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2012年6月18日 (月)

第275回:ダウンロード犯罪化を含む著作権法改正案の衆議院文部科学委員会出来レース審議(議事録)

 先週6月15日に、衆議院文部科学委員会及び本会議で、自公提案のダウンロード犯罪化がねじ込まれる形で内閣提出の著作権法改正案が可決され、法案は参議院に回された。

 内閣提出の著作権法改正案の内容(第266回参照)に関しても私は問題なしとしないが、てんたま氏(Twitter)がそのブログ記事で以下のような要綱の一部を紹介しているが、自公がねじ込んだこのような内容の修正案はほとんど無法極まるデタラメと言っていい。

著作権法の一部を改正する法律案に対する修正案要綱
第一 罰則の整備

 著作権法第三十条第一項に定める私的使用の目的をもって、有償著作物等(録音され、又は録画された著作物又は実演等(著作権又は著作隣接権の目的となっているものに限る。)であって、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいう。以下同じ。)の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であって、国内で行われたとしたならば著作権又は著作隣接権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行って著作権又は著作隣接権を侵害した者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すること。(第百十九条第二項関係)
第二 附則の修正
一 施行期日
 第一及び四の施行期日を平成二十四年十月一日とし、二、三及び五の施行期日を公布の日とすること。

 このような内容は、第256回で紹介した議員立法の内容をほぼそのまま著作権法改正案の修正案としたものであり、その運用に対する懸念は極めて大きいと言わざるを得ない。

 以下に、衆議院インターネット中継から私が作成した衆議院文部科学委員会の議事録を載せるが、ダウンロード犯罪化問題の本質をついた質疑をしてくれているのは共産党の宮本議員くらいで、あとは全て出来レースとしか思えない質疑応答を繰り返している。宮本議員のダウンロード犯罪化に対する質問、懸念に対してもほとんど全て無視する形で採決がおこなわれており、このような委員会運営による修正案採決自体極めて大きな問題があるということは全く宮本議員の指摘の通りだろう。私も第273回でQ&Aを書いているが、私の感じている懸念も、このような審議を見た結果、大きくなりこそすれ全く解消していない。(大体、今週にも参議院で法案が可決されるかも知れないというのに、いまだにまともに最も重要な基礎情報である修正案の条文が公開されておらず、委員会議事録の公開すらないという状態自体、国民をバカにしているとしか思えない。)

 ここで今まで書いて来たことを繰り返し述べることはしないが、この衆議院の審議で明らかになったことに、修正案が、ダウンロード犯罪化だけではなく、有償著作物提供事業者が違法ダウンロード行為を防止するための措置を講ずるよう努めるものとするという努力規定を含んでいるということがある。自民党の下村議員がこれによりLマークがさらに浸透する云々とすっとぼけたことをしれっと言っているが、このような規定によりLマークが関係事業者に本当に強制されるとしたら大問題であるし、それ以上にこのような規定の導入には非常に危険なサイトブロッキングなどの強要につながる恐れすらあるだろう。

 宮本議員のブログ記事でも触れられているように、共産党の宮本議員だけでなく、修正案の採決においては、民主党からも1人が反対、1人が退席をしているのは、やはり与野党問わずこのような内容の修正案や審議のやり方に懸念を持っている慎重派の議員もそれなりにいることを示しているのだろう。

 今のところ、衆議院の審議を経ても様々な問題点に関するユーザーの懸念は解消されるどころかさらに大きくなっているとしか言いようがない。次は参議院で、参議院の文教科学委員会では問題の本質まで突っ込んだ審議と修正案の否決を期待したいが、衆議院がこの体たらくでは、参議院の審議も大いに不安である。

(2012年6月18日夜の追記:議事録の細かな言い回し、誤記を少し修正した。)

(2012年7月3日の追記:衆議院HPで文部科学委員会の6月15日の議事録が公表されているので、念のため、ここでもリンクを張っておく。)

(以下、2012年6月15日の衆議院文部科学委員会の議事録)

石毛えい子委員長(民主党):これより会議を開きます。内閣提出著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。この際お諮りいたします。本案審査のため、本日、政府参考人として、警察庁生活安全局長岩瀬光昭さん、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長原口亮介さん、文化庁次長河村潤子さん及び厚生労働省社会・援護局障害保険福祉部長岡田太造さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、ご異議ありませんか。(異議なしの声)ご異議なしと認めます。よって、そのように決しました。これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下村博文委員。下村委員。

下村委員(自民党):おはようございます。自民党の下村博文です。いよいよ会期末になって参りまして、会期が延長されるかどうかも分からない状況の中ですね、文部科学委員会として、始めての閣法、著作権法、ま、これはこれで粛々とやって行く必要があるという風に思います。

(中略:神本美恵子政務官の政治団体役職在任等に関する質疑応答)

下村委員:本題に入りたいと思います。今日は著作権法ということでございます。今回の著作権法においていわゆる写り込み、これにかかる規定が整備されることになりました。写真撮影、録画、録音の場合に限り、対象物から分離困難な付随物や音等軽微な構成部分として複製、翻案し、その後利用することができる、ただし、著作者の権利を不当に害してはならないとされております。具体例として、写真や映像の背景に映画のポスターや絵画等が写る場合が想定されております。現在はデジタル技術が発達しておりますので、この写真や録画については、写り込みを画像処理で消去、分離することは比較的容易でもあるわけでございます。対象物から分離困難な付随物について何らかの基準や具体例があるのか、またこれからどのように明確にするのか確認をさせて頂きます。

石毛委員長:河村次長。

河村文化庁次長:今お尋ねのございました、改正法案第30条の2は、写真撮影などの際に背景等に有名なキャラクターが写り込んでしまうようないわゆる写り込みについて新たに権利制限の対象とするものでございます。ある著作物を創作する場合に別の著作物を除いて創作することが社会通念上客観的に困難であるということが要件となっております。ですから、具体的には、例えばキャラクターが描かれたTシャツを着た子供がいて、それを親が写真に取る場合、これはキャラクターを除いて子供を撮影することは、こういうケースでは社会通念上客観的に困難でございますので、後に消去できるかどうかということとは別にしてやはりこれは権利制限の対象となるものという風に考えられます。で、こうした条文上の要件をどう考えるのかとか、詳しい主旨などについてやはり十分に周知することが重要だと考えておりまして、もし法案が成立しました時には、関係誌や関係の雑誌などやホームページなどにおける解説の掲載ですとか、セミナー、説明会の実施などといった方法を用いまして、可能な限り分かりやすい周知を図って参りたいと存じます。

石毛委員長:下村委員。

下村委員:この私的利用のための複製をどこまで認めるかなど、著作権に対する全体的な考え方を整理しておく必要がこの際あるのではないかという風に思います。文部科学省の見解をおうかがいします。

石毛委員長:河村次長。

河村文化庁次長:今委員からご指摘のございました、例えば私的使用のための複製、著作権法第30条でございますけれども、このあり方については例えばその、個人的にまたは家庭内その他これに準ずる限られた範囲内といった場合に、どこまでをその範囲とすることが、これだけ技術革新、様々な情報流通が進んでいる中で適当であるのかとか、使用する者が複製することができるとなっているんですけれども、その本人でなければ絶対にいけないのかという議論もございます。こうした様々な課題もございますので、権利者団体や利用者団体の双方の関係者からヒアリングを行うなどいたしまして、昨年の文化審議会著作権分科会でも、検討課題の整理までを行ったところでございます。これらの課題について今後必要に応じて検討に着手して参りたいと存じます。

石毛委員長:下村委員。

下村委員:いよいよこれからTPP交渉が大詰めとなって参ります。このTPPについては農業分野における関税撤廃が注目されておりますけれども、非関税障壁の撤廃という点から、参加国の国内制度を一変させる可能性もあるわけでございます。本日議論されている著作権を含む知的財産もその中に含まれるわけです。国内のTPPへの参加是非を巡る議論において農産物などの貿易問題が注目されておりますけれども、知的財産は実は農業分野を凌ぐ重要な課題であり、アメリカが真にターゲットとしている分野とも言えるところでございます。アメリカの輸出における知的財産分野及び農業分野、自動車分野を調べてみましたら、この知的財産部門においてロイヤリティ収入とライセンス収入の合計で日本円で約7兆円、それから金融サービスでは約18兆円を輸出しております、また農業分野では2兆円、それから自動車分野では約7兆円、ですからこの知的財産部門7兆円という額は大変な額でもあるわけでございます。この中で、この日米経済調和対話、これがアメリカ側の要求を、この日米経済調和対話を見ますと、このTPP協定交渉の著作権分野において、アメリカが我が国に対して、これから自公で修正案を提出することにもなっておりますが、このダウンロード違法化の全著作物への拡大、それから非親告罪化、これを求めて来るのではないかという分析もあるわけでございます。今回の自公の修正案ですね、音楽等の私的違法ダウンロードを処罰する規定を整備するということの中で、アメリカのこの要求に応じてですね、我が国の著作権法が大幅に変更されるのではないか、こういう懸念が一部にあるわけでございまして、これについてちょっと整理をしておきたいという風に思います。今回の、これから出すですね、自公の修正案、このことによって追加される著作権法第119条第3項の保護法益は著作権又は著作隣接権という私権であり、これらに対する侵害行為は著作者等の事後追認又は事後承認により適法化される性格を有するものであると、このため被害者である権利者の意志を無視してまで追訴することは適当でない、このことから親告罪としたところでございます。したがって、今回の、我々が出すこの修正案による、ダウンロード違法化の全著作物への拡大、また非親告罪化が行われることはないという風に考えているところでございます。一方、アメリカの著作権法には、日本のように、私的使用のための複製という制限規定はなく、他人の著作物でも公正な利用ならば著作権侵害ではないというフェアユースと呼ばれる規定がございます。日米経済調和対話などにおいても、アメリカは我が国においてフェアユースの導入は特に要求をしていないわけでございますが、これは貿易相手国にファアユースの下に著作権を柔軟に運用される可能性があるからでございまして、こういう点に留意せずに著作権にかかる法体系をアメリカの主張に沿って変更すればアメリカの知的財産権は厳重に保護されるが我が国における著作権の利用が現在に比べて厳しく制限されるという事態にもなりかねないわけでございます。TPP協定交渉参加に向けた協議などにおいて、このようにですね、我が国の国益が損なわれることのないよう対処する必要があるという風に考えますけれども、現段階においてですね、政府の見解、それから対応状況について文部科学省にお聞きしたいと思います。

石毛委員長:高木文部科学副大臣。

高木文部科学副大臣:ご指摘のとおりTPP交渉において、知的財産分野は大変重要だと思っています。それで知的財産分野の1つとして著作権関連事項が含まれているということはうかがっていまして、個別には、ご指摘のあった、著作権等侵害罪の非親告罪化ということについて議論をされているということは聞き及んでおりますけれども、具体的に現在どのような議論になっているかということについては、把握をしてない、現時点では把握をしてない状況でございます。仮に我が国が交渉に参加して、当該課題が検討される場合には、まさにご指摘のあったとおり、著作権の保護と著作物利用の円滑なこのバランス、それから我が国の国内状況等をよく踏まえた上で慎重に検討して、我が国として主体的に判断をして参りたいという風に考えております。

石毛委員長:下村委員。

下村委員:アメリカの土俵の上に乗ってですね、議論が進まないようにしっかり政府として対応をして頂きたいという風に思います。さて、日本レコード協会の調査によりますと、一年間に違法ダウンロードされるファイルの数は43.6億ファイルにのぼると推計されております。これは正規音楽配信のダウンロード数の約10倍のファイルが違法にダウンロードされているという計算になるわけです。また同じく日本レコード協会等の調査によると、違法にダウンロードされているファイルを正規に配信されている音楽の販売価格に換算した場合、約6683億円になるという風に推計されております。違法に配信されているファイルの違法ダウンロードは、例えばそれが音楽ファイルの違法ダウンロードであれば、1つにはアーティストの著作権やレコード会社の著作隣接権を侵害する行為であるということ、それから多くの人に繰り返しおこなわれること、このことによって音楽産業に多大な損害を与え、引いてはアーティストが次の作品を世に送り出すことが難しくなるということにもつながるわけでございます。こういうことから、自民党、公明党は、これから共同提案で音楽等の私的違法ダウンロードを処罰する規定を整備するための閣法の修正案を提出したいという風に考えております。で、まず、この修正案に対しては、私的使用目的で違法に配信されている有償の音楽、映像を違法と知りながらダウンロードする行為を処罰の対象とすることにより、インターネット社会の健全な発展が阻害されるのではないかという懸念が一部示されております。インターネット上に著作権を侵害する違法なファイルが次々に配信され、多くの人々がそれをダウンロードするような事態が生じていることについては憂慮すべきことであると、これは言わざるを得ないと思います。知的財産立国をかかげる我が国においては、このような事態に適切に対処することがインターネット社会を発展させる上でも非常に重要であるという風に考えます。そもそも、今回のこの修正案で罰則を課そうとしている、違法に配信されているものであることを知りながら有償の音楽、映像を私的使用目的でダウンロードする行為は、1つにはアーティストの著作権やレコード会社の著作隣接権を侵害する行為であるとともに、2つ目に多くの人に繰り返しおこなわれることにより音楽産業に多大な損害を与え、引いてはアーティストが次の作品を世に送り出すことが難しくなる、こういう行為であると、そのようなダウンロード行為が繰り返し行われる状況を放置している、そういうことの方がですね、むしろインターネット社会の健全な発展を阻害するということになるのではないかと考えますが、政府の見解をお聞きしたいと思います。

石毛委員長:平野文部科学大臣。

平野博文文部科学大臣:委員はこの関係のものについての議論の経過も十分ご理解を頂いていると思っております。今わたくしも委員から指摘されて1年間にダウンロードされるファイルの数がかなりの数になるということ、及び、ビジネスベースの換算をすると6000億円を超えてくると、こういうことでございます。そういう意味におきまして、委員ご指摘のように、わたしはやっぱりインターネットの著作物の違法流通に関する権利者の被害というのは深刻な状況にあると、こういう認識に立ってございます。そういう意味合いにおきましても、平成21年の改正法におきましても、私的利用であっても、違法配信と知りながらダウンロードするという行為は違法としていると、こういうことでございます。音楽産業の発展やインターネット社会の健全な発展のためには、このようなルールがきちんと守られる、こういうことが非常に重要であると、かように考えております。また、加えて、この著作権というのは、過去の歴史から見ましても、非常に技術の進歩と、権利と、あるいは保護と、こういう観点でいたちごっこのような状況に来ていることも事実でありますから、やっぱり我々としては、的確に権利者の保護ということをしっかり守っていかなければならない、その対応策が重要であると、こういう認識でございます。

石毛委員長:下村委員。

下村委員:ありがとうございます。これから出す修正案でございますけれども、この文言が、違法に配信されているものであることを知りながら有償の音楽、映像を私的使用目的で複製する行為、私的違法ダウンロードということでございますが、この解釈次第では、ネット社会全体の検閲につながり、警察の捜査権の肥大化を招く危険があるのではないかということを表明する人たちもおられます。さらに、罰則に実効性を持たせようとすると、かなり薄い嫌疑で個々の個人のパソコンを押収できるようにすることになるということになると、それは人々のプライバシー侵害をする、プライバシー侵害する度合いが大きいのではないかと、こういう危惧を持たれる方々もおられます。で、公権力である捜査機関のネットへの介入の典型としてプロバイダからアクセスログを提出させることなどがあげられると考えられますけれども、現在そのような行為は裁判官の発する令状に基づいて行われる、令状主義ですね、ですからいきなり入ってですね、介入すると、個人の自宅に入って回収するということはあり得ないわけでございますし、まして、この修正案においても、この令状主義の範囲内にあるわけでありまして、無制限に捜査機関のネットへの介入を認めるものではないわけでございます。この令状を要しないというような、介入の性質が変容するものではなくて、今までの令状主義の中できちっとやるものであると、したがって、捜査機関がネットへ過剰に介入するのではないかという懸念はあたらないという風に思ってますし、また、薄い嫌疑で個人のパソコンが押収され、プライバシーが侵害されるのではないかという懸念もあたらないという風に我々思っておりますが、一般論として警察から見解をお聞きしたいと思います。

石毛委員長:警察庁岩瀬生活安全局長。

岩瀬警察庁生活安全局長:お答え申し上げます。犯罪捜査は法と証拠に基づいて進められるものでございまして、サイバー犯罪捜査におきましてもこのことは当然のことでございます。したがいまして、今ご指摘のありましたように、捜索、差し押さえ等、証拠収集を行う場合には、裁判官から発布された令状に基づき行なっているものでございます。ご質問のダウンロードにかかるような犯罪というものについて、これがもし新設されまして、警察においてそのような捜査を行う場合でありましても、法と証拠に基づきまして適正捜査に努めて参りたいと考えております。

石毛委員長:下村委員。

下村委員:はい。それから、ネット上に配信されているファイルは違法なものと適法なものが、これが混在していると、そのため、利用者がどれが違法か適法か区別できずですね、ネット上の表現やネットの利用に萎縮効果をもたらすのではないか、こういう懸念を表明されている方々もおられます。今回の修正案においては、故意犯のみ、意図的に分かってですね、犯罪を犯す、こういう故意犯のみを処罰の対象としておりまして、構成要件に該当する客観的事実の認識が必要であります。したがって、ダウンロードしようとする有償著作物等が著作権又は隣接著作権を侵害して違法に配信されたものであると知っていることが必要でありまして、配信されているファイルが違法であるか適法であるかの区別がつかない場合については罪に問われないということでございます。また、今回これから出すこの修正案では、著作、有償著作物等を公衆に提供し又は提示する事業者に対し、違法に配信されているものであることを知りながら有償の音楽、映像を私的使用目的でダウンロードする行為を防止するための措置を講ずるよう努めることとなっておりまして、既に一般に浸透しつつあるLマークの普及等がなお一層進むことが期待されます。で、この事業者の措置にかかる規定は、罰則の規定よりも早く、公布の日から施行することとなっており、罰則の規定が施行するまでの間に利用するサイトが適法か違法かの区別が容易になることが見込まれるところでもございます。したがって、適法か違法かの判断に躊躇してネット上の表現やネットの利用に萎縮効果をもたらすという懸念はあたらないという風に考えますが、政府の見解をお聞きしたいと思います。

石毛委員長:高井文部科学副大臣。

高井副大臣:デジタル化、ネットワーク化の進展にともなって、著作権法が国民生活に深いかかわりを持つようになって来ている、それに加えて、著作権侵害について刑事罰が課される可能性があるということから、著作権法改正にあたっては、著作物の利用に過度な萎縮が生じないように、明確性の原則に十分留意することが必要という風に思ってまして、今回の改正の検討にあたっても関係省庁とも協議を重ねて慎重に検討を行なって参りました。で、平成21年の著作権法改正において、いわゆる違法ダウンロードについて、刑事罰ではないが違法としたと、その時にも違法サイト、今ご紹介頂いた、違法サイトを識別するためのLマークのような取り組みを推進をして参りまして、政府としてもこのような取り組みが広く普及するように、今後も支援して行きたいと思っております。

石毛委員長:下村委員。

下村委員:同様の罰則規定が諸外国では既に実施されておりますが、罰則規定どんな国でどんなことがあるのか、そして、このことによって罰則された事例があるのかどうか、諸外国の例をちょっとあげて頂きたいと思います。

石毛委員長:河村次長。

河村次長:違法な配信からの私的な複製行為、いわゆる違法ダウンロードに対しましては、アメリカですとかドイツなどでは、刑事罰の対象としておりますが、英国では、我が国と同様に、現在の我が国と同様に違法ではございますが、刑事罰の対象とはなっておりません。刑事罰の対象としている国における法定刑の定め方は、一律ではないんでございますけれども、今わたしどもの把握しているところでは、例えばアメリカの場合には1年以下の懲役10万ドル以下の罰金、またはその併科、両方合わせて課すということとされ、ドイツの場合には3年以下の自由刑又は額は定められておりませんけれども、裁判所が決する所定の額の罰金を支払う仕組みという風になっているものと承知をいたしております。で、これらに基づいて現実に刑事罰の対象となった事例は、わたくしども今のところは承知をいたしておりません。

石毛委員長:下村委員。

下村委員:あの、抑止力によって業界が健全に発展されますよう、またネット社会において正常な中で、我が国において発展がされますように、我々は同時にですね、それを目指しながら修正案を出して行きたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。以上で終わります。ありがとうございました。

石毛委員長:次に石井登志郎委員。石井委員。

石井委員(民主党):おはようございます。民主党の石井登志郎でございます。引き続き著作権法の改正について質疑をさせて頂きたいと思います。著作権法は日進月歩の技術開発、特にネット社会への対応等から、大変頻繁に改正が行われておりまして、数えてみましたが、平成に入ってから、これが成立すれば十四回目の改正ということでございます。平成に入ってから十四回目ですから、1年か2年に1回というすごいペースでございます。そして、前回はこの2009年でございますが、その際にですね、衆議院、参議院それぞれ附帯決議が様々なされたところでございます。今質疑された下村委員の中でもですね、その違法ダウンロードに関する件であるとか、もろもろ言及がありました。衆議院の2009年の附帯決議の中でですね、これを1つ1つ確認しているとこれだけで30分過ぎてしまいますので、一番ある意味わたしが大切だなと思いますのがですね、学校等における著作権教育の充実、国民に対する普及啓発活動、これについてがわたしは重要だと思っております。これに努めることと書いてありますが、この前ですね、ちょっとこの著作権ののりとは変わりますけれども、消費者庁の話で、コンプガチャと言いまして、わたしあの時単語を始めて知ったんですけれども、子供がカチャカチャと携帯をいじっておったら請求が何十万円も来たと、まあ、そりゃ子供は何も分からずに一生懸命やるわけですね、まさにそういう意味では、このダウンロードに関してもですね、今の下村委員の質疑の中でも知らなければ、まあセーフということであろうと思いますが、しかしいずれにしましても、こうした違法にダウンロードしてしまう、そして著作者の権利を知らず知らずに侵害をしてしまうことが健全な発展を阻害をしてしまうということが、やはり教えてもらわなければ分からないわけであります。そうした中で、特にこの著作権教育の充実という点に関してですね、この2009年の附帯決議に示されておるところでありますが、文部科学省としての取り組み、現状認識についておうかがいをしたいと思います。

石毛委員長:河村次長。

河村次長:委員からご指摘頂きました附帯決議の中には、学校等における著作権教育の充実や国民に対する普及啓発に努めることといったことがあげられております。で、こうしたご決議に対しまして、文部科学省といたしまして、各種講習会の開催や啓発教材の作成、提供などを通じまして、著作権に関する普及啓発を行なっているところでございます。具体的には、教職員の理解を深めるということのために、教職員を対象とした著作権の講習会によりまして毎年著作権制度の説明、小中高の教員による著作権を題材とした授業の事例発表などをおこないまして、これによって地域で中心となる教職員の育成に努めているということもございますし、また、ホームページを活用いたしました様々な資料の提供もおこなっているという対応状況でございます。

:石井登志郎君。

石井委員:これですね、大臣、やはりよくこの省庁と言いますか、ああいう答弁ではありますが、やっているかやっていないかというとやってるんです。ただ、やっているんですけれども、それが十分かと、著作権というそういう言い方が果たして中学生に浸透しているかというと、それは果たして十分でない部分があろうと思います。中学校の学習指導要領の中を見ると、例えば音楽、美術、技術課程そして芸術、様々なそうした教科書の中にそうした知的財産権そして著作権に対する記述等々あるようでございますが、こうしたことがあるから大丈夫ということではなくて、本当に浸透しているのかというのをしっかりと見て頂いて、そういう、そして今のまま単に、次長の答弁はあれはあれで結構なわけでありますけれども、是非この問題にですね、アンテナの高い大臣でありますから、指導力を発揮頂ければと思います。あの、一方的で恐縮です。それで、あの、続いてですね、またこの2009年の改正の際に附帯決議でありました、障害者のための著作物利用の円滑化にあたってしっかりと一層促進するようにというような項目がございます。この障害者にしてみますと、このIT技術と言いますのは、まさにある意味福音でございましてですね、そういう意味では、これが今まで触れることのできなかった文学に触れることができると、そういう素晴らしい側面があるわけでございます。2009年のその改正の際にはですね、37条3項改正によって法人格のあるボランティアグループは、文化庁に申請して認められれば、著作権者の許諾がなくても視覚障害者のために録音図書や拡大図書を作ることが可能になったと、これは大変歓迎をされているわけでありますけれども、一方でさらにもう一歩、個人で、こうした何と言うんでしょう、ボランティアをやっているような方はですね、法人格を持っていないとなかなかやりにくいというような声があるようでございますが、このことに関して現状の認識と、何か検討の方向性があるのであればお聞かせ頂きたいと思います。

:文化庁河村次長。

河村次長:委員からお話のございました、著作権法第37条第3項の規定に関して若干のご説明をさせて頂きたいと存じます。で、この著作権法第37条第3項により、視覚障害者等のための複製が認められる主体には、一定の条件を満たした者であれば、法人格のないボランティア団体であっても対象となることが実は可能となっております。この一定の条件は著作権法の施行令に書いてございますけれども、視聴覚障害者等のための複製等を的確、円滑に行うことができる、そういう技術的な能力を持っていること、それから経理的な基礎その他の団体としての体制を有することということを求めておりますけれども、そうした場合であれば、法人格がなくても大丈夫でございます。で、一方、個人についてのお尋ねでございますが、これはなかなか個別の視点を個人ということでは今の仕組みではできないわけでございますけれども、その志のある個々人のボランティアの方がある程度集まりましてグループを作り、一定の条件、さきほど申し上げました条件を満たせば、やはり現行法において主体として認められることが可能でございます。現にそうした録音ボランティアグループ、法人格がなくても指定をされている例がございます。で、こうした志のある多くの方が法令の規定に基づいて複製を行えるように、やっぱり今後もう少しこの主旨を広くお伝えすることが重要かなと、今の委員からの話も拝聴して感じましたので、周知指導に努めて参りたいと存じます。

:石井登志郎君。

石井委員:是非今おっしゃって頂いた通り周知等に努めて頂きたいと思います。わたしどもの方にやはり法人格がないと駄目というのはハードルが高いじゃないかと、ただ相談すれば道は開くんだと思います。ただ、それは法人格がなければ駄目と思い込まれている方もいらっしゃるのかと推察いたしますんで、是非そうしたことを周知、普及をして頂ければと思います。続いて、次これは厚生労働省におうかがいをいたしますが、インターネット上で点字図書や録音図書を視覚障害者に配信しているサピエ図書館というシステムがありまして、厚生労働省の方から補助金を毎年支払って運営をしているということであります。ただこの補助金だけの運営では大変限界に来ていると、視覚障害者から個人の会費を徴収しなければならない、もしくは盲学校、障害児の学校で有効活用したいんだけれども、年会費、これ4万円と聞いておりますけれども、これが工面できなくて十分に活用できる環境になっていないというところもあろうと思います。この点に関してですね、やはりそういう意味では、可能であるならば環境をしっかり整備して行きたいというような思いがわたしもあるわけですが、厚生労働省といたしまして、本件に関してのですね、認識と見解、方向性などあればお聞かせ頂ければと思います。

:岡田厚生労働省障害保険福祉部長。

岡田厚生労働省障害保険福祉部長:ご指摘のサピエでございますが、視覚に障害のある方々に対して点字であるとかそれから音声のデイジーデータと言われるデータ、そういった情報を提供する情報システムでございます。日本点字図書館がシステムを管理いたしまして、全国の点字図書館の集まりであります全国視覚障害者情報提供施設協議会が運営をして頂いているという状況でございます。厚生労働省といたしましては、日本点字図書館に対しましてサピエの運営に応じます費用を補助しておりまして、個人会員であります視覚に障害のある方々は無料でサピエが利用できるという形になっています。なお、サピエにつきましては、点字図書館のサービスを充実させるものでありまして、全国の点字図書館による共同運営をおこななって頂くという観点もございますので、全国の点字図書館の他、サピエの利用をおこなう公立の図書館、それから公共図書館であるとか私設団体の方々に年間利用料をご負担頂いているという状況でございます。今後、日本点字図書館に対する補助金をどう効率的、効果的に使って行くかというような観点から、サピエの運営につきまして、日本点字図書館、それから全国視覚障害者情報提供施設協議会など、先生のご指摘も踏まえまして、そういう点も含めて運営のあり方について相談して参りたいという風に考えているところでございます。

:石井登志郎君。

石井委員:この日進月歩の技術の進歩の時代でありますから、単に補助金を増やせということだけでなくて、今回国会図書館にですね、様々な図書館資料の、何て言うんでしょう、この電子納本の制度も整備されたというところであろうと思います。ですから、いい意味でですね、融合できるようなこともあろうと思いますんでですね、是非この技術の革新をドラスティックに、まさに障害者の利益に資するよな形で前に進めて行って頂ければと思います。次に、これは著作権法と少し外れるんですが、ネットの利用とですね、著作権の整備、最終的に著作権法の35条の方にまた行く訳ですけれども、ちょっと外れまして、免許外教科担任に関してですね、少しお話をさせて頂ければと思います。

(中略:免許外教科担任やインターネットを使った教育に関する質疑応答。質疑の中途で平野大臣が退席)

石井委員:関連して著作権35条に関して1点おうかがいをしたいと思います。教育に関する著作権の制限規制を整備、これは平成15年の改正でされたところであります。その後、著作権法第35条ガイドラインというのが、関連の主に著作権者の皆様方が中心となって作られたと、どういうのが良くてどういうのが良くないかということについてガイドラインが作られたということであります。その中でですね、そのガイドラインの前に1点おうかがいしたいのがですね、この第2項関係でですね、つまりこのeラーニングの授業をやる時に、つまり同時送信の時だけよろしいというようなこれ規定なんですが、これを何と言うか録画の方でも、録画をしている場合でもですね、この著作権法35条の規定に準じて著作権が制限されないというような道を開いてくれたらより幅が広がるというようなことを言う仲間がおるんですが、この同時に送信を受けるものに対して公衆送信を行うことができるというところが引っかかっているわけですけれども、これに関してですね、検討状況もしくは何かご所見があればですね、お聞かせ頂ければと思います。

石毛委員長:河村次長。

河村次長:同時中継による遠隔授業のみならず、eラーニングの場合にも著作権者の許諾なく著作物の送信を行えるように、例えば著作権法を改正してはどうかということについては、これまでも文化審議会著作権分科会において審議はされて参りました。で、この審議会の議論では、権利者、その送信される著作物の権利者の立場から、基本的には個々の利用許諾契約によって対応すべきではないかと、で、著作権者に許諾なく行えるようにすることは現時点では必要以上に著作権者の利益を害するという懸念が示されております。で、このために、eラーニングの実態等を踏まえて権利者や学校教育関係者ともさらに検討をおこなって行くことが現時点では適当と考えているところでございます。

石毛委員長:石井委員。

石井委員:このガイドラインにしてみても、今の答弁にしてみてもですね、重要なことなんですが、著作権者の立場が何か強いんですよね、もちろん著作権者の立場が強いんです、強いんで守らなきゃいけない部分は守らなきゃいけないんですけれども、ただ、わたしが先般、高井さん、あのアメリカのですね、フィラデルフィアにあるフューチャースクールというところへ行きました。そこに行きますとですね、生徒一人一人に対して教材をカスタマイズしてですね、そしてほとんどバウチャーをもらっているような、そういう何と言うんでしょう、貧困の地域ですけれども、しかしITというツールを使うことによって、何て言うんでしょうね、その学びの意欲が大いに高まっているわけです。それは今文科省でやっているようなデジタル教科書ができたとかそういう話ではなくてですね、それぞれが教育のために世の中に転がっている様々なそうしたものを組み合わせてそして教育に資するというようなことをやっているわけであります。著作者の権利を守るということが重要である一方で、このインターネットという特性を活かして、より前向きにプログレッシブにですね、対応できるようなことも、是非副大臣、次長ともにお考えを頂ければと思います。ちょっと時間がなくなって参りましたので、後2点淡々とおうかがいしたいと思います。先ほど下村委員の中でもありました、このTPPと著作権に関して1点端的に高井さん、副大臣に所見を確認したいと思います。これよく言われておりますのが、今回議論になって行けばですね、この著作権の保護期間、死後50年というのが我が国でありますけれども、映画は今70年になってますが、他のものは50年ということであります。この50年と70年とどっちがいいのかなと、日本の漫画のことを考えると70年がいいのかなと、ただミッキーマウスのことを考えるとこれ50年の方がいいのかなと、いろいろ考えるんですけれども、どっちですか。

石毛委員長:高井文部科学副大臣。

高井副大臣:あのー、これは本当に両面あると思います。保護期間について延長すべきという意見として、漫画アニメ等の海外での使用にあたって保護期間の延長されることによる国際収支の改善が見込まれるということや、保護期間の延長により収益の増加が見込めるものであるとすれば創作へのインセンティブとなると、そうしたことから延長すべきという意見もございます。ただ、一方この延長に反対する意見としては、国際取引の収支が赤字である中保護期間の延長によって輸入超過の傾向が続くこととなるのではないか、それから著作物が公用となることによって当該著作物の利用の拡大等が逆に図られなくなるという風な、まさに両面本当にいろんな意見がございます。で、双方ともわたくしは傾聴する点があるという風に思ってまして、国益の観点からただちにどちらかという結論を導くということは難しいと思っておりますが、少し今後とも関係者との意見を重ねながら、より国際的な状況も踏まえた上でしっかり検討して行きたいと思います。

石毛委員長:石井委員。

石井委員:今度会った時には高井さんの意見をまとめておいて頂ければと思います。最後に奧村副大臣1点、著作権法と全く関係ありませんが、是非この機会におうかがいしたいと思います。

(中略:海洋研究開発機構の交付金に関する質疑応答)

石毛委員長:次に池坊保子委員。池坊委員。

池坊保子委員(公明党):おはようございます。公明党の池坊保子でございます。著作権法の一部を改正する法律案について何点か質問させて頂きたいと思います。今日ではインターネットが急速に普及して参りました。スマホと言われるようなスマートフォン、この登場によって24時間いつでも世界のどこにいても簡単に映画や音楽を楽しむようになれる、つまり誰もがある意味気楽に文化、芸術に親しめる環境、時代になって来たということは、今を生きているわたくしとしては幸せだなという思いがいたします。でも、そういうことは同時に著作物を巡る環境も急速に大きく変貌を遂げているということでもあって、こうした環境の変貌に著作権法も法制もしっかりと対応することが求められているのが今日の現状ではないかと思っております。で、著作権法の第1条には、文化の発展に寄与すると書かれておりますから、何よりも文化の発展に寄与するようなきめ細やかな著作権法でなければならないと思います。で、先日大臣からの提案理由説明では、著作物等の利用の円滑化を図るとともに著作権等の適切な保護を図るため、必要な改正を行うとのことでございました。で、それを読んだだけでは、そしてこの法律を読んだだけでは本当にちんぷんかんぷんの方が多いと思うんですよね、で、わたくしは説明を聞きました、本当にこういうことなのか、なかなか面白いな著作権法というのはと思いまして、以来わたしは講演なんかでよく皆様方に説明するのですが、まずおうかがいしたいのが著作物の利用の円滑化という観点からおこなわれるいわゆる写り込みなどにかかわる規定の整備です。今回の法案では、著作権者の許諾がなくても自由に利用できる範囲についていくつかの条文、4つの条文というのがあげられております。30条の2の付随対象著作物の利用、30条の3の検討の過程における利用、30条の4の技術の開発又は実用化のための試験の用に供するための利用、47条の9の情報通信技術を利用した情報提供の準備に必要な情報処理のための利用、これ委員長もお分かりになりますか。これだけ聞いただけでね、ぱっと分かる方はわたしよっぽど専門家なんだと思います。ですけれども、法律というのは一人でも多くの方に理解してもらわなければならないわけです。で、今回の改正で、何が具体的に自由利用の対象となるのか、そしてそれをどうなって行くのかということをちょっとご説明頂けたらという風に思います。で、先ほど説明を求めた内容はデジタル化、まずこれについてはいかがですか。

(ここで、平野文部科学大臣が戻って来る。)

石毛委員長:高井文部科学副大臣。

高井副大臣:おっしゃる通りだと思います。この条文を見ると、本当著作権用語とでも言うべきワードが並んでいて大変読んですぐにすっと頭に入るという感じではわたくしもございませんでした。で、ご指摘のこの30条の2、それから3、4、47条の9条という風なことを少し丁寧にご説明したいと思いますけれども、著作物の利用の円滑化を図るというために、権利者の利益を不当に害しない著作物の利用であっても形式的には違法となるというものについて、権利の侵害とならないということを明確にしようとしております。30条の2では、例えば写真撮影の際に背景に有名なキャラクターが写り込む行為とか、キャラクターが写り込んだ行為を自分のブログに載せてインターネットで送信する行為などが対象となります。30条の3は、例えばある企業がキャラクター商品の販売を検討する過程の中で、例えば会議のために用意した企画書にキャラクターが載っているという行為などが対象となります。また30条の4は、例えばある企業が録画機器を開発するために実際に録画を試験的に行うという行為などが対象となると、最後にその47条の9は、例えば動画配信サービスとかSNS、ソーシャルネットワークサービスなどで、データを高速処理するために行われるサーバー内でのデータの大量複製行為などが対象となり、これらを要するに法改正により適法であるということを明確化しようとする法改正でございます。で、こういうことをホームページの活用とか自治体での説明会の実施を通じて可能な限り分かりやすく説明するために努力して参りたいと思います。

石毛委員長:池坊委員。

池坊委員:ありがとうございます。今までだったら会議があって、ディズニーランドのキャラクターを使っちゃいけなかった、これからは拡大されるから、それはいいよと、だけどそれを一般的に流したりしてはいけないよと、そういう種類のことが多いということですよね。で、先ほどご説明を求めた内容は、デジタル化、ネットワーク化の推進の中で、様々な産業のいろんな場面で著作物を利用する機会が増え、誰もが気楽に著作物を利用できるようになっているという点において、わたくしは大事な規定だと思うんですね。しかし、著作物の流通の促進という観点からは、まだまだ十分ではなくて、著作権者の許諾なく自由に利用できる場面について目的を限定するのではなく、自由に著作物を利用できる場面かどうかは、いくつかの考慮要素に基づいて司法が判断して決めるような、いわばアメリカ型のフェアユース規定、米国著作権法第107条のような規定をおくべきだという声も聞かれているんですね。で、今回の一連の規定も、こうした声をきっかけに検討が進められた結果であるとわたくし思っておりますけれども、このようなアメリカ型のフェアユース規定をおくということについてどのようにお考えか、大臣お帰り早々でお大変かも知れませんがご答弁頂けますでしょうか。

石毛委員長:平野文部科学大臣。

平野大臣:今、池坊先生のおっしゃられたように、わたくしはいろんな意味において権利の保護があって始めていろんなものが発展して行くと、こういうことだと思っております。特に、この文化ということにあっては、やっぱりそれぞれ芸術を営んでおられる方々がやっぱり創作意欲と同時にしっかりと権利で守られているということが基本前提であり、その結果の結論として文化活動が活性化して来ると、こういう理念でございます。そういう中で、アメリカ型のフェアユース規定が今アメリカにはありますが、日本にはおかれていないということでございますが、先ほど申し上げた通り、しっかりと、先ほど申し上げましたように、先生も華と、そういう中での創作活動をやっておられる方でございますから、そういうことをしっかり踏まえた上で、これだけ今日科学技術の進展、特にデジタル技術の進展にともないまして、権利とその技術進歩のミスマッチがやっぱり起こって来ているということでございますから、しっかりとしたそういう規定を適切に対応して行く、こうしたことが非常に大事だろうとわたくしは思っております。したがいまして、先生が今おっしゃられたような部分では、いろんな場面で著作物が利用されていると、こういうことでございますし、いくつかの著作物の利用場面を特定せず自由に利用される、こういうことは、司法の判断というのは、こういうことも今先生のご案内の通りでございます。しかし、アメリカのフェアユース、こういう概念の部分で行きますと、百数十年という長い歴史でいろんな経過を積み上げて来た結果のものだと思っておりますし、また、我が国の実法定主義と、こういう考え方の部分と少し違うような気がいたします。したがいまして、わたくしは我が国への導入というのは非常に難しいという風には思っておりますけれども、しかし一方でそういう権利者の保護と、こういうところをしっかり守って行かなければならないと、かように今思っているところです。

石毛委員長:池坊委員。

池坊委員:わたくしも大臣と同じでございます。国民の知的財産に関する権利意識がわたくしはまだまだ極めて低いのではないかという風に思っております。文化がこれから活性化して行くためには、やはりしっかりとした権利が守られなければ誰も文化活動をおこなって行かないとわたくしは考えておりますので、検討しながら、より前進的に、権利、様々な分野における知的財産の権利者の権利が守られるべきである、それがわたくしは消費者にとっても長い目で見ていいことであると信じてやみません。で、これまでの質問は著作物の利用の促進という観点からの規定についての問題提起でございましたが、今回の法案ではもう1つ音楽や映画といった著作物の違法利用、違法流通対策の観点から、技術的保護手段の見直しを行うという規定が盛り込まれております。そこで大臣の提案理由説明にもございましたように、今回の法案では、DVD等に用いられている暗号型技術を技術的保護手段の対象に加えるとのことですが、そもそも暗号型技術とはどういったものなのか、そして、技術的保護手段の対象に加えることでどのような効果をもたらすのかをお答え頂けますでしょうか。

石毛委員長:高井文部科学副大臣。

高井副大臣:今回ご指摘のあったとおり、この暗号型技術を対象とするということで、暗号型技術とは、コンテンツ提供事業者が映画などのコンテンツを暗号化して、そして機器での視聴とか複製を、勝手に複製をさせないようにすることも含めて、ちょっと何回かにするとか、コントロールするという技術であります。で、現在DVDとかブルーレイディスクなどに一般的に用いられておりますが、この暗号型技術というものの回避を可能とするプログラムを頒布する、広げるということを刑事罰の対象とするということであります。このことによって、この暗号型技術というものを不正に回避して複製を可能とするプログラムが広がって行くことを防ぐと、そしてこのようなプログラムにより作成された、不正に作成された映画などの違法物、違法な複製物が瞬時かつ広汎にネット上に広がって行くということを防ぐということを狙いとしております。

石毛委員長:池坊委員。

池坊委員:現在主流となっております著作権保護技術をこうむるようなプログラムをしっかりと押さえなければ、海賊版と言われる、音楽、映画などがインターネットを通じて流通してしまいますので、今回の法改正でしっかりと対応して頂きたいとわたくしは願っております。わたくしは、丁度もう何年になるんでしょうか、文部科学委員長をしておりました時に、その海賊版の逆輸入ですね、日本にやって来ちゃう、それを防ぐための刑罰などを作りました。その時は本当に消費者の方が安く手に入ればいいんじゃないかって、こういう意識があって反対の声もあったのですが、そうじゃないと、しっかりと守るべきものは権利としてしっかりと守って行く法律を作らなければいけないのだと、そういう信念を持っておりましたので、これをおこなったことを、今ご答弁頂きながら思いました。しかし、その一方でこうした著作権保護技術をこうむるようなプログラムが規制されてしまうと、他の権利制限規定で許されている複製、例えば学校の授業でおこなう場合あるいは障害者の方が利用する場合に、技術的保護手段を回避しての複製が結果的に困難になってしまうのではないかと思うんですね。で、このことについては、障害者関係の方々とか、学校現場の方々にはそういう危惧もおありになると思いますけれども、これはいかがでしょうか。

石毛委員長:河村次長。

河村次長:技術的保護手段についての回避規制、それを回避するためのプログラム規制によって事実上そうしたプログラムが出回らなくなってしまう、そうしますと別の障害者や教育の目的で本来使うことができたはずの人たちまで使えなくなってしまうと、そういう効果が生じるという懸念はおっしゃる通りかと存じますので、そこは権利者と利用を必要とする人たちの橋渡しを、わたくしどもとしても何らかの場を設けて行くというような工夫、努力をして参りたいと存じます。

石毛委員長:池坊委員。

池坊委員:この知的財産の権利を守るということは、ある意味で消費者と深くかかわっておりますので、消費者にもそれぞれの立場の方々がいらっしゃいます。ですから、それらのことをやはり考慮しながら、学校現場においてあるいは障害者の方々などが困らないようなことにも目配りをして頂けたらと思います。で、著作権保護の観点から著作物の違法利用、違法流通の元を絶つためには、暗号型技術を技術的保護手段の対象とすること自体は有意義であると思いますが、このことによって、先ほど申し上げたような教育の現場や福祉の現場で混乱がおきてはわたくしはやっぱりならないと思うのですね。ですから、それはきっちりと守って頂きたいと思います。で、もう1つ著作物の違法利用、違法流通の観点から看過できない問題が今起こっているのではないかと思います。それは人気作家の小説や漫画が違法に複製されて、あっという間にインターネット上で流通しているという問題なんですね。で、小説や漫画も、当然のことながら日本の大切な文化です。しかし、こうした小説や漫画といった出版物の権利侵害に対しては、有効に対処できていないのが現状です。例えば小説家が個人で訴訟を起こそうとしても大変な労力が必要となるために、つい二の足を踏んでしまうということがあるということを、失礼いたしました、ちょっと水がこぼれました、これはちょっとカットしておいて下さい、関係者の方々からうかがっております。で、小説家の方々が連名で著作者の権利を守って欲しいというようなことも署名していらっしゃるんですね。で、確かに物をお書きになる方って、訴訟なんてことは苦手な、そういう環境の中にいらっしゃいます。ですから、それをもし出版者が代行してくれたらいいなと、ところが出版者っていうのは訴えられることがあっても訴えることができないということになっております。で、また、こうした出版物の違法流通は、それを世の中に広く送り出している出版者に大きな打撃を与えております。今申し上げたように、出版社に何ら権利がないためにこのような出版物の違法流通に対応できていないというのが問題なんではないかと思います。一生懸命作りましたわたくしの一冊の本が、ばっとこう何と言うんですかしゃ断されましてね、そしてがっとこうインターネットになって、それをまた組み合わせて安くて10分の1くらいで売られてしまいますと、何か涙が出るほど悲しいというような気がいたします。で、わたくしは出版者にも何だか権利を認めることによって、こうした出版物の違法流通に対応する必要があるのではないかという風に考えておりますけれども、この点については、大臣、どのようにお考えでいらっしゃいますか。

石毛委員長:平野文部科学大臣。

平野大臣:今池坊先生のおっしゃられた一番の大きな問題というのは、ご質問は、作家の権利という部分と、その作家が創作した物を出版社がマーケットに出していると、こういう中にあって、侵害をされた時に、作家自身が本来権利者ですから、権利要求をすると、これが非常に面倒くさい、面倒くさいという表現がいいかどうか分かりませんが、作家の活動に専念できないと、しかし、一方、じゃあ出版社がそれを代行してやるというのは何の権利でもって代行するのかという、こういうことなんだろうという風に思います。したがいまして、そういう出版社に何らかの権利を認めて行くべきではないかと、こういうご意見があることも承知をいたしております。先生はこういうご趣旨で、権利を認めて行くべきではないかと、こういうことでございます。したがって、一方では出版社に作家と同じ著作権ということを新たに設けることについても、一方ではそれはいかがなものかという慎重なご意見もあることは事実でございます。したがいまして、文科省としては、こういうご議論があるということがございますので、調査研究をこれからしっかりすると、それで何らかの法制面からの対応ができないかと、法制面的にどう言うかわたし分かりませんが、間接侵害みたいな部分を含めてですね、法制面で対応できないかどうかを今検討しなければならない、いずれにしましても、著作権者がしっかりとした権利が担保できるということが基本にあっての対応をしていかなきゃならないという風に考えております。

石毛委員長:池坊委員。

池坊委員:1つの出版物ができるまでには長い年月を要します。それは著作者だけでなくて、出版社も校正を重ねたり、編集者との打ち合わせとか様々な作業が必要なんですよね。で、それを経て1冊の本ができあがっていく。で、それが安く読めたら消費者にとっては大変嬉しいことではあります、ありますが、じゃあその元の権利がちゃんと保存されなければ、例えば卵はわたくしたち安い方がいいですよね、安くて手に入りたい、手に入れたい、ですが、卵を産む鶏が死んじゃったら、これは卵は産まれないんですよ。それを思いますと、やっぱりきっちりとした権利が守られてこそ、わたくしは、いい卵を産むその鶏の部分がね、もう滅亡しちゃったならば、卵すら手に入らない、だから、消費者がいい卵を手に入れるためにはまずこのいい鶏を飼わなけりゃいけない、まずこの保護が必要じゃないかとわたくしは思っておりますことを申し上げておきたいと思います。それから1点、TPPに関する著作権について、ちょっとおうかがいしたいんですけれども、政府が交渉参加をしているTPPと著作権法の関係についてちょっとおうかがいしたいんですね。で、TPPって21分野が交渉の対象となっております。わたくしどもが目にするのは農産物に関する貿易自由化といった観点、これがあまりにもわたくしは議論になりすぎているのではないかと思います。で、著作権を含む知的財産権も21分野の中によく見ましたら出ているんですね。で、これは著作権については、著作権の保護期間の延長、アクセスコントロールの回避規制などが議論の対象になったと報道では見ております。で、場合によっては我が国の著作権制度の変更をともなうことも考えられるのではないかとわたくしは思います。で、この報道が正しいものであり、こういった制度の変更がなされるのであれば、我が国の著作権制度、ひいては文化政策自体にとっても大きな影響を生じるのではないかと思います。一方、その具体的な内容についてははっきりしたことは示されておりませんので、わたくしたちも議論したくてもできない状況下におります。わたくしは、TPP交渉の中で経済的な視点のみを重視するのではなくて、文化的な視点がないがしろにされないことも、ないがしろにされないか心配しているんですね。経済的な農産物のことなどにみんなの目が行って、そこで大きな流れになって行く中にあって、ふと見たら文化的な視点がそのままTPPの中に織り込まれていると、で、著作権は経済的な視点もさることながら、我が国の文化の保護、発展といった視点から考えて行くべきであると考えております。そのために我が国の文化の価値や重要性について理解している我々日本国民が、国内における議論を十分におこなう必要がある、特にその関係に携わっていらっしゃる方々のご意見なども聞く必要があるという風に考えております。で、文部科学省においては、国内の議論が十分におこなわれるよう、関連情報を適切に公表して頂きたいとわたくしは希望しております。で、TPPにおける著作権制度にかかわる部分について、文部科学省として把握されている内容と、TPPに対する対応方針についておうかがいできたらと思います。合わせて、より広い視野で見た時に、TPPへの参加が我が国の文化芸術に与える影響について、文部科学省としてはどのように考えていらっしゃるのかもちょっとおうかがいしたいと存じます。

石毛委員長:平野文部科学大臣。

平野大臣:先ほど下村議員からもこのTPPに関する議論の状況についてということでご質問ございました。で、特にこのソフトの部分という部分で行きますと、マーケット的に言っても7兆円ぐらいあると、こういうご指摘も頂戴をいたしました。で、文科省といたしましても、昨年11月に発表いたしましたTPP協定交渉参加、この協議を開始すると、こういう方針が出されたわけでありますが、関連する分野情報については今現在収集をいたしているところでございます。加えて、具体的にどういう議論がされているかということについてはまだ十分承知をいたしておりませんけれども、文科省のこの関連に関して行けば、知的財産権分野における著作権関連事項と、こういうことに1つはなろうと思います。もう1つは越境サービス分野における教育サービスの関連分野等々のものがあると考えております。先ほど池坊議員からございました、アメリカとの関係で、海賊版の話、わたしは非常によく承知をいたしております。議員が委員長の時だったと思いますし、わたしは野党の筆頭でございました。あの、党内にもいろいろご議論がございましたが、積極的に委員長の言う通りに対応したつもりでございます(周りで笑い)。したがいまして、わたしはこの問題というのは第一に国益と、やっぱり我が国の文化と、こういうことをしっかり踏まえて、特に著作権保護の観点から模造品とか海賊版の対策強化をしっかりするということを考え、具体的な交渉の中にあっては、我が国の国内の事情を十分に踏まえて判断をしていかなきゃならないと、このように文科省としては思っております。

石毛委員長:池坊委員。

池坊委員:いつも平野文部科学大臣には文化に対しての、文化芸術への力強いご理解とご支援を頂いていることに心から感謝しておりますし、わたくしが委員長時代に本当に党内をまとめて頂くのにご苦労して頂きましたので、わたくしはそのことをしっかりと心に刻んでおりますので、大臣に頭が上がらないという思いが今もしております(周りで笑い)。で、これで最後になりますけれども、これは著作権に関することに対して、あの、大臣のご決意をうかがったらという風に思っております。で、先ほども申し上げましたけれども、第1条に文化の発展に寄与することというのが規定されております、それがこの著作権法のわたくしは目的ではないかと思います。でも、今日ではそれだけではなくて、いわゆるK−POPや韓流映画などが象徴していますように、日本の音楽、映画などがより一層広く海外で受け入れられ浸透して行けばそれだけ日本のファンが増えることになり、大きな収益にもなって行くと思うんですね。やはり文化が果たす経済的力、それからやっぱり人類のこの感性の問題で、何か心の絆ということも見逃すことはできないと思います。で、日本のこうしたコンテンツの振興、文化の振興について、今後どのように取り組んでいらっしゃるかご決意をうかがって、あのわたくしの質問を終わらせて頂きたいと思います。

石毛委員長:平野文部科学大臣。

平野大臣:わたくし先ほど少し席を外しておりましたので、お聞きしておりませんが、池坊議員の方から、著作権法第1条の理念について全て語っておられるという風にお聞きをいたしました。わたくしやっぱり文化活動というのは、わたし非常に大事であると、しかし大事であるが故にきちっとした権利を守るというこの意識をやっぱり啓発しなきゃいけませんし、我が国国民全体がやっぱり持たなければならない。しかし一方、科学技術の進展、デジタル技術の進展、情報化時代に入って来る、権利の保護の範囲が、より技術が先に行くと、こういういたちごっこのような状況にありますが、やっぱり所管をする文部科学省といたしましてはしっかりと著作権者の権利をしっかり守ることによって文化活動のより発展に寄与したいと、かように考えております。

池坊委員:力強いご決意ありがとうございます。それでは終わらせて頂きます。

石毛委員長:次に宮本岳志委員。宮本委員。

宮本岳志委員(共産党):日本共産党の宮本岳志です。政府提出法案はいわゆる写り込み等にかかる制限規定の改正、国会図書館や国立公文書館の利用にともなう権利制限、著作権等の技術的保護手段にかかる規定の整備などいずれも必要なものであり、我が党も基本的には賛成できるものだと考えております。ただ、1点だけ確認をいたしたいと思います。今回の政府案には写り込み等の制限規定が設けられておりますけれども、これらの法改正は写り込み等ある程度事例を限定した上で、現行では形式的に違法となる行為を容認しようとするものであり、現実の利用実態を踏まえたやむを得ないものであると考えます。しかし、これも当初は日本型フェアユース規定の整備ということで検討が進められ、権利者側からは一般規定の導入には異論がありました。そこで確認するんですけれども、今回の規定で、例えば会議資料として新聞記事を大量にコピーしたり、新聞記事の全文をネット上で引用したりする行為が容認されるものではないと思うんですけれども、これはご確認頂けますか。

石毛委員長:平野文部科学大臣。

平野大臣:宮本議員もよくご理解を頂いた上での確認事項だとわたくしも思っていますが、委員ご質問の新聞記事の各利用行為、いずれもいわゆる写り込み等に関する規定の要件を満たすものではない、こういう行為が、本行為が本改正法により適法となるということではございません。こういうことでよろしいでしょうか。

石毛委員長:宮本委員。

宮本委員:今後も一般規定のありようについては議論が続くと思うんです。関係者間でよく議論して慎重に進めて頂きたいと思います。前回の著作権法の改正時に、つまり2009年5月8日の当委員会で、我が党の石井郁子議員が私的録音録画補償金制度の問題を取り上げました。私的録音録画補償金制度はですね、利用者の録音行為を認めつつ、権利者がこうむる不利益を補償する目的で1992年にスタートし、20年が経過しました。この間、デジタル式の録音録画機は様々な形態の機器が開発をされまして、急速に広がり、デジタル複製が誰でも容易にできるという状況になっております。当時の塩谷大臣は石井議員の質問に答えて、全ての利用形態について補償金制度に代わる制度が導入できる環境にないと、現状においては新しい制度がただちに補償金制度に取って代わるという状況にないとしてですね、現在の制度についても意義があると答弁をされておりますけれども、現在でもこの補償金制度の評価は変わっておりませんね、大臣。

石毛委員長:平野文部科学大臣。

平野大臣:今委員ご指摘の補償金制度の意義、これについては変わっていないのかと、こういうご質問でございますが、この私的録音録画補償金制度と、こういうことでは、特に機器の開発、普及によって家庭の中で録音録画が大量におこなわれるようになったと、こういうことから、利用者の録音録画行為を認めつつ、権利者のこうむる不利益を補償すると、こういうことで平成4年に導入された制度でございます。その後、著作権保護技術の導入やパソコン等など録音録画以外の用途に用いられる機器等の普及など録音録画の実態の急速な変化、進展にともないまして、制度の見直しが求められておるわけでございます。これまで文化審議会で検討がおこなわれて来ておりますが、まだ結論を導いておりません。平成21年当時の答弁の通り、補償金制度については見直しが求められている、こういう意味では過渡的な時期においてなお一定の意義が有していると、こういうことでございます。

石毛委員長:宮本委員。

宮本委員:見直しが続けられているが、現状で同じ意義を有していると、こういうことでありますね。この制度の現状なんですけれども、今日は資料をつけておきました。資料1を見て頂きたい。資料1は私的録音補償金の推移であります。2001年度の40億円あまりをピークにして、激減をしております。あの、これは文化庁に確認しますが、どうして私的録音補償金の額はこんなに激減をしておるのですか。

石毛委員長:文化庁河村次長。

河村次長:私的録音補償金の額の減少は、補償金の対象となっていないiPodなどの新たな録音機器等に需要が移って参りまして、補償金の対象である、MDプレイヤー、CDプレイヤーなどの機器や、それに用いられる媒体の販売数の減少にともなうものとわたくしどもは理解しております。

石毛委員長:宮本委員。

宮本委員:新しい機器になかなか対象が広がっていないと、資料の2を見て頂きたい。私的録画補償金、これの推移をつけておきました。これはおおむね20億円前後で推移をして横ばいとなっております。これも文化庁におうかがいするんですが、この私的録画補償金は今後どのような見通しになりますか。

石毛委員長:河村次長。

河村次長:平成22年度、23年度に権利者へ分配されました、私的録画補償金の額は、はい、ほぼ横ばいとなっておりますけれど、今後メーカーが支払いを停止しているアナログチューナーを搭載していない録画機器が販売の中心になることから、減少して行くことが見込まれております。

石毛委員長:宮本委員。

宮本委員:そうなんですね。メーカーが支払いを停止するってことが起こり、今訴訟もやられているようですが、これからこれは減っていくわけですね。現在においても意義ある制度というんですけれども、現状は補償金の額が激減し、もはや崩壊寸前という状況になっております。で、もちろん、対象機器がMDなどの今やもう誰も使わないようなもの、録音で言えばそういうものしかないという状況もあるわけです。それで、知的財産推進計画では毎年見直しが言われておりますし、当委員会でも前回、2009年改正の際に、特に私的録音録画補償金制度については、国際的動向や関係団体等の意見も十分に考慮し、早期に適切な結論を得ることと全会一致の附帯決議までしているわけですね。しかし、この2年間ほとんど検討が進んでいない。これはどういう理由ですかね、大臣。

石毛委員長:平野文部科学大臣。

平野大臣:この制度の見直しについてと、こういうことで附帯決議が課せられております。それを踏まえて、審議会では平成18年から3年間、検討を行なって参りました。特に、この経過の中で、権利者とメーカーの意見対立が起こっておりまして、合意の形成に至っていないと、こういうこと、また、平成21年1月の報告書では、審議会を離れた意見交換の場を設けるなどして関係者の合意形成を目指すということが必要であるという風にされております。その後、文科省としては、関係省庁でございます、経済産業省との事務レベルにおける合同検討会、こういうこともおこなって来ました。また、関係者に対しても、意見交換の場への参加も呼びかけて来たわけでありますが、その支払いを、先ほどもございましたが、拒否をしたと、こういうことで民事訴訟が提起され、現在最高裁で係争中と、こういうことでなかなか関係者の協力が得られていない状況にあると、こういうことでございます。しかしながら、合意形成が得られるように今後とも引き続き努力はして参りたいと、かように思います。

石毛委員長:宮本委員。

宮本委員:訴訟があるということでありますけれども、争われているのは録画補償金の部分であって、録音の部分については争われていないんですね。でまあ、今商品名も出ましたが、携帯オーディオレコーダーなど新たな補償金制度に組み入れることが必要な利用形態が広がっていると、これもしっかり見直す必要があると思うんですね。わたし、少なくともこの録音の部分だけでもですね、やはり見直しを進めるべきではないかと思いますけれども、大臣のご見解をお願いいたします。

石毛委員長:平野文部科学大臣。

平野大臣:録画の部分だから、録音だけでもいいんじゃないかと、それだけでも進めて行くべきだと、こういうご意見だと思いますが、実態の変化にどのように対応するかと、こういうことに対しては録音録画に共通する問題であるわけですから、録音だけを切り離して、やっぱり委員ご指摘のように、そこを先行してそれをやったらどうだということですが、それを録音だけを取り出してやるというこの検討については、なかなか困難性がともなうと、このように認識しております。

石毛委員長:宮本委員。

宮本委員:メーカーが拒否しているってのは、わたしはとんでもないことだと思うんですね。この制度の導入に至るですよ、15年に渡る長い議論の中で、当時JASRAC理事長であった芥川也寸志さんが1988年8月著作権審議会の第10小委員会に提出した意見書「私的録音録画問題と報酬請求権の導入について」という、この文書をわたくしも読ませて頂きました。あの、そこではこう述べられております。「詩人や作曲家たちが音楽を作り、演奏家の皆さんがその音楽を世に送り出します。その受け手は聴衆であり、視聴者であり、ホームテーピングする人たちです。この3者の輪の交流こそ音楽の営みであり、その中で音楽文化は生きて発展して行くのです。作り手、送り手、受け手という循環の中にこそ音楽の営みが存在するという原理は、遠い昔も、科学技術が発達した今日、また将来とも変わりないはずです。この制度によってユーザーの自由は確保され、しかも著作権者等の権利侵害の恐れがなくなるという優れた工夫なのですが、メーカーの方々には販売の前に手数を煩わせなければならないのです。現代の企業が持っている大きな社会的役割や責任から言っても、是非これを引き受けて頂きたいと思っております。」これが芥川さんのお言葉なんですね。こう言って、ソフトとハード、文化と経済の両立は企業にとってもよい結果をもたらすことを指摘し、企業にそれにともなう必要限度の社会的責任を果たすことを求めております。この言葉は今も変わらぬ意義をわたしは持っていると思うんですが、大臣、そう思われますね。

石毛委員長:平野文部科学大臣。

平野大臣:現在のその仕組み、制度につきましては、委員ご指摘のように、その意見に沿ったものであり、基本的な考え方は現在も意義があると、こういう風に思っております。

石毛委員長:宮本委員。

宮本委員:芥川さんも指摘するように、企業にとってもよい結果をもたらす制度なのにですね、それに協力を拒否している企業の側こそ問題だとわたくしは思います。そもそも、この制度は権利者とメーカーが協力してユーザーから補償金を預かり、制度を運用するという前提の下に作られたものなんです。ところが、この間の経過を見れば、メーカー側は協力義務を果たさず、対象機器の減少と自ら補償金の支払いに協力しないことでまるでこの制度の死滅化を待っているかのような対応に終始していると、わたしは思うんですね。で、今やそのメーカーの側から協力の前提が崩されている以上ですね、諸外国のようにメーカーに補償金の支払い義務を負わせることを検討すべきだと、わたくしは思いますが、大臣、そうは思われませんか。

石毛委員長:平野文部科学大臣。

平野大臣:今議員が申されましたように、義務をかけろと、こういうことでございますが、訴訟の状況等々踏まえながら、引き続き検討して行きたいと思っております。しかし、メーカー等が補償金の支払い義務者ではなく、協力義務者とする現行制度、これが実は平成4年の著作権法改正になっておりまして、関係者の大いなる議論の下にこれができあがったものでございます。したがいまして、それを超えていく改正を、見なおそうとこういう方向に今言及することは困難であると、わたくしはそういう風に思います。

石毛委員長:宮本委員。

宮本委員:大臣、いくら優れた録音録画の機械があってもですよ、肝心のコンテンツ、音楽や映像がなくなれば、折角の機器も使われることはないんです。日本の音楽や映像文化を支えて来たクリエーターに対する対価の還元をどうするかってのは重大問題であって、もっと正面からメーカーにはっきり迫るべきだと、わたくしは思うんですね。そうでなければ日本のコンテンツ産業は死滅してしまうと、このことは本当に重大なことだと思います。ところがですね、こともあろうに、メーカーに対しては腰が引けて要求しないまま、今度はユーザーを刑事罰で脅しつけて問題を解決しようという動きが起こっております。本日政府提出の著作権法改正案に対して自民公明両党から、第119条に3項を加え、違法に配信された音楽や映像などを私的使用目的であってもダウンロードしたユーザーに2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金又はそれを併科するなどという重大な修正案が提案されることになっております。我が党は断固これには反対です。そもそも違法ダウンロードに対する刑事罰導入に関しては、日弁連からも厳しい反対の意見書及び会長声明が発出されております。個人の私的生活領域におけるダウンロードに対して刑事罰を課そうとする議論を是認すれば、国家権力が私的領域に直接入り込む余地を与えることになるものであるとまで日弁連は警告しております。そのような重大な内容の修正案をしかも質疑終局後に提出するなどということは言語道断だと言わなければなりません。そこでお聞きしますけれども、そもそも今回問題になっています私的領域において違法にアップロードされた音楽、映像などのダウンロードについては、わずか3年前の2009年の法改正で始めて違法とされたものであります。それ以前は私的領域については違法ですらなかったですね、文化庁。

石毛委員長:河村次長。

河村次長:はい。平成21年の改正により始めて私的使用目的であっても違法配信と知りながら音楽、映像をダウンロードする行為が違法とされたものでございます。

石毛委員長:宮本委員。

宮本委員:この法改正が施行されたのは2010年1月1日ですよ。ですから、そもそもわずか2年あまり前までは、私的領域におけるダウンロードは基本的には違法ですらなかったわけです。これを始めて違法とした3年前の改正時にも、この問題を巡って大きな議論がございました。しかし、この時は、我が党も違法ダウンロードが正規の配信事業を上回る規模になり、正規コンテンツの流通に支障をきたしていること、そして、このような状況が放置されることは由々しき事態であり、日本のコンテンツ産業の成長が阻害される懸念があることから、賛成の立場を取りました。しかし、それはあくまで罰則規定の導入など、国民の基本的人権を脅かすような内容がそこに含まれていなかったからであります。平成21年改正の時には、政府自身がそのことを力説していたと思うんですね。当時の塩谷文部科学大臣は、この2009年の法改正案の法案主旨説明で、なおこの30条の改正については違法なものと知りながらおこなった場合に限るとともに、罰則は課さないこととしておりますと述べております。あの確認しますが、大臣、この時なぜ罰則を課さないことにしたんですか。

石毛委員長:平野文部科学大臣。

平野大臣:そもそも論のところについて、わたくし全てを承知をいたしておりませんが、先ほど来から申し上げておりますように、日進月歩で技術の進展があると、特にネットの社会を含めていろんな意味で、技術進歩が日進月歩だと、こういう背景が1つ。そして、もう1つはやはり何をおいても大事なことは権利者の保護ということをすることによってこの世界が導かれて行く、さらに発展をして行くというのが基本であろうというように思っております。そういう中で、平成21年の改正時どうだったんだと、こういうご指摘でございますが、平成21年の改正の際には、私的利用でも違法配信と知りながらダウンロードすれば違法と、こういう風にしてございます。刑事罰をじゃあなぜかかけなかったのかと、こういうことでございますが、個々の人の違法ダウンロードの事態は非常に軽微であると、こういう判断をその当時されたんだろうという風にわたくしは思っております。もう1つは、やっぱり実効性が、どういう風に違法をトラップするかというところの実効性がどうなのかと、こんなこともご議論されたように思います。しかし、一方ではネット上がより発展すれば、より広汎に広がって行くということも事実と、こういう風に思っておりますし、またなかなかその検証して行く、あの部分が難しいということはありますが、やっぱり刑事罰をかけていくということによって抑止的効果が大いに期待ができるんではないかと、こういう風なご意見もあったと承知をいたしておりまして、そういう両方ある中で、21年度改正の時にはそうしなかったと、こういうことだとわたしは理解しております。

石毛委員長:宮本委員。

宮本委員:この時は違法化ですけれども、罰則はつけなかった、軽微だということでありますけれども、それでも民主党の議員も当委員会でいつ損害賠償請求が送られて来るか分からないというユーザーの不安にどう答えるのかといった議論を相当詳しくしております。この時、高塩文化庁次長は、権利者団体がいきなり利用者に対して損害賠償請求をおこなうことは基本的にないと答弁し、プロバイダー責任制限法におきましても、サイト運営者に対するダウンロードについての個人情報開示の手続きというものはございませんので、ダウンロードをおこなう利用者を特定することは困難だと述べております。その後、何か事情が変わったのか、文化庁、お答え頂けますか。

石毛委員長:河村次長。

河村次長:ご指摘の点につきましては、事情の変更はないものと承知をいたしております。

石毛委員長:宮本委員。

宮本委員:事情の変更はないんですね。それで、このプロバイダー責任制限法、正式には、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律という、まあ長い名前の法律でありますけれども、これを2001年11月6日参議院総務委員会で審議した際、我が党から質問に立ったのは他ならぬわたくしでございました。今日は総務省にも来て頂いております。わたしは2001年11月6日参議院総務委員会でのプロバイダー責任制限法案の質疑で、インターネットでいつどんなサイトにアクセスしたかといったことは個人のプライバシーにかかわる問題であり、法律上も電気通信事業者はそれを通信の秘密として守る責務を負っていると指摘をした上で、電気通信事業者がみだりにそれを開示することは許されないばかりでなく、それを開示させる法令を作ろうという場合でも、憲法上の通信の秘密の適用から除外するに足るだけの十分な理由がある場合に限られるのでなければ憲法違反となると厳しく指摘をいたしました。それに対して、当時の片山総務大臣も、総務省も、発信者情報開示請求権の要件を厳格に定め、通信の秘密をいささかも犯すことのない運用に努めると繰り返し答弁したと覚えておりますが、間違いないですね。

石毛委員長:総務省原口電気通信事業部長。

原口総務省電気通信事業部長:先生おっしゃいました通り、当時宮本委員からご質問頂きまして、当時、総務大臣、総合通信基盤局長から、1点目といたしまして、いわゆる通信の秘密につきましては、憲法上の基本的人権として保障されていること、また、インターネット上のいわゆる電子掲示板への接続の記録も、これは通信の秘密として保護の対象となること、それから、いわゆるこのプロバイダー責任制限法におきまして、発信者情報開示請求の要件については非常に厳格に定められていること、それから、最後に、プロバイダー責任制限法の施行にあたっては、その主旨が十分に理解され、適切な運用が図られるように必要に応じて関係者に周知徹底を図ること、このように答弁をさせて頂いたと承知しております。

石毛委員長:宮本委員。

宮本委員:そうとう厳密な議論をやったんですね。それで、今既に罰則が付されているアップロードという行為、これはもちろん、プロバイダーのところでそのアドレスを特定するということは可能であります。しかし、ダウンロードしたかどうかということをプロバイダーが特定するってのは不可能でありまして、やろうと思えば全てのアクセスを手あたり次第に調べてみる必要が出て来るわけであって、アクセスした全てのIPアドレスを開示請求するってことは許されないことであって、開示請求を受けたところを1つ1つ踏み込んで、パソコンの中を調べてみるってことはとんでもない騒ぎに、とんでもない話になるわけであって、できようがないわけなんですね。ですから、そういう点でも、こういうものに罰則をかけるってのは技術的にもそして憲法上も許されないということを申し上げなければなりません。それで、こういう議論が文化審議会の著作権分科会でもやられて来たと思うんです。で、文化審議会著作権分科会では、昨年著作権法第30条の見直しの議論がされ、関係者からもヒアリングをされて来たと聞いております。そこで、私的違法ダウンロード行為に罰則をかけるというようなことがですね、関係者間で合意されたという事実がございますか。

石毛委員長:河村次長。

河村次長:昨年度文化審議会では、著作権法第30条、その私的使用のための複製の規定でございますが、この規定全般について関係者から広くヒアリングを行い、検討課題を整理したと、そういう段階でございます。

石毛委員長:宮本委員。

宮本委員:合意はできてないですね。

石毛委員長:河村次長。

河村次長:はい、検討課題を整理したという段階ですから、まだそうした、そうした議論をしているということではございません。

石毛委員長:宮本委員。

宮本委員:文化審議会の著作権分科会でも合意に至っていない。こういうものであります。そこでですね、この違法ダウンロードの、この違法ダウンロードが動画投稿サイトで多いと言われております。そこで、その実態について聞くんですが、動画サイトは音楽の利用について権利者と包括的に許諾を得ているサイト、具体名をあげるとニコニコ動画など、それと放送局などの公式ページと、違法にアップロードされた動画が混在するサイト、具体名をあげますとユーチューブなどがあると思うんですが、これは事実ですね、文化庁。

石毛委員長:河村次長。

河村次長:お話のように動画サイトの中には、運営事業者とJASRAC等の著作権等管理事業者やレコード製作者との間で包括的な利用許諾契約を締結している例もある一方で、適法なものと違法にアップロードされた動画が混在しているサイトも存在しているという風に承知しております。

石毛委員長:宮本委員。

宮本委員:動画投稿サイトにある音楽や映像には、適法にアップロードされたものと違法なものが混在しているっていうのが今答弁にあったように実態なんです。これでは、音楽や映像のダウンロードが果たして違法な行為にあたるのかどうかを理解できないままに行われる場合も多く、処罰の対象にすることは過剰な対応だと言わざるを得ないと思います。さらにおうかがいしますが、放送局などの場合ですね、その多くが無償で提供するサイトとそして有償で提供するサイトの両方を運営している他、映画、音楽などもそれぞれの販売目的に応じて期間を限定して無償で提供したり、一部分を無償で提供したりする、そういう実態があると思うんですけれども、これも、文化庁、事実ですね。

石毛委員長:河村次長。

河村次長:お尋ねの点につきましては、放送局が無償又は有償で放送番組等の動画を提供するサイトを運営している例や、映画製作者、音楽事業者が販売促進等の目的に応じて期間や提供部分を限定するなどして無償で提供している例があるという風に承知をいたしております。

石毛委員長:宮本委員。

宮本委員:有償と無償の区別をつけることさえ難しいというのが実態です。こんな状態では、ダウンロードすれば処罰の対象となる音楽、映像なのか、利用者が事前に判断、判別するということは困難であると言わざるを得ないと思います。何が罪になるのか明確になっていないものを、その刑罰を定めるというようなことは許されることではありません。そもそも、新たな刑罰を課す場合、賛否はどうあれ、当然国会において慎重な質疑がなされ、その立法事実、構成要件等を明らかにしなければなりません。とりわけ、この修正案が提起している、違法ダウンロードの処罰化は、今や多くの国民が利用するインターネット利用に大きく影響するものであります。修正案提案者にはそのような修正案の提案は取りやめること、またそのような修正案に何の審議もなく賛成するというようなことはくれぐれも思いとどまることを強く訴えて、わたくしの質問を終わります。

石毛委員長:これにて本案に対する質疑は終了いたしました。副大臣、政務官が席に戻るのを少しお待ち下さい。この際、本案に対し、池坊保子委員他4名から自由民主党無所属の会及び公明党の2派共同提案による修正案が提出されております。提出者から主旨の説明を求めます。池坊保子委員。

池坊委員:ただいま議案となりました修正案につきまして、提出者を代表いたしまして、その主旨及び内容の概要をご説明いたします。本修正案は、違法に発信されているものであることを知りながら、有償の音楽又は映像を私的使用目的で複製する行為、いわゆる私的違法ダウンロードについて罰則を設けるとともに、私的違法ダウンロードの防止に関し、国民に対する啓発、関係事業者の措置などについての規定を追加するものであります。その内容の概要をご説明いたします。まず、私的違法ダウンロードに対する罰則を設けることといたしました。すなわち、一、私的使用の目的をもって、二、有償著作物等の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、三、自らその事実を知りながら行って著作権又は著作隣接権を侵害した者は、四、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰則に処し、又はこれを併科することとしております。また、私的違法ダウンロードの防止の重要性についての国民の理解を深めることが重要であると考え、国及び地方公共団体に対し、私的違法ダウンロードの防止に関する啓発、未成年者に対する教育の充実を義務づけることといたしました。その他関係事業者の措置に関する規定、法律の施行後一年を目途とする検討条項を設けることとしております。以上が修正案の主旨及び内容の概要でございます。なにとぞ委員各位のご賛同をお願い申し上げます。

石毛委員長:これにて主旨の説明は終わりました。これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。討論の申し出がありますので、これを許します。宮本委員。

宮本委員:わたくしは日本共産党を代表して内閣提出の著作権法の一部を改正する法律案に賛成、自民党公明党共同提出の修正案に反対の立場から討論します。内閣提出の法律案は写り込みなどある程度事例を限定した上で現行では形式的には違法となる行為を容認しようとするものですし、国会図書館が所有する電子化資料の利用拡大など国民の利便性が向上する面もあり、賛同できるものです。これに対し、自民党公明党共同提案による修正案は、共同提出の法律案とは全くかかわりがない違法ダウンロードを処罰化するものです。まず、このような国民の基本的人権にかかわる重大な内容を含む修正案を政府案の質疑終局後に提出するという委員会運営を強引に進めた修正案提出者及び民主党に対し、厳しく抗議します。現在、動画投稿サイトやファイル交換ソフト等を通じて違法にアップロードされたコンテンツが簡易に無料で入手できる状況にあり、正規コンテンツの流通に支障をきたしていることはもちろん問題です。しかし、その対処は処罰化ではなく、まずはインターネット上にある違法にアップロードされたものの削除などの対策のさらなる強化であるべきであって、違法ダウンロードの処罰化ではありません。そもそも、この問題は個人のインターネット利用のありようにかかわる私的な領域であり、ダウンロードをおこなっているのは未成年者を含む若者が多く、その影響も考慮し、慎重に検討されなければなりません。著作権法制のあり方を検討する、文化庁の文化審議会著作権分科会では、昨年9月に違法ダウンロードの処罰化については、賛否両論の論点整理をまとめているのみで、今年2月の審議経過報告では、今後適宜検討するとされているにすぎず、関係者間の合意はありません。また、現在、ダウンロード違法化の施行からわずか2年あまりが経過したにすぎず、わずかな期間での処罰化は国民の理解を得られません。国民的な合意もないまま、関係者間の議論の途上で、審議会での議論さえ踏まず、罰則を導入するなどは言語道断です。違法ダウンロードがおこなわれているとされる動画投稿サイトには、音楽の利用について権利者と包括的に許諾を得ているサイトと、放送局などの公式ページと、違法にアップロードされた動画が混在するサイトがあり、ユーザーにとってインターネット上にある音楽、映像が違法にアップロードされたものかどうかを事前に判断することは困難です。また、修正案は、有償であるもののみを対象としていますが、放送局などの場合その多くが無償で提供するサイトと有償で提供するサイトの両方を運営している他、映画、音楽などもそれぞれの販売目的に応じて期間を限定して無償で提供したり、一部分を無償で提供したりもしています。有償か無償かを見分けることも容易ではありません。さらに処罰する場合、誰がどのようにして違法ダウンロードをおこなったのかを証明、把握する必要が生じます。日常的に権利者、捜査当局が、個人のインターネット利用の内容、音楽、映像のダウンロード状況を監視、把握することが予想されます。親告罪で、著作権者の告発により捜査がおこなわれると言っても、憶測や疑惑の段階から取り締まりを可能にすることにつながりかねず、結果として、捜査当局の恣意的な捜査を招く危険を排除できません。このような問題の多い修正案をまともな審議ぬきで採決することの不当性を厳しく指摘して、わたくしの討論を終わります。

石毛委員長:これにて討論は終局いたしました。これより採決に入ります。内閣提出著作権法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。まず、池坊保子委員他4名提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の委員の起立を求めます。(賛成委員の起立)起立多数、よって本修正案は可決されました。次に只今可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の委員の起立を求めます。(賛成委員の起立)起立総員、よって本案は修正議決すべきものと決しました。お諮りいたします。只今議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては委員長にご一任願いたいと存じますが、ご異議ありませんか。(異議なしの声)異議なしと認めます、よってそのように決しました。次回は公報を持ってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。

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コメント

失礼します。

兎園先生の著作権法に対する鋭いコメントをいつも拝見させてもらっており、著作権に対する考え方を常々勉強させてもらっています。

まあ通ってしまった後なので、どうもこうも最早できませんが、敢えて一言コメントすれば「立法府は死んだ」と言えます。(参院では形ばかりの議論をやったそうですが)法案の中身を審議しないことなど断じて許されないですし、立法府の監視機能に最早期待できないならば、「立法府など不要」という極論まで出てくるかもしれないですね。早急に解散総選挙しろ、と現政権には言いたいです。

まあそれは兎も角、「思考停止」の賛成派議員も、加えて「自分達がさも関係ないと考える、事勿れ主義」の官僚(特に文化庁の次長は「何考えてるんだ?」というレベルの答弁ですね)も論ずる価値のない連中ですが、宮本議員にも若干不安を覚える次第です…
貴重な議員ではありますし、私も即日メールと後日本件に関しお手紙差し上げたぐらい、ですが、

審議録の中での、私的録音録画補償金のくだりは「メーカーが拒否しているってのは、わたしはとんでもないことだと思うんですね。」という発言はちょっと…いただけない、と率直に思いました。

係争中のSARVH対東芝事件の結果次第で情況が変わるとは思いますが、「そもそも制度自体がおかしい」という考えにはさすがに至らなかったのかな…?と思いました(まあ共産党流の、大企業糾弾の一環なのかも知れませんけどね)。

それでも、違法DLの話はしっかりと問題意識をもたれていらっしゃるので感心した次第です(お手紙でもそのあたりの感謝の気持ちを伝えました)。

投稿: passerby | 2012年6月26日 (火) 07時53分

passerby様

コメントありがとうございます。

共産党の私的録音録画制度問題に関する理解については、3年前の前回の著作権改正の審議の時からほとんど変わっていませんね。
(ご関心があれば、第171回
http://fr-toen.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-11c0.html
に載せた3年前のダウンロード違法化時の衆院文科委の議事もご覧下さい。)

このことについて全く問題がないとも思わないのですが、今回の審議では、そのようなことを補ってあまりあるくらい、共産党の宮本議員はダウンロード犯罪化の問題を的確に理解・指摘して下さり、私も本当にありがたく思っています。

今現在どうしようもなく悪い状況にあり如何ともしがたいのですが、私の書いたことが多少なりとも参考になっているようであれば幸いです。

投稿: 兎園 | 2012年6月27日 (水) 00時37分

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