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2012年7月29日 (日)

第279回:海賊版対策条約(ACTA)主要事項年表

 海賊版対策条約(ACTA)については、外務省のHPに表向きのことは大体書かれているし、Wikiでもおよその経緯は分かると思うが、この7月26日に日本の参議院でACTA批准に関する審議が開始されたこともあり、資料として今までの主要な経緯を年表形式でここにまとめておく。(なお、私は「海賊版対策条約」という略称を使っているが、ACTA(Anti-Counterfeiting Trade Agreement)は、初期の政府の検討では「模倣品・海賊版拡散防止条約」と称されており、最終的に公表された政府訳では「偽造品の取引の防止に関する協定」とされている。)

(以下、年表)

2004年 2月 知財本部・権利保護基盤の強化に関する専門調査会で模倣品・海賊版対策に関する議論が開始

      4月 知財本部・第7回権利保護基盤の強化に関する専門調査会の「模倣品・海賊版対策の強化について(とりまとめ)案(pdf)」ではじめて模倣品・海賊版拡散防止条約の提唱が盛り込まれる

      5月 知財本部・第8回権利保護基盤の強化に関する専門調査会で「模倣品・海賊版対策の強化について(pdf)」をとりまとめ(第8回専門調査会の議事録も参照)

     12月 知財本部・第9回本部会合で模倣品・海賊版の拡散を防止するための条約の提唱を含む「模倣品・海賊版対策加速化パッケージ(pdf)」を決定(第9回会合の議事録も参照)

2005年 6月 知財本部・第11回本部会合で模倣品・海賊版拡散防止条約の提唱を含む「知財計画2005」を決定(第11回会合の議事録も参照。なお、この年表ではいちいち載せていないが、ACTAについてはこの後の知財計画でも記載され続けている)

      7月 グレンイーグルズ・サミットにおいて小泉首相(当時)が模倣品・海賊版防止のための法的枠組み策定の必要性を提唱(外務省のHP参照)

2006年 6〜10月 荒井寿光知財事務局長(当時)を筆頭として外務省の田辺審議官(当時)や経産省の豊田正和通商政策局長(当時)や中富道隆審議官(当時)らがアメリカ通商代表部と接触、条文案の丸投げや勝手な国内法改正コミットなどデタラメな暴走外交を展開(第251回で取り上げたウィキリークスのアメリカ公電リーク文書参照)

2007年10月 関係国との協議開始を発表(外務省のリリース参照)

2008年 6月 第1回関係国会合(外務省の結果概要参照)

      7月 第2回関係国会合(外務省の結果概要参照)

     10月 第3回関係国会合(外務省の結果概要参照)

     12月 第4回関係国会合(外務省の結果概要によると、ここではじめてインターネットによる知的財産権の侵害への対策について情報共有が行われている)

2009年 6月 関係国非公式会合(外務省の結果概要によると、ここではじめて透明性に関する議論が行われている)

      9月 アメリカがEUにACTAのインターネットに関する部分の案を提示(第198回参照)

     10月 第5回関係国会合(外務省の結果概要参照)

     11月 第6回関係国会合(外務省の結果概要から見ても、ここからインターネット関連章の議論が本格化していることが窺われる)

2010年 2月 第7回関係国会合(外務省の結果概要参照。1月時点のリーク条文案について、第216回第218回第219回及び第220回参照)

      4月 第8回関係国会合(外務省の結果概要からも分かる通り、世界的な批判を受け、ここから要領を得ないながらわずかに交渉内容が開示されるようになった)

      4月 ACTA条文案(pdf)(英語のみ)がようやく公開

      6月〜7月 第9回関係国会合(外務省の結果概要参照。7月時点のリーク条文案について、第237回参照)

      8月 第10回関係国会合(外務省の結果概要参照。8月時点のリーク条文案について、第238回参照)

      9月 第11回関係国会合で条文案がほぼ確定(外務省の結果概要参照)

      9月 文化庁・文化審議会・著作権分科会・法制問題小委員会でDRM回避規制の強化について検討開始

      9月 経産省・産業構造審議会・知的財産政策部会・技術的制限手段に係る規制の在り方に関する小委員会でDRM回避規制の強化について検討開始

     10月 この時点でのACTA条文案(pdf)(英語のみ)の公開(内容については、第240回参照)

     11月 ACTA最終条文案(pdf)(英語のみ)の公開

     12月 文化庁・文化審議会・第32回著作権分科会でDRM回避規制の強化を含む「法制問題小委員会技術的保護手段に関する中間まとめ(pdf)」をとりまとめ(内容とそのパブコメについては、第243回及び第246回参照。なお、ACTAとの関係で国内法制上特に必要となるのがDRM回避規制の強化であることは2010年12月の知財本部会合の資料「模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA(アクタ):Anti-Counterfeiting Trade Agreement)(仮称)の現況について(pdf)」で日本政府自ら認めていることである)

     12月 経産省・産業構造審議会・第4回技術的制限手段に係る規制の在り方に関する小委員会でDRM回避規制の強化を含む「技術的制限手段に係る不正競争防止法の見直しの方向性について(案)(pdf)」をとりまとめ(第4回小委員会の議事要旨及び議事録(pdf)も参照。内容とそのパブコメについては、第244回及び第247回参照)

2011年 5月 ACTAの署名のための開放(外務省のリリース参照)

      5月 ACTA正式条文(pdf)の公表

      5月 DRM回避規制の強化を含む不正競争防止法改正案が日本の国会で可決・成立(衆議院の審議経過情報参照)

     10月 日本、アメリカ、オーストラリア、カナダ、韓国、モロッコ、ニュージーランド、シンガポールの各国代表がACTAに署名(外務省のリリース参照)

     12月 DRM回避規制の強化を含む改正不正競争防止法の施行(経産省の施行令に関するリリース参照)

2012年 1月 ACTAに欧州連合代表が署名(外務省のリリース参照)

      2月〜6月 欧州で大規模な反ACTAデモや反対請願の提出(「P2Pとかその辺のお話」の関連ブログ記事rt.comの記事や欧州議会のリリースなど参照)

      3月 ACTA条文の政府版日本語訳(pdf)がようやく公開

      5〜6月 欧州議会の5つの委員会がACTAをことごとく否決(第278回参照)

      6月 DRM回避規制の強化を含む著作権法改正案が日本の国会で可決・成立(未施行)(内容・経緯については、第266回第275回第276回及び第277回参照。なお、この法改正に含まれているダウンロード犯罪化は大問題だが、国会での議論からも分かるように、ダウンロード犯罪化とACTAとの間に表向き直接の関係はない)

      6月 オーストラリア議会の条約担当委員会がACTAを否決(techdirt.comの記事infojustice.orgの記事参照)

      7月 欧州議会がACTAを否決(第278回参照)

      7月 ACTAにメキシコ代表が署名(外務省のリリース参照)

      7月 メキシコ議会両院常任委員会(休会中審議委)がACTAを否決(noticias.terra.com.mxの記事(スペイン語)やメキシコ上院HPの両院常任委員会報告(スペイン語)参照)

      7月 参議院外交防衛委員会で偽造品の取引の防止に関する協定(ACTA)の趣旨説明、日本の国会で批准のための検討開始(参議院の7月26日の公報参照)

      7月 参議院外交防衛委員会で全会一致で可決(7月31日の審議中継議事録参照)

      8月 参議院本会議で賛成217反対9で可決(8月3日の投票結果参照)

      8月 野党欠席の中、衆議院外務委員会で可決(8月31日の議事録参照)

      9月 野党欠席の中、衆議院本会議で可決(9月6日の議事録参照)

     10月 閣議決定を経て受諾書を寄託、日本が最初の締結国となる(10月5日の外務省のリリース参照)

(2012年7月29日夜の追記:少し表記を整えた。)

(2012年8月4日夜の追記:参議院での可決について追記した。)

(2012年8月15日夜の追記:メキシコ議会両院常任委員会での否決について追記した。)

(2012年11月18日の追記:衆議院での可決以降のことについて追記し、議事録へのリンクを追加した。)

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