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2010年6月23日 (水)

第232回:主要政党の参院選マニフェスト案比較(知財・情報政策関連)

 主要政党の参議院選挙用マニフェスト案(公示日以降に配られるものが正式版らしいので、案としているがどうせ例によって大した変更は無いだろう)がほぼ出そろった(民主党(pdf)自民党(pdf)社民党(pdf)共産党(pdf)国民新党(pdf)公明党(pdf)みんなの党(pdf)新党改革(pdf)たちあがれ日本(pdf))。どこの政党のマニフェストも本当に重要な部分で具体性が欠如しているという点ではいつも通り五十歩百歩だが、それでも多少の参考にはなるかと思うので、去年と同じく今年も各政党のマニフェスト案の知財・情報政策関連項目の比較をしておきたいと思う。

(1)知財
<民主党>

クール・ジャパン
 食、音楽、文化、ファッション、デザインなどへの戦略的投資を実施し、海外への情報発信を強化します。
 映像・アニメ・音楽などのコンテンツ保護強化・デジタル化などによる新規ビジネス創出を推進します。

<自民党>
22 世界へ向けた情報発信力の強化、デジタルコンテンツ市場の拡大
 文化・伝統などわが国の持つ魅力(ソフトパワー)を積極的に海外に発信します。特に、世界に広がりをみせる放送コンテンツの海外展開や電子書籍・電子雑誌の流通促進、電子看板(デジタルサイネージ)の推進などにより、デジタルコンテンツ市場の拡大を支援、地域を含めたわが国社会経済の活力を増大させます。国をあげて、アニメ・マンガ・ゲームなどのコンテンツ作成だけではなく、「イベント創造」「営業方法」など、利益を生むトータルでのシステム構築を支援します。

234 世界に誇るべき「文化芸術立国」の創出
 日本文化を戦略的に海外発信するため、アニメなど日本ブランドとしてのメディア芸術の振興や人材育成、制作者の待遇改善を図ります。文化交流の相手先と内容の重点化、優れた芸術の国際交流の推進、海外の日本語教育拠点の100か所への拡充等を行います。海外の美術品等のわが国における公開を促進するため、議員立法で「海外美術品等公開促進法」を制定します。
 文化芸術の創造性が産業や地域の活性化に結びつく取組みを行う「文化芸術創造都市」が全国各地に形成されるよう支援します。また、義務教育期間中に、全ての子どもが、質の高い文化芸術を最低2回(伝統文化と現代文化を各1回)は鑑賞・体験することができるようにします。

<みんなの党>
○日本文化産業
 メディアコンテンツ、ファッション、食、観光などの領域は、新たな輸出産業として大きなポテンシャルを有する。ただし現状では、担い手である企業の殆どに世界市場を積極的に攻めるマインド、経営スキル、企業体力が欠如。また、関連する諸産業に横串を通し、日本の文化価値を総合的に訴求・展開する国家戦略も欠如。これらを大きな産業群に育てるためには、
・カテゴリー横断的な、日本文化産業全体のブランドコンセプトの創出(例:英国の“Cool Britannia”戦略、韓国の“Cool Korea”戦略)
・カテゴリー×エリア軸での重点が明確で、かつ統合的な戦略の策定
・重点地域市場における現地支援プラットホームの設立(市場調査、現地パートナーの紹介・交渉、共同流通網の構築などシェアードサービス的機能を提供)
・関連産業の再編と強いブランドポートフォリオの形成(例:多数の高級ブランドを束ねる持株会社LVMH)、これを可能とするファンド機能とマネジメントチームの組成などが必要。

○科学技術の振興
 基礎研究の振興はもちろん重要だが、開発した技術を世界市場で金にするためには「規格競争」に国としてしっかり取り組むことが重要(例:通信、スマートグリッド、電気自動車、地デジなど、重要産業の多くに該当)。WTO以降の国際標準化の波の中で、ISO(国際標準化機構)・IEC(国際電気標準会議)などで影響力を持ち得ず、関連産業の機会損失が大きいのが現状。

○アジアワイドの規制改革。
・競争政策や知的所有権制度の国際調和
・アジアワイドの医薬品の治験・承認制度の確立など

<新党改革>
●日本の文化(アニメ、アート、ファッション等)を海外に発信し、その競争優位性を高めて行きます。そして、ビジネスとしての文化戦略を実行していきます。

<たちあがれ日本>
・海外・国内での知的財産を守る対策を強化します。

 いつもの如く、どの党も知財に関しては意味のあることを何一つ言っていない。それにしても、都条例改正問題に端的に表れているように、創価学会を支持母体とするカルト政党の公明党とほぼ一体となってマンガ・アニメ・ゲームなどの表現文化の弾圧を強力に推進している自民がアニメなどの振興を唱えるとは噴飯ものである。

(2)児童ポルノ規制
<社民党>
○子どもの人権を守る観点から子ども買春の根絶と児童ポルノの規制強化に取り組みます。規制については、表現の自由を侵したり、表現者に過度の萎縮をもたらすことがないようにします。

<公明党>
児童ポルノの所持等の禁止
●子どもの福祉の観点から、児童ポルノ禁止法を改正し、児童ポルノの所持等を禁止するとともに、自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持等を処罰する罰則を新設します。

 児童ポルノ規制に関しては、やはり公明党がマニフェストに単純所持規制導入を明記している。去年と同じことをここでも繰り返しておくが、表現・情報規制問題に関する限り、創価学会を支持母体とする宗教政党の公明党には絶対投票してはならない。表現・情報規制強化に懸念を抱いているようであれば、選挙に行き、公明党以外の政党に投票することは第1条件となる。一緒になって児童ポルノの単純所持規制などの有害無益な規制強化を強力に推進している自民党も基本的には同断である。

 ここで、社民党が規制強化に触れながらも、児童ポルノ規制の論点として表現の自由についてまでマニフェスト案で踏み込んで書いていることは高く評価したい。社民党は、保坂展人氏を筆頭に、ほぼ党として明確に児童ポルノの単純所持規制等に反対しているので、この問題に関しては第1に推す党である。

(3)表現・情報規制一般
<社民党>

○国家による監視社会の強化に反対するとともに、医療情報、教育情報、金融情報などのセンシティブ(取り扱いに注意すべき)情報について、プライバシーを守るための個別法の整備をすすめます。

○利用者保護、青少年対策が国家管理と混用されることのないよう、インターネットの環境整備に取り組みます。「有害」や「不正」な情報の扱いについて、直接的な法規制ではないメディアの自律的な対応システムをいかすかたちでの対応を強化していきます。青少年への啓発・啓蒙を充実させ、被害の未然防止と速やかな救済を可能にします。

○インターネットの発達とともに、放送との「融合」が進行している現在、「情報通信インフラは国民の資産」という認識に立ち、新たな法整備に臨みます。「表現の自由」は民主主義の基盤です。市場性や効率性に惑わされることなく、国民全体の利益の基礎を見据えて改革を行うべきです。自由な表現活動が実現する社会をめざし、ビジネス優先での情報分野の規制緩和や公的介入の強化には反対します。

<自民党>
108 情報通信ネットワークの安心・安全の確保
 国民がICTを安心・安全に利用できる環境を整備するため、ネットワーク上の違法・有害情報やウィルス、迷惑メール等への対策を進め、情報セキュリティの確保に努めます。
 学校のICT環境の整備を進め、デジタル教科書の導入や青少年のICTリテラシー(読み書き能力)を向上させる活動を推進、同時に、小・中学生の段階から情報教育の普及に努め、高度ICT人材の育成を推進します。

156 青少年健全育成の推進
 近年の青少年の非行や犯罪被害等の深刻な状況に対し、青少年を健全に育むことができるよう、「青少年健全育成基本法」の制定をはじめ有効な法整備を図るとともに、青少年を取り巻く有害社会環境の適正化のための事業者等による自主規制のあり方など総合的な施策を推進します。また、インターネット上の有害情報による犯罪被害を防止し、青少年の安全・安心なインターネット利用に向けた施策を推進します。
 一人ひとりが社会生活を円滑に営むことができるよう、地域の連携を強化し、ニート・フリーター等困難を抱える若者への支援を推進します。また、若者自立塾の整備・拡充を図ります。

<公明党>
治安の回復を実現
●刑法犯の認知件数を減らし国民生活の安全安心を確保するため、警察官の増員や質の向上などにより、ひったくりなどの街頭犯罪や振り込め詐欺などの防止、取り締まりを強化します。また、DNA型鑑定の一層の活用や、110番通報に対してより迅速に対応するため、携帯電話の発信地を通知する機能の導入を進めます。さらに、性犯罪の厳罰化やパソコンやインターネットなどを悪用したサイバー犯罪への取り締まりを強化し、犯罪仲間を募ったり、犯罪を助長したりするような「闇サイト」を規制する「闇サイト防止法」を制定するとともに、情報モラル教育や啓発活動を推進します。また、自動車のカーナビゲーション装置で、運転者に周辺の歩行者等の交通状況などを視覚・聴覚情報により知らせることで交通事故 を防止するためのシステムの開発・整備などを推進します。特に、自転車の通行環境の整備、ルールの周知と交通安全教育、また、歩行者の安全のための環境整備による交通事故防止に取り組みます。

違法・有害情報対策の推進
●青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするため、全国で青少年のリテラシー(情報の理解力・発信力)を向上させる活動やインターネットが青少年に与える影響の調査を踏まえた的確な対策、違法・有害情報の検出等に資する技術開発への積極的な支援を行います。

 ここでも、社民党が、ネット規制と表現の自由の関係について明記し、特に直接的な法規制に対して明確な反対の姿勢を打ち出していることを私は高く評価する

 これに対し、自民党・公明党は、「青少年健全育成基本法」だの「闇サイト防止法」だのと相変わらず青少年保護の名を借りて国家による情報の直接統制を目論むというおよそお話にならないことをマニフェストに堂々と載せているという有様である。(さらに言えば、今までの経緯を考えても、自民党の言うところの「自主規制」の検討は実質的な官製検閲の検討になることだろう。)

(4)情報公開
<民主党>

 外交文書を含めて行政情報の公開に積極的に取り組みます。
 情報公開法を改正し、国民の「知る権利」を明記します。
 政治資金の全容を一元的に明らかにするため、「国会議員関係政治団体」の収支報告書の連結、総務省への一元的提出、外部監査・インターネット公表の義務付けを行います。

<社民党>
◯国民主権の政治、住民参加の大前提として、徹底した情報公開をすすめることが必要です。国民の知る権利を保障し透明な政府を実現する観点から、情報公開法を抜本的に改正するとともに、国会及び裁判所を対象とする情報公開法をつくります。

○長期にわたる拘留や強要によるウソの「自白」が冤罪の温床となっていることを踏まえ、取り調べの全過程の可視化(ビデオ録画等による)をはかります。事後的な検証を可能とするため、捜査時の試料等の保管を義務付けます。また誤判原因を調査するための機関の創設を検討します。

<公明党>
取り調べ過程の可視化の本格実施
●警察・検察で実施している録音・録画による取り調べ過程の可視化については、冤(えん)罪を防止するため、裁判員制度の実施にかんがみ、刑事手続全体の在り方との関連に留意しつつ、本格的な実施を図ります。

<みんなの党>
行政を情報公開で「ガラス張り」にする
①政治・行政の透明化を図り、国民の信頼を回復するため、官邸に「情報公開局」を設置し、政治・行政を「ガラス張り」に。自民党政権下の意図的に秘匿された情報や「隠し財源」などを明らかに。
②国の会計に複式簿記などの企業会計手法を導入し、行政評価と連動させる等公会計制度改革を推進。

 情報公開についてもどのマニフェスト案にもあまり実質的なことは書かれていないが、情報公開法の改正や取り調べの可視化は地道に進めてもらいたいと私も考えているものである。ただし、やはり、社民党が国会まで含めて情報公開法を作るとマニフェスト案に明記していることは注目に値する。

(5)情報通信
<社民党>

○電波や放送にかかわる事業体の選定に関し、権力の介入を許さないためにも、先進諸国と同様に、現在の行政官庁ではなく、独立した第三者機関に委ねる制度づくりに着手します。

○地上デジタル放送移行に際しては、低所得者への受信機や、チューナー貸与や電波障がい地域の解消など引き続き求めていくとともに、ビル陰などの新たな難視聴問題、マンションなどの共同視聴設備の対策、デジタル波が届かないテレビ難民や経済弱者への支援を強化します。また、障がい者の要求への対応を強化します。バスやタクシーの無線改修などについても必要な対策を講じます。地デジ対応テレビの普及率や低価格チューナーの対応、諸対策の状況などを踏まえ、場合によっては、延期することも含めて検討します。

○地上デジタル放送移行では、電波に空きが出るため、適正な審査により、幅広く電波利用を認め、市民にも空き電波を使う道を開きます。一般市民のメディアへのアクセス権を保障するため、既存放送局に市民作成による番組放送枠を設けるよう働きかけるとともに、パブリック・アクセスチャンネルを整備し、諸外国では一般的な市民による放送事業(コミュニティメディア)にも道を開きます。

○インターネットを利用できない人々に対して、自治体などを通じての支援事業を推進します。また、通信条件の悪い地域への対策も行います。

<自民党>
13 社会全体のICT化
 ICT化により、様々な分野において事業の効率化、サービスの向上など、国民生活の利便性が飛躍的に伸びました。今後、産業がグローバル化する中、産業界においても、さらなるICT化を進めると同時に、国、地方、企業、個人それぞれがICTの恩恵を受けられるよう「社会全体のICT化」を進めます。例えば、電力供給効率化につながるスマートグリッドの導入、ITSによる交通の円滑化、電子政府の実現など、国民生活の利便性向上と環境への負荷低減に向けたICT利活用を力強く推進します。
 情報サービス・コンテンツ産業としてデータセンター等の設備投資は生産波及効果が2倍と大きく、雇用誘発力も高いことから、これらの分野への投資機会を積極的に増やします。

14 ICT産業の成長促進と国際展開を支援
 地場産業をはじめわが国の企業活動の生産性向上を図るためには、あらゆる社会経済活動の基盤であるICT産業の国際競争力を強化することが不可欠です。日本企業の「ガラパゴス化」からの脱却、グローバル展開に向け、地上デジタル放送など重点技術の国際展開支援、クラウドコンピューティングなど新技術・新分野に対する集中的な投資を行い、標準化強化、人材育成、ベンチャー支援などを通じ、ICT産業の競争力を強化、現在約100兆円のICT産業の市場規模を倍増させます。

107 地域におけるICT利活用の促進
 インターネットを活用した地域の特産品の共同受注・一括販売、消費者と直結した新たな市場の創出による地場産業の活性化、地域の観光情報を集約したポータルサイトの構築、伝統文化等をはじめとする地域ならではのコンテンツの発信による観光産業の活性化などの取組みを推進し、元気な地域社会の実現を図ります。
 地域コミュニティにICT関連技術を集中的に投資して、高齢者や児童の見守り、防災情報の配信などを実施し、役立つ先進的な情報通信システムの構築、さらにそのシステムの運用のための地域における体制づくりを支援します。

109 格差のないICT基盤の整備(デジタルディバイドの早期解消)
 情報格差(デジタルディバイド)を放置することは、地域社会・経済の活性化や電子自治体の進展の妨げとなります。
 地理的な条件に関わらず、等しく医療や教育などのサービスを受けることができるネットワーク基盤を整備するため、政府・地方公共団体・民間事業者によるブロードバンド・ゼロ地域解消とサービスの高度化を支援します。また、高齢者・障害者を含む誰もがICTの活用を通じて社会参加できるよう、使いやすいICT技術の開発、字幕放送の普及などを促進、情報バリアフリー環境の整備を推進します。携帯電話がつながらないエリアの早期解消の実現に向けて、特に条件的に厳しい地域の整備を推進します。

110 地上デジタル放送への円滑な完全移行
 国民生活に不可欠なテレビ放送については、地上デジタル対応テレビやチューナーなどのデジタル対応受信機器の更なる普及促進を図るほか、地理的条件や建造物等により受信が困難なエリアにおける難視聴対策を推進するなど、総合的な取組みを推進し、地上デジタル放送への円滑な完全移行を実現します。

<公明党>
ICT産業のグローバル化の推進とICT産業の成長促進
●わが国の優れた情報通信技術(ICT)産業分野について、アジア地域に重点をおいたグローバル展開を積極的に進めるとともに、
「グリーンICT」の推進や研究開発人材育成などに取り組むことで、ICT産業の市場規模の倍増をめざします。

デジタルコンテンツ市場の拡大
●わが国が強みとする放送コンテンツの流通促進を図ります。

国民電子私書箱構想の推進
●国民が自らの年金記録などの情報を入手・管理することができ、また、幅広い分野で24時間簡単にワンストップの行政サービスを利用することができる「国民電子私書箱」構想を推進します。

地上デジタル放送への円滑な完全移行の実現
●2011年7月の地上デジタル放送への円滑な完全移行に向けて、デジタル受信機やチューナーの国民への一層の普及促進を図ります。また、地形や建造物等によるデジタル難視聴対策を推進します。さらに、適正な廃棄・リサイクルの一層の推進など、環境に配慮した取り組みを行います。

デジタルディバイドの早期解消
●「ブロードバンド・ゼロ地域」の解消の早期実現、ブロードバンドと防災・医療等の公共的アプリケーションとの一体的整備を推進します。さらに、携帯電話がつながらない地域の解消をめざします。

ICTによる安心・安全な地域社会の実現
●ICT関連技術を活用して、遠隔医療、児童・高齢者見守り、防災情報提供などの取り組みを推進し、地域住民が安心・安全を実感できる環境をめざします。

テレワークの推進
●子育て中の女性、障がい者等の就業機会の拡大、ワーク・ライフ・バランスの実現等の観点からテレワーク(ICTを活用した場所と時間に制約されない柔軟な働き方)の普及拡大を推進します。

電子行政クラウドの推進による行政の効率化
●クラウドコンピューティング技術などを活用し、中央省庁の保有する情報システムのハードウエアの統合化・集約化などを図り、中央省庁の情報システム経費を削減します。また、地方公共団体の保有する情報システムについても統合化・集約化を推進します。

医療分野におけるICT利活用による医療の質と安全性の向上
●地域の医師不足などの問題に対応するとともに、全国で質の高い安全な医療を受けることを可能とするため、ICTを利用した遠隔医療を推進します。

高度ICT人材の育成
●ICTに関する技術や利活用方法を理解し、高い付加価値を創造できる高度ICT人材について、産学官連携によりその育成拠点の形成を図ります。

情報バリアフリーの推進
●高齢者・障がい者が使いやすい情報通信機器・技術の開発およびサービスの提供の促進等により、ユニバーサルデザインの普及促進を実施するとともに、字幕放送・解説放送等を普及・促進します。

<みんなの党>
○医薬品のインターネット販売は、利用者のニーズをふまえ安全性に配慮しつつ解禁する。学校教育にITやインターネットを取り入れる。eラーニングや電子教科書を使う。また、電子カルテや政府申請、納税申告などすべて100%電子申請を原則とし、行政改革・コスト削減につなげる。また、地域間の格差をなくすため、情報の民主化を進める。

○データ通信インフラを日本全土で整備する。

○医薬品販売規制のほか、食品表示の過度な規制の動きなど、ITビジネスを阻害する過度な規制を排除する。

 情報政策一般についても各党とも項目はそれなりに多いが、やはり意味のあることをどの党もあまり書いていない。自民・公明は、「ICT」を連発して総務省が言っているようなことをずらずら無意味に並べているが、自民・公明のマニフェスト案のこの部分のゴーストライターはやはり総務省だろうか。(なお、みんなの党が医薬品のネット販売解禁について触れているが、みんなの党は、児童ポルノ規制強化の超推進派として知られる後藤啓二ECPAT顧問弁護士(元警察官僚)を候補として擁立するとしており、情報規制問題全体を考えると、このような問題について懸念を抱いている方に投票先として勧めることは全くできない政党である。)

(6)規制緩和一般
<民主党>

規制改革
 幼保一体化に向けた幼稚園、保育所などの施設区分の撤廃、再生可能エネルギーの普及拡大に向けた発電施設などにかかわる規制の見直しなどの規制改革を進めます。

<自民党>
8 不断の規制改革と「グローバルトップ特別区」の創設
 消費者行政とのバランスをとりつつ、各種規制のあり方を不断に見直し、潜在需要を顕在化させて発展的経済活動を支援します。また、新たな立法時における規制の新設についても、国民の安全安心を確保するとともに、自由で活力ある経済活動を阻害しないようにする観点から、引き続き十分な事前審査を行います。各種事業の規制については、事業仕分けの手法を用いた“政策棚卸し”を実施し、見直しを鋭意進め、成長を阻害する規制は直ちに撤廃します。
 さらに、医療研究、サステナブル都市、国際コンテンツ拠点、自治体による国内外の企業や研究施設の誘致促進を可能とするため、財政上の措置も含め「グローバルトップ特別区」を創設します。

<みんなの党>
○官僚統制と中央集権の道具であった規制制度を徹底的に見直す。
・「規制改革会議」の後継機関を設けて、総理や関係大臣出席の下に開催する。国レベル
の最低基準の必要性を精査し、真に必要性が認められた場合を除き、すべての規制制度
を廃止または地方移管する。
・ノーアクションレター制度の適用範囲拡大や利用促進を進め、官僚のさじ加減による裁
量行政を徹底的に排除する。

<新党改革>
●法人税だけでなく、市場の大きさ、制度、金融、物流、人材、治安、生活習慣などの様々な要素から企業立地や経済成長は決まります。この全てにおいて、規制緩和を徹底し、国際社会の中で、日本が最も事業環境が整い、住みやすい国に変えます。
●規制緩和にあたっては、国民や企業からの声を受け付けるだけでなく、各大臣の主導の下、全ての規制について国際比較を行い、自主的に規制緩和を行います。

 規制緩和一般についても、実質的に意味のあることはどの政党のマニフェストにもほとんど書かれていない。

(7)共謀罪
<社民党>
○犯罪の実行前の共謀それ自体を処罰の対象とする「共謀罪」の新設に反対します。通信傍受法(盗聴法)やサイバー犯罪対策に関する刑法・刑訴法を見直し、適用対象や犯罪の構成要件、処罰の範囲等を見直します。

 共謀罪の話も長いが、社民党は今回のマニフェスト案で明確に反対を打ち出している。

(8)人権侵害救済法
<社民党>
○政府から独立した国内人権救済機関を設けるための「人権侵害救済法」を制定します。
○思想・良心・表現の自由、居住・移転・出国の自由、少数民族の権利などを定めた国際人権規約B規約の第一選択議定書等を批准し、国際機関への個人通報制度を設けます。

<公明党>
人権擁護へ、「人権侵害救済法」を制定
●人権侵害による被害を適正かつ迅速に救済するとともにその実効的な予防を図るため、新たな人権救済制度の創設などを含む「人権侵害救済法」(仮称)を制定します。また、人権擁護委員の処遇改善に努めるなど人権擁護施策を総合的に推進することにより人権尊重社会の実現をめざします。

「個人通報制度」の創設
●国際人権(自由権)規約で保障された権利を侵害され、国内の手続きでその救済がなされなかった際に、侵害された個人が、国連の自由権規約委員会に通報し、国に対して勧告を求めることができる「個人通報制度」を定めた国際人権規約の第一選択議定書の批准をめざします。

<たちあがれ日本>
人権擁護法案反対
・言論の自由を損なうような政策には断固反対します。
・人権擁護委員に国籍条項がないことも問題です。

 人権擁護法関連についても変わらず危険な状態が続くと思うが、関連として、ここで書かれている個人通報制度についても注意しておいた方が良いだろう。

(8)天下り
<民主党>
 天下りの温床となっている各種公法人について、廃止を含めた改革に取り組みます。

<自民党>
248 「天下り」根絶宣言—「天下り」発生原因をなくす!
 「天下り」「裏下り」を根絶するため、「天下り」あっせんに刑事罰を科します。給与体系を抜本的に見直して定年まで勤務可能な仕組みを作り、早期退職勧奨(いわゆる「肩叩き」)慣行をなくします。官民人材交流センターの再就職支援機能は直ちに廃止し、給与体系の抜本的見直しにともなって、センターをサンセット(廃止)します。
 やる気と活気に満ちた組織を構築するために、ポストごとの役職定年制を導入します。
 また、人件費を抑制するため、給与体系全体を抜本的に見直します。特に、幹部公務員の給与を本俸と役職手当に区分することで、役職定年後の異動や降任・降給をスムーズにさせます。

249 「天下り」根絶宣言—「天下り」を受けさせない!
 指定法人、認可法人等の常勤役員については、その数の3分の1超、または65歳以上の所管府省出身者を認めません。
 府省出身者が常勤役員の数の3分の1超、または65歳以上で報酬を得て在職している団体や企業等に対しては、その府省等は補助金等の交付や業務委託等の契約を行わないこととします。
 現行の再就職規制を、渡り・裏下りも含め厳格に運用し、再就職に関する国民の疑念を払拭します。
 さらに、「各府省による再就職あっせん禁止」違反に対する罰則規定、「元公務員による働きかけ禁止」違反について、再就職先の団体や企業等も対象とする両罰規定を新たに導入します。また、違反者については、氏名、所属先、違反内容等を公表します。

<社民党>
○在職期間の長期化をはかり、早期勧奨退職慣行による天下りを廃止します。特殊法人、独立行政法人等も含め徹底した規制を行います。公務員の採用試験区分を見直し、閉鎖的で特権的なキャリア制度を廃止するとともに、原則試験制度にもとづく昇格制度を採用し任用時における昇任差別をなくします。

<公明党>
天下りの根絶
●内閣や各省庁による国家公務員の再就職(天下り)あっせんを全面禁止します。また、他の職員の天下りをあっせんした国家公務員
に対し罰則を科します。そして、国家公務員が離職前5年間に在籍していた機関と密接に関連する営利企業、独立行政法人、公益法人への再就職を離職後5年間禁止します。
●天下りの温床となっている“早期退職勧奨”を法律で禁止します。60歳定年の65歳への延長とともに、人件費抑制のため一般職給与法、退職手当法、公務員共済法、定員法の見直しをセットで行います。
●天下りを監視する内部統制を図るため、天下り等に関する内部告発を行いやすくします。

<みんなの党>
2.民主党政権が断念した「天下り根絶」を断行する
①民主党政権で作られた抜け道をふさぎ、真に天下りを根絶。「政務三役によるあっせん」も禁止。裏下り(「OBのあっせん」等と称する天下りあっせん)には刑事罰を導入。
②人材バンク(官民人材交流センター)を時限的に廃止。
③「早期勧奨退職慣行」を撤廃し、定年まで働ける(その代わり、給与の大幅ダウンもある)人事制度を確立。民主党政権が進める「天下りに代わるポスト創設」(高齢職員を処遇するための窓際ポストの創設、独立行政法人などへの現役出向拡大)は認めない。
④天下り官僚OBへの更なる退職金払いの差し止め。

<たちあがれ日本>
官僚の天下り根絶へ、機能する政治主導へ
・官僚の人事制度をいじり回すだけでは「優れた政治主導」は生まれません。天下り根絶、人件費削減など基本ルールは厳守させつつ、閣僚が経営者として役人を徹底的に活用します。政治家が役人の仕事をするのでは行政は停滞します。
・政府参考人制度の廃止などを謳(うた)い、恣意的な法律解釈がまかり通る恐れがある「国会法改正案」には反対します。
・行政改革は、大きな問題が集中している1~2の省庁にまず集中し、成功例をきちんと作ってから全面展開していきます。例)組織分割と再編、外部人材の導入、他省幹部との入替え、若手・女性の抜擢等
・各省ムラ意識の解消と国・地方を通じた円滑な人材移動を促進するために、公務員資格の国・地方を通じた統一、ポストのオープン化、民間人・女性への門戸開放などを進めます。

 天下りに関しては、程度の差はあれ全政党が一致して無くそうとしている。本当に重要なことは、具体的に今後の公務員制度の設計をどうするのかということなのだが、この具体的な制度設計については、どの政党もやはりなおあまり明確でない。(なお、今回のマニフェスト案で社民党がネット選挙の解禁について触れていることは注目に値すると思うが、そのことを除けば、選挙制度や国会改革については、去年(第187回参照)と同じく例によって国民そっちのけで政党間で政争が行われているに過ぎず、ほとんど何も評価できないことに変わりはないので、今回は省略する。)

やはり今回の参院選マニフェスト案でも、表現・情報規制問題における、創価学会を支持母体とするカルト政党、公明党の危険性は明らかである。都条例改正問題に端的に表れ、マニフェスト案からも読み取れるように、この公明党とほぼ一体となり、規制カルト政党と化している自民党も同断である。表現・情報規制強化に懸念を抱いているようであれば、選挙に行き、公明党・自民党以外の政党・議員に投票することは第1条件となる。

 比較の問題に過ぎず、今後も危険な状態が続くとは思うが、表現・情報規制問題に関する限り、多少難点があるものの、今回の社民党のマニフェスト案は、表現の自由について大きく踏み込んだ記載をし、表現の自由を守ると明記している点で私は高く評価する。

 立法府の選挙のための政策集なら、どの法律を具体的にどう変えるのか、国家予算を総合的にどう配分するのかを書いてもらいたいものといつも思っているが、出て来るのは具体的には何を言っているのか良く分からない項目集である。政党の全てがこの体たらくでは、今後も日本の政策決定における迷走は続くと思うが、それでも、少しでもマシな政党・人間を今度の選挙で選ぶことは極めて重要であり、なるべく多くの人に選挙に行ってもらいたいものと私は思っている。

 個人的には、今回も知財問題は争点になりようがないので、今回の選挙も児童ポルノ規制法選挙と思って投票するつもりだが、去年も書いたように、特に、このような情報・表現規制問題については、ピンポイントに規制派候補がどれくらい落ちるか、慎重派・反対派候補がどれくらい通るかで、今後の動向が大きく左右される。他のブログなどでも書かれているが、ここでも次回のエントリを使って、注目候補の紹介をしておきたいと思っている。

(6月23日朝の追記:各党のマニフェスト案を見直して、少し見逃していた項目を追加するとともに、特に内容は変えていないが、上の文章を少し整えた。)

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» マニュフェスト比較を見て気付いたこと [そこ、つっこみ処ですから]
ここで、各党のマニュフェストの一部が比較されているのを見て、あることに気付いた。... [続きを読む]

受信: 2010年6月23日 (水) 09時47分

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