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2015年1月19日 (月)

第330回:経産省・営業秘密の保護・活用に関する小委員会中間とりまとめ(不正競争防止法改正・営業秘密の保護強化)に対するパブコメ募集(1月30日〆切)

 先週1月16日に1月30日〆切で経産省から産業構造審議会・知的財産分科会・営業秘密の保護・活用に関する小委員会の中間とりまとめに関するパブコメが開始された(電子政府の意見募集ページ参照)。前回書いたことと多く重なるのだが、今年最初の知財法改正パブコメとして重要なものには違いないので、念のため、ここで取り上げておきたいと思う。

 この中間とりまとめ(pdf)は産業構造審議会・知的財産分科会・営業秘密の保護・活用に関する小委員会で去年から検討されていたことをまとめた報告書であり、不正競争防止法で規定されている営業秘密の保護に関して非常に多くの法改正事項を含む内容となっている。

 報告書中の「3.今後の対応」の「(3)制度面での抑止力向上」からそのポイントを抜き出して行くと、まず、刑事規定に関して、

  • 国外処罰:「国外における故意での営業秘密の不正取得・領得を処罰の対象とする。」
  • 未遂処罰:「故意での営業秘密の取得・領得及び使用・開示行為について、その未遂行為も処罰の対象とする。」
  • 転得者処罰:「窃盗行為者本人からの直接の取得に限らず(三次以降の取得者であっても)、不正に取得されたことを知って故意で営業秘密を使用ないし開示する行為を処罰行為とする。」
  • 営業秘密使用物品の譲渡・輸出入等の処罰:「営業秘密使用物品(営業秘密を不正に使用して生産された物品)であることを知って、故意でそれを譲渡・輸出入等する行為を処罰対象とする。」
  • 罰金の引き上げ:「個人及び法人に対する罰金刑を引き上げる。」
  • 非親告罪化:「営業秘密侵害罪を非親告罪とする。」

という方向性が書かれており、さらに、民事規定に関して、

  • 被害企業の立証負担の軽減・立証責任の転換:「営業秘密侵害訴訟における立証責任を公平に配分する観点から、不正若しくは悪意重過失で一定の営業秘密を取得した者には、当該営業秘密を使用する蓋然性・経験則が認められると考えられることから、原告側が被告による不正取得や原告の営業秘密を用いて生産できる物を生産していること等を立証した場合には、被告による営業秘密の使用行為を推定し、不使用の事実の立証責任を被告側に転換する。」、「原告が次の①〜③の全ての事項を立証した場合、被告の物に原告の営業秘密を使用したことを推定し、被告に立証責任を転換する。①被告による②の営業秘密の不正取得(法2条1項4号)又は悪意重過失での取得(同条項5号、8号)があったこと。②物の生産方法の営業秘密であること。(生産方法以外の技術上の営業秘密(物の分析技術など)についても引き続き検討。)③被告がその営業秘密を使用する行為により生じる物の生産等を行ったこと。」
  • 除斥期間の延長:「除斥期間を20年に延長する。」
  • 営業秘密使用物品の譲渡・輸出入等の禁止:「一定の条件(技術上の営業秘密を使用する不正競争行為により生じた物品であることについて、その譲り受け時に悪意・重過失である場合等)下で、営業秘密使用物品について譲渡・輸出入等する行為を、民事措置(差止・損害賠償)の対象とする。」

という方向性が書かれている。

 このように法改正事項がてんこ盛りとなったのは、企業側の要望を受け、現時点で考えられる営業秘密保護強化案をほとんど全て突っ込んだ所為と思われるが、実のところ本当の意味で法改正の根拠となる立法事実の変化はどうかと見て行くとかなり怪しいものが多いのは前回取り上げた特許庁の報告書案の職務発明制度改正案と五十歩百歩と言って良い。

 どこまで裁判で認められるか分からないものの、同じ小委員会で承認された営業秘密の要件の緩和を唱えるガイドラインの改訂(第4回資料中の改訂案(pdf)参照)もあり、法改正後の実運用次第だが、上であげた未遂処罰、非親告罪化、使用物品の譲渡の禁止のような営業秘密の保護強化によってかなりの萎縮が生じる可能性も否定できない。恐らくほぼこのままの内容で不正競争防止法改正案が国会に提出されることになるのだろうが、実際にどのような形の規定とされるのかその条文案にも十分注意する必要があるだろう。

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