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2007年12月 4日 (火)

第33回:ドイツの知財法改正案(続報)

 続報というほどの続報でもないが、第31回で紹介した話の続きとして、ドイツで、上院で、結局、インターネットの通信記録の保存を義務づける通信法改正案の方を可決したという記事があったので、念のために紹介しておこう。
 記事にも書かれているが、その結果、やはり知的財産関係の法改正案は通らないということになったようである。
 さすがのドイツも、民事手続きでインターネットの通信記録を見られるようにするというのは行きすぎだと分かったのであろう。

 しかし、ドイツの著作権法では、法律で許されている場合を除き複製をした場合には特に区別なく刑事罰の対象となるので、ドイツでは、刑事告訴が乱用され続け、著作権に関する社会的混乱が続くに違いない。

(民事手続きでインターネットの通信記録を見られるようにすることなど論外なのだが、通らなかった法案でも、著作権法第97条aで被侵害者は警告をしなければならないこと、正当なものなら、かかった費用について補償を侵害者に要求できること、ただし補償は50ユーロまでとされることを規定しようとするなど、やはりお話にはならないながらも、多少の努力の跡は見られていた。)

 ついでに書いておくと、何故ダウンロード違法化が社会的混乱を生むかがドイツ政府には分かっていないようだが、これは、ダウンロードについては、違法性が、ユーザーの心にしかよりようがないからなのである。特許は、特許公報の閲覧義務を会社に擬制して悪意推定をしている訳だが、著作権でそんなことをユーザーに課すのはナンセンスも良いところだろう。
 世の中には、明らかに権利者のお目こぼし(黙示の許諾)で流通していると思われる著作物もあり、明確な違法合法の基準は最後まで与えられようがない。そのような中で、ダウンロードを違法化することは、結局、著作物の違法・合法を明確にしないまま、後からいくらでも違法だと主張できる権利を権利者に与えることに他ならないので、社会的混乱を招くのである。
 「複製権」を持っている権利者にも、ドイツ政府にも悪いが、権利者による後出しジャンケンを許すことになる明確なダウンロード違法化は決して認められるべきではなかろう。

 次は、DRMの話の続きを。

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