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2008年12月23日 (火)

第144回:知財本部・第3期基本方針策定に関する意見募集に対する提出パブコメ

 内容は今まで提出して来た各種パブコメをまとめただけだが、念のため、第140回で紹介した知財本部の知的財産戦略に関する政策レビュー及び第3期基本方針の策定に関する意見募集(12月25日〆切)に対する提出パブコメも、ここに載せておく。

(以下、提出パブコメ)

(1)全体について
(意見概要)

 基本方針において、文化庁のような利権官庁に轡をはめ、知財の規制緩和のイニシアティブをきちんと取るとし、かえって各利権官庁に踊らされるまま、国としての知財政策の決定を怠り、知財政策の迷走の原因を増やすことしかできないようであれば、知財本部とその事務局は速やかに解散するとするべきである。

(意見全文)
 最終的に国益になるであろうことを考え、各業界の利権や省益を超えて必要となる政策判断をすることこそ知財本部とその事務局が本当になすべきことのはずであるが、今までの知財計画を見ても、このような本当に政策的な決定は全くと言って良いほど見られない。知財保護が行きすぎて消費者やユーザーの行動を萎縮させるほどになれば、確実に文化も産業も萎縮するので、知財保護強化が必ず国益につながる訳ではないということを、著作権問題の本質は、ネットにおける既存コンテンツの正規流通が進まないことにあるのではなく、インターネットの登場によって新たに出てきた著作物の公正利用の類型に、今の著作権法が全く対応できておらず、著作物の公正利用まで萎縮させ、文化と産業の発展を阻害していることにあるのだということを知財本部とその事務局には、まずはっきりと認識してもらいたい。特に、最近の知財・情報に関する規制強化の動きは全て間違っていると私は断言する。

 今まで通り、規制強化による天下り利権の強化のことしか念頭にない文化庁、総務省、警察庁などの各利権官庁に踊らされるまま、国としての知財政策の決定を怠り、知財政策の迷走の原因を増やすことしかできないようであれば、基本方針において、知財本部とその事務局は、自ら解散するとしてもらいたい。そうでなければ、是非、各利権官庁に轡をはめ、その手綱を取って、知財の規制緩和のイニシアティブを取ってもらいたい。

 特に、知財政策においても、天下り利権が各省庁の政策を歪めていることは間違いなく、知財政策の検討と決定の正常化のため、文化庁から著作権関連団体への、総務省から放送通信関連団体・企業への、警察庁からインターネットホットラインセンター他各種協力団体・自主規制団体への天下りの禁止を知財本部において決定してもらいたい。(これらの省庁は特にひどいので特に名前をあげたが、他の省庁も含めて決定してもらえるなら、それに超したことはない。)

 インターネットにおけるこれ以上の知財保護強化はほぼ必ず有害無益かつ危険なものとなるということをきちんと認識し、真の国民視点に立った知財の規制緩和の検討が知財本部でなされることを期待する。

(2)II-2 模倣品・海賊版対策の強化(コンテンツを除く)について
(意見概要)

 模倣品・海賊版拡散防止条約の検討で、プライバシーや情報アクセスの権利といった基本的権利を守るとする条項を盛り込むよう日本から各国に積極的に働きかけてもらいたい。

(意見全文)
 「模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)(仮称)について、そのような条項がよもや真面目に検討されることはないと思うが、もしどこかの国が、税関において個人のPCや携帯デバイスの内容をチェック可能とすることや、インターネットで著作権検閲を行う機関を創設することといった、個人の基本的な権利をないがしろにする条項をこの条約に入れるよう求めて来たときには、そのような非人道的な条項は除くべきであると、かえって、プライバシーや情報アクセスの権利といった国際的・一般的に認められている個人の基本的な権利を守るという条項こそ条約に盛り込むべきであると日本から各国に積極的に働きかけてもらいたい。

(3)IV-1 コンテンツの創造・流通の促進について
(意見概要)

 一般フェアユース条項について、可能な限り早期に導入することを求める。有害無益なダウンロード違法化及び著作権・著作隣接権の保護期間延長に反対する。基本方針において、一般フェアユース条項の導入を推進すると、また、ダウンロード違法化や保護期間延長などを絶対行わないと明記してもらいたい。

(意見全文)
 一般フェアユース条項について、ユーザーに対する意義からも、可能な限り早期に導入することを求める。特に、インターネットのように、ほぼ全国民が利用者兼権利者となり得、考えられる利用形態が発散し、個別の規定では公正利用の類型を拾い切れなくなるところでは、フェアユースのような一般規定は保護と利用のバランスを取る上で重要な意義を持つものである。なお、フェアユースの導入によって、私的複製の範囲が縮小されることはあってはならないことである。

 権利を侵害するかしないかは刑事罰がかかるかかからないかの問題でもあり、公正という概念で刑事罰の問題を解決できるのかとする意見もあるようだが、かえって、このような現状の過剰な刑事罰リスクからも、フェアユースは必要なものと私は考える。現在親告罪であることが多少セーフハーバーになっているとはいえ、アニメ画像一枚の利用で別件逮捕されたり、セーフハーバーなしの著作権侵害幇助罪でサーバー管理者が逮捕されたりすることは、著作権法の主旨から考えて本来あってはならないことである。政府にあっては、著作権法の本来の主旨を超えた過剰リスクによって、本来公正として認められるべき事業・利用まで萎縮しているという事態を本当に深刻に受け止め、一刻も早い改善を図ってもらいたい。

 また、一人しか行為に絡まないダウンロードにおいて、「情を知って」なる要件は、エスパーでもない限り証明も反証もできない無意味かつ危険な要件であり、技術的・外形的に違法性の区別がつかない以上、ダウンロード違法化は法規範としての力すら持ち得ない。このような法改正を押し通せば、結局、ダウンロード以外も含め著作権法全体に対するモラルハザードがさらに進行するだけであり、これを逆にねじ曲げてエンフォースしようとすれば、著作権検閲という日本国として最低最悪の手段に突き進む恐れしかない。どう転ぼうが、ダウンロード違法化は百害あって一利ない最低の法改正である。プログラムも含め、あらゆる著作物のダウンロード違法化に、私は今なお完全に反対する。

 違法ダウンロードによる権利者の経済的不利益が大きいとする根拠も薄弱であり、去年から状況にほとんど変化はなく、ダウンロード違法化の合理的な根拠は今なおほとんど全くと言って良いほど何もないにもかかわらず、去年の私的録音録画小委員会中間整理に対して集まった8千件以上のパブコメの7割方で示された国民の反対・懸念を完全に無視し、文化庁は、その文化審議会において、ダウンロード違法化の方針を含む報告書を最後まで押し通そうとしている。このような非道極まる民意無視は到底許されるものではなく、知財本部の基本方針において、文化庁の検討を止め、ダウンロード違法化を絶対にしないと必ず明記してもらいたい。

 そして、保護期間延長問題についても、これほど長期間にわたる著作権の保護期間をこれ以上延ばすことを是とするに足る理由は何一つなく、著作権・著作隣接権の保護期間の延長はしないと明記してもらいたい。特に、流通事業者に過ぎないレコード製作者と放送事業者の著作隣接権については、保護期間を短縮することが検討されても良いくらいである。

 基本方針においては、権利者団体等が単なる既得権益の拡大を狙ってiPod等へ対象範囲を拡大を主張している私的録音録画補償金問題についても、補償金のそもそもの意味を問い直すことなく、今の補償金の矛盾を拡大するだけの私的録音録画補償金の対象拡大を絶対にしないということも明記してもらいたい。

 さらに付言しておくと、閲覧とダウンロードと所持の区別がつかないインターネットにおいては、例え児童ポルノにせよ、情報の単純所持等を規制することは有害無益かつ危険なもので、憲法及び条約に規定されている「知る権利」を不当に害するものである。このような情報の単純所持等の規制に私は反対する。一人しか行為に絡まない、個人的な情報アクセスに関する限り、「情を知って」、「性的好奇心を満たす目的で」、「みだりに」などの精神的要件は、エスパーでもない限り、証明も反証もできないものであり、法律上の要件として客観性を全く欠き、恣意的な運用しか生みようがない危険極まりないものである。このような情報の単純所持等の規制の危険性は回避不能であり、罪刑法定主義にも反する。このような一方的かつ身勝手な規制強化の動きを規制するため、憲法の「表現の自由」に含まれ、国際人権B規約にも含まれている国民の「知る権利」を、あらゆる公開情報に安全に個人的にアクセスする権利として、著作権法・通信法等の関係法規に明文で書き込むことを検討してもらいたい。架空の表現に関する規制も同時に議論されているが、ごく一部の国内団体等の根拠のない、保護法益すら無視した一方的な主張で、憲法で保障されている表現の自由が規制されることなどあってはならないことである。

(4)IV-2 コンテンツの海賊版対策について
(意見概要)

 模倣品・海賊版拡散防止条約の検討で、プライバシーや情報アクセスの権利といった基本的権利を守るとする条項を盛り込むよう日本から各国に積極的に働きかけてもらいたい。

(意見全文)
 「模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)(仮称)について、そのような条項がよもや真面目に検討されることはないと思うが、もしどこかの国が、税関において個人のPCや携帯デバイスの内容をチェック可能とすることや、インターネットで著作権検閲を行う機関を創設することといった、個人の基本的な権利をないがしろにする条項をこの条約に入れるよう求めて来たときには、そのような非人道的な条項は除くべきであると、かえって、プライバシーや情報アクセスの権利といった国際的・一般的に認められている個人の基本的な権利を守るという条項こそ条約に盛り込むべきであると日本から各国に積極的に働きかけてもらいたい。
(II-2 模倣品・海賊版対策の強化(コンテンツを除く)に対しても同じことを書いたが、ここに対しても念のため書いておく。)

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