« 第241回:スペインの私的複製録音録画補償金制度を欧州著作権指令に照らして違法とした欧州司法裁判所の判決 | トップページ | 第243回:文化庁・著作権分科会・法制問題小委員会「技術的保護手段に関する中間まとめ」に対するパブコメ募集(1月7日〆切) »

2010年11月 9日 (火)

第242回:インターネットにおける恣意的なブロッキングやネット切断を違法とするチリの改正通信法

 前回スペインの話を紹介したので、スペイン語つながりで、今回は、2010年7月13日にチリ下院を通過・成立し、同8月26日から公布・施行されている通信法の改正について翻訳・紹介しておきたいと思う。(ブラジルの著作権法改正の検討など、南米の法改正動向も興味深いものが多く、余裕があれば順次紹介して行きたいと思っている。)

 この「インターネット利用者と消費者のためにネットワーク中立性を確保するための法改正」で、チリの通信法には、以下のような条文が追加された。(いつも通り、翻訳は拙訳。)

Articulo 24 H.- Las concesionarias de servicio publico de telecomunicaciones que presten servicio a los proveedores de acceso a Internet y tambien estos ultimos; entendiendose por tales, toda persona natural o juridica que preste servicios comerciales de conectividad entre los usuarios o sus redes e Internet:

a) No podran arbitrariamente bloquear, interferir, discriminar, entorpecer ni restringir el derecho de cualquier usuario de Internet para utilizar, enviar, recibir u ofrecer cualquier contenido, aplicacion o servicio legal a traves de Internet, asi como cualquier otro tipo de actividad o uso legal realizado a traves de la red. En este sentido, deberan ofrecer a cada usuario un servicio de acceso a Internet o de conectividad al proveedor de acceso a Internet, segun corresponda, que no distinga arbitrariamente contenidos, aplicaciones o servicios, basados en la fuente de origen o propiedad de estos, habida cuenta de las distintas configuraciones de la conexion a Internet segun el contrato vigente con los usuarios.

Con todo, los concesionarios de servicio publico de telecomunicaciones y los proveedores de acceso a Internet podran tomar las medidas o acciones necesarias para la gestion de trafico y administracion de red, en el exclusivo ambito de la actividad que les ha sido autorizada, siempre que ello no tenga por objeto realizar acciones que afecten o puedan afectar la libre competencia. Los concesionarios y los proveedores procuraran preservar la privacidad de los usuarios, la proteccion contra virus y la seguridad de la red. Asimismo, podran bloquear el acceso a determinados contenidos, aplicaciones o servicios, solo a pedido expreso del usuario, y a sus expensas. En ningun caso, este bloqueo podra afectar de manera arbitraria a los proveedores de servicios y aplicaciones que se prestan en Internet.

b) No podran limitar el derecho de un usuario a incorporar o utilizar cualquier clase de instrumentos, dispositivos o aparatos en la red, siempre que sean legales y que los mismos no danen o perjudiquen la red o la calidad del servicio.

c) Deberan ofrecer, a expensas de los usuarios que lo soliciten, servicios de controles parentales para contenidos que atenten contra la ley, la moral o las buenas costumbres, siempre y cuando el usuario reciba informacion por adelantado y de manera clara y precisa respecto del alcance de tales servicios.

d) Deberan publicar en su sitio web, toda la informacion relativa a las caracteristicas del acceso a Internet ofrecido, su velocidad, calidad del enlace, diferenciando entre las conexiones nacionales e internacionales, asi como la naturaleza y garantias del servicio.

El usuario podra solicitar al concesionario o al proveedor, segun lo estime, que le entregue dicha informacion a su costo, por escrito y dentro de un plazo de 30 dias contado desde la solicitud.

Articulo 24 I.- Para la proteccion de los derechos de los usuarios de Internet, el Ministerio, por medio de la Subsecretaria, sancionara las infracciones a las obligaciones legales o reglamentarias asociadas a la implementacion, operacion y funcionamiento de la neutralidad de red que impidan, dificulten o de cualquier forma amenacen su desarrollo o el legitimo ejercicio de los derechos que de ella derivan, en que incurran tanto los concesionarios de servicio publico de telecomunicaciones que presten servicio a proveedores de acceso a Internet como tambien estos ultimos, de conformidad a lo dispuesto en el procedimiento contemplado en el articulo 28 bis de la ley N° 18.168, General de Telecomunicaciones.

Articulo 24 J.- Un reglamento establecera las condiciones minimas que deberan cumplir los prestadores de servicio de acceso a Internet en cuanto a la obligatoriedad de mantener publicada y actualizada en su sitio web informacion relativa al nivel del servicio contratado, que incorpore criterios de direccionamiento, velocidades de acceso disponibles, nivel de agregacion o sobreventa del enlace, disponibilidad del enlace en tiempo, y tiempos de reposicion de servicio, uso de herramientas de administracion o gestion de trafico, asi como tambien aquellos elementos propios del tipo de servicio ofrecido y que correspondan a estandares de calidad internacionales de aplicacion general. Asimismo, dicho reglamento establecera las acciones que seran consideradas practicas restrictivas a la libertad de utilizacion de los contenidos, aplicaciones o servicios que se presten a traves de Internet, acorde a lo estipulado en el articulo 24 H.

第24H条 公衆へのインターネットへのアクセス提供サービスを行う許可を得ている通信事業者、つまり、その利用者又はネットワークとインターネット間の接続を商業的なサービスとして提供している、あらゆる自然人又は法人は、以下のようにしなければならない:

(a)ネットワークを通じ、いかなるものであれ、コンテンツ、アプリケーション又は合法サービスを利用し、送信し、受信し、提供する、インターネット利用者の権利を、恣意的にブロック、干渉、区別、妨害、制限してはならない。この意味で、利用者との有効な契約によるインターネット接続の様々な条件も考慮されるが、その送信元又は性質に基づいて、恣意的にコンテンツ、アプリケーション又はサービスを区別することなく、インターネットへのアクセス又はインターネット・アクセス・プロバイダーへの通信接続を、全利用者に提供しなければならない。

ただし、自由競争を阻害するか阻害し得る行為を目的とするのでない限りにおいて、公衆通信事業者及びインターネット・アクセス・プロバイダーは、通信管理又はネットワークの運営のために必要な措置又は行為を、このために許される範囲に限り、取ることができる。通信事業者及びプロバイダーは、利用者のプライバシーの確保、ウィルスに対する保護及びネットワークのセキュリティの確保を行うよう努める。このためにのみ、そして、ユーザーに対する明示の求めとその費用負担に基づいてのみ、特定のコンテンツ、アプリケーション又はサービスに対するブロッキングは可能である。いかなる場合においても、このブロッキングは、インターネットにおいて提供されているサービス又はアプリケーションの提供者を恣意的な形で害するものであってはならない。

(b)それが適法であり、かつ、ネットワーク又はサービスの品質を害しない場合であったとしても、ネットワークにおいて、あらゆる種類の機器等を導入し又は使用する利用者の権利を制限することはできない。

(c)それを求める利用者の費用負担により、法律、道徳又は良俗に反するコンテンツのためのペアレンタル・コントロールサービスを提供しなければならない、ただし、利用者が、事前に明確かつ正確な形で、そのようなサービスの内容についての情報を受け取っていること。

(d)そのウェブサイトにおいて、提供されるインターネットアクセスの性質、その速度、接続の品質、国内接続と国際接続の間の違い、並びにサービスの性質と保証事項を公開しなければならない。

利用者は、通信事業者又はプロバイダーに、その求めから30日以内にその負担により書面によってこの評価情報を渡すことを求めることができる。

第24I条 インターネット利用者の権利の保護ため、大臣は、次官を介して、公衆へのインターネットへのアクセス提供サービスを行う許可を得ている通信事業者が犯した、その展開又はそこから派生する権利の合法的な行使を阻害し、困難にし、又はいかなる形にせよ脅かすものである、ネットワーク中立性の実施、実行及び実現に伴う法的義務又は規則に対する違反を、通信法の第28条(訳注:通信事業者がサービスを不当に長期間停止した場合に次官レベルで様々な措置を取ることができることなどを規定している条項。)に規定されている手続きに従って罰する。

第24J条 規則により、運営方針の基準、入手可能なアクセスの速度、接続の加入又は販売の条件、アクセス可能時間、サービス休止時間、通信管理機器類の使用、並びに提供されるサービスのタイプにおける特有の要素も含め、一般的なアプリケーションの国際的な品質の標準に合わせ、契約サービスのレベルに関する情報をそのウェブサイトで公開し更新し続ける義務について、インターネット・アクセス・プロバイダーが達成すべき最低条件を定める。同じく、この規則は、第24H条の条項に従い、インターネットを通じて提供されるコンテンツ、アプリケーション又はサービスの利用の自由を実質的に制限すると考えられる行為を定める。

 条文に曖昧な点は多少あるものの、このチリの改正通信法は、インターネットにおける恣意的なブロッキングやネット切断を違法にしているという点で非常に高く評価できるものである。このことについては「コピライト」誌の10月号のニュース欄でも触れられているが、確かに世界初と言って良い画期的なものだろう。(この法改正により、チリではブロッキングやストライクポリシーの導入が非常に難しくなることだろう。欧州議会でもストライクポリシーを禁止しようとする動きがあったが、残念ながら最終的には政治的に玉虫色の案で妥協せざるを得なかった(第197回参照)。)

 無論、検閲に他ならないインターネット上のサイトブロッキングやユーザーに対する恣意的なアクセス遮断の禁止は、通信の秘密や表現の自由、プライバシーといった基本的な原理から当然導かれるものであり、明示的な条文とせずとも、日本も含めほとんどの国で自ずと守られていなければならないはずものだが、ブロッキングやネット切断型のストライクポリシーについて何故か世界的に非常に危うい状態が続いており、このような明文の法規制の必要性は日本においてもいつになく高まっていると私は思っている。また、海賊版対策条約(ACTA)のようなロクでもない規制強化のための規制強化・ポリシーロンダリングのためだけの条約批准の検討など即座に止め、こうした本当に基本的な権利の保護についてこそ世界的な条約にするべきとも思っている。世界的に見て、国民の情報に関する基本的な権利をないがしろにしようとする危険かつ有害な規制強化の動きばかりが見られる訳では決してなく、何年、何十年かかるかも分からないが、通信の秘密や表現の自由、プライバシーといった基本的権利をインターネット上で保障するための条約の実現も決して見果てぬ夢ではないだろう。

 このチリの法改正も今後の実際の運用次第のところもあるが、このことも含め、ラテンアメリカ諸国の動向は、全く参考にならないどころか、少なくともいくつかの点で注目すべき先進性を示している。日本政府は南米の動向などまるで気にしていないと見えるが、日本の今の危険な現状に照らして、同様にブロッキングやネット切断に対する明文の逆規制を通信法に導入するべきと私は常に考えている。

 少しだけ、日本の話もついでに紹介しておくと、昨日から知財本部でコンテンツ強化専門調査会の検討が始まっている(hideharus氏の実況ツイート参照)。今のところ知財本部が何をしたいのかよく分からないが、またロクでもない規制強化を言い出す恐れも強く、知財本部の動向なども引き続き要注意である。

|

« 第241回:スペインの私的複製録音録画補償金制度を欧州著作権指令に照らして違法とした欧州司法裁判所の判決 | トップページ | 第243回:文化庁・著作権分科会・法制問題小委員会「技術的保護手段に関する中間まとめ」に対するパブコメ募集(1月7日〆切) »

著作権国際動向(その他いろいろ)」カテゴリの記事

コメント


■携帯で読めるまとめサイト↓
http://ariradne.web.fc2.com/jipo/

■先日のレポート↓
http://blog.auone.jp/pakuribaibainida/

投稿: sheltem | 2010年12月 4日 (土) 20時41分

>sheltemさん

一方的な意見参考になりませんでした・・・
そして規制派が酷い人間だとよく解りました。

消されたコメント欄より
「と、業者とその信者が申しております。」ばかり言う
「業者の言い分を盲信して話してるんですから信者ですよ。」
「規制反対派の宗教っぷりは尋常じゃないですね。」
「とりあえずこれでも嫁↓
http://ariradne.web.fc2.com/jipo/」
とか結構口が悪い上、間違いだらけの規制派サイト紹介してくる。

で、今回の規制とついでに児童ポルノの事も聞いたのですが、返信も無くコメント欄消去されました、名残が右側に新着コメントがありますw

規制派は都合が悪くなると罵声を浴びせるか消すと言うのはいつものパターンなので保存してます。

http://blog.auone.jp/pakuribaibainida/
sheltemさんに聞いた内容は↓ (ちなみに聞いた内容に対するsheltemさんの答え「と、犯罪者とその予備軍が申しております。」)

以下最後に質問した内容です。

「どちらかと言うと自分は今回の漫画等の規制には、最初賛成、今は反対と、中間に近い位置ですが、このブログのように一方的に決め付けているようでは何も参考になりませんでした、残念です。


ちなみに児童ポルノについて

所持禁止や取得罪を新設した場合でも、覚せい剤や、所持禁止にしている海外のように、無くすのは不可能、警察のHPやパブコメにあるように、回収は不可能。
「規制があっても犯行に及ぶ人間がいる」ので「規制しなくてよい」では無く、「所持禁止、取得罪は間違い」

・現状なら被害者は拡散に苦しむ 。
・所持禁止なら被害者は拡散に苦しむ+逮捕者から恨みをかう+逮捕者自殺の理由になり苦しむ+冤罪、誤認の原因になり苦しむ+悪意ある通報や、陥れるために等、反社会的な使い方に利用され苦しむ。

一人の被害者が何人もの目に晒されることで被害が重くなっていくのを防ぐのが目的なのに、所持規制される事で被害者はより苦しむ上、新たな被害者が生まれる。所持禁止、取得罪はケアにはならず間違い。賛成出来る部分は無い。施行後、やっとケアするための施設を作っても、ケアする内容が増える。


ケアする内容が増えるんですが、あなたはどうやってケアすれば良いと思いますか?
以下、どうやって説得、ケアするか具体的に説得内容を教えて下さい。
1・被害者は拡散に苦しむ
2・逮捕者から恨みをかう逮捕者自殺の理由になり苦しむ
3・冤罪、誤認の原因になり苦しむ・
4・悪意ある通報や、陥れるために等、反社会的な使い方に利用され苦しむ。


ケアする内容が増えるのに単純所持を規制しようとか・・・
偽善者か無知なのか・・・。
後、児童ポルノの単純所持禁止には元賛成派だった自分からアドバイスすると「児童ポルノ撲滅」より、「被害児童を無くそう」の方が良いですよ。」

投稿: 転載屋 | 2010年12月11日 (土) 02時25分

レイプされて喜ぶのは規制ですが、喜んじゃダメだと違うキャラが説得するのは不当に賛美・誇張にあたるんでしょうか?定義がまだ曖昧なんですが。
薬で思考おかしくなって喜んじゃうのは不当に賛美・誇張、もしくは無理矢理のどっちに入るのか?

催眠術かけれれて喜んじゃうのは?

レイプされて喜ぶやつを主人公や周りのキャラがダメだとか注意するのは?

前にTVで性依存症の小学生だったか中学生だったかがいたけど、それら描写を含んだだけなら規制対象だろうけど、治すための事まで描かれたものは規制されるのかどうか、定義が曖昧でどちらか解らないんだが・・・


追記

1・ちなみに、法律では13歳未満と成人が和 姦してもレイプ扱いになりますが、
ディジーという羽と尻尾の生えた3歳の女の子だけど、急成長のせいで見た目も思考も20歳のキャラ
画像
http://masksaito.blog120.fc2.com/blog-entry-300.html

がいるのですが、成人と恋愛の末、和 姦した場合淫行になるのでしょうか?淫行は犯罪なので今回の規制に含まれていると弁護士は言っていますが・・・。
ちなみに結婚して子供出来ます。
2.後、ディジーは人では無いので法律は関係あるのでしょうか?
3・また、生まれて18年の女の子のロボットがいて、見た目、精神年齢、知識とも10歳程度の場合、和 姦しても良いのでしょうか?
4・出来て1ヶ月で、見た目は7歳のダッチ ワイフで、自立可動しないけど学習能力があったり会話できる場合、規制されるのでしょうか?

もっと明確化して欲しいですね、後、類似行為も禁止だそうですが、エロい規制派が妄想しすぎて「規制対象だ!」と勝手に判断しかねないので、類似は除外して欲しいところですね。


と、規制派議員さんに聞きたいですね。

投稿: 転載屋 | 2010年12月11日 (土) 02時26分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/429615/37588337

この記事へのトラックバック一覧です: 第242回:インターネットにおける恣意的なブロッキングやネット切断を違法とするチリの改正通信法:

« 第241回:スペインの私的複製録音録画補償金制度を欧州著作権指令に照らして違法とした欧州司法裁判所の判決 | トップページ | 第243回:文化庁・著作権分科会・法制問題小委員会「技術的保護手段に関する中間まとめ」に対するパブコメ募集(1月7日〆切) »