki
○富山1区・村井宗明候補<民主>(HPwiki
○三重3区・平田耕一候補<自民>(HPwiki
○京都6区・井澤京子候補<自民>(HP
○京都3区・泉健太候補<民主>(HPwiki
○兵庫7区・大前繁雄候補<自民>(HPwiki
○奈良3区・奥野信亮候補<自民>(HPwiki
○奈良4区・田野瀬良太郎候補<自民>(HPwiki
○岡山3区・平沼赳夫候補<無所属>(HPwiki
○岡山5区・加藤勝信候補<自民>(HPwiki
○沖縄1区・下地幹郎候補<国民新>(HPwiki
○沖縄2区・安次富修候補<自民>(HPwiki

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2009年8月 5日 (水)

第187回:主要政党のマニフェスト案比較(知財・情報政策関連)

 主要政党のマニフェスト案(公示日以降に配られるものが正式版らしいので、案としているが、どうせ大した変更はされないだろう)がほぼ出そろった(自民党(pdf)政策BANK(pdf))、民主党(pdf)政策集INDEX(pdf))、社民党共産党(pdf)公明党(pdf)国民新党(pdf)新党日本(pdf)改革クラブ(pdf)要約版(pdf))。

 どの政党も、思いつきのように具体的な実現可能性の良く分からない項目を並べてマニフェストの体裁を整えているだけであり、自民党と民主党という2大政党が、お互い自分のバラマキは良いバラマキ、相手のバラマキは悪いバラマキと自分のことを棚に上げて、足下の定まらない中で意味の無い財源批判をし合っている時点で、さらに、今までの日本の政策決定の迷走を考えても、マニフェストの底が知れるというものだが、それでも多少の参考にはなるだろうと思うので、ここで、主に知財・情報政策という観点から、各政党のマニフェスト案の比較をしておきたいと思う。

 (なお、一緒に取り上げているが、民主党の政策集INDEXは、党の政策だが政権公約ではないという位置づけになっているようである。)

(1)知財
<自民党>

独自のコンテンツや伝統文化を盛り上げ、世界へ。
同時に、観光でも魅力ある「ジャパン」を目指します。

ゲームやアニメ、キャラクターなど、日本が強みを持つコンテンツ。
お家芸とも言えるこの分野の人材育成、製作者の待遇改善を行い、世界に誇る作品が生み出される環境を作ります。
デジタルアーカイブ化を通じて日本文化を国内外へ発信。地域の文化・芸術・音楽活動の振興・継承に努めます。
「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を進め、2020年までに観光で訪れる外国人2000万人を目指します。

<公明党>
経済基盤強化へ、中小企業の知財活性化策
●研究力・開発力・信用力の向上など中小企業の経営基盤の強化に資する知的財産の活用を促進するため、法整備や税制措置など戦略的なインフラ整備を行い、創造・活用・保護など知的財産活用促進のための総合的支援を強化します。
●経営基盤の弱い事業者による知的財産の創造のため総合的な支援策を講じるとともに、技術およびビジネスモデル等における知的財産権の獲得と確保に向けた軽減措置に取り組みます。
●知的財産権の発掘・強化・拡大に向けた産学連携モデル事業の推進を図るとともに、共同研究の成果を迅速に事業化に結びつける仕組みを整備します。

全国で新たな事業活動を促進
●マンガ、ゲーム、アニメ、映画、デザイン・ファッションなど、価値を生産するコンテンツ(クリエイティプ)産業を日本経済の一翼を担う産業として位置付け抜本的な支援強化に取り組みます。
著作権取引支援システム構築支援
プロデュース人材の育成や事業化支援
コンテンツ技術開発の促進
ファイナンスや販路開拓等海外展開支援
国際共同製作案件への支援
コンテンツ取引市場作り支援
人材流出防止や海賊版防止
●ゲーム・ソフトウエアなどさまざまな知的資産によって、国外への情報発信を応援します。

ICT産業の成長促進
●放送コンテンツなどわが国が強みとするコンテンツの流通促進により、わが国コンテンツ市場を約5兆円拡大させます。

<民主党>
(政策集INDEXより)インターネットを用いたコンテンツの2次利用促進
 過去に放送されたテレビ番組(コンテンツ)をインターネットで2次利用する場合には、すべての権利者から許諾を得なければならず、2次利用はなかなか進んでいません。インターネット上でのコンテンツの活用を図るため、著作権の保護に配慮しつつ、著作権処理の円滑化に向けて抜本的な検討を進めます。
 特に、権利処理が困難な過去のコンテンツの再利用を円滑化するための措置を早急に検討します。

 知財に関しては、どの政党も全く意味のあることを書いていない。自民党・公明党はマンガ、ゲーム、アニメなどの振興に触れているが、ここ数年の与党が強力に推進して来たのは文化・コンテンツ弾圧政策に他ならないのであり、この連中が文化・コンテンツ産業振興に言及すること自体噴飯ものである。

(2)情報通信
<自民党>

(政策BANKより)地上デジタル放送の推進・情報通信網の整備による地域間格差の解消
全国どこでも医療や教育などのサービスを受けることができるネットワーク基盤を整備するため、2010年度末までにブロードバンド・ゼロ地域の解消を実現するとともに、携帯電話不感エリアの解消のため、特に条件的に厳しい地域の整備を行う。さらに、テレビ放送について、過疎地域・山間部の整備や年の難視聴対策、経済的弱者への支援策を強化し、2011年にデジタルへの完全移行を実現する。それにより余裕が生まれる電波を、防災や交通安全対策や新規事業など、生活に密着した分野へ活用し、情報通信技術の恩恵が実感できる豊かな生活を実現する。

(政策BANKより)IT利活用社会の実現
世界トップのブロードバンド環境とIT技術のフル活用、国民視点にたった電子政府(e-Gov)の推進により、行政・医療・産業・福祉・教育・司法・交通・テレワーク等、生活に密着した分野を情報通信ネットワークで接続し、2015年までに国民生活の利便性向上、行政事務の簡素効率化・標準化・見える化を実現する。また、デジタル技術の活用による新規性・先進性の高い事業の創出、雇用確保、生産性の工場により、経済を活性化させる。

<公明党>
ICT産業のグローバル化の推進
●ワイヤレス、デジタル放送、次世代IPネットワークなど、わが国が強みを発揮しうるICT産業分野について、特にアジア地域に重点をおいたグローバル展開を積極的に推進します。
●日本ASEAN(アセアン)経済連携協定後の中長期的なアセアンとの協力として、アジア地域での「グリーンICT」の推進・企業情報セキュリティの確保・電子商取引の環境整備・ICT人材育成など、ICTを活用したより高度な知識経済圏の構築に向けた協力プロジェクトを推進します。

ICT産業の成長促進
●2010年代に成長が期待される新たな電波利用システムやサービスの実現、わが国が強みを持つ分野について研究開発の加速化などにより、現在約100兆円のICT産業の市場規模を、2015〜20年に倍増させます。

国民電子私書箱構想の推進
●2015年までに、国民が自らの年金記録などの情報を入手・管理することができ、また、幅広い分野で24時間簡単にワンストップの行政サービスを利用することができる「国民電子私書箱」構想を実現します。

地上デジタル放送への円滑な完全移行の実現
●2011年7月の地上デジタル放送への円滑な完全移行に向けて、デジタル受信機やチューナーの国民への一層の普及促進を図ります。また、地形や建造物等によるデジタル難視聴対策を推進します。さらに、適正な廃棄・リサイクルの一層の推進など、環境に配慮した取り組みを行います。

デジタルディバイドの早期解消
●市町村が実施するブロードバンド整備に対して支援を行い、「ブロードバンド・ゼロ地域」の解消を早期に実現します。また、ブロードバンドと防災・医療等の公共的アプリケーションとの一体的整備を推進します。さらに、市町村が実施する鉄塔整備に対して支援を行
い、携帯電話がつながらない地域を解消します。

携帯電話のさらなる利便性の向上と料金引き下げ
●携帯電話のSIMロック解除や、携帯メールアドレスの持ち運び等により、さらなる利便性の向上を図るとともに、携帯電話料金の引き下げを行います。

ICTによる安心・安全な地域社会の実現
●ICT関連技術を活用して、遠隔医療、児童・高齢者見守り、防災情報提供などの取り組みを推進し、地域住民が安心・安全を実感できる環境をつくります。

テレワークの推進
●子育て中の女性、障がい者等の就業機会の拡大、ワーク・ライフ・バランスの実現等の観点からテレワーク(ICTを活用した場所と時間に制約されない柔軟な働き方)の普及拡大を推進します。

電子行政クラウドの推進による行政の効率化
●クラウドコンピューティング技術などの最新の技術を活用し、中央省庁の保有する情報システムのハードウエアの統合化・集約化などを図る「霞が関クラウド」の実現により、中央省庁の情報システム経費を削減します。また、地方公共団体の保有する情報システムについても、可能なものから統合・集約などを図る「自治体クラウド」の構築を推進します。

医療分野におけるICT利活用による医療の質と安全性の向上
●地域の医師不足などの問題に対応するとともに、全国で質の高い安全な医療を受けることを可能とするため、ICTを利用した遠隔医療を推進します。

高度ICT人材の育成
●ICTに関する技術や利活用方法を理解し、高い付加価値を創造できる高度ICT人材について、産学官連携によりその育成拠点の形成を図ります。

情報バリアフリーの推進
●高齢者・障がい者が使いやすい情報通信機器・技術の開発およびサービスの提供の促進等により、ユニバーサルデザインの普及促進を実施するとともに、字幕放送・解説放送等を普及・促進します。

<民主党>
(政策集INDEXより)NHKの改革
 NHK職員によるインサイダー取引など、NHKの信頼を揺るがす不祥事が続出していることにかんがみ、経営改革と体質改善を推進し、NHKが法令順守を徹底するように厳しく監視します。
 受信料不払者の存在から来る不公平感の解消と未だ収入に対して比率の高い受信料徴収コストの削減のため、受信料のあり方や、受信料の徴収方法について検討します。
 NHKの業務範囲が国民に理解されるものとなるよう、とかく不透明性が問題となる子会社について設置基準を見直して整理を進めるとともに、NHK本体と子会社の契約のあり方についても見直します。また、NHKの各チャンネルの位置づけを再度明確にした上でBS放送波の削減を検討します。

(政策集INDEXより)通信・放送委員会(日本版FCC)の設置
 通信・放送行政を総務省から切り離し、独立性の高い独立行政委員会として通信・放送委員会(日本版FCC)を設置し、通信・放送行政を移します。これにより、国家権力を監視する役割を持つ放送局を国家権力が監督するという矛盾を解消するとともに、放送に対する国の恣意的な介入を排除します。
 また、技術の進展を阻害しないよう通信・放送分野の規制部門を同じ独立行政委員会に移し、事前規制から事後規制への転換を図ります。
 さらに、通信・放送の融合や連携サービスの発展による国民の利益の向上、そしてわが国の情報通信技術(ICT)産業の国際展開を図るため、現行の情報通信にかかる法体系や規制のあり方などを抜本的に見直していきます。

(政策集INDEXより)通信・放送行政の改革
 近年の技術革新により通信と放送の融合が進展しており、既存の通信・放送に関する法体系の総合的な見直しが課題となっています。現代の通信・放送の融合時代に対応した法制のあり方を検討します。
 同時に、多様なメディアが存在する現状にかんがみ、表現の多様性を確保するために、クロスメディア所有(同一の者が新聞・テレビ・ラジオなど複数のメディアを所有すること)の是非も含めたマスメディア集中排除原則のあり方を検討します。

(政策集INDEXより)電波の有効利用
 産業活性化や新たな技術開発、国民の利便性向上につなげるため、有限な資源である電波(周波数)の有効利用に取り組みます。
既存利用者の効率利用と新規需要への迅速な再配分を図るため、①電波利用料に電波の経済的価値を反映させることによる電波の効率利用促進②適当と認められる範囲内でオークション制度を導入することも含めた周波数割当制度の抜本的見直し――などを行います。

(政策集INDEXより)情報格差の解消
 インターネットや携帯電話は、災害対策をはじめ、遠隔医療を可能にする、子どもの安全を守るなど、日常生活でも、また企業の活動でも重要になっています。しかし、地域によってはインターネットに接続できる環境の整備が遅れているところがあり、情報格差の拡大が懸念されています。情報ネットワークの構築が遅れている地域に情報格差が生じないよう、条件不利地域等に対する整備支援策等を通して、必要な環境整備・支援を行います。

(政策集INDEXより)地上デジタル放送への円滑な移行
 2011年7月24日に地上アナログテレビ放送は終了し、地上デジタルテレビ放送のみになります。しかし、地上デジタル放送に対応できるテレビやチューナーを持っている世帯はまだ半数ほどです。また、山間部や離島など、地上デジタル放送が見られない地域も残っています。
 地上デジタル放送への円滑な移行のため、①自治体との連携などによるデジタル放送受信に関する相談体制の強化②安価なチューナーの開発促進および経済的弱者に対するチューナーの購入支援③電波が届かない過疎、離島地域などでの中継局設置に対する支援④都市部などで高層ビル等が障害になり電波が届かない場合の共同アンテナ等の設置に対する支援⑤環境に配慮した地上デジタル放送対応機器への買替え促進策導入――など必要な環境整備・支援を行います。

<改革クラブ>
 IT分野では特に、放送と通信の融合施策を進めるとともに、成長が見込まれるアニメ、漫画、デザイン、ファッション等の分野とも連携させ、経済の活力を維持・強化します。これは同時に日本の庶民文化(ポップカルチャー)を世界に広める文化的効果も発揮します。
 通信や放送の監督のための中立性を確保することはもちろん、電波の割り当てにオークション制度を導入すると、サービス提供が高くつくため適当ではないと考えます。また私たちの主張により地上デジタル化は一歩前進しましたがさらに万全を尽くします。

 情報通信政策についても、あまり大したことは書かれていない。次の政権与党には、地デジ移行の問題が重くのしかかるのではないかと思うが、この点について今の与野党ともに本気で何かしらの対策を考えている様子は見られない。特に、自民党・公明党の政策は、ほとんど総務省の政策をそのまま書いているだけであり、公明党のマニフェスト内で「ICT」という語が連発されていることから考えても、自民党・公明党の情報通信関連項目は実質的に総務省が書いているのではないかと思われる。

 民主党の政策で見るべきものは、日本版FCCの設置と電波オークションの実施だが、これもどこまでどのように行うということが良く分からず、何とも言いようが無い。今の総務省の放送通信行政部門がそっくりそのまま別の役所になり、同じことが繰り返されるようなら何の意味も無い。無意味な規制強化に流れないように相互監視・牽制が行われるようにきちんと権限の分離を行わなければならないのだが、民主党にそこまで考えている様子が無いようなのは残念であり、情報通信政策に関しても、まだまだ混乱が続くだろう。

(3)児童ポルノ規制
<公明党>

児童ポルノの所持等の禁止
●子どもの福祉の観点から、児童ポルノ禁止法を改正し、児童ポルノの所持等を禁止するとともに、自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持等を処罰する罰則を新設します。

<民主党>
(政策集INDEXより)性的虐待・性的搾取から子どもを守る
 子どもたちを性的虐待や性的搾取から守るため、児童買春・児童ポルノ処罰法を改正します。
 児童ポルノの定義の明確化、児童ポルノ取得罪の新設、罰則の全般的引き上げと対象範囲の拡大、被害にあった子どもたちに対する保護規定の見直しやフォローアップ体制確立などを図り、実効性ある内容に充実させることを検討します。

<新党日本>
法制度改革
「児童ポルノ法案」に反対

 今回の選挙も残念ながら著作権選挙にはなりそうも無いので、児童ポルノ規制問題は、個人的には今回の選挙における最大の争点である。

 この問題について、公明党は、そのマニフェスト中で明確に児童ポルノの単純所持罪を創設すると明言している。表現・情報規制問題に関する限り、創価学会を支持母体とする宗教政党の公明党には絶対投票してはならない。表現・情報規制強化に懸念を抱いているようであれば、選挙に行き、公明党以外の政党に投票することは第1条件となる。政権与党として、一緒になって児童ポルノの単純所持規制を強力に推進した自民党も基本的には同断である。

 民主党も、自民党・公明党よりはマシだが、やはり危険な児童ポルノ取得罪の創設を政策集INDEXにあげており、この問題に関しては、今後も危険な状態が続くことが予想される。

 具体的にどのような点に反対しているのかは不明だが、児童ポルノ法案に反対と明確に書いている新党日本のマニフェストは高く評価しておきたい。新党日本も選挙区によっては選択肢の1つとなるだろう。

 なお、マニフェスト案には書いていないが、社民党は、保坂展人氏を筆頭に、ほぼ党として明確に児童ポルノの単純所持規制等に反対しているので、この問題に関しては第1に推す党である。

(4)ネット規制
<公明党>

治安の回復を実現
●刑法犯の認知件数を減らし国民生活の安全安心を確保するため、警察官の増員や質の向上などにより、ひったくりなどの街頭犯罪や振り込め詐欺などの防止、取り締まりを強化します。また、DNA型鑑定の一層の活用や、110番通報に対してより迅速に対応するため、携帯電話の発信地を通知する機能の導入を進めます。さらに、パソコンやインターネットなどを悪用したサイバー犯罪への取り締まりを強化し、犯罪仲間を募ったり、犯罪を助長したりするような「闇サイト」を法的に規制する方法を検討するとともに、情報モラル教育や啓発活動を推進します。

違法・有害情報対策の推進
●青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするため、全国で青少年のリテラシー(情報の理解力・発信力)を向上させる活動やインターネットが青少年に与える影響の調査を踏まえた的確な対策、違法・有害情報の検出等に資する技術開発への積極的な支援を行います。

 「闇サイト」とは何を差すのかいまだに良く分からない言葉の1つだが、ネット規制についても、公明党は、さらなる規制強化をねらっているとマニフェストで露骨に表明している。公明党の危険性はいくら強調してもし過ぎでは無い。

(5)規制緩和一般
<自民党>

(政策BANKより)規制改革
消費者行政とのバランスをとりつつ、各種規制のあり方を見直し、発展的経済活動を側面支援する。また、新たな立法時における規制の新設についても、国民の安全安心を確保するとともに、自由で活力ある経済活動を阻害しないようにする観点から、引き続き十分な事前審査を行う。

<民主党>
(政策集INDEXより)事業規制の原則撤廃と次世代競争力の確保
 現行の事業規制はすべてゼロベースで見直し、民間事業活動に関する規制を改革します。他方、公正競争の環境整備を推進します。すべての官業を納税者・生活者の視点で徹底して見直し、効率化と質の向上を図ります。
 IT、バイオ、ナノテク、環境、エネルギーなどの先端技術分野における研究者・技術者の質的・量的不足の解消に向けて、集中的に施策を展開し、民間経済の成長・拡大を支えます。

 規制緩和の検討に関しては、あまり民主党もアテにならないのだが、公明党と組んで、自由で活力ある経済活動を阻害する規制強化を全力で押し進めてきた自民党が、いまさら規制緩和によって経済活動を側面支援するとは片腹痛いとしか言いようが無い。

(6)共謀罪
<民主党>

(政策集INDEX 2009より)共謀罪を導入することなく国連組織犯罪防止条約の批准手続きを進めます。
 政府は、国連組織犯罪防止条約を批准するための国内法整備として、共謀罪を新設する法案を繰り返し国会に提出してきましたが、民主党は、共謀罪に反対する国民の広範な世論と連携して法案の成立を阻んできました。共謀罪は、団体の活動として犯罪の遂行を共謀した者を処罰するものですが、犯罪の実行の着手、準備行為がなくても相談をしただけで犯罪となること、およそ国際性とは無縁な犯罪や重大犯罪とまではいえないようなものを含め619もの犯罪が対象となることなど、わが国の刑法体系を根底から覆しかねないものです。条約は「自国の国内法の基本原則に従って必要な措置をとる」ことを求めているにすぎず、また、条約が定める重大犯罪のほとんど
について、わが国では現行法ですでに予備罪、準備罪、幇助犯、共謀共同正犯などの形で共謀を犯罪とする措置がとられています。したがって、共謀罪を導入しなくても国連組織犯罪防止条約を批准することは可能です。

 共謀罪も長いこと議論されている話だが、共謀罪の導入をしないということを、民主党の政策として明確にしていることは高く評価しておきたい。

(7)人権侵害救済法
<公明党>
人権擁護へ、「人権侵害救済法」(仮称)を制定
●人権侵害による被害を適正かつ迅速に救済するとともにその実効的な予防を図るため、新たな人権救済制度の創設などを含む「人権侵害救済法」を制定し、人権擁護施策を総合的に推進することにより人権尊重社会の実現を目指します。

<民主党>
人権侵害救済機関を創設し、人権条約選択議定書を批准する
【具体策】
○内閣府の外局として人権侵害救済機関を創設する。
○個人が国際機関に対して直接に人権侵害の救済を求める個人通報制度を定めている関係条約の選択議定書を批准する。

<社民党>
政府から独立した人権救済機関を設ける人権侵害救済法を制定します。

 人権擁護法案絡みの話も長いが、これも残念ながら与野党ともにあまり変わらず、どこをどう転んでも、選挙後も危険な状態が続くだろう。

(8)天下り
<自民党>

官僚の特権は認めない。行政と公務員のムダを徹底的になくします。
「天下り」や「渡り」は全面的に禁止。

信賞必罰の徹底など、評価制度を一新。国家公務員は、2015年までに8万人(2005年比)以上削減。
施策の重複をチェックする「政策の棚卸し」や、公益法人・独立行政法人の徹底したスリム化を進めます。
ムダ撲滅は終わりなき課題。今年度は一般会計で5500億円、特別会計で3300億円の予算見直しを実現しましたが、今後も税金のムダ遣いを徹底的に追求します。

<公明党>
“天下り”の根絶
●各省による再就職あっせんを禁止し退職管理を「官民人材交流センター」に一元化する改革を早期に実施し、“わたり”あっせんの年内廃止を実現します。
●退職公務員の独立行政法人、公益法人等役職員の給与・退職金を大幅に引き下げます。
●早期勧奨退職慣行の廃止、定年の延長、再就職あっせんの全面廃止等を実現し、3年で天下りの根絶を目指します。

<民主党>
特別会計、独立行政法人、 公益法人をゼロベースで見直す
【具体策】
○実質的に霞が関の天下り団体となっている公益法人は原則として廃止する。公益法人との契約関係を全面的に見直す。

公務員制度の抜本改革の実施
【具体策】
○定年まで働ける環境をつくり、国家公務員の天下りのあっせんは全面的に禁止する。

<社民党>
官僚の天下りや「わたり」を禁止します。キャリア制度を廃止します。公務員に労働基本権を付与します。審議会や公的法人の役員人事の公募を進めます。

<共産党>
天下り禁止・企業献金禁止など、政官財のゆ着を断ち切る法的措置を講じます……中央省庁の高級官僚が、政治家、財界とゆ着して、相互に特権的な利益を享受しあう関係になっています。この「政官財」ゆ着は、財界・業界が、一部の特権官僚に“特別席”“指定席”を保障する(天下り)、その見返りに官僚が財界・業界の利益につながる政策をたてる、それを自民党などの政治家が国会で成立させ、その見返りとして財界・業界が多額の政治献金をするという、いわゆる「トライアングル」と呼ばれる根深い構造に支えられています。一昨年明るみにでた、国が発注元になったダム工事をめぐる「官製談合」問題は、事業それ自体が巨大な税金の無駄遣いであったうえに、国土交通省が音頭を取って談合を組織して巨大ゼネコンに受注させ、それらのゼネコンが高級官僚には「天下り先」を、政治家には企業献金を提供するという「構造的」なものでした。
この「政官財」のゆ着を断ち切り、行政を、憲法が明記する通り主権者国民全体に奉仕するものに改革するために、企業・団体献金を即時・無条件に禁止するとともに、高級官僚の営利企業・業界団体、政府関係法人への天下りを禁止する法律を制定します。

<国民新党>
●一部高級官僚の天下りや渡りは早急に止め、これを可能とする定年制の導入等、職場環境を整備し、三権の一角である行政の権威を確立します。

<新党日本>
行政改革
●退職金目当ての公務員(国・地方)の天下り(=「渡り」)の禁止。「調整額」「退職手当債」の即時全廃

<改革クラブ>
健全な財政と信頼される行政を確立します。
 現下の厳しい経済状況にあっては景気対策が最優先ですが、同時に新たな経済成長戦略のもと自然増収による財政健全化に向けた道筋を示すことが重要です。
 行政への信頼を取り戻すため、天下りや渡りを規制します。そしてすべての行政の情報公開を行い、国民によく見えるようにすることをお約束します。これにより国民に納得を得る政治、行政を実現します。

 天下りを容認する政党は無く、天下りに関しては全政党が一致して禁止である。本当に重要なことは、具体的に今後の公務員制度の設計をどうするのかということなのだが、この具体的な制度設計については、どの政党もあまり明確でない。

 なお、日本新党が地方公務員の天下り禁止にも触れていることは注目に値する。地方でも天下りは存在しており、やはり同じような問題を抱えているのである。

(9)選挙制度
<自民党>
国会議員の数がまだ多い。国のスリム化は、まず国会のスリム化から。
日本より人口の多いアメリカでも、上院議員の定数は100人、下院議員は435人。
議員数を含め、正しい国会のあり方が求められるいま、
次の第46回負う選挙から衆議院議員定数を1割以上削減、10年後には衆参議員定数の3割以上を削減します。
また、企業献金の脱法行為を防ぐ対策なども1年以内に結論を出します。引退する議員の配偶者と3等親内の親族が
同じ選挙区で立候補する場合は、次回の総選挙から公認または推薦をせず、「世襲候補」を制限します。
一方で、官邸機能の強化は不可欠。早急に総理を補佐する国家戦略スタッフ等を発足させます。

<公明党>
定数削減
●衆議院の選挙制度については、新しい中選挙区制を導入し、定数を大幅削減します。参議院の選挙制度については、大選挙区制を導入し、定数を大幅削減します。

国民主役の公選法へ
●国民主役の公職選挙法への改革を目指し、政策について十分な対話を行うことができる選挙運動を実現します(戸別訪問の解禁)。

永住外国人の地方選挙権
●永住外国人への地方選挙権の付与を実現します。

世襲制限
●国会議員の配偶者および三親等以内の親族が同一選挙区から立候補することを党として禁止します。

<民主党>
企業団体献金・世襲を禁止する
【具体策】
○現職の国会議員の配偶者及び三親等以内の親族が、同一選挙区から連続して立候補することは、民主党のルールとして認めない。
○政治資金を取り扱う団体を親族に引き継ぐことは、法律で禁止する。
○誹謗中傷の抑制策、「なりすまし」への罰則などを講じつつ、インターネット選挙活動を解禁する。

国会議員の定数を削減する
【具体策】
○衆議院の比例定数を80削減する。参議院については選挙制度の抜本的改革の中で、衆議院に準じて削減する。

(政策集INDEXより)永住外国人の地方選挙権
民主党は結党時の「基本政策」に「定住外国人の地方参政権などを早期に実現する」と掲げており、この方針は今後とも引き続き維持していきます。

<社民党>
同一選挙区からの世襲立候補や政治団体の相続をただちに制限します。
多様な民意を反映する比例代表中心の選挙制度への改革をめざします。

<共産党>
民意を切り捨てる比例代表定数削減に反対し、選挙制度の民主的改革をおこないます
 自民・民主両党が、「国会議員定数削減」を競い合っています。民主党は「衆議院の比例定数を80削減する」、自民党は「少なくとも1割、50人以上削減」という具合です。
 比例代表制は、各党の得票率に応じて議席数を配分することで、有権者の選択を議席に正確に反映する仕組みです。比例代表制の定数削減の最大の狙いは、少数政党を国会と国政の舞台から締め出すこと、これらの政党が代表している国民の声を国会と国政の場から切り捨てることです。
 日本共産党は比例定数削減に強く反対し、衆議院選挙制度を全国11ブロックの比例代表制に改革します。高すぎる供託金制度の抜本的見直しをはかります。憲法がうたう「国権の最高機関」「国民の代表機関」にふさわしい国会を実現するために全力をあげます。

<新党日本>
国会改革・地方分権
●国会議員の世襲禁止(同一選挙区からの立候補禁止)、ならびに親族(三親等)の公設秘書登用の禁止
●選挙制度の改革により、衆議院、参議院の役割を明確化。
 衆議院議員は選挙区から選出、参議院は都道府県知事と全国比例区選出議員で構成する
●議員定年制の導入
 議員定年制を導入し、公示日の立候補者の年齢上限を70歳とする

<改革クラブ>
○ 衆参の選挙制度を見直します。
1) 衆議院選挙制度は死票の少ない複数当選者がある選挙区制。
2) 衆参の議員定数削減。

 国会議員定数削減の話1つとっても、比例を削減したい大政党と、小選挙区を削減したい他の小政党との間で、国民そっちのけで単なる政争が行われているだけというのが現実であり、選挙制度改革絡みの話も今のところほとんど何も評価できない。マニフェストも含めて、政党レベルでの政策論争が極めて貧弱なレベルにとどまっているという今の状況で、比例の比率を上げることはかえって日本にとって危険なものとなるだろう。主要政党のほぼ全て(上では引用しなかったが、共産党もマニフェスト世襲禁止に言及している)があげている世襲制限も、やりたければやれば良いと思うが、本当の問題は政策決定・政治における規制の多さ・参入障壁の高さにあるので、それを下げる努力がなされてしかるべきところ、出てくる主な案が世襲制限と規制を増やすことしか政治屋の頭にないのでは日本の未来は本当に暗い。単なる政治屋同士の派閥抗争に国民を巻き込まないで欲しいものである。

 ただし、選挙制度改革について、民主党がマニフェストでインターネット選挙の解禁に触れていることだけは高く評価しておきたいと思う。(なお、公明党が、ネット選挙では無く、戸別訪問の解禁を求めている点など非常に露骨である。)

 どの政党のマニフェスト案も政策論としてはお粗末極まるものであり、アテにならないのは見えているのだが、それでも、今の与党である自民党・公明党のマニフェストは群を抜いてお粗末であり、全くお話にならない。マニフェストを見ただけでも、表現・情報規制問題における、創価学会を支持母体とするカルト政党、公明党の危険性は明らかであり、表現・情報規制強化に懸念を抱いているようであれば、選挙に行き、公明党以外の政党・議員に投票することは第1条件となる。

 比較の問題に過ぎず、今後も危険な状態が続くとは思うが、表現・情報規制問題に関する限り、今の与党より、民主党などの野党の方がかなりマシである。保坂展人氏を擁する社民は引き続き推したいと思うが、児童ポルノ法案に反対とマニフェスト案に明記している新党日本もポイントが高い。

 戦略は細部に宿るという言葉の意味をカケラも理解しておらず、政策とは何かということを全く理解していない時点で、どの政党が政権を取ろうと、選挙後も待っているのは、政策迷走の地獄に他ならないが、それでも、少しでもマシな政党・人間を今度の選挙で選ぶことは極めて重要であり、なるべく多くの人に選挙に行ってもらいたいものと私は思う。

 個人的には、今回の選挙は児童ポルノ規制法選挙と思って投票するつもりだが、特に、このような情報・表現規制問題に関しては、公明党を除き、政党レベルでどうこうというより、規制官庁あるいは少数の規制派議員が暴走するのが常であり、次の選挙で、ピンポイントに規制派議員がどれくらい落ちるか、慎重派・反対派議員がどれくらい通るかで、今後の動向が大きく左右される。そのため、情報・表現規制問題に関しては、注目選挙区がいくつかはっきり存在しているので、次回はその紹介をしたいと思っている。

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2009年8月 1日 (土)

番外その19:最近2年間の情報規制関連の主な動き

 それ以前も兆候はあったが、この2年の情報規制関連の動きは異常という他なかった。今回は、今後の参考に、番外として、特に出会い系サイト規制法、青少年ネット規制法、ダウンロード違法化、児童ポルノ規制法に関する主な動きを個人的にまとめておきたいと思う。全て書いて行くと分かりにくくなるので、以下では国会における動きのみを書いて行くが、内閣提出法案の場合、その前に各官庁が自前の審議会で法改正に関する報告書を一方的に作った上で、パブコメも無視し、国会における法案審議を出来レースで済ますことが常態化しているし、議員提出法案の場合でも、与野党協議という名の密室談合によって法案をまとめ、実質的な国会審議を省略することが普通にまかり通っているというのが日本の今の政策決定における悲惨な現状である。(以下、赤字で強調したのは、衆議院で危険な情報・表現規制派として知られている衆議院議員であり、青字で強調したのは情報・表現規制慎重派・反対派として知られている衆議院議員である。なお、公明党は、表現・情報規制問題において、1人1人がどうこうということは無く、党全体として極めて危険である。)

2007年11月28日 衆議院・内閣委員会で、高市早苗議員<自民・奈良2区>が、青少年ネット規制法を与党内で検討していることを披露(議事録。高市早苗議員は、自民党内の青少年特別問題委員長として、青少年ネット規制法の導入を強力に推進した中心人物である。)

2008年 2月 4日 参議院・予算委員会で、有村治子議員<自民・比例19年>が、米シーファー大使の読売への寄稿文を取り上げ、単純所持規制の必要性を訴える。(議事録

      2月29日 出会い系サイト規制法(正式名称は、「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」)改正案衆議院提出(内閣(警察庁)提出。問題点については第50回前回のパブコメ参照)

      4月2日・14日 「子供が使用する携帯電話への法規制に関する請願」衆議院・青少年問題に関する特別委員会付託(紹介議員:井澤京子議員<自民党・比例近畿ブロック>、泉健太議員<民主党・京都3区>)

      4月10日 衆議院・青少年問題に関する特別委員会で、吉田泉議員<民主・東北ブロック>が、日本を児童ポルノ大国と決めつける米シーファー大使の発言を批判(議事録

      4月18日 出会い系サイト規制法改正案衆議院・青少年問題に関する特別委員会出来レース審議・可決議事録

      4月22日 出会い系サイト規制法改正案衆議院・本会議可決(実質審議無し)

      5月21日〜6月10日 「インターネットの有害情報から、子供を守るための法規制の早期実現に関する請願」衆議院・青少年問題に関する特別委員会付託(紹介議員高市早苗議員<自民・奈良2区>、やまぎわ大志郎議員<自民・神奈川18区>、安次富修議員<自民・比例九州ブロック>、中森ふくよ議員<自民・比例北関東ブロック>、平沼赳夫議員<自民・岡山3区>、内山晃議員<民主・比例南関東ブロック>、牧原秀樹議員<自民党・埼玉5区>)

      5月21日〜10日 「青少年健全育成のための有害図書類・有害情報規制に関する法整備を求めることに関する請願」衆議院・青少年問題に関する特別委員会付託(紹介議員:大前繁雄議員<自民党・兵庫7区>、下地幹郎議員<国民新・沖縄1区>、奥野信亮議員<自民・奈良3区>、高市早苗議員<自民・奈良2区>、鍵田忠兵衛議員<自民・比例近畿ブロック>、小池百合子議員<自民・東京10区>、西川公也議員<自民党・北関東ブロック>、森山眞弓議員<自民・栃木2区>、萩生田光一議員<自民・東京24区>、田野瀬良太郎議員<自民・奈良4区>、平田耕一議員<自民・比例東海ブロック>、平沼赳夫議員<自民・岡山3区>、高鳥修一議員<自民・比例北陸信越ブロック>、藤井勇治議員<自民・比例近畿ブロック>、船田元議員<自民・栃木1区>、加藤勝信議員<自民・比例中国ブロック>)

      5月23日 「美少女アダルトアニメ雑誌及び美少女アダルトアニメシミュレーションゲームの製造・販売を規制する法律の制定に関する請願」参議院・内閣委員会付託(紹介議員:円より子<民主党・比例16年>、下田敦子<民主党・比例16年>)

      5月27日 出会い系サイト規制法改正案参議院・内閣委員会出来レース審議・可決議事録

      5月28日 出会い系サイト規制法改正案参議院・本会議可決・成立(実質審議無し)

      6月 6日 青少年ネット規制法(正式名称は、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」)衆議院提出・可決(与野党の密室政策談合により、合意案を青少年問題に関する特別委員長・玄葉光一郎<民主・福島3区>から提出し、実質審議を省略して可決。青少年問題に関する特別委員会議事録。なお、民主党で青少年ネット規制法案の対案をまとめたプロジェクトチームの座長は松本剛明<民主・近畿ブロック>、事務局長は高井美穂議員<民主・四国ブロック>(民主党のリリース参照)。自民党では、高市早苗<自民・奈良2区>が法案推進の中心人物だが、2008年10月6日の衆議院・予算委員会で自ら述べているように、葉梨康弘議員<自民・茨城3区>も青少年の違法・有害情報対策委員会の主査として関わっている。)

         同日 「青少年健全育成のための有害情報規制に関する法整備を求めることに関する請願」衆議院・青少年問題に関する特別委員会付託(紹介議員:林潤議員<自民・神奈川4区>)

         同日・10日 「青少年健全育成のための有害図書類・有害情報に関する法整備を求めることに関する請願」参議院・内閣委員会付託(紹介議員:島尻安伊子<自民・沖縄>、有村治子<自民・比例19年>、亀井郁夫<国民新・広島>)

      6月10日 青少年ネット規制法参議院・内閣委員会出来レース審議・可決議事録

         同日 与党(自民・公明)による単純所持規制を含む児童ポルノ規制法(正式名称は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律」)改正案衆議院提出(提出者:森山眞弓議員<自民・栃木2区>葉梨康弘議員<自民・茨城3区>富田茂之議員<公明・南関東ブロック>。単純所持・与党案の問題については、第70回番外その14前回のパブコメ参照)

         同日 「インターネット上の青少年有害情報規制に関する法整備を求めることに関する請願」衆議院・青少年問題に関する特別委員会付託(紹介議員:飯島夕雁議員<自民・比例北海道ブロック>)

         同日 「児童買春、児童ポルノ禁止法改悪反対に関する請願」衆議院・青少年問題に関する特別委員会付託(紹介議員保坂展人議員<社民・東京ブロック>

         同日 「子供ポルノ問題に関する請願」参議院・内閣委員会付託(紹介議員:自見庄三郎<国民新・比例19年>)

         同日 「児童買春、児童ポルノ禁止法改悪反対に関する請願」参議院・法務委員会付託(紹介議員:松浦大悟<民主・秋田>)

      6月11日 青少年ネット規制法参議院・本会議可決・成立(実質審議無し)

     10月15日 「児童買春・児童ポルノ禁止法改正に当たり、拙速を避け、極めて慎重な取り扱いを求めることに関する請願」衆議院・法務委員会付託(紹介議員保坂展人議員<社民・東京ブロック>

         同日 「美少女アダルトアニメ雑誌及び美少女アダルトアニメシミュレーションゲームの製造・販売を規制する法律の制定に関する請願」衆議院・法務委員会付託(紹介議員:村井宗明議員<民主・北陸信越ブロック>)

     11月 7日・14日・20日 「児童買春・児童ポルノ禁止法改正に当たって、拙速を避け、極めて慎重な取扱いを求めることに関する請願」参議院・法務委員会付託(紹介議員:中村哲治<民主・奈良>、松浦大悟<民主・秋田>、鈴木寛<民主・東京>)

     12月 1日 改正出会い系サイト規制法施行

     12月15日 参議院・決算委員会で、松あきら議員<公明・神奈川>が、単純所持規制を含む与党の児童ポルノ規制法改正案の早期成立を訴える。(議事録

     12月17日 「子どもの保護に名を借りた創作物の規制、捜査機関による濫用の危険性が高い児童ポルノの単純所持規制反対に関する請願」衆議院・法務委員会(紹介議員保坂展人議員<社民・東京ブロック>

2009年 2月18日 衆議院・予算委員会で、鳩山邦夫総務大臣<自民・福岡6区>が、児童ポルノについて「断固として単純所持を禁止するべき」であり、「表現の自由で守られる法益と児童ポルノによって失われる人権というものとの比較をすれば、それは表現の自由という部分が大幅に削られて構わない」と発言(議事録

      3月10日
 ダウンロード違法化を含む著作権法改正案国会提出(内閣(文化庁)提出。問題点については第160回前々回のパブコメ参照)

      3月19日 民主党による反復取得規制を含む児童ポルノ規制法改正案衆議院提出(提出者:細川律夫議員<民主・北関東ブロック>、吉田泉議員<民主・東北ブロック>枝野幸男議員<民主・埼玉5区>小宮山洋子議員<民主・東京ブロック>、西村智奈美議員<民主・新潟1区>。民主党案の問題点については、第162回参照)

      4月 1日 青少年ネット規制法施行

      4月10日・5月1日・7月3日 「子供の保護に名を借りた創作物の規制、捜査機関による濫用の危険性が高い児童ポルノの単純所持規制反対に関する請願」参議院・法務委員会付託(紹介議員:川田龍平議員<無所属・東京>、松浦大悟議員<民主・秋田>、中村哲治議員<民主・奈良>、福島みずほ議員<社民・比例16年>)

      4月15日 「子どもの保護に名を借りた創作物の規制、捜査機関による濫用の危険性が高い児童ポルノの単純所持規制反対に関する請願」衆議院・法務委員会付託(紹介議員吉田泉議員<民主・東北ブロック>保坂展人議員<社民・東京ブロック>枝野幸男議員<民主・埼玉5区>辻元清美議員<社民・近畿ブロック>

      4月28日 参議院・消費者問題に関する特別委員会で、野田聖子消費者行政担当大臣<自民・岐阜1区>が「児童ポルノの法律の改正というのを随分ユニセフ辺りから言われている」と発言(議事録

      5月 8日 ダウンロード違法化を含む著作権法改正案衆議院・文部科学委員会出来レース審議・可決第171回参照)

      5月12日 ダウンロード違法化を含む著作権法改正案衆議院可決(実質審議無し)

      5月20日 「児童買春・児童ポルノ禁止法改正に当たり、拙速を避け、極めて慎重な取り扱いを求めることに関する請願」衆議院・法務委員会付託(紹介議員保坂展人議員<社民・東京ブロック>枝野幸男議員<民主・埼玉5区>吉田泉議員<民主・東北ブロック>

      6月11日 ダウンロード違法化を含む著作権法改正案参議院・文教科学委員会出来レース審議・可決第177回参照)

      6月12日 ダウンロード違法化を含む著作権法改正案参議院可決・成立(実質審議無し)

      6月19日 「子供ポルノ問題に関する請願」参議院・内閣委員会付託(紹介議員:自見庄三郎議員<国民新・比例19年>)

 

        同日 「子供ポルノ問題のための、児童買春・児童ポルノ等禁止法の改正、厳格な適用等に関する請願」参議院・法務委員会付託(紹介議員:自見庄三郎議員<国民新・比例19年>)

      6月26日 児童ポルノ規制法改正案衆議院・法務委員会審議葉梨康弘議員<自民・茨城3区>は焚書・表現弾圧を明言して違憲発言を繰り返す。富田茂之議員<公明・南関東ブロック>丸谷佳織議員<公明・北海道ブロック>も危険極まりない宗教政党・公明党の構成員として、根拠無く単純所持規制が必要と違憲発言を繰り返す。小宮山洋子議員<民主・東京ブロック>は、民主党案を離れ、単純所持規制を支持していることを暴露。民主党案にも問題はあるものと思うが、枝野幸男議員<民主・埼玉県>は、所持規制における情報と有体物の特性の違いをきちんと理解し、自民党案の主観的要件のみによる情報の単純所持規制による冤罪発生の危険性を的確に指摘。保坂展人議員<社民・東京ブロック>は、この問題におけるほぼ唯一の良心として、必要な規制はきちんとやるべきだが、それによって表現の自由や内心の自由が萎縮するようなことはあってはならないという立場を明確に表明。(会議録目次6参照)

      6月    「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の改正を求めることに関する請願」衆議院受理(紹介議員:宇野治議員<自民・近畿ブロック>、稲田朋美議員<自民・福井1区>、大前繁雄議員<自民・兵庫7区>、やまぎわ大志郎議員<自民・神奈川18区>、藤井勇治議員<自民・近畿ブロック>、松本洋平議員<自民・東京19区>、鈴木淳司議員<自民・愛知7区>、御法川信英議員<自民・秋田3区>)

2010年 1月 1日 ダウンロード違法化施行予定

 前々回前回のパブコメにも書いた通り、これらの法改正による歪みは既に出始めている。出会い系サイト規制法とダウンロード違法化はそれぞれ警察庁と文化庁の暴走によるものであるが、これらの規制官庁の暴走を止めなかったことも含めて今の自公政権の罪は極めて重い。この2年間の役所と国会の審議のレベルは全体的にあまりにも低く、残念ながら選挙後も危険な状態が続くとは思うが、表現・情報規制問題において今度の選挙は非常に重要である。

 各政党のマニフェストは政策としては見る限りロクな項目が無いのだが、次回は、情報・知財政策という観点から、各政党のマニフェストの比較をやっておきたいと思っている。

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2009年6月 6日 (土)

番外その18:アダルトゲーム自主規制問題とコンピュータ・ソフトウェア倫理機構の問題

 アダルトゲーム自主規制問題については、表現規制を主に取り扱っている「チラシの裏(3週目)」や「表現の数だけ人生がある」等々におまかせするつもりだったが、この問題に関する一連の動きはあまりにも腹立たしく、その影響は表現・情報規制問題全体に及ぶと思うので、ここでも1つエントリを立てて書くことにする。

 まず、コンピュータ・ソフトウェア倫理機構(通称、ソフ倫)自体、映倫やビデ倫と同じく、自主規制団体に過ぎないということと、今回の問題が、いつもの「児童ポルノ」とはまた別の「性暴力」と称する曖昧な規制派の概念から来ているということは、前提としてはっきり認識しておく必要がある。(各都道府県における有害図書指定との関係や、このような自主規制団体が、一般流通のほぼ全てを握っているということが、そもそも問題だと思うが、自主規制そのものの問題は、そのうち別途書くこととして、ここではひとまずおいておく。)

 一連の動きは、「王様を欲しがったカエル」に分かり易くまとめられているが、一連の流れは、イギリスのアマゾンに何故か出品されていた「レイプレイ」がイギリスの国会やアメリカの人権団体で問題にされ、英米のアマゾンマーケットプレイスへの出品が取り下げに→日本に飛び火して、日本の小売りが「レイプレイ」の取り扱いを停止→国内の一部の規制議員他の圧力から、凌辱ゲームの事実上の自主規制をソフ倫が決定、というものである。(なお、リンク先のエントリによると、内閣府が「政府(この場合は官僚)は表現の自由を規制する法律を作れない。憲法に抵触するおそれがあるからだ。しかし、議員立法の場合は、表現の自由を切り離した規制法案を成立させることは可能である」という見解を示したらしい。確かに、国会の多数決で法律を成立させることは可能かも知れないが、表現の自由に抵触するなら、当然そのような法律は裁判で最終的に憲法違反で無効とされるはずである。本当にこのような見解を役所がそれだけで示したとすると、これは社会的コストを無視した大暴言である。)

 しかし、「レイプレイ」騒動自体、英米でも一部の規制団体と規制議員が騒いでいるくらい(それすら、日本の一部の規制派団体のマッチポンプの疑いが濃いが)で、欧米においてそこまで大きな反響を呼んでいる訳では無い。(そもそも、表現の自由の問題は多数決の問題では無いが、日本のアダルトゲームは欧米の一般販路に乗っていないので、内容の良くわからないゲームについて一般世論が盛り上がる訳がない。欧米でより大きな騒ぎとなっているのは、性暴力というポルノ全体の否定につながる概念から来る話よりも、サイトブロッキングなどの児童ポルノに関する問題である。)

 何か裏があるのかも分からないが、表に見えている構図は、いつもの日本の一部の規制派団体のメンバーと規制議員と規制官庁が針小棒大に問題を騒ぎ立て、根拠不明・意味不明の主張から、その政治力を不当に行使して、ソフ倫に規制強化方針を飲ませたというものである。猥褻性などを考慮して、業界の総意として何らかの具体的基準に基づいて製作・販売を自粛するという判断をしたという話であるなら、外野からどうこう言うスジの話では無いのだが、どうも、外から見る限り、業界の総意としてそのような判断をした様子は見えない。(なお、表現の自由とポルノグラフィーの関係については、第76回に書いた。)

 ソフ倫の定款や倫理規定等は、法人概要の沿革ページの「情報公開」から読めるが、こうした自主規制団体において最も重要なものである倫理規定の改正は定款において総会決議事項とされているのであり、そう短時間でおいそれと変更できるものではないはずである。(なお、情報公開のボタンをクリックすると、著作権に関する警告が出てくる。そもそも、本題とは関係ないのでここではおくが、法人の定款や賃貸対照表といったものは、創作性のある表現では無く、著作権の保護の対象とはならないものだろう。)

 ソフ倫自体透明性に欠けるところがあり(このような団体がある特定ジャンルの一般販路のほぼ全てを握っていること自体問題だと思うが)、ひそかに総会を開いて決議していたという可能性も否定できないのだが、最近の一連の報道(朝日のネット記事cnetの記事ITmediaの記事参照)から見る限り、具体的な判断基準の妥当性を検討して総会の決議をあおぐ前に、ソフ倫は、理事レベルで規制強化方針を勝手に決定し、一方的に通知・発表して既成事実化を図ったものとしか見えない。

 任意団体だったとしても問題になるだろうが、ソフ倫自体は、既に一般社団法人となっている(ソフ倫のリリース参照)ので、本当に理事によって定款無視が行われたのだとしたら、一般社団法人法(正式名称は、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」)からも、当然問題があるものと言わざるを得ない。(例えば、一般社団法人法第83条では、「理事は、法令及び定款並びに社員総会の決議を遵守し、一般社団法人のため忠実にその職務を行わなければならない」とされている。)

 もし、本当に理事レベルで一方的に規制強化方針を決定し、勝手に通知・公表してその既成事実化を図ったということが事実であり、本騒動で具体的な被害を被ったメーカーがあるなら、確実に、法律に基づいて会員メーカーはソフ倫に対して損害賠償請求の訴えを提起することができるだろう。(一般社団法人法上、理事や監事は、その任務を怠ったときは、一般社団法人に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負うとされている(第111条)のであり、団体の理事や監事は、定款・法令違反について無責任ではいられない。)

 損害賠償請求とまで行かなくとも、会員メーカーは、定款に基づいて、そのような決定の無効と、社員総会(ソフ倫の定款上、正会員が社員であるとされ、議決権は各1とされている)でのきちんとした決議を求めることは当然できるだろう。本当に定款が無視されたのならば、そもそもそのような決定は無効だと思うが、一般社団法人法上も、総社員の議決権の30分の1の以上の議決権を有する社員で、理事に対し、一定の事項を社員総会の目的とすることを請求することができるとされている(第43条)のであり、法律に基づいても、今回の一連の騒動について、社員総会におけるきちんとした説明や正式な決議を求められるだろう。(総会の決議自体の多数派工作は大変だと思うが、動議の請求だけなら、ソフ倫の正会員数の233社の30分の1、わずか8社で済む。)

 また、このレベルの団体だと、理事と監事が一緒くたに扱われている可能性も否定できないが、監事とは、理事の職務の執行を監査し、監査報告を作成する者であり、例えば、一般社団法人法の第102条でも、監事は、理事が社員総会に提出しようとする議案等を調査しなければならず、法令若しくは定款に違反する場合は、その調査の結果を社員総会に報告しなければならないとされているのであり、監事にその義務を忠実に果たすよう求めることも、1つの手だろうと思う。

 表に見えることから判断する限り、相手は、何ら根拠も無くいたずらに不当な圧力を行使し、法律も定款も業界ルールも無視して、本来最大限認められるべき表現の自由を侵害しようとして来ているのである、このブログをアダルトゲーム業界の関係者が読んでいるとはあまり思わないのだが、もし読んでおられるなら、是非、なるべく横のつながりを広げ、何らかの対策を練ってもらいたいと思う。まだまだいくらでも手はあるはずである。(あくまでもソフ倫が不透明かつ不当な形で規制強化を強要して来るようなら、そのような団体はもはや自主規制団体、業界団体の名に値しない。その場合、単なる検閲団体と化したソフ倫は解体を模索されても良いくらいである。)

 そして、アダルトゲームのファン層と、このブログの読者層が重なっているともあまり思わないのだが、もし読んでおられるなら、善良なアダルトゲームファン諸氏には(善良なだけになかなか筆を取りづらいのかも知れないが)、支持している各メーカーや流通事業者等に、例えば、良識を持った大人のファンとして今まで通りの作品の製作・18歳以上の者への流通を支持すると、自分も含め良識を持った大人のユーザーを全て性犯罪者予備軍として扱うような規制強化は大変残念であると、作品の製作・流通を阻害することになりかねない規制強化に対しては、業界全体として本当にあるべき姿を考えて判断してもらいたいといった、お願い・応援のメールなりを是非書いてもらいたいと思う。クリエーターにとって一番重要なのはユーザーの支持であり、メーカー・流通事業者にとって一番重要なのは消費者の支持のはずである。(流通事業者等にメールなどを書く際には、是非、「王様を欲しがったカエル」や「表現の数だけ人生がある」、「チラシの裏(3週目)」の各エントリを一読してから、書くことをお勧めする。出す場合には、特に、一方的な非難や批判は逆効果となり得るので、お願い・応援として書くこと、きちんと普段利用しているメーカーなり店なりに出し、見せかけの需要を作ることはしないことなどに、是非ご注意頂ければと思う。)

 一連の騒動で、不当な圧力に屈したという形を表し、良識ある大多数のユーザーの信頼を裏切り、表現・情報規制問題全体の危険性を高めたアダルトゲーム業界に対する失望の念もあるのだが、できることなら今後、不当な圧力は不当なものとして断固跳ね返すことを、業界全体として、本当にどうあるべきかを時間をかけて検討してもらいたいものと私は思っている。

(6月9日の追記:何故か今コメントできないので、コメント頂いたristma88様への自分の返信コメントをここに載せておく。

「ristma88様

コメントありがとうございます。

全て関係しているとは思いますが、今回取り上げた問題は、いつもの「児童ポルノ」とはまた違う「性暴力」という切り口からの規制の問題であることにご留意下さい。また、法規制では無く自主規制の話ですし、刑法の「猥褻物」規制の話とも異なること、そもそも、そのような内閣府の発言が本当にあったのかどうかすら良く分からないことにもご注意下さい。

その上で法規制の話をしますが、判例上、違憲判決がなかなか出されないことは、私も承知しています。ですが、表現の自由に関する規制に関しては、規制目的が正当かつ重大であり、規制を正当化するに足る根拠が十分に明確であることに加え、表現に対する萎縮が発生しないよう規制範囲も明確でなければならないとされていると思います。(ristma88様は判例等を勉強されているようですので、現行刑法の猥褻物規制についても違憲論があることは、ご承知かと思います。)

表現を規制する新たな法律が成立した場合、確かに、まずは行政裁量によらざるを得ませんが、規制の対象となった者が、その行政裁量の妥当性と、その元となった法律の合憲性を裁判で争うことは当然可能です。そして、その法律が、内容の如何にかかわらずアダルトゲームすべてを規制しかねないような、根拠無く曖昧な範囲で表現を規制しようとするものだった場合、最終的に違憲と判断されることも十分考えられると思います。そこまで到達するのに相当な社会的コストが必要になると思いますが、このような場合にまで司法的救済がまず得られないとすることは妥当では無いでしょう。

莫大な社会的コストがムダに費やされる恐れが強い表現の規制に関しては、立法は特に慎重になされるべきだと私は考えています。

(合憲限定解釈についても、いろいろと言われていますが、もし必要でしたらwikiなどをご覧下さい。)」)

(6月11日の追記:今度は、参議院文教科学委員会が、何ら変更無く、ダウンロード違法化を含む著作権法改正法案を通した(付帯決議(pdf)審議経過状況(現時点で未反映)参照)。参議院審議中継から審議の様子を見ることができるが、ほぼ衆議院の文部科学委員会(第171回参照)と同じような質疑を繰り返しているだけであり、やはり実質的にほとんど意味の無い馴れ合いの出来レース審議である。

 しかし、フランスでは、憲法裁判所が、ネット切断を含む3ストライク法案を違憲とする判決を出し、法施行にストップがかかった(時事通信のネット記事TorrentFreakのブログ記事Numeramaの記事1記事2ZDNetの記事フランス憲法裁判所の判決文(pdf)参照)。

 これらはどちらも極めて重要なことと思うので、次回、次々回とこれらの話について書きたいと思っている。)

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2009年5月18日 (月)

第172回:内閣府・「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(素案)」に対する提出パブコメ

 内容はほぼ今まで出して来た各種パブコメのまとめだが、第170回で取り上げた青少年ネット規制法の基本計画素案に対してパブコメを提出したので、念のために、ここに載せておく。

 次回は、フランスの3ストライクアウト法案の内容の紹介をしようかと思っている。

(5月19日夜の追記:フランスで、今日、3ストライク法案に対して憲法裁判所への訴えが提起された(01netの記事ZDNetの記事参照)。この裁判の結果次第で、また条文が変わってくる可能性があるのだが、次回は、現時点での条文の紹介をしたいと思っている。)

(以下、提出パブコメ)

(1)官製キャンペーンについて
 第8ページの「第2 5.(2)インターネット利用者・事業者の主体的な活動への支援」に書かれている、官製キャンペーンについて、総務省への参加申請・登録の要請や総務省製のロゴマークの販促といった、ニーズを無視したいつもの官製キャンペーンに過ぎず、普通に考えて税金のムダ使いしかならない、「e-ネットづくり!」宣言のような官製キャンペーンに反対する。今以上に、規制よりにしかならないだろう官製「自主憲章」やガイドラインなども不要である。

 また、このような官製キャンペーンの受け皿となるのであろう、第13ページの「第4 5.その他のインターネットの利用環境整備に向けた活動に対する支援」に書かれている「安心ネットづくり促進協議会」の全事業について、その必要性について、きちんとした再検討を行ってもらいたい。

(2)携帯電話フィルタリングについて
 第10ページの「第3 2.(2)携帯電話・PHSのフィルタリングの閲覧制限対象の適正化支援」において、健全サイト認定第3者機関を支援するとしているが、フィルタリングで無意味に利権を作ろうとしている総務省と携帯電話事業者他の今の方針については、完全に白紙に戻されるべきである。

 携帯フィルタリングについて、ブラックリスト方式ならば、まずブラックリストに載せる基準の明確化から行うべきなので、不当なブラックリスト指定については、携帯電話事業者がそれぞれの基準に照らし合わせて無料で解除する簡便な手続きを備えていればそれで良く、健全サイト認定第3者機関など必要ないはずである。ブラックリスト指定を不当に乱発し、認定機関で不当に審査料をせしめ取り、さらにこの不当にせしめた審査料と、正当な理由もなく流し込まれる税金で天下り役人を飼うのだとしたら、これは官民談合による大不正行為以外の何物でもない。このようなブラックリスト商法の正当化は許されない。

(3)インターネット・ホットラインセンターについて
 第10ページの「第3 3.フィルタリング提供事業者による閲覧制限対象の把握の支援」、及び、第14ページの「第5 2.(1)インターネット・ホットラインセンターを通じた削除等の対応依頼推進」に書かれている、インターネット・ホットラインセンターについて、その廃止を求める。

 サイト事業者が自主的に行うならまだしも、何の権限も有しないインターネット・ホットラインセンターなどの民間団体からの強圧的な指摘により、書き込みなどの削除が行われることなど本来あってはならないことである。このようなセンターは単なる一民間団体で、しかもこの団体に直接害が及んでいる訳でもないため、削除を要請できる訳がない。勝手に有害と思われる情報を収集して、直接削除要請などを行う民間団体があるということ自体おかしいと考えるべきであり、このような有害無益な半官検閲センターは即刻廃止が検討されて良い。このような無駄な半官検閲センターに国民の血税を流すことは到底許されないのであって、その分できちんとした取り締まりと削除要請ができる人員を、法律によって明確に制約を受ける警察に確保するべきである。

(4)児童ポルノ規制について
 第14~第15ページの「第5 2.(2)事業者や民間団体の効果的な閲覧防止策の検討支援」において、児童ポルノサイトブロッキングの検討を支援するとしているが、総務省なり警察なり天下り先の検閲機関・自主規制団体なりの恣意的な認定により、全国民がアクセスできなくなるサイトを発生させるなど、絶対にやってはならないことである。例えそれが何であろうと、情報の単純所持や単なる情報アクセスではいかなる被害も発生し得えないのであり、自主的な取組という名目でいくら取り繕おうとも、憲法に規定されている表現の自由(知る権利・情報アクセスの権利を含む)や検閲の禁止といった国民の基本的な権利を侵害するものとならざるを得ないサイトブロッキングは導入されてはならないものである。

 また、例えそれが児童ポルノであろうと、情報の単純所持・アクセス・ダウンロード・収集・取得・閲覧等の規制・犯罪化は、恣意的にしか運用され得ず、利用者から見て回避不能の危険極まるものであり、新たな思想犯罪を作り出す非人道的なものとして絶対導入されるべきでない。創作物の規制についても、ごく一部の国内団体等の根拠のない、保護法益すら無視した一方的な主張で、憲法で保障されている表現の自由が規制されることなどあってはならないことである。

 かえって、児童ポルノの単純所持規制・創作物規制といった非人道的な規制を導入している諸国は即刻このような規制を廃止するべきと、そもそも最も根本的なプライバシーに属し、何ら実害を生み得ない個人的な情報所持・情報アクセスに関する情報を他人が知ること自体、通信の秘密や情報アクセスの権利、プライバシーの権利等の国際的かつ一般的に認められている基本的な権利からあってはならないことであると、日本政府から国際的な場において各国に積極的に働きかけてもらいたい。

 児童ポルノの閲覧の犯罪化と創作物の規制まで求める「子どもと青少年の性的搾取に反対する世界会議」の根拠のない狂った宣言を国際動向として一方的に取り上げ、児童ポルノ規制の強化を正当化することなどあってはならない。児童ポルノ規制に関しては、最近、ドイツのバンド「Scorpions」が32年前にリリースした「Virgin Killer」というアルバムのジャケットカバーが、アメリカでは児童ポルノと見なされないにもかかわらず、イギリスでは該当するとしてブロッキングの対象となり、プロバイダーによっては全Wikipediaにアクセス出来ない状態が生じたなど、欧米では、行き過ぎた規制の恣意的な運用によって弊害が生じていることも見逃されるべきではない。アメリカにおいて、この1月に連邦最高裁で児童オンライン保護法が違憲として完全に否定され、この2月に連邦控訴裁でカリフォルニア州のゲーム規制法が違憲として否定されていることや、つい最近からのドイツ国会への児童ポルノサイトブロッキング反対電子請願(https://epetitionen.bundestag.de/index.php?action=petition;sa=details;petition=3860)に既に8万筆を超える数の署名が集まっていることなども注目されるべきである。政府・与党内の検討においては、このような国際動向もきちんと取り上げるべきであり、一方的な見方で国際動向を決めつけることなどあってはならない。

(5)基本計画素案全体について
 そもそも、フィルタリングサービスであれ、ソフトであれ、今のところフィルタリングに関するコスト・メリット市場が失敗していない以上、かえって必要なことは、不当なフィルタリングソフト・サービスの抱き合わせ販売の禁止によって、消費者の選択肢を増やし、利便性と価格の競争を促すことだったはずである。一昨年から昨年にかけて大騒動になったあげく、ユーザーから、ネット企業から、メディア企業から、とにかくあらゆる者から大反対されながらも、有害無益なプライドと利権の確保を最優先する一部の議員と官庁の思惑のみから成立した今の青少年ネット規制法による規制は、一ユーザー・一消費者・一国民として全く評価できないものであり、次の法改正の検討時には速やかに法律の廃止が検討されるべきであり、この基本計画において、今後、青少年ネット規制法の廃止を速やかに検討すると明記してもらいたい。

 また、出会い系サイト規制法の改正は、警察庁が、どんなコミュニケーションサイトでも人は出会えるという誰にでも分かることを無視し、届け出制の対象としては事実上定義不能の「出会い系サイト事業」を定義可能と偽り、改正法案の閣議決定を行い、法案を国会に提出したものであり、他の重要法案と審議が重なる中、国会においてもその本質的な問題が見過ごされて可決され、成立したものである。憲法上の罪刑法定主義や検閲の禁止にそもそも違反している、今回の出会い系サイト規制法の改正については、今後、速やかに元に戻すことが検討されるべきである。

 なお、青少年ネット規制法の規制は、フィルタリングソフト・サービスの不当な抱き合わせ販売を助長することにつながる恐れが強く、政府全体で、特に公正取引委員会において、規制を理由にした不当な便乗商法に対する監視を強めるべきであり、フィルタリングソフト・サービスの不当な抱き合わせ販売について独禁法の適用が検討されるべきである。出会い系サイト規制法は、その曖昧さから別件逮捕のツールとして使われ、この制度によって与えられる不透明な許認可権限による、警察の出会い系サイト業者との癒着・天下り利権の強化を招く恐れが極めて強い。これらの危険な法律の運用については慎重の上に慎重が期されるべきである。

 政府与党にあっては今までの行いを猛省し、今後は、これらの法律の廃止・元の形への再改正の検討とともに、恣意的な運用しか招きようのない危険な規制強化の検討ではなく、ネットにおける各種問題は情報モラル・リテラシー教育によって解決されるべきものという基本に立ち帰り、主として、基本計画素案の他の項目に書かれているような、各種の地道な教育・啓発に関する施策のみに注力する検討が進むことを期待する。

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2009年4月29日 (水)

第170回:内閣府・「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(素案)」に対するパブコメ募集

 青少年ネット規制法第12条に書かれている「基本計画」の素案が5月25日〆切でパブコメにかかった。(電子政府の該当ページ意見募集要領(pdf)素案概要(pdf)基本計画素案本文(pdf)internet watchの記事参照。なお、パブコメの対象ではないようだが、基本計画の作成と推進のための「幹事会の設置について(pdf)」なるペーパーも一緒に公表されている。)

 対応する有識者会議が違うためか(この素案に対応している会議は「青少年インターネット環境の整備等に関する検討会」である)、児童ポルノの規制強化について既にデタラメな与野党案が両方とも国会に提出されている状態で安心しているのか、何かの空気を読んでいるのか、何故か良く分からないが、この基本計画素案(pdf)は、以前の、共謀罪早期導入や児童ポルノ規制強化を謳う内閣府の犯罪計画案(第133回参照)や、ロリコンを思想犯罪化し、国民の情報・表現・思想等々の最も基本的な精神的自由と安全を脅かすと宣言して来た総務省の違法有害報告書案(第135回参照)と比べると、危険な項目は少なく、格段に規制強化色は薄くなっている。基本的に情報モラル・リテラシー教育/啓発運動とフィルタリングの導入促進を中心とした地道な取り組みを推進するとしているもので、最近出された役所のネット規制絡みのペーパーとしては格段に出来が良い。(無論、比較の問題で今までが非道すぎただけの話であり、上の検討会の4月7日(第4回)の資料(pdf)によると、素案の後に本格的な案を作るようなので、次の案でより非道い項目を追加してくるという可能性も否定できないが。)

 出来が良いとは言っても、総務省関係では、第8ページの、

(2)インターネット利用者・事業者の主体的な活動への支援
 地球温暖化防止の国民運動として取り組まれている「チーム・マイナス6%」のように、インターネット利用者・事業者などが自らインターネットの利用環境整備に向け具体的に取り組むことを決め、ロゴマークなどを用いてそれを明らかにし、実践するなどの、取組主体の更なる広がりを促進する活動を支援する。

といった記載や、第13ページの、

5.その他のインターネットの利用環境整備に向けた活動に対する支援
 産学連携した自主的取組を推進する民間団体である安心ネットづくり促進協議会等のインターネットの利用環境整備に向けた活動を支援する。

といった記載で触れられている、安心ネットづくり(第137回参照)の話や、第10ページの、

(2)携帯電話・PHSのフィルタリングの閲覧制限対象の適正化支援
 携帯電話・PHSのフィルタリングサービスにより、青少年有害情報に該当しない情報まで閲覧を制限されることがないよう、民間の第三者機関による青少年保護に配慮した運営体制等をとるウェブサイトを認定する取組等を支援する。

というブラックリスト商法の正当化(第139回参照)の話については、繰り返し釘を差しておきたいと思うし、警察庁関係では、これもいつも通りだが、第10ページの、

3.フィルタリング提供事業者による閲覧制限対象の把握の支援
 フィルタリングによる閲覧制限対象の把握を支援するため、インターネット・ホットラインセンターが一般利用者から通報されたウェブサイトのURL情報を、フィルタリング提供事業者へ継続的に提供することを支援する。

といった記載や、第14ページの、

(1)インターネット・ホットラインセンターを通じた削除等の対応依頼推進
 インターネット上に氾濫する違法情報・有害情報への対策を進めるため、インターネット・ホットラインセンターを通じた、インターネット上の違法情報・有害情報の削除依頼を推進するとともに、いわゆる出会い系サイトや会員制サイト等における違法情報のインターネット・ホットラインセンターへの通報が促進されるよう、サイバーパトロール業務の民間委託を推進する。

といった記載で触れられている、半官検閲センターであるインターネット・ホットラインセンターについて、その存在自体に対する反対意見をまた出したいと思う。

 児童ポルノ規制に関しては、デタラメな与野党の案が既に両方とも国会に提出されてしまっているためか、大きくは第14ページで、

(1)取締り推進及び体制強化
 インターネットを通じた青少年等の犯罪被害の抑止に資する、いわゆる出会い系サイト上の禁止誘引行為、インターネット上の児童ポルノ事犯等サイバー犯罪の取締りを推進するとともに、これに必要な取締り体制を強化するほか、サイバー犯罪を犯した者に対する厳正な科刑を実現する。

と、単に取り締まり強化としか書かれていないものの、同ページの下から第15ページに、

(2)事業者や民間団体の効果的な閲覧防止策の検討支援
 インターネット上の児童ポルノについて、被害者である青少年の権利を保護するため、事業者及び民間団体における効果的な閲覧防止策の検討を支援する。

と、やはり、どこをどうやっても検閲にしかならないサイトブロッキングをまだ検討するとしている点は非常にタチが悪く、児童ポルノ規制強化・児童ポルノサイトブロッキングに対する反対意見も引き続き出して行く必要があると思っている。

(なお、警察が大手サイトへの閲覧防止措置要請を検討しているという話もあり(産経のネット記事参照)、青少年ネット規制法の第21条に書かれているサーバー管理者の閲覧防止措置努力義務(基本計画の第4ページでも触れられている)の運用にも注意しておいた方が良いかも知れない。)

 そもそも、これらの個別の各点以前に、本来主として情報モラル・リテラシー教育によって解決されるべきと、あらゆる者の反対を受けながら、一部の寄生議員と規制官庁の暴走のみによって成立した青少年ネット規制法など、一国民・一ユーザー・一消費者として全く評価できないものであり、基本計画において、今後、青少年ネット規制法の廃止を速やかに検討すると明記するべきであるという意見を出すつもりであるが、この基本計画の他の項目は各種の地道な教育・啓発・調査に関する取り組みが多く、どうして有害無益な法律を作る前にこうした地道な取り組みのみの推進ができなかったのかと非常に残念に思う。

 このパブコメについても、提出次第ここに載せるつもりである。

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2009年1月11日 (日)

第147回:共謀罪創設のための法改正案に含まれているウィルス作成罪等の創設、あらゆる電磁的記録の差し押さえ・令状無しのアクセス記録保持命令の可能化

 第145回の追記でも触れたが、先月、犯罪閣僚会議で、犯罪計画2008が特に問題箇所の変更はないまま決定されており、共謀罪の創設を含む法改正案についても今年は注意を高めておくに越したことはない。

 共謀罪自体は、国会でも修正が入るほどの大トピックとして、いろいろなところに書かれており、これ以上何も言うことが無いくらいなので、ここでは、共謀罪の陰に隠れているがやはり重要な問題点である、ウィルス作成罪等の創設や、あらゆる電磁的記録の差し押さえ・捜査機関による令状無しのアクセス記録保持命令の可能化の部分について犯罪計画案に対する提出パブコメについて少し補足をしておきたいと思う。(念のために書いておくと、提出パブコメに書いたように私も共謀罪創設には反対である。)

(1)ウィルス作成罪等の創設
 アニメ画像1枚の著作権違反でウィルス作成者が別件逮捕されたのは記憶に新しいが、このような別件逮捕をして恬として恥じない政府に相応しく、今なお継続審議となっている法案(概要(pdf)要綱(pdf)新旧対照条文(pdf)理由(pdf)法改正案(改め文pdf)修正案1修正案2修正案3))中のウィルス作成罪等に関する規定もひどいものである。

この法案は、刑法の法改正として、

第十九章の二不正指令電磁的記録に関する罪(新設)
(不正指令電磁的記録作成等)
第百六十八条の二
 人の電子計算機における実行の用に供する目的で、次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
 前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録

 前項第一号に掲げる電磁的記録を人の電子計算機における実行の用に供した者も、同項と同様とする。

 前項の罪の未遂は、罰する。

(不正指令電磁的記録取得等)
第百六十八条の三
 前条第一項の目的で、同項各号に掲げる電磁的記録その他の記録を取得し、又は保管した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

という規定を追加しようとしているが、読めば分かる通り、コンピュータ/プログラムが使用者の意図に沿うべき動作をするかどうかという純主観的要件に全てがかかってしまっているため、このような要件では、ソフトウェアの通常のバージョンアップや不正コピー対策ですら恣意的に該当するとされてしまいかねない。

 ウィルス作成罪等について、人がどのような意図でコンピュータ/プログラムを使用するかは、他の誰にも知り得ないことであるため、プログラムの作成者・提供者から見たとき、今の法案の規定は完全にお手上げであり、罪刑法定主義等の観点からも問題があり、今のままでは情報産業全体に甚大な萎縮効果をもたらす可能性が高いと、このような非客観的かつ曖昧な要件しか含まず、恣意的な運用しか招きようのない危険な形で刑罰が規定されることはあってはならないことであると私は考えているのである。

(2)あらゆる電磁的記録の差し押さえ・捜査機関による令状無しのアクセス記録保持命令の可能化
 この法改正案は、刑事訴訟法に以下のような条文を追加する改正も含んでいる。

第九十九条
2(新設)
差し押さえるべき物が電子計算機であるときは、当該電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であつて、当該電子計算機で処理すべき電磁的記録を保管するために使用されていると認めるに足りる状況にあるものから、その電磁的記録を当該電子計算機又は他の記録媒体に複写した上、当該電子計算機又は当該他の記録媒体を差し押さえることができる。
(中略)

第百九十七条
3(新設)
捜査については、電気通信を行うための設備を他人の通信の用に供する事業を営む者又は自己の業務のために不特定若しくは多数の者の通信を媒介することのできる電気通信を行うための設備を設置している者に対し、その業務上記録している電気通信の送信元、送信先、通信日時その他の通信履歴の電磁的記録のうち必要なものを特定し、九十日を超えない期間を定めて、これを消去しないよう求めることができる。この場合において、当該電磁的記録について差押え又は記録命令付差押えをする必要がないと認めるに至つたときは、当該求めを取り消さなければならない。

4(新設) 前二項の規定による求めを行う場合において、必要があるときは、みだりにこれらに関する事項を漏らさないよう求めることができる。
(後略)

 差し押さえるべき物がコンピューターである場合には、このコンピューターと接続されているあらゆる記録媒体上の情報を差し押さえを可能としようとし、捜査機関による令状無しのアクセス記録保持命令についても可能としようとしているのだが、昨今のインターネットの状況を考えると、ほとんどインターネット上のあらゆるサーバー上の情報が差し押さえの対象となり得、差し押さえの範囲が過度に不明確になる懸念が強く、また、令状無しのアクセス記録保持命令についても捜査権の濫用が懸念される。

 捜索する場所と押収する物の範囲を曖昧にし、令状無しで捜査用強制命令を出すことを可能とする、このような刑事訴訟法の基本的枠組みの変更は、憲法第35条の、

何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。

という令状主義・国民の権利をないがしろにするものであり、引いては捜査機関による濫用によって通信の秘密やプライバシーの侵害にもつながるのではないかと私は考えているのである。

 共謀罪の陰に隠れて、これらの問題点があまり議論されていないのは残念だが、サイバー犯罪条約と国際組織犯罪条約締結のための法改正の問題点は共謀罪ばかりではない。のっけから迷走しているとは言え、今国会の情勢はいくら気をつけ過ぎても気をつけ過ぎということはない。

 まだ年初であり、大したニュースはないが、いくつか紹介しておくと、「デジタル・コンテンツ利用促進協議会」という民間協議団体が、その政策提言案について意見を求めている(ITproの記事マイコミニュースの記事internet watchの記事も参照)。番外その8のついでに突っ込んだ「デジタル・コンテンツ法有識者法フォーラム」のバカげたネット権創設の提言よりはマシだが、やはり既存のコンテンツのネット流通が進んでいないことを問題としている点でピントがずれていると私は思う。この提言には、会長として中山信弘東大名誉教授、副会長として角川歴彦角川グループ会長、世耕弘成参議院議員、和田洋一スクウェア・エニックス社長という錚々たるメンバーが名を連ねており、その政府与党に対する影響力を考えても、残念ながら今年も、コンテンツ流通という無意味なキーワード(第78回参照)に引き摺られて日本の知財政策・コンテンツ政策は大いに迷走することとなるのだろう。

 「チラシの裏(3週目)」など、既にいろいろなところで取り上げられているが、「子どもの人権と表現の自由を考える会」が、児童ポルノ法改正問題に関する各政党への質問状とその回答(民主党、共産党、国民新党、公明党が回答。自民、社民、新党日本は無回答。)を公開している(ITmediaの記事も参照)ので、念のために、ここでもリンクを張っておく。今後選挙で票を投じる際にも参考になるもので、非常に有り難い。

 文部科学省の今年の天下り状況も公表されていた(リリース再就職状況(pdf)。相変わらず学校・教育関係への天下りが多い。)ので、念のため、リンクを張っておく。

 次回は、各国著作権法の紹介の続きをしようかと考えている。

(2月24日夜の追記:taffy様、コメントありがとうございます。

 ただ、少年による強姦犯の摘発件数増に関しては、様々な要因が考えられるので、この数字だけでは何とも言えないかと思います。情報規制の強化と犯罪件数の関係については、常に慎重に考えるべきだと私は思っています。

 また、「チラシの裏(3週目)」様で既に細かな突っ込みをされていますが、児童ポルノ関係の話も引き続き危険な状態が続いています。taffy様も是非できることをされるよう、どうかよろしくお願い致します。)

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2008年12月16日 (火)

第142回:総務省・「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」最終取りまとめ(案)に対する提出パブコメ

 総務省の「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」最終取りまとめ(案)に対してパブコメを提出したので、ここに載せておく。

(以下、提出パブコメ)

1.氏名及び連絡先
氏名:兎園(個人)
連絡先:

2.意見要旨
(児童ポルノ規制について)
 児童ポルノ対策について今以上の規制は必要なく、児童ポルノを理由とした新たな規制、特に情報・表現に関する国民の基本的な権利の重大な侵害となる単純所持規制・創作物規制の検討に反対する。やはり情報・表現に関する国民の基本的な権利を侵害するものとならざるを得ないブロッキングについても、その実証実験すらするべきではない。
 児童ポルノの閲覧の犯罪化と創作物の規制まで求める「子どもと青少年の性的搾取に反対する世界会議」の根拠のない狂った宣言を国際動向として一方的に取り上げ、児童ポルノ規制の強化を正当化することなどあってはならない。かえって、児童ポルノの単純所持規制・創作物規制といった非人道的な規制を導入している諸国は即刻このような規制を廃止するべきと、そもそも最も根本的なプライバシーに属し、何ら実害を生み得ない個人的な情報所持・情報アクセスに関する情報を他人が知ること自体、通信の秘密や情報アクセスの権利、プライバシーの権利等の国際的かつ一般的に認められている基本的な権利からあってはならないことであると、日本政府から国際的な場において各国に積極的に働きかけてもらいたい。

(ネット規制について)
 青少年ネット規制法の廃止及び出会い系サイト規制法の法改正前の形への再改正を求める。
 半官天下り検閲センターに他ならないインターネット・ホットラインセンターの廃止を求める。
 「e-ネットづくり!」宣言について、そもそも民間が求めていない、「民間による自主的な取組」など取りやめるべきである。検討が必要であるとしたら、今ですら訳が分からないほど沢山ある各種ガイドラインの整理削減のみである。天下り利権の強化・税金のムダな浪費にしかつながらない、ニーズを無視した「相談センター」の拡充に反対する。「違法・有害情報通報受付」と称する、総務省版の半官天下り検閲センターをさらに作ることなど論外である。

(プロバイダーの責任制限について)
 プロバイダー責任制限法に関し、被侵害者との関係において、刑事罰リスクも含めたプロバイダーの明確なセーフハーバーについて検討することを求める。特に、著作権侵害について、最近の事件から考えて、間接侵害や著作権侵害幇助罪まで含めて、著作権法にきちんとした明確なセーフハーバーが早急に作られるべきである。特に、そのセーフハーバーの要件において、標準的な仕組み・技術や違法性の有無の判断を押しつけるような、権利侵害とは無関係の行政機関なり天下り先となるだろう第3者機関なりの関与を必要とすることは、検閲の禁止・表現の自由等の国民の権利の不当な侵害に必ずなるものであり、絶対にあってはならないことである。

(報告書案全体について)
 この狂った報告書案の危険性は小手先の修正では治癒不能であり、情報モラル・リテラシー教育に関する「4.利用者を育てる取組の促進」以外全て白紙に戻してゼロから検討し直されるべきである。今後は、恣意的な運用しか招きようのない危険な規制強化の検討ではなく、ネットにおける各種問題は情報モラル・リテラシー教育によって解決されるべきものという基本に立ち帰り、政府において、地道な施策のみに注力する検討が進むことを期待する。

3.意見及び理由
(1)「2.(1)安心ネット利用のための基本法制の整備等」(第9~47ページ)関連

意見:
 「社会的公益侵害」・「権利侵害」という意味不明の区別を用いた検討を白紙に戻し、プロバイダー責任制限法に関し、被侵害者との関係において、刑事罰リスクも含めたプロバイダーの明確なセーフハーバーについて検討するべきである。特に、著作権侵害について、最近の事件から考えて、間接侵害や著作権侵害幇助罪まで含めて、著作権法にきちんとした明確なセーフハーバーが早急に作られるべきである。特に、そのセーフハーバーの要件において、標準的な仕組み・技術や違法性の有無の判断を押しつけるような、権利侵害とは無関係の行政機関なり天下り先となるだろう第3者機関なりの関与を必要とすることは、検閲の禁止・表現の自由等の国民の権利の不当な侵害に必ずなるものであり、税金のムダな浪費と技術の発展の阻害につながるだけの危険かつ有害無益な規制強化であり、絶対にあってはならないことである。

理由:
 表現・情報の自由は民主主義の最重要の基礎であり、被害者を伴わない表現・情報に対する規制にほとんど正当化の余地はないのであり、そもそもここで社会的法益侵害と権利侵害という類型分けを使うこと自体不適切である。

 報告書案中で、プロバイダー責任制限法の適用範囲を拡大するニーズが多くないと勝手に決めつけているが、意味不明の社会的法益侵害と権利侵害の区別による是非や発信者との関係での責任の問題だけを取り上げているから奇妙なことになるので、プロバイダーの責任の問題においては、被侵害者との関係において、民事的な責任制限だけではなく、刑事罰リスクまで含め、明確なプロバイダーのセーフハーバーを作ることは非常に重要である。

 特に、そのセーフハーバーの要件において、標準的な仕組み・技術や違法性の有無の判断を押しつけるような、権利侵害とは無関係の行政機関なり天下り先となるだろう第3者機関なりの関与を必要とすることは、検閲の禁止・表現の自由等の国民の権利の不当な侵害に必ずなるものであり、税金のムダな浪費と技術の発展の阻害につながるだけの危険かつ有害無益な規制強化であり、絶対にあってはならないことである。

 さらに言えば、動画投稿サイト事業者がJASRACに訴えられた「ブレイクTV」事件や、レンタルサーバー事業者が著作権幇助罪で逮捕され、検察によって姑息にも略式裁判で50万円の罰金を課された「第(3)世界」事件等を考えても、今現在、間接侵害や著作権侵害幇助のリスクが途方もなく拡大し、甚大な萎縮効果・有害無益な社会的大混乱が生じかねないという非常に危険な状態にある。間接侵害事件や著作権幇助事件においてネット事業者がほぼ直接権利侵害者とみなされてしまうのでは、プロバイダー責任制限法によるセーフハーバーだけでは不十分であることを考え、間接侵害や著作権幇助罪も含め、著作権侵害とならない範囲を著作権法上きちんと確定することが喫緊の課題である。

 また、論外の印象操作等、ほとんど報告書案を全て白紙に戻すべきと私が思っている所以の記載を以下に指摘して行く。なお、以下で指摘して行くのは余りにも目に余る部分だけであるとも念を押しておく。

 そもそも、青少年ネット規制法は、あらゆる者から反対されながら、有害無益なプライドと利権を優先する一部の議員と官庁の思惑のみで成立したものであり、速やかに廃止が検討されるべきものである。また、出会い系サイト規制法の改正は、警察庁が、どんなコミュニケーションサイトでも人は出会えるという誰にでも分かることを無視し、届け出制の対象としては事実上定義不能の「出会い系サイト事業」を定義可能と偽り、改正法案の閣議決定を行い、法案を国会に提出したものであり、他の重要法案と審議が重なる中、国会においてもその本質的な問題が見過ごされて可決され、成立したものであり、憲法上の罪刑法定主義や検閲の禁止にそもそも違反している、今回の出会い系サイト規制法の改正についても、今後、速やかに元に戻すことが検討されるべきである。

 携帯フィルタリングによるブラックリスト商法を大臣要請で後押しするかのような書き方がされているが、ブラックリスト方式ならば、まずブラックリストに載せる基準の明確化から行うべきなので、不当なブラックリスト指定については、携帯電話事業者がそれぞれの基準に照らし合わせて無料で解除する簡便な手続きを備えていればそれで良く、健全サイト認定第3者機関など必要ないはずである。ブラックリスト指定を不当に乱発し、認定機関で不当に審査料をせしめ取り、さらにこの不当にせしめた審査料と、正当な理由もなく流し込まれる税金で天下り役人を飼うのだとしたら、これは官民談合による大不正行為以外の何物でもない。このようなブラックリスト商法の正当化は許されない。

 児童ポルノ規制については主に(5)で述べるが、第23~25ページで、海外からの声として、国会でも批判された根拠の無い米シーファー大使の発言などを取り上げ、一方的に児童ポルノ規制強化を正当化している点など行政の報告書として不当の極みである。児童ポルノ規制強化について、優先度が高く個別対処の検討を必要があるとする合理的根拠は何一つない。また、「権利侵害情報の例としては、名誉毀損情報、プライバシー侵害情報及び著作権や商標権を侵害する情報などがあり、社会的法益侵害情報の例としては児童ポルノ公然陳列罪、わいせつ物公然陳列罪(刑法第175条)、麻薬特例法違反、覚せい剤取締法違反など薬物関連法に係る情報などがある」(第18ページ)、「児童ポルノ関係の情報については、社会的法益侵害情報と整理されるが、被害児童が存在するため権利侵害の側面もある」(第24ページ)と、勝手に児童ポルノ規制の法益を、実在の児童の保護から、意味不明の「社会的法益」に勝手にすり替えようとしていることも、到底許されることではない。

 第30ページの「エ)刑罰法規の厳正な執行の必要性等」で、一方的な見方で刑罰法規による取り締まり強化を唱えている点も到底許せるものではない。レンタルサーバー管理者が著作権幇助罪で逮捕された「第(3)世界」事件のことを考えても、情報の違法性の本質的な相対性を忘れ、情報の流通という姑息な言葉で情報の提供者が誰かという最も重要な論点をごまかし、幇助といった曖昧な概念で刑罰法規の適用範囲を不当に広げることはインターネットの法的安定性を大きく揺るがす危険極まりないことである。

 第31ページ以下の「b)行政機関による措置制度」で書かれている、ほとんど青少年ネット規制法案の初期案の悪夢を彷彿とさせる、行政主導の検閲機関創設案は絶対に導入されてはならない論外の案である。このような問題が大き過ぎる検閲機関創設案が、役所で大真面目に検討されること自体異常なことと言わざるを得ない。

 第34ページの脚注で、憲法上の検閲の禁止について、過去の最高裁の判決を引いてあたかも狭く解釈ができるかの如きことが書かれているが、学説上は必ずしもそのような狭い解釈が取られている訳ではなく、この最高裁判決自体、昨今のインターネットの普及を踏まえたものでなく今日もなお通用するかどうか怪しいものである。今日ではインターネット上でしか発表・流通の機会を持たない表現物が既に多く存在しているのであり、例え事後規制だろうと、そのような表現物の発表・流通を完全に抑制しかねない規制は、やはり検閲に該当すると考える方が妥当である。

 第31ページ以下の「a)プロバイダ責任制限法の適用範囲の拡大」で、発信者の関係で責任制限範囲を拡大するニーズがないとしながら、第36ページ以下の「c)自主的取組にインセンティブを与える形での責任制限等の方策」では、発信者との関係のみで責任範囲を拡大することがインセンティブになるとしているところなど、天下り役人の考えは心底理解に苦しむ。また、現行のプロバイダー責任制限法でも、プロバイダーが、侵害の事実を知りながら、技術的に可能であるにも関わらず不特定の者に対する送信防止措置を取らなけらない場合、その責任追求を免れないのであり、被侵害者との関係で、違法な情報を放置した場合に、現行法よりも責任追及を容易にするとしている点も全く理解不能である。

 「c)自主的取組にインセンティブを与える形での責任制限等の方策」中で触れられているアクセスログの保存についても、プロバイダー責任制限との関係で検討されるべき話ではなく、それ自体で別途きちんと検討されなくてはならない話である。

 第45~46ページで、アメリカのDMCAのノーティス&テイクダウン制度に触れた上で、勝手に否定的な見解を述べているが、別にアメリカのノーティス&テイクダウン制度をそっくりそのまま日本に輸入しなければならない理由もなく、上であげた「ブレイクTV」事件や「第(3)世界」事件等を考えても、著作権について特に早急に手当をしておくべき十分な立法事実があると私は考えている。

(2)「2.(2)国際連携推進のための枠組の構築」(第47~54ページ)関連
意見:
 児童ポルノ規制に関して、児童ポルノの閲覧の犯罪化と創作物の規制まで求めている「子どもと青少年の性的搾取に反対する世界会議」の根拠のない狂った宣言を国際動向として一方的に取り上げ、規制強化を正当化することなどあってはならない。かえって、児童ポルノの単純所持規制・創作物規制といった非人道的な規制を導入している諸国は即刻このような規制を廃止するべきと、そもそも最も根本的なプライバシーに属し、何ら実害を生み得ない個人的な情報所持・情報アクセスに関する情報を他人が知ること自体、通信の秘密や情報アクセスの権利、プライバシーの権利等の国際的かつ一般的に認められている基本的な権利からあってはならないことであると、日本政府から国際的な場において各国に積極的に働きかけてもらいたい。

 また、青少年ネット規制法について国際的に紹介する場合には、この法律は、ほぼあらゆる者から反対されながら、有害無益なプライドと利権の保持に走った一部の議員と官庁の思惑のみによって成立したものであるという経緯や、そもそも成立するべきではなく今でも廃止するべきとする意見もあるということも含め紹介するべきである。

理由:
 例えそれが児童ポルノであろうと、情報の単純所持・アクセス・ダウンロード・収集・取得・閲覧等の規制・犯罪化は、恣意的にしか運用され得ず、利用者から見て回避不能の危険極まるものであり、新たな思想犯罪を作り出す非人道的なものとして絶対導入されるべきでない。そもそも最も根本的なプライバシーに属し、何ら実害を生み得ない個人的な情報所持・情報アクセスに関する情報を他人が知ること自体、通信の秘密や情報アクセスの権利、プライバシーの権利等の国際的かつ一般的に認められている基本的な権利からあってはならないことである。

 また、青少年ネット規制法は、有害無益なプライドと利権の保持に走った一部の議員と官庁の思惑のみによって成立したものであり、そもそも成立するべきではなく今でも廃止するべきとする意見もあるのであり、規制を一方的に是とすることなく、状況が正しく伝えられなくてはならない。

 なお、インターネット・ホットラインセンターについては主に(4)で述べるが、第47~48ページにおける、「2007年中に同センターにあった違法情報の通報のうち海外のサーバに蔵置されていたものは3,307件であるところ、同年3月から12月までの10か月間にわが国から海外の加盟ホットラインに対して行った通報は児童ポルノ情報及びわいせつ情報350件と一部に限られている。」等の印象操作も本当にひどいものである。350件以外は、インターネット・ホットラインセンターが他国に通報しないという判断をしただけだろうと考えられるにもかかわらず、勝手に全通報件数との比較を行って、海外対応に難があるかの如き記載をしているのは本当に許し難い。このような判断を勝手に行っていること自体、この半官天下り検閲センターの問題点を露骨に示している。

(3)「2.(3)様々な連携の推進」(第54~61ページ)関連
意見:

 ニーズの不明な新たな産学連携組織の検討に関しては全て白紙に戻して、そもそものニーズからきちんと再検討がなされるべきである。また、天下りへの国民の血税のムダな浪費はもはや到底許されることではなく、新たな産学連携組織を天下り先とすることなど絶対にあってはならない。

理由:
 「e-ネットづくり!」宣言プログラムの基本的受け皿として必要であると報告書案では書かれているが、、報告書案で書かれている産学連携組織の必要性に合理的根拠はない。このようなムダな産学連携組織は、役人の天下り先となり、国民の血税の天下りへのムダな浪費となる危険性が高く、一国民として到底賛同できるものではない。

(4)「3.(1)違法・有害情報対策の推進」(第63~90ページ)関連
意見:

 「e-ネットづくり!」宣言について、そもそも民間が求めていない、「民間による自主的な取組」など取りやめるべきである。検討が必要であるとしたら、今ですら訳が分からないほど沢山ある各種ガイドラインの整理削減のみである。天下り利権の強化・税金のムダな浪費にしかつながらない、ニーズを無視した「相談センター」の拡充などされるべきでない。インターネット・ホットラインセンターという警察庁の半官天下り検閲センター自体廃止が速やかに検討されるべきものであり、「違法・有害情報通報受付」と称して、総務省版の半官天下り検閲センターをさらに作ることなど論外である。

理由:
 「e-ネットづくり!」宣言は、総務省への参加申請・登録の要請や総務省製のロゴマークの販促といった、ニーズを無視したいつもの官製キャンペーンに過ぎず、普通に考えて税金のムダ使いしかならない。今以上に、規制よりにしかならないだろう官製「自主憲章」やガイドラインなども不要である。「ナレッジベース」について、そもそも今以上にどんなガイドラインについて必要なのか良く分からず、もし何か検討するのであれば、そもそも今ですら山のようにあって訳が分からないガイドライン群の整理削減のみを検討するべきである。

 さらに、「交流プラットフォーム」についても、そもそも現在の「違法・有害情報事業者相談センター」の相談実績が少ないことが、現実のニーズを如実に物語っており、天下り利権の強化・税金のムダ使いにしかならないだろうニーズを無視した相談センターの拡充もされるべきではない。さらに、権利侵害とは直接関係のない天下り先の半官検閲センターに違法性の判断を代替する機能を持たせることなど危険極まりないことであり、インターネット・ホットラインセンターという警察庁の半官天下り検閲センター自体廃止が速やかに検討されるべきものであり、「違法・有害情報通報受付」と称して、総務省版の半官天下り検閲センターをさらに作ることなど論外である。

 以下、やはり目に余る記載について指摘して行く。

 (1)で述べたプロバイダ責任制限法に関する部分では、「大手のプロバイダ等を中心に、既に自主的対応として違法情報の削除が進んで」いるとしながら、こちらでは、対策について民間にデータの蓄積がないとしているなど、この報告書案は矛盾・不合理だらけで到底読むに耐えない。

 第65ページの「近年、これらの情報の流通をきっかけに、マスコミに大きく取り上げられるような事案が頻発しており、インターネットの規制を強化すべきとの議論を拡大させる主な要因となっている。」のような記載は、マスコミの一方的な印象操作に悪乗りする形で、ネガティブな事件のみを取り上げ、ネット規制の強化が正当化されるかのような、ひどい印象操作を含む記載である。なお、第6ページの「さらに、硫化水素による自殺誘引サイトの問題や、2008年6月8日に起きた秋葉原での事件における電子掲示板上の犯罪予告など、インターネット上の違法・有害情報対策として、民間の自主的取組に任せるのではなく、むしろ規制を強化すべきとの声を後押しするような事案も引き続き発生している。」も同断である。

 第73ページの脚注で、プロバイダー責任制限法の「特定電気通信役務提供者」と、青少年ネット規制法の「特定サーバー管理者」を同義と考えて良いと断定している事もあまりにも軽率という他ない。それぞれの条文を読めば分かるが、「特定電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他特定電気通信設備を他人の通信の用に供する者」(「特定電気通信役務提供者」)と、インターネットを利用した公衆による情報の閲覧の用に供されるサーバーを用いて、他人の求めに応じ情報をインターネットを利用して公衆による閲覧ができる状態に置き、これに閲覧をさせる役務を提供する者(「特定サーバー管理者」)は同義では全くない。実際に法運用を行っているはずの官庁が公の報告書案にこのようなことを堂々と書くのだから本当に呆れる他ない。

 また、第75~76ページで、インターネット・ホットラインセンターについて、インターネット・ホットラインセンターの協力依頼通りに削除することが当然であり、このような検閲の強化が正当化されてしかるべきであるかの如き記載があるが、インターネット・ホットラインセンターは単なる一民間団体に過ぎず、しかもこの団体に直接害が及んでいる訳でもないため、本来削除を要請できる訳がないのである。勝手に有害と思われる情報を収集して、直接削除要請などを行う民間団体があるということ自体おかしいと考えるべきであるという最も基本的なことも忘れ、国民の基本的な権利をないがしろにしても自身の利権拡大のみ大事とばかりに、あらゆる者はこの半官検閲センターの言うなりに情報を削除しろという傲慢を示すとは、天下り役人の考えは気違い染みている。削除を依頼されたところで、自身のリスクで削除をしないという判断をすることは当然あって良いことである。

 インターネット・ホットラインセンターの事業が警察からの委託事業であるため、そこに蓄積された情報を柔軟に活用し、自主的取組の向上に役立てることは難しいと、インターネット・ホットラインセンターが、民間団体でありながら、ほぼ警察の下部組織であることを政府の報告書が公に認めている点など、完全に語るに落ちている。必要であれば、きちんとした取り締まりと削除要請ができる人員を、法律によって明確に制約を受ける警察に確保するべき話であり、通報受付についてもきちんと警察に設け、それを周知するべき話であって、それ以上の話ではなく、インターネット・ホットラインセンターのような半官天下り検閲センターは即刻廃止が検討されるべきである。

(5)「3.(2)児童ポルノの効果的な閲覧防止策の検討」(第91~100ページ~)関連
意見:

 児童ポルノ対策について今以上の規制は必要なく、児童ポルノを理由とした新たな規制、特に情報・表現に関する国民の基本的な権利の重大な侵害となる単純所持規制・創作物規制の検討に反対する。やはり情報・表現に関する国民の基本的な権利を侵害するものとならざるを得ないブロッキングについても、その実証実験すらするべきではない。

理由:
 上でも書いたことだが、例えそれが児童ポルノであろうと、情報の単純所持や単なる情報アクセスではいかなる被害も発生し得えない。現行法で、ネット上であるか否かにかかわらず、提供及び提供目的の所持まで規制されているのであり、提供によって生じる被害と所持やダウンロード、取得、収集との混同は許され得ないのである。そもそも、最も根本的なプライバシーに属する個人的な情報所持・情報アクセスに関する情報を他人が知ること自体、通信の秘密や情報アクセスの権利、プライバシーの権利等の基本的な権利からあってはならないことである。海外サーバーの児童ポルノコンテンツについても、児童ポルノの提供が罪になっていない主要国もないのであろうから、日本の警察なりが海外の捜査機関に協力すれば良いだけの話である。例え児童ポルノだろうが、新たな思想犯罪を作り、国民の情報・表現・思想等々の最も基本的な精神的自由と安全を脅かす理由には全くならない。児童ポルノ規制について何か検討することがあるとしたら、今ですら曖昧に過ぎる児童ポルノの定義の厳密化のみである。

 また、ブロッキングについても、総務省なり警察なり天下り先の検閲機関・自主規制団体なりの恣意的な認定により、全国民がアクセスできなくなるサイトを発生させるなど、絶対にやってはならないことである。例えそれが何であろうと、情報の単純所持や単なる情報アクセスではいかなる被害も発生し得えないのであり、自主的な取組という名目でいくら取り繕おうとも、憲法に規定されている表現の自由(知る権利・情報アクセスの権利を含む)や検閲の禁止といった国民の基本的な権利を侵害するものとならざるを得ないブロッキングもまた導入されてはならないものである。

 対面調査で回答の誘導を行うなど有害かつ悪質な世論操作がそこら中で行われた、全く信用できない今年1月の内閣府の調査をあげ、国民の問題意識が高まっているとしたり、サイバー犯罪条約について未批准であることや児童ポルノ規制に関しては留保条項もあることを明記していなかったり、欧米キリスト教諸国の狂った規制のみを例に挙げていたり、インターネット・ホットラインセンターにおける通報件数のみを使って日本における児童ポルノ事件数が多いかの如き印象を与えようとしたりと、この部分における、悪辣な印象操作・欺瞞も枚挙にいとまがない。

 さらに、第92~93ページの、「1)現在の児童ポルノに対する取組」の、児童ポルノを思想犯罪化し、国民の情報・表現・思想等々の最も基本的な精神的自由と安全を脅かして良いかの如き記載に至ってはもはや絶句するしかない。この文章を書いた役人は完全に気が狂っているとしか思えない。

 なお、児童ポルノ規制に関しては、つい最近、ドイツのバンド「Scorpions」が32年前にリリースした「Virgin Killer」というアルバムのジャケットカバーが、アメリカでは児童ポルノと見なされないにもかかわらず、イギリスでは該当するとしてブロッキングの対象となり、プロバイダーによっては全Wikipediaにアクセス出来ない状態が生じたなど、欧米では、行き過ぎた規制の恣意的な運用によって、明らかな弊害が生じていることも見逃されるべきではない。

(6)「4.(5)違法・有害情報対策の基礎となる調査の実施」(第133~135ページ)関連
意見:

 役所の調査項目作成への関与を極力無くし、予断を与えないように調査項目の作成には細心の注意を払うべきである。複数の調査機関によって項目の偏向をチェックし、対面調査で直接規制の是非を問うような片寄りしか生まない手法を取らないようにし、ウェブ調査も含め、幅広く調査を行うべきである。

理由:
 今年の1月28日に公表された「インターネット上の安全確保に関する世論調査」は、例えば、インターネットホットラインセンターについて、知らない者が9割近くにも上るにも関わらず、その全員に対してその有効性について聞き、「インターネットホットラインセンターは安全を守るために有効と思う」と7割近くの人間に答えさせたり、対面調査によって回答の誘導を行ったりするなど、悪質かつ有害な印象操作・世論操作がそこら中で行われ、政策判断の材料として全く信用できない調査だった。

 このような非道極まる調査を二度と行わないようにするべきであり、特に、役所の調査項目作成への関与を極力無くし、予断を与えないように調査項目の作成には細心の注意を払うよう、複数の調査機関によって項目の偏向をチェックし、対面調査で直接規制の是非を問うような片寄りしか生まない手法を取らないよう、ウェブ調査も含め、幅広く調査を行うよう気をつけるべきである。

(7)報告書案全体について
 国民の基本的な権利をないがしろにしても自身の利権拡大のみ大事とばかりに、腐り切った天下り役人が好き勝手に膿んだ妄想を垂れ流しているこの報告書案は、随所に理解不能の論旨の混乱が見られ、矛盾・不合理だらけで到底読むに耐えないものである。もはや自身の怒りを表すのに十分な言葉を私は持たないが、このように天下り役人が厚顔にも踏みにじっている国民の本当の安全と安心を今すぐ返してもらいたいと私は心から言いたい。

 この狂った報告書案の危険性は小手先の修正では治癒不能であり、情報モラル・リテラシー教育に関する「4.利用者を育てる取組の促進」以外全て白紙に戻してゼロから検討し直されるべきである。

 インターネットの利用環境の整備は、法規制によるのではなく、民間の自主的取組によって推進することが最良の方策であるという言葉を自戒の言葉として、政府においても、今後は、恣意的な運用しか招きようのない危険な規制強化の検討ではなく、ネットにおける各種問題は情報モラル・リテラシー教育によって解決されるべきものという基本に立ち帰り、地道な施策のみに注力する検討が進むことを期待する。

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2008年12月 2日 (火)

第139回:総務省・「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」最終取りまとめ(案)に対するパブコメ募集(その5:目次・その他)

 前々々々回前々々回前々回前回に引き続き、総務省の「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」最終取りまとめ(案)(12月17日〆切。総務省のリリース意見募集要領電子政府の該当ページinternet watchの記事参照。)の話である。

 細かな文章への突っ込みを入れていく前に、この報告書は長すぎるので目次を作っておきたいと思う。

(1)最終取りまとめ(案)目次

1.はじめに
(1)背景と経緯(第3ページ~)
(2)最終取りまとめのねらい(第6ページ~)

2.安心を実現する基本的枠組の整備
(1)安心ネット利用のための基本法制の整備等(第9ページ~:児童ポルノ規制、プロバイダーの責任制限範囲の拡大、検閲機関創設案、天下り先の第3者機関が定める標準的な違法情報対策の仕組み・技術・違法性の判断の押しつけ等について、第135回第136回参照)
(2)国際連携推進のための枠組の構築(第47ページ~:第138回参照)
(3)様々な連携の推進(第54ページ~:第138回参照)

3.民間における自主的取組の促進
(1)違法・有害情報対策の推進(第63ページ~:「e-ネットづくり!」宣言・総務省版インターネット・ホットラインセンター創設案等について、第137回参照)
(2)児童ポルノの効果的な閲覧防止策の検討(第91ページ~:児童ポルノ規制・ブロッキングについて、第135回参照)
(3)コンテンツ・レイティングの普及促進(第100ページ~)
(4)違法・有害情報対策に資する技術開発支援(第106ページ~)

4.利用者を育てる取組の促進
(1)家庭・地域・学校における情報モラル教育(第111ページ~)
(2)ペアレンタルコントロールの促進(第121ページ~)
(3)コンテンツ事業者等による利用者啓発活動促進(第125ページ~)
(4)利用者を育てる取組の協調的な推進(第129ページ~)
(5)違法・有害情報対策の基礎となる調査の実施(第133ページ~:第138回参照)

5.おわりに(「安心ネットづくり」促進プログラムの策定に向けて)

(2)その他
 本当にこの報告書案はあまりにも問題点が多く、全部は到底指摘し切れない。以下に指摘するのは、あまりにも目に余る部分だけである。

 1.はじめに「(2)最終取りまとめのねらい」第6ページで、

さらに、硫化水素による自殺誘引サイトの問題や、2008年6月8日に起きた秋葉原での事件における電子掲示板上の犯罪予告など、インターネット上の違法・有害情報対策として、民間の自主的取組に任せるのではなく、むしろ規制を強化すべきとの声を後押しするような事案も引き続き発生している

と書いているが、これは、マスコミの一方的な印象操作に悪乗りする形で、ネガティブな事件のみを取り上げ、ネット規制の強化が正当化されるかのような、ひどい印象操作を含む記載である。

3.民間における自主的取組の促進第65ページの

 現行では必ずしも違法ではないが、インターネット上の流通が望ましくないとして、削除等の何らかの対応が必要であると認識されている情報がある。例えば、違法行為を目的とした書き込み、人を自殺に誘引する情報の書き込み、公共の安全や秩序に対する危険を生じさせるおそれのある情報の書き込み、さらには、いわゆる「学校裏サイト」における個人の誹謗中傷の書き込みなどである。近年、これらの情報の流通をきっかけに、マスコミに大きく取り上げられるような事案が頻発しており、インターネットの規制を強化すべきとの議論を拡大させる主な要因となっている

も全く同様のひどい印象操作である。)

 また、2.安心を実現する基本的枠組の整備「(1)安心ネット利用のための基本法制の整備等」の第13ページで、

 とりわけ、青少年の多くが利用している携帯電話については、2006年11月及び2007年12月に総務大臣から携帯電話事業者・PHS事業者に対して導入促進に向けた取組を進めるよう要請を行われたこともあり、積極的な取組が行われてきたが、その過程で、青少年の利用実態(コミュニティサイトの普及等)に照らし、フィルタリングによる閲覧制限の範囲が広範に過ぎるなど、現在の携帯電話フィルタリングが有する課題も浮き彫りになった。こうしたことから、本検討会において、現状の携帯電話フィルタリングを改善するための方策について議論が行われ、4月25 日、現状のモデルを改善し、より良いフィルタリングサービスの在り方を提言した中間取りまとめとなった。この中間取りまとめを踏まえた取組を行うよう、総務大臣から携帯電話事業者等に対して3度目となる要請が行われた。

と自分たちの大臣要請について勝手に積極的評価をしようとしているが、当時大臣要請がもたらしたものは無用の混乱のみであり、はっきり言って全く評価できないものだったと私は断言できる。

 第15ページで、

 総務大臣要請を受け、携帯電話事業者・PHS事業者は、2008年9月12日、フィルタリングサービスの改善に向けた今後の取組内容につき詳細を発表した。それによれば、既に第三者機関(EMA)による認定が行われているサイトについては、各社とも2009年1月から2月にかけて現在提供しているフィルタリングサービスへの反映を行う予定である。

と、フィルタリングによるブラックリスト商法を後押しするかのような書き方をしていることも注意する必要がある。番外その7のついでに少し書いたことだが、そもそも、ブラックリスト方式ならば、まずブラックリストに載せる基準の明確化から行うべきなので、不当なブラックリスト指定については、携帯電話事業者がそれぞれの基準に照らし合わせて無料で解除する簡便な手続きを備えていればそれで良く、健全サイト認定第3者機関など必要ないはずなのである。ブラックリスト指定を不当に乱発し、認定機関で不当に審査料をせしめ取り、さらにこの不当にせしめた審査料と、正当な理由もなく流し込まれる税金で天下り役人を飼うのだとしたら、これは官民談合による大不正行為以外の何物でもなく、このようなブラックリスト商法の正当化は許されないと繰り返し指摘して行かなくてはならない。(無論、それ以前に、青少年ネット規制法は、あらゆる者から反対されながら、有害無益なプライドと利権を優先する一部の寄生議員と規制官庁の思惑のみで成立したものであり、速やかに廃止が検討されるべきと言わなくてはならないだろうが。)

 第30ページで、

エ)刑罰法規の厳正な執行の必要性等
 社会的法益侵害情報は、すべて何らかの刑罰法規に違反するものであり、これらの情報の流通の防止は、本来、当該情報の発信者あるいは積極的に当該違法情報の流通を奨励・幇助する一部のプロバイダ等を取り締まることによって達成すべきものである。積極的に違法情報の流通を奨励、幇助するプロバイダ等はごく一部と考えられ、それらのプロバイダ等に対する取締まりの強化の余地はあるものと思われる。したがって、刑罰法規の厳正な執行は社会的法益侵害情報への対策として重要である。

一方的な見方で刑罰法規による取り締まり強化を唱えている点も極めて危険である。レンタルサーバー管理者を著作権幇助罪で逮捕された「第(3)世界」事件のことを考えても、情報の違法性の本質的な相対性を忘れ、情報の流通という姑息な言葉で情報の提供者が誰かという最も重要な論点をごまかし、幇助といった曖昧な概念で刑罰法規の適用範囲を広げることはインターネットの法的安定性を大きく揺るがす危険極まりないことである。

 半官天下り検閲センターのインターネット・ホットラインセンターそのもの問題点はさんざん繰り返してきたが、第47~48ページの、

 例えば、インターネット・ホットラインセンターが加盟する国際組織INHOPE(theInternational Association of Internet Hotlines )では、違法・有害情報に対する国際的な取組を強化するため、加盟国間で相互通報を行っている。2007年中に同センターにあった違法情報の通報のうち海外のサーバに蔵置されていたものは3,307件であるところ、同年3月から12月までの10か月間にわが国から海外の加盟ホットラインに対して行った通報は児童ポルノ情報及びわいせつ情報350件と一部に限られている

 このように、国内法の適用範囲に限界があることから、一部の悪質なコンテンツ事業者やISP等は、サーバを海外に蔵置することにより、法の適用を逃れているとの指摘もなされている。また、違法情報に対する国内の対応を強化すればするほど、悪意ある発信者が海外に発信元を移転させるインセンティブが働くこととなるため、違法情報の閲覧防止措置を講じるに当たり、国内外で連繋のとれた執行体制を構築することが求められている。

という印象操作も本当にひどいものである。350件以外は、インターネット・ホットラインセンターが他国に通報しないという判断をしただけだろうと考えられるにもかかわらず、勝手に全通報件数との比較を行って、海外対応に難があるかの如き記載をしているのは本当に許し難い。このような判断を勝手に行っていること自体、この半官検閲センターの問題点を露骨に示しているだろう。

インターネット・ホットラインセンターについては、3.民間における自主的取組の促進の第75~76ページの、

「電子掲示板等の管理者」など、より広範囲のプレイヤーが、自主的に違法・有害情報対策に取り組むためには、現状では、①各種ガイドラインを自発的に参照し、自らの取組に反映させること、②新聞紙上等で報道される大手企業等の取組を導入すること、③インターネット・ホットラインセンターの協力依頼があった場合に応じること、④携帯電話インターネット上でのCGMサイトであればEMAの認定を受けることなどが考えられる。このような現状は「電子掲示板等の管理者」にとって十分とはいえない。
(中略)
 インターネット・ホットラインセンターは発足以来二年余りを経過し、その取組への理解は急速に進んでいるが、削除依頼を受けた場合、違法情報はともかく有害情報については、ホットラインセンターと見解が異なる場合もあるようだ。ホットラインセンター側からすれば依頼した後は、それぞれの事業者のポリシーに基づく自主的措置を期待しているのだろうが、一方で、依頼された側からすれば、自社のポリシーと合わず、削除を行わないという選択肢をとった場合、ホットラインセンターの見解に反することになる。インターネット・ホットラインセンターの位置づけや、事業者等の協力関係の在り方が、より明確になっていることが望ましい

という記載もひどいものである。インターネット・ホットラインセンターは単なる一民間団体に過ぎず、しかもこの団体に直接害が及んでいる訳でもないため、削除を要請できる訳がなく、勝手に有害と思われる情報を収集して、直接削除要請などを行う民間団体があるということ自体おかしいと考えるべきであるという最も基本的なことも忘れ、国民の基本的な権利をないがしろにしても自身の利権拡大のみ大事とばかりに、あらゆる者はこの半官検閲センターの言うなりに情報を削除しろという傲慢を示すとは、本当に天下り厄人の考えは気違い染みている。削除を依頼されたところで、自身のリスクで削除をしないという判断をすることは当然あって良いことである。

 第73ページの脚注で、プロバイダー責任制限法(正式名称は、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」)の「特定電気通信役務提供者」と、青少年ネット規制法(正式名称は、「少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」)の「特定サーバー管理者」を

「特定電気通信役務提供者」と「特定サーバー管理者」は同義と考えて良い。

と断定している事もあまりにも軽率という他ない。それぞれの条文を読めば分かるが、「特定電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他特定電気通信設備を他人の通信の用に供する者」(「特定電気通信役務提供者」)と、インターネットを利用した公衆による情報の閲覧の用に供されるサーバーを用いて、他人の求めに応じ情報をインターネットを利用して公衆による閲覧ができる状態に置き、これに閲覧をさせる役務を提供する者(「特定サーバー管理者」)は同義では全くない。実際に法運用を行っているはずの官庁が公の報告書にこのようなことを堂々と書くのだから本当に呆れる他ない。

 さらに言えば、第107ページの、

 また、技術開発成果の利用者へのオープンな提供については、一般に開発費用の回収が必要な民間ベースの技術開発には馴染みにくく、どちらかといえば公的な機関の役割として親和性が高い

という記載なども、税金を垂れ流す言い訳に必死なのだろうが、オープンソースなどの最近のオープンな民間の技術開発の流れを完全にないがしろにするものだろう。

 この報告書は、ここ数年で出された役所の報告書の中でも、恐らく類を絶すると言っても過言ではないくらい非道いものである。この報告書には腐り切った天下り厄人の垂れ流す膿がそこら中に溢れ、読んでいて本当に胸がむかついて来る。天下り利権に芯まで蝕まれた厄人にもはや付ける薬はないのかも知れないが、彼らが厚顔にも踏みにじっている国民の本当の安全と安心を返せ、今すぐ返せという言葉を連中の顔面に叩きつけたいと私は心から思っている。

 また、このパブコメも提出次第ここに載せるつもりである。

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第138回:総務省・「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」最終取りまとめ(案)に対するパブコメ募集(その4:国際連携・産学連携組織・基礎調査関連部分)

 前々々回前々回前回に引き続き、総務省の「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」最終取りまとめ(案)(本文1)のパブコメ(12月17日〆切。総務省のリリース意見募集要領電子政府の該当ページinternet watchの記事参照。)の話である。

 引き続き、大枠の方向性について、あといくつか注意しておくべき箇所の指摘をしておきたい。

(1)国際連携関連部分
 まず、国際連携については、2.安心を実現する基本的枠組の整備中、第47ページ以下の「(2)国際連携推進のための枠組の構築」で書かれている。

 本来国際連携や情報交換などは地道にやってくれればそれで良い話なのだが、放っておくと役所は必ず、自分たちの都合の良い例だけを取り上げて国際動向・潮流を騙り、危険な規制利権の強化を図ってくるので、この部分についても釘を差しておく必要があると私は思っている。

 特に、この部分については、昨今の情勢を考えると、児童ポルノ規制に関して、児童ポルノの閲覧の犯罪化と創作物の規制まで求めている「子どもと青少年の性的搾取に反対する世界会議」の根拠のない狂った宣言を国際動向として一方的に取り上げ、規制強化を正当化することなどあってはならないという意見を、かえって、例えそれが児童ポルノであろうと、情報の単純所持・アクセス・ダウンロード・収集・取得・閲覧等の規制・犯罪化は、恣意的にしか運用され得ず、利用者から見て回避不能の危険極まるものであり、新たな思想犯罪を作り出す非人道的なものとして絶対導入されるべきでないと、既にこのような非人道的な規制を導入している諸国は即刻このような規制を廃止するべきであると、そもそも最も根本的なプライバシーに属し、何ら実害を生み得ない個人的な情報所持・情報アクセスに関する情報を他人が知ること自体、通信の秘密や情報アクセスの権利、プライバシーの権利等の国際的かつ一般的に認められている基本的な権利からあってはならないことであると、日本政府から国際的な場において各国に積極的に働きかけてもらいたいという意見を出さなくてはならないと考えている。

 また、もし青少年ネット規制法について国際的に紹介することがある場合には、この法律は、ほぼあらゆる者から反対されながら、有害無益なプライドと利権の保持に走った一部の寄生議員と規制官庁の思惑のみによって成立したものであるという経緯や、そもそも成立するべきではなく今でも廃止するべきとする意見もあるということも含め紹介するべきという意見も一緒に出したいと思っているところである。

(2)産学連携組織関連部分
 また、2.安心を実現する基本的枠組の整備中、第54ページ以下の「(3)様々な連携の推進」で書かれていることもさっぱり要領を得ないが、その結論部分に相当する第61ページの「3)産学連携の結節点となる組織の必要性」で、

 実際、インターネットの利用環境整備は、これまでも民間の自主的取組として努力がなされてきた。しかし、これらは直面する問題への対症療法的取組であったり、各施策間の有機的な連携が不足していたり、ボランタリーに参加する主体も一部のネット関連企業にとどまっていたりと、暫定的かつ個別の取組と言わざるを得ない側面がある。また、企業のCSRが及ぶ範囲も都市部に限られるなど、どうしても地域的に偏り、インターネット利用環境の整備の取組についても様々な格差が生じることが懸念される。

 そのため、今後は、これまで企業や教育機関、NPO等によって個々に行われてきた取組を有機的に連携させることや、単体では社会貢献活動を行うことが困難な中小の企業、意欲ある個人、地域のボランティアグループ、また、インターネットを利用する様々な企業からも、さらに多くのプレイヤーが参画できるようにした上で、総合的かつ戦略的な取組とするとともに、日本全国あまねく実施できるように配慮することで、民間における自主的取組や国民のリテラシー強化の活動を質・量ともに向上させることが不可欠である。

 このための仕組みとして、産学の自主的な取組及び啓発活動の結節点となる組織が必要と考えられる。次章以降、検討を進める中で、その必要性が繰り返し確認されることになるが、この新しい組織が、本最終取りまとめを踏まえて策定される「安心ネットづくり」促進プログラムの実際の受け皿として機能する「基本的枠組み」として期待されるものである。

と、前回取り上げた「e-ネットづくり!」宣言の実際の受け皿となる組織の話がここに書かれている。そもそもニーズの不明な官製キャンペーンなど不要であるという意見を出すつもりであるが、この部分について、天下りへの国民の血税のムダな浪費はもはや到底許されることではなく、この産学連携組織を天下り先とすることなど絶対あってはならないという念押しもしておきたいと思っている。

(3)基礎調査関連部分
 本来、情報モラル・リテラシー教育に関する4.利用者を育てる取組の促進に書かれていることのみに注力するべきだと思うのだが、この部分についても第133ページ以下の「(5)違法・有害情報対策の基礎となる調査の実施」に書かれている、2009年度から取り組むとしている基礎調査だけは注意しておいた方が良い

 理念的には、第135ページに、

 また、ネット利用増大の結果としてしばしば用いられる犯罪率の増加自体についても、科学的な検証が必要である。インターネットを活用した社会活動が増加しているなかで、当該活動全般の増加率よりも明らかに急速なペースでインターネットを利用した犯罪やインターネット上の情報流通による被害が増大しているのであればともかく、そうではない場合にまで、犯罪の増加等の社会問題の原因を安易にインターネットに求めることについては、慎重に考えるべきである。加えて、インターネットの普及がもたらす情報検索の効率化、離れた場所にいる人との交流の拡大、自己表現手段の多様化といった利点についても、公正な判断を行うことが求められる。

 さらに、リテラシーを十分に有する者とそうでない者では、同じ違法・有害情報に接していても被害の程度は大きく異なる。調査により得られた結果に基づき、子どものインターネット利用や健全育成について比較的関心の薄い層を主要なターゲットとして、有効なアプローチを行っていくことが必要であり、その意味からも実態把握は重要である。

 また、昨今、インターネット上の違法・有害情報対策として法規制を導入すべきとの議論がなされることが増えているが、例えば、既存のある法規制がどの程度の実効性を持っているのかを調査することにより、その法規制が手段として有効であるか否かを判断する検証モデルの構築なども視野に入れることが考えられる。

と結構まともなことが書かれているのだが、役人の情報リテラシーの低さを考えると、実際のモニター調査項目は、内閣府の印象操作調査のようにひどいものが並ぶという懸念が極めて強いのである。(去年の内閣府の調査における印象操作のひどさについては、警察庁研究会提出パブコメにも書いた。)

 この部分についても、特に、役所の調査項目作成への関与を極力無くし、予断を与えないように調査項目の作成には細心の注意を払うこと、出来れば複数の調査機関によって項目の偏向をチェックすこと、対面調査で直接規制の是非を問うような片寄りしか生まない手法を取らないこと、ウェブ調査も含め、幅広く調査を行うことといった意見を出しておかなくてはならないと私は感じている。

 後、細かな文章への突っ込みも少ししておきたいと思うので、次回もこの報告書の話である。

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2008年12月 1日 (月)

第137回:総務省・「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」最終取りまとめ(案)に対するパブコメ募集(その3:「e-ネットづくり!」宣言・総務省版インターネット・ホットラインセンター創設案関連部分)

 前々回前回に続き、総務省の「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」最終取りまとめ(案)(本文1)のパブコメ(12月17日〆切。総務省のリリース意見募集要領電子政府の該当ページinternet watchの記事参照。)の話である。

 引き続き、大枠の方向性の話であるが、民間における自主的な取り組みと称して、天下り利権の強化にしかつながらない有害無益かつ危険な規制強化を押しつけるのは役所のいつもの手口であり、3.民間における自主的取組の促進「(1)違法・有害情報対策の推進」の第80ページ、「3)検討すべき方策」で、

 サイト運営者をはじめとする幅広いプレイヤーがインターネットの利用環境整備に参画していることを明らかにする新たな枠組みとして、また、それらの自主的取組を実質的にも強化する仕掛けとして、「自主憲章」的な目標を共有することを宣言する仕組みとして(仮称)「e-ネットづくり!」宣言という施策を提案する。

と書かれている「e-ネットづくり!」宣言の話もその例に洩れない

 その基本構想は、第84ページに、

「e-ネットづくり!」宣言の基本構想は89頁に示すとおりである。まず、参加者が共有すべき目標としての「自主憲章」がある。その目標達成を担保する具体的な取組は2つに分かれる。一つの場は、自主的取組の指針となるガイドラインなどで構成された「ナレッジベース」、もう一つの場は「交流プラットフォーム」である。インターネットにおける状況の変化は激しい。知見が集積した結果としてのテクスト群が「ナレッジベース」となる。これが通常の自主的取組を規定する。一方で、変化に対応するために情報を集積し、新たなルールを議論し生み出す場が「交流プラットフォーム」である。

と書かれており、この「e-ネットづくり!」宣言とやらには、「自主憲章」の他に、「ナレッジベース」と称するガイドライン群と、「交流プラットフォーム」と称する新たな規制を検討する場が含まれるようである。

 まず、この「自主憲章」とは何かとなると、第84ページに書かれているように、

「自主憲章」の示す方向に賛同する法人・団体は、「チーム・マイナス6%」と同様に、申請し、登録すれば、「e-ネットづくり!」宣言をすることができる。これにより「e-ネットづくり!」宣言が提供するロゴマーク等を自ら行う啓発活動等に使用することも可能となる。また、法人・団体のみならず、個人が宣言する場合も想定される。サイト管理者は個人であることが多いので、むしろ積極的な申請・登録が望ましい。まず、「e-ネットづくり!」宣言をすることで、インターネット利用環境整備に積極的に取り組もうとするプレイヤーが「可視化」されることになる。

と、総務省への参加申請・登録の要請や総務省謹製のロゴマークの販促といった、ニーズを無視したいつもの官製キャンペーンに過ぎない。これだけを普通に考えても税金のムダ使いしかならないと思う上、さらに、総務省のことなので「自主憲章」すら規制よりに書かれる可能性が強く、なおさら税金のムダな浪費になる危険性が高い

 また、「ナレッジベース」と称するガイドライン群についても、総務省が主導する以上、これらでも規制よりの話しか出て来ないに違いない。そもそも今以上にどんなガイドラインについて必要なのか良く分からず、もし何か検討するのであれば、そもそも今ですら山のようにあって訳が分からないガイドライン群の整理削減のみを検討するべきだと思うが、第85~86ページに

 また、事業者を念頭に置いたガイドラインだけではなく、利用者向けにガイドライン的な役割を果たす啓発文書の策定も検討すべきであろう。例えば、発信者として守るべきことだけではなく、違法・有害情報に関する一般の受けとめとの乖離を克服し、違法・有害情報とは何を指すのかについて共通理解を求めるためのガイドブックの策定なども視野に入れるべきである、さらに、後述の「交流プラットフォーム」における検討を踏まえ、新たなガイドラインの策定や既存ガイドラインの改定などに不断に対応することが求められる。

に書かれている利用者向けのガイドラインには特に注意しておく必要があるだろう。総務省も、表現の自由などの国民の基本的な権利の重要性と権利の本質的な相対性という最も基本的なことを全く理解していないので、理解不能の「共通理解」を押しつけてくる危険性が高いのである。

 「交流プラットフォーム」に至っては一番危うく、第86~87ページに、

 交流プラットフォームは、ナレッジベースを構成する知識を生み出し、最新の状況に合わせて改定をしていくための機能を果たすとともに、インターネットの利用環境整備を推進するプレイヤーの活性化を図るための交流の結節点となる。「e-ネットづくり!」宣言を状況の変化に応じて改善される柔軟な運動にするための仕掛けである。具体的内容としては、「相談センター」、「違法・有害情報通報受付」、「作業部会」等が想定される。

 「相談センター」は、現在の電気通信事業者向けの「違法・有害情報事業者相談センター」の機能を拡大・強化し、インターネット上のあらゆるプレイヤーを包含する「e-ネットづくり!」宣言を行ったメンバーを対象とした相談窓口であり、違法・有害情報対策全般のポータルとなるべきものである。現在の「違法・有害情報事業者相談センター」の相談実績が少ないことに鑑み、地方への出張相談、もしくは、違法・有害情報対策アドバイザーなどを設けて、要請のあったメンバーの指導に赴くなど、能動的な対応を図ること、また、このセンターへの相談内容を分析し後述の作業部会を立ち上げるなど、実効性をあげるための諸方策を検討すべきである。

 「違法・有害情報通報受付」は、主に「e-ネットづくり!」宣言を行った者からの違法・有害情報通知を受け付けるものである。一般からの違法・有害情報の通知はインターネット・ホットラインセンターが受け付けているが、警察からの委託事業であるため、そこに蓄積された情報を柔軟に活用し、自主的取組の向上に役立てることは難しい。違法・有害情報対策は、その実態を踏まえなければ効果的な対応ができないが、現状では、民間の側にきちんとしたデータの蓄積はない。インターネット・ホットラインセンターとの協力の深化も視野に入れる一方で、「e-ネットづくり!」宣言の基盤として、交流プラットフォームにメンバーからの違法・有害情報の通知もしくは対応実績等、必要な情報を受け付け、分析を行うことが必要である。また、「違法・有害情報通報受付」から発展し、第三者機関的な枠組などを活用し、メンバーが主に違法情報等の判断に迷った場合、判断を代替する機能を持たせることも検討すべきである。

 「作業部会」は交流プラットフォームにおいて最も重要な機能を果たす。ナレッジベースへ新たな知識を加えるとともに、メンバーの相互交流の場となる。その切り口として、まず同種のサービスの担い手同士の議論の場が考えられる。
(中略)
 また、サービスごとの作業部会を設けるだけではなく、例えば、最近話題となっているスパムブログの問題、後述するような児童ポルノへの対応の在り方や、セルフレイティングの普及方策など、事案ごとに関係者が集まって議論する作業部会も随時設けるべきである。さらに、「e-ネットづくり!」宣言のメンバーを対象としたセミナー等の開催など、より柔軟な交流の仕組みも備えるとともに、有意義な取組を行ったメンバーを表彰する制度を設けるなど、自主的取組を顕彰する機能を持つことも考えられる。

と書かれているように、天下り先を増やせとばかりに、自分たちの相談センターの拡充を図ったり、「違法・有害情報通報受付」と称して、総務省版インターネット・ホットラインセンターを作ろうとしていたりと、本当にやりたい放題である。税金のムダ使いにしかならないだろうニーズを無視した相談センターの拡充もされるべきではないと思うが、常に権利の侵害は相対的なものであり、権利侵害とは直接関係のない天下り先の半官検閲センターに違法性の判断を代替する機能を持たせることなど危険極まりないことである。

 そもそも現在の「違法・有害情報事業者相談センター」の相談実績が少ないことが、現実のニーズを如実に物語っているが、この相談センターと「違法・有害情報通報受付」との区別も良く分からず、前回取り上げたプロバイダ責任制限法に関する部分では、「大手のプロバイダ等を中心に、既に自主的対応として違法情報の削除が進んで」いるとしながら、こちらでは、民間にデータの蓄積がないとしてたりと、この総務省の違法・有害報告書案は、本当に読むに耐えない矛盾・不合理だらけである。

 さらに言えば、インターネット・ホットラインセンターの事業が警察からの委託事業であるため、そこに蓄積された情報を柔軟に活用し、自主的取組の向上に役立てることは難しいと、インターネット・ホットラインセンターが、民間団体でありながら、ほぼ警察の下部組織であることを政府の報告書が公に認めている点など、完全に語るに落ちている総務省も自分たちの天下り先としてもう一つ似たような半官検閲センターを作りたいのかも知れないが、別に総務省がやったところで全く同じことだろう。内閣官房の犯罪計画案への提出パブコメでも書いたことだが、サイト事業者が自主的に行うならまだしも、何の権限も有しないインターネット・ホットラインセンターのような民間団体からの強圧的な指摘により、書き込みなどの削除が行われることなど本来あってはならないことである。このようなセンターは単なる一民間団体で、しかもこの団体に直接害が及んでいる訳でもないため、削除を要請できる訳がない。勝手に違法あるいは有害と思われる情報を収集して、直接削除要請などを行う民間団体があるということ自体おかしいと考えなくてはならないのであり、これは、必要であれば、きちんとした取り締まりと削除要請ができる人員を、法律によって明確に制約を受ける警察に確保するべき話である。通報受付についてもきちんと警察に設け、それを周知するべき話であって、それ以上の話ではない。

 最後の結論として書かれている第87~89ページの「(d) 取組にあたっての課題等」も、

「e-ネットづくり!」宣言は、参加のしやすさを念頭に置きながら、従来の業界団体的な組織ではなく、インターネット上のプレイヤーの緩やかな協働関係を構築することを主眼としている。それぞれの立場から、日々の取組の手がかりを得られる仕組みとして機能することを重視しており、強制的な枠組みとしはしない形で提示している。

 そのため、一方では、悪意をもって宣言したメンバーがいる場合はどうなるか、実効性は担保できるのかという疑問が生じる。

 この取組は、「チーム・マイナス6%」と同じく、まずは、インターネットの利用環境を皆で整備しようという善意の思いを宣言してもらうことがねらいである。したがって、そうしたことに関心がないか、もしくは悪意を持ったプレイヤーがわざわざ登録までするのか不明であるが、交流プラットフォームの「違法・有害情報通報受付」への苦情やインターネット・ホットラインセンターからの情報などにより、悪意をもって宣言したメンバーの存在が、ある程度明らかになった場合、別途第三者的な勧告機能を備えることで、宣言にふさわしくないメンバーであることを確認し、自浄努力を促すなど、何らかの措置を執ることも検討すべきかもしれない。

 実効性を担保するという観点からは、前述したとおり、一部のプレイヤーについては自主憲章だけではなく、ガイドライン群の一部についても遵守することを宣言させることが求められるかもしれない。その場合、ヨーロッパ諸国の自主憲章と似通った取組となる。ただし、最近の携帯電話フィルタリングの例に見られるように、業界の自主的取組を踏まえた法制化もあり得るので、遵守を宣言するガイドラインの対象をよほど絞らないと、多くの参画者の同意を得ることは困難であると予測される。

 また、個別のメンバーが実効性ある取組を行っているか否かは、検証困難であるが、「e-ネットづくり!」宣言の取組の全体としての効果を把握することは重要である。そのため、いくつかの指標に基づいて評価する外部機関を設け、一定期間ごとに評価を実施し、それに基づいて「e-ネットづくり!」宣言の仕組み自体を見直していくことも検討すべきであろう。

 「e-ネットづくり!」宣言は広報活動も重要な課題である。参加しやすい枠組みとした以上、法人・団体、個人を問わず、なるべく多くのメンバーが参加できるよう、PRを行うことが必要である。特に、最初のアプローチとして電気通信事業者には効果的に周知を行えるよう、総務省等、関係機関も協力すべきである。

 「e-ネットづくり!」宣言は業界の枠を超えた取組であるため、これを事業として担う主体としては、これまでの業界団体では適さない。青少年インターネット利用環境整備法の成立を踏まえ、民間の自主的取組と利用者を育てる取組を促進するため、前章で提言した産学の連携を促進する新たな組織が担うことがふさわしいと考える。

 また、「e-ネットづくり!」宣言を事業として開始するのは、青少年インター利用環境整備法の施行後、なるべく速やかであることが望ましい。2009年度中の実施をめざして関係者が協力してプロジェクトの具体化を図ることが求められる。

と、総務省は、強制力のない自主的な取り組みとしながら、天下り先の第3者機関に勧告機能を持たせようとしたり、自分たちの大臣要請でムダに混乱を招いたことを忘れて、しゃあしゃあと携帯電話フィルタリングと青少年ネット規制法の例を引いて、ガイドラインの押しつけとその法制化を目論んでいたり、電気通信事業者に周知と称する行政指導による強制参加を促そうとしていたり、新たな天下り先の組織を作ろうとしていたりするなど、このプロジェクトについて実施する前から失敗が約束されているような支離滅裂ぶりを示している

 この部分についても、そもそも民間が求めていない、「民間による自主的な取組」など取りやめるべきであると、今以上に、規制よりにしかならない官製「自主憲章」やガイドラインなど不要であると、検討が必要であるとしたら、今ですら訳が分からないほど沢山ある各種ガイドラインの整理削減のみであると、ニーズを無視した「相談センター」の拡充など天下り利権の強化・税金のムダな浪費にしかつながらないと、インターネット・ホットラインセンターという警察庁の半官天下り検閲センター自体廃止が速やかに検討されるべきものであり、「違法・有害情報通報受付」と称して、総務省版の半官天下り検閲センターをさらに作ることなど論外であるという意見を出さざるを得ないと私は考えている。

 いい加減うんざりしてくるのだが、まだまだ突っ込みどころは尽きないので、次も、この報告書案の話である。

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2008年11月30日 (日)

第136回:総務省・「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」最終取りまとめ(案)に対するパブコメ募集(その2:プロバイダーの責任制限範囲の拡大、検閲機関創設案、天下り先の第3者機関が定める標準的な違法情報対策の仕組み・技術・違法性の判断の押しつけ関連部分)

 前回に引き続き、総務省の「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」最終取りまとめ(案)(本文1)のパブコメ(12月17日〆切。総務省のリリース意見募集要領電子政府の該当ページinternet watchの記事参照。)の話である。

 細かな文章への突っ込みは全部まとめて後にするが、ひとまず大枠の方向性に関する部分を全て指摘して行こう。この違法・有害報告書案の「2.安心を実現する基本的枠組の整備」の「(1)安心ネット利用のための基本法制の整備等」で、検討されている案は、

  • プロバイダ責任制限法の適用範囲の拡大
  • 行政機関による措置制度
  • 自主的取組促進法制

の3つであるが、「プロバイダ責任制限法の適用範囲の拡大」について勝手にニーズが少ないと断定したり、「行政機関による措置制度」と称して文字通りの検閲機関の創設を検討したり、「自主的取組促進法制」と称して、天下り先となるだろう第3者機関が定める違法情報対策の標準的な仕組み・技術・違法性の判断を広くプロバイダーに押しつけようとしていたりと、ここでも髄まで腐り切った総務省の厄人は天下り利権を拡大しようと有害無益な規制強化をねらって来ている

 「プロバイダー責任制限法の適用範囲の拡大」については、第31ページの「(b) 自主的取組を促進する法制等の在り方」・「a)プロバイダ責任制限法の適用範囲の拡大」以下で、

 プロバイダ責任制限法の適用を社会的法益侵害情報に拡大し、プロバイダ等が、社会的法益を侵害する違法な情報だと考えて削除したところ、実はその情報は違法ではなかったという場合について、プロバイダ等において違法と信じるに足りる相当な理由があった場合には、削除したことによる発信者に対する損害賠償責任を制限するという方策が考えられる。
(脚注:なお、社会的法益侵害情報については、原則として権利を侵害された者が存在しないため、通常は当該情報を放置した場合における権利者に対する損害賠償責任の制限を検討する余地はない。)

と書いた上で、必要性・実効性について、

 この点、大手のプロバイダ等を中心に、既に自主的対応として違法情報の削除が進んでおり、プロバイダ責任制限法の適用拡大がなされても、それによって直ちに削除の件数が大幅に増えることは見込めないとの指摘がある。また、ガイドラインや約款に沿って送信防止措置をとっている限り、現実に発信者から損害賠償責任を問われる法的リスクはそれほど高くないことからか、プロバイダ責任制限法の適用を拡大すべきというニーズは多くない。さらに、プロバイダ責任制限法の適用を拡大して自主的な削除を促しても、インターネット・ホットラインセンターの削除要請にも応じずに違法情報を放置するようなプロバイダ等に対しては効果が限定されているとも考えられる。

と書いているが、そもそも、表現・情報の自由は民主主義の最重要の基礎であり、被害者を伴わない表現・情報に対する規制にほとんど正当化の余地はないのであり、そもそもここで社会的法益侵害と権利侵害という類型分けを使うこと自体不適切である。また、「権利侵害情報の例としては、名誉毀損情報、プライバシー侵害情報及び著作権や商標権を侵害する情報などがあり、社会的法益侵害情報の例としては児童ポルノ公然陳列罪、わいせつ物公然陳列罪(刑法第175条)、麻薬特例法違反、覚せい剤取締法違反など薬物関連法に係る情報などがある」(第18ページ)、「児童ポルノ関係の情報については、社会的法益侵害情報と整理されるが、被害児童が存在するため権利侵害の側面もある」(第24ページ)と、総務省が、勝手に児童ポルノ規制の法益を、実在の児童の権利侵害・実在の児童保護から、一般的な社会的法益とやらに勝手にすり替えようとしていることも決して看過できない

 この報告書では、プロバイダー責任制限法の適用範囲を拡大すべきとするニーズが多くないともしているが、意味不明の社会的法益侵害と権利侵害の区別による是非や発信者との関係での責任の問題だけを取り上げているから奇妙なことになるので、この問題において本当に重要なことは、第132回で書いたように、被侵害者との関係において、民事的な責任制限だけではなく、刑事罰リスクまで含め、明確なプロバイダーのセーフハーバーを作ることである。さらに言えば、今現在、動画投稿サイト事業者がJASRACに訴えられた「ブレイクTV」事件や、レンタルサーバー事業者が著作権幇助罪で逮捕された「第(3)世界」事件の司法判断次第で、間接侵害や著作権侵害幇助のリスクが途方もなく拡大し、甚大な萎縮効果・有害無益な社会的大混乱が生じかねないという非常に危険な状態にあること、間接侵害事件や著作権幇助事件においてネット事業者がほぼ直接権利侵害者とみなされてしまうのでは、プロバイダー責任制限法によるセーフハーバーだけでは不十分であることを考えると、間接侵害や著作権幇助罪も含め、著作権侵害とならない範囲を著作権法上きちんと確定することが喫緊の課題であると私は考えている。

 また、当たり前の話だが、内閣官房への提出パブコメでも書いたように、サイト事業者が自主的に行うならまだしも、何の権限も有しないインターネット・ホットラインセンターなどの民間団体からの強圧的な指摘により、書き込みなどの削除が行われることなど本来あってはならないことである。このようなセンターは単なる一民間団体で、しかもこの団体に直接害が及んでいる訳でもないため、削除を要請できる訳がない。勝手に有害と思われる情報を収集して、直接削除要請などを行う民間団体があるということ自体おかしいと考えるべきであり、このような有害無益な半官天下り検閲センターを廃止するとともに、法律によって明確に制約を受ける警察にきちんと取り締まりと削除要請ができる人員を確保することが検討されなくてはならない。

(第45~46ページで、アメリカのDMCAのノーティス&テイクダウン的制度に触れ、「なお、アメリカDMCAのように対象事件を著作権侵害など一定の事件に限定するという考え方はあり得るが、違法情報の中の特定の一分野に関してのみ、他との均衡を崩してまで特別な扱いをすることを正当化するには相応の立法事実が求められること、我が国には通知の濫用に対する制度的な担保がないことから、一定の事件に限定するとしても直ちに導入することは困難と思われる。」と総務省は勝手に否定的な見解を述べているが、別にアメリカのノーティス&テイクダウン制度をそっくりそのまま日本に輸入しなければならない理由もなく、上であげた「ブレイクTV」事件や「第(3)世界」事件を考えても、著作権について特に早急に手当をしておくべき十分な立法事実があると私は考えている。)

 また、「行政機関による措置制度」については、第33ページの「b)行政機関による措置制度」以下で書かれているが、特にその制度イメージは、

行政機関の登録を受けた民間の機関が、一般国民からの通報等を端緒としてインターネット上の情報について違法と判断した場合、当該情報に係るプロバイダ等に対してその旨を伝え、送信防止措置をとるよう依頼する。
行政機関の登録を受けた民間の機関から送信防止措置依頼を受けたプロバイダ等が依頼に応じない場合、同機関の申し出により、行政機関が、必要に応じて法所管大臣に規定の解釈について照会したり、警察に送信防止の当否について照会したりしつつ、申出に係る情報が法令に違反するかどうかを判断し、当該プロバイダ等に対して、違法情報が蔵置されている旨を通知する。
上記②の行政機関からの通知を受けた者が送信防止措置をとらない場合には、行政機関はその者に送信防止措置をとるよう勧告、命令するなど何らかの措置をとる。この勧告・命令を受けた管理者は、技術的に可能な場合には、その勧告、命令に係る違法情報につき、一定期間内に送信防止措置を講ずる義務を負う

と書かれているが、これは、ほとんど青少年ネット規制法案の初期案の悪夢を彷彿とさせる、行政主導の検閲機関創設案である。さすがにこの案については否定的な見解も多く書かれているが、そもそも、このような問題が大き過ぎる検閲機関創設案が、役所で検討されること自体異常なことと思わなくてはならない。

前回も書いたが、特に、第34ページの脚注で憲法上の検閲の禁止について、過去の最高裁の判決を引いてあたかも狭く解釈ができるかの如きことが書かれているが、学説上は必ずしもそのような狭い解釈が取られている訳ではなく、この最高裁判決自体、昨今のインターネットの普及を踏まえたものでなく今日もなお通用するかどうか怪しいものである。今日ではインターネット上でしか発表・流通の機会を持たない表現物が既に多く存在しているのであり、例え事後規制だろうと、そのような表現物の発表・流通を完全に抑制しかねない規制は、やはり検閲に該当すると考える方が妥当だと私は考えている。)

 そして、「自主的取組促進法制」と称して、第36~47ページ、「c)自主的取組にインセンティブを与える形での責任制限等の方策」以下で、総務省は有害無益な規制強化案を延々とこねくり回している。この部分に書かれていることは本当に理解不能であり、到底読むに耐えないのだが、第36~47ページで総務省の役人が言いたいだろうことを推し量って掻い摘むと、その案は、総務省言うところの「社会的法益侵害」について発信者との関係で責任制限の範囲を拡大する替わりに、自主的な取組と称して、アクセスログの保存、違法情報対策に関する標準的な仕組み・技術、天下り先の第3者機関による違法性の有無の判定を広くプロバイダーに押しつけることにあるようである。

 上で「a)プロバイダ責任制限法の適用範囲の拡大」の内容について書いたことをここでもう一度繰り返すことはしないが、「a)プロバイダ責任制限法の適用範囲の拡大」では、発信者の関係で責任制限範囲を拡大するニーズがないとしながら、ここでは、発信者との関係のみで責任範囲を拡大することがインセンティブになるとしているところなど、総務省の役人の考えは心底理解に苦しむ。また、現行のプロバイダー責任制限法(正式名称は「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」)でも、プロバイダーが、侵害の事実を知りながら、技術的に可能であるにも関わらず不特定の者に対する送信防止措置を取らなけらない場合、その責任追求を免れないのであり、被侵害者との関係で、違法な情報を放置した場合に、現行法よりも責任追及を容易にするとしている点も全く理解不能である。(この容易化措置は、あまりにも理解不能であるため、要点として考えることすらできなかった。)

 プロバイダー責任制限の要件に、権利侵害とは無関係な行政あるいは第3者の関与をもたらすような要件を追加することは、有害無益かつ危険な規制強化にしかならない。「自主的」と称するやはりごまかしの言葉に騙されてはいけない。違法情報対策に関する標準的な仕組み・技術の導入を要件とした途端、その仕組みや技術の認定に天下り先となる第3者機関が必ずしゃしゃり出て来、結局天下り利権の強化・税金のムダな浪費の拡大・技術の発展の有害無益な阻害にしかつながらないのである。表現の自由・検閲の禁止等々との関係から、天下り先の第3者機関による違法性の有無の判定を法律でプロバイダーに押しつけることなど断じて許されないことである。

 アクセスログの保存も、プロバイダー責任制限の文脈の中で語られるべきスジの話ではない。アクセスログの保存は、それ自体で別途きちんと検討されなくてはならない話である。

 最後の結論でも、

(d) 結論 自主的取組を促進する法制の在り方についての考え方
 社会的法益侵害情報については、法制度こそ存在しないものの、違法情報ガイドラインやモデル条項等の策定及びホットラインセンターの活動等を通して自主的取組の体制が整備されてきており、ホットラインセンターの削除依頼に対する応答率も相当高いものとなっている。また、今後の更なる自主的取組の進展も期待される。

 もっとも、自主的取組についても、違法性判断の困難性や法的責任の不明確性など法制度上の課題が全くないわけではなく、自主的取組を法制面からさらに後押しするという観点から、現行法制度の見直しについて検討する余地はあると考えられた。そこで、まず、①プロバイダ責任制限法の適用範囲の拡大、②行政機関による措置制度の2つの方策につき検討したところ、①については、導入にあたっての課題は少ないが、必要性、実効性の点でなお検討の余地があり、②については、法的に整理を要する点や運用上の問題など導入にあたって解決すべき課題が多い一方で、自主的取組の現状と今後の更なる進展を考慮すれば、同制度の必要性については慎重に見極めるのが相当と思われた。
ここで、第三の方策として③自主的取組促進法制という方策が考えられるところ、過度の法的規制を避けつつ、自主的対応にインセンティブを与え、不適切な管理をするプロバイダ等の責任を問いやすくするという考え方は、自主的取組を法制面から支援する方策として、基本的には望ましい方向性を持っているといえるが、理論的根拠・正当性、対象の範囲、要件の具体的内容など検討すべき課題は多岐にわたり、議論も必ずしも十分に深まっていないことから、今後、現実に法制化が可能かどうかも含め十分な検討が不可欠であり、今後の議論が待たれる

 以上より、当面は、自主的取組の進展及びその成果を見守りつつ、③の方策の具体的検討を含めて各種法的措置に関わる課題につき議論を深めていくことが、2011 年度までに、青少年インターネット利用環境整備法関連の取組の評価が行われるまでの間、取り組むべきことと考えられる。

と、天下り先の第3者機関による、違法情報対策に関する標準的な仕組み・技術・違法性の有無の判定のプロバイダーへの押しつけに、総務省は並々ならない執着心を示している。腐り切った総務省の役人の危険な規制強化へのとどまるところのない欲望に対する怒りを描写するに足る言葉はもはや存在しないくらいである。

 この部分についても、論外の検閲機関創設案に反対するとともに、「社会的公益侵害」・「権利侵害」という意味不明の区別を用いた検討を白紙に戻し、プロバイダー責任制限法に関し、被侵害者との関係において、刑事罰リスクも含めたプロバイダーの明確なセーフハーバーについて検討するべきと、特に、著作権侵害については、最近の事件から考えて、間接侵害や著作権侵害幇助罪まで含めて、著作権法にきちんとした明確なセーフハーバーが早急に作られるべきと、さらに、そのセーフハーバーの要件において、標準的な仕組み・技術や違法性の有無の判断を押しつけるような、権利侵害とは無関係の行政なり天下り先となる第3者機関なりの関与を必要とすることは、表現の自由の不当な侵害につながり、税金のムダな浪費と技術の発展の阻害につながるだけの危険かつ有害無益な規制強化であり、絶対にあってはならないことであると釘を刺しておく必要があると私は思っている。

 突っ込みどころはまだまだ尽きないので、次回もこの報告書についてである。

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2008年11月29日 (土)

第135回:総務省・「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」最終取りまとめ(案)に対するパブコメ募集(その1:児童ポルノ規制関連部分)

 次から次へと危険極まりない話が出てくるのは本当にどうにかして欲しいと思うが、今度は総務省から、12月17日〆切で、「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」最終取りまとめ(案)(本文1)に対するパブコメの募集がかかった(総務省のリリース意見募集要領電子政府の該当ページinternet watchの記事)。(内閣官房の犯罪計画案よりは長いが、パブコメ期間についてはおよそ20日間とやはり短いので注意が必要である。)

 この総務省の違法・有害報告書案は、危険度において、内閣官房の犯罪計画案に劣らないどころか、それを上回り、しかも、あまりにも長い上、随所に理解不能の論旨の混乱が見られ、ほとんど読むに耐えないというという非道極まるものである。そのため、ページ順に指摘して行くと訳が分からなくなるので、この報告書案についてはエントリを分けて、各論点毎に問題点を指摘して行きたい。最初に、今回は、今一番危険性が高いと考えられる児童ポルノ関連の記載についてである。

 まず、2.安心を実現する基本的枠組の整備中の第23~24ページの「(1)安心ネット利用のための基本法制の整備等」「3)自主的取組を促進する法制の在り方」で、

 主要な社会的法益侵害情報のうち、児童ポルノ公然陳列については、海外から対策を求める声が上がっており、国会においても児童ポルノ禁止法改正案が提出され、警察庁も2008年度の総合セキュリティ対策会議の検討課題として「インターネット上での児童ポルノの流通に関する問題とその対策」を取り上げるなど国内外で問題意識の高まりがみられる。児童ポルノ関係の情報については、社会的法益侵害情報と整理されるが、被害児童が存在するため権利侵害の側面もあることから、他の類型の社会的法益侵害情報と比較して、緊急に対処する必要性が高い場合が少なくないとの指摘もある

と根拠なく規制強化のニーズを騙り(海外からの声として、根拠のない米シーファー大使の発言など持ってくるあたりタチの悪さの極みである)、第25ページで、

 なお、社会的法益侵害情報といっても類型ごとに緊急性や問題性の度合いや内容は様々であり、社会的法益侵害情報全般でなく、例えば児童ポルノのような優先度の高いと考えられるものについて個別の対処を検討するという考え方もありうるのではないか

と一方的に児童ポルノ規制強化を正当化している点も看過できないが、具体的な児童ポルノ対策について書かれている3.民間における自主的取組の促進「(2)児童ポルノの効果的な閲覧防止策の検討」の内容と来たら、ほとんど狂っているとしか思われない記載のオンパレードである。

 まず、3の「(2)児童ポルノの効果的な閲覧防止策の検討」の第91ページ以下の前置きで、批准未了のサイバー犯罪条約(そもそも、児童ポルノの所持等に関しては留保条項もある)や欧米諸国の狂った規制のみを例に挙げ、内閣府の印象操作調査を引き、インターネット・ホットラインセンターにおける通報件数のみを使って日本における児童ポルノ事件数が多いかの如き印象操作を行っていることからして到底許せるものではないが、第92~93ページの、

1)現在の児童ポルノに対する取組
 インターネット上に児童ポルノ画像等をアップロードすることは、我が国の法律上児童ポルノ公然陳列罪(児童ポルノ規制法第7条第4項)に該当する犯罪行為であり、警察が当該行為者を検挙することが最も根本的な対策であることはいうまでもない。しかしながら、被害児童保護の見地からは、行為者の検挙と併せて、インターネット上での児童ポルノ情報の流通・拡散を可能な限り抑止することも重要である。

 インターネット上の児童ポルノ情報の流通・拡散の抑止という見地からは、アップロードされている情報を削除することが最も確実である。この点、これまで述べたとおり、児童ポルノ情報を含む社会的法益を侵害する違法な情報に対しては、違法情報ガイドラインやモデル条項の策定及びインターネット・ホットラインセンターの活動などを通して、プロバイダ等による自主的な削除が進められており、相応の成果を上げているところである。しかしながら、プロバイダ等による自主的な削除は、基本的に日本国内に存在するサーバに蔵置されている情報に限られ、海外のサーバに蔵置されている児童ポルノ情報については対応が困難である。上述のとおり、インターネット・ホットラインセンターに通報のあった児童ポルノ情報の約3分の1が海外のサーバに蔵置されていたことを考えれば、この点は大きな課題といえる。

 アップロードされた児童ポルノ情報を削除することの他に、ユーザーが閲覧できないようにすることによっても児童ポルノ情報の流通・拡散を抑止することが可能であるところ、大手のISPでは、閲覧防止の手段としてユーザーに対してフィルタリングサービスを提供している。フィルタリングとは、ユーザーがあるサイトにアクセスしようとする場合に、ユーザー側のハードやISP側の通信設備に設定されたフィルターにおいて、ユーザーからリクエストのあったURLと予め作成されている閲覧規制リストとを照合し、規制対象に該当する場合には、接続を拒否するという仕組みである。使用される規制リストについては、専門の業者が収集・分類して作成する方式が一般的であり、児童ポルノ情報についても、いわゆるアダルト系の情報の一内容として閲覧規制リストに載せられているのが通常である。規制リストは日々更新されてISPやユーザーに提供されている。

 この手法によれば、閲覧規制リストにさえ載せれば海外のコンテンツにも対応可能であり、また、閲覧規制リストに抵触するもののみ接続を拒否するものであるから、閲覧規制リストが正確である限り、問題のない情報まで接続拒否されるおそれは少ない。

 他方、通信の宛先をISPなどの媒介者が照合することになるので、通信の秘密と抵触するおそれがあり、利用に当たってはユーザーによる設定又は同意を前提とせざるをえない。そのため、児童ポルノ情報の閲覧を望まず、フィルタリングサービスを自ら設定し又は使用に同意するユーザーに対しては抑止効果があるが、児童ポルノ情報の閲覧を希望し、積極的にインターネット上の児童ポルノ情報を探索するようなユーザーは、フィルタリングサービスを提供されても利用も同意もしないのが通常と思われ、こうしたユーザーに対する抑止効果は期待できないという欠点を持つ。

 フィルタリング以外の閲覧防止策としては、検索エンジンを提供するプロバイダの画像検索におけるセーフサーチの機能がある。これは、画像検索において、ポルノ画像など一定の画像を自動的に解析するなどの方法で検出し、検索結果から除外するという手法であり、検索エンジンでは標準設定とされている場合が多い。この手法によれば、国内外を問わず、ポルノ画像として検出されれば検索結果に現れないため、アクセスがしづらくなり、情報流通を抑制する効果がある。しかし、フィルタリングと同様にセーフサーチ機能を利用するかどうかはあくまでもユーザーの意思に委ねられており、標準設定で適用されることとしていても、ユーザーが適用をオフにすれば機能しなくなるから、やはり閲覧を希望するユーザーに対しての抑止効果は期待できない

 このように、現在でも、さまざまな児童ポルノ対策の取組みがなされているが、現行の取組みは、海外のコンテンツへの対応が困難であり、ユーザーの設定や同意を必要とするため積極的に児童ポルノの閲覧を希望するユーザーに対する抑止効果が限定的であるといった課題を抱えている

という記載に至ってはもはや絶句するしかない。総務省は、ロリコンを思想犯罪化し、国民の情報・表現・思想等々の最も基本的な精神的自由と安全を脅かすと宣言して来たのだ。ここで、拡散・流通といった姑息な言葉による見え透いたごまかしに騙されてはいけない。内閣官房へのパブコメでも書いたし、何度も繰り返して来たことだが、例えそれが児童ポルノであろうと、情報の単純所持や単なる情報アクセスではいかなる被害も発生し得えない。現行法で、ネット上であるか否かにかかわらず、提供及び提供目的の所持まで規制されているのであり、提供によって生じる被害と所持やダウンロード、取得、収集との混同は許され得ないのである。そもそも、最も根本的なプライバシーに属する個人的な情報所持・情報アクセスに関する情報を他人が知ること自体、通信の秘密や情報アクセスの権利、プライバシーの権利等の基本的な権利からあってはならないことである。海外サーバーの児童ポルノコンテンツについても、児童ポルノの提供が罪になっていない主要国もないのであろうから、日本の警察なりが海外の捜査機関に協力すれば良いだけの話である。例え児童ポルノだろうが、新たな思想犯罪を作り、国民の情報・表現・思想等々の最も基本的な精神的自由と安全を脅かす理由には全くならない。

 さらに、第93ページ以下の「2)海外における児童ポルノ対策の現状」で狂ったキリスト教欧米諸国の規制のみを取り上げた上で、第96ページ以下の「3)今後とりうる手法」において、ブロッキングについて、

 DNSポイズニング方式、ハイブリッドフィルタリング方式のいずれも、今後の児童ポルノ情報の閲覧防止策として期待の持てる手法といえるが、どちらの方式にも一長一短あり、それぞれに解決すべき課題を抱えている。それらの課題の具体的な解決策については、今後の議論を待つ必要があるが、DNSポイズニング方式におけるオーバーブロッキングの点は、例えば特に悪質な児童ポルノ関係サイトに限定してブロックするなど、運用上の工夫によりある程度回避することが可能ではないかと考えられる。又はイブリッドフィルタリング方式については、現状では通信の秘密との関係の整理は容易ではないが、児童ポルノの単純所持が違法化される法改正の動向によっては、整理できる可能性もある

 なお、別の視点として、適法なサイトやファイルが誤ってブロッキングの対象となってしまった場合の扱いについても併せて考えておく必要がある。現行法の「児童ポルノ」の定義については、個別の事例において該当するか否かの判断が難しいという指摘がなされている。「児童ポルノ」の定義については立法措置等により可能な限り明確化・客観化が図られることが望ましいが、児童ポルノか否か判然としないコンテンツの出現は不可避であり、誤って適法な情報がブロッキングの対象となる事態は起こりうる。しかも、ブロッキングの対象とされた場合でも、自分のサイトがブロッキング対象となっているかどうかは、当然に知りうるわけではない。そのため、自分のサイト等がブロッキングされているかどうかを知りうる手段を用意するとともに、ユーザーからの反論を受け付け、必要に応じて規制対象リストから除外できるようにする仕組みが必要になると考えられる

と勝手に肯定的に評価し、検閲に該当するとしか思えないブロッキングの導入を既定路線としようとしている点も度し難い。総務省なり警察庁なりの下心はブロッキングサイト指定機関への天下りにあるのだろうが、総務省なり警察なり天下り先の検閲機関・自主規制団体なりの恣意的な認定により、全国民がアクセスできなくなるサイトを発生させるなど、絶対にやってはならないことである。例えそれが何であろうと、情報の単純所持や単なる情報アクセスではいかなる被害も発生し得えないのであり、自主的な取組という名目でいくら取り繕おうとも、憲法に規定されている表現の自由(知る権利・情報アクセスの権利)や通信の秘密、検閲の禁止と言った国民の基本的な権利を侵害するものとならざるを得ないブロッキングもまた導入されてはならない規制の一つである。

(なお、第34ページには、憲法上の検閲の禁止について、過去の最高裁の判決を引いてあたかも狭く解釈ができるかの如きことが書かれているが、学説上は必ずしもそのような狭い解釈が取られている訳ではなく、この最高裁判決自体、昨今のインターネットの普及を踏まえたものでなく今日もなお通用するかどうか怪しいものである。今日ではインターネット上でしか発表・流通の機会を持たない表現物が既に多く存在しているのであり、ブロッキングのような規制は、例え事後規制だろうと、そのような表現物の発表・流通を完全に抑制しかねないものであり、やはり検閲に該当すると考える方が妥当だと私は考えている。)

 そして最後に、第99~100ページで、このような破綻した論理展開の帰結として、

4)今後のインターネット上の児童ポルノ情報対策の方向性
 インターネット上の児童ポルノ情報についての対策としては、インターネット上に児童ポルノ情報をアップロードした者を検挙することが最も根本的な対策であり、また、流通・拡散の抑止の観点からは当該情報を削除することが最も確実な対策であるから、これらの方策の必要性はいささかも減じておらず、引き続き、警察による取締り強化とプロバイダ等による自主的な削除の促進が求められる。

 フィルタリングなど現在とられている閲覧防止策についても、更なる普及の促進と性能の向上を図る必要があるところ、フィルタリングの性能向上にあたっては、閲覧規制リストの精度の向上が重要である。現在、閲覧規制リストは個々のISPやフィルタリング事業者単位で作成しているが、精度の更なる向上のためには、事業者同士のほか、児童ポルノ問題に取り組んでいる国内外の団体、警察などの行政機関との連携を強め、情報の共有を図っていくことが不可欠である。

 また、ブロッキングについては、今後の閲覧防止策として期待できるものであるが、解決すべき課題を抱えている。ブロッキングを実効性と実現可能性を兼ね備えた方策とするためには、今後、海外における運用実態の調査研究をしつつ、これを踏まえて課題の解決方法について検討を深めること、趣旨に賛同するISPの協力を得て実証実験等を実施し、実際の効果や弊害を測定すること等の作業が不可欠である。

 今後、これまでも述べてきた民間の自主的取組を進める産学連携の新たな組織に、児童ポルノ情報対策を進める枠組みを設け、これに警察、総務省などが協力して検討を行っていくことが望ましい。できれば本年度中に、具体的な作業部会等を設置し、必要な調査を進めながら、2009 年度中には、例えば、実証事業への着手など、次のステップに進めるよう、関係者間で協力すべきである。

非常に危険な方向性を示しており、この違法・有害報告書案のパブコメにも、児童ポルノ対策については今以上の規制は必要ないこと、特に単純所持規制・創作物規制のような情報・表現に関する国民の基本的な権利を侵害する危険な規制は導入するべきでないこと、やはり情報・表現に関する国民の基本的な権利を侵害するものとならざるを得ないブロッキングについても、その実証実験すらするべきではないこと等の意見を出す必要があると私は思っている。

 既に「チラシの裏(3週目)」で突っ込まれている通り、「児童の性的搾取に反対する世界会議」が児童ポルノの閲覧まで犯罪化しろという狂った魔女狩り宣言をまとめようとしているなど、児童ポルノ規制関係は、今非常に危険な状態にあり、まずは、児童ポルノ関連部分を取り上げたが、この総務省の違法・有害報告書案は、全て白紙に戻して検討し直すべきだと思うくらい危険な点が山盛りなので、次のエントリも引き続きこの報告書案の話をする。

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2008年11月27日 (木)

第134回:内閣官房・「犯罪に強い社会の実現のための新たな行動計画(仮称)」(案)に対する提出パブコメ

内閣官房の「「犯罪に強い社会の実現のための新たな行動計画(仮称)」(案)に対して意見を提出したので、ここに載せておく。

(以下、提出パブコメ)

1.氏名及び連絡先
氏名:兎園(個人)
連絡先:

2.概要
(1)児童ポルノを理由とした新たな規制、特に単純所持規制・創作物規制の検討に反対する。
(2)青少年ネット規制法の廃止及び出会い系サイト規制法の法改正前の形への再改正を求める。
(3)インターネット・ホットラインセンターの廃止を求める。
(4)国際組織犯罪防止条約及びサイバー犯罪条約の締結のための法改正案に反対するとともに、これらの条約の締結に反対する。
(5)模倣品・海賊版拡散防止条約の検討において、プライバシーや情報アクセスの権利といった基本的権利を守るとする条項をこの条約に盛り込むよう日本から各国に積極的に働きかけることを求める。
(6)各種の重要政策に関するパブコメについて、必ず、十分な周知策と、最低でも1ヶ月ほどの期間を取るようにしてもらいたい。今後は、恣意的な運用しか招きようのない危険な規制強化の検討ではなく、地道な施策の検討が進むことを期待する。

3.意見及び理由
(1)児童ポルノ規制について
意見:
 児童ポルノを理由とした新たな規制、特に単純所持規制・創作物規制の検討に反対する。
 特に、児童ポルノに関して新たな規制は必要なく、第6ページの項目「第1-5-③ 児童ポルノ対策等の推進」中の「新たな規制を検討する」という記載を削除するべきである。もし検討に関する記載を残すのであれば、現行でも広すぎる児童ポルノの定義の厳格化のみを検討するとするべきである。

理由:
 児童ポルノ規制の推進派は常に、提供による被害と単純所持を混同する狂った論理を主張するが、例えそれが児童ポルノであろうと、情報の単純所持ではいかなる被害も発生し得えない。現行法で、ネット上であるか否かにかかわらず、提供及び提供目的の所持まで規制されているのであり、提供によって生じる被害と所持やダウンロード、取得、収集との混同は許され得ない。
 同じく推進派は「性的好奇心を満たす目的で」等の精神的要件で単純所持が限定できるとしきりに繰り返すが、一人しか行為に絡まない、個人的な情報の所持や情報アクセスに関する限り、「性的好奇心を満たす目的で」、「みだりに」などの精神的要件は、エスパーでもない限り、証明も反証もできないものであり、法律上の要件として客観性を全く欠き、恣意的な運用しか生みようがない危険極まりないものである。このような情報の単純所持規制の危険性は回避不能であり、罪刑法定主義にも反する。閲覧とダウンロードと所持の区別がつかないインターネットにおいては、例え児童ポルノにせよ、情報の単純所持規制はすることは有害無益かつ危険なもので、憲法及び条約に規定されている「知る権利」を不当に害するものである。そもそも、最も根本的なプライバシーに属する個人的な情報所持・情報アクセスに関する情報を他人が知ることは、通信の秘密や情報アクセスの権利、プライバシーの権利等の基本的な権利からあってはならないことである。
 また、アニメ・漫画・ゲームなどの架空の表現に対する規制対象の拡大は、児童保護という当初の法目的を大きく逸脱する、異常規制に他ならない。アニメ・漫画・ゲームなどの架空の表現において、いくら過激な表現がなされていようと、それが現実の児童被害と関係があるとする客観的な証拠は何一つない。いまだかつて、この点について、単なる不快感に基づいた印象批評と一方的な印象操作調査以上のものを私は見たことはないし、虚構と現実の区別がつかないごく一部の自称良識派の単なる不快感など、言うまでもなく一般的かつ網羅的な表現規制の理由には全くならない。アニメ・漫画・ゲームなどの架空の表現が、今の一般的なモラルに基づいて猥褻だというのなら、猥褻物として取り締まるべき話であって、それ以上の話ではない。どんな法律に基づく権利であれ、権利の侵害は相対的にのみ定まるものであり、実際の被害者の存在しない創作物・表現に対する規制は何をもっても正当化され得ない。民主主義の最重要の基礎である表現の自由や言論の自由、思想の自由等々の最も基本的な精神的自由そのものを危うくすることは絶対に許されない。
 単純所持規制にせよ、創作物規制にせよ、両方とも1999年当時の児童ポルノ法制定時に喧々囂々の大議論の末に除外された規制であり、規制推進派が何と言おうと、これらの規制を正当化するに足る立法事実の変化はいまだに何一つない。極めて危険な単純所持規制を含む上、創作物規制などさらなる規制強化の含みすら持たせてある、現国会で継続検討中の、与党から提出されている児童ポルノ規制法改正案は、速やかに廃案にされるべきである。
 警察なりの恣意的な認定により、全国民がアクセスできなくなるサイトを発生させるなど、絶対にやってはならないことであり、憲法で禁止されている検閲に該当するブロッキングのような規制も導入されるべきではない。
 児童ポルノ法に関しては、既に、提供・販売、提供・販売目的での所持が禁止されているのであるから、本当に必要とされることは今の法律の地道なエンフォースであって有害無益な規制強化の検討ではない。児童ポルノ規制法に関して検討すべきことがあるとしたら、現行ですら曖昧な児童ポルノの定義の厳密化のみである。

(2)青少年ネット規制法及び出会い系サイト規制法について
意見:

 青少年ネット規制法の廃止及び出会い系サイト規制法の法改正前の形への再改正を求める。
 特に、第6ページの項目「第1-5-④ 少年を取り巻く有害環境の浄化」において、青少年ネット規制法の運用に関し、政府全体で規制を理由にした不当な便乗商法に対する監視を強めると明記し、出会い系サイト規制法の運用について、「インターネット異性紹介事業」の定義を、サイトの運営方針及びシステムから出来る限り客観的に判断し、この法律を別件逮捕のツールとしないと明記するべきである。
 また、第25ページの項目「第5-1-② インターネット上の有害情報から青少年を守るための対策の推進」中の、基本的な計画について、きちんと十分な期間を取ってパブコメにかけてもらいたい。
 そして、第26ページの項目「第5-1-④ 違法・有害情報への対応の検討」において、制定・改正経緯におけるきちんとした立法事実の無検討・憲法違反の看過を踏まえ、青少年ネット規制法の廃止及び出会い系サイト規制法の法改正前の形への再改正の検討を速やかに行うと明記するべきである。

理由:
 そもそも、フィルタリングサービスであれ、ソフトであれ、今のところフィルタリングに関するコスト・メリット市場が失敗していない以上、かえって必要なことは、不当なフィルタリングソフト・サービスの抱き合わせ販売の禁止によって、消費者の選択肢を増やし、利便性と価格の競争を促すことだったはずである。去年から今年にかけて大騒動になったあげく、ユーザーから、ネット企業から、メディア企業から、とにかくあらゆる者から大反対されながらも、有害無益なプライドと利権の確保を最優先する一部の議員と官庁の思惑のみから成立した今の青少年ネット規制法による規制は、一ユーザー・一消費者・一国民として全く評価できないものであり、次の法改正の検討時には速やかに法律の廃止が検討されるべきである。
 また、出会い系サイト規制法の改正は、警察庁が、どんなコミュニケーションサイトでも人は出会えるという誰にでも分かることを無視し、届け出制の対象としては事実上定義不能の「出会い系サイト事業」を定義可能と偽り、改正法案の閣議決定を行い、法案を国会に提出したものであり、他の重要法案と審議が重なる中、国会においてもその本質的な問題が見過ごされて可決され、成立したものである。憲法上の罪刑法定主義や検閲の禁止にそもそも違反している、今回の出会い系サイト規制法の改正については、今後、速やかに元に戻すことが検討されるべきである。
 特に、青少年ネット規制法の規制は、フィルタリングソフト・サービスの不当な抱き合わせ販売を助長することにつながる恐れが強く、政府全体で、特に公正取引委員会において、規制を理由にした不当な便乗商法に対する監視を強めるべきであり、フィルタリングソフト・サービスの不当な抱き合わせ販売について独禁法の適用が検討されるべきである。出会い系サイト規制法は、その曖昧さから別件逮捕のツールとして使われ、この制度によって与えられる不透明な許認可権限による、警察の出会い系サイト業者との癒着・天下り利権の強化を招く恐れが極めて強い。これらの危険な法律の運用については慎重の上に慎重が期されるべきである。
 政府与党にあっては今までの行いを猛省し、法律の廃止・元の形への再改正の検討とともに、ネットにおける各種問題は情報モラル・リテラシー教育によって解決されるべきものという基本に立ち帰り、主として、第26ページの項目「第5-1-③ 情報モラル教育及び広報啓発活動の推進」に記載されていることに注力してもらいたい。

(3)インターネット・ホットラインセンターについて
意見:

 インターネット・ホットラインセンターの廃止を求める。
 特に、第26ページの項目「第5-2-① インターネット・ホットラインセンターの体制強化等の推進」中、「インターネット・ホットラインセンターの体制を強化し、サイバーパトロールの民間委託等を推進する」という記載を削除するべきである。もしインターネット・ホットラインセンターに関する記載を残すのであれば、その廃止を検討するとするべきである。

理由:
 サイト事業者が自主的に行うならまだしも、何の権限も有しないインターネット・ホットラインセンターなどの民間団体からの強圧的な指摘により、書き込みなどの削除が行われることなど本来あってはならないことである。このようなセンターは単なる一民間団体で、しかもこの団体に直接害が及んでいる訳でもないため、削除を要請できる訳がない。勝手に有害と思われる情報を収集して、直接削除要請などを行う民間団体があるということ自体おかしいと考えるべきであり、このような有害無益な半官検閲センターは即刻廃止が検討されて良い。
 インターネットホットラインセンターは警察庁からの受託金収入で運営されているとの話もあり、無駄な天下り団体として税金の浪費になっている可能性が高い。このような無駄な半官検閲センターに国民の血税を流すことは到底許されないのであって、その分できちんとした取り締まりと削除要請ができる人員を、法律によって明確に制約を受ける警察に確保するべきである。

(4)国際組織犯罪防止条約・サイバー犯罪条約及びこれらの締結に必要な法改正について
意見:

 現時点で国会に提出されている、国民の基本的な権利に対する致命的な問題を抱えていると考えられる、国際組織犯罪防止条約及びサイバー犯罪条約の締結のための法改正案に反対するとともに、やはり国民の基本的な権利に対する致命的な問題を抱えていると考えられる、これらの条約の締結に反対する。
 特に、第19ページの項目「第3-4-⑥ 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結に向けた法整備」、第28ページの項目「第5-3-② サイバー犯罪に関する条約の締結に向けた法整備等の推進」の両項目は削除するべきである。もしこれらの条約及び法改正に関する記載を残すのであれば、憲法に規定されている国民の基本的な権利との関係から、現時点で国会に提出されている法改正案については廃案とすることを検討し、日本としてこれらの条約の締結をしないことを検討するとするべきである。

理由:
 国際組織犯罪防止条約の締結には、共謀罪の創設が必要とされているが、現状でも大規模テロなどについてはすでに殺人予備罪があるので共謀罪がなくとも対応でき、その他、個別の立法事実があればそれに沿った形で個別の犯罪についての予備罪の適否を論ずるべきであって、広範かつ一般的な共謀罪を創設する立法事実はない。実行行為に直接つながる行為によって、法益侵害の現実的危険性を引き起こしたからこそ処罰されるという我が国の刑法学の根幹を揺るがすものである共謀罪は、決して導入されてはならない。組織要件の厳密化にしても、今現在国会に提出されている修正案のような、その目的や意思のみによる限定は客観性を全く欠き、やはり恣意的な運用しか招きようのない危険なものである。このような危険な法改正を必要とする国際組織犯罪防止条約は日本として締結するべきものではない。
 サイバー犯罪条約は、通信記録や通信内容等の情報の保全・捜索・押収・傍受等について広範かつ強力な手段を法執行機関に与えることを求めているが、このような要請は、我が国の憲法に規定されている国民の基本的な権利に対する致命的な侵害を招くものであり、この条約も日本として締結するべきものではない。現国会に提出されている法改正案中でも、差し押さえるべき物がコンピューターである場合には、このコンピューターと接続されているあらゆる記録媒体とそこに記録されている情報を差し押さえ可能であるとされているが、昨今のインターネットの状況を考えると、差し押さえの範囲が過度に不明確になる懸念が強く、裁判所の許可無く捜査機関が通信履歴の電磁的記録の保全要請をすることが出来るとしている点も、捜査機関による濫用の懸念が強く、このような刑事訴訟法の枠組みの変更は、通信の秘密やプライバシー、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がない限り、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利、といった我が国の憲法に規定されている国民の基本的な権利に対する致命的な侵害を招くものと私は考える。また、ウィルス作成等に関する罪についても、「人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える」電磁的記録という要件は、客観性のない人の意図を要件にしている点でやはり曖昧に過ぎ、このような客観性のない曖昧な要件でウィルス作成等に関する刑罰が導入されるべきではない。
 現国会でも継続審議とされているが、このように危険な点が多く含まれている法改正案は廃案とするべきであり、留保・解釈を最大限に活用しても、憲法に規定されている国民の基本的な権利に対する致命的な侵害を招くことになるだろう、これらの条約は、日本として締結するべきものではない。

(5)模倣品・海賊版拡散防止条約について
意見:

 模倣品・海賊版拡散防止条約の検討において、プライバシーや情報アクセスの権利といった基本的権利を守るとする条項をこの条約に盛り込むよう日本から各国に積極的に働きかけることを求める。
 特に、第5ページの項目「第1-4-⑤ 模倣品・海賊版対策の推進」にこのことを明記するべきである。

理由:
 そのような条項がよもや真面目に検討されることはないと思うが、どこかの国が、税関において個人のPCや携帯デバイスの内容をチェック可能とすることや、インターネットで著作権検閲を行う機関を創設することといった、個人の基本的な権利をないがしろにする条項をこの条約に入れるよう求めて来る懸念がある。そのような非人道的な条項の検討による有害無益な混乱を避けるため、そのような条項は除くべきであると、かえって、プライバシーや情報アクセスの権利といった国際的・一般的に認められている個人の基本的な権利を守るという条項こそ条約に盛り込むべきであると日本から各国に積極的に働きかけてもらいたい。

(6)報告書全体・パブコメそのものについて
意見:

 各種の重要政策に関するパブコメについて、必ず、内容に関する十分な周知策と、最低でも1ヶ月ほどの期間を取るよう政府は厳に自戒してもらいたい。
 今後は、恣意的な運用しか招きようのない危険な規制強化の検討ではなく、地道な施策の検討が進むことを期待する。

理由:
 上で述べたように、このように危険な検討項目を多く計画に書き込み、その内容に関して十分な周知もしないままに、11日間という短期間でパブコメを終了し、その方向性を既成事実化しようとしたことは、あまりにも国民をないがしろにしており、到底許せるものではなく、私は、一国民として政府のこのような行為に対する猛省を求める。今後は、各種重要政策に関する計画について、必ず、その内容について十分な周知策が取られるとともに、最低でも1ヶ月ほどのパブコメ期間を取るよう、政府は厳に自戒してもらいたい。
 今後は、政府において、この計画において私が指摘した項目における検討のような、恣意的な運用しか招きようのない危険極まりない規制強化の検討ではなく、地道な施策の検討が進むことを期待する。
 最後に、「頂いたコメントを重く受け止めて推進する」などという官僚の遁辞を私は求めているのではないと、この意見中で反対すると書いた点については、その方向性に完全に反対しているのだと念を押しておく。

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2008年11月23日 (日)

第133回:内閣官房・「犯罪に強い社会の実現のための新たな行動計画(仮称)」(案)に対するパブコメ募集(11月28日〆切)

 内閣官房が「犯罪に強い社会の実現のための新たな行動計画(仮称)」(案)に対するパブコメを11月28日〆切で募集している(内閣官房のリリース本文(pdf)電子政府の該当HP)。

 既に、「表現の数だけ人生が在る」や「王様を欲しがったカエル」、「情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)2つめの関連エントリ)」、「チラシの裏(3週目)」、「カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの虚業日記」等でも取り上げられており、重なるところもあるが、このパブコメもまた政府に対して意見を言う重要な機会の一つと思うので、ここでも取り上げたいと思う。(taffy様、情報ありがとうございます。)

 この11日間という短期間で国民の意見を聞いたことにする姑息さもさることながら、その内容は、平成15年当時の「犯罪に強い社会の実現のための行動計画(pdf)」と比べても格段に危険な項目が増えている。対応会議は犯罪対策閣僚会議開催状況)となっているが、内容のメインライターは警察庁だろう。危険な規制強化を主導しているのが警察そのものであることに、不安は募るばかりである。

(1)表現・情報規制関係項目
 まず、第6ページに、以下のような児童ポルノ規制法に関する記載がある。(以下、全て赤字・強調は私が付けたもの。)

第1-5-③ 児童ポルノ対策等の推進(第6ページ)
 最新の技術を駆使した児童ポルノ事犯に対処するため、国際的な動向を踏まえ、捜査に携わる警察職員の技能水準の向上、体制や資機材の強化を図るとともに、インターネットを介して売買される児童ポルノの根絶を図るため、買受捜査を一層強化する。また、児童ポルノの排除に向けた国民運動を展開するとともに、国民の意識調査や諸外国の規制調査等を行い、児童ポルノに対する新たな規制について検討する

特に、児童ポルノに対する新たな規制について検討するとされていることは度し難い。児童ポルノについて新たな規制は必要ないのであり、ここについては、単純所持規制・創作物規制に対する反対とともに、新たな規制の検討をしないようにすること、かえって必要なことは児童ポルノの定義の厳格化であると釘を差しておきたい。

 また、同第6ページと、第25~26ページには、フィルタリング義務化を軸とする青少年ネット規制法や出会い系サイト規制法に関する以下のような言及がある。

第1-5-④ 少年を取り巻く有害環境の浄化(第6ページ)
 「青少年の非行問題に取り組む全国強調月間」や「全国青少年健全育成強調月間」において、「有害環境の浄化」を重点項目の一つとして、関係機関・団体と地域住民等とが相互に協力・連携を図りつつ各種取組を進めるとともに、有害環境の浄化を図るなどの各種取組を集中的に実施するよう広報・啓発活動を実施する。また、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律に基づく取組を推進するとともに、出会い系サイトその他のサイトの利用に起因する児童の犯罪被害を防止するため、インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律の効果的な運用及びサイト事業者による自主的な取組を推進する。さらに、フィルタリング事業者、保護者等に対する犯罪情報の提供を促進する

第5-1-② インターネット上の有害情報から青少年を守るための対策の推進(第25ページ)
 青少年が安全に安心してインターネットを活用できる環境の整備等に関する法律に基づき、インターネット青少年有害情報対策・環境整備推進会議を設置し、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画を策定するとともに、同計画に基づき、フィルタリングの普及促進、インターネットの適切な利用に関する教育及び保護者等に対する広報啓発を推進する。また、フィルタリングの性能及び利便性の向上に向けた事業者の取組を支援し、青少年がインターネットを利用する場合におけるフィルタリングの更なる導入促進を図る。

第5-1-③ 情報モラル教育及び広報啓発活動の推進(第26ページ)
 地域、家庭及び学校における情報モラル教育の推進のため、保護者等を対象とした講座を通信事業者等と連携して全国で実施し、インターネット上の違法・有害情報の現状及びフィルタリングの重要性等に関する理解向上を図る。また、違法・有害情報対策に関する情報提供サイトの構築・充実化等を行い、効果的な情報提供に努める。さらに、小中学校の新学習指導要領において、各教科等の指導において、情報モラルを身に付けることを新たに規定するなど、義務教育において情報モラル教育の充実を図ることとし、各教科等における具体的な指導に当たって教員の参考となる手引きの作成、情報モラルの指導実践事例等を紹介する教員向けのウェブサイトの普及等により、新学習指導要領の円滑かつ確実な実施を図る。

第5-1-④ 違法・有害情報への対応の検討(第26ページ)
 青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律の施行状況等を踏まえ、インターネット上の違法・有害情報対策の在り方について検討する

本来主として情報モラル・リテラシー教育によって解決されるべきと、あらゆる者の反対を受けながら、一部の寄生議員と規制官庁の暴走のみによって成立した青少年ネット規制法など、一国民・一ユーザー・一消費者として全く評価できないものである。これらの法律の運用においては慎重の上に慎重を期すとともに、情報モラル・リテラシー教育にこそ注力し、今後の検討においては、青少年ネット規制法の廃止及び出会い系サイト規制法の改正前の形への再改正が速やかに検討されるべきであるとする意見を出すつもりである。また、裁判で有罪が確定した等の事情により公開情報となっているものであれば良いだろうが、通常役所が業務上知り得た情報を、そのまま外に流すことには法律とモラル上極めて大きな問題があるのであり、フィルタリング事業者等への犯罪情報の提供についても注意しておきたいところである。(この点については、青少年ネット規制法施行令案への提出パブコメ出会い系サイトに関する警察庁研究会報告書に対する提出パブコメ出会い系サイト規制法ガイドラインに対する提出パブコメなども参照頂ければと思う。)

 また、本当に自主的な取組の支援はともかく、やはり第26ページの「2 違法・有害情報を排除するための自主的な取組への支援」内の、

第5-2-① インターネット・ホットラインセンターの体制強化等の推進(第26ページ)
 インターネット上に氾濫する違法・有害情報により効果的に対応するため、インターネット・ホットラインセンターの体制を強化し、サイバーパトロールの民間委託等を推進するとともに、違法・有害情報の削除等の措置を講じるサイト管理者、サーバ管理者及び通信事業者に関する法的責任の負担軽減方策や自主的対応への支援の在り方について検討する。また、有害情報簡易通報システムの開発・実証等により、サイト管理者、インターネット関連事業者、NPO、利用者等が協力して、違法・有害情報を効率的に特定・選別できる環境の整備を図る。

というインターネットホットラインセンターの体制強化だけはいただけない。警察庁研究会提出パブコメでも書いたが、勝手に有害と思われる情報を収集して、直接削除要請などを行う民間団体があるということ自体おかしいと考えるべきであり、このような有害無益な半官検閲センターは即刻廃止が検討されて良いと私は考えているのである。

 また、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(翻訳条文(pdf)外務省の説明書(pdf)外務省の解説HP)と、サイバー犯罪に関する条約(翻訳条文(pdf)外務省の説明書(pdf))に関する話が、それぞれ第19ページと第28ページに載っている。

第3-4-⑥ 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結に向けた法整備(第19ページ)
 近年急速に複雑化・深刻化している国際組織犯罪に適切に対処するため、平成15年9月に発効した国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約について、我が国においても、本条約の締結に伴う法整備を早期に完了させ、本条約の速やかな締結を目指す

第5-3-② サイバー犯罪に関する条約の締結に向けた法整備等の推進(第28ページ)
 情報技術分野の急速な発達に伴い急増したサイバー犯罪に適切に対処するため、平成16年7月に発効したサイバー犯罪に関する条約について、我が国においても、法整備を早期に完了させ、速やかな締結を目指す

国際組織犯罪防止条約は、Wiki(条約共謀罪)にも書かれているように、共謀罪の創設などが絡み、サイバー犯罪条約は、2004年の日弁連の意見書にも書かれているように、人権保障の観点から、国民のプライバシーや通信の秘密に対する重大な制約となる危険性が大きい。これらの条約を締結するための法改正は内閣提出法案として、第159回国会に提出された後、第163回国会に再提出され、今なお継続審議中概要(pdf)要綱(pdf)新旧対照条文(pdf)理由(pdf)法改正案(改め文pdf)修正案1修正案2修正案3)である。これらの条約や法案への突っ込みも書き出すと切りがないのだが、これらについては、刑法の根幹に関わる話であり、プライバシーや通信の秘密などの国民の基本的な権利が危うくなる懸念が非常に強く、今のまま法案が通され、条約を締結するべきではないと私も考えている。

(2)知財関係項目
 本来、このブログの主旨からすると、こちらの方がメインになるはずだが、第5ページには、模倣品・海賊版対策条約の話が出ている。

第1-4-⑤ 模倣品・海賊版対策の推進(第5ページ)
 模倣品・海賊版の氾濫による知的財産の侵害を阻止し、消費者の安心・安全が損なわれることを防ぐため、「模倣品・海賊版拡散防止条約(仮称)」構想の早期実現に向けた取組を加速するとともに、「知的財産推進計画2008」(平成20年6月18日知的財産戦略本部決定)に基づき、外国市場対策の強化、水際及び国内での取締りの強化、国民の理解促進、官民連携体制の強化等を図る。また、国境を越えて氾濫するインターネットを利用した模倣品・海賊版については、国内の取締りを強化するだけでなく、海外の模倣品・海賊版の通信販売サイト等の取締りを強化するよう国際社会への働き掛けを推進する。

この条約に関しては、具体的な話が良く分からないので、何とも言えないところがあるのだが、知財本部への提出パブコメに書いたように、プライバシーや情報アクセスの権利といった基本的権利を守るとする条項をこの条約に盛り込むよう日本から各国に積極的に働きかけてもらいたいということを、念のため、ここでも指摘しておきたいと思う。

(3)その他
 知財はおろか、表現・情報規制とも関係なくなってしまうが、ついでに、他にも最近騒がれていることと関連していくつか目に付いた項目をピックアップしておくと、第14ページには、「2 新たな在留管理制度による不法滞在者等を生まない社会の構築」として、以下のような項目が並んでいる。

① 新たな在留管理制度の創設
② 円滑かつ厳格な出入国審査の実施
③ 入国・在留審査等に際しての日本語能力の考慮
④ 不法滞在者の摘発強化と退去強制の効率化
⑤ 不法滞在者等の排除のための新たな在留管理制度の効果的な運用
⑥ 不法入国等及びこれらを助長する犯罪等の取締り強化及び関係法令の整備

 直接国籍法改正の話が書いてある訳ではないが、偽装認知をどう防ぐかということは法改正だけではなく法運用の問題でもあり、国籍法改正問題・在留管理制度問題に興味を持っている方は、ここにもパブコメを出しておいても良いのではないかと思う。

 また、第22ページには、

第4-3-① 厳格な銃砲刀剣類行政の推進(第22ページ)
 法制度の整備を含め、猟銃等の所持許可の厳格な審査及び不適格者の発見と排除を徹底するとともに、実包を含めた保管管理の適正化を図る。また、事故等を防止するため、所持者に対し、講習会等の機会を通じて、適切な使用、保管の指導を行う。さらに、厳格な銃砲刀剣類行政を推進する基盤を築くため、銃砲登録照会業務の高度化を図るとともに、銃砲刀剣類行政に携わる担当者の教育の充実等を図る。

と、銃砲刀類に関する法制度の整備の話が書かれ、さらに、知財の海賊でない本物の海賊対策について、第33ページに、

第6-7-② 海賊対策の強化(第33ページ)
 従来からの東南アジア周辺海域における海賊対策に加え、近年のソマリア沖・アデン湾等の被害の状況等を踏まえ、これを抑止し取り締まるため、法制度上の枠組みの検討を含め、関係省庁が連携して各種対策を推進する。

という項目がある。それぞれ、ダガー規制問題や自衛隊海外派遣問題などについて関心がある方も、この計画へパブコメを出しておいて損はないだろう。

 政府が山のように似たようなパブコメをロクな周知もなく極短期間で募集することにも怒りを覚えるが、安全な国を作ると称して、国民の基本的な権利まで危うくする不当な規制強化を押し進め、国をより危険にしようとして恬として恥じない天下り役人と寄生議員のやり口には、本当に憤りしか覚えない。

 また、提出次第、私のパブコメはここに載せたいと思っている。

(11月26日の追記:模倣品対策条約に関する項目番号が間違っていたことに気がついたので訂正した:第1-1-⑤→第1--⑤。)

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2008年11月19日 (水)

第132回:日本のインターネットを終了させないために

 著作権法改正で気をつけるべきことについては第28回に書いたのだが、最近はインターネットの利用そのものを危険なものとしかねない法改正が政官において平然と検討されていたりするので、今まで書いてきたこととかなり重複するが、ここでもう少し範囲を広げて、特にインターネットとの関連で私が気をつけていることを、まとめて書いておきたいと思う。

(1)ネット事業・利用のために著作権法上より明確なセーフハーバーを作ること
 現在、プロバイダー責任制限法(正式名称は「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」。関連情報Webサイト)によって、インターネットサービスプロバイダー(ISP)の民事上の損害賠償責任にある程度のセーフハーバーが作られているが、動画投稿サイト事業者がJASRACに訴えられた「ブレイクTV」事件や、レンタルサーバー事業者が著作権幇助罪で逮捕された「第(3)世界」事件を考えても、現在のプロバイダー責任制限法では、もはやセーフハーバーとして不十分だろう。今現在、これらの事件の司法判断によっては、間接侵害や著作権侵害幇助のリスクが途方もなく拡大し、甚大な萎縮効果・有害無益な社会的大混乱が生じかねないという非常に危険な状態にあるのである。

 プロバイダー責任制限法を改正して、刑事罰まで含めてプロバイダーの責任を制限することが検討されても良いだろうが、間接侵害事件や著作権幇助事件においてネット事業者がほぼ直接権利侵害者とみなされてしまうのでは、それでも十分な対策とはならない。この問題については、間接侵害や著作権幇助罪も含め、著作権侵害とならない範囲を著作権法上きちんと確定しない限り、本質的な解決にはならないのである。(ここで本当に必要なことは、著作権侵害とならない場合を明文化することであって、著作権侵害となる場合を明文化することではないということはいくら注意しても注意しすぎではない。法律は実運用・解釈まで考えなくてはならないものであり、黒の範囲を明文化しても残りの範囲が白となるとは限らないのである。この違いをごまかして、不当な利権の拡大を後押しする、法律屋の転倒レトリックに騙されてはいけない。)

 また、ネット上の様々な利用については、事業者だけではなく、常にユーザーにも不当に過大な著作権リスクが発生していることも、もはや目をつぶっていることはできない。今現在、限定列挙で権利制限の対象とされている類型以外についても、公正と考えられる利用形態についてやスジの悪い訴えについては、現状親告罪であることが多少のセーフハーバーとなり、さらに司法において黙示の許諾や権利の濫用である程度妥当に処理されるものと期待していたが、アニメ画像一枚の利用による別件逮捕すら正当化されるというのでは、親告罪であることや司法判断にそこまでの期待はできない。この点についても地道な緩和策が取られる必要があり、特に、文化庁と権利者団体がつるんで、どんな些細な権利制限もなかなか進めようとせず、進めても不当なまでにその要件を厳しくするという状況下では、著作物のネット上での利用に関する不当に過大な民事・刑事のリスクを軽減するために、一般フェアユース条項の導入は必要不可欠と私は考えている。

(2)情報アクセスの権利・情報アクセスにおけるプライバシーを守ること
 情報アクセスの権利(知る権利)は、表現の自由に含まれている重要な権利であり、例え民事罰のみであろうと、情報にアクセスしただけで何らかのリスクが発生する法律には私は断固として反対する。個人が私的に情報にアクセスしただけでは、どんな被害も発生し得えないのであり、個人が私的にどのような情報にアクセスしたかということもプライバシーとしてきちんと守らなくてはならないのである。

 ダウンロード違法化問題では、常に、ネットにアップされることによって生じる被害と、ダウンロードの被害を混同する主張が権利者団体によって繰り返され、癒着した天下り役人がそれをそのまま政府の報告書に書いている訳だが、ネットにアップされることによって生じる被害は公衆送信権によって既にカバーされているものであり、その被害とダウンロードとを混同することは絶対に許されない。さらに、このダウンロード違法化問題においては、既にネット上では「情報アクセス=複製」となっていることもきちんと考慮に入れられなくてはならない。

 刑事罰が絡むだけに影響も大きい児童ポルノの単純所持規制問題でも、規制派は常に、頒布による被害と単純所持を混同する狂った論理を主張するが、例えそれが児童ポルノであろうと、情報の単純所持ではいかなる被害も発生し得えない。現行法で頒布及び頒布目的の所持まで規制されているのであり、この問題においても、頒布によって生じる被害と所持やダウンロード、取得、収集との混同は許され得ないのである。

 何度でも繰り返すが、一人しか行為に絡まない、個人的な情報アクセスに関する限り、「情を知って」、「性的好奇心を満たす目的で」、「みだりに」などの精神的要件は、エスパーでもない限り、証明も反証もできないものであり、法律上の要件として客観性を全く欠き、恣意的な運用しか生みようがない危険極まりないものである。そもそも、最も根本的なプライバシーに属する個人的な情報アクセスに関する情報をどうして他人が知って良いということがあるだろう。ネット上においても、通信の秘密やプライバシーが守られなくてはならないのは言うまでもないことである。

 情報アクセスの権利は、著作権法上のDRM回避規制とも絡む。私的な領領域でのコピーコントロール回避規制(著作権法第30条第1項第2号)は、情報アクセスそのもののためにDRMを回避しなければならない場合があることを、個私的なDRM回避行為自体によって生じる被害は無いということを無視して、文化庁の片寄った見方から一方的に導入されたものである。一般フェアユース条項が導入されれば、この点も法的に少しは軽減されるものと思うが、本来導入されるべきではなかったこのような規制は撤廃が検討されてしかるべきである。

 また、日本のISPの自主規制による、ネット切断型違法コピー対策(違法ダウンロード対策ではない)は、第73回で取り上げてい以来、大きな動きになっていないが、このような対策が過剰規制となり、社会的混乱がもたらされることも十分想定されるのであり、今のところダウンロード違法化問題の陰に隠れているが、ダウンロード違法化問題の推移とフランスの動向次第で、著作権団体がこのような対策を強力に押してくる可能性もあり、決して油断は出来ない。

(3)表現の自由そのものを守ること
 さらに、検閲の禁止・通信の秘密とも密接に絡む話だが、民主主義の最重要の基礎である表現の自由や言論の自由、思想の自由等々の最も基本的な精神的自由そのものを危うくするような検討までなされているのは、本当に救いがたいことである。どんな法律に基づく権利であれ、権利の侵害は相対的にのみ定まるものであり、実際の被害者の存在しない創作物・表現に対する規制は何をもっても正当化され得ないのであり、公的あるいはそれに準じる検閲(事後抑制型の検閲を含む)機関がそれを一方的に決めることなど絶対にあってはならないのである。(第76回で書いたように、個人的には現行刑法のわいせつ物規制すらもはやほとんど正当化根拠を失っていると思っている。なお、第51回にも書いたように、無論、表現の自由には、自己の責任において匿名で表現を発表する権利も含まれている。)

 人権擁護法案や、創作物の規制への含みを持つ与党の児童ポルノ改正法案が危険極まりないのは言わずもがな、ほぼフィルタリング義務化だけ(これだけでも不当であり、およそ運用に細心の注意が払われなくてはならないのだが)に留まった青少年ネット規制法についても、その経緯を考えると、今後の検討で、また突拍子もない規制強化案が飛び出して来かねない。番外その8で書いたように、経団連にすらダメ出しされ、また青少年ネット規制法の成立によってネット規制の最後の根拠すら無くなった所為か、その後は割とおとなしいが、第35回で取り上げた、総務省の放送と通信の融合法制の話や、恐らく今後も著作権団体が強行に主張してくるだろう技術的・法律的な著作権検閲の話にも目を光らせておかなくてはならないだろう。

 リアルの規制については他所におまかせするが、特に最近、目に余る有害無益な法規制の話が多すぎる。最近の国籍法改正問題にしてもダガー規制問題にしても、国会議員なり官僚なりが、バランスを欠いた結論ありきの検討でムダに世の中を混乱させているのは、本当に許し難い。永遠に続く権利の闘争に休息はない。

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2008年11月14日 (金)

第131回:青少年インターネット規制法の施行令案に対する意見

 青少年ネット規制法の施行令案についても意見を提出したので、ここに載せておく。

(問い合わせてみたところ、インターネット提出フォームが再開された。フォームが一時停止していたのは、どうやら何かのミスだったらしい。)

(以下、提出パブコメ)

 意見募集の対象とされている「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律施行令(案)」では、法律で定められている各種義務の例外を定める要件の中に契約者数あるいは販売台数の要件が含まれており、インターネットサービスプロバイダーの場合で契約者数5万未満と、インターネット接続機器メーカーの場合で、経済産業省告示で定める種類毎の機器の前年度販売数1万台未満と定めているが、関連資料を読んでもこれらの数値の根拠は全く不明確である。

 まず、総務省の規制事前評価書には、この規制事前評価書には契約者5万という数字の根拠が書かれていない。さらに、利用者に追加コストが発生しないとしている点も全く賛同できない。プロバイダー等に「青少年有害情報フィルタリングソフトウェア又は青少年有害情報フィルタリングサービスを提供(紹介)することが求められるため、事務手続の見直しや適切なサポート体制構築のための費用が発生する。また、自ら青少年有害情報フィルタリングサービスを新たに提供する場合には、そのための費用も必要となる」のであれば、プロバイダー等も別に慈善事業ではないのだから、そのコストは必ず利用者に転嫁されるのである。

 経産省の規制事前評価書では、販売台数基準を10万台とする案と1万台とする案を比較して1万台という案を選択しているが、10万台としたときのカバー率がPCで9割としながら、1万台としたときのカバー率を書いておらず、また、フィルタリング容易化としてどこまで追加コストが発生するのかの詳細も不明であり、一体どういう評価をしたのだか、さっぱり良く分からない。また、この規制が、PCのみならず、ブラウザを組み込んだ各種携帯デバイスなども対象となるだろうことが考慮されておらず、このような不十分な評価で安易に規制の基準を定めることは危険極まりない。

 この規制の評価において、総務省のデタラメな携帯電話フィルタリング大臣要請や経産省のPSE法のデタラメな運用によって生じた無用の社会的混乱の教訓が何ら活かされていないとしか言いようが無く、これらの両省庁にあっては、今までの姿勢を猛省し、このフィルタリング等義務化に関する事前評価を完全にやりなおし、この規制を最小限に止めることを再検討してもらいたい。また、機器の使用が十八歳以上の者に監視される蓋然性が高いと認められる場合や、細かな機種指定やを行う告示もまた非常に重要であり、この経産省告示をきちんとパブコメにかけることも私は求める。

 このフィルタリング規制が具体的にどのような影響を及ぼすかは、実際に運用されて行かないと分からないところもあるが、フィルタリングソフト・サービスの不当な抱き合わせ販売を助長することにつながる恐れが強く、政府全体で、特に公正取引委員会において、規制を理由にした不当な便乗商法に対する監視を強め、フィルタリングソフト・サービスの不当な抱き合わせ販売について独禁法の適用を検討してもらいたい。

 しかし、そもそも、フィルタリングサービスであれ、ソフトであれ、今のところフィルタリングに関するコスト・メリット市場が失敗していない以上、かえって必要なことは、不当なフィルタリングソフト・サービスの抱き合わせ販売の禁止によって、消費者の選択肢を増やし、利便性と価格の競争を促すことだったはずである。去年から今年にかけて大騒動になったあげく、ユーザーから、ネット企業から、メディア企業から、とにかくあらゆる者から大反対されながらも、有害無益なプライドと利権の確保を最優先する一部の議員と官庁の思惑のみから成立した今の青少年ネット規制法による規制は、一ユーザー・一消費者・一国民として全く評価できないものであり、次の法改正の検討時には速やかに法律の廃止が検討されてしかるべきである。

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2008年10月22日 (水)

第121回:青少年ネット規制法の施行令案パブコメ募集

 大騒動になったあげく、ユーザーから、ネット企業から、メディア企業から、とにかくあらゆる者から大反対されながらも、有害無益なプライドと利権の確保を最優先する寄生議員と規制官庁の思惑のみから成立した法律が青少年ネット規制法(正式名称は、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」)であるが、その施行令が11月16日〆切でパブコメにかかっている(電子政府の該当ページ総務省のリリース意見募集概要意見募集要領インターネット投稿フォームITmediaの参考記事参照)。

 施行令案概要)自体は、以下のような携帯電話フィルタリング義務、PC等のフィルタリング容易化義務等について以下のような例外を定める、シンプルなものである。

○携帯電話ネット接続フィルタリング義務の例外(法律第2条第7項):

  • ブラウザによる閲覧のために提供されていない場合
  • 企業や団体に提供される場合

○インターネットサービスプロバイダー(ISP)の、申し出に応じたフィルタリングソフトあるいはサービスの提供義務の例外(法律第18条):

  • 契約者数5万未満

○インターネット接続機器メーカーの、フィルタリング容易化義務の例外(法律第19条):

  • 機器にあらかじめブラウザが組み込まれていない場合
  • 機器の使用が十八歳以上の者に目視により監視される蓋然性が高いと認められる場合として経産省告示で定める場合
  • 機器が専ら事業のために使用されると認められる場合
  • 前年度の機器の販売数量1万台未満(機器の種類は、経産省告示で指定)

 総務省が、その規制事前評価書要旨)において、自分たちの大臣要請によって生じた混乱のことも忘れ、ぬけぬけと携帯電話におけるフィルタリングは既に概ね実施されており、携帯電話事業者に大きな追加費用は発生しないと書いていることも腹立たしいが、利用者に追加コストが発生しないとしている点はさらにいただけない。「青少年有害情報フィルタリングソフトウェア又は青少年有害情報フィルタリングサービスを提供(紹介)することが求められるため、事務手続の見直しや適切なサポート体制構築のための費用が発生する。また、自ら青少年有害情報フィルタリングサービスを新たに提供する場合には、そのための費用も必要となる」のであれば、ISPも別に慈善事業ではないのだから、そのコストは必ず利用者に転嫁されるのである。5万という数字の根拠も不明である。

 経産省の規制事前評価書要旨)では、販売台数基準を10万台とする案と1万台とする案を比較して1万台という案を選択しているが、10万台としたときのカバー率がPCで9割としながら、1万台としたときのカバー率を書いておらず、また、フィルタリング容易化としてどこまで追加コストが発生するのかの詳細も不明であり、一体どういう評価をしたのだか、さっぱり良く分からない。また、この規制には、PCのみならず、ブラウザを組み込んだ各種携帯デバイスなどの機器も含まれるだろうことも忘れてはならない。細かな機種指定を行うだろう経産省告示もまたこの規制において非常に重要な意味を持ってくることに注意が必要である。

 しかし大体、フィルタリングサービスであれ、ソフトであれ、今のところフィルタリングに関するコスト・メリット市場が失敗していない以上、かえって必要なことは、不当なフィルタリングソフト・サービスの抱き合わせ販売の禁止によって、消費者の選択肢を増やし、利便性と価格の競争を促すことだろう。今の法規制は、一部の寄生議員と規制官庁の暴走の結果としか思えず、一ユーザー・一消費者・一国民として私は全く評価できない。

 このフィルタリング規制が具体的にどのような影響を及ぼすかは、実際に運用されて行かないと分からないところもあるが、どこをどう運用しても、フィルタリングソフト・サービスの不当な抱き合わせ販売を助長し、その選択肢を潰して消費者・国民全体の不利益を拡大する方向にしか、例え大した利権とならないとしても、不当な規制による不競争利益を山分けにすることをその基本構造とする、政官業の不透明な癒着による腐敗をさらに押し進める方向にしか働きようはないのではないかと私は思う。

 本来政令レベルで言うことではないのだが、私は、次の法改正時に速やかに法律の廃止が検討されるべきであるということに加え、規制を理由にした不当な便乗商法に対する監視を強め、フィルタリングソフト・サービスの不当な抱き合わせ販売については独禁法の適用を検討すること、規制対象機種を指定する経産省告示もきちんとパブコメにかけることなどを意見として出そうと考えている。(私のパブコメは提出次第ここに載せるつもりである。)

 最後に少し最近のニュースの紹介もしておくと、まず、内閣府では、「青少年インターネット環境の整備等に関する検討会」なる検討会が始まった(internet watchの記事内閣府のHP参照)。何が出てくるのか知れないが、恐らくこの検討会が、青少年ネット規制法の第12条に規定されている「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画」のベースを作りに来ると思うので、注意しておくに越したことはないだろう。

 また、スペインのExpancion.comの記事delitosinformaticos.comの記事によると、スペインではバルセロナ地裁が、検索エンジンは著作権法上合法という判断を下したようである。

 次回は、デジタルフランス2012と称する、私的複製補償金の改革を含む通信政策提案(無論、補償金問題をメインポイントとしている訳ではないが)がフランス政府から昨日(10月20日)公表された(フランス政府の公表ページITR MANAGEMENTの記事NetEcoの記事clubic.comの記事参照)ので、この話を取り上げたいと思っている。

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2008年9月 4日 (木)

第113回・警察庁・出会い系サイト規制法ガイドライン案に対する提出パブコメ

 内容は前回書いたこととあまり変わらないが、警察庁の出会い系サイト規制法ガイドライン案へのパブコメ募集に対して、下記の通り、意見を提出したので、念のためにここに載せておく。

     記

1.氏名:兎園
2.連絡先:

3.意見:
 最初に、どんなコミュニケーションサイトでも人は出会えるという誰にでも分かることを無視し、届け出制の対象としては事実上定義不能の「出会い系サイト事業」を定義可能と偽り、出会い系サイト規制強化法案の閣議決定を行い、法案を国会に提出したことに対する猛省を私は警察庁に求めたい。また、他の重要法案と審議が重なる中、国会においてもその本質的な問題が見過ごされたことは残念でならないが、憲法上の罪刑法定主義や検閲の禁止にそもそも違反している、今回の出会い系サイト規制法の改正については、今後、速やかに元に戻すことが検討されるべきである。

 定義に関するガイドラインにおいて、法律に定義されている「インターネット異性紹介事業」における「相互の連絡」を一対一の連絡に限り、連絡がサービスの中に組み込まれている必要があり、また、サイト開設者がサイトの運営方針として「異性交際希望者」を対象としてサービスを提供している必要があると、ある程度限定的に解釈しているものの、サイトの運営方針の判断は常に難しい上、第2ページに記載されているように「異性交際目的での利用を禁ずる規約等に反して利用者が異性交際目的で利用している実態がある場合でも、サイト開設者が異性交際を求める書き込みの削除や当該投稿者の利用停止措置を行っていれば、当該サイトは、基本的には「インターネット異性紹介事業」に該当しませんが、当該書き込みを知りながら放置するなど、サイト開設者がその実態を許容していると認められるときは「インターネット異性紹介事業」に該当する場合があ」るともされているのでは、このガイドラインでも恣意的な出会い系サイトの認定がされる可能性はぬぐえない。

 書き込みを知って放置したか、知らずに放置したかは必ず水掛け論になるとなるところであり、また、第4~5ページに典型例としてあげられている、極めてありふれた書き込みを放置しただけで、出会い系サイトに該当するとされる可能性があり、さらに、新法の第32条に規定されているように届け出をせずに出会い系サイト事業を行ったとしてサイト管理者が処罰される可能性まで出てくるのは本来あってはならないことである。

 本来、このようなガイドラインによって届け出の必要性を判断すること自体ナンセンスであり、今回の改正法の実運用は非常に困難であると思われるが、最低限、定義に関するガイドラインから、「異性交際目的での利用を禁ずる規約等に反して利用者が異性交際目的で利用している実態がある場合でも、サイト開設者が異性交際を求める書き込みの削除や当該投稿者の利用停止措置を行っていれば、当該サイトは、基本的には「インターネット異性紹介事業」に該当しませんが、当該書き込みを知りながら放置するなど、サイト開設者がその実態を許容していると認められるときは「インターネット異性紹介事業」に該当する場合があ」るとする記載(及び同等の記載)を削除し、「インターネット異性紹介事業」の認定は、サイトの運営方針及びシステムから出来る限り客観的に判断されるということを明確にしてもらいたい。

 特に、この法律を別件逮捕のツールとすることがないよう、また、ガイドラインの変更等によって、これ以上「インターネット異性紹介事業」の定義を広げることがないよう、警察には厳に自戒して法運用を行ってもらいたい。

 これは本来立法府に求めるべきことであるが、今後は、そもそも出会い系サイトを定義して届け出制を課すこと自体に無理があるとの認識に立ち、今回の出会い系サイト規制法の改正については、速やかに元に戻されるべきであると私は考えているということを念のためもう一度繰り返しておく。

 最後に、今回の出会い系サイト規制法改正につながった警察庁の報告書「出会い系サイト等に係る児童の犯罪被害防止の在り方について」に対して私が提出したパブコメの最終部分を以下に引用する。今後、警察においても、今回の法改正のような有害無益な施策ではなく、地道な施策の検討が進むことを期待する。

「結局、届出制の導入の提言は、本当の問題解決につながる地道な取り組みをないがしろにして、このような制度によって与えられる許認可権限によって、インターネットホットラインセンターのような存在意義自体怪しい天下り団体を通じた不透明な行政指導を正当化し、出会い系サイト業者との癒着と天下り利権の強化を図ろうとする警察官僚の悪辣なたくらみを露骨に反映したものとしか思われない。このような社会全体にとって全く有害無益な規制の導入は、一国民として到底承伏することはできないものである。

 最後に、出会い系サイトの問題を放置するべきだなどということを言いたいがために、このパブコメを書いている訳ではないことを示すために、このような有害無益な報告書の提言の替わりに、以下のような地道な施策を私はここで提案する。

①現行の出会い系サイト規制法の運用においても、これが過度の規制とならないように気をつけること。そもそも出会い系サイトの定義が本質的には不可能であることを考え、現行法の事業規制すら、過剰規制となっているのではないかという観点から再点検を行うこと。
②有害無益な半官検閲センターであるインターネットホットラインセンターを廃止すること。
③ネット由来の犯罪に対する警察への通報窓口(ネット由来の犯罪なのであるから、警察でメールアドレスを一つ用意するだけでも良い。民間団体に過ぎないインターネットホットラインセンターへの通報など論外である。)を一元化し、この窓口を周知徹底すること。
④海外サーバーを経由して行われる事案に対応するため、海外現地警察との協力体制を構築すること
⑤警察官の弾力配置により、ネット由来の犯罪に対応する警察官を増員し、この警察官に対して技術と法律と情報リテラシーに関する教育を徹底すること
⑥法律によって明確に制限を受ける警察の権限による、児童の不正誘引と売春誘引の書き込みに対する取り締まりを強化すること
⑦未成年のフィルタリング原則導入に関しては、国民の選択肢を潰してまで導入しなければならないとする理由をまず明確にすること。(これを明確にできないようであれば、導入はしないこと。)
⑧(これは警察庁だけに言うことではないだろうが)ネットにおける情報を自ら取捨選択する能力を身につけるための、国民的な情報リテラシー教育を充実させること」

 パブコメは以上だが、「P2Pとかその辺のお話」で、いわゆる模倣品・海賊版対策条約(Anti-Counterfeiting Trade Agreement: ACTA)の議論がG8レベルで進んでいるという記事を取り上げているので、興味がある方はリンク先をご覧頂ければと思う。条約の内容の詳細が明らかにされていないのでコメントしづらいのだが、Wikiなどによると、税関におけるパーソナルデバイス内のデータの検査など、かなり危険な規定も含め議論されているようであり、注意しておくに越したことはないだろう。

 また、DRM回避規制やダウンロード違法化を含むカナダの著作権法改正案が、総選挙の実施によってひとまずお蔵入りになりそうだとするNational Postの記事もあった。カナダにおいて、今後の著作権法改正がどうなるかは、選挙における保守派とリベラル派の勝敗の如何にもよりそうである。

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2008年8月31日 (日)

第112回:警察庁・出会い系サイト規制法ガイドラインと施行規則の改正案

 警察庁が、出会い系サイト規制法の改正を受けて、そのガイドラインと施行規則の改正案をパブコメにかけている(ガイドラインパブコメ(9月5日〆切)、施行規則パブコメ(9月20日〆切))。

 ネット規制法などの大問題の陰で、この法改正がすんなりと通ってしまったのは残念でならないが、法律は改正したらそれで終わりというものではない。

 私は、第54回のパブコメに書いた通り、そもそも法改正の必要性と根拠について疑問があり、出会い系サイトを定義して届け出制を課すこと自体に無理があると思っているが、出てきた警察のガイドライン案を見ると、それなりに限定的な解釈をしようと努力した跡が見られるものの、やはり腑には落ちない。

 定義に関するガイドライン案では、法律(現行法新旧対照条文)の

異性交際(面識のない異性との交際をいう。以下同じ。)を希望する者(以下「異性交際希望者」という。)の求めに応じ、その異性交際に関する情報をインターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置いてこれに伝達し、かつ、当該情報の伝達を受けた異性交際希望者が電子メールその他の電気通信を利用して当該情報に係る異性交際希望者と相互に連絡することができるようにする役務を提供する事業

というインターネット異性紹介事業について、この「相互に連絡」は一対一の連絡に限られ(一対多数の連絡は入らない)、この連絡がサービスの中に組み込まれていなくてはならず、また、サイト開設者がサイトの運営方針として「異性交際希望者」を対象としてサービスを提供している必要があると、ある程度限定的に解釈している。要するに、ここで定義されている出会い系サイトとは、異性交際希望者を対象として、メールアドレスの入力・表示を必須とするような掲示板サービス(メールアドレスの入力・表示の代わりにチャットのような利用者間で一対一の連絡をすることができる機能を組み込んだサービスでも良い)を言うので、通常の結婚相談サイトや、SNS、趣味サイト、メル友サイト等は該当しないとしているのである。しかし、サイトの運営方針の判断は常に難しく、恣意的にならざるを得ない上、

異性交際目的での利用を禁ずる規約等に反して利用者が異性交際目的で利用している実態がある場合でも、サイト開設者が異性交際を求める書き込みの削除や当該投稿者の利用停止措置を行っていれば、当該サイトは、基本的には「インターネット異性紹介事業」に該当しませんが、当該書き込みを知りながら放置するなど、サイト開設者がその実態を許容していると認められるときは「インターネット異性紹介事業」に該当する場合があります。(第2ページ)

ともされているのでは、このガイドラインでも恣意的な出会い系サイトの認定がされる可能性はぬぐえない。書き込みを知って放置したか、知らずに放置したかは必ず水掛け論になるだろうし、第4~5ページに典型例としてあげられている書き込みがあまりにもありふれていることを考えても、このような書き込みを放置しただけで、出会い系サイトに該当するとされる可能性があるというのは、さらに、新法の第32条に規定されているように届け出をせずに出会い系サイト事業を行ったとしてサイト管理者が処罰される可能性まで出てくるのはあまりと言えばあまりである。そこまで恣意的な運用がなされることはないと信じたいが、今の警察については、別件逮捕の恐れも含めて考えておかなくてはならないと私は感じている。特に、メールアドレスの入力・表示を必須としているような掲示板サービスや、SNSサービスの管理者は気をつけておいた方が良いと私は思う。(出会い系サイト事業者の定義に不安がある以上、削除義務に関するガイドラインも良く読んでおいた方が良いだろう。)

 施行規則(概要新旧対照条文)では、細かな手続きの書式等が定められているが、逃げも隠れもできない国内大手サイト事業者を除けば、余計なコストにしかならない届け出をする者はいないのではないか。これは実運用の結果を待ってみないと分からないが、国内大手サイトにおけるコスト増によって、かえって出会い系サイトが国内外で拡散することになるのではないかとも思われる。

 この法律の正式名称は「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」なのだが、この本来の目的である児童誘引行為の規制による児童保護を超えて、この法律が、インターネットにおけるコミュニケーションそのものの規制に寄ってきているのは決して看過できない。不正誘引行為は犯罪として取り締まられるべきものであるにせよ、これをコミュニケーションの場・手段の所為にすることには常に危険な論理のすり替えがある。このガイドラインもあくまで行政である警察の示す現行の解釈に過ぎず、警察が運用変更で出会い系サイトの定義をさらに広げてこないとも限らない。この出会い系サイト規制法も今後の運用次第で相当危険な法律となる可能性があるだろう。

 この出会い系サイト規制法の改正法は実運用が難しい上、その効果も疑問だが、もう少し考えをまとめてから、上の定義に関する疑問と合わせて、次の法改正では届け出制を無くして元に戻すべきと考えるというパブコメを出そうかと考えている。

(9月1日夜の追記:総理辞任のニュースがあった。これでさらに政局は混迷するのではないかと思うが、解散総選挙の時期は早まったのではないか。今の与野党は全て何をしてくるか読めないので、予断は禁物だが。)

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2008年8月11日 (月)

第108回:公職選挙法とネットの関係

 立候補でもしない限り、普通は気にしないと思うが、選挙は公職選挙法によってがんじがらめに規制されている。政治に対する参入規制となっている政治活動規制についても言いたいことはあるのだが、今回は特に公職選挙法による規制とネットの関係に絞って話をしたいと思う。

 ネットとの関係で特に問題となるのは、公職選挙法第13章で規定されている選挙運動に関する各種規制だろう。特に、選挙運動に関する文書図画の頒布・掲示については、第142条~第143条に規定されており、頒布は、届け出た葉書・ビラ等に限られ(枚数も限定されている。新聞広告は)、文書図画の掲示は、選挙事務所・選挙運動カー等で使用されるポスター、看板の類に限られるとしている。

 立候補者とその支援団体は当然このような規制を受けるため、選挙運動期間中は政治家のブログ更新が止まったりする訳だが、この規制は第146条(赤字強調は私がつけたもの)で、

(文書図画の頒布又は掲示につき禁止を免れる行為の制限)
第百四十六条  何人も、選挙運動の期間中は、著述、演芸等の広告その他いかなる名義をもつてするを問わず、第百四十二条又は第百四十三条の禁止を免れる行為として、公職の候補者の氏名若しくはシンボル・マーク、政党その他の政治団体の名称又は公職の候補者を推薦し、支持し若しくは反対する者の名を表示する文書図画を頒布し又は掲示することができない
2  前項の規定の適用については、選挙運動の期間中、公職の候補者の氏名、政党その他の政治団体の名称又は公職の候補者の推薦届出者その他選挙運動に従事する者若しくは公職の候補者と同一戸籍内に在る者の氏名を表示した年賀状、寒中見舞状、暑中見舞状その他これに類似する挨拶状を当該公職の候補者の選挙区(選挙区がないときはその区域)内に頒布し又は掲示する行為は、第百四十二条又は第百四十三条の禁止を免れる行為とみなす。

と一般にも拡張されており、この条文中の「第百四十二条又は第百四十三条の禁止を免れる行為として」かどうかの解釈次第だとは思うが、ユーザーがネットで選挙運動期間(候補者の届け出の日から選挙の前日まで)中に立候補者の支持や反対を唱えることも場合によっては法律違反とされる可能性があるので、注意が必要である。(第147条で規定されているように選挙管理委員会に撤去を求められるか、第243条で規定されているように2年以下の禁錮あるいは50万円以下の罰金を科される可能性がある。)

 また、第151条の5で「何人も、この法律に規定する場合を除く外、放送設備(広告放送設備、共同聴取用放送設備その他の有線電気通信設備を含む。)を使用して、選挙運動のために放送をし又は放送をさせることができない。」ともされているので、これも放送の定義次第だとは思うが、ここで、動画共有サイトにおける投稿動画などが引っかかる可能性があるだろう。(この放送規制違反は2年以下の禁錮あるいは30万円以下の罰金:第235条の4)

(なお、第138条の2で選挙に関する署名運動(1年以下の禁錮あるいは30万円以下の罰金:第239条)も、第138条の3では選挙に関する人気投票の公表(2年以下の禁錮あるいは30万円以下の罰金:第242の2条)も禁止されている。)

 第148条で、選挙の公正を害しない限りにおいて新聞・雑誌に対し報道・評論を掲載する自由を妨げるものではないと明文で規定している訳だが、新聞紙にあつては毎月三回以上、雑誌にあつては毎月一回以上、号を逐つて定期に有償頒布するものであり、第三種郵便物の承認のあるものであり、当該選挙の選挙期日の公示又は告示の日前一年以来そうであったもので、引き続き発行するものと、ブログ等は無論のこと、大手ネットメディアですら入らない、あまりにも狭い規定となっている。第151条の3で放送についても同様の規定があるが、放送法を参照しており、当然のことながら、動画サイトなどは入らないだろう。

 ネットというメディアが存在しなかったときは、このように紙媒体の定期有償刊行物あるいは放送法上の放送のみに対し、報道・評論の自由を妨げないという規定を設けておけば良かったのかも知れないが、今となってはこの規定は完全に時代遅れである。明文の規定を今後も維持し続けようとするなら、定義は難しくなるかも知れないが、時代に合わせ、各種ネットメディアも含まれるように書き直されなくてはならないだろう。また、このネット時代に、立候補者によるネット選挙運動を禁止する理由もない、同じく許される行為を限定列挙する形になるのだろうが、ネット選挙運動も明文で解禁されてしかるべきだろう。

 公職選挙法自体、相当ややこしい規制法であり、ネットに対して図らずも規制色を持ったことに利益を受けている者(ネットユーザーを政治の支持基盤とせず、支持基盤として期待もしてしない者など)もいるので、本当に改正されるまでは時間がかかると思うが、紙媒体であろうが、ネットだろうが、実名だろうが、匿名だろうが、報道・批評・表現の本質に変わりはない。表現の自由は、憲法に規定されている権利であり、民主主義を支える最も重要な自由として、その代表を選ぶ選挙において、その公平を害しない限りにおいて、あらゆる媒体に最大限認められなくてはならないものであることは言うまでもない。もし、公職選挙法が杓子定規に解釈され、各種ネットメディアに不当な規制の圧力がかけられるようなら、公職選挙法自体憲法違反とされなくてはならない

(そうは言っても、リスクを負い切れない個人ユーザーなどの中には、安全サイドに立ちたいという人もいると思うので、そのようなユーザーには、政治家に関するネット批評・支持/反対表明はなるべく選挙運動期間前に前倒しで行っておくことをお勧めしておく。ただし、選挙の公正を害しても表現の自由が守られるべきなどと言うつもりもなく、当然のことながら、誰であろうと、選挙における威力妨害や虚偽表示などは、第225条や第235条に規定されているように取り締まられてしかるべきと思うので、念のため。)

 第90回で書いた国会法についてと同じく、公職選挙法の改正もすぐにでもしてもらいたいと思うが、このような法律によるネット選挙運動の規制がどうあれ、次回の総選挙はユーザーのレベルで本格的なネット選挙と化すだろうことは想像に難くない。もはやネットの力は無視し切れるものでは、不当な理由で規制し切れるものではなくなっているのだ。例え任期満了まで待ったとしても1年と少し、私もネットユーザーの一人として、選挙の準備を進めて行く。利権のみによって今権力の座にある者達も、ネットの力を、情報の力を、表現の力を明らかに思い知ることだろう。

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2008年7月30日 (水)

第106回:IPアドレスはプライバシーか。

 IPアドレスそのものは、インターネットにおいてどうしても使用せざるを得ないものであり、テクニカルにプライバシーではあり得ない。しかし、このIPアドレスと個人を結びつける情報は無論のこと、IPアドレスから個人が特定される可能性がある以上、ある特定のIPアドレスがインターネット上でどのようなコンテンツを利用・視聴していたかの情報もまた、IPアドレスそのものと同一視することはできないものであり、これらの情報は、通信の秘密や、プライバシー権によってきちんと保護されるべき性質のものだろう。

(個人情報保護法(正式名称は「個人情報の保護に関する法律」)で保護される「個人情報」は、「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)」と定義されているので、このような法律も絡んでくる。)

 今回言いたいことはこれで尽きており、当たり前のことのようにも思われるのだが、技術的なことを良く理解していない政治家や官僚、裁判官が、IPアドレスそのものと、IPアドレスと結びついた情報の性質を混同して、通信の秘密やプライバシーの観点から見て非常に危険な法律や判決を出しかねないという恐れを常に私は感じるのだ。

 日本ではまだそこまでひどい話は聞かないが、前々回、少し紹介したwired visionの記事でリンクが張られているグーグル対バイアコムの訴訟に対するアメリカのニューヨーク地裁の判決など、グーグルのエンジニアのブログ記事("Are IP adresses personal")でIPアドレスは個人を特定する情報と結びつかない限り、個人情報たり得ないと書かれていることを引いて、IPアドレス込みでユーザーのユーチューブ視聴情報の開示を命じており、典型的な論理の飛躍を示している。

(その後どういう経緯があったのかは分からないが、IPアドレスを隠したデータを開示するというところで落ち着いたようである(The New York Timesの記事参照)が、もしIPアドレス込みで情報が開示されたら、アメリカのことなので、ダウンロード行為がフェアユースかというところから争いになっている対ユーザー訴訟にさらに火を注ぐことになっただろう。)

 立法・行政・司法に携わる人間には、ネットに関する技術を、情報の価値は常にその組み合わせで生じるのであり、情報に関する限り、一部分ずつを取り出しても保護には値しないが、組み合わされると保護されるべき性質が出て来得るという、情報の性質を良く理解してもらいたいと心から思うのだが、最近のニュースを見る限り日本もお寒い状態であり、ユーザーとして出来ることは限られているのだが、何でも気をつけておくに越したことはない。

(当たり前のことだが、最低限、各種ネットサービス事業者の利用規約は良く読み、個人情報の打ち込みは十分注意して行うことを私は強くお勧めする。)

 最後に、ここ1週間くらいで結構溜まってしまっていた各種記事の紹介もしておきたい。

 まず、フランスでは、マルチメディア携帯に関するフランス補償金委員会の課金の決定は、携帯電話利用者による実際のデジタル利用を考慮していないとして、携帯電話関連団体も、この決定の取り消しを求めてフランス行政裁判所(コンセイユ・デタ)における補償金訴訟に参加することを決めたとするSilicon.frの記事があった。フランスでも、別に消費者やメーカーは納得して補償金を支払っている訳ではないのだ。(同記事によると、スペインではフィリップスによって、オーストリアではアマゾンによって、オランダではImationによって訴訟が起こされているそうである。)

 なお、補償金問題については、権利者団体がまた会見を開いたようだ(AV watchの記事ITproの記事Internet watchの記事ITmediaの記事参照)が、今の時点で、消費者の理解を全く得られていない主張を判で押したように繰り返すことに何の意味があるのか、さっぱり理解不能である。

 また、「P2Pとかその辺のお話」で既に紹介されているので、リンク先をご覧頂ければ十分と思うが、イギリスでは、インターネットサービスプロバイダー(ISP)が違法な利用をしていると思われるユーザーに警告を出すことに合意したというニュース(computer activeの記事wired blogの記事参照)があった。ただし、フランスの3ストライク法案と違い、ISPの自主的な取り組みに過ぎず、ユーザーのネットアクセスを遮断したり、ユーザーの情報をコンテンツホルダーに開示したりすることはないと思われることは注意しておいた方が良い。

 英仏独で、違法コピー対策がバラバラな時点で、EUレベルでこの点について今大きな政策判断がなされるとは思えないのだが、EUの会合でも、ISPが契約の際、利用者にネット上での違法コピー行為に対するリスクを伝えるようにするべきなどと、ISPの義務が問題にされており(le Journal du Netの記事heise onlineの記事参照)、ヨーロッパにおけるISPに対する圧力は当分続くのだろう。

 なお、EUの保護期間延長問題については、ヨーロッパ法学界の錚々たるメンバーが、タイムズに、「著作権の保護期間延長はイノベーションの敵である」と直球のタイトルで反対の記事を出している。

 また、実効性はかなり疑問であるが、韓国では、さらにネット規制を強化する動きもあるよう(マイコミジャーナルの記事参照)なので、これも念のために紹介しておく。

 経産省が、国家秘密保護法を作るという報告書をまとめた(産経のネット記事プレスリリース報告書の概要本文)という話もある。公務員の規制強化となるだけならともかく、民間の規制強化になりそうな話もあり、この報告書については、内容を良く読んでから、またコメントしたい。

 次回は上の経産省の報告書についてか、公職選挙法とネットの関係についてかどちらか先に書けた方を載せたいと思っている。

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2008年6月11日 (水)

第101回:ネット規制法案全文の転載

 今日ようやく衆議院のHPに、ネット規制法案がアップされたので、リンク先を見てもらえば済む話だが、今回は、念のために、その全文を転載する。

 この10日に、参議院の内閣委員会を通り、11日には本会議にかけられる予定のようであるが、大手ネット企業やメディア企業なども含め多くの関係者が懸念を表明している中、この法案の内容は、その懸念が払拭されているとは全く言い難いものである。毎日のネット記事などでも、参議院の内閣委員会の様子が少し報道されているが、意見陳述人の中でも、民間代表という位置づけだろう、テレビ朝日の渡辺氏と慶応大学の中村教授が明確に法案に反対しているにもかかわらず、全会一致で可決されるというひどさである。元警察官僚の竹花氏が一人で「大多数が納得できる内容で、国全体の有害情報対策の基盤になる」と支持したらしいが、ネット企業からもメディア企業からもユーザーからもネット規制の必要性が聞こえてくるどころかほとんど反対しか聞こえてこない中で、法案について大多数の人間が納得できると豪語するとは、元規制官僚の思考回路は全く理解不能としか言いようがない。(そもそも何故ここで竹花氏が呼ばれるのか私には良く分からない。他に厚顔にもこの法案への賛成を国会で発言できる人間がいなかったためだろうか。)

 法案は、案の定、第96回第99回で書いたことが、ほぼそのまま当てはまる内容となっている。このような法案は、現時点でのフィルタリング利権の確保に加えて、さらなる規制強化への布石と思って間違いない。いい加減ムダな会議や計画の作成、天下り団体への税金垂れ流しは止めにしてもらいたいと思うが、法案中には、有害情報の例示もあり、総務大臣要請以来の、携帯電話のフィルタリング義務化移行の混乱に加えて、有害情報の発信が行われたと知ったときに青少年への閲覧防止措置とその記録を取るサーバー管理者の努力義務や、携帯電話を除くインターネット機器一般へのフィルタリングソフトプリインストール義務の取扱いなどもかなり厄介な問題となるだろう。

 青少年による閲覧を参議院の委員会でも民間代表の意見を無視するなど、もはや国会という立法府のモラルは完全に地に落ちた。本当に規制が必要なのは、ネットなどより、国会議員という立法官の方である。

 単純所持規制を含む児童ポルノ規制強化法案が与党から国会に提出される(時事通信のネット記事毎日のネット記事参照)など、ネット周りの規制議論は最悪の状態が続いている。私も反対を止めるつもりはないが、今の状況は本当にひどすぎる。

(6月11日夜の追記:心から不成立を願っていたが、非常に残念なことに、今日の参議院で首相問責決議案可決前の駆け込みでネット規制法も可決された(ITmediaの記事参照)。しかし、法律は作れば終わりというものではない。次の選挙・法改正・法律の廃止へ向けて、法律の実運用の監視と問題点の指摘、この問題でいぶり出された国会における規制強化派と規制反対派の整理など、私も一国民・一ユーザーとして地道にやって行くつもりである。)

<以下転載(赤字強調は私がつけたもの)>

青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案
目次
 第一章 総則(第一条―第七条)
 第二章 インターネット青少年有害情報対策・環境整備推進会議等(第八条―第十二条)
 第三章 インターネットの適切な利用に関する教育及び啓発活動の推進等(第十三条―第十六条)
第四章 青少年有害情報フィルタリングサービスの提供義務等(第十七条―第二十三条)
 第五章 インターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体等
  第一節 フィルタリング推進機関(第二十四条―第二十九条)
  第二節 インターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体等の支援(第三十条)
第六章 雑則(第三十一条)
 附則
   第一章 総則
 (目的)
第一条 この法律は、インターネットにおいて青少年有害情報が多く流通している状況にかんがみ、青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得に必要な措置を講ずるとともに、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上及び利用の普及その他の青少年がインターネットを利用して青少年有害情報を閲覧する機会をできるだけ少なくするための措置等を講ずることにより、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにして、青少年の権利の擁護に資することを目的とする。
 (定義)
第二条 この法律において「青少年」とは、十八歳に満たない者をいう。
2 この法律において「保護者」とは、親権を行う者若しくは後見人又はこれらに準ずる者をいう。
3 この法律において「青少年有害情報」とは、インターネットを利用して公衆の閲覧(視聴を含む。以下同じ。)に供されている情報であって青少年の健全な成長を著しく阻害するものをいう。
4 前項の青少年有害情報を例示すると、次のとおりである。
 一 犯罪若しくは刑罰法令に触れる行為を直接的かつ明示的に請け負い、仲介し、若しくは誘引し、又は自殺を直接的かつ明示的に誘引する情報
 二 人の性行為又は性器等のわいせつな描写その他の著しく性欲を興奮させ又は刺激する情報
 三 殺人、処刑、虐待等の場面の陰惨な描写その他の著しく残虐な内容の情報

5 この法律において「インターネット接続役務」とは、インターネットへの接続を可能とする電気通信役務(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第三号に規定する電気通信役務をいう。以下同じ。)をいう。
6 この法律において「インターネット接続役務提供事業者」とは、インターネット接続役務を提供する電気通信事業者(電気通信事業法第二条第五号に規定する電気通信事業者をいう。以下同じ。)をいう。
7 この法律において「携帯電話インターネット接続役務」とは、携帯電話端末又はPHS端末からのインターネットへの接続を可能とする電気通信役務であって青少年がこれを利用して青少年有害情報の閲覧をする可能性が高いものとして政令で定めるものをいう。
8 この法律において「携帯電話インターネット接続役務提供事業者」とは、携帯電話インターネット接続役務を提供する電気通信事業者をいう。
9 この法律において「青少年有害情報フィルタリングソフトウェア」とは、インターネットを利用して公衆の閲覧に供されている情報を一定の基準に基づき選別した上インターネットを利用する者の青少年有害情報の閲覧を制限するためのプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。)をいう。
10 この法律において「青少年有害情報フィルタリングサービス」とは、インターネットを利用して公衆の閲覧に供されている情報を一定の基準に基づき選別した上インターネットを利用する者の青少年有害情報の閲覧を制限するための役務又は青少年有害情報フィルタリングソフトウェアによって青少年有害情報の閲覧を制限するために必要な情報を当該青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを作動させる者に対してインターネットにより継続的に提供する役務をいう。
11 この法律において「特定サーバー管理者」とは、インターネットを利用した公衆による情報の閲覧の用に供されるサーバー(以下「特定サーバー」という。)を用いて、他人の求めに応じ情報をインターネットを利用して公衆による閲覧ができる状態に置き、これに閲覧をさせる役務を提供する者をいう。
12 この法律において「発信」とは、特定サーバーに、インターネットを利用して公衆による閲覧ができるように情報を入力することをいう。
 (基本理念)
第三条 青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策は、青少年自らが、主体的に情報通信機器を使い、インターネットにおいて流通する情報を適切に取捨選択して利用するとともに、適切にインターネットによる情報発信を行う能力(以下「インターネットを適切に活用する能力」という。)を習得することを旨として行われなければならない。
2 青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備に関する施策の推進は、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上及び利用の普及、青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者による青少年が青少年有害情報の閲覧をすることを防止するための措置等により、青少年がインターネットを利用して青少年有害情報の閲覧をする機会をできるだけ少なくすることを旨として行われなければならない。
3 青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備に関する施策の推進は、自由な表現活動の重要性及び多様な主体が世界に向け多様な表現活動を行うことができるインターネットの特性に配慮し、民間における自主的かつ主体的な取組が大きな役割を担い、国及び地方公共団体はこれを尊重することを旨として行われなければならない。
 (国及び地方公共団体の責務)
第四条 国及び地方公共団体は、前条の基本理念にのっとり、青少年が安全に安心してインターネットを利用することができるようにするための施策を策定し、及び実施する責務を有する。
 (関係事業者の責務)
第五条 青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者は、その事業の特性に応じ、青少年がインターネットを利用して青少年有害情報の閲覧をする機会をできるだけ少なくするための措置を講ずるとともに、青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得に資するための措置を講ずるよう努めるものとする。
 (保護者の責務)
第六条 保護者は、インターネットにおいて青少年有害情報が多く流通していることを認識し、自らの教育方針及び青少年の発達段階に応じ、その保護する青少年について、インターネットの利用の状況を適切に把握するとともに、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用その他の方法によりインターネットの利用を適切に管理し、及びその青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得の促進に努めるものとする。
2 保護者は、携帯電話端末及びPHS端末からのインターネットの利用が不適切に行われた場合には、青少年の売春、犯罪の被害、いじめ等様々な問題が生じることに特に留意するものとする。
 (連携協力体制の整備)
第七条 国及び地方公共団体は、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策を講ずるに当たり、関係機関、青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者及び関係する活動を行う民間団体相互間の連携協力体制の整備に努めるものとする。
   第二章 インターネット青少年有害情報対策・環境整備推進会議等
(設置及び所掌事務)
第八条 内閣府に、インターネット青少年有害情報対策・環境整備推進会議(以下「会議」という。)を置く。
2 会議は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 第十二条第一項の基本計画を作成し、及びその実施を推進すること。
二 前号に掲げるもののほか、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する重要事項について審議すること。
(組織)
第九条 会議は、会長及び委員をもって組織する。
2 会長は、内閣総理大臣をもって充てる。
3 委員は、内閣官房長官、関係行政機関の長及び内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第九条第一項に規定する特命担当大臣その他の国務大臣のうちから、内閣総理大臣が指定する者をもって充てる。
 (資料提出の要求等)
第十条 会議は、その所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。
2 会議は、その所掌事務を遂行するために特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。
 (政令への委任)
第十一条 前二条に定めるもののほか、会議の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
(基本計画)
第十二条 会議は、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。
2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
 一 青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策についての基本的な方針
 二 インターネットの適切な利用に関する教育及び啓発活動の推進に係る施策に関する事項
 三 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上及び利用の普及等に係る施策に関する事項
 四 青少年のインターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体等の支援その他青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する重要事項
3 会議は、第一項の規定により基本計画を定めたときは、遅滞なく、基本計画を公表しなければならない。
4 前項の規定は、基本計画の変更について準用する。
   第三章 インターネットの適切な利用に関する教育及び啓発活動の推進等
(インターネットの適切な利用に関する教育の推進等)
第十三条 国及び地方公共団体は、青少年がインターネットを適切に活用する能力を習得することができるよう、学校教育、社会教育及び家庭教育におけるインターネットの適切な利用に関する教育の推進に必要な施策を講ずるものとする。
2 国及び地方公共団体は、青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得のための効果的な手法の開発及び普及を促進するため、研究の支援、情報の収集及び提供その他の必要な施策を講ずるものとする。
 (家庭における青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用の普及)
第十四条 国及び地方公共団体は、家庭において青少年によりインターネットが利用される場合における青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用の普及を図るため、必要な施策を講ずるものとする。
 (インターネットの適切な利用に関する広報啓発)
第十五条 前二条に定めるもののほか、国及び地方公共団体は、青少年の健全な成長に資するため、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアによる青少年有害情報の閲覧の制限等のインターネットの適切な利用に関する事項について、広報その他の啓発活動を行うものとする。
 (関係者の努力義務)
第十六条 青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者その他の関係者は、その事業等の特性に応じ、インターネットを利用する際における青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得のための学習の機会の提供、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用の普及のための活動その他の啓発活動を行うよう努めるものとする。
   第四章 青少年有害情報フィルタリングサービスの提供義務等
 (携帯電話インターネット接続役務提供事業者の青少年有害情報フィルタリングサービスの提供義務)
第十七条 携帯電話インターネット接続役務提供事業者は、携帯電話インターネット接続役務を提供する契約の相手方又は携帯電話端末若しくはPHS端末の使用者が青少年である場合には、青少年有害情報フィルタリングサービスの利用を条件として、携帯電話インターネット接続役務を提供しなければならない。ただし、その青少年の保護者が、青少年有害情報フィルタリングサービスを利用しない旨の申出をした場合は、この限りでない
2 携帯電話端末又はPHS端末をその保護する青少年に使用させるために携帯電話インターネット接続役務の提供を受ける契約を締結しようとする保護者は、当該契約の締結に当たり、携帯電話インターネット接続役務提供事業者に対しその旨を申し出なければならない。
 (インターネット接続役務提供事業者の義務)
第十八条 インターネット接続役務提供事業者は、インターネット接続役務の提供を受ける者から求められたときは、青少年有害情報フィルタリングソフトウェア又は青少年有害情報フィルタリングサービスを提供しなければならない。ただし、青少年による青少年有害情報の閲覧に及ぼす影響が軽微な場合として政令で定める場合は、この限りでない。
 (インターネットと接続する機能を有する機器の製造事業者の義務)
第十九条 インターネットと接続する機能を有する機器であって青少年により使用されるもの(携帯電話端末及びPHS端末を除く。)を製造する事業者は、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを組み込むことその他の方法により青少年有害情報フィルタリングソフトウェア又は青少年有害情報フィルタリングサービスの利用を容易にする措置を講じた上で、当該機器を販売しなければならない。ただし、青少年による青少年有害情報の閲覧に及ぼす影響が軽微な場合として政令で定める場合は、この限りでない。
 (青少年有害情報フィルタリングソフトウェア開発事業者等の努力義務)
第二十条 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを開発する事業者及び青少年有害情報フィルタリングサービスを提供する事業者は、青少年有害情報であって閲覧が制限されないものをできるだけ少なくするとともに、次に掲げる事項に配慮して青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを開発し、又は青少年有害情報フィルタリングサービスを提供するよう努めなければならない。
一 閲覧の制限を行う情報を、青少年の発達段階及び利用者の選択に応じ、きめ細かく設定できるようにすること。
二 閲覧の制限を行う必要がない情報について閲覧の制限が行われることをできるだけ少なくすること。
2 前項に定めるもののほか、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを開発する事業者及び青少年有害情報フィルタリングサービスを提供する事業者は、その開発する青少年有害情報フィルタリングソフトウェア又はその提供する青少年有害情報フィルタリングサービスについて、その性能及び利便性の向上に努めなければならない。
 (青少年有害情報の発信が行われた場合における特定サーバー管理者の努力義務)
第二十一条 特定サーバー管理者は、その管理する特定サーバーを利用して他人により青少年有害情報の発信が行われたことを知ったとき又は自ら青少年有害情報の発信を行おうとするときは、当該青少年有害情報について、インターネットを利用して青少年による閲覧ができないようにするための措置(以下「青少年閲覧防止措置」という。)をとるよう努めなければならない
 (青少年有害情報についての国民からの連絡の受付体制の整備)
第二十二条 特定サーバー管理者は、その管理する特定サーバーを利用して発信が行われた青少年有害情報について、国民からの連絡を受け付けるための体制を整備するよう努めなければならない。
(青少年閲覧防止措置に関する記録の作成及び保存)
第二十三条 特定サーバー管理者は、青少年閲覧防止措置をとったときは、当該青少年閲覧防止措置に関する記録を作成し、これを保存するよう努めなければならない。
   第五章 インターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体等
    第一節 フィルタリング推進機関
(フィルタリング推進機関の登録)
第二十四条 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上及び利用の普及を目的として、次に掲げるいずれかの業務(以下「フィルタリング推進業務」という。)を行う者は、総務大臣及び経済産業大臣の登録を受けることができる。
一 青少年有害情報フィルタリングソフトウェア及び青少年有害情報フィルタリングサービスに関する調査研究並びにその普及及び啓発を行うこと。
二 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの技術開発の推進を行うこと。

2 前項の登録(以下単に「登録」という。)を受けようとする者は、総務省令及び経済産業省令で定めるところにより、総務大臣及び経済産業大臣に申請をしなければならない。
3 次の各号のいずれかに該当する者は、登録を受けることができない。
 一 第二十六条の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
 二 法人で、その役員のうちに前号に該当する者があるもの
4 総務大臣及び経済産業大臣は、第二項の申請をした者が次に掲げる要件のすべてに適合しているときは、登録をしなければならない。
一 インターネットの利用を可能とする機能を有する機器を有し、かつ、次のいずれかに該当する者がフィルタリング推進業務を行うものであること。
イ 一年以上青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの開発又は青少年有害情報フィルタリングサービスに関する実務に従事した経験を有する者
ロ イに掲げる者と同等以上の能力を有する者
二 フィルタリング推進業務を適正に行うために次に掲げる措置がとられていること。
  イ フィルタリング推進業務を適正に行うための管理者を置くこと。
  ロ フィルタリング推進業務の管理及び適正な実施の確保に関する文書が作成されていること。
5 登録は、フィルタリング推進機関登録簿に次に掲げる事項を記載してするものとする。
 一 登録年月日及び登録番号
 二 登録を受けた者(以下「フィルタリング推進機関」という。)の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
 三 フィルタリング推進機関がフィルタリング推進業務を行う事務所の所在地
6 フィルタリング推進機関は、前項第二号又は第三号に掲げる事項を変更しようとするときは、総務省令及び経済産業省令で定めるところにより、その旨を総務大臣及び経済産業大臣に届け出なければならない。
 (業務の休廃止)
第二十五条 フィルタリング推進機関は、フィルタリング推進業務を休止し、又は廃止したときは、総務省令及び経済産業省令で定めるところにより、その旨を総務大臣及び経済産業大臣に届け出なければならない。
2 前項の規定によりフィルタリング推進業務を廃止した旨の届出があったときは、当該フィルタリング推進機関に係る登録は、その効力を失う。
 (登録の取消し)
第二十六条 総務大臣及び経済産業大臣は、フィルタリング推進機関が次の各号のいずれかに該当するときは、登録を取り消すことができる。
 一 第二十四条第三項第二号に該当するに至ったとき。
 二 第二十四条第四項各号のいずれかに適合しなくなったと認めるとき。
 三 第二十四条第六項又は前条第一項の規定に違反したとき。
 四 不正の手段により登録を受けたとき。
 五 次条の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたとき。
 (報告又は資料の提出)
第二十七条 総務大臣及び経済産業大臣は、フィルタリング推進業務の適正な運営を確保するために必要な限度において、フィルタリング推進機関に対し、その業務の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができる。
 (公示等)
第二十八条 総務大臣及び経済産業大臣は、次に掲げる場合には、その旨を官報に公示しなければならない。
 一 登録をしたとき。
 二 第二十四条第六項の規定による届出があったとき。
 三 第二十五条第一項の規定による届出があったとき。
 四 第二十六条の規定により登録を取り消したとき。
2 総務大臣及び経済産業大臣は、前項の規定による公示をしたときは、当該公示の日付及び内容をインターネットの利用その他の方法により公表するものとする。
 (総務省令及び経済産業省令への委任)
第二十九条 この節に規定するもののほか、フィルタリング推進機関及びフィルタリング推進業務に関し必要な事項は、総務省令及び経済産業省令で定める。
    第二節 インターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体等の支援
第三十条 国及び地方公共団体は、次に掲げる民間団体又は事業者に対し必要な支援に努めるものとする。
 一 フィルタリング推進機関

 二 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能に関する指針の作成を行う民間団体
 三 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを開発し又は提供する事業者及び青少年有害情報フィルタリングサービスを提供する事業者
 四 青少年がインターネットを適切に活用する能力を習得するための活動を行う民間団体
 五 青少年有害情報に係る通報を受理し、特定サーバー管理者に対し措置を講ずるよう要請する活動を行う民間団体
 六 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアにより閲覧を制限する必要がないものに関する情報を収集し、これを青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを開発する事業者その他の関係者に提供する活動を行う民間団体

 七 青少年閲覧防止措置、青少年による閲覧の制限を行う情報の更新その他の青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備に関し講ぜられた措置に関する民事上の紛争について、訴訟手続によらずに解決をしようとする当事者のために公正な第三者としてその解決を図るための活動を行う民間団体
 八 その他関係する活動を行う民間団体

   第六章 雑則 
 (経過措置の命令への委任)
第三十一条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。
   附 則
 (施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
 (経過措置)
第二条 この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
 (検討)
第三条 政府は、この法律の施行後三年以内に、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
第四条 インターネットを利用して公衆の閲覧に供することが犯罪又は刑罰法令に触れる行為となる情報について、サーバー管理者がその情報の公衆による閲覧を防止する措置を講じた場合における当該サーバー管理者のその情報の発信者に対する損害の賠償の制限の在り方については、この法律の施行後速やかに検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
 (内閣府設置法の一部改正)
第五条 内閣府設置法の一部を次のように改正する。 
  第四条第三項第二十六号の次に次の一号を加える。
  二十六の二 青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(平成二十年法律第   号)第十二条第一項に規定する基本計画の作成及び推進に関すること。
  第四条第三項第二十七号中「青少年」を「前号に掲げるもののほか、青少年」に改める。
  第四十条第三項の表中 
「食育推進会議
 食育基本法」
 を
「 インターネット青少年有害情報対策・環境整備推進会議
青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律
食育推進会議
食育基本法」
 に改める。

     理 由
 インターネットにおいて青少年有害情報が多く流通している状況にかんがみ、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするため、青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得に必要な措置を講ずるとともに、フィルタリングソフトの性能の向上及び利用の普及その他の青少年がインターネットを利用して青少年有害情報を閲覧する機会をできるだけ少なくするための措置等を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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2008年6月 3日 (火)

第99回:フィルタリング利権の確保に走る自民党と民主党

 ネット規制法に関して、与野党が今国会での成立を目指すことで合意したとするニュースがあった(時事通信のネット記事東京新聞のネット記事毎日のネット記事1記事2朝日のネット記事)。

 これらの記事に書かれていることから、与野党が合意した法案骨子をまとめると以下のようになるだろうか。
 
<各者の義務>
携帯電話会社:18歳未満の子供へのフィルタリングサービス提供義務。(保護者による解除可。)

PCメーカー:フィルタリングソフトのプリインストール義務

サーバー管理者・サイト管理人:子供が有害情報に触れないようにする努力義務

保護者:子供がネットを適正に利用できるよう教育する努力義務

フィルタリングサービス提供・ソフト開発事業者:子どもの発達に応じたきめ細かいサービスの提供を行う努力義務。

政府:有害サイト対策・フィルタリングに関する関係閣僚会議の設置・基本計画の策定。有害サイト対策を行う事業者や団体などに財政支援

<その他>
有害情報の選別基準は民間の第3者機関が策定。(国による第3者機関の登録・指定などはなし。)

・ただし、著しく性的感情を刺激する、著しく残虐性を助長する、著しく自殺や犯罪を誘発する、などの有害情報の例示は恐らくあり

フィルタリングソフトの普及促進や技術開発などを行う民間団体は総務省または経産省に登録可能

罰則はなし

 第96回を見てもらえば分かるかと思うが、この与野党合意は、自民党案の第3者機関の登録・指定という一番問題が大きかった部分が除かれているだけで、後は自民党案と民主党案の寄せ集めに過ぎない。第3者機関の登録・指定が無くなったので多少国の関与は弱まったが、代わりに突如として、意味不明のフィルタリングソフトの普及や開発などを行う民間団体の登録が出てくるなど、案の定、両党とも密室談合で利権を作ろうとすることを止める気はないらしい

 とにかく義務化を盛り込んで、フィルタリングについては、法律で国の関与を既成事実化し、フィルタリングを口実に税金を天下り団体に垂れ流して、政官で利権の確保を図ろうとしていることがあまりにも見え透いているのには、心底うんざりさせられる。

(さらに細かなことを言えば、PCへのフィルタリングへのプリインストール義務化も本当に大丈夫かという疑問がある。普通に大人が自分用にPCを買う場合には不要だろうし、いかなる場合にも抱き合わせで買わされるとしたら、愚かしい限りである。このような不当な抱き合わせ販売を法律で後押しするのはいかがなものかと思う。この問題ではメーカーの声は全然聞こえてこないのだが、補償金問題で消費者の声を代弁すると言い切ったメーカーは一体どう考えているのか。)

 第96回でも書いた通り、この法改正の根拠は極めて薄弱である。昨日今日でも、新聞協会に加えて、民放連も反対を表明(時事通信のネット記事参照)し、支援を受けられるだろう有害サイト対策団体のモバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)すら、法規制の必要性から検討してもらいたいとの意見を出す有様(internet watchの記事ITmediaの記事意見本文)であり、とにかくネット規制に関しては、政官の規制強化派以外からは、ほとんど反対の意見しか聞こえてこないのである。

 6月6日に衆院通過、来週中に参院での可決、成立を目指すという情報が載っている記事もあるが、どう考えても、この法案は生煮えも良いとこ