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2009年4月29日 (水)

第170回:内閣府・「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(素案)」に対するパブコメ募集

 青少年ネット規制法第12条に書かれている「基本計画」の素案が5月25日〆切でパブコメにかかった。(電子政府の該当ページ意見募集要領(pdf)素案概要(pdf)基本計画素案本文(pdf)internet watchの記事参照。なお、パブコメの対象ではないようだが、基本計画の作成と推進のための「幹事会の設置について(pdf)」なるペーパーも一緒に公表されている。)

 対応する有識者会議が違うためか(この素案に対応している会議は「青少年インターネット環境の整備等に関する検討会」である)、児童ポルノの規制強化について既にデタラメな与野党案が両方とも国会に提出されている状態で安心しているのか、何かの空気を読んでいるのか、何故か良く分からないが、この基本計画素案(pdf)は、以前の、共謀罪早期導入や児童ポルノ規制強化を謳う内閣府の犯罪計画案(第133回参照)や、ロリコンを思想犯罪化し、国民の情報・表現・思想等々の最も基本的な精神的自由と安全を脅かすと宣言して来た総務省の違法有害報告書案(第135回参照)と比べると、危険な項目は少なく、格段に規制強化色は薄くなっている。基本的に情報モラル・リテラシー教育/啓発運動とフィルタリングの導入促進を中心とした地道な取り組みを推進するとしているもので、最近出された役所のネット規制絡みのペーパーとしては格段に出来が良い。(無論、比較の問題で今までが非道すぎただけの話であり、上の検討会の4月7日(第4回)の資料(pdf)によると、素案の後に本格的な案を作るようなので、次の案でより非道い項目を追加してくるという可能性も否定できないが。)

 出来が良いとは言っても、総務省関係では、第8ページの、

(2)インターネット利用者・事業者の主体的な活動への支援
 地球温暖化防止の国民運動として取り組まれている「チーム・マイナス6%」のように、インターネット利用者・事業者などが自らインターネットの利用環境整備に向け具体的に取り組むことを決め、ロゴマークなどを用いてそれを明らかにし、実践するなどの、取組主体の更なる広がりを促進する活動を支援する。

といった記載や、第13ページの、

5.その他のインターネットの利用環境整備に向けた活動に対する支援
 産学連携した自主的取組を推進する民間団体である安心ネットづくり促進協議会等のインターネットの利用環境整備に向けた活動を支援する。

といった記載で触れられている、安心ネットづくり(第137回参照)の話や、第10ページの、

(2)携帯電話・PHSのフィルタリングの閲覧制限対象の適正化支援
 携帯電話・PHSのフィルタリングサービスにより、青少年有害情報に該当しない情報まで閲覧を制限されることがないよう、民間の第三者機関による青少年保護に配慮した運営体制等をとるウェブサイトを認定する取組等を支援する。

というブラックリスト商法の正当化(第139回参照)の話については、繰り返し釘を差しておきたいと思うし、警察庁関係では、これもいつも通りだが、第10ページの、

3.フィルタリング提供事業者による閲覧制限対象の把握の支援
 フィルタリングによる閲覧制限対象の把握を支援するため、インターネット・ホットラインセンターが一般利用者から通報されたウェブサイトのURL情報を、フィルタリング提供事業者へ継続的に提供することを支援する。

といった記載や、第14ページの、

(1)インターネット・ホットラインセンターを通じた削除等の対応依頼推進
 インターネット上に氾濫する違法情報・有害情報への対策を進めるため、インターネット・ホットラインセンターを通じた、インターネット上の違法情報・有害情報の削除依頼を推進するとともに、いわゆる出会い系サイトや会員制サイト等における違法情報のインターネット・ホットラインセンターへの通報が促進されるよう、サイバーパトロール業務の民間委託を推進する。

といった記載で触れられている、半官検閲センターであるインターネット・ホットラインセンターについて、その存在自体に対する反対意見をまた出したいと思う。

 児童ポルノ規制に関しては、デタラメな与野党の案が既に両方とも国会に提出されてしまっているためか、大きくは第14ページで、

(1)取締り推進及び体制強化
 インターネットを通じた青少年等の犯罪被害の抑止に資する、いわゆる出会い系サイト上の禁止誘引行為、インターネット上の児童ポルノ事犯等サイバー犯罪の取締りを推進するとともに、これに必要な取締り体制を強化するほか、サイバー犯罪を犯した者に対する厳正な科刑を実現する。

と、単に取り締まり強化としか書かれていないものの、同ページの下から第15ページに、

(2)事業者や民間団体の効果的な閲覧防止策の検討支援
 インターネット上の児童ポルノについて、被害者である青少年の権利を保護するため、事業者及び民間団体における効果的な閲覧防止策の検討を支援する。

と、やはり、どこをどうやっても検閲にしかならないサイトブロッキングをまだ検討するとしている点は非常にタチが悪く、児童ポルノ規制強化・児童ポルノサイトブロッキングに対する反対意見も引き続き出して行く必要があると思っている。

(なお、警察が大手サイトへの閲覧防止措置要請を検討しているという話もあり(産経のネット記事参照)、青少年ネット規制法の第21条に書かれているサーバー管理者の閲覧防止措置努力義務(基本計画の第4ページでも触れられている)の運用にも注意しておいた方が良いかも知れない。)

 そもそも、これらの個別の各点以前に、本来主として情報モラル・リテラシー教育によって解決されるべきと、あらゆる者の反対を受けながら、一部の寄生議員と規制官庁の暴走のみによって成立した青少年ネット規制法など、一国民・一ユーザー・一消費者として全く評価できないものであり、基本計画において、今後、青少年ネット規制法の廃止を速やかに検討すると明記するべきであるという意見を出すつもりであるが、この基本計画の他の項目は各種の地道な教育・啓発・調査に関する取り組みが多く、どうして有害無益な法律を作る前にこうした地道な取り組みのみの推進ができなかったのかと非常に残念に思う。

 このパブコメについても、提出次第ここに載せるつもりである。

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コメント

総務省といえば鳩山弟…。
官僚とべったりのあの人ですね。

投稿: taffy | 2009年4月29日 (水) 14時25分

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