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2007年10月18日 (木)

第7回:文化審議会著作権分科会パブコメ準備(前編:ダウンロード違法化問題)

 ようやく公表された文化審議会・著作権分科会・私的録音録画小委員会の中間整理のパブコメの〆切まで、自分が提出する意見の内容をよく考えたいと思っているところだが、そのためにちょっと頭の整理をしておきたい。

 まずは私的複製の範囲論、特にダウンロード違法化問題についてである。

 さて、今話題になっているダウンロード違法化問題とは、要するに、審議会で出された方向性の通り法改正がなされると、違法と知りつつ違法サイトから私的に録音録画する場合や、明らかな違法録音録画物から私的に録音録画する場合が私的複製の範囲外となるので、今までノーリスクに近かったこのような複製に著作権者(団体)からの損害賠償請求の訴訟リスクが発生するという問題である。

 この点については、音楽ITジャーナリストの津田委員が審議会では最も問題意識を持って反対意見を表明されていたが、多勢に無勢で中間整理にはこのような方向性が盛り込まれてしまった。
 権利者団体側の、ダウンロードは権利者に大きな被害を与えているという主張も、単純なだけにそれなりに説得力はあるのだが、デメリットを考えていくと、ダウンロード違法化はどうしてもするべきではないと思われる。その理由は大体以下の通りである。

(1)そもそも家庭内の複製行為を取り締まることはほとんどできず、実効性がない

(2)ユーザーの側で自分が接している著作物というのが、利用許諾のもとに提供されたものなのか判断する手がかりがない。権利者団体がつける違法マークなど機能する訳がない。結果として、常に不安な状態でユーザーはインターネットを利用しなければならなくなり、悪影響・萎縮効果が大きい。(特に、インターネットでは、違法も合法もなく、自動的に機械がコピーしてしまっている。ダウンロードした者の意思の有無について外形的な区別が不可能である以上、ユーザーが違法と知っていたかどうかは裁判所でどうにでも認定されてしまう。)
 また、今後、これに罰則の適用や非親告罪化を加えることを権利者団体が求めることが容易く想像されるが、そのような法改正までなされると、インターネットを使うこと自体が犯罪行為となり多大な悪影響が懸念される。

(3)このような混乱をもたらすだけの法改正で、国民の情報入手の自由を制限することがそもそもおかしく、情報入手の自由が制限される結果、表現の自由にまで影響が及ぶ

(4)送信可能化権によって違法アップロードを取り締まれば十分であり、新たに違法サイトからのダウンロードを取り締まる必要はない。
 また、既に送信可能化権があるため、送信可能(ダウンロード可能)としたことによって生じる損害は、著作者に許諾を取らず送信可能とした者(アップロードした者)に請求されるべきもののはずである。

(5)自らが作製した著作物を離れてサイトそのものを違法と著作権者団体が認定することは、明らかに権利の乱用である。これは著作権団体によるサイトそのものの検閲に他ならず、到底認められるべきではない。

 これらの影響を考えるとどう考えても法改正はメリットよりデメリットの方が大きい。
 また、そもそも論から行けば、何故あらゆる場合について皆がダウンロードを完全に合法と解釈しているのか理解に苦しむところである。ダウンロードについては解釈でグレーとしておき、拙速な法改正は行わず、様々な司法判断や状況が積み重なってきたときに改めて立法の是非を判断するべきであろう。

 次回は、今回の著作権改正騒動の2大論点のもう一つ、私的録音録画補償金問題についてどう考えるべきかというこことについて、パブコメ準備用に頭の整理をしてみたい。

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コメント

「miau」というサイトでパブリックコメントの書き方を教えてもらえます。映像がアウトになれば、自動的に文章もアウトになります(ITmedia記事内で、文章関係業界も権利を主張すると明言)。そうなれば、迷惑メールの中に小説の一節があっただけで、それを受信した時点で犯罪になります。ネット検索もブログを見ることも携帯メールもほぼできなくなります(業界に訴えられたら、“故意ではないこと”を事実上証明できないので圧倒的不利)。一番大事なのは、“ネット以外の人にもこのことを知ってもらう”こと。パブコメ終了したあとも周りに広める、そうして、日本中で反対がいっぱいになれば、さすがに法律を作れなくなります。権利ばかり主張する人たちに、わたしたちが「普通にネットをする権利」を侵害する権利はありません。

投稿: ぷりん | 2007年10月24日 (水) 05時08分

(1) 「家庭内の複製」は、どう転んでも私的複製です。
(2) 「情を知って」いたかどうかは権利者側に立証責任があります。
(3) 私的複製の範囲を超えた複製を「情報入手の自由」とはあんまりです。
(4) 事実上、取り締まれないでしょうね。
(5) 「サイトそのものを違法」と「認定すること」など、誰にもできはしないと思いますが。

投稿: ぼんぼ | 2007年11月13日 (火) 11時13分

ぼんぼ様

 コメントありがとうございます。

(1)法改正で30条の範囲から除外すれば、家庭内の複製であっても法律上の「私的複製」ではないこととなります。
(2)ダウンロードに関しては、やはり問題の行為に一個人(と機械)しか関与していないため、最後「情を知って」の証明も、「情を知らずに」の証明も出来ません。裁判になったときに、結局司法で恣意的な認定がなされることになるのではないかという懸念を私は強く感じています。
(3)私的複製の範囲を超える複製を問題にしているつもりはありません。これは個人的な立場になりますが、違法かも知れない複製物からの私的な情報入手(≠複製)は推奨はされないが、あっても良いとする立場に、私は立っています。
(4)アップロードユーザーやサイトが取り締まれないとすると、単なるダウンロードユーザーはもっと取り締まれません。ダウンロードが違法化されたとしても、刑罰はないにせよ、結局、善意のユーザーはどうしたら良いか分からず混乱し、悪意のユーザーには意味がないということになるのではないかと思っています。
(5)この懸念が杞憂であることを、私も願っています。合法サイトの認定も裏返しの違法認定になるということに注意が必要です。

 ただ、ダウンロードは違法化すべきという立場が絶対に間違っているということも言えませんので、念のためのコメントのコメントです。

投稿: 兎園 | 2007年11月15日 (木) 00時29分

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