2016年6月19日 (日)

第365回:主要政党の2016年参院選公約案比較(知財政策・情報・表現規制関連)

 6月22日公示、7月10日投開票予定の参院選が近づく中、主要政党の選挙向け公約案が以下の通り大体出そろった。

 今回も各党とも内容はかなり薄いのだが、TPP問題を中心に関連事項を抜き出すと以下のようになる。

<自民党>
◯農業など守るべきものは守りつつ、TPPの活用などにより近隣アジアの海外市場をわが国の経済市場に取り込みます。

◯世界最速・最高品質の審査体制の実現や地方創生と中小企業のための知財活用の促進、デジタル時代における著作権制度の整備、知財教育の充実・人材育成、官民協調による国際標準の獲得や認証基盤の整備等の知的財産・標準化戦略を推進し、世界最高の知財立国を目指します。

◯「衣」「食」「住」やコンテンツ(アニメ、ドラマ、音楽、映画等)をはじめ「日本の魅力」の海外発信を進めるクールジャパンを成長戦略の一翼と位置付け、支援策、人材の育成、国内のクールジャパン拠点構築等の振興策を積極的に展開します。

<公明党>
◯アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP構想の実現も視野に、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の早期発効、日中韓自由貿易協定(FTA)や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉に取り組むとともに、日EU経済連携協定(EPA)など貿易ルールづくりを積極的に進めます。また、投資協定等の締結を進め、ODAを活用しつつ、海外でのビジネス環境を改善します。また、G7諸国等と協調しながら為替の安定に努めます。

<おおさか維新の会>
◯TPPに賛成。将来は、アジア太平洋自由貿易圏の実現を目指す

<民進党>
◯今回のTPP合意に反対します
 国会審議を通じて、①農産物重要5項目の聖域が確保されていない、②自動車分野でのメリットも小さい、③このような交渉結果となった経緯・理由に関する情報が明らかになっていない、ことがはっきりしました。そのことから、今回のTPP合意については反対します。

<生活の党>
◯TPPは反対。各国とのFTA(自由貿易協定)等を推進します。

<社民党>
◯特定秘密保護法を即時廃止します。「共謀罪」の新設に反対します。

◯言論や報道の自由を侵害するメディア規制の動きに反対します。

◯農林水産業と地域を破壊し、国民の食の安全を脅かすTPP(環太平洋経済連携協定)参加に断固反対します。「農産物重要5項目」の関税維持を求めた国会決議に違反するTPP協定案の国会での承認を阻止します。全ての交渉経過記録の公開を強く求めます。

<共産党>
◯TPP協定に断固反対、農林水産業、中小企業の振興にとりくみます
(略)

◯言論・表現の自由を守ります。ヘイトスピーチを根絶します
 安倍政権による放送の自由、言論の自由への権力的介入は重大です。高市早苗総務相が、放送内容を「政治的不公平」と判断した場合は放送局の電波を停止できると発言し、それを内閣があげて擁護しているのは大問題です。
 ――放送・報道への政府による権力的な介入に断固反対します。
 ――行政による「政治的公平」を口実にした市民の言論・表現活動や集会への不当な介入を許しません。
 ――秘密保護法を廃止します。
 ――民族差別をあおるヘイトスピーチを根絶します。超党派で成立させた「ヘイトスピーチ解消法」も活用して、政府が断固たる立場にたつことを求めます。

(各分野の政策より)
17、TPP――国会決議違反、食・農・地域経済への打撃、ISD条項、食料主権
(略)
安価な薬の供給が減り、薬価が高止まりに――TPP交渉で、「知的財産」の章で、医薬品の知的財産権の保護を強化する制度がアメリカと発展途上国の対立点となり、アメリカはバイオ薬品(抗がん剤や新薬のC型肝炎の治療薬など)の特許期間13年を要求、5年にすべきという発展途上国と対立しました。その結果、特許期間は、少なくても8年又は5年+他の措置とされました。あわせて、①特許期間の延長、②特許が切れたバイオ医薬品のデータ保護期間の設定、③ジェネリック薬(後発医薬品)承認決定に特許権者に特許権を侵害していないかを確認するリンケージ制度を設けています。

 これら規定は、ジェネリック薬品の市場への参入を長期化させることになり、日本国内だけでなく、多くの途上国では、患者の命をつなぐ安価な医薬品が手に入りにくくなる状況は改善されません。しかも、参加国の政府が薬価決定する際に、「直接影響をうける申請者」が、不服審査を開始することができることが規定されており、今後、アメリカの製薬企業などが利害関係者として、医薬品・医療機器の保険扱いの可否や公定価格の決定に影響力を強めることが懸念されます。

37、文化――助成制度、文化施設、専門家の権利・地位向上、知的財産権
(略)
著作者の権利を守り発展させます

 日本の芸術・文化の発展のうえで各ジャンルの専門家の役割はきわめて重要です。著作権は、表現の自由を守りながら、著作物の創造や実演に携わる人々を守る制度として文化の発展に役立ってきました。ところが、映画の著作物はすべて製作会社に権利が移転され、映画監督やスタッフに権利がありません。実演家もいったん固定された映像作品の二次利用への権利がありません。国際的には視聴覚実演に関する条約が作成されるなど、実演家の権利を認める流れや、映画監督の権利充実をはかろうという流れが強まっています。著作権法を改正し、映画監督やスタッフ、実演家の権利を確立します。

 私的録音録画補償金制度は、デジタル録音録画の普及にともない、一部の大企業が協力義務を放棄したことによって、事実上機能停止してしまいました。作家・実演家の利益をまもるために、私的複製に供される複製機器・機材を提供することによって利益を得ている事業者に応分の負担をもとめる、新たな補償制度の導入をめざします。

TPP協定の承認に反対します

 TPP協定で、著作権の分野では、「保護期間の延長」「非親告罪化」「法定賠償金制度」「アクセスコントロールの回避等」についての措置、「配信音源の2次使用料請求権の付与」があらたに持ち込まれ、著作権法の改正が議論されようとしています。現状では、アーカイブの整備、孤児著作物の増加問題などに手が打たれておらず、またアメリカ型の訴訟・裁判制度の持ち込みに懸念の声も広がっています。専門家や関係団体などの間でも意見が分かれている問題を、外圧をてこに強行するのはゆるされません。TPP協定と関連法案の撤回を求めます。
(略)

憲法を生かし、表現の自由を守ります

 芸術活動は自由であってこそ発展します。憲法は「表現の自由」を保障しています。ところが、第2次安倍内閣の発足以降、各地の美術館や図書館、公民館など公の施設で、創作物の発表を不当な理由で拒否するなど、表現の自由への侵害が相次いでいます。安倍首相のもとに開催される「『日本の美』総合プロジェクト懇談会」のように、特定の価値観を創造活動に押しつける動きもあり、創作活動の委縮も懸念されます。安倍政権による放送の自由、言論の自由への権力的介入もきわめて重大です。憲法の基本的人権の条項をまもり生かして、表現の自由を侵す動きに反対します。「児童ポルノ規制」を名目にしたマンガ・アニメなどへの法的規制の動きに反対します。

 諸外国では、表現の自由を守るという配慮から、財政的な責任は国がもちつつ、専門家が中心となった独立した機関が助成を行っています。文化庁の助成は応募要綱などが行政の裁量で決められ、芸術団体の意見がそこに十分反映されていません。すべての助成を専門家による審査・採択にゆだねるよう改善します。
(略)

 自民党が知財政策について一応触れているが、これは今年の知財計画に書かれているキャッチフレーズをそのままなぞっているだけでほとんど意味はない。中では、これもいつも通りだが、共産党がTPPとの関係で知財の保護強化を問題視しているのはポイントが高い。また、例によって政党として表現の自由の問題を明確に取り上げているのは社民党と共産党である。

 今回の選挙も残念ながら知財問題が大きな争点になることはないだろうが、今までさんざん書いて来ている通り、TPP協定の批准が有害無益な知財保護の強化に直結するのは間違いない。参考に各党の公約からTPP協定に関する賛成反対だけを一覧でまとめると、

<自民>:賛成
<公明>:賛成
<お維>:賛成
<民進>:反対
<生活>:反対
<社民>:反対
<共産>:反対

となり、与野党対立の構図はさらに分かりやすくなった。今回の選挙でも私はTPP協定反対の面から投票先を決めるつもりである。

 また、加えて特に気をつけておきたいのは前回と同じく自民党の公約案が憲法改正を含んでいることである。自民党の実質的に表現の自由などの基本的人権の制約・国民からの剥奪を狙っているゴミクズ以下の憲法改正案(自民党のHP参照)の危険性はいくら強調してもしすぎではない。同じく憲法改正を唱えるおおさか維新の会への投票もかなり危険と思っておくべきだろう。

 なお、前回の参院選では規制強化慎重反対派元国会議員候補リストもつけたのだが、今回は4野党の候補者調整によってほとんどの選挙区で与党か野党かという二者択一の選択になり、個人に対する投票という意味は薄れそうなのでこのリストは省略する。(リストについて興味のある方は、第293回に載せた2013年参院選向けに作ったものや番外その25に載せた2010年参院選向けに作ったものを参照頂きたい。)

(2016年6月26日夜の追記:特に内容に変更はないが、各政党から詳細版を含む正式な公約集が公開されているので、念のため<こころ>と<改革>も合わせ、ここにそのリンクを張っておく。

 なお、新党改革はTPP協定に賛成と見えるが、その公約に「コミケ、二次創作、コスプレ、同人誌など様々な表現を許容し、表現の自由を守ります」という表現規制問題の面から見て非常にポイントが高い記載が入っているのは山田太郎候補の働きかけによるものだろう。)

(2016年7月3日夜の追記:なお、今回の選挙ではこの部分は争点にならないと思うが、表現規制絡みとして、自民党の総合政策集に「青少年健全育成のための社会環境の整備を強化するとともに『青少年健全育成基本法』を制定します。またITの発達等による非行や犯罪から青少年を守るための施策を推進します。」という記載が、民進党の政策集に「メディアにおける性・暴力表現について、人々の心理・行動に与える影響について調査を進めるとともに、バーチャルな分野を含め、技術の進展及び普及のスピードに対応した対策を検討し、推進します。」という記載があるので、念のためここに抜き出しておく。)

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2014年11月30日 (日)

第328回:主要政党の2014年衆院選マニフェスト(政権公約)案比較(知財・情報・表現規制問題関連)

 今度の衆院選も知財政策が選挙の争点になりようがないのは残念だが、主要政党のマニフェスト(政権公約)案が以下の通りほぼ出そろったので、また比較を作っておきたいと思う。(実際には公示日以降に配布されるものが正式版となるが、例によってほとんど違いはないだろう。)

 先に書いておくと、今年新所持罪(性的好奇心目的所持罪)を含む児童ポルノ法の改正案が国会を通った結果、児童ポルノ法改正に関する記載もなくなり、どの政党のマニフェストも知財・情報・表現規制問題に関しては取り立てて見るべきことはあまり書かれていないという状態になっているが、以下、念のため関連部分の記載を見て行く。

(1)知財関連

<自民党>
○職務発明制度の見直しや営業秘密の保護強化、知財人材の育成等の知的財産・標準化戦略を推進し、引き続き世界最高の知財立国を目指すとともに、政府と産業がタッグを組んで、自動運転技術等「日本の強み」がある分野については国際標準の獲得や認証基盤の整備を行う体制を整えます。

○「衣」「食」「住」やコンテンツ(アニメ、ドラマ、音楽等)をはじめ「日本の魅力」の海外発信を進めるとともに、世界の頂点へ挑戦するコンテンツ人材の育成等、クールジャパン戦略を推進します。

<民主党>
◯インフラのパッケージ型輸出、エネルギーの調達先多様化など戦略的な経済外交を推進します。國酒プロジェクト、クールジャパンなどを推進します。

<共産党>
◯34、文化:芸術・文化の活動を支え、文化が豊かに発展する社会をめざします
(略)
・著作者の権利を守ります。文化を支える専門家の地位向上にとりくみます
 日本の芸術・文化の発展のうえで各ジャンルの専門家の役割はきわめて重要です。ところが、その専門家の権利や社会保障がないがしろにされています。こうした状態を改め、著作権者の権利を守ることや、専門家の低収入、社会保障の改善にとりくみます。
 著作権は、表現の自由を守りながら権利者を守る制度として文化の発展に役立ってきました。ところが、映画の著作物はすべて製作会社に権利が移転され、映画監督やスタッフに権利がありません。実演家もいったん固定された映像作品への権利がありません。国際的には視聴覚実演に関する条約が作成されるなど、実演家の権利を認める流れや、映画監督の権利充実をはかろうという流れが強まっています。著作権法を改正し、映画監督やスタッフ、実演家の権利を確立します。
 私的録音録画補償金制度は、デジタル録音録画の普及にともない、一部の大企業が協力義務を放棄したことによって、事実上機能停止してしまいました。作家・実演家の利益をまもるために、私的複製に供される複製機能を提供することによって利益を得ている事業者に応分の負担をもとめる、新たな補償制度の導入をめざします。

 知財政策に関して多少なりとも何か言おうとしているのは、ものの見事に自民党と共産党のみとなった。両党ともほとんど意味のあることは言っていないが、自民党が職務発明制度の見直しや営業秘密の保護強化を明記していることは注意しておいても良いだろう。また、下の(3)で書くが、TPPとの絡みで知財問題に言及しているのは共産党しかないという状況である。(なお、前にも書いたことだが、共産党の私的録音録画補償金制度に関する理解はいまいちである。)

(2)情報・表現規制関連

<自民党>
○「『世界一安全な日本』創造戦略」に基づき、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会を見据えて、治安対策や持続可能な民間の安全形成システムの強化を推進します。

○「サイバーセキュリティ基本法」の理念に則り、国民や企業が安心してICTを利活用し、豊かで便利な社会を創るため、総合的なサイバーセキュリティ対策を推進します。

○日本サイバー犯罪対策センターの積極的な運用による有害情報排除、捜査手法の高度化、情報収集体制・警備体制強化等、サイバー犯罪・組織犯罪・テロ対策に万全を期します。

<民主党>
○国会など第三者機関による監視と関与を強化するまで特定秘密保護法の施行は延期します。

○特定秘密保護法:知る権利と報道の自由を確実に守るため、国会等の監視機関の不十分さを是正します。

○人種等を理由とした差別をなくすため、表現の自由を尊重した上で、「ヘイトスピーチ対策法」を制定します。

<維新の党>
○いわゆるヘイトスピーチについて、国連人種差別撤廃委員会からの勧告の趣旨も踏まえつつ、規制のあり方を具体化する。

<共産党>
○38、秘密保護法・共謀罪:国民の目・耳・口をふさぎ、「海外で戦争する国」へと道を開く希代の悪法――秘密保護法の廃止を求めます
(略)

◯44、ヘイトスピーチ:民族差別をあおるヘイトスピーチを許さない
(略)
 日本共産党は、言論・出版の自由や結社の自由、表現の自由など憲法で保障されている基本的人権を全面的に擁護するとともに、それと矛盾・抵触しないような形の法整備のために積極的に対応します。国内外で高まる「社会的包囲でヘイトスピーチ根絶を」の世論と運動を踏まえ、ヘイトスピーチを許さないために、人種差別禁止を明確にした理念法としての特別法の制定をめざします。
(略)

<社民党>
○知る権利や報道の自由、言論・表現の自由を侵す「特定秘密保護法」を廃止します。

○差別や敵意を煽る「ヘイトスピーチ(憎悪表現)」を規制する「人種差別禁止法」を制定します。

 情報・表現規制関連としては、各政党とも基本的に今までのスタンスを踏襲する形で、秘密保護法やヘイトスピーチに対する対応などで違いが出ている。また、マニフェスト案に取り立てて大きな意味のあることが書かれている訳ではないが、自公が今の全体的な情報・表現規制強化の流れを自ら止めることはまずもってないだろう。

 前の衆参選挙のマニフェスト案比較の時にも書いたことで繰り返しになるが(第283回や第293回参照)、ここで最も注意すべきは自民党の政権公約が憲法改正を含んでいることだろう。ここでそのゴミクズ以下の憲法改正案(自民党のHP参照)についてここで事細かに突っ込む気はないが、前にも書いた通り、自民党はこの憲法改正で実質的に表現の自由などの基本的人権の制約・国民からの剥奪を狙っているのである。また、同じく憲法改正をマニフェストに明記している維新の党や次世代の党も憲法改正については自民と同じく危険と言って良いだろう。

(3)TPP関連

<自民党>
○経済連携交渉は、交渉力を駆使して、守るべきは守り、攻めるべきは攻め、特にTPP交渉は、わが党や国会の決議を踏まえ、国益にかなう最善の道を追求します。

<公明党>
○TPP(環太平洋パートナーシップ)協定交渉では、わが国農業の多面的機能や食料自給率の向上など国民生活への影響に配慮しつつ、守るべきものは守り、勝ち取るべきものは勝ち取るとの強い姿勢で臨み、国益の最大化に努めることを求めます。また、TPP交渉と並行して、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構想の実現に向け、日中韓の自由貿易協定(FTA)や東アジア地域包括的経済連携(RDEP)などに主導的に取り組むとともに、日・EU経済連携協定(EPA)などの貿易ルールづくりを積極的に推進します。

<民主党>
○TPPについては、農林水産物の重要5品目などの除外、食の安全の確保、国民皆保険の堅持などの国益を確保するために、脱退も辞さない厳しい姿勢で臨みます。「情報提供促進法」の制定を通じ、経済連携協定交渉の情報公開を進めます。

<維新の党>
○アジア太平洋地域の自由貿易圏構想の実現に向けて、TPP、RCEP、日中韓FTA等、域内経済連携に積極的に関与し、地域の新しいルール作りをリードする。

<次世代の党>
◯国益を踏まえた自由貿易圏の拡大

<共産党>
○12、TPP:TPPへの暴走=「亡国の政治」に反対し、経済主権、食料主権を尊重した互恵・平等の対外経済関係の発展をめざす
(略)
 安価な薬の供給が減り、薬価が高止まりに――アメリカはTPPを通じて知的財産権の保護強化を主張しています。それが通れば、ジェネリック薬(後発医薬品)の供給が遅れ、医薬品価格が高止まりします。アメリカは、既存薬の形や使い方を変えた医薬品を、効果がアップしていなくても"新薬"として特許申請する「エバーグリーニング」とよばれる手法を使い、既存薬の権利独占を図ろうとしています。TPPでこのルールが認められると、ジェネリック薬市場に参入するまでに、今まで以上に長い年月が必要になります。日本国内だけでなく、多くの途上国では、患者の命をつなぐ安価な医薬品が手に入りにくくなるため、多くの国が反対するのは当然です。薬メーカーに一方的に有利なアメリカ流の「知的財産権の保護」は認められません。)
(略)

<生活の党>
○TPPは断固反対
 日本の経済・社会を根底から破壊しかねないTPPには参加せず、各国とのFTA(自由貿易協定)を推進します。

<社民党>
○農林水産業に壊滅的打撃を与えるなど、21分野もの規制緩和で地域経済、国民生活のすみずみに悪影響をもたらし、衆参農林水産委員会決議にも反するTPP(環太平洋経済連携協定)への参加に断固反対します。TPP交渉に関する情報公開を強く要求します。

 ここで、前と変わらないとは言え、共産党がきちんとTPP交渉に関する項目で知財(ジェネリック薬)の問題に触れているのはポイントが高い。また、民主党のスタンスは与党時代のことを考えるとまだ実質推進と考えても良いのではないかと思うが、それでも情報公開を求めるとしている点は多少変化が見られるところだろうか。

 今までのリーク文書がはっきり示している通り、前回同様TPP交渉推進で日本の知財政策が著作権も含めて保護強化に大きく歪む形で振れることになると考えて私は投票するつもりだが、TPP交渉に関して上で抜き出した部分をざっくりとまとめると、

<自民>:推進
<公明>:推進
<民主>:推進+情報公開促進
<維新>:推進
<次世>:推進
<共産>:反対
<生活>:反対
<社民>:反対

となり、今回の衆院選でも相変わらずどうにも選択肢が少ないのが本当に残念である。

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2013年7月 3日 (水)

第293回:主要政党の2013年参院選マニフェスト(政権公約)案比較・規制強化慎重反対派元国会議員候補リスト(知財・表現規制問題関連)

 どの政党も前回の衆院選のときと比べてほとんどスタンスの変更はないのだが(前回衆院選時の比較は第283回参照)、

と参院選マニフェスト案がほぼ出そろったので、念のため一通り知財・情報・表現規制問題関連の項目について見ておきたいと思う。

(1)マニフェスト案比較
 各政党のマニフェストから知財・表現規制問題に関する項目を抜き出して行く。

<自民党>
○最先端の「知財立国」に
・特許審査の迅速化を図るとともに、「意匠法」「商標法」を見直し、産業競争力を強化します。
・日本発のコンテンツ・プラットフォームの研究開発を進めます。
・世界で活躍できるグローバル知財人材の育成と、研究開発拠点の誘致を図ります。

○拡大する国際市場を獲得
・国、大学等の研究機関、各企業などの人材・知財・資金を繋ぎ合わせるオープン・イノベーションを推進し、オールジャパン体制で世界との「新分野開拓競争」に対応します。
・「クールジャパン戦略」を推進するとともに、国際標準化・認証に対する戦略的な取組みを強化し、積極的なトップセールスを展開し、海外市場を獲得します。2020年に30兆円(現状10兆円)のインフラシステムの受注を実現すること、2018年までに放送コンテンツ関連海外売上高を現在(63億円)の3倍に増加させること、2020年に海外の医療技術・サービス市場で1.5兆円(現状0.5兆円)を獲得することを目指します。

○国益にかなう経済連携
・TPP等の経済連携交渉は、交渉力を駆使し、守るべきものは守り、攻めるべきものは攻めることにより、国益にかなう最善の道を追求します。
(略)

○治安・テロ対策の強化
・新たな犯罪への対策、防犯ボランティアや保護司等の民間の安全形成システム、法務・警察部門の体制等の治安インフラを強化します。
(略)
・コンピュータやインターネットへの不正侵入、データ破壊、情報漏洩などへの対策(サイバーセキュリティ)を強化します。

○全ての子供の健全な成長と安全の確保
・「青少年健全育成基本法」を制定し、必要な施策を総合的に推進します。
(略)

(総合政策集より)
26「国富」を生み出す知財戦略
(略)

27「クール・ジャパン戦略」の推進
(略)

323世界に誇るべき「文化芸術立国」の創出
(略)
 デジタル化・ネットワーク化の進展により電子書籍等の電子出版物が増加しており、インタネット上における電子出版物の海賊版対策が急務です。文字・活字文化振興のため、デジタル時代に即した『著作権法』改正を行い、現行の出版権を見直します。また、わが国の文化関係予算は高い水準にあると言えず、「文化芸術立国」の創出に向けて、必要な文化予算を確保します。

<公明党>
Ⅱ−1−④−2)クール・ジャパンによる観光振興
 コンテンツ、ファッション、日本食、地域資源など日本の魅力を海外に発信。日本のモノやサービスを海外に売り出すクール・ジャパン戦略と、外国人観光客を国内へ呼び込み、国内での消費を盛んにする観光振興を結びつけた「クール・ジャパン観光」を推進します。

Ⅴ−2−①日・中・韓、日・EUなど経済連携協定を推進
 TPP交渉と並行して日中韓の自由貿易協定(FTA)や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などに主導的に取り組みます。アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の成立をめざすとともに、日・EU経済連携協定(EPA)などの貿易ルールづくりを積極的に推進します。

(重要政治課題より)
3 TPP交渉で国益の最大化を
(略)

<民主党>
○経済連携・経済外交
・高いレベルの経済連携を推進し、世界におけるルールづくりを主導します。
 TPPについては、農林水産物の重要5品目などの除外、食の安全の確保、国民皆保険の堅持などの国益を確保するために、脱退も辞さない厳しい姿勢で臨みます。

<みんなの党>
Ⅰ−1−④TPPのみならず、日中韓FTA、RCEP、日EU等の広域FTAを推進し、日本の国益を最大化。アジア・太平洋諸国とエネルギーや安全保障分野を含めた戦略的な提携関係を強化する。

Ⅰ−1−⑤アジア域内の規制緩和(外貨規制等)を進め、必要な規制については共同制度(競争政策、知的所有権等の国際調和、紛争解決等)の構築を図る。

Ⅰ−5−①日本の魅力、各分野でのコンテンツの素晴らしさを積極的に取り上げ、情報発信の在り方、特に海外に向けた広報を強化。その際、徹底したマーケティングとブランディングを行う。また、日本の漫画、アニメ、小説、ゲーム等の振興を図る。

<日本維新の会>
○TPP参加。自由貿易圏の拡大

<社民党>
○TPP参加反対、地域再生の柱に農林水産業を
(略)

2.−<障がい者>−4.障がい者の社会参加を推進します
(略)
・著作者の音訳を制限する著作権法を改正するとともに、「EYEマーク」運動をすすめます。

5.若者
(略)
・日本が持つアニメ・漫画などのコンテンツ、伝統産業、商業デザイン、クリエーターの感性をいかした情報発信や海外展開など、中小零細企業を主導とした「クールジャパン」事業を拡大します。またクリエーターの賃金・労働条件の実態把握と雇用環境の改善に取り組み、離職者の再就職を支援します。
(略)

8.法務・人権
(略)
・あらゆる性暴力を禁止し、被害者の人権とケアを保証する「性暴力禁止法」をつくります。性的搾取・虐待から
子どもを守る取り組みを強化します。単純所持を刑事罰化する与党の「児童ポルノ禁止法改正案」は、捜査権濫用の危険性があり表現の自由を侵害しかねないため反対するとともに、児童ポルノの定義を限定・明確化した上で根絶へ積極的な防止対策を講じます。
(略)

<共産党>
3−(1)TPP交渉参加を撤回し、日本農業の再生と食料主権、経済主権の確立を
(略)

(各分野政策より)
12、TPP
 TPPへの暴走=「亡国の政治」に反対し、経済主権、食料主権を尊重した互恵・平等の対外経済関係の発展をめざす
(略)
 安価な薬の供給が減り、薬価が高止まりに――アメリカはTPPを通じて知的財産権の保護強化を推進しており、ジェネリック薬(後発医薬品)の供給が遅れ、医薬品価格の高止まりにつながる恐れがあります。アメリカは、既存薬の形や使い方を変えた医薬品を、効果がアップしていなくても"新薬"として特許申請する「エバーグリーニング」とよばれる手法を使い、既存薬の権利独占を図ろうとしています。TPPでこのルールが認められると、ジェネリック薬市場に参入するまでに、今まで以上に長い年月がかかるようになります。日本国内だけでなく、多くの途上国では、患者の命をつなぐ安価な医薬品が手に入りにくくなります。安価な医薬品の供給を維持するためにも、薬メーカーに一方的に有利なアメリカ流の「知的財産権の保護」には反対です。
(略)

35、文化芸術・文化の活動を支え、文化が豊かに発展する社会をめざします
(略)
○「劇場法」を生かし、文化施設への支援を強めます
(略)
 まだまだ足りない大小さまざまな表現空間や展示場所、けいこ場といった芸術家・文化団体の活動の条件を整備します。アニメ、マンガ、写真、音楽、美術など、文化各ジャンルの貴重な遺産の収集・保存を支援します。映画フィルムの保存を急ぐとともに、急速にすすむデジタル化に対応し映画作品の保存をすすめます。映画の国立フィルムセンターの人員を拡充し、国立美術館の付属施設から、国が責任をもつ独立した組織へと発展させます。
(略)

○著作者の権利を守ります。文化を支える専門家の地位向上にとりくみます
 日本の芸術・文化の発展のうえで各ジャンルの専門家の役割はきわめて重要です。ところが、その専門家の権利や社会保障がないがしろにされています。こうした状態を改め、著作権者の権利を守ることや、専門家の低収入、社会保障の改善にとりくみます。
 著作権は、表現の自由を守りながら権利者を守る制度として文化の発展に役立ってきました。ところが、映画の著作物はすべて製作会社に権利が移転され、映画監督やスタッフに権利がありません。実演家もいったん固定された映像作品への権利がありません。国際的には視聴覚実演に関する条約が作成されるなど、実演家の権利を認める流れや、映画監督の権利充実をはかろうという流れが強まっています。著作権法を改正し、映画監督やスタッフ、実演家の権利を確立します。
 一部の大企業は、私的録音録画補償金制度への協力義務を非難するだけでなく、実際に放棄してしまいました。こうした横暴を許さず、著作物を利用することで利益を得るメーカーに応分の負担を求め、作家・実演家の利益をまもります。
(略)

○憲法を生かし表現の自由を守ります。ダンス規制をやめさせます
芸術活動は自由であってこそ発展します。憲法は表現の自由を保障しています。ところが、自民党の「改憲案」は、表現・結社の自由について「公益及び公の秩序」に反しないものとしか認めないとしています。憲法の基本的人権の条項をまもり生かして、表現の自由を侵す動きに反対します。
「風営法」の規制対象からダンスを削除し、「ダンス規制」をやめさせます。

41、いのち・人権の保障
(略)
・児童ポルノ禁止法改定問題について……子どもを性的対象とする児童ポルノは、子どもにたいする最悪の虐待行為であり、その非人間的な行為を日本共産党は絶対に容認することはできません。1人の被害者も出さない社会をつくりだすことは、大人社会の重大な責任です。
 同時に、児童ポルノそのものの作成・流通・販売をきびしく禁止し、取り締まることと、「単純所持」を法的に禁止することは厳密に区別する必要があると考えます。
 自民党、公明党、日本維新の会の3党は、2013年5月29日、児童ポルノ禁止法の「改正」案を衆議院に提出しました。「改正」案によれば、写真やデジタル画像など児童ポルノの所持を禁止する「単純所持の禁止」を導入し、「自己の性的好奇心を満たす目的」の所持には刑事罰(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)を科しています。また漫画やアニメ、CG(コンピュータ・グラフィック)などと性犯罪などとの関連性を「調査研究」するよう政府に求め、施行から3年後に「必要な措置」をとるとしています。
 これは、従来の自公案に、維新の会も乗ったもので、これまでの「単純所持」規制案となんら変わるところはありません。
 現在、インターネット上などで流布されている児童ポルノは、そのほとんどが現行法によって取り締まることが可能です。児童ポルノ法第7条では、「児童ポルノを提供し」、それを目的として「製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者」にたいして、「三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金」がかけられることになっています。これを厳格に運用するなら、ネット上に流れているほぼすべての児童ポルノを一掃することが可能となります。
 一方、児童ポルノ法で単純所持を一律に規制したり、漫画・アニメーションなどの創作物も規制対象に加えたりすることは、児童ポルノ問題の解決に役に立たないだけでなく、逆に、人権の侵害や表現の自由の萎縮につながりかねません。
 第一に、たとえ単純所持を法律で一律に規制したとしても、児童ポルノの流出の効果的な歯止めにならないことは、単純所持を禁止しているはずの欧米各国の実態からも明りょうです。よく、「主要8カ国のなかで児童ポルノの単純所持を規制していないのは、日本とロシアだけだ」と指摘されます。しかし、現にインターネット上に流出している児童ポルノ(児童虐待)の動画像は、単純所持を禁止している欧米諸国からのものが圧倒的に多数です。たとえば、イタリアに本拠をおく児童保護団体の「虹の電話」による調査(2010年1月発表)では、2009年に確認された児童ポルノのサイトは4万9393件とされ、そのうち日本は、0.1%の54件となっています。一方、上位5位はドイツ(1万9488件、39.5%)、オランダ(1万277件、20.8%)アメリカ(8411件、17.0%)、ロシア(7118件、14.4%)、キプロス(1688件、3.4%))となっており、この5カ国だけで全体の95%を占めます。このうち、上位3カ国はいずれも児童ポルノの単純所持が禁止されています。このことをとっても単純所持の禁止や規制が、児童ポルノ流出の歯止めにならないことは明らかです。
 第二に、ネット上に流出していないにもかかわらず、単純所持を規制し、それを処罰するという場合、どのようにして単純所持を証明・把握するのかという問題があります。このことは、「憶測」や「疑惑」の段階から取り締まりを可能にすることにつながりかねず、結果として、捜査当局の恣意的な捜査を招く危険があります。また、表現の自由や、家庭生活上の写真などと児童ポルノとの関係なども考慮しなければなりません。
 なお、本来あってはならないことですが、万一被害にあった子どもがいる場合、そのプライバシーを最大限に尊重しながら、その後、社会生活を安心して送り健やかに成長できるよう、万全の保証をする必要があります。
 日本漫画家協会や日本雑誌協会からは、自公維の「改正」案にたいして、きびしい反対の意見が上がっています。たとえば、漫画家協会の「児童ポルノ規制法案に向けての意見書」(2013年5月29日)は、「他国に類を見ない独自のマンガ文化を育んできた日本の貴重な文化的土壌が、危機的に変質させられる可能性が非常に高い今回の規制法案について、創作者の立場から見過ごせない問題がある」「今回の法案では、単純所持まで規制の対象としており、仮にマンガ・アニメなども規制の対象になると、諸外国のような文化的除外規定のない我が国では、多くの漫画家が新たに描き起こす、未来の作品全般に対する重大な悪影響はもちろん、過去作品の原稿までが新しい規制に抵触してしまいます」と重大な懸念を表明しています。
 また、日本雑誌協会の「『児童ポルノ禁止法』改正法案への反対声明」(2013年5月29日)も、「『児童ポルノ』の定義が曖昧なままでの「単純所持禁止」は不当な処罰を招く」としたうえで、マンガ・アニメにまで規制を及ぼそうとしていることについて、「児童保護の名を借りて不要な表現規制をかけ、読者から漫画を読む権利を奪うものといえる。そうした過剰規制は表現の萎縮を招き、漫画という日本の誇る表現形態の破壊につながりかねない」と批判しています。この声明には、日本出版書籍協会も名前を連ねています。
 このほかにも日本マンガ学会、日本アニメーター・演出協会、全国同人誌即売会連絡会などの関連団体から、いっせいに批判の声があがっています。
 安倍首相は、2013年2月28日の施政方針演説で、マンガやアニメなどを、世界に誇る文化として発信していこうと、次のように演説しました。
 「日本のコンテンツやファッション、文化・伝統の強みも、世界から注目されています。アニメなどのブームを一過性のものに終わらせることなく、世界の人たちを惹(ひ)きつける観光立国を推進することに加え、『クール・ジャパン』を世界に誇るビジネスにしていきましょう」
それぞれの国民や業界団体などがそれぞれの立場で開拓し蓄積し、根づかせてきた文化や芸術について、海外に売り込むために政府が音頭をとったり主導したりする点については、さまざまな意見や疑問があります。しかし、前述した諸団体の反対声明にあるように、自公維3党の児童ポルノ禁止法の「改正」案は、みずからの戦略に照らしても、日本発祥の世界に誇るアニメ・マンガ文化を振興するどころか、逆に水をさしたり冷水を浴びせたりする結果にしかならないことは明白です。

<生活の党>
Ⅲ−7.TPPには反対、国益にかなう経済連携は推進
(略)

<みどりの風>
3 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加に反対します
(略)

<新党大地>
○TPP断固反対

 まず、案の定知財政策に関しては各党とも具体的に中身のあることをほとんど書いていない。一見自民党などはいろいろ書いているように見えるかも知れないが、知財計画の焼き直し程度でほとんど意味はない。ただ、公約という位置づけではないのかも知れないが、自民党が政策集に今までの隣接権の付与とは異なるニュアンスで出版権の見直しについて書いていることくらいは注意しておいても良いだろうか。(特に選挙と関係する形で出されているものではないが、自民党は知的財産戦略調査会の10の提言(pdf)要旨(pdf))というペーパーも4月に作っている。)

 しかし、公約上知財政策に関する具体的な中身がないにしても、何度も書いている通り、今後の日本の著作権政策がTPP交渉に引きずられるのは間違いなく、その推進は著作権保護強化に直結すると見て良いだろうと私は考えており、この点で自民、公明、民主、みんな、維新が基本的にTPP推進で、それ以外が反対と、賛成反対が明確に分かれているのは非常に分かりやすい。

 次に、表現規制問題関連では、自民党が検察・検察の体制やサイバーセキュリティの強化、「青少年健全育成基本法」の制定などに言及している点は要注意だろう。この点で今の自民党ではどこをどうやっても危険な規制強化案しか出して来ないだろうことは目に見えているのである。(やはり選挙と関係する形で出されているものではないが、自民党が何を考えているかについては、5月に出している、児童ポルノの単純所持規制の導入などかなり強力な規制強化案を含む世界一の安全を取り戻すために ~緊急に取り組むべき3つの課題(提言)(pdf)構成(pdf))というペーパーも参考になる。)

 また、何にも増して気をつけておきたいのは前回衆院選時と同じく自民党の政権公約が憲法改正を含んでいることである。自民党のゴミクズ以下の憲法改正案(自民党のHP参照)についてここで事細かに突っ込む気はないが、明らかに自民党はこの憲法改正で実質的に表現の自由などの基本的人権の制約・国民からの剥奪を狙っているのである。(毎日新聞の記事によると、多少見直す動きもあるようだが、検討する人間がそう変わるとも考えられず、自民党内でいくら検討したところで似たような非道い案しか出て来ようがないだろう。この問題に関心のある方は、「自民党憲法草案の条文解説」や「Afternoon Cafe」のブログ記事自民党改憲案「“超”口語訳」(1)(2)なども合わせてご覧になることをお勧めする。)また、時事通信の記事などによると、維新の会の改憲原案も自民党と同じく非道い内容のようであり、維新の会も自民と同じかそれ以上に危険であることは間違いない。

 ここで、社民党と共産党が公約レベルで児童ポルノ規制の強化について慎重な姿勢を示してくれているのは非常にありがたい。

 さらに、公約という訳ではないが、児童ポルノ規制に関しては、ITmediaの記事になっている通り、ニコニコ動画の党首討論会での各党党首の見解も非常に参考になる。この党首討論から単純所持規制を含む自公維の改正案(国会の議案本文情報経過情報)参照)に対する見解をまとめると以下のようになるだろう。(ニコニコニュースの全文書き起し記事も参照。)

  • 自民党・安倍総裁:単純所持禁止は国際動向からきっちり進めて行く流れになっている。アニメやCG等については表現の自由との関係で慎重にするということになっている。
  • 公明党・山口代表:改正は必要。日本は国際社会から厳しい批判にさらされている。表現の自由等については一定の配慮は必要だが、実害の大きさに目をつぶる訳にはいかない。
  • 民主党・海江田代表:最低限でも修正が必要。単純所持規制には安全装置をつけなければいけない。漫画やアニメにについては性的虐待の被害児童が存在しないことを考えなければいけない。若い漫画家やアニメの作画家達が萎縮をしてしまうことになるから、絶対、修正は必要。
  • みんなの党・渡辺代表:さらに検討が必要。3つ問題点がある。第一に漫画やアニメが規制されようとしていること。自主規制によって漫画・アニメの文化が廃れる恐れもあり、憲法21条に抵触する可能性もある。第二に単純所持禁止については検察・警察による恣意的な捜査・逮捕を可能にしてはいけない、第三に検索エンジン会社による運用が難しく、広範なブロッキングを招く。
  • 社民党・福島党首:改正案には反対。児童ポルノの定義が曖昧なために、自分の持っているものが児童ポルノとは思わなかったということもある。恣意的な捜索の可能性もある。アニメやCGなどの規制は表現の自由との関係で問題がある。
  • 共産党・志位委員長:児童ポルノ法で単純所持を一律に規制したり、アニメや漫画などの創作物も規制対象にするということは、児童ポルノ問題の解決に役に立たないばかりか、表現の自由あるいは、人権の侵害、これにも繋がって来るので反対。今、インターネット上に流布されている児童ポルノは、そのほとんどが現行法で取り締まることが可能。
  • 生活の党・小沢代表:改正案に反対。改正案は児童ポルノを理由に政府、官僚の規制を広範囲に強化することに繋がる恐れがある。表現の自由を阻害する可能性が大きく、世界的に評価されている漫画やアニメなど日本発のコンテンツを損なう恐れもあることから反対する。
  • みどりの風・谷岡代表:改正案は反対。日本のクールジャパンの原動力になっているサブカルチャーというものを破壊してしまう可能性がある。非存在青少年を対象に含めるようなことは全くあり得ない話。

 自民党はアニメについては慎重にする云々と言っているが法改正案から創作物規制もやりたくて仕方がないのは見え見えであり、今の主要メンバーを見る限り、今後もあらゆる点で有害かつ危険な規制強化に固執し続けることだろう。この党首討論会に維新の会は欠席したようだが、自公の法改正案に相乗りしていることからも分かるように維新の会は明らかに規制推進側に立っている。(この規制推進スタンスは、別の各党座談会(「現代 note」の書き起しブログ記事児童ポルノ法を改正して漫画・アニメを規制する1参照)で維新代表の山田宏衆院議員が述べていることからも確認できる。)また、民主党の児童ポルノ規制に関するスタンスについては、樽井良和候補がブログ記事で公開して下さっている民主党の考え方(案)(pdf)も参考になる。(まだ案の段階だが、非常に出来の良かった前回の民主党改正案(第254回参照)の考え方に大体沿った内容と言えるのではないかと思う。)

 ほとんど作るまでもないかも知れないが、上で抜き出したTPP交渉と児童ポルノ規制に関する各党のスタンスについて表を作ると以下のようになるだろう。

Kisei_table
 TPP交渉の推進が著作権規制の強化に直結すると見て、表現規制問題・文化政策に関しては児童ポルノ規制に関する見解がほぼ全てを物語っているに等しいと見て、私は今回も各党のTPP交渉と児童ポルノ規制に関するスタンスを参考に投票するつもりである。

(2)規制強化慎重・反対派元国会議員候補リスト
 前回衆院選時に作ったもの(番外その34番外その35参照)から大きく変わったということはないので、詳しくは元のエントリを見て頂ければと思うが、特に著作権・表現規制問題に関わり、今回参議院選挙に立候補することが予定されている慎重・反対派元議員候補のリストを以下に載せる。(前回リストと同じく特に規制強化に慎重な立場を表明している元議員候補の名前を字で示している。なお、前回衆院選以降に出された請願としては児童ポルノ規制法に関して慎重な取り扱いを求める請願が衆議院(請願情報参照)と参議院(請願要旨一覧参照)に1つずつあり、それぞれ西村眞悟衆院議員(無所属)と、森田高参院議員(無所属)、山田太郎参院議員(みんな)、松浦大悟参院議員(民主)が紹介議員となっている。)

○ダウンロード犯罪化・ACTA反対・慎重派元議員候補
森ゆうこ候補<生活・新潟県>(HPtwitterwiki):法改正に反対票を投じ、ダウンロード犯罪化に関する質問主意書を提出、ACTAに慎重な立場を表明、ACTA批准に反対票を投じた
はたともこ候補<生活・比例>(HPtwitterwiki):ダウンロード犯罪化に関する質問主意書を提出
三宅雪子候補<生活・比例>(HPtwitterwiki):ACTAに関して反対の立場を表明、衆議院本会議で反対
谷岡郁子候補<みどりの風・比例>(HPtwitterwiki):ACTAに慎重な立場を表明、ACTA批准に反対票を投じた
・亀井亜紀子候補<みどりの風・島根>(HPwiki):ACTA批准に反対票を投じた
・行田邦子候補<みどりの風→みんな・埼玉>(HPtwitterwiki):ACTA批准に反対票を投じた
・井上哲士候補<共産・比例>(HPtwitterwiki):法改正に反対票を投じた
・紙智子候補<共産・比例>(HPtwitterwiki):法改正に反対票を投じた
・山下芳生候補<共産・比例>(HPtwitterwiki):法改正に反対票を投じた
・又市征治候補<社民・比例>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・米長晴信候補<無所属→みんな・山梨>(HPtwitterwiki):ACTA批准に反対票を投じた
・糸数慶子候補<無所属・沖縄>(HPtwitterwiki):法改正に反対票を投じた
・世耕弘成候補<自民・和歌山>(HPtwitterwiki):ダウンロード犯罪化について慎重な意見を表明
・山本一太候補<自民・群馬>(HPtwitterwiki):ダウンロード犯罪化について慎重な意見を表明

○児童ポルノ規制強化慎重・反対派元議員候補
松浦大悟候補<民主・秋田>(HPtwitterwiki):請願の紹介議員
樽井良和候補<民主・比例>(HPtwitterwiki):児童ポルノ規制強化に関して慎重・反対の立場を表明
・谷岡郁子候補<みどりの風・比例>(HPtwitterwiki):平成22年3月16日の文教科学委員会で規制について慎重な意見を表明(議事録参照)
・佐藤正久議員<自民・比例>(HPtwitterwiki):請願の紹介議員
(請願については、慎重な取り扱いを求める請願参照)

 ネット選挙の解禁によって、また今回の選挙で何かが劇的に変わるということはないと思うが、それでも今回の参議院選挙も自らの意思で国政に票を投じることのできる貴重な機会であり、是非一人でも多くの人に選挙に行ってもらいたいと私も思っている。

(なお、今回からネット選挙が解禁されることになる訳だが、何でもできるようになったなどということは無論ないので、総務省の解説ページなどを良く読んで選挙期間中書き込みなどに十分に気をつけておくに越したことはないだろう。)

(2013年7月4日夜の追記:いくつか誤記を修正し、合わせて、児童ポルノ規制に関する自民のスタンスについて説明が少し足りないかと思ったので、「自民党はアニメについては慎重にする云々と言っているが法改正案から創作物規制もやりたくて仕方がないのは見え見えであり、今の主要メンバーを見る限り、今後もあらゆる点で有害かつ危険な規制強化に固執し続けることだろう。」という文章をつけ加えた。)

(2016年6月19日夜の追記:誤記を直した(「青」→削除)。)

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2012年12月 3日 (月)

番外その36:著作権・情報・表現規制問題に関する注目選挙区リスト(2012年衆院選版)

 各候補が議員として今まで何をして来たかは前々回前々々回も参照頂ければと思うが、著作権・情報・表現規制問題の観点から今回の衆議院選挙で私が特に注目している選挙区の立候補予定者リストをここに載せる。ただし、12月3日時点の情報を元に書いているので今後変動があるかも知れないことにご注意頂きたい。

 どうしてもマイナーな問題たらざるを得ない著作権・情報・表現規制問題ではわずかな数の議員の当落が今後の行方に大きく影響して来る。どのような観点から票を入れるにせよ、是非一人でも多くの人に選挙に行ってもらいたいと思う。

 なお、繰り返しになるが、政党としては、リストにあげるまでもなく規制強化を党として一貫して推進している公明党が一番危険であり、自民党は候補によって立場に違いがあるが党としてはほぼお話にならないレベルで規制強化に凝り固まっており、民主党は候補によって規制強化にかなり反対・慎重な立場を示すものの全体としては政権与党として官僚に流され、民主党の中でも規制強化に特に慎重な立場を示した多くの候補が日本未来の党に移っており、社民党と共産党がかなり明確に党として規制強化に慎重な立場を示しているということを念のため前置きとして書いておく。(自民党の危険性は、都条例問題の際にかなり強烈な強力効果論から規制強化を支持していた赤枝恒雄氏を東京ブロックの比例候補にあげていることにも見て取れる。)

(以下、注目選挙区リスト。各種情報規制に推進の立場を取る候補の名前を赤で、慎重な立場を取る候補の名前を青で示す。)

○宮城2区
斎藤やすのり候補<未来>(HPtwitterwiki):ACTAに反対
・福島かずえ候補<共産>(HPtwitter
・今野東候補<民主>(HPwiki
・秋葉賢也候補<自民>(HPtwitterwiki
・菊地文博候補<みんな>(HPtwitter
・中野正志候補<維新>(HPtwitterwiki

○秋田3区
京野公子候補<未来>(HPtwitterwiki):ACTAに反対
・さとう長右衛門候補<共産>
・三井マリ子候補<民主>(HPwiki
・御法川信英候補<自民>(HPwiki
・村岡としひで候補<維新>(HPtwitter

○茨城3区
小泉俊明候補<未来>(HPwiki):ACTAに反対
・小林きょうこ候補<共産>(twitter
・前田よしなり候補<維新>(HPtwitter
葉梨康弘候補<自民>(HPwiki):前回の児童ポルノ規制法改正案国会審議で最も危険な違憲発言を繰り返していた危険人物

○埼玉5区
枝野幸男候補<民主>(HPwiki):前回の児童ポルノ規制法改正案国会審議での立役者の一人
・大石ゆたか候補<共産>
・牧原秀樹候補<自民>(HPwiki

○千葉4区
三宅雪子候補<未来>(HPtwitterwiki):ACTAに反対
・さいとう和子候補<共産>(HPtwitter
野田佳彦候補<民主>(HPwiki):現首相
・藤田幹雄候補<自民>(HPwiki

○東京6区
・佐藤なおき候補<共産>(HPtwitter
・越智隆雄候補<自民>(HPtwitterwiki
小宮山洋子候補<民主>(HPwiki):前回の児童ポルノ規制法改正案国会審議で規制派であることを暴露
・落合貴之候補<みんな>(HPtwitter
・花輪ともふみ候補<維新>(HP

○東京11区
・橋本久美候補<未来>(HPtwitter
・須藤武美候補<共産>(HPtwitter
・太田順子候補<民主>(HP
・いのたかし候補<維新>
下村博文候補<自民>(HPwiki):自民党文部科学部会長、ダウンロード犯罪化修正案の提案者の一人

○神奈川13区
橘秀徳候補<民主>(HPtwitterwiki):ACTAに反対
・宮応かつゆき候補<共産>(HPtwitter
甘利明候補<自民>(HPwiki):出版隣接権導入勉強会参加メンバーの一人
・菅原直敏候補<みんな>(HPtwitter
・太田ゆうすけ候補<維新>(HP

○神奈川16区
・池田博英候補<共産>(HPtwitter
・後藤祐一候補<民主>(HPwiki
義家弘介候補<自民>(HPwiki):情報・表現規制問題では有名な規制派の一人、青少年健全育成基本法プロジェクトチーム座長

○石川1区
・熊野盛夫候補<未来>
・黒崎きよのり候補<共産>
・奥田建候補<民主>(HPwiki
・小間井俊輔候補<維新>(HPtwitter
馳浩候補<自民>(HPwiki):ダウンロード犯罪化修正案の提案者の一人

○三重2区
・中野たけし候補<共産> (HP
・島田佳和候補<自民>(HP
中川正春候補<民主>(HPwiki):出版隣接権導入勉強会の座長
・ちんどう直人候補<維新>(HPtwitter

○大阪15区
大谷啓候補<未来>(HPtwitterwiki):ACTAに反対
・ため仁史候補<共産>
・竹本直一候補<自民>(HPwiki
・うらの靖人候補<維新>(HPtwitter

○大阪17区
辻惠候補<未来>(HPtwitterwiki):民主党案の提案者の一人
・吉岡たかよし候補<共産>
・西哲史候補<民主>(HPtwitter
・岡下信子候補<自民>(HPwiki
・馬場伸幸候補<維新>(HP

○奈良2区
中村哲治候補<未来>(HPtwitterwiki):児童ポルノ法規制の強化に慎重
・中野あけみ候補<共産>
・百武威候補<民主>(HPtwitter
高市早苗候補<自民>(HPwiki):児童ポルノ法改正自公案の提出者の一人
・なみかわ健候補<維新>(HP

○岡山3区
・ふるまつ国昭候補<共産>
・西村啓聡候補<民主>(HP
あべ俊子候補<自民>(HPtwitterwiki):国会審議で単純所持規制を含む児童ポルノ規制法改正を求める
・平沼赳夫候補<維新>(HPwiki

○山口3区
・五十嵐ひとみ候補<共産>
・中屋大介候補<民主>(HPtwitterwiki
河村健夫候補<自民>(HPwiki):元文部科学大臣、ダウンロード犯罪化修正案の提案者の一人、出版隣接権導入勉強会参加メンバー

○鹿児島1区
川内博史候補<民主>(HPtwitterwiki):ダウンロード犯罪化に慎重
・山口ひろのぶ候補<共産>
・渡辺信一郎候補<未来>
・保岡興治候補<自民>(HPwiki
・山之内つよし候補<維新>(twitter

(2012年12月3日の追記:1カ所誤記を修正した。公認情報を見て追記を行った。)

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2012年12月 2日 (日)

第283回:主要政党の2012年衆院選マニフェスト(政権公約)案比較(知財政策・情報・表現規制問題関連)

 主要政党の衆議院マニフェスト(政権公約)案がほぼ出そろったので、ここで知財・情報関連に絞って比較をしておきたいと思う。(実際には公示日以降に配られるものが正式版となるが、大して変わることはないだろう。)

 一通り、

を読み比べたところで、案の定、知財政策に関してはどの党もほとんど記載はないに等しく、情報・表現規制問題に関して自民党が突出して危険であることを露骨に示し、公明党がやはり危険な児童ポルノの単純所持規制の導入を求める一方で、社民党と共産党が児童ポルノ規制の強化にかなり慎重な立場を表明している他は知財政策・情報・表現規制問題に関しては取り立てて見るべきところはあまりないという状況だが、以下、念のために関連部分の記載を取り上げて行く。

(1)知財関連

<民主党>
○国内外のイベント開催、クールジャパン番組の海外放送などにより、日本の映像、ファッション、伝統文化、食などの発信を高め、クールジャパン関連の市場規模を9.3兆円(2016年度)に拡大する。

<自民党>
30「国富」を生み出す知財戦略
 資源に乏しいわが国にとって「知的財産」はまさに、「国富」を生み出す一つの手段であり、確固たる知財戦略を構築する必要があります。巨額な費用と時間をかけて生み出された「財産」を保護し、それを利用してさらなる「国富」を生み出すことは持続発展可能な経済にとっては不可欠なことです。知財の取得・活用を国家戦略としてサポートするため、まずは、研究開発の成果物が迅速に知的財産として保護されるよう「審査の迅速化」を進めます。特に、別の国においても早期に審査が受けられる体制も併せて進めます。
 また、大学等の研究機関が専門的知識と経験を有する知財人材を十分に確保できる支援体制の整備に努めます。
 一方、わが国で確立された最先端の技術が知的財産として保護されることなく流出することは、国益を大きく損ねることになるため、技術流出を防止する制度をさらに強化していきます。

39世界へ向けた情報発信力の強化、デジタルコンテンツ市場の拡大
 「クール・ジャパン戦略」を推進し、日本のものづくり技術と世界に誇る日本のアニメを掛け合わせた他の追随を許さない真のJAPANオリジナルコンテンツの創造や東京国際映画祭のグリーンカーペットをアジアのステイタスとするための環境整備(大規模展示会場の建設等)、世界のコンテンツのメッカとして秋葉原を街ごとバジョンアップさせる等、観光資源としてだけでなく世界的イベントのホスト国となる機会を増やすための取り組みを進めます。文化・伝統(衣食住)などわが国の持つ魅力(ソフトパワー)を積極的に海外に発信します。特に、世界に広がりをみせる放送コンテンツの海外展開や電子書籍・電子雑誌の流通促進、電子看板(デジタルサイネージ)の推進などにより、デジタルコンテンツ市場の拡大を支援し、地域を含めたわが国社会経済の活力を増大させます。JAPANブランド委員会を設立し、国をあげて、日本の伝統工芸品を新しいかたちで世界へ向けて飛躍させるとともに、アニメ・マンガ・ゲームなどのコンテンツ作成だけではなく、「イベント創造」「営業方法」など、利益を生むトータルでのシステム構築を支援します。あわせて、文化・感性商品としての特性を有する日本の生活支援ロボットなどロボット製造技術の活用・育成に繋げていきます。
 また、海賊版・模造品対策を一層強化します。

91イノベーションの実現に向けた制度改革
 新たな産業や雇用を創出するため、企業だけでは実現できない革新的なイノベーションを産学連携で実現するとともに、イノベーションを妨げる各種規制を官邸=司令塔主導で抜本改革します。
 研究開発税制やエンジェル税制の対象拡充等の税制改革や、ベンチャー支援の充実等の制度改革、特許等の知的財産の迅速な保護及び円滑な利活用を促進するための知的財産制度の改革、イノベーションの隘路となっている規制や社会制度等の改革を強力に推進します。国際標準の獲得を目指す各国の動きが一層活発化していることから、特に、アジア諸国等との連携・協力の促進を念頭に置いて、官民協働による戦略的な国際標準化活動を抜本的に強化します。
 わが国が優れた先端技術を持つ基幹インフラについて、建設から運用、人材養成への寄与までを一体システムとしてとらえ、官民協働による海外輸出・展開活動を大幅に強化します。

<公明党>
○国内外で人気が高い日本のアニメやファッション、食など、グローバルにビジネス展開できる文化の産業化および海外展開を一層推進するために、海外でビジネス展開できる人材の育成・活用や、日本国内に利益を還元する仕組みを構築します。

○マンガ、ゲーム、アニメ、映画、デザイン・ファッションなど、価値を生産するコンテンツ(クリエイティプ)産業を日本経済の一翼を担う産業として位置付け、抜本的な支援強化に取り組みます。
 ・著作権取引支援システムの構築
 ・プロデュース人材の育成や事業化支援
 ・コンテンツ技術開発の促進
 ・ファイナンスや販路開拓等海外展開支援
 ・国際共同製作案件への支援、コンテンツ取引市場作り支援
 ・人材流出防止や海賊版防止

○ゲーム・ソフトウエアなどさまざまな知的資産によって、国外への情報発信を応援します。

○研究力・開発力・信用力の向上など中小企業の経営基盤の強化に資する知的財産の活用を促進するため、法整備や税制措置などのインフラ整備を戦略的に行い、創造・活用・保護など知的財産活用促進のための総合的支援を強化します。

○経営基盤の弱い事業者による知的財産の創造のため総合的な支援策を講じるとともに、技術およびビジネスモデル等における知的財産権の獲得と確保に向けた軽減措置に取り組みます。

○知的財産権の発掘・強化・拡大に向けた産学連携モデル事業の推進を図るとともに、共同研究の成果を迅速に事業化に結びつける仕組みを整備します。

<みんなの党>
○メディアコンテンツ、ファッション、食、観光等を輸出産業として育成するため、カテゴリーを横断した日本文化産業全体のブランドコンセプトを創出。重点地域市場における現地支援プラットフォームを設立(市場調査、現地パートナーの紹介・交渉、共同流通網の構築等シェアドサービス的機能を提供)、関連産業の再編と強いブランドポートフォリオの形成。これを可能とするファンド機能とマネジメントチームを組成する。

<社民党>
○日本が持つアニメ・漫画などのコンテンツ、商業デザイン、クリエーターの感性をいかした情報発信や海外展開など、中小零細企業が主導する「クールジャパン」事業を拡大し、雇用環境の整備も実施します。

<共産党>
 日本の芸術・文化の発展のうえで各ジャンルの専門家の役割はきわめて重要です。ところが、その専門家の権利や社会保障がないがしろにされています。こうした状態を改め、著作権者の権利を守ることや、専門家の低収入、社会保障の改善にとりくみます。
 著作権は、表現の自由を守りながら権利者を守る制度として文化の発展に役立ってきました。ところが、映画の著作物はすべて製作会社に権利が移転され、映画 監督やスタッフに権利がありません。実演家もいったん固定された映像作品への権利がありません。国際的には視聴覚実演に関する条約が作成されるなど、実演家の権利を認める流れや、映画監督の権利充実をはかろうという流れが生まれています。著作権法を改正し、映画監督やスタッフ、実演家の権利を確立します。
 一部の大企業は、私的録音録画補償金制度への協力義務を非難するだけでなく、実際に放棄してしまいました。こうした横暴を許さず、著作物を利用することで利益を得るメーカーに応分の負担を求め、作家・実演家の利益をまもります。

<新党改革>
○日本には閉塞感が渦巻いていますが、世界に向けて発信している産業には活気が満ち溢れています。その代表といえるのが、アニメとファッションです。1990年代後半から海外進出が急拡大しました。日本の文化(アニメ、ファッション、アートなど)を海外に積極的に発信し、その競争優位性を高めることで、ビジネスとしての文化戦略を実行していきます。

 これらの記載を読むと多少自民党や公明党が文章を長めに書いており多少力を入れているように見えなくもないが具体的な内容にかかわる言及は何もなく、どこの党も知財政策については何も書いていないに等しい。そのため、残念ながら選挙の結果がどうあれ、知財政策については今後も今と同じような状況が続くのではないかと私は考えている。特に今まで自公と文化庁がこぞって危険な規制強化を強力に推進して来たことを考えると、総選挙の結果次第で、またぞろ出版社への隣接権付与やダウンロード違法化・犯罪化の範囲の拡大、保護期間延長など各種の規制強化で日本の知財制度が大きく歪められる可能性が高まることになるのだろう。

(ここでついでに書いておくと、共産党の私的録音録画補償金問題に関する理解はどうにも頂けない。前回の著作権法改正の国会審議で共産党がダウンロード犯罪化に反対してくれたのは非常にありがたいのだが。)

(2)情報・表現規制関連

<自民党>
44サイバーセキュリティの対策強化
 頻発するサイバー犯罪から国民を守るため、さらに各省の連携を強化し、総合力を発揮できる体制を整備するとともに、官への投資と民間転用を呼び水に経済成長へ貢献します。
 特に、警察庁や防衛省、海上保安庁において、米国並みの動的防御システムやバックアップシステムを早急に構築します。また、政府機関の全ての情報機器や複合機を厳密なセキュリティ監視下におくための措置を早急に整備します。これらの施策と共に、最高度のセキュリティ技術を製品/サービス化し政府機関に納入するとともに、民間へ転用するための拠点を構築する事を呼び水として、わが国の高度情報セキュリティ産業を創出し、10万人規模の新規雇用を創出して経済成長へ貢献します。

183総合的な治安対策の強化
 平成20年に策定した「世界一安全な国をつくる8つの宣言」により、犯罪に強いまちづくりの推進、振り込め詐欺の撲滅、犯罪被害者の支援、生活の安全・安心を脅かす事案への対処、凶悪犯罪への対処、インターネット利用を含めたサイバー空間の安全確保、組織犯罪対策、銃器・薬物対策、客観的証拠の収集方法の整備、さらに死因究明体制の強化等を一層推進します。そして、国際的なテロなどに対処するために必要な資機材を整備し、情報収集・分析の為の体制を強化・拡充します。

188家族の絆を深め、家庭基盤を充実させ、全員参加型社会の実現へ
 社会の基礎単位である家族を大切にするという視点に立ち、家族の絆を深め、家庭基盤の充実を図ります。また、家庭や地域社会の機能を引き出し、老若男女が生きがいを持って働き続けられる社会整備を進めます。特に、家庭資産の形成がはかれるような税制の改正、三世代同居・近居の優遇、質の高い持家・借家制度等を進めます。
 地域、職場、家庭などあらゆる場面で、年齢や性別、障害の有無に関わらず活躍できる社会環境づくりを推進します。
 そして、配偶者からの暴力の根絶に向けた取り組みを図るため、DV被害者に対する相談体制の強化や、婦人相談所等での夜間・土日対応の強化について推進します。
 また、青少年の健全な成長に資する「青少年健全育成基本法案」の法整備など総合的な施策を推進します。

<公明党>
○子どもの福祉の観点から、児童ポルノ禁止法を改正し、児童ポルノの所持等を禁止するとともに、自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持等を処罰する罰則を新設します。

○青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするため、全国で青少年のリテラシー(情報の理解力・発信力)を向上させる活動やインターネットが青少年に与える影響の調査を踏まえた的確な対策、違法・有害情報の検出等に資する技術開発への積極的な支援を行います。

<社民党>
○児童ポルノは子どもの性的虐待の記録です。被害者は、インターネット等による膨大広範な流布等に対する不安と恐怖に一生苦しめられます。児童ポルノの深刻さを国民に広く知らせるとともに、子どもの権利保護の観点から、ブロッキング(撮影された画像が人目に触れないようにする)の導入に必要な支援を行います。
○先進諸国は児童ポルノに対して厳しい規制を行っています。日本においても、子どもの人権を守る観点から子ども買春の根絶と児童ポルノの規制強化に向け、「児童買春・児童ポルノ禁止法」の改正に取り組みます。なお、この際、表現の自由を侵したり、表現者に過度の萎縮をもたらす強権的なものとならないように留意します。

<共産党>
児童ポルノ禁止法改定問題について……子どもを性的対象とする児童ポルノは、子どもにたいする最悪の虐待行為であり、その非人間的な行為を日本共産党は絶対に容認することはできません。1人の被害者も出さない社会をつくりだすことは、大人社会の重大な責任です。
 同時に、児童ポルノそのものの作成・流通・販売をきびしく禁止し、取り締まることと、「単純所持」を法的に禁止することは厳密に区別する必要があると考えます。
 現在、インターネット上などで流布されている児童ポルノは、そのほとんどが現行法によって取り締まることが可能です。児童ポルノ法第7条では、「児童ポルノを提供し」、それを目的として「製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者」にたいして、「三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金」がかけられることになっています。これを厳格に運用するなら、ネット上に流れているほぼすべての児童ポルノを一掃することが可能となります。
 一方、児童ポルノ法で単純所持を一律に規制したり、漫画・アニメーションなどの創作物も規制対象に加えたりすることは、児童ポルノ問題の解決に役に立たないだけでなく、逆に、人権の侵害や表現の自由の萎縮につながりかねません。
 第1に、たとえ単純所持を法律で一律に規制したとしても、児童ポルノの流出の効果的な歯止めにならないことは、単純所持を禁止しているはずの欧米各国の実態からも明りょうです。よく、「主要8カ国のなかで児童ポルノの単純所持を規制していないのは、日本とロシアだけだ」と指摘されます。しかし、現にインターネット上に流出している児童ポルノ(児童虐待)の動画像は、単純所持を禁止している欧米諸国からのものが圧倒的に多数です。たとえば、イタリアに本拠をおく児童保護団体の「虹の電話」による調査(2010年1月発表)では、2009年に確認された児童ポルノのサイトは4万9393件とされ、そのうち日本は、0.1%の54件となっています。一方、上位5位はドイツ(1万9488件、39.5%)、オランダ(1万277件、20.8%)アメリカ(8411件、17.0%)、ロシア(7118件、14.4%)、キプロス(1688件、3.4%))となっており、この5カ国だけで全体の95%を占めます。このうち、上位3カ国はいずれも児童ポルノの単純所持が禁止されています。このことをとっても単純所持の禁止や規制が、児童ポルノ流出の歯止めにならないことは明らかです。
 第2に、ネット上に流出していないにもかかわらず、単純所持を規制し、それを処罰するという場合、どのようにして単純所持を証明・把握するのかという問題があります。このことは、「憶測」や「疑惑」の段階から取り締まりを可能にすることにつながりかねず、結果として、捜査当局の恣意的な捜査を招く危険があります。また、表現の自由や、家庭生活上の写真などと児童ポルノとの関係なども考慮しなければなりません。
 なお、本来あってはならないことですが、万一被害にあった子どもがいる場合、そのプライバシーを最大限に尊重しながら、その後、社会生活を安心して送り健やかに成長できるよう、万全の保証をする必要があります。

 情報・表現規制問題に関しては、具体的にどうするという記載こそないものの、今まで様々な危険な規制強化を推進してきた自民党が、サイバーセキュリティの強化や総合的な治安対策の強化、青少年健全育成基本法案の推進などをあげている点は要注意だろう。前回の総選挙の時と同様、公明党が児童ポルノの単純所持規制の導入をあげている点も要注意であり、インターネットが青少年に与える影響の調査を踏まえて対策をすると書いていることも気をつけておかなければならない。また、社民党がブロッキングの導入を支援するとしている点は今ひとつ頂けないが、対照的に、社民党と共産党が児童ポルノ規制の強化について慎重な姿勢を示してくれているのは大変ありがたい。

 ここで、最も注意すべきは自民党の政権公約が憲法改正を含んでいることだろう。自民党のゴミクズ以下の憲法改正案(自民党のHP参照)についてここで事細かに突っ込む気はないが、この改正案は表現の自由に関する第21条第1項「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。」に「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。」という第2項を追加しようとしているなど、明らかに自民党はこの憲法改正で実質的に国民からの基本的人権の剥奪を狙っているのである。少しでも法律を勉強したことのある人間ならこのような条文の変更がどれほど危険なことかすぐに分かると思うが、他の条項に関しても軒並み非道いものであり、総選挙の結果次第でこのような改正案がそれなりに現実感をもって国会で議論されることになるかと思うと私は心底慄然たるものを感じる。

 なお、日本維新の会も自主憲法の制定について触れており、具体的な内容の言及こそないものの、あの石原慎太郎元都知事が代表をやっている時点でどのようなものが出て来るかは推して知るべきだろう。維新も憲法改正については自民と同じかそれ以上に危険である。

(3)TPP関連
 知財政策・情報・表現規制問題に関して取り立てて見るべきところはあまりないのは残念だが、さすがにTPP参加問題に関してはマニフェストの記載でも以下の通り賛成反対が明確に分かれているのは分かりやすい。

<民主党>:政府が判断(→参加推進)
<自民党>:政府が聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対(→参加推進)
<公明党>:国会に調査会又は特別委員会を設置し審議できる環境をつくるべき(→参加推進)
<みんなの党>:参加推進
<日本維新の会>:参加推進
<社民党>:参加反対
<共産党>:参加反対
<日本未来の党>:参加反対
<みどりの風>:参加反対
<国民新党>:交渉参加を慎重に検討
<新党改革>:マニフェストに記載なし(党首討論会で参加反対と表明)
<新党日本>:ASEAN+6で自由貿易協定を結び、その後アメリカと協調
<新党大地>:参加反対

 民自公は態度をはっきり示していないようにも見えるが、支持団体の問題もあるので推進と言い切れないだけで、今までして来たことを考えると、今の民自公はどこでも政権与党になったところで即座に推進側に振れるだろう。それぞれの党の方針を考えれば当たり前ではあるが、加えてみんなの党と日本の維新の会が明確に参加推進で、その他は全て反対・慎重という極めて分かりやすい構図となっている。

 今回も著作権問題が選挙の争点になっていないのは個人的には非常に残念なのだが、前も書いた通り、著作権問題に関してはTPPに参加すればそのままアメリカに引っ掻き回されることは必至なので、TPPへの賛成が著作権規制の強化に直結すると見てTPPに関する賛否から判断して投票すれば大きく外れることはないだろうと私は考えており、この観点から見る限り民主党・自民党・公明党・みんなの党・日本維新の会は完全に論外であり、個人的には投票先として他の政党しか選択肢はないと考えている。

(2012年12月3日の追記:公明党がより詳細な政策集を出したので追記を行い、また、共産党の補償金問題に関する記載を見逃していたのでこれも追記した。)

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2012年11月18日 (日)

番外その34:前回総選挙以来の著作権法改正関係国会議員リスト

 この11月16日に衆議院が解散され、12月4日公示、16日投開票という総選挙日程が示された。残念ながら、今回も著作権問題が選挙の争点となることはないだろうが、多少なりとも誰かの参考になるかも分からないので、ここで番外として前回総選挙から3年あまりの間に議論され、成立して来た各種著作権法改正に関係して名前が出て来た国会議員のリストを載せる。

(1)ダウンロード犯罪化を含む著作権法改正関係
 この3年あまりの間で一番大きな問題を含む法改正はダウンロード犯罪化だと私は思っている。10月1日の施行以来今のところ逮捕者は出ていないようで、遠隔操作ウィルスによる冤罪問題でそれどころじゃないというのもあるかも知れないが、法改正をして何もしないというのも今の警察の振る舞いから見てあり得ないだろうし、何かしらの形で逮捕者が出るのは時間の問題だろう。

 この著作権法改正案はこの6月15日に衆議院文部科学委員会及び本会議で可決され、6月20日に参議院文教科学委員会及び本会議で可決されたものだが、ここでこのダウンロード犯罪化について特に忘れてはならないのは、まず推進したのが自民公明の両党であって、消費税増税法案の成立と引き換えに文化庁作成・内閣提出の著作権法改正案の中に混ぜ込まれて最終的に成立したものだということである。

 このダウンロード犯罪化法案の成立までの経緯は、第256回第275回第276回第277回などをご覧いただければと思うが、このダウンロード犯罪化問題で名前の出て来た議員を以下にリストとして載せる。一応推進派と反対・慎重派という形で分類をしているが、自民党と民主党に関しては議員ごとに見解の違いがかなりあること、ただし自民党は党として規制強化に大きく寄っていること、また一丸となってダウンロード犯罪化を強力に推進していた節がある公明党は本当に党全体として危険であることは良く認識しておく必要がある。また、社民党と共産党は明確に党としてダウンロード犯罪化に慎重な立場を示していたことや、著作権問題で正しく懸念を表明して下さった民主党の議員の方々は今はほぼ国民の生活が第一に移っていることも大きなポイントである。なお、既に国民の生活が第一に合流しているが、新党きづなも法改正に反対していた(きづなのHP参照)。

(以下、ダウンロード犯罪化を特に推進していたと考えられる議員の名前をで、特に慎重な立場を示していた議員の名前をで示す。リストの名前の色分けの意味は以下全て同じである。)

○衆議院 ダウンロード犯罪化推進派議員
下村博文議員<自民・東京11区>(HPwiki):自民党文部科学部会長、ダウンロード犯罪化修正案の提案者の一人
河村健夫議員<自民・山口3区>(HPwiki):元文部科学大臣、ダウンロード犯罪化修正案の提案者の一人
馳浩議員<自民・比例北陸信越>(HPwiki):ダウンロード犯罪化修正案の提案者の一人
松野博一議員<自民・比例南関東>(HPwiki):ダウンロード犯罪化修正案の提案者の一人
池坊保子議員<公明・比例近畿>(HPwiki):ダウンロード犯罪化修正案の提案者の一人、今期限りで引退を表明
・斉藤鉄夫議員<公明・比例中国>(HPwiki):自公ダウンロード犯罪化法案について民主に協力要請
・平野博文議員<民主・大阪11区>(HPwiki):法改正審議時の文部科学大臣

○衆議院 ダウンロード犯罪化反対・慎重派議員
川内博史議員<民主・鹿児島1区>(HPtwitterwiki):ダウンロード犯罪化に慎重な立場を示す
宮本岳志議員<共産・比例近畿>(HPwiki):衆議院文部科学委員会でダウンロード犯罪化に反対
・木内孝胤議員<無所属・東京9区>(HPtwitterwiki):ダウンロード犯罪化に反対の立場を示す

○参議院 ダウンロード犯罪化推進派議員
鶴保庸介議員<自民・和歌山>(HPwiki):自公ダウンロード犯罪化法案の主要検討メンバーの一人
三原じゅん子議員<自民・比例代表>(HPtwitterwiki):自公ダウンロード犯罪化法案の主要検討メンバーの一人

○参議院 ダウンロード反対・慎重派議員
森ゆうこ議員<民主→生活→未来・新潟県>(HPtwitterwiki):法改正に反対票を投じ、ダウンロード犯罪化に関する質問主意書を提出
はたともこ議員<民主→生活→未来・比例代表>(HPtwitterwiki):ダウンロード犯罪化に関する質問主意書を提出
・林久美子議員<民主・滋賀>(HPtwitterwiki):民主党部会で慎重な意見を表明
・井上哲士議員<共産・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・市田忠義議員<共産・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・紙智子議員<共産・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・田村智子議員<共産・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・大門実紀史議員<共産・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・山下芳生議員<共産・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・福島みずほ議員<社民・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・又市征治議員<社民・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・山内徳信議員<社民・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・吉田忠智議員<社民・比例代表>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・糸数慶子議員<無所属・沖縄>(HPwiki):法改正に反対票を投じた
・世耕弘成議員<自民・和歌山>(HPtwitterwiki):ダウンロード犯罪化について慎重な意見を表明
・山本一太議員<自民・群馬>(HPtwitterwiki):ダウンロード犯罪化について慎重な意見を表明

 また、文化庁作成・内閣提出の著作権改正法案に元から含まれていたDRM規制の強化も私は問題なしとしないが、こちらの方がほとんど問題にされないのも非常に残念である。

(2)海賊版対策条約(ACTA)批准関係
 海賊版対策条約(ACTA)の批准は、7月31日に参議院外交防衛委員会で、8月3日参議院本会議で可決された後、問責決議で野党が欠席する中、8月31日に衆議院外務委員会で、9月6日の衆議院本会議で可決されたものである。かなり異様な決議過程を経ているが、ACTAに関しては、これが小泉政権の置き土産であるということも忘れてはならないだろう。(経緯に関しては第279回参照。ACTA自体の問題点については第280回参照。)そのため、自公に関してはリストとしてあげるまでもなくほぼ全員がACTAに関しては推進の立場を取っていたと考えられること、実際に主力となって推進していたのは外務・経産官僚であると考えられることに注意が必要ということを前置きとして、以下にリストをあげる。ACTAについては、TPPの前哨戦とも考えられることから、国民の生活が第一・新党きづなやみどりの風などの議員の方々を中心に反対の声がかなりあがっていたこと、民主党の一部でも反対の動きがあったことを覚えておくべきだろう。

○衆議院 ACTA推進派議員
・玄葉光一郎議員<民主・福島3区>(HPwiki):ACTA批准審議時の外務大臣

○衆議院 ACTA反対・慎重派議員
三宅雪子議員<生活→未来・比例北関東>(HPtwitterwiki):ACTAに関して反対の立場を表明、本会議で反対
京野公子議員<生活→未来・秋田3区>(HPtwitterwiki):ACTAに関して反対の立場を表明、本会議で反対
大谷啓議員<生活→未来・大阪15区>(HPtwitterwiki):ACTAに関して反対の立場を表明、本会議で反対
・中野渡詔子議員<生活→未来・比例東北>(HPwiki):本会議で反対
・相原史乃<生活→未来・比例南関東>(HPwiki):本会議で反対
斎藤やすのり議員<きづな→生活→未来・宮城2区>(HPtwitterwiki):ACTAに関して反対の立場を表明、本会議で反対
・渡辺義彦議員<きづな→生活→未来・比例近畿>(HPwiki):本会議で反対
・中後淳議員<きづな→生活→未来・比例南関東>(HPtwitterwiki):本会議で反対
・石田三示議員<きづな→生活→未来・比例南関東>(HPwiki):本会議で反対
川内博史議員<民主・鹿児島1区>(HPtwitterwiki):ACTAに関して慎重な立場を表明、本会議で棄権
橘秀徳議員<民主・神奈川13区>(HPtwitterwiki):ACTAに慎重な立場を表明、本会議で反対
・石山敬貴議員<民主・宮城4区>(HPtwitterwiki):本会議で反対
・近藤昭一議員<民主・愛知3区>(HPwiki):本会議で棄権
・鳩山由紀夫議員<民主・北海道9区>(HPtwitterwiki):本会議で棄権
・中山義活議員<民主・東京2区>(HPwiki):本会議で棄権
・首藤信彦<民主・神奈川7区>(HPwiki):ACTAに慎重な立場を表明
・中島隆利議員<社民・比例九州>(HPwiki):ACTAに関して慎重な立場を表明
・小泉俊明議員<減税日本→未来・茨城3区>(HPwiki):本会議で反対
・小林興起議員<減税日本→未来・比例東京>(HPwiki):本会議で反対
・平智之議員<減税日本→未来・京都1区>(HPwiki):本会議で反対
・佐藤夕子議員<減税日本→未来・愛知1区>(HPwiki):本会議で反対

○参議院 ACTA反対・慎重派議員
森ゆうこ議員<生活→未来・新潟>(HPtwitterwiki):ACTAに慎重な立場を表明、ACTA批准に反対票を投じた
・外山斎議員<生活→未来・宮城>(HPwiki):ACTA批准に反対票を投じた
・主濱了議員<生活→未来・岩手>(HPwiki):ACTA批准に反対票を投じた
谷岡郁子議員<みどりの風・愛知>(HPtwitterwiki):ACTAに慎重な立場を表明、ACTA批准に反対票を投じた
・亀井亜紀子議員<みどりの風・島根>(HPwiki):ACTA批准に反対票を投じた
・行田邦子議員<みどりの風・埼玉>(HPwiki):ACTA批准に反対票を投じた
・平山誠議員<大地・比例代表> (HPtwitterwiki):ACTA批准に反対票を投じた
・横峯良郎議員<大地・比例代表>(HPwiki):ACTA批准に反対票を投じた
・米長晴信議員<無所属・山梨>(HPwiki):ACTA批准に反対票を投じた

(3)出版社への著作隣接権付与問題関係
 このブログで大きくは取り上げて来なかったが、衆議院の中川正春議員を中心とした勉強会で出版社へ著作隣接権を付与するかどうかがずっと検討されて来ており、つい最近この出版社への隣接権を付与するべきとの結論をまとめている。(読売新聞のネット記事、印刷文化・電子文化の基盤整備に関する勉強会のHP、事務局である文字・活字文化推進機構のHP、同HP上の「出版物に係る権利 (仮称)」に関する検討の現状について(pdf)参照。)

 この結論には大きな問題があると私は考えているが、こうまとめられたからには、衆院選後、この出版社への隣接権付与は著作権関係で真っ先に問題になる話の一つだろう。この問題の大きさもさることながら、以下のようなこの勉強会の参加メンバーは議員の中で誰が権利者団体に近いのかを示すものとして参考になるだろう。

○衆議院 出版社の著作隣接権創設推進派議員
中川正春議員<民主・三重2区>(HPwiki):勉強会の座長
甘利明議員<自民・比例南関東>(HPwiki):参加メンバーの一人
河村健夫議員<自民・山口3区>(HPwiki):参加メンバーの一人
池坊保子議員<公明・比例近畿>(HPwiki):参加メンバーの一人、今期限りで引退を表明
富田茂之議員<公明・比例南関東>(HPwiki):参加メンバーの一人

○参議院 出版社の著作隣接権創設推進派議員
石橋通宏議員<民主党・比例代表>(HPwiki):参加メンバーの一人

(4)その他著作権問題関係
○音楽議員連盟参加衆議院議員
(音楽業界と関係が深い議員、芸団協のHPに掲載されている2011年12月のシンポジウム講演録(pdf)参照)
・中野寛成議員<民主・大阪8区>(HPwiki):連盟会長
・塩谷立議員<自民・比例東海>(HPwiki):連盟副会長
・斉藤鉄夫議員<公明・比例中国>(HPwiki):連盟副会長
・服部良一議員<社民・比例近畿>(HPwiki):連盟副会長、2011年12月7日の外務委員会(議事録参照)で戦時加算の問題について質問

○音楽議員連盟参加参議院議員
・鈴木寛議員<民主・東京>(HPwiki):連盟幹事長
・市田忠義<共産・比例>(HPwiki):連盟副会長、ただしダウンロード犯罪化を含む著作権法改正案では反対票を投じている

 全体的なことを言えば、著作権問題でも、規制強化を党として一貫して推進している公明党が一番危険であることに変わりはなく、自民党は議員によってかなり立場に違いがあるが最近の動きを見る限りほぼお話にならないレベルで規制強化に凝り固まっており、民主党は議員によって規制強化にかなり反対・慎重な立場を示すものの全体としては政権与党として官僚に流され、民主党の中でも規制強化に特に慎重な立場を示した多くの議員が国民の生活が第一に移り、社民党と共産党がかなり明確に党として慎重な立場を示しているということになるだろう。さらにぶっちゃけて書くなら、自公と官僚が規制強化に向けて暴走をして、それをごく一部の議員が問題視するが、やはり全体としては多勢に無勢でどうにもならないというのが日本の無惨な現状である。

 民自公と自称第3極の思惑がどうあれ、今回の総選挙の争点は消費税、原発、TPPとなるのだろう。いつも通り著作権が選挙の争点にならないだろうのは残念だが、著作権問題に関してはTPPに参加すればそのままアメリカに引っ掻き回されることは必至なので、著作権問題を最も重視するような奇特な方は、TPPへの賛成が著作権規制の強化に直結すると見てTPPに関する賛否から判断して投票すれば大きく外れることはないだろうと私は考えている。

 今回の選挙もそれで現状が劇的に改善することはないだろうが、日本の将来を決める重要なものであることに変わりはない。一人でも多くの人に選挙に行ってもらいたいと私は思っている。

 同日投開票(11月29日公示、12月16日)の都知事選・東京都議会補欠選挙もあり、情報規制法改正関係についてもリストを作ろうと思ったのだが、著作権関係だけで結構な量になったのでそれは次回に回すことにする。

(2012年11月18日の追記:江口秀治氏(twitter)の指摘を受けて斉藤鉄夫議員、服部良一議員他音楽議員連盟の議員の名前をリストに追加した。また、今は議員ではないが連盟事務局長の簗瀬進氏も出馬する可能性があるので確かに注意が必要だろう。)

(2012年11月19日夜の追記:1カ所誤記を直し、いくつかリンクを追加・修正した。)

(2012年11月24日の追記:コメントを受けて、木内孝胤氏をリストに追加し、新党きづなに対する言及を加えた。また、既に新党きづなは国民の生活が第一に合流しているので、リスト中に矢印で追記した。合わせていくつか誤記も修正した。)

(2012年11月28日夜の追記:国民の生活が第一や減税日本・反TPP・脱原発が日本未来の党へ合流するとのことなので、リスト中に矢印で追記した。)

(2012年12月1日夜の追記:1カ所リンクを修正した。)

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2012年9月23日 (日)

第282回:ダウンロード犯罪化施行(2012年10月1日)以降、インターネット利用にあたって気をつけておくべきこと〜冤罪や詐欺の被害者とならないために〜

 9月6日の衆議院本会議で海賊版対策条約(ACTA)が可決され、残念ながら本質的な問題点についての議論が何らされないまま日本におけるACTAの批准が決まった。国内法的にどうこうという話はすぐには何もないだろうが、世界的に見て注目度の高いこの問題で、日本は無様に世界に恥を晒した。

 ACTAについても言いたいことはまだまだあるが、10月1日のダウンロード犯罪化施行まで後1週間しかない中で、文化庁のHPに掲載されているQ&Aを読んでも、質問主意書への政府回答(第281回参照)を読んでも、レコード業界団体が中心となって作った宣伝ページを読んでも、警察庁の通達(国民の生活が第一のはたともこ議員のツイートまたは森ゆう子議員のブログ記事参照)を読んでも、結局何をどうしたら良いのか具体的なことがさっぱり分からないので、ここで、ダウンロード犯罪化時代のインターネット利用時の注意点をなるべく具体的に書いておきたいと思う。

 前も書いた通り(第277回参照)、このように非民主主義的かつ姑息なやり口で可決された法律を守れという気は私はさらさらない。しかし、非道な法律の無茶な運用によって被害に遭う者はなるべく少ないに越したことはなく、他の国での著作権法の運用なども含めて考えると、日本でも最低限以下のようなことに気をつけておいた方が良いのではないかと私は思っている。

(1)P2Pファイル共有ソフトは法律的なことと技術的なことをある程度理解してから使用すること
 P2Pファイル共有自体が違法や犯罪であるということにはなり得ないが、著作権法上ダウンロードが違法になっただけでなく犯罪となった中で、P2Pファイル共有ソフト利用のリスクはこの上なく高まっている。各種P2Pファイル共有ソフトの法律的・技術的な問題に今回深入りすることはしないが、余計なトラブルを避けるために、P2Pファイル共有ソフトを使うのであれば、使おうとするソフトが技術的にどのようなことを行っているのか、それが法律的にどのように考えられるのかについてできるだけ知っておいた方が良い。ダウンロード犯罪化で違法ファイル共有の摘発数が劇的に増えるということも考えがたいが、警察はダウンロード犯罪化の最初の摘発対象・スケープゴートとしてアップロードとダウンロードを同時に行う違法ファイル共有ユーザーを狙って来るだろうと考えられるのである。

(2)家庭で無線LANを使う場合は必ず暗号化を施すこと、軽い気持ちで他人にインターネット回線を貸さないこと
 最近「P2Pとかその辺のお話」でアメリカにおける無線LANただ乗りの民事ケースについて翻訳記事を書かれているが、ダウンロード犯罪化について警察がどのような運用をして来るか読めない中で、無線LANを暗号化なしで使うことほど危険なことはない。また、インターネット回線を軽い気持ちで他人に貸すべきでもない。他人の行為で、警察が我が家に家宅捜索に来て痛くもない腹を探られるような事態を避けるためには、家庭で無線LANを使う場合必ず暗号化を施すことを忘れないようにし、また、基本的に他人にインターネット回線を貸すようなことをしないよう気をつけておいた方が良い。さらに言えば、暗号化方式の強度もなるべく高い方が良いだろう。(なお、2010年のzeit.de(ドイツ語)の記事などを読めば分かる通り、ドイツでも無線LANただ乗りの問題は最高裁に行くほど顕在化しており、今回やはり深入りはしないが非常にややこしい問題である。)

(3)子供のインターネット利用に気を配ること
 やはり「P2Pとかその辺のお話」でフランスにおける同居人の行為に対する3ストライク法の適用のケースについて翻訳記事を書かれているが、恐らく同居人として一番気を配るべきは子供だろう。子供が勝手にインターネットでファイル共有ソフトなどを使ってしまい著作権団体や警察の網に引っかかるリスクは常にあるのである。子供のインターネット利用を親が全て監視するべきだなどと言うつもりもなく、無意味に子供を脅すこともないだろうが、子供には基本的にP2Pファイル共有ソフトを使わせないくらいのことはしておいた方が良いのではないかと思う。(なお、これらも民事ケースだが、ドイツでも配偶者や子供などの著作権侵害行為と回線契約者の責任との関係について裁判沙汰になるほどの問題になっていることからも分かるように(heise.deの記事(ドイツ語)e-recht24.deの記事(ドイツ語)golem.deの記事(ドイツ語)など参照)、これも非常にややこしい問題である。)

(4)サイト管理者は書き込みやリンクの掲載などに気をつけること
 幇助による摘発の可能性も考えると、何かしら書き込みを可能としているサイトの管理者は書き込みやリンクの掲載に常に気をつけておく必要がある。普通ほとんどの場合で問題になるとは思えないが、警察と権利者団体が何をして来るか分からない中で、警察に目をつけられているだろう各種サイトや権利者団体に目をつけられているだろうP2P・ダウンロード関係サイトなどの管理者は特に気をつけておいた方が良いだろう。

(5)著作権侵害を使って脅すようなメールなどについてはまず詐欺やウィルスの可能性を疑うこと
 これも他の国で例でかなり見かけるが、著作権侵害を使って脅すようなメールやサイト表示はまず詐欺やウィルスの可能性を疑った方が良い。ダウンロード違法化でも多少見られたが、このような詐欺・ウィルスはダウンロード犯罪化でさらに増えると思えるのである。とにかく、そのようなものを見ても慌てないこと。ただし、日本でも権利者団体による著作権侵害警告のような取組は行われており、本物の警告である場合もあることには注意しておいた方が良い。警告に関する法律的なことが良く分からなければ、専門家への相談を考えること。(弁護士などでも良いが、そこまでの話でなければ、担当省庁の文化庁著作権課や警察庁・各県警のサイバー犯罪担当課、あるいはP2Pに対する警告メールの取組をやっているファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害対策協議会へ直接確認してみれば良いのではないかと思う。)

(6)インターネットを今まで通りに使い必要以上に萎縮しないこと
 以上多少注意点について書いてきた訳だが、ダウンロード犯罪化のような非道な法律はいくら言われたところで守りようがない。最低限の注意以上のことはやりようがなく、必要以上にネット利用について萎縮することはない。もとから大して知られていないのであまりLマークとの関係で萎縮を心配することはないだろうが、Lマークも、ごく一部のサイトでしか利用されていないもので、日本レコード協会などと正規ライセンスが結ばれていることを示す意味しか持っておらず(レコ協の解説ページ参照)、あらゆるサイト・コンテンツの合法違法の区別をするものではないということを正しく理解して、その意味以上に気にしないことである。

 上で書いたリスクは基本的にアップロードやダウンロード違法化との関係で今までも多少はあったリスクだろうが、ダウンロードも犯罪化されることでインターネット利用のリスクが飛躍的に高まるのは間違いない(今まではダウンロードについて最大限民事訴訟のリスクだったのが、突然警察が家にやって来る可能性が出て来ると言えばそのリスクの大きさが分かってもらえるだろうか)。

 非道な法律の無茶な運用によって被害に遭う者はなるべく少ないに越したことはないと考えて、ここでも多少の注意を書いたが、どう考えても法改正に関する周知が不十分な中で、施行前後でかなりの混乱が予想されるのは非常に残念である。このブログはこのまま続けて行くつもりだが、できることならこのようなダウンロード犯罪化に関する注意を書く日が来なければ良かったのにと私は今も思っているし、今後もこのような法改正は間違いであると言い続けて行くだろう。

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2012年8月20日 (月)

第281回:森ゆうこ議員・はたともこ議員提出の違法ダウンロード刑事罰化に関する質問主意書への政府回答の転載

 この8月2日に国民の生活が第一の森ゆうこ議員・はたともこ議員が参議院で提出した違法ダウンロード刑事罰化(ダウンロード犯罪化)に関する質問主意書pdf版)に対する政府答弁書(pdf)が8月10日付で返って来ている。

 どのような法律であれ成立して終わりということはなく、成立した後も濫用されないよう地道に運用を監視して行くこと、必要な見直しを求めて行くことが重要であり、政局迷走の中でこのような質問主意書を提出して下さった両議員と関係者の皆様には心から感謝したい。

 政府の答弁書はほとんど回答になっていないが、回答になっていないことから見えて来ることもあるので、ここで質問主意書と答弁書の回答を一問一答形式に直して転載して行きたいと思う。

 まず、質問主意書の前文は以下の通りである。ダウンロード犯罪化に関する問題意識としてこれ以上追加することはないだろう。

今国会成立の著作権法の一部を改正する法律における違法ダウンロード刑事罰化に関する質問主意書

 今国会で内閣が提出した「著作権法の一部を改正する法律案」について、衆議院文部科学委員会で自由民主党と公明党の議員から所謂「違法ダウンロードの刑事罰化」(以下「本法律修正部分」という。)を含む修正案が提出され、同法案は修正議決の後、六月二十日に参議院で可決、成立した。
 本質問主意書の提出者・参議院議員森ゆうこは、今回の「著作権法の一部を改正する法律案」の内閣提出部分について、文部科学副大臣(当時)として法案の立法作業を行った者であるが、議員提出の本法律修正部分については強く反対し、六月二十日の参議院本会議では法案に反対した。
 本質問主意書の提出者・参議院議員はたともこは、本法律修正部分については強い危惧を持ちつつも、民主党参議院国会対策副委員長(文教科学委員会担当)(当時)として党議決定に従い、本会議において賛成した。
 私たちは本法律修正部分について、その正当性、背景となる立法事実、日本国憲法に定められた罪刑法定主義のほか、可罰的違法性、青少年への重大な悪影響、国会審議の形骸化、業界団体の利益に偏った議論、立法過程のデュープロセスの軽視等、重大な数々の疑問を持っている。
 よって、本法律修正部分について、一般社団法人インターネットユーザー協会、文筆家・音楽制作者高橋健太郎氏、情報学者・国際日本文化研究センター教授山田奨治氏の協力を得て協議し、それを踏まえて、ここに質問主意書を提出することとした。
 本法律修正部分については、参議院文教科学委員会での附帯決議にあるように、「著作権法の運用に当たっては、犯罪構成要件に該当しない者が不当な不利益を被らないようにすることが肝要であり、とりわけ第百十九条第三項の規定の運用に当たっては、警察の捜査権の濫用やインターネットを利用した行為の不当な制限につながらないよう配慮すること」が、政府及び関係者には求められている。
 私たちは、今回の質問主意書提出を機に、政府及び関係者に対し、参議院での附帯決議の趣旨を実現することを強く求めるとともに、今後とも施行状況等を勘案して、検討を加え、必要な見直しを行うよう引き続き努力していく決意である。
 本質問主意書は小・中・高生など未成年の青少年にとっても重大な内容となるものであるから、項目ごとにできるだけ分かりやすく、具体的にかつ平易な文章で答弁されたい。

 以下、質問とその回答に移る。まず、「一 参議院文教科学委員会での附帯決議について」では「参議院文教科学委員会では、本法律修正部分に関し、以下の三点について、政府及び関係者に特段の配慮を求める附帯決議が行われた。」として、著作権法改正案の附帯決議(pdf)についての質問がされているが、その回答は以下のようになっている。

 「違法なインターネット配信等による音楽・映像を違法と知りながら録音・録画することの防止の重要性に対する理解を深めるための啓発等の措置を講ずるに当たって、国及び地方公共団体は、有償著作物等を公衆に提供し、又は提示する事業者と連携協力を図り、より効果的な方法により啓発等を進めること。」
 この附帯決議について、政府はどのような目標を持って、具体的にどのような措置をいつまでに行う方針か、明らかにされたい。

⇒一の1について
 御指摘の附帯決議については、文部科学省として、広く国民が「違法なインターネット配信等による音楽・映像を違法と知りながら録音・録画することの防止の重要性」に対する理解を深め、著作物の適正な利用が図られることを目標に、これまで「違法ダウンロードの刑事罰化についてのQ&A」及び「平成二十四年通常国会 著作権法改正等について」を文化庁ホームページに掲載したほか、平成二十四年七月に、各都道府県教育委員会等に対して事務連絡を発出し、各学校の授業等において「違法ダウンロードの刑事罰化に係るQ&A」を活用することを依頼している。今後は、関係団体が作成した啓発用パンフレットの活用を学校等に促すなど、関係団体との連携協力を図りつつ、「違法なインターネット配信等による音楽・映像を違法と知りながら録音・録画することの防止の重要性」についての啓発等に努めてまいりたい。

 「有償著作物等を公衆に提供し、又は提示する事業者は、インターネット利用者が違法なインターネット配信等から音楽・映像を違法と知りながら録音・録画することを防止するための措置を講ずるように努めること。」
 この附帯決議について、政府は関係者に対し、どのように対処する方針か、具体的かつ詳細に明らかにされたい。

⇒一の2について
 御指摘の附帯決議の内容については、関係団体に対して「著作権法の一部を改正する法律について(通知)」 (平成二十四年六月二十七日付け二十四庁房第九十一号文部科学副大臣通知)を発出する等によりその周知を図つてきたところであり、今後は、関係者の取組状況を把握した上で、必要に応じ、適切な措置を講じてまいりたい。

 「著作権法の運用に当たっては、犯罪構成要件に該当しない者が不当な不利益を被らないようにすることが肝要であり、とりわけ第百十九条第三項の規定の運用に当たっては、警察の捜査権の濫用やインターネットを利用した行為の不当な制限につながらないよう配慮すること。」
 この附帯決議に対して、政府はどのような措置を行う方針か、具体的かつ詳細に示されたい。

⇒一の3について
 警察庁において、都道府県警察に対して通達を発出する等して、御指摘の附帯決議の内容、著作権法の一部を改正する法律(平成二十四年法律第四十三号)による改正後の著作権法(以下「新法」という。)第百十九条第三項の規定の趣旨等について周知する予定である。

 ダウンロード犯罪化は10月1日に施行される訳だが、この政府回答によれば、担当省庁である文化庁はほとんど違法ダウンロードの刑事罰化についてのQ&A及び平成24年通常国会 著作権法改正等についてのホームページでの公開及び身内の教育委員会・関係団体への事務連絡・通知以上のことをする気がないと知れる。ダウンロード違法化の周知率を考えても、これだけで施行までに十分な周知ができるとは到底思えない。そもそも、このQ&A自体何ら法的に拘束力を持つものではなく内容的にほとんど無意味と言っていいものだが、このQ&Aは専門家にとっても良く分からず、著作権に詳しくない人なら読んでもさらに混乱するだけだろう。

 また、これとは全く別に警察は警察で勝手に通達を出すつもりと知れるが、この一の3の回答で文化庁のQ&Aに関する言及がないところを見ると、恐らく警察庁の通達と文化庁のQ&Aはリンクしないのだろう(この意味でも文化庁のQ&Aの存在価値はないに等しい)。大体、ダウンロード犯罪化の趣旨は国会審議でロクに明らかにされていないので、警察庁で通達をすると言っても条文そのものの提示と通り一遍の形式的な説明しかできないに違いない。違法ダウンロード罪についても各都道府県警察で相当対応に差が出て来ることが予想されるが、中には相当アグレッシブな法解釈をする都道府県警察も出てくるのではないかとかなり心配である。

 次に、「二 文化庁の改正法Q&Aについて」の質問とその回答は以下のようになっている。

 文化庁のホームページに掲載されている「平成二十四年通常国会著作権法改正等について」中の「改正法Q&A」問七-二~問七-八では、犯罪構成要件に該当するかどうかの判断基準例が示されているが、実際の運用において、条文を恣意的に判断し、当該Q&Aに示した見解と齟齬をきたすことはないか。警察庁や検察庁も含め、政府の統一見解を示されたい。

⇒二の1について
 犯罪の成否は、法と証拠に基づき、個別の事案ごとに適切に判断されるべき事柄であると考えている。

2 特に、改正法Q&A問七-八において、「関係者である権利者団体は、仮に告訴を行うのであれば、事前に然るべき警告を行うなどの配慮が求められると考えられます」と文化庁は回答している。
 この回答内容の実効性はどのように担保されるのか。政府としての見解を示されたい。

⇒二の2について
 新法第百二十三条第一項の告訴を行う前に警告を行うかどうかは権利者の判断によるものであるが、政府としては、今後とも、御指摘の「改正法Q&A問七-八」の内容について、権利者団体を含め、広く国民への周知を図つてまいりたい。

 ここでも、ダウンロード犯罪化条項の実際の運用について、政府全体としては犯罪の成否は法と証拠に基づき個別の事案ごとに判断されるとだけの回答であり、文化庁のQ&Aは警察庁や検察庁にとっては何の意味も持たないものと知れる。また、条文上何ら担保されていないので当たり前と言えば当たり前だが、政府回答通り、告訴を行う前に警告を行うかどうかは権利者次第であり、場合によっては事前の警告なくいきなり告訴されることもあり得るだろう。

 最後に、「三 本法律修正部分の立法経緯と運用等について」の質問とその回答は以下のようになっている。

 本年六月十九日の参議院文教科学委員会において、神本美恵子文部科学大臣政務官は、平成二十一年著作権法改正で違法ダウンロードが刑事罰化されなかった理由について「一つは、個々人の違法ダウンロード自体は軽微であること、二つ目に、家庭内で行われる行為についての規制の実効性の確保が困難であることなどから、刑事罰の対象とされなかった」と答弁した。
 ①「個々人の違法ダウンロード自体は軽微である」とは、具体的にどの程度までの数量のダウンロード行為を言っているのか。軽微と判断できる一人あたりのダウンロードの数量を示されたい。また、②三年後の現在、一人あたりの違法ダウンロードの数量に変化はあるか、政府の把握するところを示されたい。さらに、③「家庭内で行われる行為についての規制の実効性の確保が困難である」とはどういうことか、具体的かつ詳細に示されたい。加えて、④三年後の現在、その「困難である」との状況に変化はあるか、政府の把握するところを示されたい。最後に、⑤前述の二つの理由以外に、刑事罰化されなかった理由があれば、具体的に示されたい。以上五点について政府の見解を求める。

⇒三の1の①及び②にづいて
 御指摘の「個々人の違法ダウンロード自体は軽微である」とは、具体的な数量を念頭においているものではなく、また、御指摘の「一人あたりの違法ダウンロードの数量」については把握していない。

三の1の③及び④について
 御指摘の「家庭内で行われる行為についての規制の実効性の確保が困難である」とは、家庭内で行われる違法行為を把握し、摘発することは、通常困難であることが多いということであり、また、お尋ねの「「困難である」との状況に変化はあるか」については把握していない。

三の1の⑤について
 御指摘の二つの理由以外に特段の理由はない。

 ①無料放送番組、広告付きあるいはプロモーション用などで無料配布されている音楽・映像は、今回の改正法上の有償著作物とされるのか。また、②当初は有償でなくとも、後のCD販売に合わせて同じコンテンツが有償で提供されるように変化した場合、その後は有償著作物に変化すると解釈するのか。③有償著作物に変化するなら、無償の時点で違法アップロードされた著作物のダウンロードは、どの時点から刑事罰対象に変化するのか。④有償となった後に違法アップロードされた著作物のみが、刑事罰を負う違法ダウンロードの対象となるのか。以上四点について政府の見解を求める。

⇒三の2の①について
 御指摘の「無料放送番組、広告付きあるいはプロモーション用などで無料配布されている音楽・映像」の具体的な内容が必ずしも明らかではないが、当該音楽・映像が新法第百十九条第三項に規定する「有償で公衆に提供され、又は提示されているもの」ではない場合には、同項に規定する「有償著作物等」には該当しないものと考える。

三の2の②から④までについて
 新法第三十条第一項に定める私的使用の目的をもつて新法第百十九条第三項に規定する「著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権又は著作隣接権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画」を行つた時点で、当該録音又は録画の対象となる著作物又は実演等が同項に規定する「有償著作物等」に該当する場合であつて、自らその事実を知りながら当該録音又は録画を行つて著作権又は著作隣接権を侵害したときは、刑事罰の対象になるものと考える。

 ①有償で公衆に提供・提示されていたとしても、現在にあっては、有償での入手あるいは聴取の方法がない場合(例えば古いレコードなど)は、今回の改正法上の有償著作物とされるのか。②対象とされる場合、過去の文化遺産である音源を研究等のために入手する手段もなくなってしまうが、それは文化研究や文化振興上、好ましいと言えるか。以上二点について、政府の見解を求める。

⇒三の3について
 御指摘の「有償で公衆に提供・提示されていたとしても、現在にあつては、有償での人手あるいは聴取の方法がない場合(例えば古いレコードなど)」の具体的な内容が必ずしも明らかではないが、新法第百十九条第三項に規定する「有償で公衆に提供され、又は提示されているもの」ではない場合には、同項に規定する「有償著作物等」には該当しないものと考える。

 著作物のダウンロードに際し、違法・合法を区別することが法律のプロでも困難である場合が存在する。①違法・合法を明確に区別することがほぼあらゆる者にとって実質不可能な中で、私的違法ダウンロード行為を処罰化することに罪刑法定主義上の問題はないのか。②刑罰法規に求められる明確性の原則は担保されているのか。以上二点について政府の見解を求める。

⇒三の4について
 政府としては、新法第百十九条第三項の規定について、刑罰法規としての内容は明確であり、罪刑法定主義に反するものではないと考えている。

 前記1の参議院文教科学委員会において、水落敏栄委員の「警告なく処罰されるのではないか」、「事前の警告もなくすぐに処罰するというのは問題ではないか」という懸念の質問に対して、修正案提出者である河村建夫衆議院議員は「親告罪でもございますから、権利者団体は告訴を行うに当たってはやっぱり事前に御指摘のようなしかるべき警告を発するということは、こういうことは当然なければならない、そのように私は考えます」と答弁した。この河村建夫議員の見解を踏まえて、岸博幸参考人及び津田大介参考人も言及したフランス及び韓国における「スリーストライク制」について、本法律修正部分の運用に当たって、我が国に導入する考えはあるのか、政府の見解を示されたい。

⇒三の5について
 御指摘の「フランス及び韓国における「スリーストライク制」」の導入については、政府としては、現時点において予定していないが、諸外国の状況等を踏まえつつ、今後、必要に応じ、その可否を含めて検討してまいりたい。

 違法ダウンロードを未然に防ぐ努力をすべきであるが、まず何よりも違法アップロード対策を強化すべきである。今後の具体的な違法アップロード対策について、政府の見解を示されたい。

⇒三の6について
 お尋ねの「違法アップロード対策」については、政府としては、今後とも、違法アップロードが行われないよう、国民への普及啓発等の充実を図るとともに、違法アップロードに対する取締りや海外における違法アップロードについての関係団体を通じた対策を行ってまいりたい。

 本法律修正部分による委縮効果で、かえってレコード産業等の衰退につながるという指摘がある。インターネット利用の委縮効果を防ぐために、具体的にどのような対策をとるのか、政府の見解を示されたい。

⇒三の7について
 政府としては、御指摘の「インターネット利用の委縮効果」が生じないよう、新法第百十九条第三項の趣旨等について、今後とも「違法ダウンロードの刑事罰化についてのQ&A」について広く国民に対して周知するなど、インターネット、広報誌その他の媒体の活用、「著作権セミナー」その他の講習会や研修会の開催等を通じた広報啓発活動を行うとともに、関係団体による広報啓発活動を支援してまいりたい。

 三の1に対する政府回答は、政府としてダウンロード犯罪化を是とするに足る立法事実の変化を全く認識していないと認めているに等しい。次には、では何故政府与党としてこのような法改正に賛成したのかということが当然問われてしかるべきだろう。そのような質問を投げたところで、また人を小馬鹿にした回答が返って来るだけかも知れないが。

 三の2〜3に対する政府回答で、実際に回答を作ったのだろう文化庁や警察庁の担当は、「無料放送番組、広告付きあるいはプロモーション用などで無料配布されている音楽・映像」や「有償で公衆に提供・提示されていたとしても、現在にあつては、有償での人手あるいは聴取の方法がない場合(例えば古いレコードなど)」について当然何を意味しているのか理解していただろうと思うが、勝手に「具体的な内容が必ずしも明らかではない」と言い、政府としては「有償で公衆に提供され、又は提示されているもの」である「有償著作物等」について条文以上の解釈を示す気はないようである。したがって、文化庁のQ&Aの内容も全くあてにならず、「有償著作物等」のクライテリアも極めて不明確なままであると言わざるを得ない。(大体、この質問で不明確だったら、個別具体的な著作物名をあげて該当するかどうかを聞くしかないと思うが、そうしたら政府は何と回答するのだろうか。)

 また、三の4に対する政府回答で、ダウンロード犯罪化条項は、刑罰法規としての内容は明確であり、罪刑法定主義に反するものではないと政府は答えているが、何ら根拠は示していない。法改正を許した立場からするとそうとしか答えられないだろうが、根拠なくそう言われたところで、そもそもの条文の不明確性に加え執行における問題もあり、ダウンロード犯罪化条項には刑罰法規としての不明確性の問題・罪刑法定主義上の問題が明らかにあるという私の考えは変わりはしない。(これは最後裁判で争わなければならないことである。)

 三の5〜7に対する政府回答で、今後について政府は回答しているが、やはり今まで以上の周知活動をするつもりはないと見える。また、今のところ導入予定はないとしているが、政府として今後3ストライクアウトポリシーの導入を検討することもあり得るとしている点も重要だろう。

 要するに、政府としては、法改正に立法事実はないと認め、周知や濫用防止について今以上のことはせず、明確な統一解釈を示すこともなく、10月1日から始まるだろう警察・検察・権利者団体による恣意的な運用を多少なりとも統制する気は全くない上、今後さらなる規制強化の検討もあり得ると言っているのである。はっきり言ってこのような内閣の答弁書を見て私はさらに疑問と懸念が増えただけである。

 海賊版対策条約(ACTA)の衆議院審議も心配だが、ダウンロード犯罪化についてももはや10月1日の施行まで後1月と10日くらいしかない訳で、この体たらくでは、ロクな周知もされないまま、今後さらに混乱に拍車がかかって行くに違いない。すぐにどうこうできる話ではないが、政局の迷走もとどまるところを知らず、残念ながら今後も非常に辛い状況が続くのだろう。

(2012年8月20日夜の追記:少し文章を整えた。)

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2012年6月20日 (水)

第277回:ダウンロード犯罪化を含む著作権法改正案の参議院での可決・成立及び今後のこと

 残念極まることに、今日2012年6月20日、参議院文教科学委員会及び本会議で、ダウンロード犯罪化を含む著作権法改正案が可決・成立した(参議院インターネット審議中継ITmediaの記事internet watchの記事朝日のネット記事参照)。

 今日の参院文科委の審議では、昨日あれほど明確に慎重・反対の意見を表明して下さった森ゆうこ議員が委員から外され、何らの質疑・討論もなく、わずか数分で全会一致の採決が行われた。この法案の審議では、議論を尽くすことなく反対意見を持つ者を公の議論の場から排除してその意見表明を封じ、委員会を無理矢理全会一致にするという実に非民主主義的なプロセスが取られ、本会議での可決まで持って行くということが行われたのである。はっきり言って、これはあのデタラメ極まるダウンロード違法化の時の審議をその非道さにおいて上回っている。

 このような非民主主義的な口封じの仕方を推進側を取ったということは、裏を返せば、利用者が抱いていた懸念、国会の審議でも、共産党の宮本たけし議員や民主党の森ゆうこ議員から、また参考人として呼ばれた日弁連の市毛由美子氏やMIAUの津田大介氏から示された懸念は実に正当なものだったと言っているに等しい。今すぐにどうこうできるという話ではないが、このような姑息なやり口で異論を封じ、多様な意見を取り入れて議論を深め最も妥当な結論を導くという民主主義の常道と良識を踏み躙られたからには、今後はこちらもそれをどのようにして乗り越えて行くかを真剣に考えて行かなければならない。

 また、少なくとも、このような著作権法改正のロビーをしたのが主としてレコード協会やエイベックス、音事協といったCD中心のビジネスを展開するレコード業界(必ずしも音楽業界とイコールではない)であることを覚えておく必要があるだろうし、次の選挙に向けて、与党内で最後まで反対の意見を持って下さっていた、民主党の森ゆうこ議員や川内博史議員、また検討の途中の民主党部会で慎重な意見を言って下さったという民主党の林久美子議員といった各先生方の名前を覚えておく必要もあるだろう。ここで、共産党が宮本たけし議員を筆頭として強力に反対して下さったということも忘れてはいけない。また、主に法案を強力に推進していた、自民党の馳浩議員や下村博文議員の名前も推進側の議員の名前として記憶しておかなければならないだろうが、自民党については、検討の過程において、世耕弘成議員や山本一太議員が慎重な意見を表明していたことに注意しておく必要があるだろう。さらに、公明党の池坊保子議員がダウンロード犯罪化修正案の主たる提案者となっているが、一丸となってダウンロード犯罪化を強力に推進していた節がある公明党は本当に党全体として危険だと思っておいた方がいい。

 さらに、参議院での本会議で反対票を投じて下さった12名の議員として、民主党の森ゆうこ議員、共産党の井上哲士議員・市田忠義議員・紙智子議員・田村智子議員・大門実紀史議員・山下芳生議員、社民党の福島みずほ議員・又市征治議員・山内徳信議員・吉田忠智議員、無所属の糸数慶子議員の名前をここでもあげておく(参議院の本会議投票結果参照)。

 実際には、警察・検察の捜査能力が無限大ということはあり得ず、また現実的に考えれば捜査能力が即座に大幅に増強されるということもないので、法改正の施行後すぐにどうこうなるということはないだろうが、立法プロセス中で法案の問題点が明確にされ懸念が解消されるという機会はもはや失われ、ほぼそのまま恣意的な運用が可能なままに行政・司法に丸投げされたのである、ダウンロード犯罪化の検討過程において示された懸念は規模の大小こそ読めないが現実化して行くだろうし、今後このような規制の存在が日本における法規制とビジネスのあり方を順当に歪めて行き続けるに違いない。

 このような非民主主義的かつ姑息なやり口で可決された法律を守れという気は私はさらさらないし、私的違法ダウンロード罪の犯罪としての構成要件は不明確極まるので、インターネットの利用を止めでもしない限り守ろうとしても守れないだろうが、こう言っては何だが政治家を始めとして警察・検察に特にマークされやすい方は特にネット利用に注意した方が良いだろう。

 今から丁度3年前に私はダウンロード違法化の可決の際に一億層海賊時代の到来と書いたが(第177回参照)、今度の法改正によりついに一億総犯罪者時代に突入することが目前に迫った。ダウンロード違法化法成立後後3年を経て、かくしてパンドラの箱は完全に開いた。が、恐らくその底に希望は残されていない。

 法律は作れば終わりというものではなく、私は、何があろうとダウンロード違法化・犯罪化条項は削除するべきものと言い続けるつもりであり、このブログも続けて行くつもりであるが、上でも書いたように今後どうして行くかを真剣に考えなければならない時が来ていると私は思っている。

(2012年6月22日の追記:一箇所誤記を修正した。)

(2012年7月3日の追記:参議院HPで文教科学委員会の6月20日の議事録が公表されているので、念のため、ここにリンクを張っておく。)

(2012年8月5日の追記:参議院文教科学委員会の6月20日の議事録が国会図書館のHPの方に移されたのでリンクを追加しておく。)

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2012年6月19日 (火)

第276回:内閣提出著作権法改正案に対して自公が提案し衆議院で可決された修正案の条文の転載及び参議院での審議の開始

 内閣提出著作権法改正案に対して自公が提案したダウンロード犯罪化修正案が衆議院で可決され、本日6月19日、参議院の文教科学委員会で審議が開始された。

 もはや条文の作りがどうこうといったテクニカルな問題ではなくなっているように思うが、このダウンロード犯罪化修正案の条文がようやく公開されたので(衆議院のHP参照)、改め文を対照条文型式にして、ここにも転載しておく。

 本日の参議院文教科学委員会の審議で(インターネット審議中継internet watchの記事ITmediaの記事、Twitter実況のまとめ1参照)、民主党の森ゆうこ議員が明確に慎重・反対の意見を述べて下さったことや、日弁連の市毛由美子氏やMIAUの津田大介氏のような慎重な立場の方も含め参考人質疑が行われたことは大変ありがたく思うが、残念ながら、ユーザー側が示した懸念は何ら解消されることなく、ダウンロード犯罪化をごり押しする自公の議員や推進の立場の参考人との間の議論はほぼ完全なすれ違いのまま終わっている。

 できれば法学者の先生なども呼んでさらに慎重な議論をしてもらいたいところだが、推進側としてはもうこれで参考人質疑も終わったという扱いにしたいのだろうし、明日10時からの参院文科委員会でこのダウンロード犯罪化の修正案を含む著作権法改正案の採決が行われる可能性も高い。日本の知財政策の今後を占う意味で明日は極めて重要な1日になりそうである。

(2012年7月3日の追記:参議院HPで文教科学委員会の6月19日の議事録が公表されているので、念のため、ここにリンクを張っておく。)

(2012年8月5日の追記:参議院文教科学委員会の6月19日の議事録が国会図書館のHPの方に移されたのでリンクを追加しておく。)

(以下、自公が提案し衆議院で可決された修正案の条文。下線部が追加部分だが、読む際には、この修正案は内閣提出の著作権法改正案(第266回、文科省作成の新旧対象条文(pdf)参照)からの修正であることに注意する必要がある。)

◯著作権法の一部を改正する法律案に対する修正案
第八章 罰則
第百十九条
 著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条第一項(第百二条第一項において準用する場合を含む。第三項において同じ。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実演等の複製を行つた者、第百十三条第三項の規定により著作権若しくは著作隣接権(同条第四項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第百二十条の二第三号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者、第百十三条第五項の規定により著作権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者又は次項第三号若しくは第四号に掲げる者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

(略)

 第三十条第一項に定める私的使用の目的をもつて、有償著作物等(録音され、又は録画された著作物又は実演等(著作権又は著作隣接権の目的となつているものに限る。)であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいう。)の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権又は著作隣接権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行つて著作権又は著作隣接権を侵害した者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

◯著作権法の一部を改正する法律案の附則に対する修正案
(施行期日)
第一条
 この法律は、平成二十五年一月一日から施行する。ただし、第二条第一項第二十号並びに第十八条第三項及び第四項の改正規定、第十九条第四項に一号を加える改正規定、第三十条第一項第二号の改正規定、第四十二条の三を第四十二条の四とし、第四十二条の二の次に一条を加える改正規定、第四十七条の九の改正規定(「又は第四十六条」を「、第四十二条の三第二項又は第四十六条」に改める部分に限る。)、同条ただし書の改正規定(「第四十二条の二まで」の下に「、第四十二条の三第二項」を加える部分に限る。)、第四十九条第一項第一号の改正規定(「第四十二条の二」を「第四十二条の三」に、「第四十二条の三第二項」を「第四十二条の四第二項」に改める部分に限る。)、第八十六条第一項及び第二項の改正規定(「第四十二条の二まで」の下に「、第四十二条の三第二項」を加える部分に限る。)、第九十条の二第四項に一号を加える改正規定、第百二条第一項の改正規定(「第四十二条の三」を「第四十二条の四」に改める部分に限る。)、同条第九項第一号の改正規定(「第四十二条の二」を「第四十二条の三」に、「第四十二条の三第二項」を「第四十二条の四第二項」に改める部分に限る。)並びに第百二十条の二第一号の改正規定並びに次条並びに附則第四条及び第五条の規定は、平成二十四年十月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 一 附則第七条、第八条及び第十条の規定 公布の日
 二 第二条第一項第二十号並びに第十八条第三項及び第四項の改正規定、第十九条第四項に一号を加える改正規定、第三十条第一項第二号の改正規定、第四十二条の三を第四十二条の四とし、第四十二条の二の次に一条を加える改正規定、第四十七条の九の改正規定(「又は第四十六条」を「、第四十二条の三第二項又は第四十六条」に改める部分に限る。)、同条ただし書の改正規定(「第四十二条の二まで」の下に「、第四十二条の三第二項」を加える部分に限る。)、第四十九条第一項第一号の改正規定(「第四十二条の二」を「第四十二条の三」に、「第四十二条の三第二項」を「第四十二条の四第二項」に改める部分に限る。)、第八十六条第一項及び第二項の改正規定(「第四十二条の二まで」の下に「、第四十二条の三第二項」を加える部分に限る。)、第九十条の二第四項に一号を加える改正規定、第百二条第一項の改正規定(「第四十二条の三」を「第四十二条の四」に改める部分に限る。)、同条第九項第一号の改正規定(「第四十二条の二」を「第四十二条の三」に、「第四十二条の三第二項」を「第四十二条の四第二項」に改める部分に限る。)、第百十九条第一項の改正規定、同条に一項を加える改正規定並びに第百二十条の二第一号の改正規定並びに次条並びに附則第四条から第六条まで及び第九条の規定 平成二十四年十月一日」

(経過措置)
第二条
 この法律による改正後の著作権法(以下「新法」という。)第十八条第三項第一号から第三号までの規定は、前条ただし書に規定する前条第二号に掲げる規定の施行前に著作者が行政機関(行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)第二条第一項に規定する行政機関をいう。)、独立行政法人等(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成十三年法律第百四十号)第二条第一項に規定する独立行政法人等をいう。)又は地方公共団体若しくは地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。以下この項において同じ。)に提供した著作物でまだ公表されていないもの(その著作者の同意を得ないで公表された著作物を含む。)であって、公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号。以下この項において「公文書管理法」という。)第八条第一項若しくは第十一条第四項の規定により国立公文書館等(公文書管理法第二条第三項に規定する国立公文書館等をいう。次項において同じ。)に移管されたもの又は公文書管理条例(地方公共団体又は地方独立行政法人の保有する歴史公文書等(公文書管理法第二条第六項に規定する歴史公文書等をいう。以下この項において同じ。)の適切な保存及び利用について定める当該地方公共団体の条例をいう。以下この項において同じ。)に基づき地方公文書館等(歴史公文書等の適切な保存及び利用を図る施設として公文書管理条例が定める施設をいう。次項において同じ。)に移管されたものについては、適用しない。

 新法第十八条第三項第四号及び第五号の規定は、前条ただし書に規定する前条第二号に掲げる規定の施行前に著作者が国立公文書館等又は地方公文書館等に提供した著作物でまだ公表されていないもの(その著作者の同意を得ないで公表された著作物を含む。)については、適用しない。

(略)

(罰則の適用に関する経過措置)
第四条
 この法律(附則第一条ただし書に規定する附則第一条第二号に掲げる規定については、当該規定)の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(略)

(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部改正)
第六条
 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)の一部を次のように改正する。
  別表第四十八号中「第百十九条」を「第百十九条第一項又は第二項」に改める。

(国民に対する啓発等)
第七条
 国及び地方公共団体は、国民が、新法第三十条第一項(新法第百二条第一項において準用する場合を含む。)に定める私的使用の目的をもって、有償著作物等(新法第百十九条第三項に規定する有償著作物等をいう。以下同じ。)の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であって、国内で行われたとしたならば著作権又は著作隣接権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行って著作権又は著作隣接権を侵害する行為(以下「特定侵害行為」という。)の防止の重要性に対する理解を深めることができるよう、特定侵害行為の防止に関する啓発その他の必要な措置を講じなければならない。

 国及び地方公共団体は、未成年者があらゆる機会を通じて特定侵害行為の防止の重要性に対する理解を深めることができるよう、学校その他の様々な場を通じて特定侵害行為の防止に関する教育の充実を図らなければならない。

 附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日の前日までの間における第一項の規定の適用については、同項中「新法第三十条第一項(新法第百二条第一項において準用する場合を含む。)」とあるのは「著作権法第三十条第一項(同法第百二条第一項において準用する場合を含む。)」と、「新法第百十九条第三項に規定する有償著作物等」とあるのは「録音され、又は録画された著作物、実演、レコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像(著作権又は著作隣接権の目的となっているものに限る。)であって、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)」とする。

(関係事業者の措置)
第八条
 有償著作物等を公衆に提供し、又は提示する事業者は、特定侵害行為を防止するための措置を講じるよう努めなければならない。

(運用上の配慮)
第九条
 新法第百十九条第三項の規定の運用に当たっては、インターネットによる情報の収集その他のインターネットを利用して行う行為が不当に制限されることのないよう配慮しなければならない。

(検討)
第十条
 新法第百十九条第三項及び附則第八条の規定については、この法律の施行後一年を目途として、これらの規定の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講じられるものとする。

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