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2008年12月16日 (火)

第142回:総務省・「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」最終取りまとめ(案)に対する提出パブコメ

 総務省の「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」最終取りまとめ(案)に対してパブコメを提出したので、ここに載せておく。

(以下、提出パブコメ)

1.氏名及び連絡先
氏名:兎園(個人)
連絡先:

2.意見要旨
(児童ポルノ規制について)
 児童ポルノ対策について今以上の規制は必要なく、児童ポルノを理由とした新たな規制、特に情報・表現に関する国民の基本的な権利の重大な侵害となる単純所持規制・創作物規制の検討に反対する。やはり情報・表現に関する国民の基本的な権利を侵害するものとならざるを得ないブロッキングについても、その実証実験すらするべきではない。
 児童ポルノの閲覧の犯罪化と創作物の規制まで求める「子どもと青少年の性的搾取に反対する世界会議」の根拠のない狂った宣言を国際動向として一方的に取り上げ、児童ポルノ規制の強化を正当化することなどあってはならない。かえって、児童ポルノの単純所持規制・創作物規制といった非人道的な規制を導入している諸国は即刻このような規制を廃止するべきと、そもそも最も根本的なプライバシーに属し、何ら実害を生み得ない個人的な情報所持・情報アクセスに関する情報を他人が知ること自体、通信の秘密や情報アクセスの権利、プライバシーの権利等の国際的かつ一般的に認められている基本的な権利からあってはならないことであると、日本政府から国際的な場において各国に積極的に働きかけてもらいたい。

(ネット規制について)
 青少年ネット規制法の廃止及び出会い系サイト規制法の法改正前の形への再改正を求める。
 半官天下り検閲センターに他ならないインターネット・ホットラインセンターの廃止を求める。
 「e-ネットづくり!」宣言について、そもそも民間が求めていない、「民間による自主的な取組」など取りやめるべきである。検討が必要であるとしたら、今ですら訳が分からないほど沢山ある各種ガイドラインの整理削減のみである。天下り利権の強化・税金のムダな浪費にしかつながらない、ニーズを無視した「相談センター」の拡充に反対する。「違法・有害情報通報受付」と称する、総務省版の半官天下り検閲センターをさらに作ることなど論外である。

(プロバイダーの責任制限について)
 プロバイダー責任制限法に関し、被侵害者との関係において、刑事罰リスクも含めたプロバイダーの明確なセーフハーバーについて検討することを求める。特に、著作権侵害について、最近の事件から考えて、間接侵害や著作権侵害幇助罪まで含めて、著作権法にきちんとした明確なセーフハーバーが早急に作られるべきである。特に、そのセーフハーバーの要件において、標準的な仕組み・技術や違法性の有無の判断を押しつけるような、権利侵害とは無関係の行政機関なり天下り先となるだろう第3者機関なりの関与を必要とすることは、検閲の禁止・表現の自由等の国民の権利の不当な侵害に必ずなるものであり、絶対にあってはならないことである。

(報告書案全体について)
 この狂った報告書案の危険性は小手先の修正では治癒不能であり、情報モラル・リテラシー教育に関する「4.利用者を育てる取組の促進」以外全て白紙に戻してゼロから検討し直されるべきである。今後は、恣意的な運用しか招きようのない危険な規制強化の検討ではなく、ネットにおける各種問題は情報モラル・リテラシー教育によって解決されるべきものという基本に立ち帰り、政府において、地道な施策のみに注力する検討が進むことを期待する。

3.意見及び理由
(1)「2.(1)安心ネット利用のための基本法制の整備等」(第9~47ページ)関連

意見:
 「社会的公益侵害」・「権利侵害」という意味不明の区別を用いた検討を白紙に戻し、プロバイダー責任制限法に関し、被侵害者との関係において、刑事罰リスクも含めたプロバイダーの明確なセーフハーバーについて検討するべきである。特に、著作権侵害について、最近の事件から考えて、間接侵害や著作権侵害幇助罪まで含めて、著作権法にきちんとした明確なセーフハーバーが早急に作られるべきである。特に、そのセーフハーバーの要件において、標準的な仕組み・技術や違法性の有無の判断を押しつけるような、権利侵害とは無関係の行政機関なり天下り先となるだろう第3者機関なりの関与を必要とすることは、検閲の禁止・表現の自由等の国民の権利の不当な侵害に必ずなるものであり、税金のムダな浪費と技術の発展の阻害につながるだけの危険かつ有害無益な規制強化であり、絶対にあってはならないことである。

理由:
 表現・情報の自由は民主主義の最重要の基礎であり、被害者を伴わない表現・情報に対する規制にほとんど正当化の余地はないのであり、そもそもここで社会的法益侵害と権利侵害という類型分けを使うこと自体不適切である。

 報告書案中で、プロバイダー責任制限法の適用範囲を拡大するニーズが多くないと勝手に決めつけているが、意味不明の社会的法益侵害と権利侵害の区別による是非や発信者との関係での責任の問題だけを取り上げているから奇妙なことになるので、プロバイダーの責任の問題においては、被侵害者との関係において、民事的な責任制限だけではなく、刑事罰リスクまで含め、明確なプロバイダーのセーフハーバーを作ることは非常に重要である。

 特に、そのセーフハーバーの要件において、標準的な仕組み・技術や違法性の有無の判断を押しつけるような、権利侵害とは無関係の行政機関なり天下り先となるだろう第3者機関なりの関与を必要とすることは、検閲の禁止・表現の自由等の国民の権利の不当な侵害に必ずなるものであり、税金のムダな浪費と技術の発展の阻害につながるだけの危険かつ有害無益な規制強化であり、絶対にあってはならないことである。

 さらに言えば、動画投稿サイト事業者がJASRACに訴えられた「ブレイクTV」事件や、レンタルサーバー事業者が著作権幇助罪で逮捕され、検察によって姑息にも略式裁判で50万円の罰金を課された「第(3)世界」事件等を考えても、今現在、間接侵害や著作権侵害幇助のリスクが途方もなく拡大し、甚大な萎縮効果・有害無益な社会的大混乱が生じかねないという非常に危険な状態にある。間接侵害事件や著作権幇助事件においてネット事業者がほぼ直接権利侵害者とみなされてしまうのでは、プロバイダー責任制限法によるセーフハーバーだけでは不十分であることを考え、間接侵害や著作権幇助罪も含め、著作権侵害とならない範囲を著作権法上きちんと確定することが喫緊の課題である。

 また、論外の印象操作等、ほとんど報告書案を全て白紙に戻すべきと私が思っている所以の記載を以下に指摘して行く。なお、以下で指摘して行くのは余りにも目に余る部分だけであるとも念を押しておく。

 そもそも、青少年ネット規制法は、あらゆる者から反対されながら、有害無益なプライドと利権を優先する一部の議員と官庁の思惑のみで成立したものであり、速やかに廃止が検討されるべきものである。また、出会い系サイト規制法の改正は、警察庁が、どんなコミュニケーションサイトでも人は出会えるという誰にでも分かることを無視し、届け出制の対象としては事実上定義不能の「出会い系サイト事業」を定義可能と偽り、改正法案の閣議決定を行い、法案を国会に提出したものであり、他の重要法案と審議が重なる中、国会においてもその本質的な問題が見過ごされて可決され、成立したものであり、憲法上の罪刑法定主義や検閲の禁止にそもそも違反している、今回の出会い系サイト規制法の改正についても、今後、速やかに元に戻すことが検討されるべきである。

 携帯フィルタリングによるブラックリスト商法を大臣要請で後押しするかのような書き方がされているが、ブラックリスト方式ならば、まずブラックリストに載せる基準の明確化から行うべきなので、不当なブラックリスト指定については、携帯電話事業者がそれぞれの基準に照らし合わせて無料で解除する簡便な手続きを備えていればそれで良く、健全サイト認定第3者機関など必要ないはずである。ブラックリスト指定を不当に乱発し、認定機関で不当に審査料をせしめ取り、さらにこの不当にせしめた審査料と、正当な理由もなく流し込まれる税金で天下り役人を飼うのだとしたら、これは官民談合による大不正行為以外の何物でもない。このようなブラックリスト商法の正当化は許されない。

 児童ポルノ規制については主に(5)で述べるが、第23~25ページで、海外からの声として、国会でも批判された根拠の無い米シーファー大使の発言などを取り上げ、一方的に児童ポルノ規制強化を正当化している点など行政の報告書として不当の極みである。児童ポルノ規制強化について、優先度が高く個別対処の検討を必要があるとする合理的根拠は何一つない。また、「権利侵害情報の例としては、名誉毀損情報、プライバシー侵害情報及び著作権や商標権を侵害する情報などがあり、社会的法益侵害情報の例としては児童ポルノ公然陳列罪、わいせつ物公然陳列罪(刑法第175条)、麻薬特例法違反、覚せい剤取締法違反など薬物関連法に係る情報などがある」(第18ページ)、「児童ポルノ関係の情報については、社会的法益侵害情報と整理されるが、被害児童が存在するため権利侵害の側面もある」(第24ページ)と、勝手に児童ポルノ規制の法益を、実在の児童の保護から、意味不明の「社会的法益」に勝手にすり替えようとしていることも、到底許されることではない。

 第30ページの「エ)刑罰法規の厳正な執行の必要性等」で、一方的な見方で刑罰法規による取り締まり強化を唱えている点も到底許せるものではない。レンタルサーバー管理者が著作権幇助罪で逮捕された「第(3)世界」事件のことを考えても、情報の違法性の本質的な相対性を忘れ、情報の流通という姑息な言葉で情報の提供者が誰かという最も重要な論点をごまかし、幇助といった曖昧な概念で刑罰法規の適用範囲を不当に広げることはインターネットの法的安定性を大きく揺るがす危険極まりないことである。

 第31ページ以下の「b)行政機関による措置制度」で書かれている、ほとんど青少年ネット規制法案の初期案の悪夢を彷彿とさせる、行政主導の検閲機関創設案は絶対に導入されてはならない論外の案である。このような問題が大き過ぎる検閲機関創設案が、役所で大真面目に検討されること自体異常なことと言わざるを得ない。

 第34ページの脚注で、憲法上の検閲の禁止について、過去の最高裁の判決を引いてあたかも狭く解釈ができるかの如きことが書かれているが、学説上は必ずしもそのような狭い解釈が取られている訳ではなく、この最高裁判決自体、昨今のインターネットの普及を踏まえたものでなく今日もなお通用するかどうか怪しいものである。今日ではインターネット上でしか発表・流通の機会を持たない表現物が既に多く存在しているのであり、例え事後規制だろうと、そのような表現物の発表・流通を完全に抑制しかねない規制は、やはり検閲に該当すると考える方が妥当である。

 第31ページ以下の「a)プロバイダ責任制限法の適用範囲の拡大」で、発信者の関係で責任制限範囲を拡大するニーズがないとしながら、第36ページ以下の「c)自主的取組にインセンティブを与える形での責任制限等の方策」では、発信者との関係のみで責任範囲を拡大することがインセンティブになるとしているところなど、天下り役人の考えは心底理解に苦しむ。また、現行のプロバイダー責任制限法でも、プロバイダーが、侵害の事実を知りながら、技術的に可能であるにも関わらず不特定の者に対する送信防止措置を取らなけらない場合、その責任追求を免れないのであり、被侵害者との関係で、違法な情報を放置した場合に、現行法よりも責任追及を容易にするとしている点も全く理解不能である。

 「c)自主的取組にインセンティブを与える形での責任制限等の方策」中で触れられているアクセスログの保存についても、プロバイダー責任制限との関係で検討されるべき話ではなく、それ自体で別途きちんと検討されなくてはならない話である。

 第45~46ページで、アメリカのDMCAのノーティス&テイクダウン制度に触れた上で、勝手に否定的な見解を述べているが、別にアメリカのノーティス&テイクダウン制度をそっくりそのまま日本に輸入しなければならない理由もなく、上であげた「ブレイクTV」事件や「第(3)世界」事件等を考えても、著作権について特に早急に手当をしておくべき十分な立法事実があると私は考えている。

(2)「2.(2)国際連携推進のための枠組の構築」(第47~54ページ)関連
意見:
 児童ポルノ規制に関して、児童ポルノの閲覧の犯罪化と創作物の規制まで求めている「子どもと青少年の性的搾取に反対する世界会議」の根拠のない狂った宣言を国際動向として一方的に取り上げ、規制強化を正当化することなどあってはならない。かえって、児童ポルノの単純所持規制・創作物規制といった非人道的な規制を導入している諸国は即刻このような規制を廃止するべきと、そもそも最も根本的なプライバシーに属し、何ら実害を生み得ない個人的な情報所持・情報アクセスに関する情報を他人が知ること自体、通信の秘密や情報アクセスの権利、プライバシーの権利等の国際的かつ一般的に認められている基本的な権利からあってはならないことであると、日本政府から国際的な場において各国に積極的に働きかけてもらいたい。

 また、青少年ネット規制法について国際的に紹介する場合には、この法律は、ほぼあらゆる者から反対されながら、有害無益なプライドと利権の保持に走った一部の議員と官庁の思惑のみによって成立したものであるという経緯や、そもそも成立するべきではなく今でも廃止するべきとする意見もあるということも含め紹介するべきである。

理由:
 例えそれが児童ポルノであろうと、情報の単純所持・アクセス・ダウンロード・収集・取得・閲覧等の規制・犯罪化は、恣意的にしか運用され得ず、利用者から見て回避不能の危険極まるものであり、新たな思想犯罪を作り出す非人道的なものとして絶対導入されるべきでない。そもそも最も根本的なプライバシーに属し、何ら実害を生み得ない個人的な情報所持・情報アクセスに関する情報を他人が知ること自体、通信の秘密や情報アクセスの権利、プライバシーの権利等の国際的かつ一般的に認められている基本的な権利からあってはならないことである。

 また、青少年ネット規制法は、有害無益なプライドと利権の保持に走った一部の議員と官庁の思惑のみによって成立したものであり、そもそも成立するべきではなく今でも廃止するべきとする意見もあるのであり、規制を一方的に是とすることなく、状況が正しく伝えられなくてはならない。

 なお、インターネット・ホットラインセンターについては主に(4)で述べるが、第47~48ページにおける、「2007年中に同センターにあった違法情報の通報のうち海外のサーバに蔵置されていたものは3,307件であるところ、同年3月から12月までの10か月間にわが国から海外の加盟ホットラインに対して行った通報は児童ポルノ情報及びわいせつ情報350件と一部に限られている。」等の印象操作も本当にひどいものである。350件以外は、インターネット・ホットラインセンターが他国に通報しないという判断をしただけだろうと考えられるにもかかわらず、勝手に全通報件数との比較を行って、海外対応に難があるかの如き記載をしているのは本当に許し難い。このような判断を勝手に行っていること自体、この半官天下り検閲センターの問題点を露骨に示している。

(3)「2.(3)様々な連携の推進」(第54~61ページ)関連
意見:

 ニーズの不明な新たな産学連携組織の検討に関しては全て白紙に戻して、そもそものニーズからきちんと再検討がなされるべきである。また、天下りへの国民の血税のムダな浪費はもはや到底許されることではなく、新たな産学連携組織を天下り先とすることなど絶対にあってはならない。

理由:
 「e-ネットづくり!」宣言プログラムの基本的受け皿として必要であると報告書案では書かれているが、、報告書案で書かれている産学連携組織の必要性に合理的根拠はない。このようなムダな産学連携組織は、役人の天下り先となり、国民の血税の天下りへのムダな浪費となる危険性が高く、一国民として到底賛同できるものではない。

(4)「3.(1)違法・有害情報対策の推進」(第63~90ページ)関連
意見:

 「e-ネットづくり!」宣言について、そもそも民間が求めていない、「民間による自主的な取組」など取りやめるべきである。検討が必要であるとしたら、今ですら訳が分からないほど沢山ある各種ガイドラインの整理削減のみである。天下り利権の強化・税金のムダな浪費にしかつながらない、ニーズを無視した「相談センター」の拡充などされるべきでない。インターネット・ホットラインセンターという警察庁の半官天下り検閲センター自体廃止が速やかに検討されるべきものであり、「違法・有害情報通報受付」と称して、総務省版の半官天下り検閲センターをさらに作ることなど論外である。

理由:
 「e-ネットづくり!」宣言は、総務省への参加申請・登録の要請や総務省製のロゴマークの販促といった、ニーズを無視したいつもの官製キャンペーンに過ぎず、普通に考えて税金のムダ使いしかならない。今以上に、規制よりにしかならないだろう官製「自主憲章」やガイドラインなども不要である。「ナレッジベース」について、そもそも今以上にどんなガイドラインについて必要なのか良く分からず、もし何か検討するのであれば、そもそも今ですら山のようにあって訳が分からないガイドライン群の整理削減のみを検討するべきである。

 さらに、「交流プラットフォーム」についても、そもそも現在の「違法・有害情報事業者相談センター」の相談実績が少ないことが、現実のニーズを如実に物語っており、天下り利権の強化・税金のムダ使いにしかならないだろうニーズを無視した相談センターの拡充もされるべきではない。さらに、権利侵害とは直接関係のない天下り先の半官検閲センターに違法性の判断を代替する機能を持たせることなど危険極まりないことであり、インターネット・ホットラインセンターという警察庁の半官天下り検閲センター自体廃止が速やかに検討されるべきものであり、「違法・有害情報通報受付」と称して、総務省版の半官天下り検閲センターをさらに作ることなど論外である。

 以下、やはり目に余る記載について指摘して行く。

 (1)で述べたプロバイダ責任制限法に関する部分では、「大手のプロバイダ等を中心に、既に自主的対応として違法情報の削除が進んで」いるとしながら、こちらでは、対策について民間にデータの蓄積がないとしているなど、この報告書案は矛盾・不合理だらけで到底読むに耐えない。

 第65ページの「近年、これらの情報の流通をきっかけに、マスコミに大きく取り上げられるような事案が頻発しており、インターネットの規制を強化すべきとの議論を拡大させる主な要因となっている。」のような記載は、マスコミの一方的な印象操作に悪乗りする形で、ネガティブな事件のみを取り上げ、ネット規制の強化が正当化されるかのような、ひどい印象操作を含む記載である。なお、第6ページの「さらに、硫化水素による自殺誘引サイトの問題や、2008年6月8日に起きた秋葉原での事件における電子掲示板上の犯罪予告など、インターネット上の違法・有害情報対策として、民間の自主的取組に任せるのではなく、むしろ規制を強化すべきとの声を後押しするような事案も引き続き発生している。」も同断である。

 第73ページの脚注で、プロバイダー責任制限法の「特定電気通信役務提供者」と、青少年ネット規制法の「特定サーバー管理者」を同義と考えて良いと断定している事もあまりにも軽率という他ない。それぞれの条文を読めば分かるが、「特定電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他特定電気通信設備を他人の通信の用に供する者」(「特定電気通信役務提供者」)と、インターネットを利用した公衆による情報の閲覧の用に供されるサーバーを用いて、他人の求めに応じ情報をインターネットを利用して公衆による閲覧ができる状態に置き、これに閲覧をさせる役務を提供する者(「特定サーバー管理者」)は同義では全くない。実際に法運用を行っているはずの官庁が公の報告書案にこのようなことを堂々と書くのだから本当に呆れる他ない。

 また、第75~76ページで、インターネット・ホットラインセンターについて、インターネット・ホットラインセンターの協力依頼通りに削除することが当然であり、このような検閲の強化が正当化されてしかるべきであるかの如き記載があるが、インターネット・ホットラインセンターは単なる一民間団体に過ぎず、しかもこの団体に直接害が及んでいる訳でもないため、本来削除を要請できる訳がないのである。勝手に有害と思われる情報を収集して、直接削除要請などを行う民間団体があるということ自体おかしいと考えるべきであるという最も基本的なことも忘れ、国民の基本的な権利をないがしろにしても自身の利権拡大のみ大事とばかりに、あらゆる者はこの半官検閲センターの言うなりに情報を削除しろという傲慢を示すとは、天下り役人の考えは気違い染みている。削除を依頼されたところで、自身のリスクで削除をしないという判断をすることは当然あって良いことである。

 インターネット・ホットラインセンターの事業が警察からの委託事業であるため、そこに蓄積された情報を柔軟に活用し、自主的取組の向上に役立てることは難しいと、インターネット・ホットラインセンターが、民間団体でありながら、ほぼ警察の下部組織であることを政府の報告書が公に認めている点など、完全に語るに落ちている。必要であれば、きちんとした取り締まりと削除要請ができる人員を、法律によって明確に制約を受ける警察に確保するべき話であり、通報受付についてもきちんと警察に設け、それを周知するべき話であって、それ以上の話ではなく、インターネット・ホットラインセンターのような半官天下り検閲センターは即刻廃止が検討されるべきである。

(5)「3.(2)児童ポルノの効果的な閲覧防止策の検討」(第91~100ページ~)関連
意見:

 児童ポルノ対策について今以上の規制は必要なく、児童ポルノを理由とした新たな規制、特に情報・表現に関する国民の基本的な権利の重大な侵害となる単純所持規制・創作物規制の検討に反対する。やはり情報・表現に関する国民の基本的な権利を侵害するものとならざるを得ないブロッキングについても、その実証実験すらするべきではない。

理由:
 上でも書いたことだが、例えそれが児童ポルノであろうと、情報の単純所持や単なる情報アクセスではいかなる被害も発生し得えない。現行法で、ネット上であるか否かにかかわらず、提供及び提供目的の所持まで規制されているのであり、提供によって生じる被害と所持やダウンロード、取得、収集との混同は許され得ないのである。そもそも、最も根本的なプライバシーに属する個人的な情報所持・情報アクセスに関する情報を他人が知ること自体、通信の秘密や情報アクセスの権利、プライバシーの権利等の基本的な権利からあってはならないことである。海外サーバーの児童ポルノコンテンツについても、児童ポルノの提供が罪になっていない主要国もないのであろうから、日本の警察なりが海外の捜査機関に協力すれば良いだけの話である。例え児童ポルノだろうが、新たな思想犯罪を作り、国民の情報・表現・思想等々の最も基本的な精神的自由と安全を脅かす理由には全くならない。児童ポルノ規制について何か検討することがあるとしたら、今ですら曖昧に過ぎる児童ポルノの定義の厳密化のみである。

 また、ブロッキングについても、総務省なり警察なり天下り先の検閲機関・自主規制団体なりの恣意的な認定により、全国民がアクセスできなくなるサイトを発生させるなど、絶対にやってはならないことである。例えそれが何であろうと、情報の単純所持や単なる情報アクセスではいかなる被害も発生し得えないのであり、自主的な取組という名目でいくら取り繕おうとも、憲法に規定されている表現の自由(知る権利・情報アクセスの権利を含む)や検閲の禁止といった国民の基本的な権利を侵害するものとならざるを得ないブロッキングもまた導入されてはならないものである。

 対面調査で回答の誘導を行うなど有害かつ悪質な世論操作がそこら中で行われた、全く信用できない今年1月の内閣府の調査をあげ、国民の問題意識が高まっているとしたり、サイバー犯罪条約について未批准であることや児童ポルノ規制に関しては留保条項もあることを明記していなかったり、欧米キリスト教諸国の狂った規制のみを例に挙げていたり、インターネット・ホットラインセンターにおける通報件数のみを使って日本における児童ポルノ事件数が多いかの如き印象を与えようとしたりと、この部分における、悪辣な印象操作・欺瞞も枚挙にいとまがない。

 さらに、第92~93ページの、「1)現在の児童ポルノに対する取組」の、児童ポルノを思想犯罪化し、国民の情報・表現・思想等々の最も基本的な精神的自由と安全を脅かして良いかの如き記載に至ってはもはや絶句するしかない。この文章を書いた役人は完全に気が狂っているとしか思えない。

 なお、児童ポルノ規制に関しては、つい最近、ドイツのバンド「Scorpions」が32年前にリリースした「Virgin Killer」というアルバムのジャケットカバーが、アメリカでは児童ポルノと見なされないにもかかわらず、イギリスでは該当するとしてブロッキングの対象となり、プロバイダーによっては全Wikipediaにアクセス出来ない状態が生じたなど、欧米では、行き過ぎた規制の恣意的な運用によって、明らかな弊害が生じていることも見逃されるべきではない。

(6)「4.(5)違法・有害情報対策の基礎となる調査の実施」(第133~135ページ)関連
意見:

 役所の調査項目作成への関与を極力無くし、予断を与えないように調査項目の作成には細心の注意を払うべきである。複数の調査機関によって項目の偏向をチェックし、対面調査で直接規制の是非を問うような片寄りしか生まない手法を取らないようにし、ウェブ調査も含め、幅広く調査を行うべきである。

理由:
 今年の1月28日に公表された「インターネット上の安全確保に関する世論調査」は、例えば、インターネットホットラインセンターについて、知らない者が9割近くにも上るにも関わらず、その全員に対してその有効性について聞き、「インターネットホットラインセンターは安全を守るために有効と思う」と7割近くの人間に答えさせたり、対面調査によって回答の誘導を行ったりするなど、悪質かつ有害な印象操作・世論操作がそこら中で行われ、政策判断の材料として全く信用できない調査だった。

 このような非道極まる調査を二度と行わないようにするべきであり、特に、役所の調査項目作成への関与を極力無くし、予断を与えないように調査項目の作成には細心の注意を払うよう、複数の調査機関によって項目の偏向をチェックし、対面調査で直接規制の是非を問うような片寄りしか生まない手法を取らないよう、ウェブ調査も含め、幅広く調査を行うよう気をつけるべきである。

(7)報告書案全体について
 国民の基本的な権利をないがしろにしても自身の利権拡大のみ大事とばかりに、腐り切った天下り役人が好き勝手に膿んだ妄想を垂れ流しているこの報告書案は、随所に理解不能の論旨の混乱が見られ、矛盾・不合理だらけで到底読むに耐えないものである。もはや自身の怒りを表すのに十分な言葉を私は持たないが、このように天下り役人が厚顔にも踏みにじっている国民の本当の安全と安心を今すぐ返してもらいたいと私は心から言いたい。

 この狂った報告書案の危険性は小手先の修正では治癒不能であり、情報モラル・リテラシー教育に関する「4.利用者を育てる取組の促進」以外全て白紙に戻してゼロから検討し直されるべきである。

 インターネットの利用環境の整備は、法規制によるのではなく、民間の自主的取組によって推進することが最良の方策であるという言葉を自戒の言葉として、政府においても、今後は、恣意的な運用しか招きようのない危険な規制強化の検討ではなく、ネットにおける各種問題は情報モラル・リテラシー教育によって解決されるべきものという基本に立ち帰り、地道な施策のみに注力する検討が進むことを期待する。

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