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2014年6月 8日 (日)

第313回:衆院で可決された児童ポルノ規制法改正案

 前回の審議が2009年6月26日なので5年ぶりになるが(当時の議事録参照)、新たに5党(自公民維結)の実務者協議で合意された児童ポルノ規制法改正案がこの6月5日に衆議院の法務委員会を、6日に本会議を通過した。既に報道もかなりされており、今回はtwitterでつぶやくだけに留めておこうかとも思ったのだが、条文に基づいてどう考えられるかという記事はそれほど多くないように思うので、念のため、ここでも少しコメントを書いておきたいと思う。

 今回衆議院で審議・可決された条文案を見ると、個人的には問題はまだ残されていると思うが、かなりまともに過去の各党の改正案の折衷案を作っており、何かしら別の重要案件に押されて参議院での審議が多少遅れることはあり得るとは思うが、政治的にここまでフラットに作られた折衷案が通らないということは考えがたい。(過去の自公案については番外その14、民主党案については第254回参照。)

 一番下に改正条文も載せておくが、今回の衆院可決版の児童ポルノ改正法案のポイントをあげると以下のようになる。

  • 第2条第3号の児童ポルノの定義を「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀(でん)部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」という形に限定・明確化
  • 第3条で国民の権利として学問、芸術、報道等の自由に留意することを明記
  • 第3条の2で「みだりに児童ポルノを所持してはならない」という形で一般的に児童ポルノの所持を規制(罰則はなし)
  • 第7条第1項で「自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する」として自己の意思に基づく性的目的の児童ポルノ所持の処罰を規定
  • 第7条第5項で「ひそかに児童ポルノを製造した者」として盗撮による児童ポルノ製造の処罰を規定
  • 第15条及び第16条の2で関係行政機関及び児童保護施策推進機関として厚労省等を明記
  • 第16条の3でインターネット事業者の児童ポルノに係る情報の送信防止措置についての努力義務を規定
  • 自公案の附則にあった漫画、アニメ等に関する検討条項を削除

 衆議院法務委員会の審議(インターネット審議中継、みんなの党の山田太郎議員のブログ記事も参照)も合わせて考えると、今回の法改正案では、

  • 3号児童ポルノが限定・明確化されたことで、普通に水浴びしている子供が写っているだけの家族写真を持っているような場合まで処罰の対象となることは明らかになくなった
  • コンプライアンスの観点から一般的な所持規制の部分についてかなり懸念が残るものの、同時に学問、芸術、報道等の自由に基づく通常の活動についての留意も明記され、また、過去に入手をしたかも知れないが現在では自己の性的好奇心を満たす目的はもう失われているような場合まで処罰の対象となることはなく、完全な家捜しと焚書が求められることはない
  • 自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持した者が処罰されるが、括弧書きで自己の意思に基づいて所持するに至った者という限定が入ったことでかなり取得規制よりの所持規制となっており、他人からメールを使って児童ポルノを送りつけられた場合などは基本的に処罰の対象とならないことがより明確となった
  • 児童保護施策の責任機関として厚労省が明記されたことで児童保護にも目を配ったバランスの取れた法運用の可能性が高まる、
  • インターネット事業者の送信防止措置の努力義務について今まで以上の努力を求められることはない、
  • 漫画、アニメ等に関する検討条項が削除されたことで、児童ポルノ規制法によって漫画、アニメ等が規制される危険性は相当低くなった

と言えるだろう。

 すなわち、デタラメだった元の自公案と比べると、かなり冤罪や不当な捜査、無茶な規制拡大の懸念が減っているのは間違いない。ただし、児童ポルノの定義の問題はこれで片づくような話ではなく、そもそも猥褻物規制に引きずられる形で一般人の性欲を要件にしているのがおかしいので、児童性虐待記録物として定義を新たに作り直すべきだというのはその通りだと私も思うし、また、「取得の時期などを含めて、自己の意思に基づいて所持するに至った時期とか経緯などについて、できる限り客観的、外形的な証拠によって確定するべき」という法改正提案者の趣旨が警察・検察に尊重されることを望みたいが、本改正案によって情報の所持・取得罪の本質的な問題が解決しているということもなく、立法から行政までほとんどの関係者が極めて問題の多いブロッキングを当然の前提として議論しているのもどうかと思う点である。(著作権法のダウンロード違法化・犯罪化問題とも絡み情報の所持・取得罪とブロッキングの問題点はさんざん書いてきているのでここで繰り返し書くことはしないが、今回の審議で「自己の性的好奇心を満たす目的」が児童買春規定に含まれているから明確だと言われたことについて、相手のある児童買春の場合と、行為に一人しか絡まない情報の所持・取得の場合では同じ文言でも意味合いが大きく変わってくるということはもっと理解されてしかるべきことではないかと思う。)

 それに今回の衆議院法務委の審議を見ても自公の議員を中心に漫画やアニメの規制に対する執念は凄まじく、この法改正案が通ったとしてもそれで終わりなどということは全くないだろうが、そうは言っても前回に比べるとここまで押さえた案を作られたことについて与野党の関係者の努力は本当にありがたく、参議院でこの法改正案について児童ポルノの定義とネットとの関係を中心にさらに細かな解釈・法運用にまで踏み込んだ慎重な審議がされることを期待したいと私は思っている。

(以下、衆院で可決された児童ポルノ規制法改正条文案。下線部が追加部分。)

(1)児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案
児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律
目次
 第一章 総則(第一条―第三条の二)
 第二章 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰等(第四条―第十四条)
 第三章 心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置(第十五条―第十六条の二)
 第四章 雑則(第十六条の三・第十七条)
 附則

第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性にかんがみ鑑み、あわせて児童の権利の擁護に関する国際的動向を踏まえ、児童買春、児童ポルノに係る行為等を規制し、及びこれらの行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利を擁護することを目的とする。

(定義)
第二条
(略)
3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀(でん)部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

(適用上の注意)
第三条 この法律の適用に当たっては、学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由を不当に侵害しないように留意しなければ留意し、児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。

(児童買春、児童ポルノの所持その他児童に対する性的搾取及び性的虐待に係る行為の禁止)
第三条の二 何人も、児童買春をし、又はみだりに児童ポルノを所持し、若しくは第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管することその他児童に対する性的搾取又は性的虐待に係る行為をしてはならない。

第二章 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰等

(略)
(児童ポルノ所持、提供等)
第七条 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。
 児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第一項第二項と同様とする。
5 前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
 第四項第六項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民も、同項と同様とする。

(略)

(児童の年齢の知情)
第九条 児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、第五条から前条まで、第六条、第七条第二項から第八項まで及び前条の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失がないときは、この限りでない。

(国民の国外犯)
第十条 第四条から第六条まで、第七条第一項から第五項第七項まで並びに第八条第一項及び第三項(同条第一項に係る部分に限る。)の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三条の例に従う。

(両罰規定)
第十一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第五条から第七条、第六条又は第七条第二項から第八項までの罪を犯したときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。

(略)

(教育、啓発及び調査研究)
第十四条 国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの所持、提供等の行為が児童の心身の成長に重大な影響を与えるものであることにかんがみ鑑み、これらの行為を未然に防止することができるよう、児童の権利に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に努めるものとする。
2 国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの所持、提供等の行為の防止に資する調査研究の推進に努めるものとする。

第三章 心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置
(心身に有害な影響を受けた児童の保護)
第十五条 関係行政機関厚生労働省、法務省、都道府県警察、児童相談所、福祉事務所その他の国、都道府県又は市町村の関係行政機関は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童に対し、相互に連携を図りつつ、その心身の状況、その置かれている環境等に応じ、当該児童がその受けた影響から身体的及び心理的に回復し、個人の尊厳を保って成長することができるよう、相談、指導、一時保護、施設への入所その他の必要な保護のための措置を適切に講ずるものとする。
2 関係行政機関は、前項前項の関係行政機関は、同項の措置を講ずる場合において、同項の児童の保護のため必要があると認めるときは、その保護者に対し、相談、指導その他の措置を講ずるものとする。

(略)

(心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の検証等)
第十六条の二 社会保障審議会及び犯罪被害者等施策推進会議は、相互に連携して、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の実施状況等について、当該児童の保護に関する専門的な知識経験を有する者の知見を活用しつつ、定期的に検証及び評価を行うものとする。
2 社会保障審議会又は犯罪被害者等施策推進会議は、前項の検証及び評価の結果を勘案し、必要があると認めるときは、当該児童の保護に関する施策の在り方について、それぞれ厚生労働大臣又は関係行政機関に意見を述べるものとする。
3 厚生労働大臣又は関係行政機関は、前項の意見があった場合において必要があると認めるときは、当該児童の保護を図るために必要な施策を講ずるものとする。

第四章 雑則
(インターネットの利用に係る事業者の努力)
第十六条の三 インターネットを利用した不特定の者に対する情報の発信又はその情報の閲覧等のために必要な電気通信役務(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第三号に規定する電気通信役務をいう。)を提供する事業者は、児童ポルノの所持、提供等の行為による被害がインターネットを通じて容易に拡大し、これにより一旦国内外に児童ポルノが拡散した場合においてはその廃棄、削除等による児童の権利回復は著しく困難になることに鑑み、捜査機関への協力、当該事業者が有する管理権限に基づき児童ポルノに係る情報の送信を防止する措置その他インターネットを利用したこれらの行為の防止に資するための措置を講ずるよう努めるものとする。

(国際協力の推進)
第十七条 国は、第四条第三条の二から第八条までの規定に係る行為の防止及び事件の適正かつ迅速な捜査のため、国際的な緊密な連携の確保、国際的な調査研究の推進その他の国際協力の推進に努めるものとする。

(2)附則
(施行期日等)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
2 この法律による改正後の第七条第一項の規定は、この法律の施行の日から一年間は、適用しない。

(経過措置)
第二条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(検討)
第三条 政府は、インターネットを利用した児童ポルノに係る情報の閲覧等を制限するための措置(次項において「インターネットによる閲覧の制限」という。)に関する技術の開発の促進について、十分な配慮をするものとする。
2 インターネットによる閲覧の制限については、この法律の施行後三年を目途として、前項に規定する技術の開発の状況等を勘案しつつ検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。

(児童福祉法等の一部改正)
第四条 次に掲げる法律の規定中「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」に改める。
一 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第三十四条の二十第一項第三号
二 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第百五十七条の四第一項第二号及び第二百九十条の二第一項第二号
三 関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第六十九条の二第一項第二号及び第六十九条の十一第一項第八号
四 インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(平成十五年法律第八十三号)第八条第二号及び第十八条第三項第一号

(旅館業法及び暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部改正)
第五条 次に掲げる法律の規定中「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)」を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二章」に改める。
一 旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)第八条第四号
二 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)別表第四十六号

(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部改正)
第六条 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)の一部を次のように改正する。
 第四条第一項第二号ホ及び第三十一条の八第五項中「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」に改める。
 第三十五条及び第三十五条の二中「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律第七条」を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第七条第二項から第八項まで」に改める。

(厚生労働省設置法の一部改正)
第七条 厚生労働省設置法(平成十一年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。
 第七条第一項第四号中「(昭和二十二年法律第百六十四号)」の下に「、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)」を加える。

(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部改正)
第八条 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)の一部を次のように改正する。
 別表第七十号中「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」に、「第七条第四項から第六項まで」を「第七条第六項から第八項まで」に改める。

(犯罪被害者等基本法の一部改正)
第九条 犯罪被害者等基本法(平成十六年法律第百六十一号)の一部を次のように改正する。
 第二十四条第二項第二号中「監視する」を「監視し、並びに当該施策の在り方に関し関係行政機関に意見を述べる」に改める。

(3)理由
 児童ポルノに係る行為の実情、児童の権利の擁護に関する国際的動向等に鑑み、児童ポルノの定義を明確化し、児童ポルノをみだりに所持すること等を一般的に禁止するとともに、自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持等を処罰する罰則を設け、あわせて、心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の推進及びインターネットの利用に係る事業者による児童ポルノの所持、提供等の行為の防止措置に関する規定を整備する等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

(4)要綱
第一 題名及び目的規定の改正
一 法律の題名を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」に改めること。(題名関係)
二 目的規定中「児童買春、児童ポルノに係る行為等を処罰する」を「児童買春、児童ポルノに係る行為等を規制し、及びこれらの行為等を処罰する」に改めること。(第一条関係)

第二 目次及び章区分の新設
 章区分を新設して四章建てとし、第一章の章名を「総則」とするとともにその範囲を第一条から第三条の二までとし、第二章の章名を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰等」とするとともにその範囲を第四条から第十四条までとし、第三章の章名を「心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置」とするとともにその範囲を第十五条から第十六条の二までとし、第四章の章名を「雑則」とするともにその範囲を第十六条の三及び第十七条すること。(目次及び章区分関係)

第三 いわゆる三号ポルノの定義の明確化
 いわゆる三号ポルノの定義を「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀(でん)部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」に改めること。(第二条第三項第三号関係)

第四 適用上の注意規定の明確化
 この法律の適用に当たっては、学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由を不当に侵害しないように留意し、児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならないものとすること。(第三条関係)

第五 児童買春、児童ポルノの所持その他児童に対する性的搾取及び性的虐待に係る行為の禁止
 何人も、児童買春をし、又はみだりに児童ポルノを所持し、若しくはこれに係る電磁的記録を保管することその他児童に対する性的搾取又は性的虐待に係る行為をしてはならないものとすること。(第三条の二関係)

第六 自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノ所持等についての罰則
一 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処するものとすること。同様の目的で、これに係る電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とすること。(第七条第一項関係)
二 一に係る国民の国外犯は、これを処罰するものとすること。(第十条関係)

第七 盗撮による児童ポルノ製造罪の新設
 現行の提供目的製造罪及び「児童に姿態をとらせ」製造罪に加えて、ひそかに児童ポルノに係る児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処するものとすること。(第七条第五項関係)

第八 心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する制度の充実及び強化
一 心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置を講ずる主体及び責任の明確化
 心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置を講ずる主体として、厚生労働省、法務省、都道府県警察、児童相談所及び福祉事務所を例示し、措置を講ずる主体及び責任を明確化すること。(第十五条関係)
二 心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の検証等
1 社会保障審議会及び犯罪被害者等施策推進会議は、相互に連携して、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の実施状況等について、当該児童の保護に関する専門的な知識経験を有する者の知見を活用しつつ、定期的に検証及び評価を行うものとすること。(第十六条の二第一項関係)
2 社会保障審議会又は犯罪被害者等施策推進会議の厚生労働大臣又は関係行政機関に対する意見具申及び当該意見具申があった場合の厚生労働大臣又は関係行政機関が講ずる措置に関する規定を置くこと。(第十六条の二第二項及び第三項関係)

第九 インターネットの利用に係る事業者の努力
 インターネットを利用した不特定の者に対する情報の発信又はその閲覧等のために必要な電気通信役務を提供する事業者は、児童ポルノの所持、提供等の行為による被害がインターネットを通じて容易に拡大し、これにより一旦国内外に児童ポルノが拡散した場合においてはその廃棄、削除等による児童の権利回復は著しく困難になることに鑑み、捜査機関への協力、その管理権限に基づき児童ポルノに係る情報の送信を防止する措置その他インターネットを利用したこれらの行為の防止に資するための措置を講ずるよう努めるものとすること。(第十六条の三関係)

第十 附則
一 施行期日等
1 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行すること。(附則第一条第一項関係)
2 第六の一(自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノ所持等についての罰則)は、この法律の施行の日から一年間は、適用しないものとすること。(附則第一条第二項関係)
二 検討
1 政府は、インターネットによる児童ポルノに係る情報の閲覧の制限に関する技術の開発の促進について、十分な配慮をするものとすること。(附則第三条第一項関係)
2 インターネットによる児童ポルノに係る情報の閲覧の制限については、この法律の施行後三年を目途として、1の技術の開発の状況等を勘案しつつ検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとすること。(附則第三条第二項関係)
三 その他
 この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるとともに、所要の規定の整備を行うこと

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コメント

pdf(http://www.age2.tv/rd05/src/up3590.zip.html)
児童ポルノを社会に普及させる必要があります。

2014年6月11日:「青少年健全育成基本法案」が国会に提出されたのに続いて、
2014年6月18日:「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」が成立して、
2014年7月14日:タイミング良く、岡山倉敷女児監禁事件が発生して、
2014年7月19日:岡山倉敷女児監禁事件は女児が無事保護されることでスピード解決して、
さらにタイミング良く、海外の少女誘拐に関するドキュメンタリーがテレビで放送されて、
2014年7月21日:19:00~21:48
http://www.tv-asahi.co.jp/torihada/bk/cur/
>テレビ朝日|トリハダ秘スクープ映像100科ジテン
2014年7月23日:21:00~21:54
http://www.ntv.co.jp/gyoten/oa/140723/01.html
>ザ!世界仰天ニュース
2014年7月26日:さらにそのすぐ後に、高校生が同級生を殺害した上で遺体を切断するという不健全極まりない佐世保同級生殺害事件が発生しましたね。(ナイラ?)

子供をお持ちの保護者の皆様は、さぞかし恐怖に震え上がっておられることでしょう。
まるで、911やボウリング・フォー・コロンバインで描かれていた状況のようです。

子供が性犯罪に巻き込まれる。
この現在のような状況を打開するために我々は何をなすべきなのでしょうか?
私は次のように考えています。

児童ポルノを普及させるべき

m9(゚∀゚)Идиот!> номенклату́ра
נומנקלטורה עמלק
Ceterum autem censeo, Nomenklaturam esse delendam.

投稿: 春九千 | 2014年8月 8日 (金) 17時36分

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