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2016年3月 9日 (水)

第360回:閣議決定されたTPP関連知財法改正案の条文

 昨日3月8日にTPP関連法案が閣議決定され、TPP政府対策本部のHPで公開された(概要(pdf)要綱(pdf)法改正案(pdf)新旧対照条文(pdf)参照条文(pdf)参照)。内容としては審議会の資料として今まで見て来たことがほぼそのまま条文化されているが、念のため、中でも知財関連の法案がどのような条文になったかを見ておきたい。

(1)著作権法改正案
 著作権法改正案の内容として含まれているのは、第357回などで書いた通り、著作権の保護期間延長、著作権侵害の非親告罪化、アクセスコントロール回避規制、配信音源の二次利用に対する使用料請求権の付与、法定損害賠償の5点だが、この内条文の問題にならない著作権保護期間延長と非常にマニアックな配信音源の二次利用に対する使用料請求権の付与については条文まで詳しく見る必要はないと思うので、その他の3点について見て行く。

 まず、非親告罪化については、この法改正案は、第123条に以下のような第2項及び第3項を追加するとしている。(下線部が追加部分。なお、法改正案にはテクニカルな改正も含まれているので、以下は全て主だった部分のみ抜き出している。)

第百二十三条 第百十九条、第百二十条の二第三号及び第四号、第百二十一条の二並びに前条第一項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

 前項の規定は、次に掲げる行為の対価として財産上の利益を受ける目的又は有償著作物等の提供若しくは提示により著作権者等の得ることが見込まれる利益を害する目的で、次の各号のいずれかに掲げる行為を行うことにより犯した第百十九条第一項の罪については、適用しない。
 有償著作物等について、原作のまま複製された複製物を公衆に譲渡し、又は原作のまま公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。次号において同じ。)を行うこと(当該有償著作物等の種類及び用途、当該譲渡の部数、当該譲渡又は公衆送信の態様その他の事情に照らして、当該有償著作物等の提供又は提示により著作権者等の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合に限る。)。
 有償著作物等について、原作のまま複製された複製物を公衆に譲渡し、又は原作のまま公衆送信を行うために、当該有償著作物等を複製すること(当該有償著作物等の種類及び用途、当該複製の部数及び態様その他の事情に照らして、当該有償著作物等の提供又は提示により著作権者等の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合に限る。)。

 前項に規定する有償著作物等とは、著作物又は実演等(著作権、出版権又は著作隣接権の目的となつているものに限る。)であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権、出版権又は著作隣接権を侵害するもの(国外で行われた提供又は提示にあつては、国内で行われたとしたならばこれらの権利の侵害となるべきもの)を除く。)をいう。

 これは、①「財産上の利益を受ける目的」又は「著作権者等の得ることが見込まれる利益を害する目的」での、②「有償」で提供されている著作物を「原作のまま」複製した複製物の譲渡等について、③「著作権者等の得ることが見込まれる利益が不当に害される」場合に、非親告罪の対象とするということで、文化庁の審議会の報告書通り、かなりの限定が入っており、これならば、概要(pdf)に書かれている、海賊版の販売は非親告罪になるが、同人誌のコミケでの販売やパロディのブログへの投稿などは対象外になるという基本的な整理に間違いはないだろう。無論微妙なケースは多々存在すると思うが。

 次に、法定損害賠償については、損害の額の推定を規定する第114条に以下のような第4項を入れることとしている。

(損害の額の推定等)
第百十四条
(略)
 著作権者又は著作隣接権者は、前項の規定によりその著作権又は著作隣接権を侵害した者に対し損害の賠償を請求する場合において、その著作権又は著作隣接権が著作権等管理事業法(平成十二年法律第百三十一号)第二条第一項に規定する管理委託契約に基づき同条第三項に規定する著作権等管理事業者が管理するものであるときは、当該著作権等管理事業者が定める同法第十三条第一項に規定する使用料規程のうちその侵害の行為に係る著作物等の利用の態様について適用されるべき規定により算出したその著作権又は著作隣接権に係る著作物等の使用料の額(当該額の算出方法が複数あるときは、当該複数の算出方法によりそれぞれ算出した額のうち最も高い額)をもつて、前項に規定する金銭の額とすることができる。

 これも文化庁の審議会の報告書通りで、この部分については著作権等管理事業者の使用料規程を用いた現行の推定規定の明確化と言って良く、大きな問題になることはないだろう。

 そして、アクセスコントロール規制については、以下のようなかなり長い関連条文を入れることとしている。

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(略)
二十一 技術的利用制限手段 電磁的方法により、著作物等の視聴(プログラムの著作物にあつては、当該著作物を電子計算機において利用する行為を含む。以下この号及び第百十三条第三項において同じ。)を制限する手段(著作権者、出版権者又は著作隣接権者(以下「著作権者等」という。)の意思に基づくことなく用いられているものを除く。)であつて、著作物等の視聴に際し、これに用いられる機器が特定の反応をする信号を著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像とともに記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は当該機器が特定の変換を必要とするよう著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像を変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。

(侵害とみなす行為)
第百十三条
(略)
 技術的利用制限手段の回避(技術的利用制限手段により制限されている著作物等の視聴を当該技術的利用制限手段の効果を妨げることにより可能とすること(著作権者等の意思に基づいて行われる場合を除く。)をいう。第百二十条の二第一号及び第二号において同じ。)を行う行為は、技術的利用制限手段に係る研究又は技術の開発の目的上正当な範囲内で行われる場合その他著作権者等の利益を不当に害しない場合を除き、当該技術的利用制限手段に係る著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。

第百十九条 著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条第一項(第百二条第一項において準用する場合を含む。第三項において同じ。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実演等の複製を行つた者、第百十三条第三項の規定により著作権、出版権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者、同条第四項の規定により著作権若しくは著作隣接権(同条第五項若しくは著作隣接権(同条第四項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第百二十条の二第三号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者、第百十三条第六項第百十三条第五項の規定により著作権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者又は次項第三号若しくは第四号に掲げる者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第百二十条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 技術的保護手段の回避若しくは技術的利用手段の回避を行うを行うことをその機能とする装置(当該装置の部品一式であつて容易に組み立てることができるものを含む。)若しくは技術的保護手段の回避若しくは技術的利用手段の回避を行うを行うことをその機能とするプログラムの複製物を公衆に譲渡し、若しくは貸与し、公衆への譲渡若しくは貸与の目的をもつて製造し、輸入し、若しくは所持し、若しくは公衆の使用に供し、又は当該プログラムを公衆送信し、若しくは送信可能化する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあつては、著作権等を侵害する行為を技術的保護手段の回避により可能とし、又は第百十三条第三項の規定により、著作権、出版権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を技術的利用制限手段の回避により可能とする用途に供するために行うものに限る。)をした者
 業として公衆からの求めに応じて技術的保護手段の回避又は技術的利用手段の回避を行つた者
(以下略)

 この部分は非常に難解だが、文化庁の審議会報告書通り、「著作権者等の利益を不当に害しない場合を除」くとされているものの、やはりそもそも著作権法が対象としていない単なる「視聴」を制限する手段の「回避」そのものが規制され、その回避装置又はプログラムの譲渡等までが規制されるという内容で、非常に大きな問題があると言わざるを得ない。

 この法改正案によってDRM回避規制がどうなるかの概略を第266回に載せた表を作り直して示すと、以下のようになるだろう。(赤字が変更部分。なお、このように視聴(利用)制限回避装置等の譲渡等に対して著作権法でも刑事罰が導入されることとなると、刑事罰に関しては著作権法と不正競争防止法とで適用対象にほぼ違いがなくなる。)

Derm_table4

 internet watchの記事にも書かれているように、この法改正案が通ると、正当化理由を考えづらいマジコン・MODチップや不正B−CASカードなどについて利用そのものが著作権法上違法と評価される可能性が高いだろうが、ここで、「著作権者等の利益を不当に害しない」という例外によってケースバイケースで判断されることになると考えられるものの、同記事で引用されているMIAUの意見書でより一般的に書かれているように、ユーザーが自分の機器で自由なソフトウェアを動作させるための回避行為が著作権法上違法とされかねないのは問題である。さらに、正規ライセンス品ながらDVD、BDやゲームソフトのリージョン設定を回避する場合や、遠隔でコンテンツを視聴・利用する場合や、自己所有のコンテンツが古くなり対応機器等が提供されなくなった時に回避する場合や、回避を他人に手伝ってもらう場合など、微妙なケースが多々考えられ、個人の情報アクセスそのものに影響するこの単純アクセスコントロール回避規制導入の問題は決して小さいものではない。

(2)特許法改正案
 特許法改正案に含まれているのは、発明の新規性喪失の例外期間(グレースピリオド)の6月から12月への延長と、期間補償のための特許権の存続期間の延長制度だが、グレースピリオドは特許法第30条に書き込まれた期間を1年に変更しているだけなので条文は飛ばすとして、特許の保護期間の延長については、第67条に以下のような第2項及び第3項を足し、さらに第67条の2から延長登録出願についての規定を入れるとしている。

第六十七条  特許権の存続期間は、特許出願の日から二十年をもつて終了する。

 前項に規定する存続期間は、特許権の設定の登録が特許出願の日から起算して五年を経過した日又は出願審査の請求があつた日から起算して三年を経過した日のいずれか遅い日(以下「基準日」という。)以後にされたときは、延長登録の出願により延長することができる。

 前項の規定により延長することができる期間は、基準日から特許権の設定の登録の日までの期間に相当する期間から、次の各号に掲げる期間を合算した期間(これらの期間のうち重複する期間がある場合には、当該重複する期間を合算した期間を除いた期間)に相当する期間を控除した期間(以下「延長可能期間」という。)を超えない範囲内の期間とする。
(以下略)

 ここについて何か問題があるということはないのだが、ここで省略した第67条第3項の1〜10号で様々な控除期間が非常に細かく列挙されており、実際の計算はかなりややこしいものになりそうである。

(3)商標法改正案
 商標法改正案の主な内容は法定賠償制度の導入だけだが、これについてはやはり損害額の推定を規定する第38条に以下のような第4項を追加するとしている。

(損害の額の推定等)
第三十八条
(略)
 商標権者又は専用使用権者が故意又は過失により自己の商標権又は専用使用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その侵害が指定商品又は指定役務についての登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであつて同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。第五十条において同じ。)の使用によるものであるときは、その商標権の取得及び維持に通常要する費用に相当する額を、商標権者又は専用使用権者が受けた損害の額とすることができる。

 これはこれで変な規定だと思うが、概要(pdf)に書かれている通り、損害の最低額として、商標権の取得及び維持に通常要する費用である、商標出願料3,400円+(8,600円×商品の種類数)+登録料28,200円×商品の種類の数という金額を請求できるというだけであれば、そう莫大な額になるといったことはなく、濫用の危険が全くないとまでは言い切れないものの、大きな問題になることはやはりないだろう。

(4)地理的表示保護法改正案
 報道こそ多少されていたものの、これまで農水省でそのために審議会が開催されていた様子がなく、最も内容が不明だった地理的表示保護法改正案について今回の条文の公開で初めて詳細が分かったと言って良いのではないかと思うが、その主な内容は、以下のような外国の特定農林水産物等に関する特例によって、農林水産大臣は外国の地理的表示保護のための指定ができるとするものである。

第四章 外国の特定農林水産物等に関する特例

(外国の特定農林水産物等の指定)
第二十三条
 農林水産大臣は、我が国がこの法律に基づく特定農林水産物等の名称の保護に関する制度と同等の水準にあると認められる特定農林水産物等の名称の保護に関する制度(以下「同等制度」という。)を有する外国(本邦の域外にある国又は地域をいう。以下この項において同じ。)であって、次の各号のいずれにも該当するもの(以下「締約国」という。)と相互に特定農林水産物等の名称の保護を図るため、当該締約国の同等制度によりその名称が保護されている当該締約国の特定農林水産物等について指定をすることができる。
 次に掲げる事項をその内容に含む条約その他の国際約束を我が国と締結していること。
 当該外国が同等制度により我が国の特定農林水産物等の名称を保護すべきものとされていること。
 我が国がこの法律により当該外国の特定農林水産物等の名称を保護すべきものとされていること。
 前号の国際約束において保護すべきものとされている我が国の特定農林水産物等の名称について、その適切な保護を我が国又は当該特定農林水産物等に係る登録生産者団体が当該外国の権限のある機関に要請した場合には、必要な措置を講ずると認められること。

 前項の指定(以下単に「指定」という。)は、次に掲げる事項を定めてするものとする。
 当該特定農林水産物等の区分
 当該特定農林水産物等の名称
 当該特定農林水産物等の生産地
 当該特定農林水産物等の特性
 前各号に掲げるもののほか、当該特定農林水産物等の生産の方法その他の当該特定農林水産物等を特定するために必要な事項
 前各号に掲げるもののほか、当該特定農林水産物等について農林水産省令で定める事項

(以下略)

 これも特に問題があるという話ではないが、TPP協定上必ずしもこのような指定制度による外国の地理的表示の保護が求められている訳ではないということは注意しておいても良いだろう。

(コメントを受けた追記:私はこのような指定制度はTPP協定上必ずしも必要とされないと考えているが、この地理的表示法の改正案はTPP協定第18章(知財章)第18.36条に対応するもののようである。)

(5)施行期日
 最後に、施行期日は、附則により以下のように規定されている。

(施行期日)
第一条 この法律は、環太平洋パートナーシップ協定が日本国について効力を生ずる日(第三号において「発効日」という。)から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 附則第九条の規定 公布の日
 第三条中商標法第二十六条第三項第一号の改正規定及び第十条の規定 公布の日から起算して二月を超えない範囲内において政令で定める日

(中略)

(特許法の一部改正に伴う経過措置)
第二条 第二条の規定による改正前の特許法第二十九条第一項各号のいずれかに該当するに至った日が、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)の六月前の日前である発明については、第二条の規定による改正後の特許法(次項及び第三項において「新特許法」という。)第三十条第一項及び第二項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

 実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第三条第一項各号のいずれかに該当するに至った日が、施行日の六月前の日前である考案については、同法第十一条第一項において準用する新特許法第三十条第一項及び第二項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

 施行日又は環太平洋パートナーシップ協定が署名された日から二年を経過した日のいずれか遅い日以前にした特許出願に係る特許権の存続期間の延長については、新特許法の規定にかかわらず、なお従前の例による。

(中略)

(著作権法の一部改正に伴う経過措置)
第七条 第八条の規定による改正後の著作権法(次項及び第三項において「新著作権法」という。)第五十一条第二項、第五十二条第一項、第五十三条第一項、第五十七条並びに第百一条第二項第一号及び第二号の規定は、施行日の前日において現に第八条の規定による改正前の著作権法(以下この項において「旧著作権法」という。)による著作権又は著作隣接権が存する著作物、実演及びレコードについて適用し、同日において旧著作権法による著作権又は著作隣接権が消滅している著作物、実演及びレコードについては、なお従前の例による。

 新著作権法第百十六条第三項の規定は、著作者又は実演家の死亡の日の属する年の翌年から起算して五十年を経過した日が施行日以後である場合について適用し、その経過した日が施行日前である場合については、なお従前の例による。

 新著作権法第百二十一条の二の規定は、同条各号に掲げる商業用レコード(当該商業用レコードの複製物(二以上の段階にわたる複製に係る複製物を含む。)を含む。)で、当該各号の原盤に音を最初に固定した日の属する年の翌年から起算して五十年を経過した日が施行日前であるもの(当該固定した日が昭和四十二年十二月三十一日以前であるものを含む。)については、適用しない。

 これも想定通り、施行日はTPP協定の発効日とされており、著作権の保護期間延長の遡及適用もないとされているが、附則第1条第2号で、法改正案(pdf)の知財関連改正法案の中でも第10条に書かれている地理的表示保護法改正案だけはTPPの発効とは無関係に「公布の日から起算して二月を超えない範囲内において政令で定める日」とされていることには留意が必要だろう。上で書いた通り、地理的表示保護法改正案だけはTPP関連と言いながらTPP協定で必須とされているものではないので、このような形にしたのではないかと思われるのである。(なお、テクニカルな話だが、商標法第26条第3項第1号も地理的表示保護法の改正にともなう改正である。)

(コメントを受けた追記:この地理的表示保護法の施行日が早いのは、TPP協定第18章(知財章)第18.36条第6項で国際協定に基づく地理的表示の保護がTPP協定合意後に合意した国際協定に課され得るとされているためのようであるが、この第18.36条第6項は適用対象を定めているだけであって、TPP協定が効力を有するのはあくまで発効日であるので、やはりTPP協定上の地理的表示保護の義務を最低限担保するだけであればテクニカルにはこのようなやり方でなければならないということはなかったのではないかと思う。)

 ざっと法改正案の条文を読んでみたが、特に保護期間延長、アクセスコントロール回避規制の導入及び限定つきながら非親告罪化を含む著作権法改正案の問題はそのまま残されている。私がこのような非道な知財規制の強化を含む法改正に、そもそもTPP協定の批准に反対であることに変わりはない。

(2016年3月10日夜の追記:アクセスコントロール規制について、念のため、改正法案中の引用部分で抜けていた第119条(刑事罰除外規定)を追加した。また、上で書いた通り、書き込まれている年数を変更しているだけで条文の問題にはならないが、著作権の保護期間延長については概要(pdf)の下の表が一覧として見る分には便利なので、これも念のため引用しておく。

Extension

(2016年3月12日夜の追記:コメントを受けて地理的表示保護法改正について上に文章を追記した。)

(2016年3月13日夜の追記:アクセスコントロール回避規制について、補足として、「この法改正案によって〜この単純アクセスコントロール回避規制導入の問題は決して小さいものではない。」の文章を追加した。)

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コメント

地理的表示保護法改正は、第18章36条の国際協定による地理的表示保護の手続きを担保するもにです。施行日については、
同条第6項により同条に基づく手続き義務は大筋合意以降に課せられ得ることになっているため、早期に施行することとしたものです。

投稿: | 2016年3月12日 (土) 19時30分

コメントありがとうございます。

本文にも追記しましたが、地理的表示保護法改正案の背景は恐らくおっしゃる通りなのでしょう。

投稿: 兎園 | 2016年3月12日 (土) 23時38分

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