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2009年4月26日 (日)

第169回:オランダ著作権法の私的複製補償金関連規定・補償金問題の現状

 他にも書きたいことはいろいろあるのだが、前回の続きで、オランダ著作権法(pdf)英語版(pdf))の私的複製補償金関連規定と補償金問題の現状の紹介を済ませておく。

 前回省略した部分も含めて、オランダ著作権法の私的複製補償金関連規定を以下に訳出する。(翻訳は拙訳。翻訳に当たっては英語版も参照した。なお、第16c条は再掲。)

Artikel 16c
1
. Als inbreuk op het auteursrecht op een werk van letterkunde, wetenschap of kunst wordt niet beschouwd het reproduceren van het werk of een gedeelte ervan, mits het reproduceren geschiedt zonder direct of indirect commercieel oogmerk en uitsluitend dient tot eigen oefening, studie of gebruik van de natuurlijke persoon die de reproductie vervaardigt.

2. Voor het reproduceren, bedoeld in het eerste lid, is de fabrikant of de importeur van een voorwerp dat bestemd is om een werk ten gehore te brengen, te vertonen of weer te geven ten behoeve van de maker of diens rechtverkrijgenden een billijke vergoeding verschuldigd.

3. Voor de fabrikant ontstaat de verplichting tot betaling van de vergoeding op het tijdstip dat de door hem vervaardigde voorwerpen in het verkeer kunnen worden gebracht. Voor de importeur ontstaat deze verplichting op het tijdstip van invoer.

4. De verplichting tot betaling van de vergoeding vervalt indien de ingevolge het derde lid betalingsplichtige een voorwerp als bedoeld in het eerste lid uitvoert.

5. De vergoeding is slechts eenmaal per voorwerp verschuldigd.

6. Bij algemene maatregel van bestuur kunnen nadere regelen worden gegeven met betrekking tot de voorwerpen ten aanzien waarvan de vergoeding, bedoeld in het tweede lid, verschuldigd is. Bij algemene maatregel van bestuur kunnen voorts nadere regelen worden gegeven en voorwaarden worden gesteld ter uitvoering van het bepaalde in dit artikel met betrekking tot de hoogte, verschuldigdheid en vorm van de billijke vergoeding.

7. Indien een ingevolge dit artikel toegelaten reproductie heeft plaatsgevonden, mogen voorwerpen als bedoeld in het eerste lid niet zonder toestemming van de maker of zijn rechtverkrijgenden aan derden worden afgegeven, tenzij de afgifte geschiedt ten behoeve van een rechterlijke of bestuurlijke procedure.

8. Dit artikel is niet van toepassing op het verveelvoudigen van een met elektronische middelen toegankelijke verzameling als bedoeld in artikel 10, derde lid.

Artikel 16d
1
. De betaling van de in artikel 16c bedoelde vergoeding dient te geschieden aan een door Onze Minister van Justitie aan te wijzen, naar zijn oordeel representatieve rechtspersoon, die belast is met de inning en de verdeling van deze vergoeding overeenkomstig een reglement, dat is opgesteld door deze rechtspersoon, en dat is goedgekeurd door het College van Toezicht, bedoeld in de Wet toezicht collectieve beheersorganisaties auteurs- en naburige rechten. In aangelegenheden betreffende de inning en vergoeding vertegenwoordigt deze rechtspersoon de makers of hun rechtverkrijgenden in en buiten rechte.

2. De rechtspersoon, bedoeld in het eerste lid, staat onder toezicht van het College van Toezicht, bedoeld in de Wet toezicht collectieve beheersorganisaties auteurs- en naburige rechten.

3. Bij algemene maatregel van bestuur kunnen nadere voorschriften worden gegeven betreffende de uitoefening van het toezicht op de in het eerste lid bedoelde rechtspersoon.

Artikel 16e
1
. De hoogte van de in artikel 16c  bedoelde vergoeding wordt vastgesteld door een door Onze Minister van Justitie aan te wijzen stichting waarvan het bestuur zodanig is samengesteld dat de belangen van de makers of hun rechtverkrijgenden en de ingevolge artikel 16c, tweede lid, betalingsplichtigen op evenwichtige wijze worden behartigd. De voorzitter van het bestuur van deze stichting wordt benoemd door Onze Minister van Justitie.

Artikel 16f
Degene die tot betaling van de in artikel 16c bedoelde vergoeding verplicht is, is gehouden onverwijld of binnen een met de in artikel 16d, eerste lid, bedoelde rechtspersoon overeengekomen tijdvak opgave te doen aan deze rechtspersoon van het aantal van de door hem geimporteerde of vervaardigde voorwerpen, bedoeld in artikel 16c, eerste lid. Hij is voorts gehouden aan deze rechtspersoon op diens aanvrage onverwijld die bescheiden ter inzage te geven, waarvan kennisneming noodzakelijk is voor de vaststelling van de verschuldigdheid en de hoogte van de vergoeding.

Artikel 16g
Geschillen met betrekking tot de vergoeding, bedoeld in de artikelen 15i, tweede lid, 16b en 16c, worden in eerste aanleg bij uitsluiting beslist door de rechtbank te 's-Gravenhage.

Artikel 16ga 
1
. De verkoper van de in artikel 16c, tweede lid, bedoelde voorwerpen is gehouden aan de in artikel 16d, eerste lid, bedoelde rechtspersoon op diens aanvraag onverwijld die bescheiden ter inzage te geven waarvan de kennisneming noodzakelijk is om vast te stellen of de in artikel 16c, tweede lid, bedoelde vergoeding door de fabrikant of de importeur betaald is.

2. Indien de verkoper niet kan aantonen dat de vergoeding door de fabrikant of de importeur betaald is, is hij verplicht tot betaling daarvan aan de in artikel 16d, eerste lid, bedoelde rechtspersoon, tenzij uit de in het eerste lid genoemde bescheiden blijkt wie de fabrikant of de importeur is.

第16c条
第1項
 直接的にも間接的にも商業的利益を得る目的でなく、コピーを行う自然人自身の稽古、研究あるいは利用のためになされる、文芸、科学あるいは芸術の著作物あるいはその一部のコピー(reproduceren)は、著作権の侵害とは見なされない。

第2項 第1項に規定されているコピーに当てられる物の製造者あるいは輸入者は、著作者あるいは権利者のための適切な補償の支払いのために聴取を受け、あるいは、報告すること。

第3項 製造された物が取引に供された時に、製造者に補償金支払いの義務が発生する。輸入者に対しては、輸入の時に、この義務が発生する。

第4項 補償金の支払い義務は、第3項の支払い義務者が、第1項に規定されている対象を輸出する場合には、消滅する。

第5項 補償は対象1つにつき1回のみ行われ得る。

第6項 政令によって、第2項に規定されている支払われるべき補償の対象となると考えられる物に関して、さらなる規則が定められ得る。政令によって、適切な補償の料率、義務と形式に関して、さらなる規則が定められ得、本条の実施の条件が与えられ得る。

第7項 本条で認められるコピーは、司法あるいは行政手続きのためになされるので無い限り、著作者あるいは権利者の許諾無く、第3者に渡されてはならない。

第8項 本条は、第10条第3項に規定されている、電子的な手段によりアクセス可能とされたデータベースの複製には適用されない。

第16d条
第1項
 第16c条に規定されている補償の支払いは、司法大臣によって、代表する者と考えられ指定された法人になされ、この法人は、この補償の徴収と分配を規則に従い行い、この規則は、この法人によって作られ、著作権と著作隣接権の徴収団体管理法に規定されている管理委員会の承認を必要とする。この法人は、徴収と分配に関して、法の内外で著作者あるいは権利者を代表していなくてはならない。

第2項 第1項に規定されている法人は、著作権と著作隣接権の徴収団体管理法に規定されている管理委員会によって管理される。

第3項 政令によって、第1項に規定されている法人の管理の実施に関して、さらなる規則が定められ得る。

第16e条
第1項
 第16c条に規定されている補償の料率は、司法大臣によって指定された協会によって決められ、その理事会は、著作者あるいは権利者と、第16c条第2項に記載されている支払い義務者の代表の数が等しくなるように構成される。この協会の理事長は、司法大臣によって指名される。

第16f項
第16c条に規定されている補償の支払い義務を負う者は、第16d条第1項に規定されている法人に、遅滞無くあるいはこの法人と取り決めた期間内に、製造あるいは輸入した、第16c条第1項に規定されている物の数を通知しなくてはならない。これらの者は、また、その求めに応じて遅滞無く、支払うべき補償金の量を決めるために必要な資料を、この法人に提供する義務を負う。

第16g条
第15i条第2項、第16b条と第16c条に規定されている、補償に関する争いの第一審は、ハーグ地裁の専属管轄とする。

第16ga条
第1項
 第16c条第2項に規定されている物の販売業者は、その求めに応じて遅滞無く、第16d項第1項に規定されている法人に、第16c条第2項に規定されている補償が、製造者あるいは輸入者によって支払われたかどうかを確かめるために必要な資料を提供しなければならない。

第2項 製造者あるいは輸入者によって補償が支払われたと販売業者が示すことができない場合、第1項に記載されている書類によって誰が製造者あるいは輸入者であるのかを示さない限り、販売業者が第16d条第1項に規定されている法人に、その支払いをする義務を負う。

 ここで、第16項第1項に書かれている、補償金の徴収と分配を行う団体としては、私的複製補償金協会(Stichting Thuiskopie)が指定されているが、それとは別に、第16e条第1項に書かれている、補償金の料率を決定する団体としては、私的複製補償金交渉協会(Stichting Onderhandelingen Thuiskopievergoedingen:紛らわしいので、以下SONTと略す。)が指定されている。

 私的複製補償金協会のHPに料率表が載っているが、今のところ、オランダにおける私的複製補償金の対象は録音録画専用媒体のみであり、CD-R/RW、DVD±R/RW、MD、オーディオ・ビデオカセットのみとなっている。

 無論、私的複製補償金制度を導入しているほとんどの国の例に洩れず、オランダでも、2006年に、携帯音楽プレーヤーとハードディスクレコーダーへの課金の問題が大騒ぎになり、SONTでの検討の結果、2006年11月には、これらの機器には課金しないということが決定され、司法大臣もそのことを追認している。(司法省のリリース英語版)、司法大臣文書(pdf)、当時のZDnet.nlの記事参照。)

 さらに、徴収と分配しかしないはずの私的複製補償金協会が、メモリーカードについて勝手に仮料率を決めて課金を求めて動くということもあったようであり、2007年3月には、司法大臣がメモリーカードへの課金を否定し、このような私的複製補償金協会の暴走を強く批判している。(司法省のリリース司法大臣文書(pdf)参照。)

 また、2007年3月末には、著作権管理団体管理委員会の報告(pdf)を受け、透明性に欠け補償金の分配をきちんと行っていなかった私的補償金協会に対して、司法大臣がその改善指導を行っている。(司法省のリリース英語版)、司法大臣文書(pdf)参照。なお、補償金の分配について、私的複製補償金協会と権利者団体の間で裁判にまでなっている。)

 この3月末のリリースでも、司法省は、補償金の分配のデタラメさから、2008年中は料率と対象範囲の変更はされるべきではないと書いているが、権利者団体の際限の無い不当な補償金拡大要求によってもたられる無用のゴタゴタに心底うんざりしたのか、オランダは、2007年11月5日の司法大臣決定(pdf)で、補償金の料率と範囲を固定して2008年末までそれを維持するとし、補償金制度を公式に凍結するに至っている。

 権利者団体が、このような政府による補償金制度の凍結を不当として政府を相手に訴えを起こすが、2008年1月にはハーグ地裁に、このような政府による決定の余地は残されているとして即刻退けられている。(判決、当時のtweakers.netの記事参照。)

 また、以前から、媒体のメーカーと輸入業者と私的録音録画管理協会の間でも私的複製補償金に関する裁判闘争も続いており、例えば、2008年6月25日にも、やはりハーグ地裁で、両者の争いから、私的複製補償金は、明示あるいは黙示の許諾を有する複製を対象とするものではないとする判決が出されているが、判決自体矛盾しており結論も曖昧に過ぎるため、問題解決にはあまり役立っていないのではないかと思う。(なお、この裁判が継続中かどうかは不明だが、どちらから控訴されていてもおかしくないだろう。)

 その後も、2008年10月に司法省は凍結の1年延長を決定しており、今もこの凍結は継続中である。(司法省のリリース英語版)、司法大臣文書(pdf)参照。)

 要するに、ほぼ権利者団体代表で構成されている私的複製補償金協会(理事会等の構成メンバーリスト参照)が、補償金拡大運動を行い、それがSONTを通じた交渉や反対派の各種ロビー活動によってどうにか止まっているというのがオランダの現状のようである。オランダにおいては私的複製補償金の対象範囲が専用録音録画媒体のみに維持されているが、このことと欧州随一の大手電機メーカーであるフィリップスがオランダにあることとは無関係では無いだろう。

 今現在、2010年を目処に、私的複製補償金協会が、性懲りも無く補償金拡大運動を再開し始めているようだが(fd.nlの記事参照)、オランダでも、メーカー等はそもそもバランスを欠いた現行の補償金システム自体を批判しており、フィリップスの存在を考えても、オランダで権利者団体の政治力による不当な押し倒しが成立する可能性は低いのではないかと思う。凍結が再延長される可能性も十分にあるだろう。

 ポルトガルと並び、オランダも事実上補償金制度を凍結している。非道な著作権強権国家が居並ぶ欧州においても、権利者団体の際限の無い不当な要求からもたらされる社会的混乱にうんざりし、補償金の対象を録音録画専用媒体のみに限り、補償金の対象拡大を事実上凍結した国は存在しているのである。繰り返しになるが、欧州だからと言って、メーカーや消費者が納得して補償金を払っているということはカケラも無い、権利者団体がその政治力を不当に行使し、歪んだ「複製=対価」の著作権神授説に基づき、不当に対象を広げ料率を上げようとしているだけというのがあらゆる国における実情である。補償金の対象・料率に関して、具体的かつ妥当な基準はどこの国を見ても無いのだ。

 最後に、最近のニュースも少し紹介しておくと、欧州における実演家の保護期間延長がEU議会で可決された(reuterの記事afterdawn.comの記事参照)。問題の本質を全く理解していない話だが、EU議会は、95年への延長を70年とするという妥協案で延長を通した。議決は賛成377名、反対178名、棄権37名と、反対派の努力にもかかわらず、まだメジャーレーベルと権利者団体の欧州における政治力はまだかなり強いと見える。これで、この案はEU理事会での最終決定に移される。反対の国も存在しているようだがどうなるか、先行きは怪しい。

 スウェーデンにおける、プロバイダー責任制限型の情報開示手続きを整備する著作権法改正についても、そのうち紹介できればと思っているが、その影響について「P2Pとかその辺の話」で取り上げられているので、興味のある方は是非リンク先をご覧頂ければと思う。

 また、中国が、ソースコード開示強制認証制度の近日中の導入を政府に通告してきているようである(読売のネット記事産経のネット記事参照)。日米欧で全力をあげて排除してもらいたいと思うが、中国のやることもメチャクチャである。

(4月27日夜の追記:ブルーレイ課金の著作権法施行令改正について、文化庁と経産省が合意に達したとのニュース(ITmediaの記事internet watchの記事日経TechOnの記事参照)があったが、また消費者そっちのけで利害調整が行われようとしている。やり方としては、ブルーレイ課金を施行令改正で行った上で、施行令とは別の施行通知に関係者かンでの意見の相違が顕在化した場合の将来の見直しの可能性について書くことを考えているようだが、既に意見の相違がこれ以上は無いくらいに顕在化しているこの問題について、このようなやり方を取ることは確実に将来に禍根を残すだけだろう。)

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2009年4月21日 (火)

第168回:オランダ著作権法の私的複製関連規定

 スウェーデンと韓国の著作権法改正の動向も気になるのだが、調べるのにまだ時間がかかるので、先にオランダ著作権法の私的複製関連規定の紹介をやっておきたいと思う。

オランダの著作権法(pdf)英語版(pdf))の各種権利制限は第16章に規定されており、第15条からの報道、引用、行政立法司法、障害者、教育、図書館のためといった、お決まりの権利制限の後、私的複製のための権利制限は、第16b条から第16m条に、以下のように規定されている。(翻訳は拙訳。なお、翻訳に当たっては英語版も参照した。)

Artikel 16b
1
. Als inbreuk op het auteursrecht op een werk van letterkunde, wetenschap of kunst wordt niet beschouwd de verveelvoudiging welke beperkt blijft tot enkele exemplaren en welke uitsluitend dient tot eigen oefening, studie of gebruik van de natuurlijke persoon die zonder direct of indirect commercieel oogmerk de verveelvoudiging vervaardigt of tot het verveelvoudigen uitsluitend ten behoeve van zichzelf opdracht geeft.

2. Waar het geldt een dag-, nieuws- of weekblad of een tijdschrift of een boek of de partituur of de partijen van een muziekwerk en de in die werken opgenomen andere werken, blijft die verveelvoudiging bovendien beperkt tot een klein gedeelte van het werk, behalve indien het betreft:
a. werken, waarvan naar redelijkerwijs mag worden aangenomen geen nieuwe exemplaren tegen betaling, in welke vorm ook, aan derden ter beschikking zullen worden gesteld;
b. in een dag-, nieuws- of weekblad of tijdschrift verschenen korte artikelen, berichten of andere stukken.

3. Waar het geldt een werk, als bedoeld bij artikel 10, eerste lid, onder 6°, moet de verveelvoudiging door haar grootte of door de werkwijze, volgens welke zij vervaardigd is, een duidelijk verschil vertonen met het oorspronkelijke werk.

4. Indien een ingevolge dit artikel toegelaten verveelvoudiging heeft plaatsgevonden, mogen de vervaardigde exemplaren niet zonder toestemming van de maker of zijn rechtverkrijgenden aan derden worden afgegeven, tenzij de afgifte geschiedt ten behoeve van een rechterlijke of bestuurlijke procedure.

5. Bij algemene maatregel van bestuur kan worden bepaald dat voor de verveelvoudiging, bedoeld in het eerste lid, ten behoeve van de maker of diens rechtverkrijgenden een billijke vergoeding is verschuldigd. Daarbij kunnen nadere regels worden gegeven en voorwaarden worden gesteld.

6. Dit artikel is niet van toepassing op het reproduceren, bedoeld in artikel 16c, noch op het nabouwen van bouwwerken.

Artikel 16c
1
. Als inbreuk op het auteursrecht op een werk van letterkunde, wetenschap of kunst wordt niet beschouwd het reproduceren van het werk of een gedeelte ervan, mits het reproduceren geschiedt zonder direct of indirect commercieel oogmerk en uitsluitend dient tot eigen oefening, studie of gebruik van de natuurlijke persoon die de reproductie vervaardigt.

2.  Voor het reproduceren, bedoeld in het eerste lid, is de fabrikant of de importeur van een voorwerp dat bestemd is om een werk ten gehore te brengen, te vertonen of weer te geven ten behoeve van de maker of diens rechtverkrijgenden een billijke vergoeding verschuldigd.

3. Voor de fabrikant ontstaat de verplichting tot betaling van de vergoeding op het tijdstip dat de door hem vervaardigde voorwerpen in het verkeer kunnen worden gebracht. Voor de importeur ontstaat deze verplichting op het tijdstip van invoer.

4. De verplichting tot betaling van de vergoeding vervalt indien de ingevolge het derde lid betalingsplichtige een voorwerp als bedoeld in het eerste lid uitvoert.

5. De vergoeding is slechts eenmaal per voorwerp verschuldigd.

6. Bij algemene maatregel van bestuur kunnen nadere regelen worden gegeven met betrekking tot de voorwerpen ten aanzien waarvan de vergoeding, bedoeld in het tweede lid, verschuldigd is. Bij algemene maatregel van bestuur kunnen voorts nadere regelen worden gegeven en voorwaarden worden gesteld ter uitvoering van het bepaalde in dit artikel met betrekking tot de hoogte, verschuldigdheid en vorm van de billijke vergoeding.

7. Indien een ingevolge dit artikel toegelaten reproductie heeft plaatsgevonden, mogen voorwerpen als bedoeld in het eerste lid niet zonder toestemming van de maker of zijn rechtverkrijgenden aan derden worden afgegeven, tenzij de afgifte geschiedt ten behoeve van een rechterlijke of bestuurlijke procedure.

8. Dit artikel is niet van toepassing op het verveelvoudigen van een met elektronische middelen toegankelijke verzameling als bedoeld in artikel 10, derde lid.
...

Artikel 16h
1
. Een reprografische verveelvoudiging van een artikel in een dag-, nieuws- of weekblad of een tijdschrift of van een klein gedeelte van een boek en van de in zo'n werk opgenomen andere werken wordt niet beschouwd als inbreuk op het auteursrecht, mits voor deze verveelvoudiging een vergoeding wordt betaald.

2. Een reprografische verveelvoudiging van het gehele werk wordt niet beschouwd als inbreuk op het auteursrecht, indien van een boek naar redelijkerwijs mag worden aangenomen geen nieuwe exemplaren tegen betaling, in welke vorm dan ook, aan derden ter beschikking worden gesteld, mits voor deze verveelvoudiging een vergoeding wordt betaald.

3. Bij algemene maatregel van bestuur kan worden bepaald dat ten aanzien van de verveelvoudiging van werken als bedoeld bij artikel 10, eerste lid, onder 1°, van het in een of meer der voorgaande leden bepaalde mag worden afgeweken ten behoeve van de uitoefening van de openbare dienst, alsmede ten behoeve van de vervulling van taken waarmee in het algemeen belang werkzame instellingen zijn belast. Daarbij kunnen nadere regels worden gegeven en nadere voorwaarden worden gesteld.

Artikel 16i
De vergoeding, bedoeld in artikel 16h, wordt berekend over iedere pagina waarop een werk als bedoeld in het eerste en tweede lid van dat artikel reprografisch verveelvoudigd is. Bij algemene maatregel van bestuur wordt de hoogte van de vergoeding vastgesteld en kunnen nadere regels en voorwaarden worden gesteld.

Artikel 16j
Een met inachtneming van artikel 16h vervaardigde reprografische verveelvoudiging mag, zonder toestemming van de maker of zijn rechtverkrijgende, alleen worden afgegeven aan personen die in dezelfde onderneming, organisatie of instelling werkzaam zijn, tenzij de afgifte geschiedt ten behoeve van een rechterlijke of administratieve procedure.

Artikel 16k
De verplichting tot betaling van de vergoeding, bedoeld in artikel 16h, vervalt door verloop van drie jaar na het tijdstip waarop de verveelvoudiging vervaardigd is. De vergoeding is niet verschuldigd indien de betalingsplichtige kan aantonen dat de maker of diens rechtverkrijgende afstand heeft gedaan van het recht op de vergoeding.

Artikel 16l
1
. De betaling van de vergoeding, bedoeld in artikel 16h, dient te geschieden aan een door Onze Minister van Justitie aan te wijzen, naar zijn oordeel representatieve rechtspersoon, die met uitsluiting van anderen belast is met de inning en de verdeling van deze vergoeding.

2. In aangelegenheden betreffende de inning van de vergoeding vertegenwoordigt de rechtspersoon, bedoeld in het eerste lid, de makers of hun rechtverkrijgenden in en buiten rechte.

3. De rechtspersoon, bedoeld in het eerste lid, hanteert voor de verdeling van de geinde vergoedingen een reglement. Het reglement behoeft de goedkeuring van het College van Toezicht, bedoeld in de Wet toezicht collectieve beheersorganisaties auteurs- en naburige rechten.

4. De rechtspersoon, bedoeld in het eerste lid, staat onder toezicht van het College van Toezicht, bedoeld in de Wet toezicht collectieve beheersorganisaties auteurs- en naburige rechten.

5. Het eerste en tweede lid vinden geen toepassing voorzover degene die tot betaling van de vergoeding verplicht is, kan aantonen dat hij met de maker of zijn rechtverkrijgende overeengekomen is dat hij de vergoeding rechtstreeks aan deze zal betalen.

Artikel 16m
Degene die de vergoeding, bedoeld in artikel 16h, dient te betalen aan de rechtspersoon, bedoeld in artikel 16l, eerste lid, is gehouden aan deze opgave te doen van het totale aantal reprografische verveelvoudigingen dat hij per jaar maakt.
De opgave, bedoeld in het eerste lid, behoeft niet gedaan te worden, indien per jaar minder dan een bij algemene maatregel van bestuur te bepalen aantal reprografische verveelvoudigingen gemaakt wordt.

第16b条
第1項
 直接的にも間接的にも商業的な利益を得る目的以外であるいは自身のためのみにその複製をなす自然人自身の稽古、研究、又は、利用のためになされ、若干数に限られる、文芸、科学あるいは芸術の著作物の複製(verveelvoudiging)は、著作権を侵害するものとは見なされない。

第2項 日刊紙、新聞、週刊誌、雑誌、本、楽譜あるいは音楽の著作物の一部とこれらの著作物に含まれる他の著作物に適用される場合、以下の場合を除き、著作物の小部分にさらに限られなくてはならない。
.著作物の複製物が、いかなる形でも、対価と引き換えに第3者に入手可能とされることが無いと合理的に考えられる場合;
.日刊紙、新聞、週刊誌、雑誌に公表された短い記事、報告その他の物の場合;

第3項 第10条第1項第6号で規定されている著作物(訳注:絵や建築、彫刻等)の場合、複製は、複製の大きさか手法において、元の著作物と明確に異なっていなくてはならない。

第4項 本条で認められる複製が行われる場合、司法あるいは行政手続きのためになされるので無い限り、著作者あるいは権利者の許諾無く、第3者に渡されてはならない。

第5項 政令によって、著作者あるいは権利者のための、第1項に規定されている複製の適切な補償を定め得る。それによって、さらなる規則が定められ得、さらなる条件が与えられ得る。

第6項 本条は、第16c条に規定されているコピー(reproduceren)、あるいは、建築物の複製建築には適用されない。

第16c条
第1項
 直接的にも間接的にも商業的利益を得る目的でなく、コピーを行う自然人自身の稽古、研究あるいは利用のためになされる、文芸、科学あるいは芸術の著作物あるいはその一部のコピー(reproduceren)は、著作権の侵害とは見なされない。

第2項 第1項に規定されているコピーに当てられる物の製造者あるいは輸入者は、著作者あるいは権利者のための適切な補償の支払いのために聴取を受け、あるいは、報告すること。

第3項 製造された物が取引に供された時に、製造者に補償金支払いの義務が発生する。輸入者に対しては、輸入の時に、この義務が発生する。

第4項 補償金の支払い義務は、第3項の支払い義務者が、第1項に規定されている対象を輸出する場合には、消滅する。

第5項 補償は対象1つにつき1回のみ行われ得る。

第6項 政令によって、第2項に規定されている支払われるべき補償の対象となると考えられる物に関して、さらなる規則が定められ得る。政令によって、適切な補償の料率、義務と形式に関して、さらなる規則が定められ得、本条の実施の条件が与えられ得る。

第7項 本条で認められるコピーは、司法あるいは行政手続きのためになされるので無い限り、著作者あるいは権利者の許諾無く、第3者に渡されてはならない。

第8項 本条は、第10条第3項に規定されている、電子的な手段によりアクセス可能とされたデータベースの複製には適用されない。

(中略:第16d条から第16条ga条までのその他補償金に関する規定については、オランダにおける私的複製補償金問題に関する現状と合わせ、回を分けて紹介する。)

第16h条
第1項 日刊紙、新聞、週刊誌、雑誌あるいは本の小部分、そして、それらの著作物に含まれた他の著作物の複写は、その複製に対して補償が支払われる限り、著作権を侵害するものとは見なされない。

第2項 その複製について補償が支払われ、その複製物が、いかなる形でも、対価と引き換えに第3者に入手可能とされることが無いと合理的に考えられる本についての場合、著作物全体の複写は著作権を侵害するものとは見なされない。

第3項 政令によって、第10項第1項第1号に規定されている著作物(訳注:本、パンフレット、新聞、雑誌等)の複製に関して、公共サービスの実施のため、公益団体においてなされる仕事の実行のために、前各項の規定の適用除外を作り得る。これによって、さらなる規則が定められ得、さらなる条件が与えられ得る。

第16i条
 第16h条に規定されている補償は、本条の第1項と第2項で規定されている通りに複写されるところの著作物のページ毎で計算される。政令によって、補償の料率が定められ得、さらなる規則と条件が与えられ得る。

第16j条
 司法あるいは行政手続きのためになされる場合を除き、著作者あるいは権利者の許諾無く、第16h条に規定されている複写物が渡され得るのは、同じ企業、組織、機関で働く者のみである。

第16k条
 第16h条に規定されている、補償支払いの義務は、複製がなされて時から3年間で消滅する。補償の義務を負う者が、著作者あるいは権利者が補償の権利を放棄したことを示した場合、補償は課されない。

第16l条
第1項
 第16h条に規定されている補償の支払いは、司法大臣によって、代表する者と考えられ指定された法人になされ、この法人は補償の徴収と分配を排他的に行う。

第2項 補償の徴収に関して、第1項で規定されている法人は、法の内外で、著作権者あるいは権利者を代表していなくてはならない。

第3項 第1項で規定されている法人は、徴収された補償金の分配に規則を適用する。この規則は、著作権と著作隣接権の徴収団体管理法に規定されている管理委員会の承認を必要とする。

第4項 第1項に規定されている法人は、著作権と著作隣接権の徴収団体管理法に規定されている管理委員会によって管理される。

第5項 第1項と第2項は、補償の義務を負う者が、直接補償を支払うことを著作者あるいは権利者と合意したと示した場合には、適用されない。

第16m項
 第16h項に規定されている補償を第16l条第1項に規定されている法人に支払う者は、年毎に作成した複製数の記録を作成しなくてはならない。
 年毎に作成される複製数が、政令によって定められる数よりも少ない場合、前段に規定されている記録が作成される必要は無い。

 オランダの著作権法は、私的複製関連規定を3つに分けて書くというかなりトリッキーなことをやっている。特に、第16b条と第16c条の区別は微妙だが、第16b条は昔からあった古典的な私的複製規定で、第16c条は新技術による複製に対応するため後から追加されたもののようであり、比べてみるといくつか細かな違いがある。

 訳ではそれぞれ複製とコピーと訳し分けたが、第16b条でVerveelvoudiging、第16c条ではReproducerenという用語の使い分けがなされており、対象が違うことを一応示している。といっても、これらは通常の用語としては同じ意味であり、用語だけでは本当の区別はつかない。実際に違う点としては、第16b条は、若干数と複製部数を限定しているが、第16c条にはそのような限定は無い点や、第16b条は、第2項でさらに著作物の小部分に限り私的複製が認められるとしているが、第16c条にはそのような限定は無い点があげられるが、これらの違いは、新しく発展した技術によるデジタル録音録画等について、数や部分を限定することは無意味ということを反映したものだろう。

 オランダにおけるその他の私的複製補償金関連規定と補償金問題の現状の紹介については、また長くなるので回を分けたいと思うが、その第5項で、政令で補償を定められるとしているものの、第16b条の古典的な私的複製について何らかの補償が定められている様子は無い。オランダにおける私的複製補償金を規定しているのは、主としてデジタル録音録画を対象としている第16c条以下である。その第2項に明記されている通り、新聞や雑誌、本等の私的複製・複写は古典的なものとして第16条b条の対象となるのではないかと考えられるが、そのためか、オランダでは、家庭用コピー機等に対する課金は行われていない。

 自然人によるものとして、通常の家庭内等における私的複製については、第16b条か第16c条に該当するはずだが、第16条h条以下の規定は自然人の限定が入っておらず、これらは法人を対象とするものと分かる。日本では企業内の複製・複写について明確な規定が無いが、このように企業・法人内に限られる複製についても権利制限を行っている国もかなり存在していることはもっと注目されても良いだろう。法人内複製の扱いが明確でないことも、日本の私的複製問題をややこしくしている要因の一つだと私は考えている。(なお、この法人内複写補償金は、私的複製補償金協会とは別の複写権協会が、従業員数などに応じて徴収している。)

 また、見てもらえば分かるように、オランダはダウンロード違法化をしていない。また、オランダでダウンロード違法化やストライクポリシーの導入が検討されているという話も聞かない。ダウンロード違法化やストライクポリシーに関しては、オランダも様子見国の一つと考えて良いのではないかと思う。ダウンロード違法化やストライクポリシーのような非道な政策を推進している国は、世界でも数えるほどしか無いのである。

(なお、この私的複製関連規定の後にも、放送のため、宗教儀式のため、公共の場に永続的に置かれている物のため、偶然の写り込みのため、パロディ・カリカチュア・パスティーシュのため、美術品の展示・販売のため、データベースのアクセスのためと言った西洋ではお馴染みの権利制限が並ぶ。興味のある方は、リンク先の元の条文をご覧頂ければと思うが、オランダ著作権法が第19条から第22条で、わざわざ肖像の複製に関する権利制限を規定し、著作権と肖像権の奇妙な混同を示しているのはかなり奇妙と言わざるを得ない。)

 最後に少しニュースを紹介しておくと、ドイツと同様、オーストリアでも、PCに対する私的複製補償金の課金は最高裁で否定された(heise onlineの記事Die Presseの記事参照)。判決が読めればまた詳細を紹介したいと思うが、非道な著作権強健国家が居並ぶヨーロッパにおいても、決して不当な利権の拡大のみが行われている訳ではない。

 また、文化庁で基本問題小委員会の第1回も開催されたようだが(ITmediaの記事internet watchの記事ITproの記事PC Onlineの記事)、ポジショントークしかできないメンバーが多数を占めるこの小委員会に何かを期待する方が間違っている。私的録音録画補償金問題については、別途、懇談会による利害調整もする予定のようであり、こちらも合わせて追いかけて行く必要が出てくるのだろう。(なお、PC Onlineの記事で、会合後に確認したところ、著作権課長が「文化庁が議論のレールを敷くようなやり方はしない」と述べたと書かれているが、怒りのあまり開いた口がふさがらない。比較的バランスの取れた意見を言っていた者を全て排除し、権利者団体代表中心で委員会を恣意的に構成すること自体既に議論のレールを敷いているに等しい。歪んだ「複製=対価」の著作権神授説に基づき補償金問題や保護期間延長問題について悪辣な事務局整理ペーパーを出してくるのも時間の問題だろう。国民と文化の敵と化した極悪非道な文化庁の卑劣に付ける薬はもはや無い。)

 他の話を挟むことになるかも知れないが、引き続き、オランダのその他の私的複製補償金関連規定と補償金問題の現状についても紹介したいと思っている。

(3月22日の追記:パブコメで反対した(第155回も参照)、不正競争防止法の改正法が残念ながら成立した(時事通信のネット記事産経のネット記事参照)。他の凶悪な法案に比べると影響は小さいだろうと考えられるとは言え、このように余計な混乱を招くだけの実質的に無意味な法改正は、されないに越したことは無かったと私は今でも思っている。)

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2009年4月 9日 (木)

第166回:ポルトガルの私的複製補償金関連規定

 前々回の続きで、ポルトガルの私的複製補償金関連規定の紹介を済ませておきたい。

 ポルトガル著作権法(pdf)で私的複製補償金を規定しているのは、以下の第82条である。(翻訳は拙訳。)

Artigo 82.°Compensacao devida pela reproducao ou gravacao de obras
1
- No preco de venda ao publico de todos e quaisquer aparelhos mecanicos, quimicos, electricos, electronicos ou outros que permitam a fixacao e reproducao de obras e, bem assim, de todos e quaisquer suportes materiais das fixacoes e reproducoes que por qualquer desses meios possam obter -se, incluir-se-a uma quantia destinada a beneficiar os autores, os artistas, interpretes ou executantes, os editores e os produtores fonograficos e videograficos.

2 - A fixacao do regime de cobranca e afectacao do montante da quantia referida no numero anterior e definida por decreto-lei.

3 - O disposto no n.o 1 deste artigo nao se aplica quando os aparelhos e suportes ali mencionados sejam adquiridos por organismos de comunicacao audiovisual ou produtores de fonogramas e videogramas exclusivamente para as suas proprias producoes ou por organismos que os utilizem para fins exclusivos de auxilio a diminuidos fisicos visuais ou auditivos.

第82条 著作物の複製あるいは録音録画に関する補償
第1項
 著作物の録音録画あるいは複製が可能である、化学的、電子的、電気的その他の機器並びに、そのような機器に使われ得る録音録画・複製媒体の市販価格には、著作者、実演家あるいはレコード・ビデオ製作者に与えられる補償金が含まれる。

第2項 前項に規定されている補償金の料率と徴収は、法令によって定められる。

第3項 本条第1項の規定は、自らの製作のためのみにそれを用いるレコード・ビデオ製作者、視聴覚障害の補助のためのにそれを使用する機関によって入手された記載の機器あるいは媒体に対しては、適用しない。

 また、さらに細かなことを規定している法令第62/98号からも主立ったところを以下に訳出する。(やはり翻訳は拙訳。なお、表は2004年の改正法を掲載している官報(pdf)から引用した。)

Artigo 1.°Objecto
1
...
2 - O disposto na presente lei nao se aplica aos computadores, aos seus programas nem as bases de dados constituidas por meios informaticos, bem como aos equipamentos de fixacao e reproducao digitais.

Artigo 2.°Compensacao devida pela reproducao ou gravacao de obras
Com vista a beneficiar os autores, os artistas interpretes ou executantes, os editores e os produtores fonograficos e videograficos, uma quantia e incluida no preco de venda ao publico:
a) De todos e quaisquer aparelhos mecanicos, quimicos, electronicos ou outros que permitam a fixacao e reproducao de obras como finalidade unica ou principal, com excepcao dos equipamentos digitais;
b) Dos suportes materiais virgens digitais ou analogicos, com excepcao do papel, previstos no n.° 4 do artigo 3.°, bem como das fixacoes e reproducoes que por qualquer desses meios possam obter-se.

Artigo 3.°Fixacao do montante da remuneracao
1
- A remuneracao a incluir no preco de venda ao publico dos aparelhos de fixacao e reproducao de obras e prestacoes e igual a 3% do preco de venda, antes da aplicacao do IVA, estabelecido pelos respectivos fabricantes e importadores.
...

4 - No preco de venda ao publico, antes da aplicacao de IVA, de cada um dos suportes, analogicos e digitais, e incluida uma remuneracao, nos termos a seguir indicados:

Table...

Artigo 6.°Comissao de acompanhamento
1
- e constituida uma comissao presidida por um representante do Estado designado por despacho do Primeiro-Ministro e composta por uma metade de pessoas designadas pelos organismos representativos dos titulares de direito, por um quarto de pessoas designadas pelos organismos representativos dos fabricantes ou importadores de suportes e aparelhos mencionados no artigo 3.° e por um quarto de pessoas designadas pelos organismos representativos dos consumidores.

2 - Os organismos convidados a designar os membros da comissao, bem como o numero de pessoas a designar por cada um, serao determinados por despacho do Ministro da Cultura.

3 - A comissao reune pelo menos uma vez por ano, sob convocacao do seu presidente ou a requerimento escrito da maioria dos seus membros, para avaliar as condicoes de implementacao da presente lei.

4 - As deliberacoes da comissao sao aprovadas por maioria dos membros presentes, tendo o presidente voto de qualidade.
...

第1条 対象
第1項
(省略:根拠法の列挙)
第2項 この法令の規定はコンピュータ、そのプログラム、情報技術によって作られたデータベース、並びに、デジタル録音録画・複製機器には適用されない。

第2条 著作物の録音録画・複製に対する補償
 著作者、実演家あるいはレコード・ビデオ製作者に与えられるために、次の物の市販価格には補償金が含まれる:
a)その唯一のあるいは主たる目的が、著作物の録音録画あるいは複製を可能とするものである、化学的、電子的、電気的その他の機器、ただし、デジタル機器を除く;
b)そのような機器に使われ得る、第3条第4項に規定されているデジタルあるいはアナログのブランクメディア。

第3条 補償金額
第1項
 著作物と実演の録音録画・複製機器の市販価格に含まれる補償金額は、製造業者と輸入業者を代表する者によって確定される、消費税課税前の市販価格の3%に等しい。
(中略:第2、3項で商業的に公共に供される複写機についての補償金も市販価格の3%であることを規定)
第4項 消費税課税前の市販価格において、それぞれのアナログあるいはデジタル媒体に含まれる補償金額は、次の通りである:

(中略:金額は上の表参照。第4条で例外の適用を受ける方法、第5条で徴収団体を規定)

第6条 評価委員会
第1項
 総理大臣によって指名される国家を代表する者がその議長を務め、権利者を代表する団体によって指名される半数と、第3条の機器媒体の販売輸入業者を代表する団体によって指名される4分の1と、消費者を代表する団体によって指名される4分の1によって、委員会は構成される。

第2項 委員会の委員を指名する者として呼ばれる団体、並びに、それぞれによって指名される委員の数は、文化大臣令によって決められる。

第3項 委員長の要請あるいは委員の過半数の書面による要求により、この法令の実施を評価するため、委員会は最低年1回は会合を開く。

第4項 委員会の審議は委員の多数によって決される、同数の場合は委員長が決定票を入れる。
(後略)

 改正前の法令は料率や対象範囲を文化大臣と財務大臣の共同令で定めるとしていたが、ポルトガルは、この法令の2004年の改正(上でもリンクを張った改正法(pdf)参照)によって、コンピュータ及びデジタル機器を明示的に補償金の対象外とするとともに、補償金の対象となる媒体もCD(R、RW)、MD、DVD(R、RW、RAM)、オーディオカセット、VHSビデオカセットといった専用媒体のみを列挙して、改正に議会の議決が必要な法令に直接書き込む形に改め、事実上、補償金の対象拡大を凍結している。(無論、プリンターやスキャナー等は対象外である。改正前の条文は、ポルトガル文化省のHP("Direito de Autor"→"Legislacao Legislacao nacional"→"Decreto-lei n.° 62/98, de 1 de Setembro")参照。)

 ポルトガル議会のHPに載っている法改正の審議資料を読んだところでは、2003年の12月に憲法裁判所で、このような法律・法令によらない補償金賦課は憲法違反と判断されたことが法改正に大きな影響を与えたようであり、ポルトガルにおいても、補償金に関する争いが憲法裁判にまで発展し、結果として事実上の補償金の対象拡大の凍結がなされるに至ったということは注目に値する。(憲法裁判所の判決では、私的複製補償金は実質税に相当し、改正前の規定は、税は法律によって定められなくてはならないとしているポルトガル憲法の第103条第2項に抵触すると判断している。今後、日本の議論がどうなるかは全く分からないが、このポルトガルの判断は、補償金を実質著作権税としようとする文化庁・権利者団体の目論見について、法律による税の規定を定めている日本国憲法第84条からも、問題提起し得ることを示唆している。)

 また、技術の進展も考えると範囲と料率の確定が実質不可能なためだったろうとは思うが、PCを含むデジタル機器・汎用媒体を明示的に補償金の対象外としたことも、将来を見据えた英断として高く評価したい。ドイツなどの状況を見ても、権利者団体に青天井の補償金請求権を与えることは、常に社会的混乱しかもたらさないのである。世界的に見てもその改革は困難を極めることと思うが、機器・媒体を離れ音楽・映像の情報化が進む中、「複製=対価」の著作権神授説と個別の機器・媒体への賦課を基礎とする私的複製・録音録画補償金は、既に時代遅れのものとなりつつあると言っても差し支えないだろう。

(評価委員会についても念のため訳したが、何も書いていないことからも分かるように、この評価委員会には補償金の対象範囲や料率の決定権は無い。委員などはフランスと同じ比率になっており、もしこの委員会であらゆることが決定されていたとしたら、ポルトガルでも、フランスと同じ様にデタラメな拡大のみが行われていたに違いない。)

 文化庁や権利者団体は、「複製=対価」の著作権神授説に随まで毒されたドイツやフランスなどの非道な著作権強権国家の話ばかりを強調するが、技術の進展を考えて、デジタル機器を明示的に補償金の対象から除外し、録音録画専用媒体の課金だけを残し、補償金の対象拡大を事実上凍結した国はヨーロッパにも存在しているのである。片寄った見方で国際動向を「作る」ことなど許されることではない。補償金の対象・料率に関して、具体的かつ妥当な基準はどこの国を見ても無いのだ。

 今現在ポルトガルで補償金問題が大いに騒がれているという話は聞かないが、ポルトガルでも訳の分からない国際動向なり著作権神授説なりに基づいて権利者団体が不当な要求を募らせて来ないとも限らない。また何かあれば、ポルトガルの状況についても随時紹介したいと思っている。

 最後に、最近のニュースも少し紹介しておくと、この4月6日に知財本部が第3期基本方針を決定した(日経のネット記事参照)。4月6日の会合資料に載っている基本方針案(pdf)概要(pdf))の通りに決定されたのだろうと思うが、基本方針というほどのことは無く、いつも通りの検討項目が並んでいる。日本ブランド戦略(pdf)というこれまた別に作る意味がさっぱり分からない報告書も決定されたようである。

 また、同じく4月6日にアメリカ政府が模倣品・海賊版対策条約の概要を公表した(cnetの記事、アメリカ通商代表部のリリース概要文書(pdf)参照)。条約なので、そう簡単に成立するとは思えないが、模倣品・海賊版対策条約については気になっており、この文書への突っ込みもどこかで別に書ければと思っているところである。

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2009年4月 3日 (金)

第165回:ポルトガルの私的複製・権利制限関連規定

 各国の著作権法紹介も地道にやって行きたいと思っており、今回は、ポルトガルの私的複製関連他の権利制限規定を紹介する。

 まず、ポルトガル著作権法(pdf)から権利制限規定の抜粋とその翻訳を以下に示す。(いつもの如く、翻訳は拙訳。)

CAPITULO II
Da utilizacao livre

Artigo 75.°
Ambito
1
- Sao excluidos do direito de reproducao os actos de reproducao temporaria que sejam transitorios, episodicos ou acessorios, que constituam parte integrante e essencial de um processo tecnologico e cujo unico objectivo seja permitir uma transmissao numa rede entre terceiros por parte de um intermediario, ou uma utilizacao legitima de uma obra protegida e que nao tenham, em si, significado economico, incluindo, na medida em que cumpram as condicoes expostas, os actos que possibilitam a navegacao em redes e a armazenagem temporaria, bem como os que permitem o funcionamento eficaz dos sistemas de transmissao, desde que o intermediario nao altere o conteudo da transmissao e nao interfira com a legitima utilizacao da tecnologia conforme os bons usos reconhecidos pelo mercado, para obter dados sobre a utilizacao da informacao, e em geral os processos meramente tecnologicos de transmissao.

2 - Sao licitas, sem o consentimento do autor, as seguintes utilizacoes da obra:
a) A reproducao de obra, para fins exclusivamente privados, em papel ou suporte similar, realizada atraves de qualquer tipo de tecnica fotografica ou processo com resultados semelhantes, com excepcao das partituras, bem como a reproducao em qualquer meio realizada por pessoa singular para uso privado e sem fins comerciais directos ou indirectos;
b) A reproducao e a colocacao a disposicao do publico, pelos meios de comunicacao social, para fins de informacao, de discursos, alocucoes e conferencias pronunciadas em publico que nao entrem nas categorias previstas no artigo 7.°, por extracto ou em forma de resumo;
c) A seleccao regular de artigos de imprensa periodica, sob forma de revista de imprensa;
d) A fixacao, reproducao e comunicacao publica, por quaisquer meios, de fragmentos de obras literarias ou artisticas, quando a sua inclusao em relatos de acontecimentos de actualidade for justificada pelo fim de informacao prosseguido;
e) A reproducao, no todo ou em parte, de uma obra que tenha sido previamente tornada acessivel ao publico, desde que tal reproducao seja realizada por uma biblioteca publica, um arquivo publico, um museu publico, um centro de documentacao nao comercial ou uma instituicao cientifica ou de ensino, e que essa reproducao e o respectivo numero de exemplares se nao destinem ao publico, se limitem as necessidades das actividades proprias dessas instituicoes e nao tenham por objectivo a obtencao de uma vantagem economica ou comercial, directa ou indirecta, incluindo os actos de reproducao necessarios a preservacao e arquivo de quaisquer obras;
f) A reproducao, distribuicao e disponibilizacao publica para fins de ensino e educacao, de partes de uma obra publicada, contando que se destinem exclusivamente aos objectivos do ensino nesses estabelecimentos e nao tenham por objectivo a obtencao de uma vantagem economica ou comercial, directa ou indirecta;
g) A insercao de citacoes ou resumos de obras alheias, quaisquer que sejam o seu genero e natureza, em apoio das proprias doutrinas ou com fins de critica, discussao ou ensino, e na medida justificada pelo objectivo a atingir;
h) A inclusao de pecas curtas ou fragmentos de obras alheias em obras proprias destinadas ao ensino;
i) A reproducao, a comunicacao publica e a colocacao a disposicao do publico a favor de pessoas com deficiencia de obra que esteja directamente relacionada e na medida estritamente exigida por essas especificas deficiencias e desde que nao tenham, directa ou indirectamente, fins lucrativos;
j) A execucao e comunicacao publicas de hinos ou de cantos patrioticos oficialmente adoptados e de obras de caracter exclusivamente religioso durante os actos de culto ou as praticas religiosas;
l) A utilizacao de obra para efeitos de publicidade relacionada com a exibicao publica ou venda de obras artisticas, na medida em que tal seja necessario para promover o acontecimento, com exclusao de qualquer outra utilizacao comercial;
m) A reproducao, comunicacao ao publico ou colocacao a disposicao do publico, de artigos de actualidade, de discussao economica, politica ou religiosa, de obras radiodifundidas ou de outros materiais da mesma natureza, se nao tiver sido expressamente reservada;
n) A utilizacao de obra para efeitos de seguranca publica ou para assegurar o bom desenrolar ou o relato de processos administrativos, parlamentares ou judiciais;
o) A comunicacao ou colocacao a disposicao de publico, para efeitos de investigacao ou estudos pessoais, a membros individuais do publico por terminais destinados para o efeito nas instalacoes de bibliotecas, museus, arquivos publicos e escolas, de obras protegidas nao sujeitas a condicoes de compra ou licenciamento, e que integrem as suas coleccoes ou acervos de bens;
p) A reproducao de obra, efectuada por instituicoes sociais sem fins lucrativos, tais como hospitais e prisoes, quando a mesma seja transmitida por radiodifusao;
q) A utilizacao de obras, como, por exemplo, obras de arquitectura ou escultura, feitas para serem mantidas permanentemente em locais publicos;
r) A inclusao episodica de uma obra ou outro material protegido noutro material;
s) A utilizacao de obra relacionada com a demonstracao ou reparacao de equipamentos;
t) A utilizacao de uma obra artistica sob a forma de um edificio, de um desenho ou planta de um edificio para efeitos da sua reconstrucao ou reparacao.

3 - e tambem licita a distribuicao dos exemplares licitamente reproduzidos, na medida justificada pelo objectivo do acto de reproducao.

4 - Os modos de exercicio das utilizacoes previstas nos numeros anteriores nao devem atingir a exploracao normal da obra, nem causar prejuizo injustificado dos interesses legitimos do autor.

5 - e nula toda e qualquer clausula contratual que vise eliminar ou impedir o exercicio normal pelos beneficiarios das utilizacoes enunciadas nos n.°s 1, 2 e 3 deste artigo, sem prejuizo da possibilidade de as partes acordarem livremente nas respectivas formas de exercicio, designadamente no respeitante aos montantes das remuneracoes equitativas.

Artigo 76.°
Requisitos

1 - A utilizacao livre a que se refere o artigo anterior deve ser acompanhada:
a) Da indicacao, sempre que possivel, do nome do autor e do editor, do titulo da obra e demais circunstancias que os identifiquem;
b) Nos casos das alineas a) e e) do n.°2 do artigo anterior, de uma remuneracao equitativa a atribuir ao autor e, no ambito analogico, ao editor pela entidade que tiver procedido a reproducao;
c) No caso da alinea h) do n.°2 do artigo anterior, de uma remuneracao equitativa a atribuir ao autor e ao editor;
d) No caso da alinea p) do n.°2 do artigo anterior, de uma remuneracao equitativa a atribuir aos titulares de direitos.

2 - As obras reproduzidas ou citadas, nos casos das alineas b), d), e), f), g) e h) do n.°2 do artigo anterior, nao se devem confundir com a obra de quem as utilize, nem a reproducao ou citacao podem ser tao extensas que prejudiquem o interesse por aquelas obras.
3 - So o autor tem o direito de reunir em volume as obras a que se refere a alinea b) do n.°2 do artigo anterior.

Artigo 77.°
Comentarios, anotacoes e polemicas
1
- Nao e permitida a reproducao de obra alheia sem autorizacao do autor sob pretexto de a comentar ou anotar, sendo, porem licito publicar em separata comentarios ou anotacoes proprias com simples referencias a capitulos, paragrafos ou paginas de obra alheia.
2 - O autor que reproduzir em livro ou opusculo os seus artigos, cartas ou outros textos de polemica publicados em jornais ou revistas podera reproduzir tambem os textos adversos, assistindo ao adversario ou adversarios igual direito, mesmo apos a publicacao feita por aquele.

Artigo 78.°
Publicacao de obra nao protegida
1
- Aqueles que publicarem manuscritos existentes em bibliotecas ou arquivos, publicos ou particulares, nao podem opor -se a que os mesmos sejam novamente publicados por outrem, salvo se essa publicacao for reproducao de licao anterior.
2 - Podem igualmente opor -se a que seja reproduzida a sua licao divulgada de obra nao protegida aqueles que tiverem procedido a uma fixacao ou a um estabelecimento ou restabelecimento do texto susceptiveis de alterar substancialmente a respectiva tradicao corrente.

Artigo 79.°
Preleccoes
1
- As preleccoes dos professores so podem ser publicadas por terceiros com autorizacao dos autores, mesmo que se apresentem como relato da responsabilidade pessoal de quem as publica.
2 - Nao havendo especificacao, considera -se que a publicacao so se pode destinar ao uso dos alunos.

Artigo 80.°
Processo Braille

Sera sempre permitida a reproducao ou qualquer especie de utilizacao, pelo processo Braille ou outro destinado a invisuais, de obras licitamente publicadas, contanto que essa reproducao ou utilizacao nao obedeca a intuito lucrativo.

Artigo 81.°
Outras utilizacoese consentida a reproducao:
a)
Em exemplar unico, para fins de interesse exclusivamente cientifico ou humanitario, de obras ainda nao disponiveis no comercio ou de obtencao impossivel, pelo tempo necessario a sua utilizacao;
b) Para uso exclusivamente privado, desde que nao atinja a exploracao normal da obra e nao cause prejuizo injustificado dos interesses legitimos do autor, nao podendo ser utilizada para quaisquer fins de comunicacao publica ou comercializacao.

第2章 自由利用

第75条 範囲
第1項
 そのような仲介が、通信内容を変化させず、情報の利用に関するデータ入手のために市場で認められている正当な利用に影響せず、一般的に純粋な通信プロセスである限りにおいて、過渡的あるいは付随的になされ、技術的プロセスの一体不可分な一部をなし、その唯一の目的が、仲介として第3者間のネットワーク通信か、保護を受ける著作物の合法利用を可能とするものであり、それ自体で、経済的重要性を持たず、ネットワークにおけるブラウジング、通信システムの効率的な動作等を可能とする行為としてなされる一時的複製は、複製権から除かれる。

第2項 著作権者の同意が無くとも、著作物の次の利用は合法である。
a)私的な目的のみのための、紙あるいは類似の媒体への、複写技術あるいは類似のプロセスを通じて実現される、著作物の複製、ただし、楽譜は除き、個人による私的利用のためになされるものに限り、直接的にであれ間接的にであれ商業目的のものも除く;
b)第7条(訳注:保護の対象とならないものを規定)で規定されているカテゴリーに入らない、情報、演説、公衆に対して行われる会合を目的とし、抜粋としてあるいは概要の形において、社会的な通信手段によってなされる複製あるいは記録;
c)刊行物の選考の形でなされる、定期刊行物の記事の通常の記事の選択;
d)求める情報の目的によって正当化される場合の、文学あるは芸術作品の断片の、時事報道への挿入としてなされる、何がしかの手段による、固定、複製、あるいは公衆送信;
e)公衆に当てられるのではない部数で、その機関の適正な活動に必要なだけに限られ、直接的にせよ間接的にせよ、経済的あるいは商業的利益を得ることを目的とせず、著作物の保存に必要な複製行為として、公共図書館、公文書館、非商業文書館、あるいは、研究又は教育機関によってなされる、以前に公衆に入手可能とされた著作物の全体あるいは一部の複製;
f)その教育機関内の教育のみを目的とする、公表された著作物の一部の複製、配布、頒布、ただし、直接的にであれ間接的にであれ、経済的あるいは商業的利益を得ようとしない場合に限る。
g)著作物の種類、性質によらず、それが達成しようとする目的によって正当化される限りでの、批評、議論あるいは教育を目的とした、他の者の著作物の引用あるいは概要の挿入;
h)教育用著作物への他の者の著作物の短い断片の挿入;
i)直接的あるいは間接的に営利を求めず、その特定の障害によって厳密に必要とされる手段に直接的に結びついた形で、障害者のためになされる、著作物の複製、公衆送信あるいは頒布;
j)公式の国歌あるいは国頌歌の、宗教的行為あるいは宗教行事における宗教的な性質のみを有する著作物の演奏と公衆送信;
l)他の商業利用を除く形で、イベントの宣伝に必要な限りでの、芸術作品の公衆展示あるいは販売の広報のためになされる著作物の利用
m)明示の留保がない場合の、時事報道、政治、経済あるいは宗教論、放送著作物あるいは他の同じ性質の題材の複製、通信あるいは頒布;
n)公共の安全、あるいは、行政、立法、司法手続きの適正な進行あるいは報告の確保を目的とした著作物の利用;
o)売買あるいはライセンスに服さず、その収集品に合わせられない形での、個人的な調査研究あるいは公的な構成員のためになされる、図書館、博物館、文書館と学校内の利用端末による通信あるいは頒布;
p)放送によって伝えられた場合の、病院や監獄のような場所での、営利を目的とせず、社会的教育のためになされる著作物の複製
q)例えば、建築や彫刻のように、公の場に永続的に置かれるために作られた著作物の利用;
r)著作物あるいは他の保護を受ける題材の偶然の写り込み;
s)機器の展示あるいは修理に関する著作物の利用;
t)改築あるいは修復を目的とする、建築物の図面と、建築の形式を有する芸術作品の利用;

第3項 その複製行為の目的によって正当化される範囲で、適法に複製された物は適法に配布され得る。

第4項 前各項に規定されている利用の実施態様は、著作物の通常の利用を妨げるものでも、著作権者の正当な利益を害するものでもあってはならない。

第5項 適正な補償金額に関することを含め、その実施形式についての、関係者間の自由な合意の可能性を排除することはないが、本条第1、2、3項に列挙されている利用の受益者の通常の実施を排除する、あるいは、妨げることを目的とする全ての契約条項は無効である、

第76条 条件
第1項
 前条に規定されている自由利用は、次の事項を伴わなければならない。
a)特定のための記載、可能である場合は常に、作者と編者、著作物の題名と他の状況;
b)前条第2項段落a)とe)の場合においては、著作権者に与えられるべき、アナログ環境においては、その性質上編者がその複製に対して受ける、適切な補償;
c)前条第2項段落h)の場合においては、著作権者と編者に与えられるべき適切な補償;
d)前条第2項段落p)の場合においては、権利者に与えられるべき適切な補償;

第2項 前条第2項段落b)、d)、e)、f)、g)の場合において、複製あるいは引用される著作物と、それを利用する著作物との間で混同が生じることがあってはならず、その複製あるいは引用によって、その著作物の利益が不当に害されることがあってはならない。

第3項 前条第2項段落b)に規定されている著作物を一冊にまとめることは、著作権者のみが有する権利である。

第77条 注釈と議論
第1項
 注釈を理由として、その著作権者の許可なく他の者の著作物を複製することは許されないが、他の者の著作物の章、段落、ページへの単なる参照を用いた適切な別々の注釈として出版することは適法なこととして許される。

第2項 本あるいはパンフレットに、新聞や雑誌等に公表された議論について、自身の記事、手紙、あるいは他の文章を公表する者は、その者によってなされた出版の後において、等しい権利を相手に認めることで、議論の相手の文章を複製することができる。

第78条 保護を受けない作品の出版
第1項
 公的あるいは私的な、図書館あるいは文書館に存在している原稿を出版する者は、その者の教示の複製でない限り、同じ物を他の者がまた出版することに反対できない。

第2項 保護を受けない作品について、通説を実質的に変更するほどに、疑わしい文章の確定あるいは復元を行った者が明らかにした教示に基づいてなされる複製については反対可能である。

第79条 講義
第1項
 その出版をした者が個人的に責任を有する報告として出すとしても、教師の講義は、著作権者の許可を受けてのみ出版され得る。

第2項 特に説明が無い場合、それは、生徒の使用のみに当てられているものと考えられる。

第80条 点字のケース
視覚障害者のため、ブライユ点字法あるいは他の方法によって、適法に公表された作品の複製あるいは他の利用をすることは、そのような複製あるいは利用が商業目的でない場合、常に認められる。

第81条 他の利用
次の複製は許される:
a)商業的に手に入れられないか、入手不可能な著作物の、科学的あるいは人文学的な関心のみのための、その利用に必要な期間だけの、一つの複製;
b)私的な範囲に限られる利用、ただし、著作物の通常の利用を妨げず、著作権者の正当な利益を害さず、公衆提供あるいは広告のために利用されない場合に限る。

 この条文は、2008年4月の改正後のものであるが、見てもらえば分かる通り、ポルトガルは明確なダウンロード違法化を行っていない。また、ポルトガルにおいて、ストライクポリシーが検討されているという話も聞かない(2008年4月の時点で既にドイツではダウンロード違法化を行っていたはずだが、ポルトガルはダウンロード違法化をせず、権利制限についてはその拡充のみを行っている。)

 私的複製に関する条文が、第75条第2項段落a)と第81条段落b)に分かれているのは、元々紙に対する複写だけしか考えていなかったものを、いつなされたものか正確には分からないが、第81条を追加する形で他の媒体や技術に対応させたのだろう。(これもいつの時代に除いたのかは不明だが、私的複写からの楽譜の除去が、音楽著作権団体の理不尽な政治力の結果を如実に示している。)

 第81条には、だめ押しのように、ベルヌ条約の3ステップテストの文言が付け加えられているが、この条文の解釈上、ダウンロードは違法であるとする確定判決がポルトガルで出されているということは聞かない。

 今のところ、ダウンロード違法化やストライクポリシーについては、ポルトガルも様子見国の一つに分類されるとして良いだろう。良く見て行けば行くほど、ダウンロード違法化やストライクポリシーを真面目に導入してエンフォースしようともがいている国は世界でも数えるほどしかないのである。

 また、第75条第5項で、私的複写も含めて、権利制限として列挙されている利用を排除・制限するような契約を原則無効としていることも注意しておいた方が良い。今まで紹介して来た国にもいくつかあったが、法律上私的複製を強行規定的に書いている国が存在していることは、もっと注目されて良い事実である。

 第81条段落a)で絶版著作物の研究のための複製が明確に認められているということも注意しておきたい。ドイツもそうだが、私的複製の範囲が狭い国でも、絶版著作物の入手のための権利制限がある等の違いが存在しているケースもあり、私的複製問題においては本来こうした点も含めきちんとした国際比較がなされなくてはならないはずなのである。

 なお、様々な政治的圧力のためだろう、ポルトガルの権利制限も、かなりトリッキーに細かな規定がいろいろと入っているが、各権利制限項目自体は比較的簡潔に書かれている。例えば、機器の修理については第75条第2項段落s)で、機器の修理に関する利用と極あっさり書かれている。機器の補修・修理に関する日本の規定はえらく狭くややこしいが、機器の補修・修理についてなど本来これくらいの規定でも良かったのではないかと思う。ついでに言っておくと、図書館資料の原本保存のための電子化についても、国会図書館という超特殊図書館のみに認めている、あるいは、認めようとしている国を、日本以外に私は知らない。

 また他の話を挟むことになるのではないかと思うが、今回の続きとしてポルトガルの私的複製補償金関連の紹介もじきにしたいと思っている。

 最後に、知財関係のニュースも少し紹介しておくと、実際に最終的にどうなるかは何とも言えないが、欧州の実演家保護期間延長問題について、その国内事情もあってか、イギリスが、70年への妥協案も含め、延長に対して慎重姿勢に転じたようである(Numeramaの記事参照)。

 また、ドイツの音楽事業者協会が、2008年版の音楽ダウンロード報告書(pdf)を公表しているので、その第25ページから、違法ダウンロードに関する図をここに引用しておく。第13回でも書いたように、ドイツは2007年の9月にダウンロード違法化の明確化を行い、その法改正案の施行は2008年1月からされている訳だが、ドイツの音楽事業者言うところの違法ダウンロード(ファイル交換全てを違法としていたり、無料=違法といった間違った考えに基づいた上で、適当にアンケート調査を取っているという問題が、ドイツでも恐らく存在していることだろうが)は、ダウンロード数で2007年の31200万曲という数字から2008年で31600万曲と特に減少は見られず、違法ユーザーとするP2Pユーザー数についても2007年の335万人から374万人とどちらかと言えば微増の傾向が見られるくらいである。2005年当時から見ると、確かに微減と言えなくもないのだが、これは、ダウンロード違法化がどうこうと言うより、2006年からの非道な対P2Pユーザー訴訟拡大戦略(図に民事手続きの数も書かれているが、2005年で395件だったものが、2006年には2811件、2007年には15699件と実にバカげた数字になっている。)による萎縮効果だろう。しかし、このような非道な大量訴訟戦略を取ってすら、結局、社会的コストの途方も無い浪費に終わり、著作権法に関するモラルハザードがじっくりと進行するだけに終わるということが既に数字上も現れつつある。さらに、これだけのことをやっても、特に有料音楽配信ユーザーが劇的に伸びるということは無論無く、2005年で303万人だったものが、2006年で395万人、2007年で409万人、2008年で447万人と何もしなくても伸びたのではないかと思う数字を示しているに過ぎない。ダウンロード違法化を行い、かつ、それをエンフォースしようとした唯一の国であるドイツで、既にダウンロード違法化政策は事実上完全に破綻しつつある。悪い結果を考えずに実行するのはただのバカだが、悪い結果を知ってなお実行するのは完全な気違いである。既に狂っている文化庁と日本政府にはもはや何を言ってもムダかも知れないが、ダウンロード違法化は、どこをどう考えても百害あって一利ない最低の政策であると私はどこまでも言い続けるだろう。

(4月3日夜の追記:日本の権利者団体が特に問題としているのは違法着うたではないかと思うが、ドイツでは、そうした通常のホームページの無料ユーザーは、2005年で344万人、2006年で385万人、2007年で372万人、2008年で426万人と、ダウンロード違法化の明確化前後で大きな影響があったとは思えない数字となっているということも、念のため指摘しておく。そもそも「無料=違法」という考え自体間違っているのだが。)

(4月4日夜の追記:図書館の資料保存のための権利制限自体は既に第31条第1項第2号に規定されているので、問題は、図書館の資料保存のための権利制限そのものではなく、その原本保存のための電子化である。上の文章を修正したが、誤解を招く書き方をしていたことを謹んでお詫びする。

また、フランスの下院がこの4月3日に、3ストライク法案を16名(定数は577名)という驚くべき少なさの出席議員のみで可決した(La Tribuneの記事nouvel Obsの記事01netの記事参照)。上院と下院で多少条文が違うため、今後、両院協議会で最終的な審議がされることになるが、ネット切断等の本質的な部分は結局修正されずに終わったようであり、この協議で本質的な部分を変更することは困難ではないかと思う。無論ユーザー等からの非難は囂々と巻き起こっているが、現時点で大統領が署名を拒否するとも考えづらく、3ストライク法案はこのままごり押しで通されそうな気配がただよって来ている。最終的に条文が確定したところで、また紹介したいと思うが、この体たらくでは、フランスも、大革命であがなった自由の意味を完全に見失っているとしか言いようが無い。)

(左が図8「著作権侵害の推移−2004〜2008年のインターネットファイル交換における」うち、赤線が違法ダウンロード(単位百万)、オレンジ色の線がブロードバンドユーザー数(単位百万)、黒線が民事手続き数。右が図9「合法/違法の音楽をインターネットから入手したユーザー数」うち、オレンジ色の棒が違法音楽タイトル(ファイル交換)(単位百万人)、灰色の棒が無料音楽タイトル(ホームページ)(単位百万人)、赤の棒が有料音楽タイトル(単位百万人))

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2009年2月25日 (水)

第156回:スペインの私的複製補償金関連規定

 他にも書きたいことはいろいろあるのだが、第150回の続きで、スペインの私的複製関連規定の紹介を済ませておきたいと思う。

 私的複製補償金を規定しているのは、以下のスペイン著作権法(pdf)の第25条である(翻訳は拙訳)。

Articulo 25. Compensacion equitativa por copia privada.
1. La reproduccion realizada exclusivamente para uso privado, mediante aparatos o instrumentos tecnicos no tipograficos, de obras divulgadas en forma de libros o publicaciones que a estos efectos se asimilen reglamentariamente, asi como de fonogramas, videogramas o de otros soportes sonoros, visuales o audiovisuales, originara una compensacion equitativa y unica por cada una de las tres modalidades de reproduccion mencionadas, en favor de las personas que se expresan en el parrafo b del apartado 4, dirigida a compensar los derechos de propiedad intelectual que se dejaran de percibir por razon de la expresada reproduccion. Este derecho sera irrenunciable para los autores y los artistas, interpretes o ejecutantes.

2. Esa compensacion se determinara para cada modalidad en funcion de los equipos, aparatos y soportes materiales idoneos para realizar dicha reproduccion, fabricados en territorio espanol o adquiridos fuera de este para su distribucion comercial o utilizacion dentro de dicho territorio.

3. Lo dispuesto en los apartados anteriores no sera de aplicacion a los programas de ordenador ni a las bases de datos electronicas.

4. En relacion con la obligacion legal a que se refiere el apartado 1, seran:
a. Deudores: Los fabricantes en Espana, en tanto actuen como distribuidores comerciales, asi como los adquirentes fuera del territorio espanol, para su distribucion comercial o utilizacion dentro de este, de equipos, aparatos y soportes materiales previstos en el apartado 2.

Los distribuidores, mayoristas y minoristas, sucesivos adquirentes de los mencionados equipos, aparatos y soportes materiales, responderan del pago de la compensacion solidariamente con los deudores que se los hubieran suministrado, salvo que acrediten haber satisfecho efectivamente a estos la compensacion y sin perjuicio de lo que se dispone en los apartados 14, 15 y 20.

b. Acreedores: Los autores de las obras explotadas publicamente en alguna de las formas mencionadas en el apartado 1, juntamente en sus respectivos casos y modalidades de reproduccion, con los editores, los productores de fonogramas y videogramas y los artistas interpretes o ejecutantes cuyas actuaciones hayan sido fijadas en dichos fonogramas y videogramas.

5. Para los equipos, aparatos y soportes materiales de reproduccion analogicos, el importe de la compensacion que debera satisfacer cada deudor sera el resultante de la aplicacion de las siguientes cantidades:
a. Para equipos o aparatos de reproduccion de libros o publicaciones asimiladas reglamentariamente a libros:
1. 15,00 euros por equipo o aparato con capacidad de copia de hasta nueve copias por minuto.
2. 121,71 euros por equipo o aparato con capacidad de copia desde 10 hasta 29 copias por minuto.
3. 162,27 euros por equipo o aparato con capacidad de copia desde 30 hasta 49 copias por minuto.
4. 200,13 euros por equipo o aparato con capacidad de copia desde 50 copias por minuto en adelante.

b. Para equipos o aparatos de reproduccion de fonogramas: 0,60 euros por unidad de grabacion.

c. Para equipos o aparatos de reproduccion de videogramas: 6,61 euros por unidad de grabacion.

d. Para soportes materiales de reproduccion sonora: 0,18 euros por hora de grabacion o 0,003005 euros por minuto de grabacion.

e. Para soportes materiales de reproduccion visual o audiovisual: 0,30 euros por hora de grabacion o 0,005006 euros por minuto de grabacion.

6. Para los equipos, aparatos y soportes materiales de reproduccion digitales, el importe de la compensacion que debera satisfacer cada deudor sera el que se apruebe conjuntamente por los Ministerios de Cultura y de Industria, Turismo y Comercio, conforme a las siguientes reglas:
1. Con caracter bienal, a partir de la ultima revision administrativa, los Ministerios de Cultura y de Industria, Turismo y Comercio publicaran en el Boletin Oficial del Estado y comunicaran a las entidades de gestion de derechos de propiedad intelectual y a las asociaciones sectoriales, identificadas por el Ministerio de Industria, Turismo y Comercio, que representen mayoritariamente a los deudores a los que se refiere el apartado 4, el inicio del procedimiento para la determinacion de los equipos, aparatos y soportes materiales sujetos al pago por la compensacion equitativa por copia privada, asi como para la determinacion, en su caso, de las cantidades que los deudores deberan abonar por este concepto a los acreedores.

La periodicidad bienal de las revisiones administrativas a las que se refiere el parrafo anterior podra reducirse mediante acuerdo de los dos ministerios citados. Dicha modificacion debera tener en cuenta la evolucion tecnologica y de las condiciones del mercado.

2. Una vez realizada la publicacion a que se refiere la regla anterior, las partes interesadas referidas en ella dispondran de cuatro meses para comunicar a los Ministerios de Cultura y de Industria, Turismo y Comercio los acuerdos a los que hayan llegado como consecuencia de sus negociaciones o, en su defecto, la falta de tal acuerdo.

3. Los Ministerios de Cultura y de Industria, Turismo y Comercio, en el plazo de tres meses, contado desde la comunicacion o desde el agotamiento del plazo referidos en la regla anterior, estableceran, mediante orden conjunta, la relacion de equipos, aparatos y soportes materiales, las cantidades aplicables a cada uno de ellos y, en su caso, la distribucion entre las diferentes modalidades de reproduccion de libros, de sonido y visual o audiovisual, previa consulta al Consejo de Consumidores y Usuarios y previo informe del Ministerio de Economia y Hacienda. Dicha orden ministerial conjunta tendra que ser motivada en el caso de que su contenido difiera del acuerdo al que hayan llegado las partes negociadoras. En tanto no se apruebe esta orden ministerial se prorrogara la vigencia de la anterior.

4. Las partes negociadoras dentro del proceso de negociacion y, en todo caso, los Ministerios de Cultura y de Industria, Turismo y Comercio, a los efectos de aprobacion de la orden conjunta a que se refiere la regla anterior, deberan tener en cuenta, entre otros, los siguientes criterios:

a. El perjuicio efectivamente causado a los titulares de derechos por las reproducciones a que se refiere el apartado 1, teniendo en cuenta que si el perjuicio causado al titular es minimo no podra dar origen a una obligacion de pago.

b. El grado de uso de dichos equipos, aparatos o soportes materiales para la realizacion de las reproducciones a que se refiere el apartado 1.

c. La capacidad de almacenamiento de los equipos, aparatos y soportes materiales.

d. La calidad de las reproducciones.

e. La disponibilidad, grado de aplicacion y efectividad de las medidas tecnologicas a que se refiere el articulo 161.

f. El tiempo de conservacion de las reproducciones.

g. Los importes correspondientes de la compensacion aplicables a los distintos tipos de equipos y aparatos deberan ser proporcionados economicamente respecto del precio medio final al publico de los mismos.

7. Quedan exceptuados del pago de la compensacion:
a. Los equipos, aparatos y soportes materiales adquiridos por quienes cuenten con la preceptiva autorizacion para llevar a efecto la correspondiente reproduccion de obras, prestaciones artisticas, fonogramas o videogramas, segun proceda, en el ejercicio de solidarios, mediante una certificacion de la entidad o de las entidades de gestion correspondientes, en el supuesto de adquirir los equipos, aparatos o materiales dentro del territorio espanol.

b. Los discos duros de ordenador en los terminos que se definan en la orden ministerial conjunta que se contempla en el anterior apartado 6 sin que en ningun caso pueda extenderse esta exclusion a otros dispositivos de almacenamiento o reproduccion.

c. Las personas naturales que adquieran fuera del territorio espanol los referidos equipos, aparatos y soportes materiales en regimen de viajeros y en una cantidad tal que permita presumir razonablemente que los destinaran al uso privado en dicho territorio.

d. Asimismo, el Gobierno, mediante real decreto, podra establecer excepciones al pago de esta compensacion equitativa y unica cuando quede suficientemente acreditado que el destino o uso final de los equipos, aparatos o soportes materiales no sea la reproduccion prevista en el articulo 31.2.

8. La compensacion equitativa y unica a que se refiere el apartado 1 se hara efectiva a traves de las entidades de gestion de los derechos de propiedad intelectual.

9. Cuando concurran varias entidades de gestion en la administracion de una misma modalidad de compensacion, estas podran actuar frente a los deudores en todo lo relativo a la percepcion de la compensacion equitativa y unica en juicio y fuera de el, conjuntamente y bajo una sola representacion; a las relaciones entre dichas entidades se les aplicaran las normas que rigen la comunidad de bienes. Asimismo, en este caso, las entidades de gestion podran asociarse y constituir, conforme a la legalidad vigente, una persona juridica a los fines expresados.

10. Las entidades de gestion de los acreedores comunicaran al Ministerio de Cultura el nombre o denominacion y el domicilio de la representacion unica o de la asociacion que, en su caso, hubieran constituido. En este ultimo caso, presentaran, ademas, la documentacion acreditativa de la constitucion de dicha asociacion, con una relacion individualizada de sus entidades miembros, en la que se indique su nombre y su domicilio.

Lo dispuesto en el parrafo anterior sera de aplicacion a cualquier cambio en la persona de la representacion unica o de la asociacion constituida, en sus domicilios y en el numero y calidad de las entidades de gestion, representadas o asociadas, asi como en el supuesto de modificacion de los estatutos de la asociacion.

11.
El Ministerio de Cultura ejercera el control de la entidad o de las entidades de gestion o, en su caso, de la representacion o asociacion gestora de la percepcion del derecho, en los terminos previstos en el articulo 159, y publicara, en su caso, en el "Boletin Oficial del Estado" una relacion de las entidades representantes o asociaciones gestoras con indicacion de sus domicilios, de la respectiva modalidad de la compensacion en la que operen y de las entidades de gestion representadas o asociadas. Esta publicacion se efectuara siempre que se produzca una modificacion en los datos resenados.

A los efectos previstos en el articulo 159, la entidad o las entidades de gestion o, en su caso, la representacion o asociacion gestora que hubieran constituido estaran obligadas a presentar al Ministerio de Cultura, los dias 30 de junio y 31 de diciembre de cada ano, relacion pormenorizada de las declaraciones-liquidaciones, asi como de los pagos efectuados a que se refiere el apartado 13, correspondientes al semestre natural anterior.

12. La obligacion de pago de la compensacion nacera en los siguientes supuestos:
a. Para los fabricantes en tanto actuen como distribuidores y para los adquirentes de equipos, aparatos y soportes materiales fuera del territorio espanol con destino a su distribucion comercial en este, en el momento en que se produzca por parte del deudor la transmision de la propiedad o, en su caso, la cesion del uso o disfrute de cualquiera de aquellos.

b. Para los adquirentes de equipos, aparatos y soportes materiales fuera del territorio espanol con destino a su utilizacion dentro de dicho territorio, desde el momento de su adquisicion.

13. Los deudores mencionados en el parrafo a del apartado 12 presentaran a la entidad o a las entidades de gestion correspondientes o, en su caso, a la representacion o asociacion mencionadas en los apartados 8 a 11, ambos inclusive, dentro de los 30 dias siguientes a la finalizacion de cada trimestre natural, una declaracion-liquidacion en la que se indicaran las unidades, capacidad y caracteristicas tecnicas, segun se especifica en el apartado 5 y en la orden ministerial a la que se refiere el apartado 6, de los equipos, aparatos y soportes materiales respecto de los cuales haya nacido la obligacion de pago de la compensacion durante dicho trimestre. Con el mismo detalle, deduciran las cantidades correspondientes a los equipos, aparatos y soportes materiales destinados fuera del territorio espanol y a las entregas exceptuadas en virtud de lo establecido en el apartado 7.

Los deudores aludidos en el parrafo b del apartado 12 haran la presentacion de la declaracion-liquidacion expresada en el parrafo anterior dentro de los cinco dias siguientes al nacimiento de la obligacion.

14. Los distribuidores, mayoristas y minoristas a que se refiere el segundo parrafo del apartado 4.a deberan cumplir la obligacion prevista en el parrafo primero del apartado 13 respecto de los equipos, aparatos y soportes materiales adquiridos por ellos en territorio espanol, de deudores que no les hayan repercutido y hecho constar en la factura la correspondiente compensacion.

15. El pago de la compensacion se llevara a cabo, salvo pacto en contrario:
a. Por los deudores mencionados en el parrafo a del apartado 12, dentro del mes siguiente a la fecha de finalizacion del plazo de presentacion de la declaracion-liquidacion a que se refiere el parrafo primero del apartado 13.

b. Por los demas deudores y por los distribuidores, mayoristas y minoristas, en relacion con los equipos, aparatos y soportes materiales a que se refiere el apartado 14, en el momento de la presentacion de la declaracion-liquidacion, sin perjuicio de lo dispuesto en el apartado 20.

16. Los deudores y, en su caso, los responsables solidarios se consideraran depositarios de la compensacion devengada hasta el efectivo pago de esta, conforme establece el apartado 15 anterior.

17. A los efectos de control de pago de la compensacion, los deudores mencionados en el parrafo a del apartado 12 deberan figurar separadamente en sus facturas el importe de aquella, del que haran repercusion a sus clientes y retendran, para su entrega conforme a lo establecido en el apartado 15.

18. Las obligaciones relativas a las facturas y a la repercusion de la compensacion a los clientes, establecidas en el apartado anterior, alcanzaran a los distribuidores, mayoristas y minoristas, responsables solidarios de los deudores. Tambien deberan cumplir las obligaciones de retener y entregar previstas en dicho apartado, en el supuesto previsto en el apartado 14.

19.
En ningun caso, los distribuidores, mayoristas y minoristas, responsables solidarios de los deudores, aceptaran de sus respectivos proveedores el suministro de equipos, aparatos y soportes materiales sometidos a la compensacion si no vienen facturados conforme a lo dispuesto en los apartados 17 y 18.

20. Sin perjuicio de lo dispuesto en el apartado anterior, cuando el importe de la compensacion no conste en factura, se presumira, salvo prueba en contrario, que la compensacion devengada por los equipos, aparatos y soportes materiales que comprenda no ha sido satisfecha.

21. En el supuesto indicado en el apartado que antecede y en cualquier otro de impago de la compensacion, la entidad o las entidades de gestion o, en su caso, la representacion o asociacion gestora, sin perjuicio de las acciones civiles y penales que les asistan, podran solicitar del tribunal la adopcion de las medidas cautelares procedentes conforme a lo dispuesto en la Ley 1/2000, de 7 de enero, de Enjuiciamiento Civil, y, en concreto, el embargo de los correspondientes equipos, aparatos y soportes materiales. Los bienes asi embargados quedaran afectos al pago de la compensacion reclamada y a la oportuna indemnizacion de danos y perjuicios.

22. Los deudores y sus responsables solidarios permitiran a la entidad o entidades de gestion, o, en su caso, a la representacion o asociacion gestora, el control de las operaciones sometidas a la compensacion y de las afectadas por las obligaciones establecidas en los apartados 13 a 21, ambos inclusive. En consecuencia, facilitaran los datos y la documentacion necesarios para comprobar el efectivo cumplimiento de dichas obligaciones y, en especial, la exactitud de las declaraciones-liquidaciones presentadas.

23. La entidad o entidades de gestion o, en su caso, la representacion o asociacion gestora, y las propias entidades representadas o asociadas, deberan respetar los principios de confidencialidad o intimidad mercantil en relacion con cualquier informacion que conozcan en el ejercicio de las facultades previstas en el apartado 22.

24. El Gobierno establecera reglamentariamente los tipos de reproducciones que no deben considerarse para uso privado a los efectos de lo dispuesto en este articulo; los equipos, aparatos y soportes materiales exceptuados del pago de la compensacion, atendiendo a la peculiaridad del uso o explotacion a que se destinen, asi como a las exigencias que puedan derivarse de la evolucion tecnologica y del correspondiente sector del mercado; y la distribucion de la compensacion en cada una de dichas modalidades entre las categorias de acreedores, a fin de que los distribuyan, a su vez, entre estos, ajustandose a lo dispuesto en el articulo 154. En todo caso, las entidades de gestion deberan comunicar al Ministerio de Cultura los criterios detallados de distribucion entre sus miembros de las cantidades recaudadas en concepto de compensacion por copia privada.

25. El Gobierno podra modificar por via reglamentaria lo establecido en los apartados 13 a 21.

第25条 私的複製のための適正な補償金
第1項
 印刷以外の技術的な機器による、本あるいは規則上同様のものとみなされる出版物の、並びに、録音録画媒体による、録音物あるいは録画物の、私的利用のためにのみなされる複製は、第4項bに書かれている者のために、前記の複製の3つの形態のそれぞれについて、知的財産権が前記の複製にのために受け取れなかったものを補償する、一つの適正な補償金を受ける権利を付与する。この権利は、著作権者と実演家によって放棄され得ない。

第2項 この補償金は、スペイン国内で製造されたものの他、その領域内での商業的販売か使用のために取得した、その複製を実行する機器と媒体の機能のそれぞれの形態によって決められる。

第3項 第1項及び第2項の規定は、コンピュータープログラムにも電子的データベースにも適用されない。

第4項 第1項に記載されている法的義務に関係するのは以下の者である。
a.債務者:第2項に規定されている機器と媒体の、商業的販売者、並びに、スペイン国内における商業的販売あるいは利用のための入手者としての、製造者。

前記の機器と媒体を2次的に入手した、大小の販売業者は、第14、15、20項の規定を害さず、補償済みであることを十分明確に立証できない限り、それを提供した製造者の共同責任者として支払いに責任を有する。

b.債権者:第1項で書かれている形のどれかで明らかに利用される作品の作者、その複製の形態とケースに応じて、出版社、録音録画物の製造者と、その録音録画物に演技が固定された実演家も合わさる。

第5項 各債務者が支払うべき補償金料率は、アナログの複製機器と媒体に関しては、次の料率を適用する:
a.本あるいは規則上本と同様と見なされる出版物の複製機器について:
1.1分9枚のコピー能力の機器に対して15ユーロ。
2.1分10枚から29枚のコピー能力の機器に対して121.71ユーロ
3.1分30枚から49枚のコピー能力の機器に対して162.27ユーロ
4.1分50枚以上のコピー能力の機器に対して200.13ユーロ

b.録音物の複製機器について:1台につき0.6ユーロ

c.録画物の複製機器について:1台につき6.61ユーロ

d.録音媒体について:1時間につき0.18ユーロあるいは1分につき0.0003005ユーロ

e.録画媒体について:1時間につき0.3ユーロあるいは1分につき0.005006ユーロ

第6項 デジタルの複製機器と媒体について、各債務者が支払うべき、補償金料率は、次の規則に従い、文化省と商工省の両者の承認によって決められたものとする。
第1号 2年毎に、前回の行政による見直しを元に、文化省と、第4項に規定されている債務者を主に代表する商工省は、官報に乗せ、私的複製のための適正な補償の支払いに服する機器と媒体、並びに、解釈上債務者が債権者に支払うべき額の決定のための手続きの開始を知らせる。

前段に規定されている行政による2年毎の見直しは、前述の両大臣の合意によって、早めることができる。この修正は、技術の進歩と市場の状況を考慮に入れなくてはならない。

第2号 前号に規定されている公表後、関係者は、そのために4ヶ月を用い、交渉の結果としてできた合意を、あるいは、不調の場合は、そのような合意ができなかったことを、文化省と商工省に文書で報告する。

第3号 文化省と商工省は、その報告、あるいは、前号の規定の期間の終了後3ヶ月以内に、あらかじめ消費者とユーザーの意見を聞き、財務省に知らせた上で、共同令によって、機器と媒体、それぞれに適用される料率、そして、その場合に、本、録音、録画の各複製態様の間の分配を決定する。この共同省令の内容が関係者の交渉による合意と異なる場合は、その理由が必要である。この省令が合意されない限り、過去のものが有効となる。

第4号 交渉を通じて関係者は、そして常に文化省と商工省は、前号に規定されている共同令の合意の検討において、特に、次のクライテリアを考慮しなければならない:
a.第1項に規定されている複製によって権利者に引き起こされる実害、ただし、権利者に対する害が最小限の場合、支払い義務は発生しないことも考慮に入れること。

b.前記の機器と媒体が第1項に規定されている複製の実行のために使用される程度。

c.その機器と媒体の記録容量。

d.その複製の性質。

e.第161条に規定されている技術的手段の適用と有効性の程度と容易性。

f.その複製の保存時間。

g.様々なタイプの機器と媒体に対応して適用される補償金額は、その最終市場平均価格に経済的に釣り合ったものでなくてはならない。

第7項
 補償金支払いの例外には以下のものがある:
a.スペイン国内において機器あるいは媒体が入手されたと推定されるが、関係する各著作権管理団体からの、関係する作品、実演、録音あるいは録画の複製を行うための規則通りの許可を有するものによって、機器あるは媒体が入手された場合

b.前第6項に規定されている共同省令で定義されるPCのハードディスクに対する場合、ただし、この除外は、他の記録あるいは複製機器には拡張されない。

c.その量から国内で私的に利用されると合理的に判断される量で旅行者としてスペイン国外で前記の機器あるいは媒体を入手した自然人に対する場合。

d.また、法令によって、政府は、その機器あるいは媒体の目的あるいは最終的な使用先が第31条第2項に規定された複製ではないと十分に考えられるとき、この一つの適正な補償に対して例外を作ることができる。

第8項 第1項に規定されている一つの適正な補償は、著作権管理団体を通じて行使される。

第9項 この各態様の補償金の管理について、多くの著作権管理団体が関与する場合、この一つの適正な補償金の徴収に関して、裁判の内外で、これらは集まり、一つの代表の元に、債務者に対して行動することができ、これらの団体の間の関係には、共同財産に関する規定が適用される。また、この場合、著作権管理団体は、有効な法に従い、集まり、ここに書かれた目的のために法人を構成することができる。

第10項 債権者の著作権管理団体は、文化大臣に、それを作る場合は、一つの代表あるいは集合団体の名称と住所を知らせる。後者の場合には、各構成団体の数と性質と住所について示す情報とともに、集合団体の定款について信用できる書類を提出する。

前段の規定は、代表あるいは協力する各団体の数と性質と住所において、代表あるいは集合団体に変更があった場合、並びに集合団体の定款に変更があった場合にも適用される。

第11項 文化大臣は、第159条第3項(訳注:文化大臣の管理権限を規定している。)に基づいて、著作権管理団体、また、場合に応じて、この徴収の代表あるいは集合団体を管理し、場合に応じて、「官報」に、その住所、それが徴収する補償金の態様と、代表あるいは協力する各団体を示すものである、代表あるいは集合団体に関する報告を公表する。この公表は、報告されたデータの変更がなされたときに常に実施される。

第159項に規定されていることから、著作権管理団体、場合によって、これらが構成する代表あるいは集合団体は、毎年6月30日と12月31日に、第13項に規定されている、前半期の精算、実施された支払いについて、詳細な報告書を文化大臣に提出する義務を負う。

第12項 補償金の支払い義務は、次のように推定される時に生じる:
a. 販売者として行動する製造者、国内での商業的販売の目的でスペイン国外から機器あるいは媒体を入手した者については、債務者によって財産の移転、あるいは、場合に応じて、これらの物の使用権あるいは収益が譲渡された時。

b.スペイン国外で機器あるいは媒体を入手した者については、その入手の時に、国内で使用する目的だった時。

第13項 第12項に記載されている債務者は、毎四半期末から30日以内に、その対応する四半期中に補償金の支払い義務が発生した機器と媒体について、第5項と、第6項で規定されている省令での特定に従い、その数量、容量、技術的な性質を示す精算書を、対応する著作権管理団体、あるいは、場合に応じて、第8項から第11項までに記載されている代表あるいは集合団体に提出する。同じ細かさで、スペイン国外向け、第7項で規定されている例外で引き渡された機器あるいは媒体は控除される。

第12項の段落bに記載されている債務者は、義務の発生の日から5日以内に、前段に書かれた精算書を提出する。

第14項 第4項aの第2文に規定されている大小の販売者は、補償を転嫁しておらず、対応する補償を請求書に記載していない製造者から、スペイン国内で入手した機器と媒体に関して、第13項の第1文の規定の義務を果たさなくてはならない。

第15項 補償金の支払いは、他の取り決めが無い限り、次の〆切となる:
a.第12項に記載されている債務者による場合、第13段落の前段に規定されている清算書の提出の日から1ヶ月以内。

b.第20項の規定による場合を除き、第14項に規定されている機器と媒体の報告書に基づく、大小の販売者による場合は、清算書の提出と同時。

第16項 債務者と、場合に応じて、責任を有する団体は、前の第15項で規定されていることに従い、その実際の支払いまで、義務を有する補償に対して責任を負う者と見なされる。

第17項 補償金の支払い管理のため、第12項に記載されている債務者は、第15項の規定に従う引き渡しのために、そこに含まれ、その顧客に転嫁される補償金の量を、その請求書に分けて記載しなければならない。

第18項
 前項に規定されている、請求書と補償金の転嫁に関する義務は、大小の販売業者、債務の責任を有する団体にも及ぶ。第14項の通り推定される場合、彼らは前項に規定されている、記載と引き渡しの義務を果たさなくてはならない。

第19項
 大小の販売業者、債務の責任を有する団体は、第17項と第18項の規定に従う請求書が得られない限り、補償金の対象機器と媒体の提供者から提供を受けられない。

第20項 前項の規定を害すること無く、請求書に補償金の量が書かれていない時、反証が無い限り、そこに含まれている機器と媒体の補償の義務は果たされていないものと推定される。

第21項 前項で推定されると示されている者と、他の補償金を支払わない者に対して、著作権管理団体、あるいは、場合に応じて、代表あるいは集合団体は、彼らの加わる民事、刑事手続きを害すること無く、裁判所に対して、1月7日の民事手続きに関する法律1/2000号の規定に従い、適切な予防措置の採用、具体的には、対応する機器と媒体の差し押さえを求めることができる。このように差し押さえられた財産は、補償金の支払いと適切な損害賠償とに当てられる。

第22項 債務者と責任を有する団体は、著作権管理団体、あるいは、場合に応じて、代表あるいは集合団体に対して、補償金について規定されている措置と、第13項から第21項までに規定されている義務の管理を認める。つまり、彼らには、その義務の実行と、特に、提出された決算書の正確性を確保するために必要なデータと資料の提出を進んで行うことが求められる。

第23項 著作権管理団体、あるいは、場合に応じて、代表あるいは集合団体は、第22項に規定されている事項の実施において知り得た情報について、営業秘密として尊重しなくてはならない。

第24項 政府は、本条の規定されている目的の私的利用のためと考えられない複製の態様と;技術の発展と対応する市場からもたらされる要求などから、特定の利用あるいは使用に当てられると考えられる、補償金の支払い義務の例外となる機器と媒体と;分配が各者の間で第154条(訳注:集めた利用料はあらかじめ決められた規則によって、使用の程度に応じて権利者の間に適正に分配しなければならないとする規定。ただし、それ以上細かなことを規定している訳ではない。)の規定通りなされるよう、その都度、前記の考えられるカテゴリーの各態様に対する分配を、規則によって定めることができる。

いずれにせよ、著作権管理団体は、私的複製に対する補償として集められた金の各メンバーへの分配基準の詳細を文化大臣に知らせなくてはならない。

第25項 政府は、規則によって、第13項から第21項までの規定を限定できる。

 スペインは補償金関係規定を不必要なまでに細かく作っている。恐らく関係者の複雑怪奇なロビー活動の結果こうなっただけだろうが、言わずもがなの条文も多い。

 デジタル機器と媒体については、第6項に書かれているように、複製の性質や最終市場価格や実害が最小限である場合は補償の必要がないことを考慮するとされているが、プリンターなどにまで補償金をかけている、欧州の中でもタチの悪い国に属するという実情は、残念ながら、こうした曖昧な基準はあまり意味を持たないことを示している。ただし、スペインのような非道な国でも、第7項でPCのHDDを明文で除いていることは注目されて良いだろう。

 対象機器と媒体と料率については、スペインの私的複製についてのWikiが分かりやすいと思うが、このWikiにも書かれているように、私的複製補償金については、日本と全く同じような批判がユーザーなどからなされており(例えば、補償金反対グループのHP参照)、スペインでも別に消費者等が納得して補償金を支払っているということは全く無い。この料率を決めている省令(2008年版)を見てもどのような基準で決まっているのかはさっぱり分からないのである。

 当たり前のようにスペインでも裁判が起こされており、例えば、去年の9月にも、バルセロナ地裁がこの私的複製補償金規定はEU法に沿うものであるか否かという質問を欧州裁判所に投げるという決定をするなど(Derecho de Internetの記事決定文(pdf)参照)、スペインでも補償金問題の収拾がつきそうな気配は見られない。

 欧州委員会でも、この3月27日に補償金問題について公開ヒアリングを予定している(予定表(pdf))が、日本と同じく、欧州の各関係者の主張も完全にすれ違っており、欧州レベルでも当分何もまとまらないだろう。

 最後に、少し最近のニュースも紹介しておくと、まず、ブルーレイ課金について、権利者団体側が意見書を公開している(権利者団体側のリリースITmediaの記事cnetの記事ITproの記事internet watchの記事AV watchの記事参照)。予想通りと言えば予想通りの内容で、暫定措置という言葉についてはあくまでスルーを決め込むつもりなのだろう。

 文化庁が裁定制度に関して今国会に著作権法改正案を提出する予定というニュースもあった(47newsの記事ITmediaの記事internet watchの記事日経のネット記事参照)が、この法改正案にダウンロード違法化が含まれている可能性は高く、ダウンロード違法化問題も引き続き要注意である。

 韓国でダウンロードを明確に違法化したという話は聞かないので、P2Pにおける共有の扱いの話だと思うが、取り締まりを強化した結果、万単位の未成年者が著作権法違反容疑で立件され、混乱を招いたあげく、検察が初犯の場合には刑事訴追しないという方針を取るに至ったようである(朝鮮日報の記事参照)。

 また、カリフォルニア州のゲーム規制法が、アメリカの控訴裁判所で違憲とされたという話もある(ITmediaの記事gamespotの記事)。規制派は、欧米の規制強化の動きだけ取り上げて国際動向に関して印象操作をして来るが、こうした反対の動きについても、きちんと考慮するように声を上げて行く必要があるだろう。

 細かな話だが、知財関係では、特許制度の微生物寄託機関に関する告示の改正(電子政府の該当ページ)と、特許審査請求料の繰り延べ納付の話(電子政府の該当ページ)もパブコメにかかっているので、それぞれ念のためリンクを張っておく。

 第88回で書いたように、フランスの3ストライクアウトポリシーに似た規定を著作権法に導入したニュージーランドは、この改正法の実施の目処が立たず、今月末が施行日だったものを、3月27日までと1ヶ月施行を実質遅らせる事態となっている(Radio New Zealandの記事cnetの記事National Business Reviewの記事ZDNetの記事参照)。やはりZDNetの他の記事によると、電子署名で1万2千集まるほど反対運動も盛り上がっているようであり、1ヶ月程度ではどうにもならないのではないかと思うが。

(2月27日の追記:公正取引委員会が放送における音楽の包括許諾契約に関してJASRACに排除命令を出したが(公取のリリース(pdf)参照)、JASRACは徹底抗戦で審判や裁判も辞さない構えであり(JASRACのリリースITmediaの記事cnetの記事ITproの記事internet watchの記事参照)、この問題についても結論が出るのはまだ当分先のことになりそうである。)

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2009年1月29日 (木)

第150回:スペインの私的複製関連規定

 今回はスペインの私的複製関連規定の紹介をしたいと思う。

 スペイン著作権法(pdf)から関連部分を以下に訳出する(翻訳は拙訳)。

CAPITULO II. LIMITES.

Articulo 31. Reproducciones provisionales y copia privada.

1. No requeriran autorizacion del autor los actos de reproduccion provisional a los que se refiere el articulo 18 que, ademas de carecer por si mismos de una significacion economica independiente, sean transitorios o accesorios y formen parte integrante y esencial de un proceso tecnologico y cuya unica finalidad consista en facilitar bien una transmision en red entre terceras partes por un intermediario, bien una utilizacion licita, entendiendo por tal la autorizada por el autor o por la Ley.

2. No necesita autorizacion del autor la reproduccion, en cualquier soporte, de obras ya divulgadas cuando se lleve a cabo por una persona fisica para su uso privado a partir de obras a las que haya accedido legalmente y la copia obtenida no sea objeto de una utilizacion colectiva ni lucrativa, sin perjuicio de la compensacion equitativa prevista en el articulo 25, que debera tener en cuenta si se aplican a tales obras las medidas a las que se refiere el articulo 161. Quedan excluidas de lo dispuesto en este apartado las bases de datos electronicas y, en aplicacion del articulo 99.a, los programas de ordenador.
...

Articulo 34. Utilizacion de bases de datos por el usuario legitimo y limitaciones a los derechos de explotacion del titular de una base de datos.
1. El usuario legitimo de una base de datos protegida en virtud del articulo 12 de esta Ley o de copias de la misma, podra efectuar, sin la autorizacion del autor de la base, todos los actos que sean necesarios para el acceso al contenido de la base de datos y a su normal utilizacion por el propio usuario, aunque esten afectados por cualquier derecho exclusivo de ese autor. En la medida en que el usuario legitimo este autorizado a utilizar solo una parte de la base de datos, esta disposicion sera aplicable unicamente a dicha parte. Cualquier pacto en contrario a lo establecido en esta disposicion sera nulo de pleno derecho.

2. Sin perjuicio de lo dispuesto en el articulo 31, no se necesitara la autorizacion del autor de una base de datos protegida en virtud del articulo 12 de esta Ley y que haya sido divulgada:
a. Cuando tratandose de una base de datos no electronica se realice una reproduccion con fines privados.
...

Articulo 39. Parodia.
No sera considerada transformacion que exija consentimiento del autor la parodia de la obra divulgada, mientras no implique riesgo de confusion con la misma ni se infiera un dano a la obra original o a su autor.

Articulo 40. Tutela del derecho de acceso a la cultura.
Si a la muerte o declaracion de fallecimiento del autor, sus derechohabientes ejerciesen su derecho a la no divulgacion de la obra, en condiciones que vulneren lo dispuesto en el articulo 44 de la Constitucion, el Juez podra ordenar las medidas adecuadas a peticion del Estado, las Comunidades Autonomas, las Corporaciones locales, las instituciones publicas de caracter cultural o de cualquier otra persona que tenga un interes legitimo.

Articulo 40 bis. Disposicion comun a todas las del presente capitulo.
Los articulos del presente capitulo no podran interpretarse de manera tal que permitan su aplicacion de forma que causen un perjuicio injustificado a los intereses legitimos del autor o que vayan en detrimento de la explotacion normal de las obras a que se refieran.

第2章 権利制限
第31条 一時的複製と私的複製

第1項 独立した経済的意味を持たず、一時的あるいは付随的で、技術的プロセスと一体不可分をなし、その唯一の目的が、仲介として第3者間のネットワーク通信をか、この法律あるいは著作権者によって許可される合法的な利用を可能とすることにある場合、一時的な第18条(訳注:複製の定義規定)に規定されている複製行為は、著作権者の許可を必要としない。

第2項 合法的にアクセスした著作物から私的利用目的のため自然人によってなされ、得られた複製物の利用が何ら収集あるいは営利を目的としてないとき、どのような媒体に対する複製であれ、著作権者の許可を必要としない、ただし、第161条(訳注:私的複製と技術的保護手段回避規制の間の調整規定)に規定されている手段が適用されているかどうかを考慮した上で第25条の適正な補償がされなくてはならない。本項の規定から、電子的データベースと、第99条aに規定されている、コンピュータープログラムは除く。

(中略:第31条の2…公共の安全、公的手続き、障害者のための権利制限、第32条…教育のための権利制限、第33条…時事報道に関する権利制限)

第34条 合法的な利用者とデータベースの所有者の利用権に対する制限
第1項
 この法律の第12条(訳注:データベースを保護の対象とすると規定している)で保護を受けるデータベースあるいはそのコピーの合法的な利用者は、そのデータベースの著作権者の許可無く、そのデータベースの内容にアクセスするために必要な、利用者自身のための通常の利用に必要なあらゆる行為を行うことが可能であり、ここに著作権者の排他的権利が及ぶことは常に無い。合法的な利用者がデータベースの一部のみを使うことを許可されている場合、本規定はその部分のみに適用される。本規定に反する契約は全て無効である。

第2項 第31条の規定を害してはならず、次の場合は、本法律の第12条の保護を受ける公表されたデータベースの著作権者の許可を必要としない:
a.非電子的データベースを使い、私的な目的のために複製がなされる場合。

(中略:第34条第2項bとc…教育や公共の安全、行政司法手続きのためのデータベースの利用、第35条…報道付随あるいは公共の場所に置かれた著作物の権利制限、第36条…放送のための権利制限、第37条…図書館等のための権利制限、第38条…国家の公的活動と宗教的儀式のための権利制限)

第39条 パロディー
 元の著作物と混同の恐れがなく、元の著作物あるいはその著作権者に対して害をもたらさない限り、公表された作品のパロディーは、著作権者の同意を必要とする変形とは見なされない。

第40条 文化アクセス権の保障
 著作権者の死あるいは死の宣言後、権利保有者による著作物の非公表の権利の行使によって、憲法の第44条の規定(訳注:文化アクセス権の保障を規定している)が危うくなる場合、国家、地方自治体、文化的性格を有する公的機関、あるいは正当な利害を有する他の者の求めに応じ、裁判所は適切な措置を命じることができる。

第40条の2 本章の全てに共通の規定
本章の各条は、著作権者の利益を不当な害を与え、著作物の通常の利用を妨げる形の適用を許すように解釈されてはならない。

 確かに、スペインは、私的複製を合法的にアクセスした著作物からの複製に限定しており、文化庁と権利者団体の大好きなダウンロード違法化を行った、数少ない非道国家の一つに属するが、第40回第80回でも書いた通り、スペインがこの合法アクセス要件をまともにエンフォースしようとした、あるいは、している様子は全く無い。このようなダウンロード違法化によって、スペインで違法ダウンロードが減ったという話も無論聞かない。(ただし、このような合法アクセス要件は明文で存在していたので、第80回で、スペインについて、フランスのように3ステップテスト要件を入れただけでダウンロード違法化国とされたのではないかとした点は間違っていた。ここで謹んで訂正する。)

 また、私的複製からデータベースとプログラムが除かれて別規定となっている点も実に奇妙である。上のデータベースに関する第34条も変だが、プログラムについて第99条で、

Articulo 99. Contenido de los derechos de explotacion.
Sin perjuicio de lo dispuesto en el articulo 100 de esta Ley los derechos exclusivos de la explotacion de un programa de ordenador por parte de quien sea su titular con arreglo al articulo 97, incluiran el derecho de realizar o de autorizar:
a. La reproduccion total o parcial, incluso para uso personal, de un programa de ordenador, por cualquier medio y bajo cualquier forma, ya fuere permanente o transitoria. Cuando la carga, presentacion, ejecucion, transmision o almacenamiento de un programa necesiten tal reproduccion debera disponerse de autorizacion para ello, que otorgara el titular del derecho.
...

第99条 利用権の内容
この法律の第100条(バグの除去、セキュリティ、研究、バージョンアップ、相互運用性の確保等ためのプログラム用の権利制限)の規定を害することが無ければ、第97条の規則の権利者も含め、コンピュータープログラムの利用の排他的権利を有する者は、次のことを実現あるいは許可する権利を有する:
a.私的利用のためも含め、あらゆる媒体と形式への、恒久的あるいは一時的な、コンピュータープログラムの部分的あるいは全体的複製。プログラムのロード、表示、実行、送信あるいは保存がそのような複製を必要とする場合は、権利者はそのための許可を与えているものと見なす。
(後略)

と、プログラム用の権利制限が優先するとはしているものの、私的複製まで制限し得るとしている点など、不当かつ無意味にユーザーに厳しい。(権利者団体なり、ソフトウェア企業団体なりの間の不毛な角突き合いの結果、こうなっただけだろうが。)

 しかし、スペインが、私的複製と技術的保護手段回避規制の間の調整規定の第161条で、

Articulo 161. Limites a la propiedad intelectual y medidas tecnologicas.
1. Los titulares de derechos sobre obras o prestaciones protegidas con medidas tecnologicas eficaces deberan facilitar a los beneficiarios de los limites que se citan a continuacion los medios adecuados para disfrutar de ellos, conforme a su finalidad, siempre y cuando tales beneficiarios tengan legalmente acceso a la obra o prestacion de que se trate. Tales limites son los siguientes:
a. Limite de copia privada en los terminos previstos en el articulo 31.2.
...

第161条 知的財産権の制限と技術的保護手段
第1項 著作権者、あるいは、保護を受ける有効な技術的保護手段の提供者は、以下に挙げる権利制限の受益者に対し、受益者が合法的に問題の著作物にアクセスした場合、その目的に適う形で、その益を受けられるよう適切な容易化措置を取らなければならない。
a.第31条第2項の規定にある私的複製の権利制限
(後略)

と、DRM回避規制に対して私的複製の権利制限がある程度優先し得るという考え方を示している点は興味深い。各国のDRM回避規制規定の紹介まではまだ手が回っていないが、第69回で取り上げたベルギーや第87回で取り上げたイタリアなども私的複製の強行規定性をある程度肯定する条文の書き方をしており、良く調べてみれば、私的複製の方が優先するとしている国ももっと出てくるのではないかと思う。(日本ではあっさりと著作権法第30条第1項第2号でDRM回避規制の方を優先させてしまったが、第45回で書いたように、この条文は撤廃されるべきだと私は思っている。)

(なお、スペインのパロディーに関する権利制限規定もなかなか面白いと思ったので一緒に訳した。この第39条は、パロディーに関して簡潔明瞭にして要を得た悪くない規定ぶりだと私は思う。)

 やはり今のところ、ダウンロード違法化に関する限り、どこの国であれ本当にポジティブな効果があったという話は全く聞かず、スペインもまた、ドイツとは正反対の意味でダウンロード違法化の反面教師になっているとしか私には思えないのである。

 最後に少し、最近のニュースも紹介しておきたい。まず、特許庁が、またぞろ特許法の抜本的な法改正をすると言い出している(朝日のネット記事フジサンケイビジネスアイのネット記事参照)が、この26日の第1回の研究会の資料を見ても一体何をしたいのだか良く分からない有様である。どこの役所も、ニーズを無視して無意味に抜本的な法改正をと言い出すのは本当にどうにかして欲しい。

 また、インターネット録画機「ロクラク」について、知財高裁でこれを合法とする判決が出された(知財情報局の記事時事通信のネット記事47newsの記事日経のネット記事判決文(pdf)参照)。問答無用で最高裁まで行くと思われるのでぬか喜びはできないが、日本でもこのような判決が出され始めたことは注目に値する。

P2Pとかその辺のお話」で既に紹介されているが、TIMESの記事によると、イギリスは3ストライクポリシーの採用に及び腰のようである。この混乱必死のポリシーに関して及び腰でない方がおかしいのだが、知財政策上の今年一番の世界的波乱要因として、このポリシーを強力に推進しようとしているフランスの政策動向には本当に要注目である。

 次回は、他の話を挟むかも知れないが、これまた極めて厄介な、スペインの私的複製補償金関連規定を紹介しようかと思っている。

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2009年1月22日 (木)

第149回:オーストリアの私的複製補償金関連規定

 今回は、前回の続きとして、オーストリア著作権法中の私的録音録画補償金関連規定の紹介をしたいと思う。

 関連部分の条文は以下の通りである(翻訳は拙訳)。

§ 42b. (1) Ist von einem Werk, das durch Rundfunk gesendet, der offentlichkeit zur Verfugung gestellt oder auf einem zu Handelszwecken hergestellten Bild- oder Schalltrager festgehalten worden ist, seiner Art nach zu erwarten, dass es durch Festhalten auf einem Bild- oder Schalltrager nach § 42 Abs. 2 bis 7 zum eigenen oder privaten Gebrauch Vervielfaltigt wird, so hat der Urheber Anspruch auf eine angemessene vergutung (Leerkassettenvergutung), wenn Tragermaterial im Inland gewerbsmassig entgeltlich in den Verkehr kommt; als Tragermaterial gelten unbespielte Bild- oder SchallTrager, die fur solche Vervielfaltigungen geeignet sind, oder andere Bild- oder SchallTrager, die hiefur bestimmt sind.

(2) Ist von einem Werk seiner Art nach zu erwarten, dass es mit Hilfe reprographischer oder ahnlicher Verfahren zum eigenen Gebrauch Vervielfaltigt wird, so hat der Urheber Anspruch auf eine angemessene vergutung (Reprographievergutung),
1. wenn ein Gerat, das seiner Art nach zur Vornahme solcher Vervielfaltigungen bestimmt ist (Vervielfaltigungsgerat), im Inland gewerbsmassig entgeltlich in den Verkehr kommt (geratevergutung) und
2. wenn ein Vervielfaltigungsgerat in Schulen, Hochschulen, Einrichtungen der Berufsbildung oder der sonstigen Aus- und Weiterbildung, Forschungseinrichtungen, offentlichen Bibliotheken oder in Einrichtungen betrieben wird, die Vervielfaltigungsgerate entgeltlich bereithalten (Betreibervergutung).

(3) Folgende Personen haben die vergutung zu leisten:
1. die Leerkassetten- beziehungsweise geratevergutung derjenige, der das Tragermaterial beziehungsweise das Vervielfaltigungsgerat von einer im In- oder im Ausland gelegenen Stelle aus als erster gewerbsmassig entgeltlich in den Verkehr bringt; wer das Tragermaterial beziehungsweise das Vervielfaltigungsgerat im Inland gewerbsmassig entgeltlich, jedoch nicht als erster in den Verkehr bringt oder feil halt, haftet wie ein Burge und Zahler; von der Haftung fur die Leerkassettenvergutung ist jedoch ausgenommen, wer im Halbjahr SchallTrager mit nicht mehr als 5.000 Stunden Spieldauer und BildTrager mit nicht mehr als 10.000 Stunden Spieldauer bezieht; hat der Beklagte im Inland keinen allgemeinen Gerichtsstand, so sind die Gerichte, in deren Sprengel der erste Wiener Gemeindebezirk liegt, zustandig;
2. die Betreibervergutung der Betreiber des Vervielfaltigungsgerats.

(4) Bei der Bemessung der vergutung ist insbesondere auf die folgenden Umstande Bedacht zu nehmen:
1. bei der Leerkassettenvergutung auf die Spieldauer;
2. bei der geratevergutung auf die Leistungsfahigkeit des gerats;
3. bei der Betreibervergutung auf die Art und den Umfang der Nutzung des Vervielfaltigungsgerats, die nach den Umstanden, insbesondere nach der Art des Betriebs, dem Standort des gerats und der ublichen Verwendung wahrscheinlich ist.

(5) vergutungsanspruche nach den Abs. 1 und 2 konnen nur von Verwertungsgesellschaften geltend gemacht werden.

(6) Die Verwertungsgesellschaft hat die angemessene Vergutung zuruckzuzahlen
1. an denjenigen, der Tragermaterial oder ein Vervielfaltigungsgerat vor der Ver?u?erung an den Letztverbraucher in das Ausland ausfuhrt;
2. an denjenigen, der Tragermaterial fur eine Vervielfaltigung auf Grund der Einwilligung des Berechtigten benutzt; Glaubhaftmachung gen?gt.

第42b条 第1項
 放送を通じて送られるか、公衆にアクセス可能とされるか、あるいは、商業目的で生産された録音録画媒体に固定された著作物について、その形式から、第42条第2項から第7項に規定されている、自己利用あるいは私的利用のために、録音録画媒体への固定を通じて複製されることが期待されるとき、複製媒体が国内で商業的に有償で取引されている場合、著作権者は、適切な補償金(ブランクカセット補償金)の請求権を有する。このような複製に適した空の録音録画媒体、あるいはこのことに当てられる他の録音録画媒体はここでいうところの複製媒体と見なされる。

第2項 その形式から、著作物が、複写あるいは似たような手続きによって自己利用のために複製されると期待されるとき、以下の場合に、著作権者は、適切な補償金(複写補償金)請求権を有する。
1.その形からそのような複製の作成に当てられる機器(補償金対象機器)が、国内で商業的に有償で取引されている場合(機器補償金)と、
2.複製機器が、学校、高校、職業教育、他の専門教育、あるいは高等専門教育機関、研究機関、公的図書館あるいは機関の中で提供され、複製機器が有償で用意されている場合(提供補償金)。

第3項 次の者が補償金を支払う。
1.ブランクカセット補償金あるいは機器補償金については、複製媒体あるいは複製機器を、国内あるいは外国に置かれた営業所から、最初に商業目的で有償で取引に供した者;複製媒体あるいは複製機器を国内で商業目的で有償でだが、最初でなく取引に供した、あるいは販売した者は、保証人あるいは購買者として責任を有する;ただし、ブランクカセット補償金の支払い義務については、半年で5000時間以下の録画時間の録画媒体、10000時間以下の録画時間の録画媒体しか納入しない者はこの義務の対象外とする;被請求者に一般的な国内の裁判管轄地が無い場合、ウィーン第一区にある裁判所が管轄となる;
2.提供補償金については、複製機器の提供者。

第4項 補償金の額については、特に次の事項を考慮する。
1.ブランクカセット補償金については、その記録時間;
2.機器補償金については、機器の複製能力;
3.提供補償金については、その環境、特にその営業の形式、機器が置かれている場所と通常の利用から考えられる、複製機器の利用の形式と状況。

第5項
 第1項と第2項の補償金請求権は、著作権管理団体のみ行使し得る。

第6項
 著作権管理団体は、この適切な補償金を次の者に返還する。
1.複製媒体あるいは複製機器を外国の最終消費者への販売のために輸出する者
2.権利者の同意に基づく複製のために複製媒体を使用する者;信じるに足りるとできれば十分である。

 オーストリアも、私的録音録画媒体だけではなく、複写機などにまで補償金を賦課し、著作権管理団体に青天井の補償金請求権を与え、当事者間で話がつかない場合は最終的には全て裁判で型をつけるという、ドイツ式の極めてタチの悪い法制を取っている。(なお、オーストリアに私的録音録画機器補償金は無いため、例えば、MP3プレーヤーは専用録音媒体として課金対象となるという仕切りをしているようである。)

 結果、やはり補償金の料率や対象に関しては揉めるだけ揉めるしかなく、第63回で取り上げたEUの資料にも書かれていたように、2005年7月に、PCのHDDは多くの場合著作権で保護される作品のコピーに使われないとして、PCのHDDには課金しないとする最高裁判決が出されるまでに至ったのだろう。(この判決に関しては、heise.deの記事wcm.atの記事判決文(pdf)も参照。)

 また、オーストリアの著作権管理団体austro mechanaのHPに、この団体が徴収している、あるいはしようとしている私的録音録画補償金料率が載っている(2008年版(pdf)2009年版(pdf))が、これもまた、どのように決まっているのかさっぱり分からない。私の知る限り、補償金の料率と対象について、具体的かつ妥当な基準はどこの国を見ても無い。

 特に、2008年版の料金表と2009年版の料金表を比べてみると、PCの内蔵HDDについては最高裁で否定されたにもかかわらず、ほとぼりが覚めたと思ったのか、非道にもぬけぬけと、2009年版で汎用USBメモリやPCの外付けHDDも課金対象に加えるようとしていることが分かる。しかし、PCのHDDが多くの場合著作権で保護される作品のコピーに使われないなら、汎用USBや外付けHDDなどなおさら使われないだろうし、この有様では、オーストリアでも、補償金に関する裁判闘争がさらに激しさを増すのではないかと私は予想する。

 オーストリアでは、メーカーが支払い義務者となっているが、返還制度も存在している。今回日本では補償金改革は流れてしまったが、欧米諸国のようにメーカーを支払い義務者にすれば、返還制度が無くなり、返還制度の問題点が解決するといった主張はデタラメも良いところであり、全く取り上げるに値しない。また、オーストリアでは納入数量から例外規定を設けているが、日本の現行制度についても、今後、コストの面からこのような数量等による例外を設ける話が検討されても良いだろう。

(なお、複写機等の補償金料率は、literar mechanaのHPに載っている。ただし、ドイツで最高裁まで行って単なるプリンターは私的複製補償金の対象外と決定されたことを考えても、オーストリアでも同様に、複写機等の補償金について揉め続けているのではないかと思う。)

 オーストリアの話はあまりニュースにならないが、もし何かあれば、また紹介したいと思う。

 最後に少し最近のニュースの紹介もしておくと、経産省から、青少年ネット規制法の対象機器を定める告示がパブコメにかかっている(電子政府の該当ページ意見公募要領(doc)告示概要(doc)種類告示(jtd)場合告示(jtd))。ここまで細かな話になって来ると、一般ユーザーレベルでどうこう言うことはあまり無いのだが、対象機器の種類として、カメラなども入っていて良いのか(「データ収集装置」もどのようなものを想定しているのかいまいち良く分からない)、18歳以上の目視により監視される蓋然性が高い場合としては車載ナビだけで良いのかという点は気にかかっている。

 IFPIから2009年版のレポートが出ている(IFPIのリリースレポート本文(pdf)概要(pdf))ので、これもリンクを張っておく。RIAAが対ユーザー直接訴訟戦略をほぼあきらめる中、インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)に対する世界的な圧力はさらに強まりそうである。イギリスもISPに著作権検閲をやらせることを考えているフシがあり(afterdawn.comの記事参照)、さらに、3ストライクポリシーについては、イタリアがフランスと一緒に推進することに合意したというNumeramaの記事もあり、フランスが中心となるだろうが、今年は、周りの国も巻き込んで、ヨーロッパはこの類の政策で混乱することになるのだろう。

 当たり前のことと思うが、ダウンロードは同じ曲数だけのCDの売り上げ分の損失にはならないとする判断がアメリカの裁判所で示されている(Techbahnの記事tgdailyの記事参照)。

 米最高裁が、児童オンライン保護法を違憲として完全に否定したというニュースもあった(CNETの記事参照)。規制強化派は、この手の自分たちに都合の悪い国際動向に無視を決め込むのではないかと思うが、連中の好きな欧米、特にアメリカの話であり、こうした動きを決して無視しないよう、今後、政府与党に適宜突っ込んで行く必要があるだろう。

 また、オランダでは、P2Pについてポジティブな経済的効果を認める報告書も出されているようである(Numeramaの記事参照)。

 場合によっては他のことについて書くかも知れないが、まだ紹介していない国は沢山あるので、各国著作権法紹介のシリーズをしばらく続けようかと思っている。

(1月24日の追記:著作権団体が集まって著作者検索ポータルを作ったらしい(ITmediaの記事internet watchの記事参照)。どの著作者がどこの団体に所属して、どのような権利を委託しているのかをはっきりさせるのは良いことだと思うが、無論、このことは保護期間延長問題の本質と関係しない。また、記事によると、著作権団体の代表から、保護期間延長を求めるのは金や利益の問題ではないという主旨の発言があったようだが、金や利益を問題とせずに財産権の延長を求めることの完膚なきまでのナンセンス(プライドの問題に関わる人格権は既に無期限なので、延長のしようが無い)を無視して、どうして堂々とそのような発言ができるのか私には全く理解できない。

 公正取引委員会から、かなり力の入ったアニメ産業の実態調査報告書が出されている(概要本文(上)本文(下)internet watchの記事も参照)。政策的に即座にどうこうなる話を書いている訳ではないが、コンテンツ業界の実態を知る上ではなかなか興味深い資料なので、これも念のためにリンクを張っておく。)

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2009年1月16日 (金)

第148回:オーストリア著作権法の私的複製関連規定

 変則的になるが、重要なパブコメ結果などが出ているので、最初に最近のニュースの紹介からして行きたいと思う。

 まずは、文化庁から、法制問題小委員会と過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会の報告書案に対するパブコメ結果(法制小委分のリリース電子政府の該当ページパブコメ結果(pdf)意見全体(pdf)、過去小委分のリリース電子政府の該当ページパブコメ結果(pdf)意見全体(pdf))が出ている。法制問題小委員会のパブコメ結果を見ると、個人からはほとんどダウンロード違法化に反対する声とパブコメの形骸化を懸念する声しか見られないが、今日(1月16日)の最後の法制問題小委員会(開催案内)や、1月26日の上位の著作権分科会(開催案内)でも、文化庁はなお無理矢理ダウンロード違法化を押し通してくることだろう。だが、今の政局の混迷を見ても、この問題の先はまだ長い。

 次に、総務省の違法・有害報告書案についても、1月14日に開催された、第10回の「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」(議事次第)で取りまとめが行われ(Internet watchの記事マイコミニュースの記事も参照)、提出された意見(概要(pdf)全体(pdf))を受けて、小手先の修正(pdf)を加えられただけで大筋全く変わりのない報告書案(pdf)が出されている。(最終版は今日(1月16日)公表されるらしいが、ほとんど変更はないのではないかと思う。)

 意見では、単純所持規制や創作物規制への懸念も多く見られるが、総務省の答えは、児童ポルノの単純所持の禁止及び擬似児童ポルノの規制の当否については、検討会における議論の対象外とにべもない。そもそも検討の対象外なら、規制よりに書くべきではないと思うが、この点は残念ながら修正されなかった。児童ポルノの法益侵害の部分も、民主党の規制派議員の一人である円より子参議院議員の国会発言のみを引用して、児童ポルノ規制法は「児童を性欲の対象としてとらえることのない健全な社会を維持することをも その目的としている」と法律を超えた解釈を追加している点も、さらに不安を募らせる。児童ポルノ規制関連の動きに関しては、引き続き最大限の注意を払って行く必要がある。

 意見に対する他の回答もほとんどは取るに足らないお為ごかしばかりだが、 「e-ネットづくり!」宣言関連部分の指摘に対して、総務省が「御指摘の『天下り利権の強化』は決してあってはならないと認識して」いると、日本の官庁にしては珍しく、天下り利権の強化に対する反対を明言している点だけは素直に評価しておきたい。無論、この言葉が嘘にならないよう総務省の動きを今後も十分見張って行かないといけないが。

(なお、総務省の回答によると、インターネットホットラインセンターには、平成20年12月22日現在、警察のOBは一人も在籍していないらしいので、このセンターについては、今後このブログでは、天下りを取って、半官検閲センターとだけ言うことにする。今現在天下り先でないとしても、その運用の問題点が解消される訳ではなく、さらに今後天下り先とするねらいもあるだろうことを考えると、やはりこのセンターは速やかに廃止されるべきと私は思っている。)

 知財本部からは、第10回(平成20年度第5回)の「知的財産による競争力強化専門調査会」(議事次第)でも、意見募集の結果(pdf)が出され、第3期の基本方針の検討がされている。項目毎にまとめられた概要なので良く分からないが、この結果を見る限り、残念ながら、ここでも、個人レベルの意見が反映されそうな気配は無い。

 第140回で少し書いたが、特許庁の1月9日の「新しいタイプの商標に関する検討ワーキンググループ」で、音や動画でも商標を認めようとする報告書案(pdf)が出されている(時事通信のネット記事フジサンケイビジネスアイの記事も参照)のでリンクを張っておく。

 知財政策ということでは、文科省がiPS細胞に対する特許取得の支援拡大をするという記事(読売のネット記事)もあった。もはや完全に国民・文化の敵と化した文化庁に何かを期待する方が間違っているのだろうが、文部科学省・文化庁には、ダウンロード違法化のようなバカげた無法政策を捨て、こうした地道な施策のみやっていてもらいたいと心底思っているのは私だけではあるまい。

 経団連からは、優先政策事項(添付の解説資料)が出されている。知財政策については、解説資料中に、「知的財産政策を強化し、世界特許の構築に向けた制度・運用の国際調和・相互承認の推進、模倣品・海賊版対策の強化などを行う。中長期的観点から、わが国の先進的技術の国際標準化を目指し、官民一体としての国際標準総合戦略を推進し、競争力の強化を図る。併せて、デジタル化・ネットワーク化時代に相応しい著作権制度を整備する。政府の「経済成長戦略大綱」に基づき、約13.6兆円となっているコンテンツ産業の市場規模を10年後に約5兆円拡大する。 」と書かれているくらいだが、政官業の腐敗のトライアングルの一角の頂点に立つ組織が提言する優先政策事項なので、念のためにリンクを張っておく。

 さて、前置きが長くなったが、今年も地道に各国著作権法の紹介を続けて行きたいと思っており、今回は、オーストリア著作権法の私的複製関連規定を取り上げたいと思う。

 以下、翻訳(拙訳)である。

Vervielfaltigung zum eigenen und zum privaten Gebrauch

§ 42. (1) Jedermann darf von einem Werk einzelne Vervielfaltigungsstucke auf Papier oder einem ahnlichen Trager zum eigenen Gebrauch herstellen.

(2) Jedermann darf von einem Werk einzelne Vervielfaltigungstucke auf anderen als den in Abs. 1 genannten Tragern zum eigenen Gebrauch zu Zwecken der Forschung herstellen, soweit dies zur Verfolgung nicht kommerzieller Zwecke gerechtfertigt ist.

(3) Jedermann darf von Werken, die im Rahmen der Berichterstattung uber Tagesereignisse veroffentlicht werden, einzelne Vervielfaltigungsstucke zum eigenen Gebrauch herstellen, sofern es sich nur um eine analoge Nutzung handelt.

(4) Jede naturliche Person darf von einem Werk einzelne Vervielfaltigungsstucke auf anderen als den in Abs. 1 genannten Tragern zum privaten Gebrauch und weder fur unmittelbare noch mittelbare kommerzielle Zwecke herstellen.

(5) Eine Vervielfaltigung zum eigenen oder privaten Gebrauch liegt vorbehaltlich der Abs. 6 und 7 nicht vor, wenn sie zu dem Zweck vorgenommen wird, das Werk mit Hilfe des Vervielfaltigungsstuckes der 0ffentlichkeit zuganglich zu machen. Zum eigenen oder privaten Gebrauch hergestellte Vervielfaltigungsstucke durfen nicht dazu verwendet werden, das Werk damit der offentlichkeit zuganglich zu machen.

(6) Schulen und Universitaten durfen fur Zwecke des Unterrichts beziehungsweise der Lehre in dem dadurch gerechtfertigten Umfang Vervielfaltigungsstucke in der fur eine bestimmte Schulklasse beziehungsweise Lehrveranstaltung erforderlichen Anzahl herstellen (Vervielfaltigung zum eigenen Schulgebrauch) und verbreiten; dies gilt auch fur Musiknoten. Auf anderen als den im Abs. 1 genannten Tragern ist dies aber nur zur Verfolgung nicht kommerzieller Zwecke zulassig. Die Befugnis zur Vervielfaltigung zum eigenen Schulgebrauch gilt nicht fur Werke, die ihrer Beschaffenheit und Bezeichnung nach zum Schul- oder Unterrichtsgebrauch bestimmt sind.

(7) Der Offentlichkeit zugangliche Einrichtungen, die Werkstucke sammeln, durfen Vervielfaltigungsstucke herstellen, auf anderen als den im Abs. 1 genannten Tragern aber nur, wenn sie damit keinen unmittelbaren oder mittelbaren wirtschaftlichen oder kommerziellen Zweck verfolgen (Vervielfaltigung zum eigenen Gebrauch von Sammlungen), und zwar
1. von eigenen Werkstucken jeweils ein Vervielfaltigungsstuck; ein solches Vervielfaltigungsstuck darf statt des vervielfaltigten Werkstucks unter denselben Voraussetzungen wie dieses ausgestellt (§ 16 Abs. 2), verliehen (§ 16a) und nach § 56b benutzt werden;
2. von veroffentlichten, aber nicht erschienenen oder vergriffenen Werken einzelne Vervielfaltigungsstucke; solange das Werk nicht erschienen beziehungsweise vergriffen ist, durfen solche Vervielfaltigungsstucke ausgestellt (§ 16 Abs. 2), nach § 16a verliehen und nach § 56b benutzt werden.

(8) Die folgenden Vervielfaltigungen sind - unbeschadet des Abs. 6 - jedoch stets nur mit Einwilligung des Berechtigten zulassig:
1.  die Vervielfaltigung ganzer Bucher, ganzer Zeitschriften oder von Musiknoten; dies gilt auch dann, wenn als Vervielfaltigungsvorlage nicht das Buch, die Zeitschrift oder die Musiknoten selbst, sondern eine gleichviel in welchem Verfahren hergestellte Vervielfaltigung des Buches, der Zeitschrift oder der Musiknoten verwendet wird; jedoch ist auch in diesen Fallen die Vervielfaltigung durch Abschreiben, die Vervielfaltigung nicht erschienener oder vergriffener Werke sowie die Vervielfaltigung unter den Voraussetzungen des Abs. 7 Z 1 zulassig;
2. die Ausfuhrung eines Werkes der Baukunst nach einem Plan oder Entwurf oder der Nachbau eines solchen Werkes.

§ 42a. Auf Bestellung durfen unentgeltlich einzelne Vervielfaltigungsstucke auch zum eigenen Gebrauch eines anderen hergestellt werden. Eine solche Vervielfaltigung ist jedoch auch entgeltlich zulassig,
1. wenn die Vervielfaltigung mit Hilfe reprographischer oder ahnlicher Verfahren vorgenommen wird;
2. wenn ein Werk der Literatur oder Tonkunst durch Abschreiben vervielfaltigt wird;
3. wenn es sich um eine Vervielfaltigung nach § 42 Abs. 3 handelt.

自己利用あるいは私的利用のための複製

第42条 第1項 あらゆる者は、自己利用のために、紙あるいは類似の媒体上に若干数の著作物の複製を作ることができる。

第2項 あらゆる者は、その目的が商業目的でない限りにおいて、研究目的のために、第1項で挙げられている以外の媒体にも若干数の著作物の複製を作ることができる。

第3項 あらゆる者は、アナログ利用のみにつき、自己利用のために、時事報道の範疇で公表された著作物について若干数の複製を作ることができる。

第4項 あらゆる自然人は、私的利用のために、第1項で挙げられている以外の媒体にも若干数の著作物の複製をすることができる。ただし、直接的であれ間接的であれ、商業的な目的のためである場合は、この限りでない。

第5項 複製物によって著作物を公衆にアクセス可能とする目的の場合、第6項および第7項は留保されるが、自己利用あるいは私的利用として複製することはできない。自己利用あるいは私的利用のために作られた複製物を、その著作物を公衆にアクセス可能とするような形で利用することは許されない。

第6項 学校と大学は、授業あるいは教育のために、それによって正当化される範囲において、ある限られた学級のため、あるいは、教育の実施に必要な限りの数において、複製(個々の学校の利用のための複製)を作り、配布することができる。このことは、楽譜にも認められる。第1項で挙げられている以外の媒体上への複製については、非商業目的である場合のみ許される。この個々の学校のための複製の権能は、学校あるいは教育利用に当てられる性質と特徴を有する著作物には及ばない。

第7項 公衆にアクセス可能とされた、著作物を集める施設は、第1項で挙げられている以外の媒体上にも、複製を作ることができる。ただし、直接的にも間接的にも経済的あるいは商業的な目的を追求することがなく、かつ、次の場合に限る。
1.所有する著作物からの一つの複製;このような複製物は、複製著作物の代わりに、それと同じ条件で、展示され(第16条第2項)、貸し出され(第16a条)、第56b条(訳注:図書館での録音録画媒体の利用を定めている)の通りに利用されて良い。
2.公表されているが、刊行されていない、あるいは絶版の著作物から若干数の複製;著作物が刊行されていない、あるいは絶版である限り、このような複製物は、展示され(第16条第2項)、第16a条の通りに貸し出され、第56b条の通りに利用されて良い。

第8項 次の複製は-第6項の規定にかかわらず-常に権利者の許可のみによって認められる:
1.本、雑誌あるいは楽譜の全ての複製;このことは、その本、雑誌あるいは楽譜自身が複製見本として使われず、どのような手段で作られたものであれ、本、雑誌あるいは楽譜の複製物が使われない場合にも適用する; ただし、書き写しによる複製、刊行されていない、あるいは絶版の著作物の複製並びに第7項1.の規定の適用を受ける複製については許される;
2.図面、図案あるいはモデルからの建築物の作成。

第42a条 求めに応じて、他の者の自己利用のために無償で複製物を作ることは許される。次のような場合は、有償でも認められる:
1.複写あるいは類似の手段を使ってなされる場合;
2.文学あるいは音楽作品を書き写す場合;
3.第42条第3項に規定されている複製に関する場合。

 私的複製関連規定は、どこの国も似ているようで、微妙に異なっているが、オーストリア著作権法の特徴はどこかとなると、私的複製関連規定で、自己利用と私的利用、あらゆる者とあらゆる自然人を書き分けている点だろうか。しかし、別にこのような区別をしていたからと言って、オーストリア著作権法が、特に変わった内容を規定しているということは無い。第1~3項の、自己利用のための紙による少数コピー、研究目的の少数コピー、報道記事の少数コピーは、法人にも認められるが、第4項で規定されている広く一般的な私的複製は自然人にのみ認められると解釈されるというだけの話である。

 そのまま条文を移せるとは思わないが、法人に対して自己利用目的・研究目的の少数コピーが認められている点は、日本でも参考にしても良いに違いない。企業等における内部少数利用・研究目的利用のためのより一般的な権利制限がないことが、今の日本における著作権問題をさらにややこしいものとしているのは間違いないのだ。

 なお、オーストリアについても、違法コピーは問題になっているものと思うが、ダウンロード違法化がされたという話はなく、またされそうな気配もない。フランスやドイツがダウンロード違法化や3ストライクポリシーで混乱する中、オーストリアもその様子見をしている大多数の国の中に分類されるのではないかと思う。

 次回は、この続きとして、オーストリア著作権法の私的複製補償金関連規定を紹介したいと思っている。(オーストリアも、ヨーロッパの例に洩れず、私的複製補償金に関してはタチの悪い国に属するが。)

(1月17日の追記:検討会に出された修正版と何の違いも見られないが、総務省から最終版の違法有害報告書が公表された(リリースパート1(pdf)2(pdf)3(pdf)4(pdf))ので、念のためにリンクを張っておく。同時に、この報告書の概要となっている「『安心ネット作り』促進プログラム」も公表されている(リリースプログラム本文(pdf))ので、これもリンクを張っておく。)

(1月19日の追記:4行目の誤変換を修正した。まじっく様、ご指摘ありがとうございます。)

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2008年12月10日 (水)

第141回:イスラエル著作権法におけるフェアユース・私的複製関連規定

 知財本部へのパブコメに少し書いたのだが、一般フェアユース規定を導入している国には、アメリカは言わずもがなだが、第91回で少し紹介した台湾の他にイスラエルがある。文化庁や権利者団体のように、数カ国が導入しているだけで国際潮流と言いつのる気はさらさら無いが、何かの参考になるかも知れないので、ここで、イスラエルの権利制限規定について少し補足の紹介をしておきたいと思う。

 イスラエル著作権法のフェアユース・私的複製関連規定は、WIPOのHPに載っている英訳からの重訳になるが、以下のようなものである。(翻訳は拙訳。)

Chapter Four: Permitted Uses

18. Permitted Uses
Notwithstanding the provisions of section 11, the doing of the actions specified in sections 19 to 30 is permitted subject to the conditions specified respectively in the aforesaid sections and for the purpose of carrying out the objectives specified therein, without the consent of the right holder or payment, however with respect to the activities specified in section 32 - upon payment and in accordance with the provisions of that section.

19. Fair Use
(a) Fair use of a work is permitted for purposes such as: private study, research, criticism, review, journalistic reporting, quotation, or instruction and examination by an educational institution.

(b) In determining whether a use made of a work is fair within the meaning of this section the factors to be considered shall include, inter alia, all of the following:
(1) The purpose and character of the use;
(2) The character of the work used;
(3) The scope of the use, quantitatively and qualitatively, in relation to the work as a whole;
(4) The impact of the use on the value of the work and its potential market.

(c) The Minister may make regulations prescribing conditions under which a use shall be deemed a fair use.

20. Use of works in juridical or administrative procedures
Use of a work in juridical or administrative procedures according to law, including reporting on such proceedings, is permitted to the extent that is justified taking into consideration the purpose of the aforesaid use.

21.Reproduction of a work deposited for public inspection
(a) The copying of a work that is accessible to the public by law is permitted if consistent with the purpose for which the work was made accessible, and to a justifiable extent taking into consideration the purpose of the said use.

(b) The provisions in sub-section (a) shall not apply with respect to works deposited in accordance with The Books Act 2000.

22. Incidental Use of a Work
An incidental use of a work by way of including it in a photographic work, in a cinematographic work or in a sound recording, as well as the use of a such work in which the work was thus incidentally contained, is permitted; In this matter the deliberate inclusion of a musical work, including its accompanying lyrics, or of a sound recording embodying such musical work, in another work, shall not be deemed to be an incidental use.

23. Broadcast or copying of work in public place
Broadcasting, or copying by way of photography, drawing, sketch or similar visual description, of an architectural work, a work of sculpture or work of applied art, are permitted where the aforesaid work is permanently situated in a public place.

24. Computer Programs
(a) Copying of a computer program for purposes of back up is permitted for a person who possesses an authorized copy of the computer program; A person holding such a copy shall destroy it once it is no longer needed to serve the purpose for which it was made.

(b) Copying of a computer program for purposes of maintenance of an authorized copy of the program or of a computer system, or for purposes of providing service to a person in possession of an authorized copy of the computer program, is permitted, provided that it is necessary for using the program.

(c) Copying of a computer program, or making a derivative work there from is permitted for a person who possesses an authorized copy of the computer program, for the following purposes and to the extent necessary to achieve said purposes:
(1) Use of the computer program for purposes for which it was intended, including correction of errors in the computer program or making it interoperable with a computer system or with another computer program;
(2) Examination of the data security in the program, correction of security breaches and protection from such breaches;
(3) obtaining information which is needed to adapt a different and independently developed computer system or program, in such a way that it will be interoperable with the computer program.

(d) The provisions of sub-section (c) shall not apply with respect to the copying of a computer program or the making of a derivative work there from, as stated in said sub-section, if the information which has been obtained through the aforementioned means was used in a manner set forth below, or where such information was readily discernable without use of the aforesaid means:
(1) The said information is transmitted to another person for apurpose different than the purposes set forth in sub-section (c);
(2) The said information is used to make a different computer program which infringes copyright in the said computer program.

(e) In this section, "authorized copy" of a computer program means a copy of the computer program which was made by the copyright holder therein or with his consent.
...

26. Temporary Copies
The transient copying, including incidental copying, of a work, is permitted if such is an integral part of a technological process whose only purpose is to enable transmission of a work as between two parties, through a communications network, by an intermediary entity, or to enable any other lawful use of the work, provided the said copy does not have significant economic value in itself.

27. Additional artistic work made by the author
Making a new artistic work which comprises a partial copying of an earlier work, or a derivative work from an earlier work, as well as any use of the said new work, are permitted to the author of the said earlier artistic work even where said author is not the owner of the copyright in the earlier artistic work, provided the new work does not repeat the essence of the earlier work or constitute an imitation thereof.
...

4章:権利の制限

第18条 権利の制限
 第11条の規定にかかわらず、それぞれの条項に規定されている条件に従い、それらに規定されている目的を達成するために、権利者の同意あるいは支払いなしに、第10条から第30条に規定されている行為をなすことは許される。ただし、第32条の規定に一致し、この第32条に規定されている行為-支払いは尊重される。

第19条 公正利用
(a)私的学習、調査研究、批評、論評、報道、引用、あるいは、教育機関による教育と試験のような目的のための、著作物の公正利用は許される。

(b)ある著作物のある利用が本条の意味において公正かどうかを決めるにあたって、とりわけ、以下の要素全てを考慮しなくてはならない:
(1)利用の目的および性質;
(2)著作物の性質;
(3)著作物全体に対する、質的及び量的な利用の範囲;
(4)著作物の価値及び潜在的市場に対する利用の影響。

(c)大臣は、ある利用が公正利用とみなされる場合に、その条件を既定する規則を作り得る。

第20条 司法あるいは行政手続きにおける著作物の利用
 公表手続きを含め、法に基づいた司法あるいは行政手続きにおける著作物の利用は、その利用の目的を考慮して正当化される範囲において、許される。

第21条 公衆の閲覧に供される著作物の複製
(a)法によって公衆にアクセス可能とされた著作物の複製は、その作品がアクセス可能とされた目的に適う限りにおいて、その利用の目的を考慮して正当化される範囲において、許される。

(b)第(a)項の規定は、2000年書籍法に基づいて提供される作品については適用しない。(訳注:2000年書籍法の詳細は不明だが、恐らく国立図書館への提供のことを言っているのではないか。)

第22条 著作物の付随的な利用
 それを含むやり方に応じて、写真著作物、映画著作物、録音著作物中の付随的な著作物の利用、並びに、そのように著作物が付随的に含まれる著作物の利用は、許される。このことにつき、その歌詞やその著作物を具体化した録音を含め、音楽著作物の他の著作物への意図的な挿入は付随的な利用とはみなされない。

第23条 公共の場に置かれた著作物の放送あるいは複製
建築物、彫刻の著作物、あるいは応用美術の著作物の、放送、写真、描画、スケッチあるいは似たような視覚的描写による複製は、それらの物が永続的に公共の場に置かれているとき、許される。

第24条 コンピュータプログラム
(a)コンピュータプログラムの正規の複製物を所有している者には、そのコンピュータプログラムのバックアップ目的での複製が許される。ただし、それが作られた目的においてもはや必要なくなったとき、そのような複製の所有者はそれを破棄しなくてはならない。

(b)そのプログラムの利用に必要な場合、コンピュータシステムあるいはコンピュータプログラムの正規の複製物のメンテナンスの目的のため、あるいは、コンピュータプログラムの正規の複製物を所有している者へのサービスの提供の目的ための、そのコンピュータプログラムの複製は許される。

(c)コンピュータプログラムの正規の複製物を所有している者には、以下の目的において、その目的を達成するのに必要な限りにおいて、そのコンピュータプログラムの複製あるいは、そこからの派生物の作成が許される:
(1)コンピュータプログラムにおける間違いの訂正、あるいは、コンピュータシステムあるいは他のコンピュータプログラムと相互運用性の確保を含め、それが目的とすることのためのそのコンピュータプログラムの利用
(2)プログラムにおけるデータセキュリティの検査、セキュリティホールの修正、及び、そのようなホールからの保護
(3)そのコンピュータプログラムと相互運用する形の、独立開発コンピュータシステムあるいはプログラムの採用のために必要な情報の入手

(d)前述の手段を通じて得られた情報が、以下に規定されているようなやり方で利用されるか、そのような情報が前述の手段を用いずとも容易に知り得る場合には、第(c)項の規定は適用されない、
(1)第(c)項に規定されている目的以外の目的のために、前記の情報が第3者に伝えられる場合
(2)前記のコンピュータプログラムの著作権を侵害する他のコンピュータプログラムを作るために、前記の情報が使用される場合。

(e)本条の「コンピュータプログラムの正規の複製物」は、著作権者によってかその同意に基づいて作られたコンピュータプログラムの複製物を意味する。

(中略:第25条 放送目的での録音録画に関する権利制限)

第26条 一時的複製
 媒介物によって通信ネットワークを通じ二者間で著作物を伝えることを可能とする、あるいは著作物の他の合法利用を可能とする目的のみを有する技術的プロセスの不可欠な部分をなすとき、付随的な複製を含め、過渡的な複製は許される。ただし、その複製物がそれ自体で何ら重要な経済的価値を持たない場合に限る。

第27条 作者自らによって作られる追加の芸術作品
 新たな作品が以前の作品の本質のり返しでも、その単なる模倣でもない場合、新たな芸術作品を以前の作品の部分的な複製を含む形で作ることや、以前の作品から派生作品を作ること並びにこの新たな作品の利用は、その作者が以前の作品の著作権の所有者でなくなっていたとしても、この以前の著作物の作者に許される。

(後略:第28条 建物の改修や再建築のための権利制限、第29条 教育機関における公演のための権利制限、第30条 図書館のための権利制限等)

 このイスラエルの新著作権法は、2007年11月19日にイスラエルの議会を通過し、2008年5月28日から施行されているものであるが、イスラエルはもともとフェアユース採用国だった訳ではなく、権利制限規定自体少なかったものを、この最近の改正で、フェアユースも含め各種権利制限規定を充実させたようである。

 台湾もそうだが、イスラエルの権利制限規定も、限定列挙型の権利制限を多くあげながら、同時に一般フェアユース条項を導入している点が特徴的である。無論、各国毎の事情は考慮しなければならないだろうが、別に限定列挙型の権利制限を取っているからと言って、一般フェアユース条項が導入できなくなるものでもなく、一般フェアユース条項が必ずベルヌ条約違反となるものでもないだろう。

 また、イスラエルのフェアユース規定は、第117回で紹介したアメリカのフェアユース規定とほぼ同じであるが、良く比べてみると、例示が増えていたり、考慮要素の規定が簡略化されていたりという細かな違いもある。著作権法改正の検討において欧米主要国だけを参考にしなければならない理由もない、日本における一般フェアユース条項導入の検討において、アメリカ以外のフェアユース採用国の規定や事情などを参考にすることも大いにあって良いことだと私は思っている。

(なお、念のために書いておくと、イスラエルにも補償金制度は存在していない。)

 各種パブコメも提出次第載せたいと思っており、次回12月16日の私的録音録画小委員会で文化庁が何を言い出すかも気になるのだが、余裕があれば、次も、他の点についてのちょっとした補足とするかも知れない。

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2008年6月17日 (火)

第102回:カナダの著作権法改正案

 6月12日に、カナダで、著作権法の改正案が政府から提出されたというニュースがあった(Canadian Pressの記事1記事2GLOBE AND MAILの記事marketwireの記事NATIONAL POSTの記事1記事2ITmediaの記事カナダ政府のニュースリリース参照)ので、今回は、この話を取り上げたい。

 第34回で少しだけ書いたように、カナダでは著作権法改正に対する反対運動もあり、政府内で改正法案の見直しをしていたようである。この法改正に、タイムシフトやプレースシフトのための権利制限や、教育・研究目的のための権利制限などの追加が含まれているということまでは良いのだが、今回公表された案では、カナダでの反対運動の中心の問題点だったDRM回避規制に加えて、ダウンロード違法化まで加えられて来るなど、全く評価できない改正も含まれており、ユーザーからの批判が高まっているものと見える。

 政府としては、法定賠償金額(今までは最高2万ドル)を、非商用レベルの侵害で500ドルに、さらに著作権侵害と知らずにダウンロードやDRM回避をした場合について200ドルまで下げることで、権利者と利用者の間のバランスを取ったとしているようだが、上でリンクを張った記事などでも、当然、エンフォースや実効性の面で問題がある等、日本と全く同じ指摘を関係者から受けている

(また、インターネットサービスプロバイダー(ISP)の責任制限も同時に行っているが、ある程度の書式が整っていれば、ISPは権利者からの侵害ノーティスをそのまま侵害していると思われる者に転送しなければならず、情報を開示するかどうか自体は裁判所で決まるものと思われるが、訴訟のために侵害していると思われる者を特定する情報を6ヶ月間保持しなければならないなど、ISPの義務もかなり重い。) 

 カナダの現行法のフェアディーリング規定は、研究あるいは私的学習の目的に限られるなど、イギリス型の狭いものだが、記事などによると、単なるダウンロードユーザーの個人情報開示を認めないとする判例もカナダにはあるようであり、このような法改正案では、今まで判例の積み重ねなどで事実上認められてきたことが認められなくなり、対ユーザー訴訟の乱発を招くのではないかとユーザーが強い懸念を抱くのも無理はない

  法案自体公表されているPDF版現行法)ので、念のため、問題箇所の翻訳もしておくと、改正法案は、フェアディーリングとして、例えば映像に対して、以下のような権利制限を追加するものである。(赤字強調は私が付加したもの。なお、音楽についても同様の権利制限の追加が書かれている。そもそも言葉からして矛盾している気がするが、私的利用目的の侵害の場合の法定損害賠償額については、新第38.1条に書かれている。)

Reproduction onto Another Medium or Device
29.21 (1) It is not an infringement of copyright for an individual to reproduce a work or other subject-matter that is a photograph or is contained in a book, newspaper, periodical or videocassette, or any substantial part of such a work or other subject-matter, onto another medium or device, if the following conditions are met:

(a) the copy of the work or other subjectmatter of which the reproduction is made is not an infringing copy;
(b) the individual legally obtained the photograph, book, newspaper, periodical or videocassette, otherwise than by borrowing it or renting it, and owns the medium or device on which it is reproduced;
(c) the individual, in order to make the reproduction, did not circumvent a technological measure or cause one to be circumvented, within the meanings of the definitions “circumvent” and “technological measure” in section 41;
(d) the individual
(i) reproduces the work or other subjectmatter no more than once for each device that the individual owns, whether the reproduction is made directly onto the device or is made onto a medium that is to be used with the device, and
(ii) prints no more than one copy of the work, if the work is in digital form;
(e) the individual does not give the reproduction away; and
(f) the reproduction is used only for private purposes.

(2) If the individual has downloaded the work or other subject-matter from the Internet and is bound by a contract that governs the extent to which the individual may reproduce the work or other subject-matter, the contract prevails over subsection (1) to the extent of any inconsistency between them.

(3) Subsection (1) does not apply if the individual gives away, rents or sells the photograph, book, newspaper, periodical or videocassette without first destroying all reproductions of the work or other subject-matter that the individual has made under that subsection.

(4) Subsection (1) does not apply if the reproduction is made for the purpose of doing any of the following in relation to the work or other subject-matter:
(a) selling or renting out, or by way of trade exposing or offering for sale or rental;
(b) distributing, whether or not for the purpose of trade;
(c) communicating to the public by telecommunication;
or
(d) performing, or causing to be performed, in public.

他のメディアあるいはデバイスへの複製
第29.21条 (1)次の条件が満たされていれば、作品、あるいは、写真、新聞、雑誌、あるいはビデオカセットに含まれている他の対象物、あるいは、作品あるいは他の対象物の本質的な部分の、メディアあるいはデバイスへの個人的な複製は、著作権侵害を構成しない

(a)複製が作られる元の作品あるいは他の対象物の複製が侵害品でないこと
(b)複製する者が、貸し借りをせず、写真、本、雑誌やビデオカセットを合法に入手し、複製がなされるメディアあるいはデバイスを所有していること;
(c)「回避」と「技術的手段」を、第41条に定義されている意味のものとして、複製する者が、複製のために、技術的手段を回避していないこと、あるいは、技術的保護手段の回避をもたらさないこと
(d)複製する者が、
(i)複製が直接デバイスになされるか、デバイスと一緒に使われるメディアになされるかによらず、所有しているデバイスに、作品あるいは他の対象物を1度以上複製をせず、
(ii)もし、作品がデジタル形式の場合には、1部以上作品を印刷しないこと;
(e)複製する者が、複製物を他に与えないこと;そして
(f)複製物が個人的な目的のためのみに私用されること。

(2)複製をする者が作品あるいは他の対象物をインターネットからダウンロードし、その者がその作品あるいは他の対象物を複製可能な範囲を決める契約に縛られている場合は、契約は、その間の不一致によらず、(1)項を上書きする。

(3)まず最初に、この項の下に作られた作品あるいは他の対象物の複製を全て破棄せずに、複製をする者が、写真、本、新聞、雑誌、あるいはビデオカセットを他へ与え、貸し、あるいは売る場合には、(1)項は適用されない。

(4)作品あるいは他の対象物との関係で、次のようなことをする目的で複製がなされる場合には、(1)項は適用されない。
(a)販売、レンタル、あるいは商売のための展示や販売のための提供やレンタルのため;
(b)商売のためであるかどうかによらず、頒布のため;
(c)通信手段によって公衆に伝達するため;
(d)公衆の前で、実演するあるいは実演されるようにするため;

 いくら、法定賠償額が引き下げられたとはいえ、侵害品と知らずに複製していたとしても、あるいは知らずにDRM回避をしていたとしても、もし裁判になったら、200ドルという損害賠償を押しつけられるのは、ユーザーにとって不当なものとしか言いようがないだろうし、そもそも、ダウンロードユーザーや家庭内のDRM回避ユーザーに対しては、エンフォースや実効性の問題も大きい。

 これで、法改正の検討で混乱している日本に次いで、カナダもダウンロード違法化をしようと考えている国に名乗りを上げた訳だが、カナダにおけるネットの草の根の著作権法改正反対運動の大きさを考えても、この法案がそのまま通る可能性は低いだろう。ドイツの混乱を見ても、ダウンロード違法化は正しい選択肢とは到底思えないのである。

 政府が著作権保護強化を後押しし、権利者団体が歓迎し、ユーザー・消費者が反発するという構図は、今のところ、世界中のいろいろな国で大なり小なり見られるが、このような構図が見えること自体、時代の変化を感じさせるものである。著作権法はネット社会における基本的な法律の一つであり、権利保護強化だけを考えていれば良いものではないと皆が気づき始めている。カナダでは以前の著作権法改正はネットの草の根の運動で止まったし、今回のものも止まるだろう。ユーザーの声で、世界的にも流れは変わりつつあるし、流れは変えられるのだ。日本でも、著作権問題の火を消してはならない。

(6月17日夜の追記:相変わらずの内容なので一々突っ込む気にもならないが、権利者団体が懲りもせずに、メーカーに公開質問状を出している(AV watchの記事internet watchの記事ニュースリリース公開質問状本文)ので、念のためにリンクを張っておく。MIAUからも、ダビング10と補償金問題に関するアンケート結果発表されているが、各関係者の意識の隔たりが極めて大きいことがほぼ明白になっている今のタイミングで、なお消費者パッシング・メーカーバッシングの公開質問状を再度出すことに何の意味があるのか、権利者団体の神経は私には本当に理解できない。

 ソースは朝日なので、本当かどうか良く分からないが、現時点でHDD課金は見送るものの、ブルーレイ課金については文科省・経産省が合意したとする朝日のネット記事もあったので、念のために紹介しておく。この話が本当であるとして、ブルーレイ課金は現行のDVD課金の延長にある話なので、法律改正をしなくとも両省庁が合意すれば対象媒体・機器の追加は出来るものと思われるが、私的録音録画補償金制度のそもそもの意義が問われているところで、課金対象の拡大を利権官庁だけで合意しようとするのは本当にいかがなものかと思う。)

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2008年5月 7日 (水)

第91回:中国・韓国・台湾・インド・ベトナムの私的複製関連規定

 中国・韓国・台湾・インド・ベトナムなどのアジアの国々の著作権法に関しては、文化庁所管の著作権情報センターのHPにも、かなり最近のバージョンの著作権法の翻訳(大体2006年以降のもの)が載っているにもかかわらず、これらのアジアの国々の規定を、文化庁が私的録音録画問題の検討において紹介したことは一度もない。

 紹介しないのは、これらの国々では、私的複製が認められているにもかかわらず、私的録音録画補償金制度が存在しないため、これらの国々も混ぜると、彼らの言うところの補償金の国際動向に関する主張が破綻するからか、日本の官庁にありがちなパターンで、脊髄反射的に欧米偏重をしているからかとしか思われないが、どちらにせよ、文化庁の知能レベルの低さにはほとほと呆れるばかりである。だが、折角各国の著作権法の翻訳を著作権情報センターのHPに載せてくれているので、今回は、そこから分かるアジア各国の私的複製関連規定を紹介して行きたいと思う。(以下の私的複製に関する規定は、著作権情報センターのHPの翻訳からの引用である。)

(1)中国
 中国の著作権法(翻訳原文)で、権利制限は、その第22条と第23条に規定されている。

 あまり充実しているとは言い難いものの、引用や教育、点字といった良くある権利制限と並び、私的複製についても、第22条(1)として、「個人の学習、研究または鑑賞のために他人の既に公表された著作物を使用すること」は権利制限の対象とされている。「個人の」という限定がかかっているのは狭く感じるが、「鑑賞」目的でも良いとされているので、学習や研究目的のみとしているほど狭い訳でもない。また、このような規定があるからと言って、私的録音録画補償金制度は中国に存在していないし、補償金制度の導入を検討しているという話も聞かない。

(2)韓国
 韓国の著作権法(翻訳原文(現行条文))にはかなり改正が入っているようなので、もし翻訳が可能なら、改正事項の紹介などもしたいと思うが、私的複製に関しては、その第27条(現行条文では第30条にずれたようだが、内容は変わっていない)で、「公表された著作物を、営利を目的としないで個人的に利用する場合、又は家庭及びこれに準ずる限定された範囲内において利用する場合は、その利用者はその複製をすることができる。但し、一般公衆の使用に供するために設置された複写機器による複製については、この限りでない。」と、日本と似た形で規定されている。

 特に、韓国では、DRM回避をともなう複製を私的複製でないとしていない(DRM回避機器規制は入っているようである)上、私的録音録画補償金制度もない。また、補償金制度を導入する検討がなされているという話も聞かない。そのために韓国がベルヌ条約違反だと非難されているということもない。

 また、韓国については、著作権法保護期間を伸ばしたり、著作権フィルタリングの懈怠を処罰するような法制を考えているという報道もあった(LAITの記事マイコミジャーナルの記事参照)が、その後どうなっているのかは良く分からない。(上の現行条文を見た限りでは、保護期間延長はまだ入っていないようである。)

 なお、韓国は、日本のように著作権法でコンピュータプログラムを保護するのではなく、コンピュータプログラムのために特別に保護法を作っているという点も特徴的である。(このようにすると、保護期間延長によってプログラムの保護期間まで伸びるという理不尽がなくなるなどの利点が確かにあるだろう。)

(3)台湾
 台湾の著作権法(翻訳原文)も、その簡潔さにおいて中国に近いような気もするが、権利制限に関しては、中国より充実しており、私的複製に関しても、第51条で「既に公表された著作物は、個人または家庭内の非営利目的として、かつ、合理的な範囲内において、図書館および公衆の使用に供される機器以外の機器を利用して複製することができる。」と家庭内の複製まで含めて明らかに私的複製の権利制限内に含めている。私的録音録画補償金制度もない。

 また、台湾の著作権法は権利制限の限定列挙という形を取りながらも、第65条に合理的利用の一般規定があり、利用の目的及び性質、著作物の性質、利用される部分の実質と量、比率、市場及び著作物の価値に対する影響を特に基準として、一般的に合理的利用は著作財産権の侵害を構成しないとしているのは注目に値する。これは、ほぼアメリカのフェアユース条件を書いていると思うが、限定列挙型の権利制限を取り、かつ、このような一般規定をおいている国はすぐ隣にもあるのだ。

 なお、台湾でも著作権法にプロバイダーの責任制限を導入しようとする動きがあるよう(台湾知的財産局のHP参照)だが、これが今どういう状態になっているのかは良く分からない。

(4)インド
 インドの著作権法(翻訳原文(英語))では、第52条で著作権侵害とならない行為を列挙しており、フェアディーリングの中に、「研究を含む私的使用」があげられている。

 ここで、フェアディーリングの1種とされていることから見ても、インドはイギリス著作権法の影響を受けているのだと思われ、また、「研究を含む」としていることからしても、研究のみではないと考えられるが、私的使用という語でどこまでの範囲が含まれるのかは良く分からない。無論、インドにも私的録音録画補償金制度はない。

(5)ベトナム
 ベトナムの著作権法(知的財産権法)(翻訳原文(英語))の規定ぶりも変わっており、知的財産法の第32条の、無許諾無償の複製が認められる場合の中に、引用などと並んで「個人の学術研究を目的として、複製を作成すること」(著作権情報センターの翻訳では「のみ」とか「自ら」とか余計な限定がついていたので、原文を見て外した。)もあげられているのである。この規定を見る限り、許されるのは個人の研究目的のみと、ベトナムは私的複製について特に厳しい。ただ、同じく、ベトナムにも私的録音録画補償金制度は存在していない。

 これだけでは何とも言えないが、これらの国々を見ると、何故か共産主義国・社会主義国の方が、全体的に著作権法の規定が簡単で、私的複製について厳しいように見える。だが、何にせよ、どこの国を見たところで私的複製を全く認めていない国はない上に、国際的に見て私的複製と補償金が必ずセットになっているということはないのである。文化庁の言う国際動向など、自分たちに都合の良い国だけを取り上げたデタラメに過ぎない。明日の私的録音録画でもまた、権利者団体と癒着し、骨の髄まで腐り切った文化庁はデタラメを言いつってくることだろうが、所管団体の著作権情報センターでアジア各国の著作権法の翻訳研究をやっている時点でもはや自己矛盾をきたしているだろう、国民を舐めるのもいい加減にしてもらいたい。

 最後に、本来目次に書くことではなかったので、昨日の「目次3」に書いたことをそのままここに転載しておく。

 最近の私的録音録画補償金問題に関する朝日のネット記事で書かれていることに関する突っ込みを入れておきたい。この記事によると、5月8日の私的録音録画小委員会で、相変わらず、権利者団体と癒着した文化庁は、携帯音楽プレーヤーとハードディスク内蔵型録画機器を課金対象にするべきというペーパーを作り、権利者団体がダビング10の拒否という秘策で揺さぶりをかけるらしいが、文化庁も権利者団体もこんな適当な詐欺が今の時代に通用すると思っている時点でバカまる出しである。iPod課金とダビング10の間には関係がないし、コピーワンスにせよ、ダビング10にせよ、実質的に全国民に転嫁されるコストで不当に厳しいコピー制限を課している機器に、さらに補償金まで賦課しようとするのは不当の上塗りである。iPodや純粋なHDDレコーダーにしても技術の進展も踏まえて、なおその課金を正当化するに足る理屈は未だに何一つ示されていない。間違っているのは、いかなる場合でも「複製=対価」の等式が成立するという文化庁と権利者団体の歪み切った観念の方である。一ユーザー・一消費者・一国民として言わせてもらうが、私的録音録画問題に関する限り、妥協の余地など一切ない。私の見る限りユーザー・消費者からほとんど全くと言って良いほど期待されていないダビング10の拒否などいくらしてもらっても構わないが、そもそも不当だったものについて権利者団体が何かしらの権利を持っていると主張することからして間違っている。そんなことを持ち出すなら、そもそもの諸悪の根源たるB-CASの排除から、検討してもらいたいと思う。このような記事を読む限り、相変わらず、補償金問題に関しては、合理的な話し合いの余地などなさそうである。

 なお、アメリカでも著作権保護促進法が下院を通過したらしいというニュース(IPNextの記事法改正案参照)があったので、アメリカのことなのでどうなるか分からないが、一緒に紹介しておく。また、このようなアメリカの動きについても、何か参考になる点があれば、また別途紹介したいと思う。

 他のネタと一緒にするかも知れないが、恐らく、次回は、この文化庁の私的録音録画小委員会での検討のフォローになるのではないかと思う。

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2008年4月27日 (日)

第88回:ニュージーランドとドイツの知財法改正案

 第84回のついでに、ニュージーランドで著作権法改正案が通ったという話を少しだけ紹介したが、念のため、もう少し詳しく紹介しておこう。また、ドイツでも知財法改正の動きがあるので、これも一緒に紹介する。Zeropaidの記事でも、これらの法改正の動きを一緒に取り上げているので、こちらを読んで頂いても構わない。(ただ、ニュージーランドとドイツの法改正の動きの背景につながりはないように私は思う。)

(1)ニュージーランド
 ニュージーランドの著作権法改正条文現行条文)には以下のようなことが含まれている。(他にも多くのことが含まれているので、本当に詳しいことは原文に当たって頂ければと思う。)

 その新80A条では、プログラムの逆コンパイルを権利制限の対象として付け加えている。独立したプログラムを作るために必要な情報を得る場合は、逆コンパイルは著作権侵害とは見なされないという規定である。逆コンパイルは、日本の著作権法でも厄介な問題だが、プログラム開発におけるその必要性を考えると、日本でもこのような権利制限を明確に設けることを考えても良いだろう。

 また、新81A条では、私的利用目的のための録音を明確に権利制限の対象としている。ただし、借りたものなどではなく、合法に入手した録音物からの複製であって、本人あるいは同じところに住む家族のための複製に限られると、日本より要件は厳密である。複製物は、元の所有者が持っていなければならないといったダメ押しの規定まである。

 新82~83条で、放送などについて、その基準のチェックや責任機関へ文句を言うための複製を権利制限の対象としているのも面白いが、第84条では、放送などのタイムシフトのための私的複製を明確に権利制限の対象としている。ただし、このタイムシフトの規定は、条文上、より便利な時間に見るために必要となる合理的な期間より長く保持している場合は適用されないともされている。

 これらの私的複製規定の充実にもかかわらず、ニュージーランドでは同時に補償金制度が導入されなかったということはもう一度強調しておく。常に「複製=対価」ではあり得ないし、完全に家庭内に閉じる私的複製についてまで、国際的に見て補償が必要とされているなどということも、文化庁が一方的に国民に押しつけようとしているデタラメの一つに過ぎない。

 さらに、このニュージーランドの新著作権法では、インターネットサービスプロバイダー(ISP)の責任とその制限についても規定しており、新92A条では、繰り返し侵害を行う者に対してアカウント停止を行うなどの適切なポリシーをISPは採用しなければならないとしている。

 また、第92B条で、単に侵害者がそのサービスを使ったというだけではISPは責任を問われないとしているが、第92C条で、著作権侵害の存在を知ったときは、すぐにそのデータを削除しない限り責任が出てくるということになる。また、削除するときには、ISPはすぐにユーザーにノーティスを送らなければならないといったことも書かれている。

 権利者からの著作権侵害ノーティスについても、第92CA条で記載要件が定められ、第92C条第2A項でこのノーティスを受け取ったかどうかも含め、裁判所が、ISPが著作権侵害があることを知っていたと考えられるかどうかを判断するということが規定されている。なお、著作権者と偽る行為も第112A条で規制の対象とされている。

 また、第92D条では、ISPによる単なるキャッシングは著作権侵害ではないとしているが、ただし、オリジナルが消されたことなどに気づいてもなおキャッシュを消さなかった場合は著作権侵害となることを定めている。

 読んでもらえれば分かると思うが、これらの規定は、かなりISPに対して厳しい。ISPにおける著作権侵害の判断の実運用は相当難しいのではないかと思われるし、アカウント停止などもこれがインターネットへの完全なアクセス停止を意味するとしたら、決して取られるべき措置ではないだろう。

 また、新226条以下で、技術的保護手段、いわゆるDRM回避規制を定めているが、ここで規制されているのは、DRM回避デバイスの製造・販売・貸与等のみ、DRM回避サービスの提供のみで、当然のことながら、DRM回避デバイスの所持や使用、DRM回避行為そのものは禁止されていない。DRMを回避して行う複製が私的複製でないとしていることもない。DRM回避機器・プログラムの所持や使用、DRM回避行為そのものを規制しようとするのはどう考えてもおかしい話である。

 このニュージーランドの新著作権法は、私的複製を充実させ、DRM回避規制も、その回避デバイスの製造等のみを規制し、私的領域に踏み込まないようにしているなど、全体的に見れば悪いということはないが、ISPに対してだけはかなり厳しいように思う。

(2)ドイツ
 ドイツでは、知財法の改正案が連邦議会を通過し、連邦参議院に送られているようである(tonspionの記事tariftipの記事)。

 ダウンロード違法化を世界に先駆けて行うなど、著作権法の世界で非道の限りを尽くし、社会的混乱を招いていたドイツだが、第80回でも書いたように、この3月11日に、憲法裁判所で、インターネットの通信ログの開示は、殺人やテロ、汚職などの重大な刑事事件において公的機関に認められるだけであるという判決が出されたことを受け、要するに、刑事告訴を通じてユーザーの情報開示をさせるという手が使えなくなったので、今になってISPにIPアドレスから、ユーザー情報を開示させる民事的な手続きを用意せざるを得なくなったようである。

 記事によると、このユーザー情報の開示を決めるのは裁判所で、しかも、開示されるのは、その著作権侵害行為が私的な範囲を超え、商業的なレベルのものであると裁判所が判断した場合に限られるとするようである。

 そして、この裁判所への申請費用は200ユーロとされ、開示を受けた後の最初の著作権侵害警告で要求できる弁護士費用の上限は100ユーロとされるようであり、無料の刑事告訴(要するに税金でまかなわれる)とは異なり、申請・警告の乱発を防ぐためのコストの概念も導入されるようである。

 実際まだ通った訳ではないが、 このような法案から見る限り、ドイツの方針転換は明らかだろう。ドイツのダウンロード違法化も結局、刑事告訴の乱発から社会的混乱を招き、憲法裁判所によってその手続きを否定され、プロバイダー責任制限・コスト付加型の民事的な情報開示手続きを整備せざるを得なくなるという結果に落ち着きつつある。アップロードも含めて行っているP2Pユーザーなど本当のアップロードユーザーに対してはどうだか分からないが、このような法案は、私的範囲に閉じる複製しかしていない単なるダウンロードユーザーに対しては権利行使をするのは間違っているということを認めるに等しいものである。

 このドイツの法案は、来月ドイツ連邦参議院で審議されるようなので、もし成立したら、また詳細を紹介したいと思う。

 最後に、ここ最近の知財政策関係のニュース記事の紹介もしておこう。

 まず、知財本部では、この4月24日に、「デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会」の第1回が開催された(ITproの記事マイコミニュースの記事)。具体的な検討はこれからになるだろうが、その資料を読んでも、デジタル化時代の公正利用のための権利制限の話が多く載っており、ここでの検討は、政府の知財規制緩和にかける意気込みを見る試金石となるだろう。何度も繰り返すが、本当の問題は、既存コンテンツのネットにおける正規流通が進んでいないことにあるのではなく、今の著作権法がネットによって新たに生まれた公正利用の類型に対応できておらず、このような利用まで萎縮させてしまっていることにあるのだ。(その参考資料には、主要各国の権利制限の一覧も示されている。少し元の翻訳資料が古いものも含まれているが、このような一覧を見ただけで、いかに今まで文化庁が権利制限をさぼっていたかが分かるだろう。文化庁は抵抗するかも知れないが、文化庁の検討会でも、この資料を使ってはどうかと思う。)

 また、総務省の違法・有害情報対策検討会では、4月25日に中間取りまとめ案が提示されたようである(internet watchの記事マイコミニュースの記事毎日のネット記事)。携帯コンテンツを審査する第3者機関に国は原則不介入ということを取りまとめには明記するそうだが、この「原則」という文字が、この第3者機関を天下り先にするのは構わないと聞こえるのは私だけだろうか。最終的に、利用者側の選択肢さえ確保されていれば良いのだが、いまいちその方向性は良く分からない。あの奇妙なフィルタリング強要大臣要請そのものの是非も含め、パブコメにかけられたときには、この検討会の取りまとめに関してもいろいろ書くことが出てくるに違いない。

 次回は、審議会システムについて書きたいと思っている。

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2008年4月22日 (火)

第87回:イタリア著作権法の私的録音録画補償金関連規定

 第85回の続きとして、今回は、イタリア著作権法の私的録音録画補償金関連規定の紹介をしたい。

 まず、第85回ではざっと流した、イタリア著作権法の、私的録音録画に関する第71条の6~8を翻訳すると以下のようになる。(翻訳は拙訳。もし誤訳等あれば、是非教えて頂きたい。)

Art. 71-sexies

1. E' consentita la riproduzione privata di fonogrammi e videogrammi su qualsiasi supporto, effettuata da una persona fisica per uso esclusivamente personale, purche senza scopo di lucro e senza fini direttamente o indirettamente commerciali, nel rispetto delle misure tecnologiche di cui all'articolo 102-quater.

2. La riproduzione di cui al comma 1 non puo essere effettuata da terzi. La prestazione di servizi finalizzata a consentire la riproduzione di fonogrammi e videogrammi da parte di persona fisica per uso personale costituisce attivita di riproduzione soggetta alle disposizioni di cui agli articoli 13, 72, 78-bis, 79 e 80.

3. La disposizione di cui al comma 1 non si applica alle opere o ai materiali protetti messi a disposizione dei pubblico in modo che ciascuno possa avervi accesso dal luogo e nel momento scelti individualmente, quando l'opera e protetta dalle misure tecnologiche di cui all'articolo 102-quater ovvero quando l'accesso e consentito sulla base di accordi contrattuali.

4. Fatto salvo quanto disposto dal comma 3, i titolari dei diritti sono tenuti a consentire che, nonostante l'applicazione delle misure tecnologiche di cui all'articolo 102-quater, la persona fisica che abbia acquisito il possesso legittimo di esemplari dell'opera o del materiale protetto, ovvero vi abbia avuto accesso legittimo, possa effettuare una copia privata, anche solo analogica, per uso personale, a condizione che tale possibilita non sia in contrasto con lo sfruttamento normale dell'opera o degli altri materiali e non arrechi ingiustificato pregiudizio ai titolari dei diritti.

Art. 71-septies

1. Gli autori ed i produttori di fonogrammi, nonche i produttori originari di opere audiovisive, gli artisti interpreti ed esecutori ed i produttori di videogrammi, e i loro aventi causa, hanno diritto ad un compenso per la riproduzione privata di fonogrammi e di videogrammi di cui all'articolo 71-sexies. Detto compenso e costituito, per gli apparecchi esclusivamente destinati alla registrazione analogica o digitale di fonogrammi o videogrammi, da una quota del prezzo pagato dall'acquirente finale al rivenditore, che per gli apparecchi polifunzionali e calcolata sul prezzo di un apparecchio avente caratteristiche equivalenti a quelle della componente interna destinata alla registrazione, ovvero, qualora cio non fosse possibile, da un importo fisso per apparecchio. Per i supporti di registrazione audio e video, quali supporti analogici, supporti digitali, memorie fisse o trasferibili destinate alla registrazione di fonogrammi o videogrammi, il compenso e costituito da una somma commisurata alla capacita di registrazione resa dai medesimi supporti.

2. Il compenso di cui al comma 1 e determinato con decreto del Ministro per i beni e le attivita culturali, sentito il comitato di cui all'articolo 190 e le associazioni di categoria maggiormente rappresentative dei produttori degli apparecchi e dei supporti di cui al comma 1. Per la determinazione del compenso si tiene conto dell'apposizione o meno delle misure tecnologiche di cui all'articolo 102-quater, nonche della diversa incidenza della copia digitale rispetto alla copia analogica. Il decreto e sottoposto ad aggiornamento triennale.

3. Il compenso e dovuto da chi fabbrica o importa nel territorio dello Stato allo scopo di trarne profitto gli apparecchi e i supporti indicati nel comma 1. I predetti soggetti devono presentare alla Societa italiana degli autori ed editori (SIAE), ogni tre mesi, una dichiarazione dalla quale risultino le cessioni effettuate e i compensi dovuti, che devono essere contestualmente corrisposti. In caso di mancata corresponsione del compenso, e responsabile in solido per il pagamento il distributore degli apparecchi o dei supporti di registrazione.

4. La violazione degli obblighi di cui al comma 3 e punita con la sanzione amministrativa pecuniaria pari al doppio del compenso dovuto, nonche, nei casi piu gravi o di recidiva, con la sospensione della licenza o autorizzazione all'esercizio dell'attivita commerciale o industriale da quindici giorni a tre mesi ovvero con la revoca della licenza o autorizzazione stessa.

Art. 71-octies

1. Il compenso di cui all'articolo 71-septies per apparecchi e supporti di registrazione audio e corrisposto alla Societa italiana degli autori ed editori (S.I.A.E.), la quale provvede a ripartirlo al netto delle spese, per il cinquanta per cento agli autori e loro aventi causa e per il cinquanta per cento ai produttori di fonogrammi, anche tramite le loro associazioni di categoria maggiormente rappresentative.

2. 1 produttori di fonogrammi devono corrispondere senza ritardo, e comunque entro sei mesi, il cinquanta per cento del compenso loro attribuito ai sensi del comma 1 agli artisti interpreti o esecutori interessati.

3. Il compenso di cui all'articolo 71-septies per gli apparecchi e i supporti di registrazione video e corrisposto alla Societa italiana degli autori ed editori (S.I.A.E.), la quale provvede a ripartirlo al netto delle spese, anche tramite le loro associazioni di categoria maggiormente rappresentative, per il trenta per cento agli autori, per il restante settanta per cento in parti uguali tra i produttori originari di opere audiovisive, i produttori di videogrammi e gli artisti interpreti o esecutori. La quota spettante agli artisti interpreti o esecutori e destinata per il cinquanta per cento alle attivita e finalita di cui all'articolo 7, corna 2, della legge 5 febbraio 1992, n. 93.

第71条の6

第1項 非営利で、間接的にも直接的にも非商用である場合であって、個人的な目的のために限り、第102条の4に規定されている技術的手段を尊重する形で、自然人によってなされる媒体への録音録画の私的な複製は許される。(訳注:第102条の4は技術的保護手段(DRM)を規定している。)

第2項 第1項に規定されている複製は第3者によってなされてはならない。私的利用のための自然人の録音録画を可能とするサービスをすることは、第13条、第72条、第78条の2、第79条と第80条の規定に従う複製行為についてのみ認められる。(訳注:第13条他は、著作権者・著作隣接権者に許諾権があることを定めている。)

第3項 作品が第102条の4に規定されている技術的手段によって守られ、あるいはアクセスが契約に基づいてなされ、かつ、個々に選ばれる時と場所で誰でもアクセス可能な形で公衆に入手可能とされている、作品あるいは保護を受ける物には、第1項の規定は適用されない。

第4項 作品あるいは保護を受ける物の通常の利用を害さず、権利者の正当な利益を害さない場合に限り、第3項の規定にかかわらず、第102条の4に規定されている技術的手段を適用した場合であっても、作品あるいは保護を受ける物の複製物を合法に入手した、あるいは、合法にアクセスした自然人には、アナログのみにせよ、私的利用のための私的複製ができることを、権利者は認めなければならない。

第71条の7

第1項 作者と録音の製作者、オーディオビジュアル作品の原製作者、実演家、録画の製作者、とその権利承継者は、第171条の6に規定されている録音録画の私的複製に対して補償を受ける権利を有する。この補償金は、アナログあるいはデジタルの録音録画のみを目的とする機器に対しては、その最終小売価格の一部とされ、マルチファンクション機器に対しては、その内部の録音録画に使用されるコンポーネントと等しい性質を持つ機器の価格によって、あるいは、それが不可能な場合には、機器の定価に基づいて計算される。アナログ媒体、デジタル媒体、録音録画に使用される固定あるいは携帯メモリーのような、録音録画媒体に対しては、媒体の記憶容量と比例する額とされる

第2項 第1項に規定されている補償金は、第190条に規定されている委員会と、第1項に規定されいている機器と媒体のメーカーの大多数代表する団体の意見を聞き、文化財産・文化活動大臣令によって定められる。補償金の決定に対しては、第102条の4に規定されている技術的手段を付加しているかいないかということ、及び、アナログコピーと比較したときのデジタルコピーの様々な影響が考慮される。

第3項 補償金は、第1項に指定される機器及び媒体によって利益を上げる目的で、国内で生産、または国内へ輸入する者によって支払われる。このことについて、3ヶ月毎に、イタリア著作権者編集者協会(SIAE)に、支払われるべき補償金と実施される譲渡に関する報告がなされ、これと同時に支払いがなされなくてはならない。補償金の支払いができなかった場合は、記録媒体あるいは機器の販売者も、その支払いに連帯責任を負う。

第4項 第3項に規定されている義務の違反は、課される補償金を倍にするという行政罰によって罰され、より重大な、再犯などのケースに対しては、商業あるいは工業活動の実行のためのライセンスあるいは許可を15日から3ヶ月の間停止するか、このライセンスあるいは許可を取り消すことによって罰される。

第71条の8

第1項 第71条の7に規定されている、録音機器と媒体のための補償金は、イタリア著作権者編集者協会(SIAE)に払われ、SIAEは、50%を著作権者とその権利承継者に、50%を録音の製作者に、その大多数を代表する団体を介するなどして分配する。

第2項 録音の製作者は、遅滞なく、いずれにせよ6ヶ月以内に、第1項であてがわれるその補償金の50%を、関係する実演家に渡さなくてはならない。

第3項 第71項の7に規定されている、録画機器と媒体のための補償金は、イタリア著作権者編集者協会(SIAE)に渡され、SIAEは、そのカテゴリーの大多数を代表する団体を介するなどして、その30%を権利者に、残りの70%を等分にして、オーディオビジュアル作品の原製作者、録音の製作者と実演家に分配する。実演家への分配分は、1992年第93号法の第7条第2項に規定されている活動と目的のためにその55%があてられる。

 イタリアにおいて、第71条の6第3項で、インターネット上でDRMや契約がある場合は、基本的に私的録音録画の権利制限の対象外としながらも、さらに第4項で、このような場合でも、著作物の通常の利用を害さず、権利者の正当な利益を害さない場合には、私的録音録画ができることを権利者は認めなくてはならないとしていることは注目に値する。第85回でもイタリアの著作権法では私的複製が強行規定に近い形で書かれていると少し述べたが、このように私的録音録画についても同じように強行規定に近い書き方がされているのは日本でも参考にされて良い。合法ダウンロードにせよ何にせよとにかく除外して私的複製の範囲を狭めればそれでOKということはないのだ。

 補償金についても、イタリアは、私的録音録画のみ、専用機器・媒体のみを対象とするなど、ヨーロッパの中ではおとなしい国に属する。SIAEの私的録音録画に関するページ(英語版イタリア語)やdritto d'autore.itの私的録音録画に関するFAQなどに料率の話が出ているが、専用媒体は容量に応じた額、専用機器は定率(3%)とバラバラであり、この料率も、導入当時(恐らく1993年)のヨーロッパの平均から決めたとのことであり、何ら客観的な基準では決まっていないことが分かる。(この料率などは、2003年第63号法で決まっているものが今も適用されているのではないかと思われる。)

 第71条の7の第2項で、補償金額の決定に当たっては、DRMを考慮することなどとされているが、全ての専用録音録画機器に対して3%という料率が課されていることを考えると、このような漠然とした規定は、イタリアでも、ほとんど何の役にも立っていないのだろう。

 上のSIAEの解説ページにも書かれているが、イタリアでは、法律には書かれているものの、メモリーに関しては補償金の運用が凍結され、事実上補償金徴収の対象外となっていることも指摘しておこう。経緯はよく分からないが、メモリーにまで補償金を課すことには、大きな反発を受けたのだろう。どこの国であれ、私的録音録画補償金制度は、その客観性・納得性の無さから言って、ユーザー・消費者・メーカーから反発を受けていないはずがないのだ。

 最後に念のため、第85回で書いた通り、明確なダウンロード違法化はイタリアではなされておらず、検討されている様子もなく、かえって、P2Pを多少合法化するような法改正がイタリアでなされているということももう一度繰り返しておく。文化庁はまた自分たちに都合の悪いことを全て隠してくることだろうが、イタリアの著作権法には、他の国で見られない規定が多く含まれており、日本でも参考にすべきところはあるものと私は考えている。

 なお、知財本部で、デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会の第1回が4月24日に開催されるという案内が出ているので、念のためにリンクを張っておく。ここでの検討がどうなるのかはまだ分からないが、この検討会が今年の政府の知財規制緩和にかける意気込みの試金石となることだろう。

 次回は、まとめられれば、番外として、地上放送のデジタル移行そのものの経緯について書いてみたいと思っている。

(4月22日夜の追記:この点だけ取り出してどうこう言うことは間違っているが、別に隠すつもりもないので、念のため追記しておくと、イタリアも、料率などの点でおとなしいとは言えヨーロッパの一国であり、アメリカなどに比べれば当然補償金の対象は広く、アナログオーディオテープやビデオテープなどのアナログ専用録音録画媒体・機器にも課金されている。メモリーに対しては課金を凍結しているが、MP3プレーヤーは専用機器として一律3%の課金がされているようである。対象機器などについては、上のSIAEのサイトなどより、オランダの補償金管理協会(Stichting de Thuiskopie)が出している私的録音録画補償金国際調査(英語)の方が分かりやすいかも知れない(イタリアは第36~37ページ)。今のところ補償金制度見直しの話を聞かないが、専用と汎用の区別が曖昧になる中、汎用機器・媒体へのさらなる拡大の話が出れば、イタリアでもユーザー・消費者・メーカーから大反発を受けるのは必至だろう。私的録音録画補償金に関する限り、どこの国を見ても客観性・納得性は全くない。日本で、専用機器・媒体であってかつ機器と媒体が分離しているもののみを補償金の対象としていることは、補償金制度の無制限な拡大を防ぐ重要なセーフハーバーになっているのであり、ユーザー・消費者にとって、この仕切りは容易に動かされてはならないものである。)

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2008年4月15日 (火)

第85回:イタリア著作権法の私的複製関連規定

 文化庁で、「ヨーロッパにおける著作権侵害対策ハンドブック(イタリア共和国編)」がまとめられたというニュース(本文Markezineの記事)があったので、この機会に、2003年の改正と、この2008年1月の改正によって拡充されているものも含めて、現行のイタリアの権利制限規定について、ここでその簡単な紹介をしておきたいと思う。

 イタリア著作権法の現行条文イタリア著作者出版者協会が提供しているpdf版)でも、第65条の時事ニュースの利用、第66条の政治・行政上の演説の利用、第67条の立法・司法・行政手続における著作物の利用、第68条の基本的な私的複製や図書館での複写、第69条の文化振興・研究目的での資料の貸与、第70条の引用など、第71条の軍楽隊での利用の権利制限などについては、2001年改正当時とあまり違いはなく、著作権情報センターで見られる当時の翻訳をご覧頂ければと思う。

 これらに加えて、第56回で少し紹介したことだが、この1月に次のような重要な改正がされたことは特に注目に値するので、ここにもその訳文を再掲する。このような権利制限によって、教育研究目的で劣化版との限定はかかるものの、イタリアでのネットワークを通じた著作物の利用の自由度はかなり上がることだろう。

70. 1-bis E'consentita la libera pubblicazione attraverso la rete internet, a titolo gratuito, di immagini e musiche a bassa risoluzione o degradate, per uso didattico o scientifico e solo nel caso in cui tale utilizzo non sia a scopo di lucro. Con decreto del Ministro per i beni e le attivita culturali, sentiti il Ministro della pubblica istruzione e il Ministro dell'universita e della ricerca, previo parere delle Comissioni parlamentari competenti, sono definiti i limiti all'uso didattico di cui al presente comma.

第70条第1の2項 そして、その利用が営利のためになされるものでない場合に限り、研究あるいは教育のために、解像度を下げられた、あるいは質を下げた、画像と音楽は、無償で、インターネット網で自由に公開することが認められる。この項に記載された教育目的の利用は、公教育大臣と高等教育大臣の意見を聞き、あらかじめ国会の管轄委員会の意見を受けてから、文化活動・文化財大臣の命令によって定められ、制限される。

(イタリアでは、この部分の詳細を定めるための大臣令について、かなり開明的な提案が法学者からなされていることは、第70回のついでに少し書いたが、この大臣令についてまた分かったことがあれば書きたいと思う。)

 さらに、2003年の改正で追加された、第71条の2~10についても概略を紹介して行くと、まず、第72条の2で障害者の私的利用のための複製に関する権利制限が拡充されており、このような拡充が、前回に少し紹介したように、視聴覚障害者のために著作物の大規模なデジタル化を可能とする大臣令につながっているものと思われる。

 第71条の3では、研究目的で、図書館や博物館におかれる端末で、そのコレクションを利用するための権利制限が、第71条の4では、公共の病院や刑務所でなされる放送のための複製に関する権利制限が規定されている。

 また、第71条の5では、公安あるいは立法・司法・行政の正しい手続きのために、権利者はDRM解除をしなければならないこととされている。さらには、第71条の5の第2項では、権利者は、受益者の求めに応じて、私的複製などの各種権利制限の実行を可能とするために、権利者に、受益者代表団体との取り決めの締結も含め、適切な解決策を取らなければならないともされている。私的複製も含め、権利制限についてこのような強行規定に近い条項が含まれていることは、注目に値するだろう。

 第71条の6から8にかけて、私的録音録画とDRMの関係と、私的録音録画補償金とが規定されている。これらは少しややこしいのでまた回を分けて、別途翻訳つきで紹介したいと思うが、基本的には、第71条の6で、第3者の手によってなされる場合を除き、私的録音録画が認められるとした上で、第71条の7~8で、権利者にこの私的録音録画に対する補償金請求権が認められることと、イタリア著作者出版者教会がその徴収と分配に当たることが規定されている。

 最後に、第71条の9で、著作物の通常の利用を害さず、著作者の正当な利益を害しないことという、お決まりの逆制限がかかっている。文化庁はこのようなベルヌ条約のスリーステップテストをそのまま書いた逆制限を必ずダウンロード違法化と結びつけるが、このような逆制限と明確なダウンロード違法化とは直接結びつくものではない。イタリアでも、明確なダウンロード違法化はなされていないし、ダウンロード違法化が検討されるという話も聞こえて来ない

 権利制限について海賊版対策マニュアルに事細かに書く必要は全くないはずだが、このような地道なマニュアル作りにおいてすら、権利制限に否定的な見解ばかりを載せ、ヨーロッパのほとんどの国で著作権侵害罪が非親告罪であることなどを強調しながら、その見解の主語をわざと曖昧にして印象操作を行うなど、文化庁のバランス感覚の欠如は本当に救いがたいものがある。(第17ページで、著作権を著作者の創作行為から生じる絶対的な権利であると理解するようになると何の根拠もなく断定していたり、第28ページで、判例がどのレベルでどのような内容であるかについて触れずに、補償金制度に関する憲法上の疑義を否定した判例があることや、イタリアではパロディの権利制限がないことをわざわざ強調してみたりするなど、突っ込みどころは満載だが、いちいち突っ込んで行くことはバカバカしいし、意味もないのでしない。)

 文化庁が、今後の私的録音録画小委員会や、法制問題小委員会(次回は4月24日に開催されると案内が出ているが、そこでも私的複製を議論するらしい。)で、国際動向についてロクでもないことを言ってくることは目に見えているが、イタリアの最近の法改正だけを見ても、ヨーロッパでも知財の保護強化だけをやっている訳ではないことは明らかだと今一度繰り返しておく。インターネットで少し検索すれば誰でも分かることでごまかされる国民などもはやいないのだ。

 また、フランスでは、第61回で書いたように、案の定iPhoneに補償金が賦課されることが決定され、5月1日から徴収されることとなったようだ(Nouvel Obs.comの記事参照)が、第63回で紹介したように、EUレベルでも今年、私的複製補償金問題の検討をするとしており、第45回でも少し紹介したように、フランスでも小売業界や消費者団体から行政裁判所に訴訟が提起されている(PCINPACTの記事参照)ことに加え、さらにフランソワ・フィロン首相がエリック・ベッソンデジタル経済大臣への書簡で、「私的複製補償金に関する決定様式は、これを客観的で透明な手続きとするために調査されるに値する。この分野における提案をあなたがこの秋までにすることを私は求める。」と述べる(Numeramaの記事PCINPACTの記事参照。裏を返せば、この手紙は、今の決定様式は透明でも客観的でもないということを暗に言っているに等しい。)など、フランスでも補償金問題の収束の気配は全くない。また、フランスの著作権検閲型の違法コピー対策についてもさらにややこしいことになっており(numeramaの記事参照)、今後どうなるかはさっぱり読めないが、第83回でも取り上げた、EU議会によるフランスの違法コピー対策の否定決議のことを考えても、どこかで止まるのではないかと私は考えている。

 特許関係の政策ネタについても、機会があれば、まとめてどこかで書きたいと思っているが、特許法の改正が参議院で通ったというニュース(時事通信のネット記事)があったので、念のため、これもリンクを張っておこう。

 次回は、少しまたB-CASの話を書いてみたいと思っている。

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2008年4月11日 (金)

第84回:ベルギー著作権法の私的複製補償金関連規定

 かなり途中が空いてしまったが、今回は、第69回の続きとして、ベルギーの私的複製補償金関係の規定を紹介する。

 まず、ベルギー著作権法の私的複製補償金関連部分の規定を以下に訳す(翻訳は拙訳。私的複製関連規定そのものについては、第69回をご覧頂きたい)。

CHAPITRE IV. - (De la copie privee d'oeuvres et de prestations.)

Art. 55. Les auteurs, les artistes-interpretes ou executants et les producteurs de phonogrammes et d'oeuvres audiovisuelles ont droit a une remuneration pour la reproduction privee de leurs oeuvres et prestations, y compris dans les cas fixes aux articles 22, § 1er, 5, et 46, alinea 1er, 4, de la presente loi.
La remuneration est versee par le fabricant, l'importateur ou l'acquereur intracommunautaire de supports utilisables pour la reproduction d'oeuvres sonores et audiovisuelles ou d'appareils permettant cette reproduction lors de la mise en circulation sur le territoire national de ces supports et de ces appareils.
Le Roi fixe les modalites de perception, de repartition et de controle de la remuneration ainsi que le moment ou celle-ci est due.
Sous reserve des conventions internationales, la remuneration est repartie conformement a l'article 58, par les societes de gestion des droits, entre les auteurs, les artistes-interpretes et les producteurs.
Selon les conditions et les modalites qu'Il fixe, le Roi charge une societe representative de l'ensemble des societes de gestion des droits d'assurer la perception et la repartition de la remuneration.
Lorsqu'un auteur ou un artiste-interprete ou executant a cede son droit a remuneration pour copie privee sonore ou audiovisuelle, il conserve le droit d'obtenir une remuneration equitable au titre de la copie privee.
Ce droit d'obtenir une remuneration equitable ne peut faire l'objet d'une renonciation de la part des auteurs ou artistes-interpretes ou executants.
Le droit a remuneration vise a l'alinea 1er ne peut beneficier des presomptions visees aux articles 18 et 36.

Art. 56. La remuneration visee a l'article 55 est fixee par arrete royal delibere en Conseil des ministres et est calculee en fonction du prix de vente pratique par le fabricant, l'acheteur intra-communautaire ou l'importateur des appareils permettant la reproduction des oeuvres protegees et, le cas echeant, en fonction du prix des supports.
En l'absence d'un tel arrete, la remuneration est fixee a :
- 3 pour cent sur le prix de vente fixe au premier alinea pour les appareils permettant la reproduction des oeuvres protegees;
- 2 francs l'heure, sur les supports analogiques;
- 5 francs l'heure, sur les supports numeriques.

Art. 57. La remuneration visee a l'article 55 est remboursee selon les modalites fixees par le Roi :
1°aux producteurs d'oeuvres sonores et audiovisuelles;
2°aux organismes de radiodiffusion;
3°aux institutions reconnues officiellement et subventionnees par les pouvoirs publics aux fins de conserver les documents sonores ou audiovisuels;
4°aux aveugles, aux malvoyants, aux sourds et aux malentendants, ainsi qu'aux institutions reconnues, creees a l'intention de ces personnes;
5°aux etablissements d'enseignement reconnus, qui utilisent des documents sonores et audiovisuels a des fins didactiques ou scientifiques.
6°aux etablissements hospitaliers, penitentiaires et d'aide a la jeunesse reconnus.
Le remboursement n'est accorde que pour les supports destines a la conservation des documents sonores et audiovisuels et a leur consultation sur place.
En outre, apres avis de la commission des milieux interesses, le Roi peut determiner par arrete royal delibere en Conseil des Ministres, les categories de personnes, physiques ou morales :
1°soit qui beneficient d'un remboursement total ou partiel de la remuneration percue et repercutee sur les d'ordinateurs qu'elles ont acquis;
2°soit pour lesquelles les redevables de la remuneration vises a l'article 55 sont exoneres ou rembourses totalement ou partiellement de celle-ci pour les ordinateurs acquis par ces personnes.
Le remboursement ou l'exoneration de la remuneration, vises a l'alinea precedent doivent etre dument motives :
1°soit par la necessite de garantir, sans porter atteinte a la creation, l'acces le plus egal pour chacun aux nouvelles technologies de l'information et de la communication, des lors que la remuneration en question constituerait un obstacle a cet acces;
2°soit par la necessite de garantir l'acquisition d'ordinateurs par des personnes qui ne consacrent manifestement pas ce materiel aux reproductions visees a l'article 55.
Le Roi determine les conditions du remboursement ou de l'exoneration.

Art. 58. § 1. La remuneration visee a l'article 55 est attribuee, a raison d'un tiers, a chacune des categories suivantes :
- les auteurs;
- les artistes-interpretes ou executants;
- les producteurs de phonogrammes et d'oeuvres audiovisuelles.
§ 2. Les Communautes et l'Etat federal peuvent decider d'affecter trente pour cent du produit de la remuneration dont question au paragraphe precedent a la promotion de la creation d'oeuvres, par accord de cooperation en application de l'article 92bis, § 1er, de la loi speciale du 8 aout 1980 de reformes institutionnelles.

第4章 (作品と実演の私的複製について)

第55条 作者、実演家と録音録画物の製作者は、第22条第5項と第46条第4項に含まれる作品と実演の私的複製に対する補償金請求権を有する。
 補償金は、そのような媒体と機器を国内で流通させたときにこの複製ができる機器あるいは録音録画媒体のメーカー、輸入者あるいは仲介入手者によって支払われる。
 国王が、この補償金の徴収、分配、管理、並びに、これがいつから課されるかの形を定める。
 国際条約の留保の下、補償金は、第58条に一致する形で、著作権管理団体によって、作者、翻案家と製作者に分配される。
 定めた条件と形に従い、国王は、補償金の徴収と分配を著作権管理団体の集まりに委ねる。
 作者あるいは実演家は、私的な録音録画に対する補償金請求権を譲ったとしても、私的複製の名のもとに得られる補償と等価の補償を得る権利を保つ。
 この等価の補償を得る権利は、作者あるいは実演家の放棄の対象とはならない。
 第1段落の補償金請求権は、第18条と第36条に規定されている推定の利益を受けない。(訳注:第18条と第36条は作者や実演家が、それに反する取り決めがない限り、サブタイトルを付けたり再版をするためなどの独占利用権を製作者に譲るという規定。)

第56条 第55条に規定されている補償金は、閣議で討議される国王令によって定められ、メーカー、仲介販売者、あるいは、輸入者の設定する、保護を受ける作品の複製ができる機器の販売価格、、うまくいかない場合は、媒体の販売価格に従って計算される。
 このような王令が存在しない場合、補償金は以下の額となる:
-保護を受ける作品の複製ができる機器に対しては、前段で決まる販売価格の3%;
-アナログ媒体については時間あたり2フラン;
-デジタル媒体については時間あたり5フラン。

第57条 第55条の補償金は、国王の定める形により、以下の者に返還される:
1°録音録画物の製作者;
2°放送局;
3°公権力によって録音録画物を保存する義務を課されているよく知られた公的機関;
4°視聴覚障害者、並びに、これらの者の意思の下に作られたよく知られた機関;
5°教育研究目的のために録音録画物を使用する、よく知られた教育機関;
6°病院、監獄、よく知られた青少年援助機関。
 返還は、録音録画物の保存に使われた媒体とその場での援助の場合のみに認められる。
 さらに、関係者委員会の意見に従い、国王は、閣議で討議される国王令によって、以下のような自然人あるいは法人のカテゴリーを決めることができる:
1°入手したコンピュータに対して反映され、徴収された補償金の部分的あるいは全体的返還を受けられる者;
2°あるいは、第55項に規定されている補償金の義務を負った者であって、これらの者が入手したコンピュータに対する補償金を、部分的あるいは全体的に返還あるいは免除される者;
 前段落に規定されている、補償金の返還あるいは免除は、次のような正当な理由がなくてはならない:
1°問題の補償金が、情報通信に関する新技術への各々の完全に平等なアクセスを阻害する場合であって、創造性を害することなく、このアクセスを保障しなくてはならない場合;
2°あるいは、第55条に規定されている複製にこの物を明らかに使わない者に対してコンピュータの入手を保障しなければならない場合。

第58条 第1項 第55条に規定されている補償金は、第3者を考慮して、次のカテゴリーの各者に分配される:
-作者;
-実演家;
-録音録画物の製作者。

第2項 各市と連邦政府は、前段落の問題の補償金の全体額の30%を、1980年の制度改正特別法の第92条の2の適用と一致する形で、作品創造のプロモーションに当てることを決められる。

 これ以下の第5章で同じように描画媒体に関する補償金の規定が規定されており、コピー機などにも補償金を課しているなど、ベルギーは相当タチの悪い国に分類されるのだが、上で訳した部分を読んだだけでも、ベルギーでは、メーカーから補償金を徴収しているが、補償金の返還や免除も同時に存在していることが分かる。メーカーが補償金の負担者となっているヨーロッパでは、返還制度が存在していないので無問題などというのは、文化庁の脳内妄想以外の何物でもないのである。(この点はフランスも同じである。フランスではメーカーが補償金の負担者とされながら、返還制度が存在していることは、第21回の文化庁パブコメでも指摘した。フランスの補償金制度そのものに関しては、第16回参照。)

 ベルギーは、フランスより詳細に様々な返還条件を定めているが、さらに、第56条で、補償金の事実上の上限を定めていることも注目に値する。このような補償金の上限規定は、権利者団体の際限のない要求を抑止するためのセーフハーバーとして極めて重要である。

 天下りによる不透明な関係で権利者団体と完全に癒着した文化庁の報告など、もはや私は全く信じない。今後も、文化庁は自らの天下り利権確保のために、その歪み切った脳内妄想を国民に押しつけようとして来ることだろうが、このインターネット時代に、そんなごまかしは全く通用しない。私的録音録画問題は、そんなごまかしでどうにかなるような生やさしい問題ではないのである。(前回、スウェーデンで、フランス型の違法コピー対策が政府に否定されたらしいという話を紹介したが、ダウンロード違法化がされた国でこんなことが問題になる訳がない。スウェーデンやフィンランドがダウンロード違法化をしたということも、極めて怪しいと私はにらんでいる。)

 ついでに、参考のため、納得感のあるものではないが、上で規定されているところの国王令の一例として、デジタル録音録画媒体・機器に対する課金を決めたとおぼしき1996年の国王令(フランス語)へリンクを張っておく。

 最後に、ニュージーランドで著作権改正法案が通ったというニュース(Scoopの記事1記事2stuff.co.nzの記事ニュージーランド国会のHP改正条文現行条文)もあったので一緒に紹介しておく。教育目的や図書館のデジタルアーカイブに対する権利制限の拡充、ノーティスアンドテイクダウン手続きやDRM回避機器規制の導入など盛りだくさんの内容であるが、この改正によって、ニュージーランドでは、フォーマットシフトとタイムシフトが明確に認められるようになった(第81条と第84条)が、私的録音録画補償金制度は導入されていない。私的複製と補償金制度が必ずセットになるとするのも、文化庁のデタラメな脳内妄想の一つに他ならないのだ。(このニュージーランドの著作権法改正については、他にも参考になることがあれば、もっと詳しい紹介を別途したいと思う。)

 また、イタリアでは、視聴覚障害者のために著作物の大規模なデジタル化を可能とする大臣令を出したという記事(Punto-Indformaticoの記事(イタリア語))があったので、念のため、これも紹介しておこう。ヨーロッパでも、別に知財の保護強化だけを行っている訳ではないのだ。

 次回は、来週になると思うが、また他の国の著作権法の紹介をしたいと思っている。

(追記:児童ポルノ法の規制強化について単純所持規制導入に目的をしぼり、プロジェクトチームを与党(自公)で立ち上げるようだ(日経のネット記事毎日のネット記事)が、第70回第75回で書いたように、ダウンロード違法化問題と同じく、情報の所持は完全に個人的な行為のため、どんな要件を加えたところで、その要件はエスパーでもない限り証明も反証も不可能である。情報の単純所持規制の危険性は回避不能であり、絶対に導入されてはならない。児童ポルノ法の規制強化に関する動きも、さらに危険度が高まっていこそすれ、全く気が抜ける状態にはない。私も出すつもりであるが、この問題についても引き続き、与野党・議員へ意見を送ることを私は強く勧める。ただ、念のため繰り返しておくが、問題となるような画像を同封したり、添付したりはしないように。)

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2008年4月 2日 (水)

第80回:主要各国の違法コピー対策のまとめ

 今週の木曜、4月3日に、私的録音録画小委員会の今年度の第1回が開催される。議題に「私的録音録画に関する海外の動向について」という項目があるが、今までの文化庁のセオリーだと、恐らく各国の違法コピー対策として権利者団体に都合の良い情報だけを垂れ流すだろうと思われるので、他の情報も含めてここに私なりの違法コピー対策に関する国際動向のまとめをしておきたいと思う。

(1)ダウンロードを明確に違法化した国
 私の確認できた限りで、ダウンロードを明確に違法化した国はドイツしかない第13回参照)。

(文化庁の前年度の私的録音録画小委員会の中間整理では、スペインもダウンロードの違法化を行っているかのような書き方がされていたが、今私に確認できているスペイン著作権法の条文では、その31条で集団的あるいは営利の利用でなければ私的複製が可能であるとされ、第40条の2で著作者の正当な利益を害さず、著作物の通常の利用も害しない場合に限ると限定されているというものであり、第16回で取り上げたフランスと同じく、ダウンロードを明確に違法化しているとは言い難い。これなら、第28回のおまけに書いたように、スペインのインターネット警察のボスが無料のダウンロードは犯罪ではないと言ったのも無理はない。各国著作権法紹介は途中でいろいろ挟まったために、ベルギーの途中で止まっているが、さらに詳しく調べた上で、スペイン、イタリアなどの私的複製規定の紹介も順次きちんとやりたいと思っている。とにかく文化庁の報告する国際動向は全く信用ならないので、同じくダウンロード違法化をしたと書かれているスウェーデンやフィンランドも怪しい。言語的なハードルは高いが、これらの国についても実際の条文を見てみなくてはならないだろう。)

 しかし、ドイツにしても、この2008年1月からこのダウンロード違法化の実運用が始まっている訳だが、この違法化によって何か実効性があがったという話は全く聞かない。かえって、この3月11日にドイツの憲法裁判所で、インターネットの通信ログの開示は、殺人やテロ、汚職などの重大な刑事事件において公的機関に認められるだけであるという判決が出された以上、もはやドイツにおいてこのダウンロード違法化条文の実効性はあがりようはないだろう。(以前、「P2Pとかその辺のお話」の記事へリンクを張ったが、参考に、さらに、ドイツ語のheise onlineの記事、ドイツの憲法裁判所のプレスリリース判決文へのリンクもここに張っておく。)

 今後、ドイツのダウンロード違法化の実運用が本当にどこへ向かうのかはまだよく分からないが、この憲法裁判所の判決を受けて、第13回第56回のついでに少し紹介したように、権利者団体の訴えが裁判所あるいは刑事当局によって落とされるという動きが加速するのではないかというのが私の読みである。(万単位で刑事告訴がなされているという事態は異常としか言いようがない。)

(2)著作権検閲機関を創設することによって、ダウンロードユーザーのアクセス禁止を法制化しようとしている国
 この著作権検閲機関型の違法コピー対策も、本気で導入しようと取り組んでいる国はフランスしかない第29回第30回参照)。

 私自身は、この対策も法律とすること自体難しく、本当に著作権検閲機関ができたとしても実運用は不可能ではないかと思っているが、このフランスの違法コピー対策については、第60回で取り上げたように、イギリスやオーストラリアくらいは興味を示している。ただ、イギリスについては、フランスほど案が具体的になっている様子はなく、オーストラリアに至っては、大臣が興味があるという発言をしただけで、その後の話を聞かない。(なお、オーストラリアの記事については「P2Pとかその辺のお話」で紹介されているので、興味のある方はリンク先をご覧頂きたい。)

(3)その他
 その他の国々については、無論ファイル共有サイトや有体複製物の販売などに対する取り締まりはされているが、特段目立った政策的な動きはない。恐らく、ヨーロッパを中心として、ほとんどの国は、このドイツのダウンロード違法化と、フランスの著作権検閲機関型の違法コピー対策導入の取り組みの様子を見ているところなのではないかと私は思う。

(ついでに紹介しておくと、導入されることはまずもってないと思うが、アメリカでは、音楽税が話題になっている(TechCrunchの記事1記事2参照)。以前少し話題になって叩かれ、そのまま1年以上放置されていた音楽税の話(TechCrnchの記事3参照)を、いまさら持ち出す時点で、アメリカの音楽会社のセンスを疑うが、これは要するにインターネット補償金であり、このような著作権補償金の最大の問題点は、常に「税」として要求される点である。どこまで著作物が自由に使えるのかを不明確にしたまま、選択の余地なくユーザーに税方式の補償金が押しつけられるというのでは、全くお話にならない。ただ、著作物の自由利用の範囲を明示した上で、ユーザーへオプションとして提供されるビジネス的な補償金の可能性は常にない訳ではない。流通コントロールによる非競争ビジネスのみを是としてきた著作権業界から、積極的にそのような提案がなされることはないだろうが。)

 フランスのtemps reelsの記事にうまくまとめられているが、違法コピーに対するヨーロッパの主要判決としては、上であげた3月11日のドイツの憲法裁判所の判決の他、P2Pユーザーの個人情報のインターネットサービスプロバイダーから著作権団体に対する情報開示は認められないという2008年1月のEU裁判所の判決ITmediaの記事EurActivの記事参照)あり、誰がファイル共有サービスを使っているかを確かめるため、IPアドレスやサービスにおけるユーザー名などを民間団体が収集することは違法だとする、イタリアのプライバシー保護機関の3月13日の決定もある(イタリア語のPunto Informaticoの記事参照)。

 さらに、イタリアでは、2007年1月に営利目的でないダウンロードを合法とする最高裁判決が出されたIBTimesの記事後、第56回のついでに紹介したように、非営利の場合に限り、研究・教育を目的として、音質を下げた音楽データをインターネットに無償で自由に公開して良いとするような法改正もなされている

 今回は、大体今まで取り上げてきたことをまとめただけのエントリではあるが、こうしてみると、知財保護強化に傾きがちのヨーロッパを中心に見たとしても、もはや知財保護強化だけが国際動向だなどと言える状況にはなく、行きすぎた著作権保護に対する逆風が世界的に吹き始めているのは間違いないだろう。守られるべき基本的権利は知財権・著作権のみではないのだ。

 とにかく日本での検討は、文化庁で検討され続けるだろうダウンロード違法化問題といい、第73回で取り上げた、違法アップロード者に対するアクセス禁止措置という客観性の担保が極めて難しいインターネットサービスプロバイダーの自主規制の話といい、常に本当の国際動向の上っ面を横滑りして行くようなデタラメな検討ばかりである。これらのような全国民に関わる重要問題について、真剣に国際動向を調べずに、あるいは自分たちに都合の良いこと以外は隠して推し進めようとする文化庁などの姿勢は本当に許し難い。

 この第1回の私的録音録画小委員会から、知財政策に関して疾風怒濤・狂乱の1年がまた始まる。これからも著作権の国際動向について私は地道に追いかけて行きたいと思っているが、このようなエントリが少しでも誰かの参考になっていれば幸いである。

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2008年3月17日 (月)

第74回:世界知的所有権機関(WIPO)における世界レベルでの権利制限に関する検討の提案

 この3月10日から12日にかけて、世界知的財産権機関(WIPO)でも、著作権に関する会合をやっていたようである(Intellectual Property Watchの記事1(英語)記事2(英語)ag IPnewsの記事(英語))。

 放送条約などの既存アジェンダについては、案の定持ち越しとなったようだが、これらの記事によると、世界的に権利制限の国際比較を行い、ミニマムスタンダードを作るべきであるとする提案が、このWIPO著作権委員会で、チリを始めとして、ブラジル、ニカラグア、ウルグアイなどから共同提案として出されたようである。

 IP watchのサイトに載っているその提案の骨子は、かいつまんで訳すと、

  1. 加盟各国の、著作権の例外と制限に関する規定と運用の特定
  2. 革新と創造の促進とそこから生まれる進歩の普及に必要な例外と制限の分析
  3. 全ての国がミニマムとして考えるべき公益目的のための例外と制限に関する合意の確立

というものであり、国際機関レベルでも、権利制限に関する検討の提案が出され、複数の国から支持を集めているということは注目に値する(チリは2005年当時からこのような提案をしていたらしく、条約のような取り決めには結びついていないが、WIPOでも既にいくつか権利制限関係の調査研究がされているようである)。先進国中心の著作権保護強化の動きにもはやうんざりしている国も、発展途上国の中にはそれなりにあるに違いなく、命に関わる特許ほどではないにしても、著作権にも南北問題が存在していると見える。

 また、やはりアメリカやヨーロッパが渋い顔をしたようだが、条約とするかはともかく、図書館に関する権利制限などについて今後も何らかの調査・検討を行っていくことについては一定の合意が得られたようである。

(なお、記事によると、Public Knowledge電子フロンティア財団(EFF)European Digital Rightsなどの各地のユーザーグループも、この提案を支持しているらしい。)

 知財の保護強化ばかりが文化の発展に役立つ政策であるというのは完全に間違った概念であり、公正利用の類型に対する権利制限の充実も全国民を裨益する立派な文化政策である。日本政府も、国内の利権団体や欧米主要国の顔色をうかがっているばかりでなく、このような国際的な権利制限に関する動きについて積極的な支持と参加を打ち出してはどうかと心から私は思う。

 国際機関レベルの話となると、個人でできることには限りがあるが、折角の機会なので、知財本部のパブコメには、知財の保護強化とは異なる国際動向についても、政府はきちんと国民に伝えてもらいたいと、また、是非、このような公正な利用形態に対する権利制限においても、世界をリードできるくらいの検討をしてもらいたいとも書きたいと思っている。それくらいの検討ができて始めて、本当の文化先進国家と言えるのだ。

(追記:ネットにおける帯域制限に関する指針の意見募集がかかったという報道(読売のネット記事、日本インターネットプロバイダー協会の報道資料ガイドライン案本文総務省の調査資料)があった。通信制限が「通信の秘密」に対する侵害行為であり、一般的に利用者の同意がない限り許されないにも関わらず、他の利用者の円滑な利用が妨げられる場合は、一般の利用者と同じレベルまでであるにせよ、同意なしに通信量を制限しても良いとするのは実に奇妙な気がするのは私だけだろうか。他の利用者の円滑な利用が妨げられる場合という基準も、曖昧なように思う。通信政策はこのブログの本筋とずれるので、大した突っ込みを入れるつもりもないが、通常の通信事業なら、本来はこのような問題は設備投資とサービス競争で解決されるべき問題ではないかという気もするので、ネットのヘビーユーザーは、良くガイドライン案を読んで、もし意見があれば出すことをお勧めする。)

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2008年3月11日 (火)

第69回:ベルギー著作権法の私的複製関連規定

 今回は、EUの本部があるブリュッセルを首都とするベルギーの私的複製関連規定についてである。

 インターネット上で入手可能な条文(フランス語)によると、著作権の私的複製関連の権利制限規定は、その第22条の列挙内に含まれている。(訳文は拙訳。他にも権利制限条項は沢山あるが、ここでは、特に私的複製に絡むと思われる部分を訳出した。注は私がつけたもの。)

  Art. 22. § 1. Lorsque l'oeuvre a ete licitement publiee, l'auteur ne peut interdire :
...
3°l'execution gratuite et privee effectuee dans le cercle de famille ou dans le cadre d'activites scolaires;

4°la reproduction fragmentaire ou integrale d'articles ou d'oeuvres plastiques ou celle de courts fragments d'autres oeuvres fixees sur un support graphique ou analogue, lorsque cette reproduction est effectuee dans un but strictement prive et ne porte pas prejudice a l'exploitation normale de l'oeuvre;

4°bis. la reproduction fragmentaire ou integrale d'articles ou d'oeuvres plastiques ou celle de courts fragments d'autres oeuvres fixees sur un support graphique ou analogue lorsque cette reproduction est effectuee a des fins d'illustration de l'enseignement ou de recherche scientifique dans la mesure justifiee par le but non lucratif poursuivi et ne porte pas prejudice a l'exploitation normale de l'oeuvre;

4°ter. la reproduction fragmentaire ou integrale d'articles ou d'oeuvres plastiques ou celle de courts fragments d'autres oeuvres, lorsque cette reproduction est effectuee sur tout support autre que sur papier ou support similaire, a l'aide de toute technique photographique ou de toute autre methode produisant un resultat similaire, a des fins d'illustration de l'enseignement ou de recherche scientifique dans la mesure justifiee par le but non lucratif poursuivi et ne porte pas prejudice a l'exploitation normale de l'oeuvre, pour autant, a moins que cela ne s'avere impossible, que la source, y compris le nom de l'auteur, soit indiquee;

4°quater. la communication d'oeuvres lorsque cette communication est effectuee a des fins d'illustration de l'enseignement ou de recherche scientifique par des etablissements reconnus ou organises officiellement a cette fin par les pouvoirs publics et pour autant que cette communication soit justifiee par le but non lucratif poursuivi, se situe dans le cadre des activites normales de l'etablissement, soit effectuee uniquement au moyen de reseaux de transmission fermes de l'etablissement et ne porte pas prejudice a l'exploitation normale de l'oeuvre, et a moins que cela ne s'avere impossible, la source, y compris le nom de l'auteur, soit indiquee;

5° les reproductions des oeuvres sonores et audiovisuelles effectuees dans le cercle de famille et reservees a celui-ci;
...
Art. 22bis. § 1er. Par derogation a l'article 22, lorsque la base de donnees a ete licitement publiee, l'auteur ne peut interdire :
  1°la reproduction fragmentaire ou integrale sur papier ou sur un support similaire, a l'aide de toute technique photographique ou de toute autre methode produisant un resultat similaire de bases de donnees fixees sur papier ou sur un support similaire lorsque cette reproduction est effectuee dans un but strictement prive et ne porte pas prejudice a l'exploitation normale de l'oeuvre;

  2° la reproduction fragmentaire ou integrale sur papier ou sur un support similaire, a l'aide de toute technique photographique ou de toute autre methode produisant un resultat similaire, lorsque cette reproduction est effectuee a des fins d'illustration de l'enseignement ou de recherche scientifique dans la mesure justifiee par le but non lucratif poursuivi et ne porte pas prejudice a l'exploitation normale de l'oeuvre;
...
Art. 46. Les articles 35, 39, 42 et 44 ne sont pas applicables lorsque les actes vises par ces dispositions sont accomplis dans les buts suivants :

3° l'execution gratuite et privee effectuee dans le cercle de famille ou dans le cadre d'activites scolaires;
...
4° les reproductions des prestations des titulaires des droits voisins, effectuees dans le cercle de famille et reservees a celui-ci;

第22条 作品が合法に公開された場合、作者は次のことを禁止できない:
(中略)
第3項 家族内あるいは学校活動の枠内でなされる、私的かつ無償の上演;

第4項 その複製が厳密に個人的な目的のためになされ、作品の通常の利用を害しない場合の、記事あるいは造形作品の部分的あるいは全体の複製、あるいは、描画あるいはアナログ媒体に固定されたその他の作品の短い断片の複製;

第4の2項 その複製が、非営利の目的によって正当化される形で、教育における提示あるいは科学研究の目的でなされ、作品の通常の利用を害しない場合の、記事あるいは造形作品の部分的あるいは全体の複製、あるいは、描画あるいはアナログ媒体に固定されたその他の作品の短い断片の複製;

第4の3項 その複製が、非営利の目的によって正当化される形で、教育における提示あるいは科学研究の目的でなされ、紙あるいは類似の媒体とは異なる媒体の上に、写真あるいは類似の結果をもたらす他の手法を用いてなされる、記事、造形作品の部分的あるいは全体の複製、あるいは、他の作品の短い断片の複製、ただし、それが不可能でないときには、作者の名前も含め、ソースが示される場合に限る;

第4の4項 その通信が、教育における提示、あるいは、公権力によって公的に組織された又は良く知られた機関の研究の目的でなされる場合の、作品の通信、ただし、この通信が、非営利の目的によって正当化され、この機関の通常の活動の枠内にあるか、機関の閉ざされた通信網の中でなされるかし、作品の通常の利用を害さず、それが不可能でないときには、作者の名前も含め、ソースが示される場合に限る;

第5項 家庭内で行われ、その中に限られる、音楽あるいは映像作品の複製;
(中略)

第22の2条 第22条の規定にかかわらず、データベースが合法に公開された場合、作者は次のことを禁止できない:

第1項 その複製が厳密に私的な目的でなされ、作品の通常の利用を害さない場合の、紙あるいは類似の媒体の上に、写真あるいは類似の結果をもたらす他の手法を用いてなされる、紙あるいは類似の他の媒体に固定されたデータベースの部分的あるいは全体の複製;

第2項 その複製が、非営利の目的によって正当化される形で、教育における提示あるいは科学研究の目的でなされ、作品の通常の利用を害さない場合の、紙あるいは類似の媒体の上に、写真あるいは類似の結果をもたらす他の手法を用いてなされる、部分的あるいは全体の複製;
(中略:データベースについても、上の上の第22条第4の2~第4の4項と似たような規定がある。)

第46条 第35条、第39条、第42条、第44条の規定は、これらの規定で定められている行為が、次の目的でなされる場合には適用されない。(注:第35条、第39条、第42条、第44条は著作隣接権を定めている。)

第3項 家族内あるいは学校活動の枠内でなされる、私的かつ無償の上演

(中略:第3の2項と第3の3項として、上の第22条第4の2~第4の4項と似たような規定がある。)

第4項 家庭内で行われ、その中に限られる、著作隣接権者の演技の複製;
(後略)

 上では少し余分に訳したが、私的録音録画を対象とする規定として、第22条第5項と第46条第4項が私的録音録画補償金の対象になっており、その他の私的複製を対象とする規定として、第22項第4項と第4の2項、第22の2条の第1項と第2項がやはり補償金の対象となっている。(ベルギーでは、録音録画機器媒体に加え、コピー機なども補償金の対象となっており、ヨーロッパの中でもタチの悪い国に属する。)

 補償金に関係する私的複製関連部分を中心に訳してみたが、ベルギーの著作権法では、この前の第21条で、引用や教育目的の編纂、通信過程での不可避な複製が権利制限の対象とされ、第22条の省略した部分で、報道、パロディ、文化遺産保護のための複製、美術展やオークションのための複製、障害者のための複製などが権利制限の対象として規定されている。(フランスの著作権法の影響か、ヨーロッパの諸国を探してみると、パロディや模写等が権利制限の対象となっている国も結構見つかるように思う。)

 さらに、第23条の2で、第21から第22条の2の権利制限規定が強行規定であることをわざわざ明文で規定しているのも面白い。(さらに、誰でもアクセスできるような形で作品がアクセス可能とされる場合は、契約の方が優先しても良いとされているようである。)

 利害関係者間の綱引きによって、このような複雑な条文になったのであろうことは容易に想像がつくのだが、ベルギーの著作権法の教科書が手元にある訳でもなく、例えば、上で訳した部分でも、第4の3項の意味など、正直なところ良く分からない。(もし、ベルギーの法律に詳しい方がいるようなら、是非教えて頂きたいと思う。)

 また、今のところ、ベルギーではダウンロード違法化はされていないようであるし、ダウンロード違法化が議論されているという話も聞かない。

 とにかく、各国の著作権法について、何故か文化庁や権利者団体は自分たちにとって都合の良いことだけを取り上げるが、実際に調べてみると、ヨーロッパについてだけ見ても各国毎に権利制限規定はかなり規定の仕方が違っており、その国際比較は決して容易な仕事ではないし、そのごく一部だけを取って国際潮流などとすることができるものでもない。(それにしても、著作権保護強化のためには血眼になって何でも調べるのに、それ以外の部分はさぼるか隠すという文化庁の姿勢は本当に許し難い。)

 ベルギーの補償金関係の規定も紹介しておきたいと思うが、これも結構長くなるので、回を分けてまた次回に。

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2008年3月 5日 (水)

第67回:スイス著作権法の私的複製関連規定の改正

 前回は現行法の話をした訳だが、2007年10月5日に可決されたスイスの改正法案(フランス語ドイツ語)は、私的複製関連部分の条文を以下のように改めている。(翻訳は拙訳。ドイツ語版も参照したが、基本的にフランス語から訳した。赤字強調が追加部分。)

Art. 19
2 La personne qui est autorisee a effectuer des reproductions pour son usage prive peut aussi, sous reserve de l'al. 3, en charger un tiers; sont egalement considerees comme des tiers au sens du present alinea les bibliotheques, les autres institutions publiques et les entreprises qui mettent a la disposition de leurs utilisateurs un appareil pour la confection de copies.

3 Ne sont pas autorises en dehors du cercle de personnes etroitement liees au sens de l'al. 1, let. a:

3bis Les reproductions confectionnees lors de la consultation a la demande d'oeuvres mises a disposition licitement ne sont soumises ni aux restrictions prevues par le present article, ni aux droits a remuneration vises a l'art. 20.

Art. 20
3 Les producteurs et importateurs de cassettes vierges et autres supports propres a l'enregistrement d'oeuvres sont tenus de verser une remuneration a l'auteur pour l'utilisation de l'oeuvre au sens de l'art. 19.

第19条(第1項はそのまま)
第2項 私的使用のための作品の複製を許されている者は、第3項の場合を除き、第3者にその複製を任せることができる。その利用者に、コピーの作製のための機器を提供している図書館、他の公共機関及び企業も、この条項の第3者と解される。

第3項 以下のことは、第1項aに規定されているところの緊密に結びついた人間のサークル外では許されない:
(abcdはそのまま)

第3の2項 合法にアクセス可能とされた作品を求める際になされる複製は、本条に規定されている制限に服するものではなく、第20項に規定されている補償金請求権も与えない。

第20条
第3項 ブランクカセット並びに他の作品の複製に適した媒体の製造者及び輸入者は、第19条に規定されている作品の利用のために、補償金を支払わなくてはならない。

 ここで、ダウンロード違法化はスイスの今次著作権法改正で入っていないということをもう一度強調しておくが、この部分の改正でやはり注目すべきは、第19条第3の2項の追加と第20条第3項の変更である。条文から考えて、第19条第3の2項はいわゆる2重取りの解消に合法ダウンロードを私的複製の権利制限の対象外とすることを目的としたものであろう。また、第20条第3項は、「録音録画媒体」という専門性の限定がかかっていたものを、一般的に「媒体」と書き直しているので、これは、CDやDVDといった専用媒体を超えて、単なるメモリやHDDと言った本当の汎用媒体(さらに、MP3プレーヤーと同じく、媒体としてPCなどの汎用機器への課金も著作権団体は求めてくるだろう)にまで課金したいという権利者団体の思惑を反映しているのに違いない。(元の条文は、前回の記事をご覧頂きたい。)

 確かに、スイスの著作権法では、著作権管理仲裁委員会がまず補償金の対象や料率を決めることになっているので、このように改正したからといって直ちに課金対象が拡大される訳ではないが、このように重大な改正をこっそり紛れ込ませるやり口は非常に姑息である。スイスのユーザー・消費者・国民が、DRM回避規制にかまけてこのことに気づいていなかったとしたら、実に不幸なこととしか言いようがない。(なお、DRM回避規制は、WIPO著作権条約批准のための改正(フランス語ドイツ語)の方に入っている。かなり簡単に書いてしまっているが、スイスのDRM回避規制の話は第34回をご覧頂きたい。)

 このように法律が改正された以上、その実運用が始まった時点で、遅かれ早かれスイス政府に補償金拡大の請願が出されて、また大いにもめることになるのではないかというのが私の予想である。日本の文化庁への提出パブコメ(第20回参照)でも書いたように、そもそも、合法ダウンロードの私的複製の権利制限範囲からの除外も疑問符をつけざるを得ないが、補償金の範囲と額を決める合理的な基準がどこにもない以上、スイスのような理念のみの除外条文も問題をややこしくこそすれ、補償金問題の解決に本質的に役に立つことはないだろうスイス国民は媒体の専用性という補償金問題に関する折角のセーフハーバーをみすみす失っただけである。

 もうすぐ、日本でも次の私的録音録画小委員会で検討が始まることだろうが、スイスのこのような改正は他山の石である。補償金の範囲と額を決める合理的な基準がどこにもない以上、録音録画機器・媒体の専用性・分離性などのキャップは、ユーザー・消費者・国民にとって、権利者団体の野放図な補償金拡大要求を食い止めるために絶対必要なものである。このキャップが外れた途端、権利者団体が、既得権益を拡大しようとどこまでもその要求をエスカレートさせて来るだろうことは想像に難くない。「これ以上補償金拡大を要求しない」などという、法律の世界では何の意味もない口約束にも騙されてはいけない。法律に対抗できるのは常に法律だけである。日本の現行著作権法の規定を曖昧なものに変え、余計な社会的混乱を惹起してまで補償金を拡大しなければならないとするに足る根拠は、今までのところ全く明確に示されていないと私は考えている。

 他にも、スイスの著作権法には、そのインターフェースに関する情報を得るために、プログラムコードの解読をすることが明文で認められていたり(第21条(フランス語))とか、特許公報が明文で保護される作品から除かれていたり(第5条(フランス語))とか、いろいろ面白いところがあるのだが、この手の話をし出すとまた長くなるので、他の部分については後日何かの話のついでに紹介できればと思う。

 なお、何かの参考になるかも知れないので、スイスの著作権管理仲裁委員会のHPに載っている、スイスでのいわゆるiPodへの(媒体としての)課金を決定した、2006年1月の録音録画機器内のメモリあるいはハードディスクのようなデジタル媒体への補償金に関する決定(ドイツ語)へのリンクを張っておく。そもそも、2002年12月のMP3機器内の媒体への補償金に関する決定(ドイツ語)で、MP3機器は課金対象外とされていたものを、上の2006年の決定をざっと読んだところでは、その後、権利者団体から再請願が出され、消費者団体・ユーザーグループ等は拡大に反対したが、法律と政治力を盾に委員会で課金が決定と、お決まりのコースをたどったようである。

 最後に、海外の著作権関連のニュースの紹介もしておくと、欧州の実演家の権利の保護期間延長問題に対して、延長に反対する署名運動を、電子フロンティア財団(EFF)などが始めている(PCINpactの記事(フランス語)heise onlineの記事(ドイツ語))。(どうやら、日本からの署名も受け付けているようなので、興味がある方はリンク先をご覧頂ければと思う。)

 また、文化庁のHPに、今期第1回の過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会の開催案内(開催は3月14日)と、法制問題小委員会の開催案内(3月18日)の案内が載っていたので、念のためにリンクを張っておく。私的録音録画小委員会も恐らく同じくらいに第1回が開催されることになるのだろう。今年も、混迷する著作権法の検討から目は離せない。

 ヨーロッパの国々を中心に、しばらく外国著作権法紹介のシリーズを続けたいと思っているが、次回は、また少し寄り道をして、規制一般の話を書こうかと思っている。

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2008年3月 4日 (火)

第66回:スイス著作権法の私的複製関連規定

 第34回で、スイスの著作権法改正問題に関して触れたこともあり、まずは、スイス著作権法の私的複製関連規定について紹介したいと思う。(改正法の問題点については今回は省くが、参考のために、改正条文等がまとめられているスイス連邦知的財産研究所の著作権法ページにリンクを張っておく。)

 スイス連邦のホームページに現行の著作権法の条文(フランス語ドイツ語)が載っているが、私的複製関連はその第19条に以下のように規定されている。(フランス語の方から訳した。翻訳は拙訳。)

Art.19 Utilisation de l'oeuvre a des fins privees
1 L'usage prive d'une oeuvre divulguee est autorise. Par usage prive, on entend:
a. toute utilisation a des fins personnelles ou dans un cercle de personnes etroitement liees, tels des parents ou des amis;
b. toute utilisation d'oeuvres par un maitre et ses eleves a des fins pedagogiques;
c. la reproduction d'exemplaires d'oeuvres au sein des entreprises, administrations publiques, institutions, commissions et organismes analogues, a des fins d'information interne ou de documentation.

2 La personne qui est autorisee a reproduire des exemplaires d'une oeuvre pour son usage prive peut aussi en charger un tiers; les bibliotheques qui mettent a la disposition de leurs utilisateurs un appareil pour la confection de copies sont egalement considerees comme tiers au sens du present al.

3 Ne sont pas autorises en dehors du cercle de personnes etroitement liees:
a. la reproduction de la totalite ou de l'essentiel des exemplaires d'oeuvres disponibles sur le marche;
b. la reproduction d'oeuvres des beaux-arts;
c. la reproduction de partitions d'oeuvres musicales;
d. l'enregistrement des interpretations, representations ou executions d'une oeuvre sur des phonogrammes, videogrammes ou autres supports de donnees.

4 Le present article ne s'applique pas aux logiciels.

第19条 私的な目的のための作品の利用
第1項 公表された作品の私的な利用は許される。以下のことは、私的な利用として認められる:
a.個人的な目的、あるいは、家族や友人のような、緊密に結びついた人間のサークル内でなされるあらゆる利用;
b.教育の目的で行われる、先生とその生徒による作品のあらゆる利用;
c.企業、政府、機関、委員会、及び、類似の機関内で、内部情報あるいは資料としての目的でなされる、作品の複製;

第2項 私的使用のための作品の複製を許されている者は、第3者にその複製を任せることができる。その利用者に、コピーの作製のための機器を提供している図書館も、この条項の第3者と解される。

第3項 以下のことは、緊密に結びついた人間のサークル外では許されない:
a.市場で入手可能な作品の全体あるいは本質的な部分の複製
b.美術作品の複製
c.音楽作品の楽譜の複製
d.録音、録画、あるいは他のデータ作品の翻案あるいは実演の記録

第4項 この条項はプログラムには適用されない。

 ここで、企業内に閉じる複製も私的複製として権利制限規定の中に入っていることは興味深い。日本では、企業内の複製は、例え企業内に閉じる複製であったとしても、私的複製とは見なされていないため、原則として違法となるが、スイスではそのようなことにはならない。私的複製の議論における、諸外国の著作権法比較においては、こうした差異も見過ごされるべきではないだろう。

 さらに、その私的複製補償金に関しては、次の第20項で次のように定められている。(翻訳は拙訳。)

Art.20 Remuneration pour l'usage prive
1 L'utilisation de l'oeuvre a des fins personnelles au sens de l'art. 19, al. 1, let. a, ne donne pas droit a remuneration, sous reserve de l'al. 3.

2 La personne qui, pour son usage prive au sens de l'art. 19, al. 1, let. b ou c, reproduit des oeuvres de quelque maniere que ce soit pour elle-meme ou pour le compte d'un tiers selon l'art. 19, al. 2, est tenue de verser une remuneration a l'auteur.

3 Les producteurs et importateurs de cassettes vierges ainsi que d'autres phonogrammes ou videogrammes propres a l'enregistrement d'oeuvres, sont tenus de verser une remuneration a l'auteur pour l'utilisation de l'oeuvre au sens de l'art. 19.

4 Les droits a remuneration ne peuvent etre exerces que par les societes de gestion agreees.

第20条 私的利用のための補償
第1項 第19条第1項aにおける個人的な目的のためになされる利用は、第3項の場合を除き、補償の権利を与えない。

第2項 自分自身のためという形であれ、第19条第2項に規定されているように第3者から任されて行う形であれ、第19条第1項bあるいはcにおける私的利用のために作品の複製を行う者は、その作者に補償金を支払わなくてはならない。

第3項 ブランクカセット並びに他の作品の複製に適した録音録画媒体の製造者及び輸入者は、第19条に規定されている作品の利用のために、補償金を支払わなくてはならない。

第4項 補償金を求める権利を行使することができるのは、認可された管理団体のみである。

 私的複製すなわち補償金という規定になっているドイツ(第15回参照)とは異なり、スイスでは、録音録画媒体のみを補償金の対象としているという点でかなりおとなしい形にはなっている。それ以外の場合は、補償の権利がないということもわざわざ明文で規定している。

 また、補償金の対象や料率は、その著作権法第55条(フランス語)で規定されている、著作権管理連邦仲裁委員会が決めているようである。ただ、いくらドイツに比べておとなしいとは言え、上でも書いた補償金の規定ぶりから考えて、やはり課金ありきで委員会で話が進み、MP3プレーヤーなども媒体として課金対象とされたのであろう。ただ、この委員会のHPに載っている活動報告にも、いわゆるMP3プレーヤーに対する決定の際、大きな反響があり、消費者団体も知事へのロビー活動をしなければならないと考えたと書かれているくらいで、この制度は、スイスでも消費者・ユーザーに受け入れられているとは言い難い。ドイツのように裁判が頻発する事態に至っていないのは、ドイツほど対象・料率が非道でないために過ぎないだろう。

 次回も続けて、もう少し、スイスの権利制限・私的録音録画補償金関連の話の補足をしたいと思っている。

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2008年2月15日 (金)

第61回:カナダ、フランス、欧州連合(EU)における私的複製(私的録音録画)補償金問題関係の動き

 今回も、著作権関係の最近の海外動向の紹介である。

(1)カナダ
 まずはカナダについて、第48回のついでに、カナダのiPod税導入がカナダの連邦裁判所で否決された(追加でフランス語の記事1記事2へのリンクを張っておく。)というニュースを紹介したが、最近出たネット記事(フランス語)によると、最高裁への上告はあきらめられたらしく、カナダでのiPod課金は無期延期となったようである。

 ただ、この記事で紹介されている、カナダ補償金協会の、連邦裁判所のカナダの著作権委員会がiPod税を導入する権限がないという決定について上告を求めるつもりはないが、やはりカナダ国民によってなされている権利者の許諾を得ていない私的複製による権利者の損失は莫大なものであるというコメントは、著作権委員会に権限がないのなら、権限のあるところに言いに行くまでだという脅しとしか取れないので、これで本当に片付いたということでもないだろう。それでも、少なくとも、カナダでのiPod課金への道のりはこれで大分遠くなったと思われる。

(2)フランス
 第38回第53回のついでに少し取り上げたが、各種ネット記事(フランス語の記事1記事2記事3記事4記事5)によると、フランスの補償金委員会はこの1月23日に最初の投票を行い録音録画機能つき携帯電話へ課金する方針を固めたようであり、この2月19日に2回目の投票を行い最終的な意志決定を行うようである。やはり記事によると、128MB以上のメモリーを持ち、録音録画機能を有し、音楽機能専用のボタンがあるような携帯電話は全て、MP3プレーヤーと同じ料率で課金するということらしい。当然のことながら、メーカーと消費者は反対しているようであるが、この方針を見る限り、メーカーの主張も消費者の主張も完全に無視されているとしか思えない。

 だが、そもそも今の補償金についてですら消費者から既にフランス行政裁判所に訴えが提起されているほどに消費者の不信を招いていることを考えても、このような問答無用の対象拡大によってさらなる訴訟が起こされることも十分に考えられる。フランスも、この問題に関してはさらに手を焼くことになるだろう。(なお、フランスでは、ブルーレイとHD-DVDへの課金も、今年の検討課題としているようである。)

(3)EU
 各種ネット記事(フランス語の記事英語の記事1記事2記事3EUのプレス記事1記事2)によると、EUレベルでも著作権問題、特に私的複製補償金問題に関する検討を再開するようで、この6月くらいまでに関係者からのヒアリングを行い、8月くらいには何らかの提案を行いたいようである。また、どこからどういう関係で出てきた話かよく分からないが、やはり記事によると、実演家の権利を今の50年から95年に延長することも一緒に検討するようである。

 しかし、どのような検討をするにせよ、多国間でこのような検討をやり出すとどうしてもも上の保護レベル合わせることになるので、ロクな結果にならないのは目に見えている。保護期間延長を補償金切り下げのディールに使うつもりなのかも知れないが、大体、権利者団体側はその強大な政治力をフルに使って、補償金の切り下げの話には絶対に乗らずに、保護期間延長だけを取ろうとするであろうから、補償金問題については今の混乱の極みの中で以前と同じように暗礁に乗り上げる中、保護期間延長だけが決定されるというひどい結果になる危険性も高い。さらに、隣接権の話をするときには、必ずレコード製作者と放送事業者の権利もついて回るので、これらの権利まで一緒に延長された日には、もはや目も当てられない結果となるだろう。補償金問題を含め著作権問題は半年や1年やそこらで片付くような生やさしいものではないのであり、今後の検討において迷走することのないよう、EU当局の良識に期待したい。

 そして、権利者団体なり文化庁なりが、またぞろこのような動きを指して知財の保護強化が世界潮流だと言い出すことも十分予想されるのだが、EU統一という大きな流れを無視してそのようなことを言うのは、あまりにも浅はかであり、愚鈍の極みであるとここでは繰り返しておく。

 とにかく、著作権問題に関する限り、世界中でもめないことはないと言って良いくらいもめるのだが、権利者団体の政治力の強さと、「複製=対価」という著作権原理主義による洗脳工作が、世界中の政策当局の政策判断を狂わせていることには極めて強い憤りを覚える。「複製=対価」の概念で全てを塗りつぶし、権利者団体のみへ利益誘導を図ることは、インターネット時代の文化・産業政策として全く正しいものではない。

 なお、前回紹介したイギリスの違法コピー対策について、特に目新しいことが載っている訳ではないが、タイムズオンラインの記事を見つけたので、リンクを張っておく。また、他の関連英語記事によると、イギリスでは、インターネットサービスプロバイダーが、間違って告訴されたユーザーの訴訟費用負担のための拠出をレコード会社に求めていたりもするようである。レコード会社がそうそう金を出すとも思えないが、このようなユーザー保護策はもっといろいろなところで検討されても良いだろう。

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2007年12月20日 (木)

第40回:ダウンロード違法化が国際潮流だとする文化庁の悪辣な欺瞞

 前回に引き続いて、文化庁がダウンロード違法化の根拠とする「諸般の事情」の中に含まれているであろう、国際潮流の嘘、外圧の欺瞞についても明確にしておきたいと思う。

 そもそも、ダウンロードを違法化した国がある、すなわちダウンロード違法化が国際潮流ではあり得ないので、そこからして間違っているのだが、文化庁が中間整理で、ダウンロードを明確に違法としているとした国は、ドイツ、フランス、スペイン、イギリス、アメリカ、スウェーデン、フィンランドくらいしかなく、例えこれらの国が全てダウンロードを明確に違法としていたとしても、EUだけでも27か国あるのであり、アジアの主要国も完全に無視しており、この程度では到底国際潮流とするには足らないことは明白である。

 しかし、そもそもこれらの各国の法律・判例・現状についても文化庁は、人を舐めきった歪んだ理解を国民に押し付けようとしているのであり、その整理は何一つ信用できない。

 まず、ドイツについては、第13回で書いたように、元々明らかな違法複製物からの複製を違法としていたにもかかわらず、社会的混乱をもたらすだけで何の効果もなかったために、最近の法改正において、ネットワークからの複製物も明確に違法だということを示すためにのみ、明らかに違法にアップロードされた著作物からの複製を私的複製の権利制限範囲からさらに除外している。しかし、ドイツにおける音楽業界の対ユーザー訴訟は2万件を超え、既にデタラメな魔女狩りの様相を呈し、刑事当局も、その手続きにかかる税金の無駄としか思われない社会的コストの浪費に著作権業界を見放し始めているという記事もあったことを考えると、このような国民のコモンセンスとモラルを無視した屋上屋の法改正は単に社会的混乱を増すことこそすれ、減らすことはないだろうというのが私が見たドイツの現状である。(ドイツで著作権検閲を合法化しようとして失敗したことは、第31回第33回に書いた。)

 フランスにおいては、私的複製を含む権利制限条項に、いわゆるベルヌ条約のスリーステップテスト(著作物の通常の利用を妨げてはならず、著作者の利益を不当に害するものであってはならないというもの)をそのまま規定した逆制限を入れているが、結局、これは判断を全て裁判に委ねるということであり、ダウンロードが違法だとする判例がフランスで確定した訳でもない以上、これをダウンロードを明確に違法化したものだとすることはできない。(フランスでは最近違法ユーザ対策として、フィルタリング+著作権検閲の方針を打ち出しているが、これも失敗するであろうことは、第29回第30回に書いた。)

 イギリスとアメリカについては、そもそも判例法の国であり、実定法のみをあげつらってダウンロードは違法だと決めつけることはできない。イギリスについては判例もないのであろうし、アメリカのP2P訴訟も、全体としてみればまだ継続中であり、勝手にただ一つの地裁判決のみを取り上げてあたかもアメリカでは全てダウンロードが違法であるかの如き印象操作を行うことなど論外である。第17回でも書いたように、アメリカでも権利者団体などによる対ユーザー訴訟は猖獗を極めており、違法ダウンロード問題もその1要素となって、かえって消費者・ユーザーの反発を招き、何のポジティブな効果も得られていないというのがアメリカの現状についての私の理解である。

 第28回のおまけとして書いたことだが、スペインのインターネット警察のボスは、無料でダウンロードする限りにおいて、ダウンロードユーザーは泥棒とは考えられないという発言をしており、スペインでは、ドイツと同様の法改正はしたものの、早々に法規範の徹底や取り締まりはあきらめたのだろうと思われる。スウェーデンやフィンランドについても、ダウンロードを特に明確に違法化して何か効果があったという話を聞かない。

 ついでに、第34回で書いたことだが、スイスやカナダでは、ダウンロード違法化以前に、DRM規制のところで市民の反対運動が起ころうとしているのであり、これらの国でダウンロードの明確な違法化を行うことなど論外であろう。

 要するに、文化庁が示した国際潮流は全てデタラメで法改正の根拠たり得ないのは無論のこと、「国際潮流」というキーワードを国民を騙すために姑息かつ悪辣に使用していることは明らかである。私が見る限りにおいて、ダウンロードを明確に違法化し、かつそれを無理にでも法規範たらしめようとしている国はドイツくらいであり、それも全くうまくいっていないというのが真の国際潮流である。このような稀少な悪例に日本が従う義理は何一つない。

 また、「諸般の事情」が外圧なら、言葉を選んで素直に外圧と言えば良い話だが、日本政府に外圧をかけてくるのはEUかアメリカくらいしか考えられない中、EUであれば、まず域内で規制を統一してから言って下さいと、アメリカであれば、最高裁判例が出てから言って下さいと言われてしまうだけであるにも関わらず、EUなりアメリカなりがそんなデタラメなカードの切り方をしてくるとは思えない。EUにしても、アメリカにしても、日本にかける外圧ならもっと緊急の課題がいくらでもあるはずである。

 インターネットでほぼどこの国の情報でも個人で調べることができる中、そんな姑息かつ悪辣な妄言にごまかされる者など一人もいないにも関わらず、文化庁が「諸般の事情」として「国際潮流」をあげ、外圧を匂わせれば国民が騙されるとでも思っているとしたら愚かにもほどがある。

 結局、この暴挙は、国際潮流や外圧など関係なく、国内の利権団体のみを利して自らの天下り先確保を図りたい文化庁の暴走であると見て間違いない。文化庁は自らの暴挙によってダウンロード違法化を是とする一分の理も失ったのである。文化庁はもはや単なる悪であり、全国民の敵となったと私は断言してはばからない。文化庁よ、インターネットの力を、言葉の力を、真の文化の力を思い知るのは貴様らの方だ。心せよ、全てはこれからだ。

 なお、欧州でも私的複製補償金に対して正式に苦情が出されたという記事がITmediaに載っていたので、リンクを張っておく。域内市場委員のチャーリー・マクレビー氏の「この問題はなくならない」という認識は正しいだろうが、決して改革の手をゆるめないでもらいたいと思う。イギリスのボウルズ議員の「補償金は開発を阻害する暗黒時代の制度」という言も正しく、アーティストの収入の35%が補償金によってしまっている時点で何かが完全に狂っていることに気づくべきなのだから。

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2007年12月 6日 (木)

第34回:スイス著作権法改正(DRM回避規制と国民投票運動)

 ネットでニュース記事(英語の記事フランス語の記事ドイツ語の記事)を見かけたので、また少し予定を変更して、スイスの動向の話をしておきたいと思う。

 記事によると、スイスでも、国会で著作権法改正案が可決されたが、この法律に対して、これは民意を正しく反映したものでなく、国民投票でその正否を決めるべきとする運動が起こっているということである。(スイスでは、10万人の署名を集めることで国民による法改正の直接提案が、法律の公示の日から100日以内に5万人の署名を集めることで法律の国民投票を求めることができるようである。)

 ただし、スイスの著作権法改正案は、フランスやドイツほど非道なものではなく、アップロードのみを違法として、ダウンロードは引き続き許されるとしているためか、国民投票運動の中でもっぱら問題となっているのは、DRM回避規制の方である。(フランスやドイツの状況をよく知っているスイスが、ダウンロードを違法としなかったことも、注目されてしかるべきである。)

 この著作権法改正案は、その第39a条の条文の曖昧さから、目的の営利性・合法性によらず、DRMの回避機器・プログラムの製造・輸入・頒布・貸し出し・提供・広告の全てが禁止される可能性があるため、これは乱暴すぎるという反対意見が出て来ているのである。

 これらはDRM回避規制を特に問題にしており、今の日本の論点とは少しずれているが、権利者のみに甘い著作権法改正はおかしいという意識は世界的に見ても高まっていることが見て取れるのであり、これも決して無視して良い動きではないだろう。

 ついでに、カナダでの著作権法の改正検討についても、とある大学教授がYoutubeなどを使って反対運動を展開しているというニュース記事があったので、一緒にリンクを張っておく。(記事にリンクが張ってあるYoutubeの映像を見ると、やはり権利制限が限定的でアメリカより厳しいこと、DRM回避規制も例外が少なく教育・研究やプライバシーに対して害を及ぼすことなどを問題としている。)

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